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15少年漂流記

15少年漂流記

兎団

中野スタジオあくとれ(東京都)

2019/05/23 (木) ~ 2019/05/26 (日)公演終了

満足度★★★

23日ソワレ(110分)を拝見。

ネタバレBOX

引きこもりから社会復帰しつつある40代の中年男性が主人公の110分は「ああ、1970年代半ば以降生まれの世代の心象風景はSMAPの楽曲で表現できるんだなぁ」と納得しながらの観劇。
でっ、つい我が身に置き換えてしまう、精神的にかなりキツい場面もあったが、きっちりと観させてもらった。
なお、MOVEによるワイワイ・ガヤガヤ感は兎団さんの芝居の大きな魅力ではあるのだが、今回だけは散漫にも感じられ、もう少し整理された方が良かったのでは?とは個人的な意見。

あと、クビの短い私が腰を下ろした椅子席は、背後のお城側がどうしても死角になってしまい、音声のみとなったのは残念。

【配役】
遠雷大和…松尾武志さん(こう言ってしまうと失礼かもしれないが、まさに「ハマり役」)
選ばれし少年…柳橋龍さん
くノ一/同僚社員…初山ほのかさん(同僚社員役は今回の芝居の中で一番のお気に入り!)
忍犬/会社のネチネチ上司…佐藤海斗さん
羽生スベル少年…佐藤天衣さん
ファーブル少年…香かをりさん
川口ヒロシ少年…升野紗綾香さん
ジャニーズ少年…藤井優果さん
ジョニーデブ少年…斉藤可南子さん
竜王ソウタ少年…タカサキカヤさん
味の素少年…塩田悠花さん
ノストラダムス少年…滝沢たかあきさん
彼女…石黒礼子さん
「頭に尻を乗せてくれ」「最後の奇蹟」

「頭に尻を乗せてくれ」「最後の奇蹟」

ヨッタイキオイ

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2019/05/14 (火) ~ 2019/05/22 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/05/22 (水)

千穐楽の22日ソワレ(65分)を拝見。

『頭に尻を乗せてくれ』『最後の奇蹟』の両短編共、一連の『ホテル ・ミラクル』の公演での演目の一つとして観たことはあるが、今回は『最後の…』のラスト直前が、まさに、その『ホテル ・ミラクル』シリーズの振り返りになっていて、場違いにウルッと来てしまったw

演じ手の星秀美さん&室田渓人さん。
お二方共、過去に何度も出演舞台を拝見してきた役者さんであり、そして何より『頭に…』の初演(2015年)ペアでもある。
でっ、今回の公演を観終えての感想。
まず星さんが4年前よりも一層愛らしい!という時系列が逆さまな印象に正直驚かされた。
他方、室田さんは、フジタタイセイさんの別作品である『散る日本』での、アノ室田渓人の佇まいを彷彿とさせる演技だったと思う。
お二人にとって再演である『頭に…』は当然として、初めて取り組まれた『最後の…』でも、互いの呼吸はピッタリ。ニュームラマツさん&上岡実来さんの初演ペアが、ニュームラマツさんの良きリードで進行していったのとは、また別の味わいがある『最後の…』だった。

東京ノ演劇ガ、アル。#2「BAR女の平和」

東京ノ演劇ガ、アル。#2「BAR女の平和」

オフィス上の空

東中野バニラスタジオ(Vanilla Studio)(東京都)

2019/05/03 (金) ~ 2019/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/05/18 (土)

18日19時開演回のDチーム(1時間)を拝見。

ネタバレBOX

4/12~5/12の間、2本の作品を回して公演をかけていたマチルダアパルトマンさんと同様な、1か月間のロングラン公演。A~Eの5チームのうち、名前と顔の一致する役者さんが一番多い(5人中4人)Dチームを観させてもらった。

