モリー・スウィーニー 公演情報 モリー・スウィーニー」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-17件 / 17件中
  • 満足度★★★★★

    谷賢一らしい舞台
    目の見えない主人公・モリー(=南果歩)が、天才眼科医ライス(=相島一之)の手術を受け、光を見る。

    難しい手術を決行し、成功させるライス。

    モリーの夫・フランク(=小林顕作)も手術の成功に大喜びするが、はたして「見える」事が「良い」事なのか。

    見える人間が多い中にいる、見えない人間とは、「不幸」なのだろうか。

    多数派の人々が持つ一方的な認識が、「幸福」をもたらそうとする行為が、一つの破滅をもたらしていく。



    自らの劇団、DULL-COLORED POPで谷賢一が追い続けてきた物が、一つクリアに結集されたようなこの『モリー・スウィーニー』という本。

    相性はバッチリだったように思える。

    複数の空間を巧みに作り上げていく演出手法も実に鮮やか。

    休憩前は、モリーが光を取り戻すまでを、

    休憩後には、光を得てからの生活を描いているが、それぞれのラストにあたる部分で用意された仕掛けもグッとくる。



    光の無い中で生活していたモリーが、光を得る事で実に多くの物を失っていく。

    全く違う世界に移された人間が幸福から転落していく様が、痛々しく、生々しい。



    実に谷賢一らしい舞台だった。



    重厚な本に、がっつり向き合っている感があったが、

    夫・フランク(=小林顕作)の芝居が遊び心を発揮し過ぎる事で全体のバランスを崩していたようにも見えなくもない。



    が、ともあれ良い芝居を観た。

  • 満足度★★★★★

    3人芝居、実は・・
    外国作品、翻訳ものというと ちょっと苦手意識があったりするんですが・・


    確かにこの作品も台詞は"翻訳"っていう印象はありますが、 原作がどうかは知りませんが

    訳・演出の谷賢一くんが 見事に見やすく そして楽しい作品に作り上げているなぁ~という感じです。

    なんといっても、3人が同時にステージにいて 絡みもあるのですが、言ってみれば 三つの1人芝居で構成されているのです。。

    1幕はスウィーニーが目の手術をうけるまでのおはなし、そして2幕目は 光を取り戻し そしてそこから始まる悲劇・・

    真摯なストーリーなんだけど、小林顕作くんのパートでかなりくだけて そして観客を巻き込んでの演出が多く 笑いもふんだんに取り入れられていました。

    そしてラストでは、会場が真っ暗のの中 南果歩さんが 通路をあちこち歩きながら台詞が進行していくんです。

    それは 盲目の主人公の世界を共感させるかのごとく

    この日はB列 最前列のセンター付近だったので めっちゃダイレクトに3人の演技が伝わってきました。

    苦手意識はどことやら という感じで上質なお芝居に感動です!!!

  • 満足度★★★★

    3人のバランスが良い
    モリー、その夫、医者の三者が明確に良い具合に色付けされており、3人全員が強すぎも弱すぎもせず絶妙のバランスで成り立っている舞台。小林顕作氏が何を言ってるのか分からないくらいの勢いでウルサクまくしたてるので最初ビックリしましたが、すぐに慣れて毎度彼の出番が楽しみでした。

  • 満足度★★★★

    (´・ω・`)
    谷さんファンとして観ました。演出、特に多くの方が既にふれているようにラストに向けた演出は素晴らしかった。俳優もみな素晴らしかった。☆が満点でないのは、自分が戯曲の深い部分まで近づけなかったという個人的な理由です。じっくりと味わってみたい、とても深淵でいろんなことを感じ、考えてしまうテーマやメッセージに富んだ戯曲でした。手塚さんのコメにある小劇場の俳優で。。。には大いに同感ですw 

  • 満足度★★★★★

    お見事!
    トラムの広い舞台で、3人の名優を使っての公演、いくら谷賢一とはいえ、力を出し切れるのかと思ったが、のびのびとやりたいことをやりきっている。お見事だ。

    南果歩も熱演だが、相島一之が圧倒的に上手かった。相島の巧さが群を抜いていただけに、それに比べ小林顕作は最初、ちょっと心配だった。しかし、途中からどんどん引き込まれ、最終的には3人の中で一番魅力を感じたかもしれない。

    素晴らしい舞台だった。

    ただ、小劇場フアンとしては
    南果歩の役を清水那保で、相島一之の役を中田顕史郎で、小林顕作の役は・・・・小林顕作で(笑)、再演をお願いしたい。

  • 6月16日(木)S
    ラストシーンがたまらない!

