byassistの観てきた!クチコミ一覧

41-60件 / 841件中
「Dの再審」

「Dの再審」

かはづ書屋

小劇場 楽園(東京都)

2018/09/04 (火) ~ 2018/09/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

4日ソワレ(95分)を拝見。

ネタバレBOX

江戸川乱歩の『D坂の殺人事件』をベースにしたオリジナルの作品は、終演後、台風接近に伴う、折からの強風に向かって「うぉ〜!"演劇"を観たぞぉ〜‼︎」と叫びたくなるような、会心の舞台でした。

まずは、脚本。
『D坂の殺人事件』に関する新事実の暴露、登場人物と『D坂の殺人事件』との意外な関わりの表明…今、巷で話題?の体操に例えると、スタートからフィニッシュまで繰り出す技がいちいちピタリと決まる男子の床運動を見ているような、見事な話の組み立て・伏線の張り方とその回収です。感心のあまり、ただただ唸るばかりでした。

役者陣。
森尾繁弘さん、島田雅之さん、金崎敬江さん、遊佐邦博さんが演じられた法曹三者。
普通、小劇場演劇の舞台だと「そんな若僧が判事なわきゃねえだろう!」的なキャスティングが多い中、今宵の4人はどなたも、現役バリバリの法曹三者と言われても納得のリアリティーを感じました。
それから、基本、新劇の舞台のような緊迫感ある会話劇のためか、個人的な印象なんですけど、田中千佳子さんは俳優座の坪井木の実さん、木下智恵さんは同じく俳優座の香野百合子さんの若い頃とイメージが重なってみえました。
市川歩さんは、登場時から積み重ねてきた「鳩野弘子」のイメージが最後の「判決」の場面で静かな感動を呼び起こします。
山本佳希さんは、舞台上のコンサートマスターとして、終始安定感のある演技で場の空気を締めているように映ります。
黒沢佳奈さんは、確か法学部卒ではなかったはずですが、役柄の背景(実は…)も含めて立派な法学徒ぶり! さらに言えば、今回の「小山繭美」、黒沢さんご自身の生真面目さと役柄が大変マッチしていたようにも感じました。 

では、最後に配役を記しておきます。
折口幸吉(弁護士。「D坂殺人事件」の真犯人は明智小五郎だと主張)…島田雅之さん
箕浦竜平(明智小五郎財団の顧問弁護士)…森尾繁弘さん
須永時子(検事)…金崎敬江(かねざき・ひろえ)さん
笠森武(特例判事補)…遊佐邦博さん
※上記4名は、もともとは皆、明智の弟子。

明智蘭子(明智の養女で明智小五郎財団の理事長)…田中千佳子さん
蕗屋初代(蘭子の秘書。以前は明智の盟友・平田?の秘書)…木下智恵さん
小林芳雄(初代・小林少年。実は「D坂殺人事件」の小林刑事の息子)…山本佳希さん
鳩野弘子(明智小五郎奉賛会・会員。明智の熱狂的信奉者)…市川歩さん
小山繭美(東都大学法学部の学生。実は「D坂殺人事件」の「犯人」の孫娘)…黒沢佳奈さん
夏の夜の夢

夏の夜の夢

劇団子供鉅人

パルテノン多摩 きらめきの池(東京都)

2018/09/15 (土) ~ 2018/09/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/09/16 (日)

16日の回を拝見。

そよ風に水面が揺らぐ「きらめきの池」、多摩中央公園の緑に、月の夜空を借景に演じられた『夏の夜の夢』は、主要キャストによる関西テイストの笑いを随所に盛り込みつつ、白装束のアンサンブル100人のパフォーマンスに彩られた幻想的&祝祭感に満ちた2時間でした。
正直、これはかなりハマりそうな観劇体験。機会があれば、また是非、足を運びたいと存じます。

ネタバレBOX

個人記録用に出演者名(敬称略)を記しておく。

アテネ公シーシアス/妖精の王・オーベロン…益山寛司(劇団子供鉅人)
アマゾン国のヒポリタ女王/妖精・豆の花…ミネユキ(劇団子供鉅人)
ハーミアの父・イジーアス…新垣剛
ハーミア…億なつき(劇団子供鉅人)
ヘレナ…うらじぬの(劇団子供鉅人)
ハーミアの恋人・ライサンダー/妖精の女王・ティターニア!…益山貴司(劇団子供鉅人)
ハーミアの許嫁・ディミートリアス…古野陽大(劇団子供鉅人)
悪戯者の妖精パック/余興係…キキ花香(劇団子供鉅人)
職人クインス…地道元春(劇団子供鉅人)
ロバの頭をかぶせられる職人ボトム…影山徹(劇団子供鉅人)
職人スナッグ/BOX…益山U☆G(劇団子供鉅人)
職人フルート…加藤真悟
職人スナウト…上田高嗣
職人スターヴリング…古賀勇希