アリストパネスの古典喜劇を翻案…というよりも、「女性たちがSEXを武器に男たちに立ち向かう」というコンセプトのみ拝借した、実質、新作のストーリー。描き分けの明確な5人の女性たちのやり取りを通して、60分の中に笑いとシリアスをコンパクトに詰め込んだ、スマッシュヒットな出来の中編、というのが観終えた後の率直な感想。
5人の役者さんの個性共々、楽しませてもらった。
確かに、これなら、他のチームの回も観たくなるのも無理はないかぁw

ところで、まきの夫、結局、どうなった? かおりにとっては大切なはずの親の形見のナイフが捨てられ、事後、新たに牛刀レベルの刃物が買われたということは…(汗)

【配役】
生目田愛子(女の守護者をウリに選挙に出馬、開票中だが当選確実の模様。まきの夫と不倫していたことが後でバレる)
…幡美優さん(愛子のプライベートも合わせて、現・立憲民主党の山尾志桜里議員を彷彿とさせた存在感。スーツ姿の見た目も合わせて、当て書きか?と思ったぐらい、役にハマっていた)

芝浦まき(DV夫を車で「轢き殺し」、「死体」の処置に困った末に段ボールに入れて、かおりのBARに持ち込む。一見、弱そうだが、実は一番しぶといヒトなのかも?とラストの後日談でハッとさせられた)
…ししどともこさん(『宮城1973』の「深津看護師」で知った方。好演)

山野かおり(BARのママ。60代の彼氏相手にSEXストライキを実行中)
…Q本かよさん(2014年の『りんごりらっぱんつ at 浮間ベース』以来、何度か舞台を拝見しているが、今回の静かに弾けている感じの演技も好印象)

木下ももか(まきの夫と愛子の不倫の件で、愛子にひとこと言うためにBARに来る。ただ、自身も、まきの夫の子を宿している?)
…井上麗夢(いのうえ・れむ)さん(今回、唯一の初見の方だと思っていたが、お名前に見覚えがあったので調べてみたら…2016年の『プラットホーム物語』に出演されておられた。でっ、意地の悪い役には美人さんがピッタリ!)

花園れい(スーパーの食肉売り場で鶏を捌いている。うるさい姑には何も言わず、自分に対しては尊大な夫相手にSEXストライク中のはずが…。「味の素」の使い方が巧い!)
…榊菜津美さん(直近では『天国への登り方』での医師役で拝見した、アマヤドリの女優さん。でっ、今回は…弾ける・弾ける♪なコメディー・リリーフ)
あさどらさん

あさどらさん

十七戦地

座・高円寺2(東京都)

2019/05/16 (木) ~ 2019/05/17 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2019/05/16 (木)

16日ソワレ(実測1時間58分)を拝見。

ネタバレBOX

商人の街・博多を舞台に、明治から続く茶舖(ちゃほ)朝戸園を継いだ母娘2代のものがたり。

襲い掛かる困難にも常に明るさを失わず、周囲をも巻き込んでいく前向きさを発揮する「いかにも朝ドラのヒロイン」な設定
舞台上に「登場人物による語り手」を配置(下手…蘭子編・関根信一さん、上手…楽子編・黒沢佳奈さん)
年末の「総集編」ばりに、エピソードを連ねていくテンポのある進行
そして何よりも、多少意地悪な描写も出て来るも、総じて登場人物は皆、善人!
…等々の脚本・演出により、2時間弱の上演時間も流れるように過ぎていった。
まさに『あさどらさん』のタイトルの通り、観に来た観客の期待通りであろうテイストの作品だった。

なお、前の方とは評価が異なって恐縮だが、ほぼ常時、登場人物を舞台上に待機させる演出、「蘭子や楽子の半生は(良かれ・悪しかれ)このヒト達と共に築き上げていった」感が暗示されているようで、個人的には好感を抱いたことを付記しておく。