  • 満足度★★★★

    佳作
    すばらしい三人の演技、うまい演出に関心です。

    多分、見た人の分だけ好みが分かれそうな作品ではありますが
    クオリティ、メッセージ性はピカイチです。

    アフタートーク(のスペシャルゲスト)も良かった。

    ネタバレBOX

    「嫁の口車に乗せられて来ました」などと言いつつ
    渡辺謙がアフタートークに登場です。

    まー、よくしゃべること。
    大抵アフタートークは20-30分程度かなー
    と思ってますが、40分以上もあって
    こちらも堪能させて頂きました。

    コストパフォーマンス上出来です。
  • 満足度★★★★

    好き
    開演して2分くらいのうちに、これは好きな作品だなと思いましたが、1幕の途中は寝落ちしてました。寝落ちしてた人が書くことじゃないけど、この作品は集中力を高めて観る必要がありますね。小林さんはたしかにあの中では特異に感じるかもしれないけれど、それは計算されてのキャスティングかな。

  • 満足度★★★

    みた
    科白の背後で音楽を流す芝居はいくつも見てきたけれども、だいたい、ここぞという場面で結構なボリュームで流す。作り手の、映像作品からの影響受けすぎのような気がして私は気持ちが萎えるのだけれども、こんなにもボリュームを絞っている作品は珍しかった。科白と芝居を大事にしている気がした。

    小林さんの芝居はエキセントリック。他の二人と随分違う。
    なのに、むしろ彼がいてこそのこの舞台劇という気がした。

    ネタバレBOX

    ユーモラスに喋りまくり動き回るのに、暗転に入る寸前の語り口などはテンポが変わって期待をそそられるし、底が知れないと感じた。またその立ち居振る舞いによって、悲壮感が増したと思う。アナグマの話をするところは、フランクが派手に笑い転げるほど、泣きじゃくっている姿にも見えてくる。

    ただ、物語の筋には不満が残った。モノローグで進んでいく形式といい、アルジャーノンがちらついて離れなかった。

    また、医師は自らの言動を「裏切り」と呼んで自責の念に駆られるけれども、違和感があった。
    名誉欲を求めた理由は切実だし、自分から夫婦に持ちかけた話でもなく、既にモリーは充足していたと見えたにせよ、手術に臨むことは夫婦にとっての通過儀礼のようなものだったと感じた。
    労苦が報われる話を望んでいたわけでもないが、あの物語の中で、そこまで責めを負わなければならない者もまたいないと思った。

    戯曲の伝えたいことをしっかり受け止められたかは分からないけれども、作家の視点は、人間に対していささか厳しすぎるように見えた。
  • 満足度★★★★

    視て、聴いて、触れて頭フル活用
    三人が各々の心境を吐露して行くが、小林氏が一人演芸の様な舞台回しだったw。そしてお客さんのジャクソンさん一押しの日でもありました。
    途中、医学講座を聞いていた様な錯覚感。
    当日、劇場内の冷房が自分には効き過ぎてトークショーがあったけど、早々に切り上げて帰宅。上着ちゃんと着てたのになー。今後の観劇時の課題。

    観て聞いて触れる事が、豊かな想像をかき立てる魅力のある舞台だった。

    ネタバレBOX

    モリーの思いが達成された後の幸福感はほんの一瞬だけだった。精神のバランスを見失う姿を目の当たりにすれば同情するのが人間、と思いつつ終盤の何も見えない世界を体験したら、一瞬にして自分が「見える世界」に安堵感を覚え自分の了見の狭さを恥じた。
    何かを得る事より、失う事に比重を置いていたように思えたが、愛する人と過ごしていた見えない時も案外充実していたのではなかろうか、と思いたい。
  • パブリック
    期待の方が多きすぎた・・。

  • 満足度★★★★★

    抜け出すことのできない流刑地
    盟友谷賢一氏がシアタートラムにて南果歩さん、小林顕作さん, 相島一之さんという商業ベースで活躍する役者陣と芝居を作ると言うので早くから注目していたし、当然、初日に観に行かせてもらった。

    ネタバレBOX

    あらすじを見たときに、僕がすぐに連想したのは、谷くんがちょうど3年前の2008年の6月に作・演出した舞台DULL-COLORED POP第6回公演「小部屋の中のマリー」の物語との類似性だった。

    「小部屋の中のマリー」という芝居の物語を大雑把に言うと、「父親によって色のない小部屋に閉じ込められて育ったために白黒の世界しか知らなかったマリーという女の子が、父親から救出されて、部屋の外に出て色のある世界に触れることによって引き起こることごと」というものであったと記憶する。

    これは、谷くん本人が明らかにしているし、またタイトルからも明らかなように、「マリーの部屋」という哲学的思考実験から着想を得た話しだ。

    この「マリーの部屋」という元話で重要なのは、白黒の部屋から色彩のある場所に移った時にマリーは何かを得るのだろうか?という話であった。もしマリーがsomething newを得るならば、そこにこそ「クオリア」が存在する。というわけである。