秋田満衣、雨本つむぎ、天羽亜衣、飯塚千夏、石井芹佳
石坂杏子、石田純一(ジャグリング・ユニット・フラトレス)
伊藤恵理、伊藤優(劇燐「花に荒らし」)、井上知優
宇田奈々絵、太田ナツキ、岡崎叶大、岡澤由佳(劇団コギト)
岡野桃子、岡本真奈、尾崎、治はじめ、葛西祐太
加藤優季、金森悠、上川拓郎、上山友喜枝、神山慎太郎
亀井理沙、亀山優、唐口優来、神原梨花、菊地侑紀
久山晴己、黒瀬郁弥、啓豪、小林沙耶、小森文菜
齋藤海翔、齋野直陽(啓蒙ヌードル)、坂井智実(旋風計画)
阪口智聡、阪口美由紀(仮想定規)、坂下泰貴(オフワンズ)
嶋村桜、白石佳穂、鈴鹿通儀(中野成樹+フランケンズ)
鈴木修平、田井中宥乃、高橋けい(あまみゅ☆カンパニー)
高橋志緒、高橋優輝、高谷可南子、田口紗亜未、竹葉香里(即興演劇シーソーズ)
田島あんな(劇団なんかやるよ)、谷宙、千葉舜大(日曜座)
土屋汐里、鳥越みちる、中島花子、永村閏(劇団MAHOROBA+α)
中村ひより、和海アキ(なごみ・あき)、西山由華、野中辰哉、野仲萌里
ハース・アンナ(実験劇場/劇団メイギザ)、萩原朋花、畠中瞳
深堀見帆、古原万稚、分田寛志、本康怜亮、前田彩水
松尾太稀、松本莉奈、舞美(まみ)、水野夏子、道岡潮酉樹
三ツ井秋、三鶴泰正(おやじカフェ)、宮内里沙、三宅朝子
宮崎菜央、宮崎まどか、宮下直樹、矢野杏子、山口詩織
山本桃子、Yukiko、ょしめぢ~ちゃす(ケケノコ族)
李勇雅、わしやみちこ
『妥協点P』『みんなのへや・改』

『妥協点P』『みんなのへや・改』

しむじゃっく

東中野バニラスタジオ(Vanilla Studio)(東京都)

2019/04/09 (火) ~ 2019/04/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/04/13 (土)

『妥協点P』を13日ソワレ(70分)で拝見。


ネタバレBOX

とあるクラスの文化祭の出し物は演劇。だが、その台本がロミ&ジュリを教師と生徒に置き換えたものだったことから、山縣先生(田中綸さん)は台本の書き直しを生徒の宮武(チカナガチサトさん)に求めたのだが…

中盤までは、台本を巡る先生たちのやりとりが宮武の再提出した台本に加筆され、その台本を巡る先生たちのやりとりがまたリライトされた台本に…が繰り返されるループ状態。
でっ、その間じゅう、(脚本上では、前半は登場しないはずの)宮武を、セリフのないまま、舞台上で妖精?あるいは小悪魔?のように「遊ばせる」ことで、一人の少女に翻弄されるオトナ(教師)たちという構図が浮かび上がります。
ちょっと大げさですが、この演出(千頭和直輝さん)には痺れました(←演出意図と異なるトンデモ解釈でしたらゴメンナサイ!)。

さて、教師たちのドタバタぶりに散々ぱら笑わせてもらいながらも、実は途中から「どういう結末で、この芝居を着地させるんだろう?」と心配してもいたんですが…そう来るんかぁ!というエンディングに半端なしに充足感を覚えました。
恐らく、今年中に自分が観た演劇のベストテンには必ずランクインされるだろう、素晴らしい観劇体験をさせてもらいました。感謝!