ところで…役者として存じ上げている林弦太さん、「博多ことば指導」ってことは、実は福岡のヒトだったんだぁw

【配役】
朝戸蘭子(蘭子編のヒロイン。茶葉の目利きに優れる故に、兄を差し置いて、父親から朝戸園の当主に指名される)
…藤原薫さん(この方がモデルのフライヤーを一目見た途端、予約を入れたんですが…観に行ってヨカッタです♪)
朝戸蘭丸(蘭子の兄。茶葉の目利きの才能ゼロ。蘭子の才能をうらやむあまり、数々の嫌がらせを行うも、最後は…)
…北川竜二さん(蘭子編のスパイスみたいな存在を好演)
朝戸彩乃(蘭子等の祖母。蘭子編の語り手)・蘭子の父親
…関根信一さん
朝戸真理子(蘭子等の叔母。嫡男故に蘭丸贔屓)…エスムラルダさん
朝戸野薔薇(蘭子等の叔母。嫡男故に蘭丸贔屓)…モイラさん
小松緑太郎(朝戸園の番頭)…北川竜二さん
鴨川充(朝戸園の店員。後に蘭子と…)…井田雄太さん
田辺つる(朝戸園の店員)…三浦久枝さん
白金小針(料亭の若女将。辛口だが良き、蘭子の友人)
…★金城茉奈(きんじょう・まな)さん(『伯爵のおるすばん』の「宇宙人の少女」から打って変わって、和服のごりょんさんがビシッと決まった!)
南雲正治(茶問屋・南雲堂の主人)…小林祐真さん

朝戸楽子(楽子編のヒロイン。蘭子の次女。経営が傾きかけた朝戸園をハーブティーで立て直そうとする)
…吉岡瞳さん(近年のNHK朝ドラのヒロイン像に近いかなぁ。好演!)
朝戸夏雄(楽子の夫。入り婿として楽子を助ける)
…永松昌輝(ながまつ・まさき)さん
朝戸凛子(楽子の姉。朝戸家4代目当主)
…金崎敬江(かなざき・ひろえ)さん(朝ドラ常連の戸田恵子さんを彷彿とさせる存在感。小劇場楽園での『Dの再審』で検事役だった方)
灰原良太(夏雄の友人。食品商社?の営業マン)
…木内コギトさん(横顔の輪郭にアッ!と驚くまで、『草苅事件』の「五味川龍太郎」と同じ方だとは全く気づかなかった)
神馬昌子(楽子の友人。手作りのハーブ園を営む。楽子編の語り手)
…黒沢佳奈さん(楽子編の朗らかな雰囲気にピッタリな語り)
いいヒト

いいヒト

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2019/05/15 (水) ~ 2019/05/20 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/05/15 (水)

15日ソワレ(実測1時間53分)を拝見。

ネタバレBOX

定刻通りの開演だけでも気分が良いのに、上演時間も事前のアナウンスより2分だけ短い1時間53分と適度な尺。
内容も、エロ・グロ・差別ネタなしの、親子連れで観ても安心な、健全で極めてオーソドックスなコメディー。
老若男女の幅広い層の観客が奏でる朗らかな笑い声に包まれて、自分も幸福な時間を過ごせてもらった。感謝!

その他、雑感としては

4人出てくる「幽体」のうち、3人の正体は比較的早い時期に気づいたが、最後の1人にはアッと言わされた。亡くなった経緯も含めて、佐倉への思いのこもり過ぎた「先輩」のキャラは良いアイデアだったと思う。

顔写真付きの当日リーフに、終演後の役者紹介…劇団員のみならず、客演さんの名前と顔を観客に覚えて頂くことは、小劇場演劇界の共存共栄に資する配慮として、とても好感が持てた。