    これを谷賢一はひっくり返した。

    何かを得るのか?という質問自体がおかしい。むしろ、「得る」どころではなく何かを「失う」ことの可能性の方が大きいのだ。というわけである。

    さてさて、あんまり突っ込むと「モリー・スウィーニー」のネタバレにもなってくる。

    が、見た人なら分かるが、物語の構造はマリーもモリーも僕的には全く同じだ。

    だから、見ながら僕は戦慄した。

    谷賢一は一貫している、と。

    一貫していることは天才にだけ許された永遠の遊び場であり、また抜け出すことのできない流刑地である。

    「見る」「触れる」「世界に出会う」ということに関する徹底した生理学的精神医学的演劇的な興味。

    人間の存在に関するこれまた徹底した絶望と、しかしそれでも絶望の果てに残るかすかな光。

    3年前のすでに舞台にあったモノがそこにある。

    そして、それが3年間の数々の演劇的なあるいは人生的な修羅場で鍛えられた谷賢一氏の演劇的な力によって鮮やかに塗り替えられ、確実も何歩も前に進み、まるで別物のような姿をみせながら、しかし変わらずにそこにあった。
  • 満足度★★★★

    マイルドだけど、美しい。
    谷さんの演出した舞台で、ここまでアドリブや客弄りを許しているのは、はじめて見たかなぁ。
    芝居を壊してるって感じまでは、抱きませんでしたけど。
    彼の演出した舞台にしては、ヒリヒリ感がマイルドだった気がします。
    にも関わらずダレる事もなく集中して観られたのは、
    演者さんの力量とともに、新しい谷演出の第一歩なのかもしれません。

    それにしても、南さんの生声は素敵です。
    特に最後のシーンは照明演出と相まって、
    今でもずっと耳に残っています。

    素敵な舞台をありがとうございました。

    出来たらもう一度、楽日近くに観に行きたいなぁ(^-^)。

  • 満足度

    プレビュー初日
    小林顕作の表現が雑。演技自体が雑。戯曲を読んでないけど、たぶん作家の世界を壊しているんじゃないかな。アドリブが作家の文体からはみ出してしまっていると思う。この作品はもっと繊細な演技で見たかった。南果歩は舌っ足らずで何を言っているのか分からない。相島一之は3回も台詞を噛む。役者なら噛んだらごまかせ。照明係が1幕と2幕の間の休憩中に舞台上にピンスポットを当てた。2幕の試行である。照明さん、細かいことを言うようだけど、プレビューも本番なんだよ。

  • 満足度★★★★

    ストレートプレイがお好きな方なら必見。
    盲目の女性の目が見えるようになったら…ってだけの話じゃない。三人の独白で進むのは確かだけど、一人語りとは感じさせない演出。スタッフワークも緻密で上品。そして小林顕作さんに驚くでしょう!(笑)

    ネタバレBOX

    映画「パンズ・ラビリンス」、小説「アルジャーノンに花束を」に似たところがあるかも。
  • 役者の力量と魅力。
    舞台美術の美麗ささえも視覚を持つ者への皮肉に思える様な、小さく小さくしかし確実に心を削り取っていく棘が感じられる作品でした。
    生で聴く南さんの声は可愛くて堪らなかった。改めて「あ、これが女優か」と思った。声に限った事じゃなく、客にとって何かしら心を掴まれるものを持ってるというか。彼女のモノローグが始まってすぐ「あ、このモノローグだけが3時間続いても観られるな」と。内包されたものと背景が感じられました。小林さんは当初は好きになれないかもと思ったら、いつの間にか安心して楽しんでた。可愛いモンスターだった。リロ&スティッチみたいな。青いやつはスティッチ? よくよく見たら可愛くないはずなんだけど可愛く見えちゃう。相島さんは黙ってても観ていられる貫禄。それでいてミーハー心をくすぐるギリギリ一歩手前の適切な距離を持った存在感。口を開けば勿論その言葉の説得力たるや。
    静の中の動の前半と、動の中の静の後半。母体内で眠りについた出生前の状態と、新たな世界で刺激に憔悴して迎えた死。物語が始まった時点でモリーは40代だけど、人生の終始全てが劇中にあった。何を大事に観ればいいかは始まってすぐ分かるはず。

    ネタバレBOX

    トラムに行くのが初めての人が羨ましい。自分は幕の奥に目が見えてからの世界があると迂闊に先読みしてしまった。先なんか見ないで目の前を見たらいい。それこそ「この作りなら抜き稽古がしやすくてスケジュール調整の問題をクリアするには利点だったろう」とか考えた浅はかさが自分で残念。そういう事に気がいってしまうからこそ、この時期にあれだけ長い暗転を使った事を讃えたい。安全性を優先してスタッフ側からストップがかかってもおかしくない。

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