【配役】
山縣先生:田中綸さん
(ほぼ出ずっぱりのでハイテンション演技。千穐楽まで頑張られてください!)
三好先生:杏奈さん
(舞台を観る度に巧く・強くなっている役者さん。次の6月末の舞台も愉しみ)
熊楠先生:稲波聖大さん
(役柄への説得感があり、熊楠先生が登場すると舞台が落ち着く)
結城先生:木村優希さん
(『春は馬車に乗って』の前妻役とは別人みたいなコミカルな演技。さすが役者さんやなぁ)
宮武:チカナガチサトさん
(前半での拗ねたような・悪戯っぽい表情の少女が、最後には、妥協しかかった山縣先生に議論の昇華を求めるセリフの主へと、鮮やかに変身!)
ハッカ

ハッカ

ハダカハレンチ

王子小劇場(東京都)

2019/05/31 (金) ~ 2019/06/04 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/06/01 (土)

1日ソワレ(105分)を拝見。

ネタバレBOX

青で統一された舞台セットの下、時計の針が40〜50年?程に遡った、熱気で押し通す演劇の世界観にどっぷりと浸かった気分。
澤原さんを初め、どの役者も活き活きと・内なるパッションを放電しまくって演じるさまに、観ている側の心も浮き立ち、さらには懐かしさとエモさで胸が熱くなった。
コレ、チャンスがあれば、もう一度、観たい!(→日曜ソワレをおかわりしましたw)

【配役】
三軒茶ヤスヲ(劇団の主宰・作・演)
…中三川雄介(なかみがわ・ゆうすけ)さん(三上博史を彷彿とさせる、苦悩する天才肌の人物を熱演!)
ミドロ翠(ヤスヲの母親)
…榊原美鳳さん(『伯爵のおるすばん』を初めとして、気が付いたら、もう何回も舞台を観ている方)
紀元前ハリカ(劇団員。ヤスヲの先輩)
…石澤希代子さん(初めて石澤さんを舞台で観た頃を思い出した! この作品の世界観を実践している?!役者さん)
川崎砂子(トリカブトちゃんのマネージャー/高校時代にヤスヲが憧れた文学少女)
…井本みくにさん(『ビューティーコロシアムの憂鬱』の3期生以来。ハートを奪われた観客がいるのも納得のキュートさ&エネルギー使ってんなぁ)
ナカタニくん(劇団員)
…澤原剛生さん(舞台を観ていて…なんかヨカッタ・抜群に良かった!)
シアトル新治(劇団マネージャー)
…やないさきさん(タイトルは思い出せないが、段ボールの家?の芝居の印象が強い方)
そぼろ(劇団員。ヤスヲと同棲していた)
…小林桃香さん(お初の方…えっ!役柄とはいえ、あの落ち着いた佇まいの方が学生さん?!)
カドカワ(ヤスヲより年上だが同級生)
…井田雄太さん(確か、先月は朝戸園の店員だったはずw…の残像がすぐに消えたので、さすが役者さん!)
犬山連盟(今回の舞台のプロデューサー)
…笹井雄吾さん(この虚実ない交ぜの世界観の中で、唯一、現実的な人物であるPを熱演)
未来坂先生(ヤスヲを見出した人物。政界に打って出ようとする)
…小島望さん(硬軟どちらの役柄もキチンとこなせる方なので、今回もはまり役。ところで、記憶が違っていたらゴメンナサイだが、『アダムの肋骨』以来?の眼帯とギブスがあんなに似合うとは!)
トリカブトちゃん(今回の舞台で主演に起用されたアイドル)
…崎原ひかりさん(まるで1970年代のつかこうへい芝居のヒロインが現代に蘇ったみたい! この方を知ったのは今回の収穫の一つ)
ムムム田ロク郎(劇団員/ヤスヲの高校時代の友人)
…山田健太郎さん(直近で観たのは『わが家の最終的解決』の嫉妬深い旦那さん…だが、個人的には地縛霊の「花子さん」の印象が強い方)
大塚由祈子ひとり芝居「売り言葉」

大塚由祈子ひとり芝居「売り言葉」

サキクサ

ゆうど(東京都)

2019/09/20 (金) ~ 2019/09/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/09/23 (月)

23日13時開演回(95分)を拝見。

『智恵子抄』の高村智恵子の一生は承知しているし、演じ手である大塚由祈子さんの演技は幾度も拝見しているし…
予想の範囲を軽々と越えられました。
高尚で泥臭く・会場狭しと動き回る「大塚智恵子」に、大袈裟でなく、魂持っていかれました。

十二人の怒れる男 -Twelve Angry Men-

十二人の怒れる男 -Twelve Angry Men-

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2020/01/10 (金) ~ 2020/01/20 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/01/12 (日)