受付時のスタッフ、あと終演後のキャストが着ていた劇団Tシャツ、次回公演からは是非、販売して欲しいなぁ(あくまでも個人的希望です)。

ちなみに目玉焼きはサニーサイドアップの醤油派です。

【配役】
和洋(明日見の父親。「人形の富島」の入り婿社長。娘可愛さがあまって頑固おやじ化)
…高橋亮次さん(まさにTHE「庶民的家庭の花嫁の父」!)
明日見(和洋の一人娘。佐倉と半同棲状態なのは父親には内緒。和洋に似て頑固)
…田久保柚香(たくぼ・ゆずか)さん(頑固者同志の父娘のやり取りが微笑ましくて・微笑ましくて、とても印象深かった)
ふたば(和洋の妻。子供が娘ばかりだった故・先代の三女。明日見の良き理解者)
…関沢明日香さん
坂田(地銀あるいは信金の行員。ふみの夫)
…山本ともだちさん
ふみ(故・先代の長女。夫婦に子供がいないため、明日見を我が子のように可愛がってきた)
…田中ひとみさん
なのは(故・先代の次女。夫を交通事故で失い、明日見を我が子のように可愛がってきた)
…前田綾香さん

泉谷(「大将」と呼ばれる「人形の富島」の人形職人の頭。「顔が命の●●~♪」的に、ひな人形の顔へのこだわりが強い)
…山口弘(やまぐち・ひろむ)さん
森(「人形の富島」の人形職人。時代にマッチした、現代の「ひな人形」のあり方を模索している)
…杉浦直(すぎうら・ちょく)さん
金井(「人形の富島」の人形職人だった。なのはの亡夫で、現・幽体)
…SUMIOさん
氏家(「人形の富島」の人形職人だった。現・幽体)
…高橋優都子(たかはし・ゆみこ)さん
江上(脱サラして、「人形の富島」の人形職人の途へ)
…仲澤剛志(なかざわ・ごうし)さん
源(「人形の富島」の創始者で、もちろん、現・幽体)
…けろたつやさん

佐倉(明日見の彼氏。事故で死にかけて以来、霊体が見える体質となる)
…関洋甫(せき・ようすけ)さん
野口(佐倉の先輩。例の事故の際、佐倉を助けたが自分は死亡…が、そのことを自覚せずにいる霊体)
…小森健彰(こもり・たけあき)さん(熱演! あと、生年月日を知ってビックリ!! 若い方だとばかり思って、観ていました)
橘(明日見の幼馴染。佐倉とも友人関係。手放した今も、氏家が作ったひな人形を大事に思っている)
…武藤萌香(むとう・もえか)さん
笹島(橘が連れて来た霊能力者…だが、実は「零」能力者)
…横森文(よこもり・あや)さん
比嘉(霊体の研究者)
…丸本陽子さん(過去出演作の「瓦山鈴女」や「津川志乃」と同じく「ヘンなヒト」とはいえ、初めて陰のない好人物⁈を演じる丸本陽子さんを目撃できた!)
1001

1001

少年王者舘

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2019/05/14 (火) ~ 2019/05/26 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2019/05/14 (火)

14日ソワレ(140分)を拝見。

ネタバレBOX

恐らく他の方の「観てきた!」は絶賛の嵐だと思われるので、一人ぐらい、天邪鬼がいても許されるだろうと考え、以下、雑感を記す。

配役表が入場時配布のフライヤー類に封入されておらず、有料のパンフを買ってから確かめろ!という趣旨らしいので、やむなく購入。ただ、実際、舞台を拝見してみると、役者はあくまで作品のパーツに過ぎず、故に配役表で確かめる必要もなかったようだ。

個別には記憶に残っていないのだが、劇中のセリフにおけるダジャレ?やジョーク? さらには、往年のバラエティー『8時だョ!全員集合』のジャンボマックスばりの巨人の登場…念のために、作者の経歴を確かめると、やはり私と同世代人w
だからかもしれないが、作品のテイストにどことなく昭和の香りが漂っていたのかなぁと。

ラストの「尋常小学校?の運動会でのマスゲーム」みたいなダンスシーン。
劇伴や照明の助けも得て、情の薄い私でさえ、胸にジワリと感動の波が押し寄せて来たのだから、常連客の皆さんの高揚は如何ばかりかと。
この団体さんが玄人筋からの評価が高いのも素直に頷けるフィナーレだった。

