モリー・スウィーニー 公演情報 世田谷パブリックシアター「モリー・スウィーニー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    みた
    科白の背後で音楽を流す芝居はいくつも見てきたけれども、だいたい、ここぞという場面で結構なボリュームで流す。作り手の、映像作品からの影響受けすぎのような気がして私は気持ちが萎えるのだけれども、こんなにもボリュームを絞っている作品は珍しかった。科白と芝居を大事にしている気がした。

    小林さんの芝居はエキセントリック。他の二人と随分違う。
    なのに、むしろ彼がいてこそのこの舞台劇という気がした。

    ネタバレBOX

    ユーモラスに喋りまくり動き回るのに、暗転に入る寸前の語り口などはテンポが変わって期待をそそられるし、底が知れないと感じた。またその立ち居振る舞いによって、悲壮感が増したと思う。アナグマの話をするところは、フランクが派手に笑い転げるほど、泣きじゃくっている姿にも見えてくる。

    ただ、物語の筋には不満が残った。モノローグで進んでいく形式といい、アルジャーノンがちらついて離れなかった。

    また、医師は自らの言動を「裏切り」と呼んで自責の念に駆られるけれども、違和感があった。
    名誉欲を求めた理由は切実だし、自分から夫婦に持ちかけた話でもなく、既にモリーは充足していたと見えたにせよ、手術に臨むことは夫婦にとっての通過儀礼のようなものだったと感じた。
    労苦が報われる話を望んでいたわけでもないが、あの物語の中で、そこまで責めを負わなければならない者もまたいないと思った。

    戯曲の伝えたいことをしっかり受け止められたかは分からないけれども、作家の視点は、人間に対していささか厳しすぎるように見えた。

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    2011/06/17 04:19

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