12日20時開演回(115分)を拝見。

ネタバレBOX

※「十二人の怒れる男」を全世界に知らしめた、ヘンリー・フォンダ主演の映画版(1957)を、以下、「原作」と呼称する。

討議劇の教科書ともいえる、コテコテの古典だけあって、作・演を担当する誰もが、細部をイジりたくなりがちな題材だろうが…劇伴無し、簡素なセット、陪審員9号(演・村松ママンスキーさん)の年齢設定が若いのを除けば概ね「原作」に忠実で、個々の役者の力量に信を置いた、直球ど真ん中の脚本・演出は、予想をはるかに超えて見応えがあった。

役者陣。
3号役・神野剛志さん、10号役・長野耕士さんは、配役も含めて予想通りの熱演。
絶縁状態にある実の息子への愛憎を、刺殺という形で父親を裏切った容疑者の少年に重ねた3号の心情、他人事には思えない程に共感を覚えた。
散々、怒号を轟かせた挙句、他の全員から見放され、呆けたように椅子に身体を預けるままでいた10号には、昨今の我が国における中高年ネトウヨの姿を見るような思いがした。
また、5号役・安藤悠馬さんが劇中見せた貧乏ゆすりからは、容疑者と同じ境遇の5号が抱える内面の葛藤がよく伝わってきた。
あと、個人的には久しぶりな、吉田覚丸さん(1号役)・夛華正幸さん(11号役)の演技、じっくり拝見できたのは良かった。

劇中、多少のセリフの噛みはあったものの、『十二人の…』という何のケレン味も効かない舞台作品に真っ向勝負を挑んだ役者さん達に敬意を表して、ちょっと甘いかもしれないが、☆5つを進呈させて頂きたい…そんな思いを抱く程の熱い・熱い舞台だった。

【配役】
陪審員1号(陪審員長。学校の教師でフットボールのコーチ)
…吉田覚丸(よしだ・かくまる)さん(3号、10号ほどの確信はなかったものの、やっぱり1号役だった♪)
2号(気弱だが、冷静な判断もできる銀行員)
…たかぐちさん
3号(会社経営者。絶縁中の息子への愛憎が、容疑者の青年に重なってしまう)
…神野剛志(かんの・たけし)さん
4号(常に物事を冷静に判断する証券ディーラー)
…小林勇太さん(はまり役!)
5号(容疑者と同じスラム育ち故に、容疑者の出自に対する10号の偏見に徐々に怒りを募らせる)
…安藤悠馬さん
6号(塗装工。討議が進むにつれて冷静な判断を下すようになる)
…田中零大(たなか・れお)さん
7号(容疑者の運命よりもヤンキースの試合が気になる)
…金田一央紀(きんだいち・おうき)さん
8号(建築家。容疑者の有罪に合理的な疑いを抱いた唯一の人物。米国民主主義の体現者的キャラ)
…坂本七秋(さかもと・ちあき)さん
9号(原作では高齢者だが、本作では高齢者の父親を持つ壮年の男性)
…村松ママンスキーさん(原作と異なる人物設定で、どうやって高齢者の心情を説明できるかな?と心配したが…杞憂でした)
10号(中小企業の経営者。スラム街出身者や移民への偏見に満ちた人物)
…長野耕士(ながの・こうし)さん
11号(移民の機械職人。米国の民主主義に理想を抱いている)
…夛華正幸(たか・まさゆき)さん
12号(人の意見に流されやすい付和雷同な広告マン)
…服部紘二さん
係官…池田智哉さん
姿

姿

ゆうめい

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2021/05/18 (火) ~ 2021/05/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/05/22 (土)

22日17時開演回(125分)を拝見。

様々なヒトの、生きていく上で経験する諸々の軋みを、ユーモアの糖衣錠にして、ゴクリと喉に押し込んだ心地の125分(糖衣錠にしないと、あまりにも苦くて・痛くて・辛くて、客席のシートにカラダを埋まらせていることはできなかっただろう)。
舞台上手の片隅でアノ二人が…ラストシーンに微かな希望を抱きつつ、会場を後にした。