ただし、全体を振り返ってみると、同じシーンの繰り返しが多く、正直、クドいと感じた(そこまでして、2時間超える必要があったのか?)。
私自身がループを多用する作劇は好みでないので、客観的には優れた作品なのだろうと理解するも、主観的には残念ながら手が合わなかった。
そんなもんじゃない

そんなもんじゃない

ナツミガキタ

ギャラリーしあん(東京都)

2019/05/11 (土) ~ 2019/05/12 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/05/12 (日)

12日13時半開演回(65分)を拝見。

些細な口論から生じた親友達との仲違いを3年間引きずったままの、さえのエピソード。
男性の自分にも身に覚えのある「弱い自分を守るために常に身構えている」スタンス
「女」からの和解の助言に頭では理解しても、それを許さない感情面でのわだかまり
さえのそんないびつさに苦笑しつつ、さえと「こんなヒト、身近にいる・いる!」な他の登場人物達との距離感の変遷にも頷きながらの65分。
予想よりはるかに上をいく、丁寧な筋運びと人物描写に感心させられた。

【配役】
さえ(大学の頃からの親友が2人もいた過去が信じられない程、不用意なことを口にしがちな女性)
…長谷川なつみさん(熱演!)
典子(大学の頃からの、さえの友人。親友3人の中では「緩衝材」的役割?)
…池田綾さん
ゆっこ(大学の頃からの、さえの友人。米田に恋心を抱いている。が、さえと典子が、自分の学生時代のキャバクラのバイトを、米田にバラしたことに激怒)
…萩原愛子さん
米田(さえの会社の同期。プライベートでも、さえ達と一緒に行動)
…宮里洸樹(みやさと・こうき)さん
女(さえの心の中の分身?良心?)…影山あおいさん

尾を咥えたり愚者の口

尾を咥えたり愚者の口

電動夏子安置システム

駅前劇場(東京都)

2019/05/07 (火) ~ 2019/05/12 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/05/07 (火)

7日ソワレ・初日の舞台(115分)を拝見。

ネタバレBOX

とある出版社を舞台に、作家と編集とが「自主規制」でせめぎ合う現代と、(小説に描かれた)今よりも露骨に検閲がまかり通ったGHQ占領下の戦後の混乱期とを、電夏さんお得意の「二元中継」で描いた作品。
GHQ占領下編を構成する出来事のメインに「帝銀事件(1948年)」を持ってきたせいか、それとも「表現の自由」「報道の自由」をテーマにすえたせいか、私が知る限りの電夏さんの作品(うっかり見逃した『3483』を除く、『ブレッチリーの啼かない鵞鳥たち』からの7作品)の中では、客席の笑いの絶対量は比較的少なく、その分、シリアスモードのシーンの説得力が増したように感じられた。

演技陣。

前回公演の客演から、今回は劇団員として、舞台に臨まれた坂本ともこさん。
5年前から舞台を拝見している方だが、電夏さんの芝居との相性の良さ、まさに水を得た魚のよう! 絡むのが難しそうなw 道井良樹さんとの掛け合いも楽しめた。

前公演から続投の小林知未さんは、ちょこまかと舞台を掻き回す役柄を好演。

コメディーからシリアス物まで何でもこなせる廣瀬響乃さん。
今回、小泉智雅さん・熊坂貢児さんとの3人だけは、他の出演者とは別の芝居…すなわち、松本清張ばりの社会派ドラマを演じている趣き。電夏さんの舞台でやるのが惜しいくらいだった(←こらこら!)

