十二人の怒れる男 -Twelve Angry Men- 公演情報 feblaboプロデュース「十二人の怒れる男 -Twelve Angry Men-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2020/01/12 (日)

    12日20時開演回(115分)を拝見。

    ネタバレBOX

    ※「十二人の怒れる男」を全世界に知らしめた、ヘンリー・フォンダ主演の映画版(1957)を、以下、「原作」と呼称する。

    討議劇の教科書ともいえる、コテコテの古典だけあって、作・演を担当する誰もが、細部をイジりたくなりがちな題材だろうが…劇伴無し、簡素なセット、陪審員9号(演・村松ママンスキーさん)の年齢設定が若いのを除けば概ね「原作」に忠実で、個々の役者の力量に信を置いた、直球ど真ん中の脚本・演出は、予想をはるかに超えて見応えがあった。

    役者陣。
    3号役・神野剛志さん、10号役・長野耕士さんは、配役も含めて予想通りの熱演。
    絶縁状態にある実の息子への愛憎を、刺殺という形で父親を裏切った容疑者の少年に重ねた3号の心情、他人事には思えない程に共感を覚えた。
    散々、怒号を轟かせた挙句、他の全員から見放され、呆けたように椅子に身体を預けるままでいた10号には、昨今の我が国における中高年ネトウヨの姿を見るような思いがした。
    また、5号役・安藤悠馬さんが劇中見せた貧乏ゆすりからは、容疑者と同じ境遇の5号が抱える内面の葛藤がよく伝わってきた。
    あと、個人的には久しぶりな、吉田覚丸さん(1号役)・夛華正幸さん(11号役)の演技、じっくり拝見できたのは良かった。

    劇中、多少のセリフの噛みはあったものの、『十二人の…』という何のケレン味も効かない舞台作品に真っ向勝負を挑んだ役者さん達に敬意を表して、ちょっと甘いかもしれないが、☆5つを進呈させて頂きたい…そんな思いを抱く程の熱い・熱い舞台だった。

    【配役】
    陪審員1号(陪審員長。学校の教師でフットボールのコーチ)
    …吉田覚丸(よしだ・かくまる)さん(3号、10号ほどの確信はなかったものの、やっぱり1号役だった♪)
    2号(気弱だが、冷静な判断もできる銀行員)
    …たかぐちさん
    3号(会社経営者。絶縁中の息子への愛憎が、容疑者の青年に重なってしまう)
    …神野剛志(かんの・たけし)さん
    4号(常に物事を冷静に判断する証券ディーラー)
    …小林勇太さん(はまり役!)
    5号(容疑者と同じスラム育ち故に、容疑者の出自に対する10号の偏見に徐々に怒りを募らせる)
    …安藤悠馬さん
    6号(塗装工。討議が進むにつれて冷静な判断を下すようになる)
    …田中零大(たなか・れお)さん
    7号(容疑者の運命よりもヤンキースの試合が気になる)
    …金田一央紀(きんだいち・おうき)さん
    8号(建築家。容疑者の有罪に合理的な疑いを抱いた唯一の人物。米国民主主義の体現者的キャラ)
    …坂本七秋(さかもと・ちあき)さん
    9号(原作では高齢者だが、本作では高齢者の父親を持つ壮年の男性)
    …村松ママンスキーさん(原作と異なる人物設定で、どうやって高齢者の心情を説明できるかな?と心配したが…杞憂でした)
    10号(中小企業の経営者。スラム街出身者や移民への偏見に満ちた人物)
    …長野耕士(ながの・こうし)さん
    11号(移民の機械職人。米国の民主主義に理想を抱いている)
    …夛華正幸(たか・まさゆき)さん
    12号(人の意見に流されやすい付和雷同な広告マン)
    …服部紘二さん
    係官…池田智哉さん

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    2020/01/13 01:52

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