ネタバレBOX

骨組みだけで組み立てられた2つのキューブは、登場人物たちが移動させることで、時間も空間も変幻自在!
映像でも小説でもない、舞台芸術の良さを体感させてもらった。

なお、演じ手では、母役の高野ゆらこさんに強烈なシンパシーを抱いた。

【配役】
母(画家の夢を断念し、公務員のキャリアアップに専心)…高野ゆらこさん
父(存在感の希薄な父親)…五島ケンノ介さん(作・演出の池田亮さんのご実父)
子(アニメの脚本家)…中村亮太さん
声優・母方の祖母(祖父の借金で取立屋に迫られる)…森谷ふみさん
俳優・母方の祖父(上京して以降、家族を見捨てて放蕩三昧)…遊屋慎太郎さん
アニメ監督・「弟」(子の昔からの親友、だった)・若い頃の子…黒澤多生さん
声優・若い頃の母・「弟」の母…児玉磨利さん
若い頃の父・「弟」の父…石倉来輝さん
ディレクター・環境課職員・取立て・上司…田中祐希さん
技術スタッフ・環境課職員・音響監督・取立て…山中志歩さん
CAFE BIANCA

CAFE BIANCA

兎団

プロト・シアター(東京都)

2022/12/01 (木) ~ 2022/12/15 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/12/07 (水)

価格2,000円

12月7日に、動画配信で兎団32『CAFE BIANCA』(139分)を、2018年5月の初演時に観たときの記憶を蘇らせながら視聴。

なお、作品の本筋とは離れるが、現世の人間と、この世のものでない存在たちとが、同じ舞台の上で、互いに交錯しながら右往左往する、カオスな”ごった煮”感のシーンが、個人的には快感を覚えるほど、楽しくはあった。

ネタバレBOX

【配役】
アルトン・モーム(死してなお、彷徨える画家)…斉藤可南子さん
モームの恋人・メイ…琴音さん
娼館の女主人…立夏さん
中学生男子イム…海月悠羽奈(みづき・ゆうな)さん
中学生女子メイ…佐藤天衣さん
絵画泥棒ダミアン…原田達也さん
絵画泥棒カミーユ…柳橋龍さん
黒猫プルートォ…吉川種乃さん
人形マーガレット…めそさん
死神…おはな*さん
スフィンクス…古川ゆかりさん
狼女…藤井悠さん
マンドラゴラ(伝説の草)…たにやんさん
フランケンシュタイン…松尾武志さん
サンジェルマン伯爵…緋乃ほのかさん
グール…青山誠司さん
メデューサ…大屋優花さん
365枚目のスケッチブック

365枚目のスケッチブック

チーム・ギンクラ

テアトルBONBON(東京都)

2017/01/09 (月) ~ 2017/01/15 (日)公演終了

満足度★★★★

かなり個性的?!な面々とはいえ、陽気でお人よし揃いの「メゾン坂の上」の住人達。
ただ、彼ら・彼女らも、主人公の三十男と同様、自分の夢と現実とのハザマでもがきながら…
お初の観劇となるチーム・ギンクラさん。
北村麻衣子さんや中谷真由美さんといった、出演作品を選ぶ選球眼の確かな役者さん(だと勝手に思い込んでいます、笑)が客演で出られるのならば、一定の品質保証はありだな!と考えてはいたんですが、セリフのテンポの良さとか、コメディリリーフによる舞台の適度なかき回し具合とか(南大介さん演ずるタクシー運転手に好感♪)、キャリアのある・浅い役者陣が互いに織りなす何ともいえない絶妙なカンパニー感とか、事前の予想をはるかに超えるウェルメイドなホームコメディでした。
新春にふさわしい2時間、過ごさせてもらいました。

Opus Postumus 69

Opus Postumus 69

salty rock

レンタルスペース+カフェ 兎亭(東京都)

2022/12/09 (金) ~ 2022/12/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/12/10 (土)

価格2,500円

10日19時開演回(88分)を拝見。

顔馴染みの役者さん達が繰り広げる、シリアス・達観・ファンシー・ファンタジーな4つの短編は、他では中々お目にかかれないテイストのモノばかり。存分に演劇を堪能できた90分弱。

あと、最後に神野剛志さんが見せた藍染めの姿には、事情を存じ上げているだけにジーンと来た。

盗聴[The Play]

盗聴[The Play]

獣の仕業

吉祥寺櫂スタジオ(東京都)

2017/01/14 (土) ~ 2017/01/15 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/14 (土)

ヒロインのカトリエを初めとする、癖のある人物たちが登場し、ドロッとした感触のストーリーを(この団体の特色である)サラサラと流れるような身体表現と共に展開していったのですが…
ラストがなんと、宝塚の大階段でのフィナーレみたいな、明るく華やかなトーンに大転換!
それまでのドロドロ・ストーリーはなんだったん!?と呆気にとられたんですが、まあ、後味の悪いまま終わるよりも、良い意味で気持ちが切り替わった状態で、夢(芝居)から現(うつつ)に戻れて、アレはアレでありなエンディングなのかなぁ?と寒風吹きすさぶ中、すっかり獣の仕業さんに手玉に取られたオッサンは襟をおっ立てて帰路につきました、とさ♪