それにしても(あくまでも自分の感想ではあるが)上述の『ブレッチリーの…』以降、多少の好みの違いはあれど、電夏さんの作品で少なくともハズレ舞台に出くわしたことが一度もない。さすがに長いこと観ていると、パターンは読めてきてはいるも、水準以上の作品を継続して世に送り出しているのだから、大したもんだ。

【配役】
双葉(文芸部の中堅編集者。本作品の主人公)
…なしお成(なしお・なる)さん(個人的には『Shoe Cage』でのイメージが強い、お久しぶりな方)
山部(文芸部デスク。元は社会部の記者)
…道井良樹さん(今回の前説、相撲の話が短めだった!)
立花(空気の読めない、若手文芸部編集者)
…小林知未(ともみ)さん
児玉(元・社会部の取材記者。GHQ絡みの記事がもとで文芸部に配置換え)
…熊坂貢児(くまさか・こうじ)さん(紀尾井町か矢来町のデスクにいそうな雰囲気の方)
河瀬(文芸部の中堅編集者。山部と不倫関係)
…坂本ともこさん
神沢(元・姐御の自称作家。天真爛漫なようで実はしたたか)
…下平久美子さん
天下(政治団体「天下一社」代表。昔、別れた妻に引き取られた娘のことを気にしている)
…ドロンズ石本さん
井上(文芸部の中途採用された新人編集者。神沢に恩義がある)
…小原雄平さん
関野(「天下一社」構成員。天下に心酔。井上と因縁がある)
…緑川大陸(みどりかわ・ひろむ)さん
野村(郵便局員。姉の事件を取材して欲しいと社会部を訪れるも…)
…吉岡優希さん(会場整理をされている時の外見から高校三年生?かなと思って調べてみたら…!)
平井(逮捕された父親の冤罪を社会に訴えようと様々な報道機関を訪ねるも…)
…廣瀬響乃さん
藤丸(河瀬が取材を申し込んだマタギ。言動が浮世離れしている)
…片桐俊次さん
和泉(社会部の新人記者。平井の話を聴き、協力を誓うも…)
…小泉智雅さん
嵯峨(小説世界の中では、文芸部のベテラン事務員)
…新野アコヤ(しんの・あこや)さん
地大さん家の150年+

地大さん家の150年+

劇団ダブルデック

中目黒キンケロ・シアター(東京都)

2019/05/02 (木) ~ 2019/05/05 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2019/05/05 (日)

5日マチネを拝見。

110分の上演時間中、終始、クラブ系インスツルメンタルが流れてる中、地大家4代(いや、5代?)の興亡を綴っていく、「私家版」大河ドラマ。
終演後の客席の反応をみると、好みが分かれる作風か。
私は音楽&ダンス的な所作と、お話自体は極めてオーソドックスな展開との、アンマッチがもたらす不思議な快感⁈を愉しませてもらいました。
ただ、そのBGM自体が一本調子なため、後半、ダレた印象は歪めません。
個人的には上演時間を80~90分で納めた方が適切かなぁと感じました。

役者さんでは
ここ最近、出演舞台を拝見することが多い、小山ごろーさん
途中で気づいたが、数年ぶりに拝見した、寺尾みなみさん
のお二人が特に印象に残りました。

【配役】
次郎(地大家始祖)・次治(次郎・ハハの次男)・次正(明治・シノブの子)
次和(大正・ラコの次男)・太郎(昭和・ツクシの子)
…中川慎太郎さん
ハハ(次郎の妻)…小山ごろーさん
明治(次郎・ハハの長男)…佐溝貴史さん
ツマ(明治の妻)…來住美保さん
キョウ(明治・ツマの長女)…染谷知里さん
ジャク(明治・ツマの養女)=謎の老婆…さんなぎさん
シノブ(明治の後妻)・ツクシ(昭和の妻)…田口ともみさん
大正(明治・ツマの長男)…實川節朗さん
ラコ(大正の妻)…松島やすこさん
昭和(大正・ラコの長男)…吉川瑛紀さん
好乃(ツクシに逃げられた後の、昭和の妻)…勝又美晴さん
平成(昭和・好乃の子)…田中心太さん
朋葉(平成の彼女)…岡みのりさん
電気店主、他…松原圭さん
不動産会社の営業、他…寺尾みなみさん
向井戸家の人々…ワタナ・ベリヨさん
三河家の人々…森田舜さん
巨人な神父…はりゆうきさん