聖女

聖女

少女都市

OFF OFFシアター(東京都)

2017/01/20 (金) ~ 2017/01/22 (日)公演終了

満足度★★★★

思春期の同性のクラスメイトだったり、母親だったり、姉だったり…相手への愛憎の裏返しともいえる、自己愛と承認欲求に関わるエピソードが幾重にも重なった、ミルフィーユ構造の作品。
随分と巧みな作劇だなあ…最初は脚本の構成にばかり目がいってたんです。
ですが、舞台が進むにつれ、そんな作劇の巧みさよりも胸をえぐるセリフの砲弾!
ど真ん中に豪速球を投げ続けるような、作者のパッションの熱さをより強く意識することに。

唯一、不満に感じた点。
主人公のユリの現代における恋人の設定。
演ずる堺谷展之さんの熱演を認めたうえでなんですけど、男性ではなく、同じ女性にした方が他のエピソードとの調和が取れたんじゃないかなぁ、っと。

とりわけ気に入った点。
ユリの中学時代に起きた不幸な「事件」のパート。
ユリ役の陽香さん、クラスメイト役の尾崎菜奈さん・久門海さんによる、思春期の女子中学生たちの酷薄さと愛情が混ぜこぜになった、アンビバレンスな人間関係。
ノスタルジックな味わいも加味された、その危うい美しさには素直に心惹かれました。

ゼロゼロゼロ

ゼロゼロゼロ

日本のラジオ

スタジオ空洞(東京都)

2016/04/26 (火) ~ 2016/05/01 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/04/29 (金)

29日の午后、今回がお初の観劇となる、日本のラジオさんの舞台、観て来ました。

ネタバレBOX

山の奥深く。姉妹2人でやってる「死体処理場」。世の中から何の痕跡もなく消滅させてもらうため、ヤクザが、たまに堅気の依頼者が、そして必ず「死体」が足を運ぶ場所…。
ダーク、というより、ノアールと表現する方が似つかわしい設定の中、シニカルなセリフが交錯して…演劇観たぞぉ~!と終わってから叫びたくなるほど濃密な80分でした。
ええっと、それから個人的にはですけど、依頼者のミュージシャン役・フジタタイセイさんが終盤に演じた「一寸の虫にも五分の魂」的・独白。ノアールな色調のこの芝居の中で、唯一、鮮明なカラーに映ったシーン、ちょっくら胸に迫るものがありました。
前から評判は耳にしていた日本のラジオさん。もっと早くから観に行けばよかった!と観劇後、悔しがる程度には、すげえ芝居を見せてくれる団体さんでした。

【追記】
窪寺奈々瀬さんを認識した最初の舞台でした。その後、何度か出演作品を観させていただいて、アノ時の「あっ、このヒト、いい役者さんだなぁ!」という印象に間違えは無かったと改めて思う今日この頃でした、とさ♪
赤い下着、覗くその向こう側、赤の歪み

赤い下着、覗くその向こう側、赤の歪み

キ上の空論

新宿眼科画廊(東京都)

2014/05/09 (金) ~ 2014/05/21 (水)公演終了

満足度★★★★

『赤い下着、覗くその向こう側、赤の歪み』…なんか、往年の日活ロマンポルノみたいなタイトルですね(苦笑)

ネタバレBOX


【エピソード1】天涯孤独の売春婦&大学生の男の子
【エピソード2】東京の音大に受かった妹とその兄
この2組に関わるエピソードが、それぞれシーン毎に交互に繰り返し演じられていきます。
ちょっと文章ではわかりずらいんで、アルファベットを使って説明すると…
【エピソード1】時系列での、おはなしの流れ:A→B→C→D→E
【エピソード2】時系列での、おはなしの流れ:a→b→c→d→e
これを、C→c→A→a→C→c→B→b→C→c→A→a…と、同じシーン、リピートされ続けていくんです。
最初の30分、正直いってクドい!と感じました。脚本の意図は何となく読めていたんですけど、途中だけど席を立とうか、とも思ったほどです。ですけど…繰り返し・繰り返ししていくシーンが、終盤の悲劇と、その後日談的エピソードへの大きな盛り上がりにつながっていきます。
まるで主旋律と副旋律のリフレインが、壮大なフィナーレに導いていく、オーケストラの交響曲のように!
観終わった後、感動で胸を打たれたせいか、恥ずかしながら、ちょいとの間、腰が立ちませんでした。ああ、最初の30分で出ていかなくってヨカッタ(笑)
蝶のやうな私の郷愁