イツモノコト

イツモノコト

リアベンチ企画

高田馬場ラビネスト(東京都)

2019/05/01 (水) ~ 2019/05/05 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/05/04 (土)

昨年2月、吉祥寺櫂スタジオでの『イエノゾク』以来の、リアベンチ企画さんの舞台を、4日の晩に拝見(110分)。

ネタバレBOX

『イエノゾク』で供された?カレーライスのおかげで、あと味のエグ味は覚悟しての観劇だったが、予想外に、エグ味よりも見応えが勝る作品だった。
演技陣全体のバランスの良さと好演によるところが大なるも、荒涼とした作品世界の中にも「箸休め感」を与えてくれた中竹先生の登場シーンもまた、観終えての満足感につながったと思う。

役者陣。
前説で客席を温めてくれたお二人。
中竹先生役のゆうきさんは、その声質が作品の世界観に合うのかな?と危惧するも…実はハマり役。
生徒の一人、石橋陽平役の北村涼介さんは、中盤のアドリブタイム?で笑いを必死にこらえるさまも含めて、終始、好感が持てる演技だった。
個人的には5年前の『メイツ! -ブラウン管の向こうへ-』以来!の松田実里さん。得てして定型的になりがちな役柄に、人間的な温もりを感じさせてくれた。
「家族想いのお姉さん」が一週間経ったら「不良少女」になっていたw 鳴海真奈美さんは、前公演同様、役柄の熱演ぶりが印象に残った。

ところで、ラストの一連の刺殺事件。草野施設長以下の教師による殺人行為のシーンは、(梓の脳裏に浮かんだ)夢か、それとも現(うつつ)か…私の読解力不足で、正直、わからなかった。ただ、もし現(うつつ)だとしたら、梓に濡れ衣を着せてシャアシャアとしている3人の教師って…とても怖い結末だったのかもしれない。

最後に、作品自体の評価とは別の話。
全くの偶然だろうが、3日ソワレで拝見した大塚萬劇場の公演も、ストーリーのキーになったのは「DV起因の多重人格」。
「(創作)表現の自由」も理解した上で敢えて言及するが、2晩連続での「多重人格≒殺人鬼」という設定に、特に若い観客に先入観を植え付けてしまわないかと危惧したことを付記しておく。

【配役】
東雲梓(施設の卒業生で現・教師。母親のDVが原因で多重人格を発症、母親を殺害の過去)
…松田実里(まつだ・みさと)さん
東翔子(施設の教師。大島先生と恋仲)
…西田果倫さん(偏見ですが…施設の先生にしては綺麗過ぎるかなぁw)
大島祐一(施設の教師。ソフトな「松岡修造」!)
…金子賢太朗さん
中竹亮太(施設の教師。初めはコメディリリーフだったのが、終盤…)
…ゆうきさん
草野葉子(施設長。梓の生徒時代を知っている。息子を殺された過去)
…山咲みのりさん(昨年の『イエノゾク』ぶり!)

及川舞(施設の生徒。芸能界でのし上がろうとする姉の策略で、プロデューサーに人身御供として差し出された過去。梓先生を慕っている)
…二宮由衣さん
安田智子(舞を庇う、施設の生徒。ただし、正体は死体愛好家に死体を流すブローカー)
…弥那(みな)さん
大峰姫香(人間関係を築くのが苦手な、施設の生徒。大島先生を慕っている)
…鳴海真奈美さん
篠崎佳那(セックス依存症な、施設の生徒。終盤、中竹先生を誘惑し…)
…沼瞭那(ぬま・あきな)さん
石橋陽平(自身の賢さを鼻にかけ、周囲を見下している、施設の生徒。実は過去に秘密の殺人を犯しており、その犯行が草野施設長の息子が殺された手口と酷似していたため…)
…北村涼介さん
小黒猛(粗暴だが根は気のいい、施設の生徒。義人と仲がいい)
…神山賢士さん
古坂義人(気の弱い、施設の生徒)
…中村太郎さん