蝶のやうな私の郷愁

劇 えうれか

ギャラリーLE DECO(東京都)

2014/09/10 (水) ~ 2014/09/14 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2014/09/10 (水)

渋谷ヒカリエの5階、茶庭 然花抄院(ぜんかしょういん)で「京のぶぶ膳」ささっとかけこんでから、明治通りを南へちょこちょこ。とあるビルに入って、エレベーターで4階に上がったら…ハーモニカの奏でる童謡のメロディが耳に流れてきました。
まさしく4畳半に敷かれた畳に、ちゃぶ台がポツン。その端には衣装ダンスが横並びに2さお。それに寄りかかったまま動かない、華奢な背中のパジャマ姿の女性…(後はネタバレboxにて)

ネタバレBOX

夫が帰宅すると、夫婦の間で、淡々と続くテニスのラリーのように、でも穏やかな口調とは裏腹な、二人の役者さんによる、言葉の真剣勝負が交わされるんです。
ろうそくが灯るだけの空間は、風雨で荒れ狂う部屋の外、無視するかのように、お通夜の晩のごとき静けさ。
その場には、夫と妻。そして、踏切事故で逝った妻の姉も、部屋の端にたたずんでいるように感じられます。
芝居が終わるまでの70分、これほど神経を研ぎ澄まして、互いのセリフに集中を強いられたのは初めての経験でした。
小林英樹さんに花村雅子さん、お二人の役者さんの力演に心からお礼申し上げます。
そぞろの民

そぞろの民

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2015/09/11 (金) ~ 2015/09/27 (日)公演終了

満足度★★★★

TRASHMASTERS(トラッシュマスターズ)さん、初体験となる『そぞろの民』(2時間半)(後はネタバレboxにて)。

ネタバレBOX

父と三兄弟、そして、この芝居に出て来る登場人物達は、それぞれ、戦後から今現在に至るまでの、様々な世代・考えの「日本人」を象徴しています。
かなり作者の政治的プロパガンダ(主張)の強い内容で、登場人物のセリフに対して、アレルギーを起こした観客も、少なからず、おられたようです。
また、沖縄基地問題やマスコミと政治の癒着等、民主主義社会における様々な今日的課題が提示されたのですが、2時間半の舞台の中で盛り込むには、ちょい「幕の内弁当」的で、話題が散漫になったかな?とも感じられました。
しかしながら、こうした、普段、私達の日常生活で語られることのない話題について、やや押しつけがましいものの(苦笑)「重厚な家庭のドラマ」として成立させた脚本家の力量、高く評価されるべきだと考えます。
恋愛とか夢とか心の機微を扱った芝居も、もちろん大切だと思いますが、本作品のような問題提起型の舞台、もっと多くの人達、特に、実社会を動かしている中高年層に、是非、観てもらいたいなあ、と願わずにいられませんでした。
紅白旗合戦

紅白旗合戦

Aga-risk Entertainment

サンモールスタジオ(東京都)

2015/03/18 (水) ~ 2015/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★

劇場入り口、手前の教師側・奥の生徒側の代表が一同に会して、卒業式の式次第について互いの案を通すため激論を戦わせます。
議論はいたって真剣…なんですけど、一つ一つのセリフ、どこかトボケたところがあって、笑わせます。
議題はいたって真面目…なんですけど、テーブルの下では陰謀・脅し・買収と、ありとあらゆる手練手管が繰り出され、その都度、うろたえ・慌てだす出席者の様子が爆笑を誘います。

あっ、ポスターに「国旗と国歌で泥試合」とありますが、これは単なるおはなしの「きっかけ」に過ぎません。政治色の殆ど無いドタバタコメディですからネッ!

2時間の上演時間、ほぼノンストップで笑わせる、それもギャグでなくセリフとストーリーで笑わせるコメディでありながら、中立の議長・副議長を含めて、出席者の人数が12名!
互いに意見を出し合いながらラストの表決の際、決して全員一致ではないものの、一つの結論を導き出していく様…うがち過ぎかもしれませんが、往年の名作映画『12人の怒れる男』連想しました。

場所は新宿・午後7時半開演ということもあってか、小劇場演劇の世界では、あまり目にしない20代後半~40代前半?の背広・ネクタイ姿の方もちらほら。そんな「オトナ」の観賞にも充分耐え得る作品、でした。

未亡人の一年

未亡人の一年

シンクロ少女

ザ・スズナリ(東京都)

2017/03/08 (水) ~ 2017/03/12 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/03/08 (水)

3年前に夫を亡くした女流作家「先生」と、その「お母さん」。母の「兄さん」。家政夫の、バツイチ・中年男性「アカギ」。女流作家の親友「エリ」。

以前に夫を亡くした「ミツコ」と、娘の中学生「キホ」。「ミツコ」の親友「ハナ」に、「ハナ」の彼氏「セイ」。「ミツコ」や「キホ」と交流のある、前妻に先立たれた夫「ヒロシ」、若い後妻の「シズカ」、前妻の子・大学生の「ソノヤ」の一家。

これら2つのグループを交互に描きながら、おはなしは進行していきます。

グループの関連を暗示するような伏線を輪唱…いやカノンのようなセリフ回しで張りつつも、基調は終始ノンビリムードで、客席から笑い声も聞こえて来る前半。

ですが、そうした雰囲気も、一連の伏線に象徴される、作劇上の「仕掛け」が観客に明らかになった終盤からは…隣りの女性客の嗚咽が止まりません。オッサンのオイラですら、ワサビが鼻にツーン、な心持ちになりましたし。

随分と凝った作りの「理」の芝居だと思います。ですが、「理」に勝ち過ぎず、(「ミツコ」の考えに共感できるかどうかはさておき)内容自体はわかりやすい。そして、ラストシーンで、観客の皮膚感覚に伝わってくる「情感」…。
個人的嗜好で恐縮ですが、良い舞台を見せてもらったと感謝しています。

おっと、最後の最後で蛇足をひとこと!昨年の『量子的な彼女』での「部活の顧問」役以上に、どうしようもなく情けない…でも、どこかシンパシーを覚える(苦笑)、とある役柄を熱演の横手慎太郎さんにも感謝デス!

30歳の制服デート

30歳の制服デート

サキクサ

雑遊(東京都)

2021/10/05 (火) ~ 2021/10/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/10/05 (火)

価格2,800円

5日20時開演の初日舞台を拝見。

2016年の初演、2018年の再演、と観てきた
深谷晃成さん脚本の作品。
今回、キャストを一新
タケル…浅見臣樹さん
ミナミ…大塚由祈子さん
が演じる45分間は
何故、ミナミがタケルに制服デートをもちかけたのか?
タケルもミナミに隠し事があって…
既知のストーリーなんだが、今宵もまた、切なさと優しさが涙腺に来た。

これは中型の犬ですか?

これは中型の犬ですか?

あひるなんちゃら

駅前劇場(東京都)

2017/03/08 (水) ~ 2017/03/12 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/03/10 (金)

主演の田代尚子さんが映ったフライヤーの雰囲気に誘われて観に行きました(後はネタバレboxにて)

ネタバレBOX

姓がイヌイなのに、生まれてから一度も犬を見たことがないマユコ(演・田代尚子さん)。そんなマユコを軸に「マユコと、その家族」「マユコと、彼女の職場の上司・同僚」「マユコとその友人たち」の3つのパートをグルグル回っていく進行。

マユコの設定(犬の存在を知らない)からして不条理そのものなんですが、家庭にも・職場にも・友人たちの中にも、マユコ以上に不条理かつトボケた人たちを配置。シュールな会話に徹しながらも、何処か、ふわっとした感覚の80分のコメディに仕上がっています。

なお、個人的には、職場パートでの

田代さんのボケと、同僚役・石澤美和さんのツッコミの掛け合い

呑気な社長、しっかり者の社長令嬢、冗談みたいな女性部長、仕事以外の事にこだわりを持つ課長、唯一マトモな係長、等が醸し出す、東宝「社長シリーズ」の21世紀版みたいな雰囲気

に好感が持てました。

テレビのチャンネルのザッピングのように、目まぐるしく切り替わっていく各パート。それ故、観客の関心は常に舞台に惹きつけられたまま…ゴメンナサイ!昭和生まれのオッサンだけ?は、最後の方になると、作品のテンポに慣れてしまい、少しダルくなってきたこと、正直に白状します。
まっ、そうはいっても充分に愉しめました。あひるなんちゃらさん、次回作も是非観に行きたいと思います。

このページのQRコードです。

拡大