東雲花江(梓の母親。夫に蒸発され、そのストレスを躾と称して、梓にぶつけていたが、ついに、ある日…)
…北村とうこさん
刑事、他…大月裕太朗さん
幸田瞳のマネージャー、他…呉羽藍依さん
プロデューサー、他…諸星利紀さん
幸田瞳(自分の芸能界での出世のために、妹・舞をプロデューサーに人身御供として差し出した性悪女)
…島ハンスさん(4日ゲスト)
吸って吐く

吸って吐く

劇団時間制作

萬劇場(東京都)

2019/04/24 (水) ~ 2019/05/05 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/05/03 (金)

3日ソワレ・Aチームの回(1時間50分)を拝見。

初めに☆評価とは分けて書くが、会場に降りる階段でやっていた募金、事前にコリッチの説明を読んでいたので、演出かな? いや、あるいは公演に関連して本当に何処かに寄付するのな?と迷ったあげく、中途半端な額を募金した…が、終演後、何の説明もなかったので、アレって劇の雰囲気づくりのフェイクだったようだ(フェイクなのに、カネを受け取るんだぁ)。
でぇ~、寄付したおカネはどうなるの? 打ち上げ時の飲み代の足し?
勝手に思い込んだ方が悪いというなら、そう納得はしますが、作品の評価とは別に、以後、不誠実な団体という理解をさせて頂きます。

【5月4日・追記】
募金したお金は本当に寄付されるとのこと。
劇団的には告知したそうだが、会場にも当日パンフにもその旨の記載なし(ですよね?)
金銭とか善意が絡むことはキッチリして欲しいものだ。

【5日・追記】
最後に、本作品自体の評価とは別の話。
全くの偶然だろうが、3日ソワレで本作品を観た翌晩、4日ソワレに観たリアベンチ企画さんの作品も、ストーリーのキーになったのは「DV起因の多重人格」。
「(創作)表現の自由」も理解した上で敢えて言及するが、2晩連続での「多重人格≒殺人鬼」という設定に、特に若い観客に先入観を植え付けてしまわないかと危惧したことを付記しておく。

ネタバレBOX

入場時、一瞬、(手の込んだ舞台美術で有名な)劇団桟敷童子の舞台か⁉︎と勘違いする程、セットの作り込みが凄かった本公演。
3つの「事件」に翻弄される人々を通して、単純に割り切れない善意・悪意の境界線を彷徨う人間の弱さを見せつけられた1時間50分だった。

でっ、3つの「事件」の内容を開演前に紹介しており、特異な?設定自体よりも、描きたいテーマに重点を置いて観て欲しいという作者の意思を(勝手ながら)感じ取った。
それ故、多少首をかしげるを得ない登場人物の行動(例.あっさりと特ダネを諦める女性記者、レイプされた場所を再び訪れる被害者)には目をつむって、話の展開に身をゆだねさせてもらった。
なお、終演後も、登場人物達、とりわけ家庭教師の佐藤先生の「その後」が知りたい気持ちにとらわれたことを付記しておく。

演技陣。
役柄へのシンパシーもあって、家庭教師役・仲原裕之さんと、教え子の春代役・相笠萌さん。
さらには、「正しい」「正義」という強者の視点でしかモノを見ていなかった、ボランティア団体副代表役・烏森まどさん、記者役・押尾江里子さん
が個人的には印象深かった。

【配役(Aチーム公演)】
柳健二(永年DVで妻と長男を虐待。後に交通死亡事故を引き起こし懲役へ…だが、実は運転していたのは彼ではなかった!)
…西川智宏さん
梶川幸作(健二社長の部下。事故発生時、車に同乗、健二や哲人をかばう)
…平岡謙一さん
佐藤博(交通事故で亡くなった少女の父親。柳家に娘の家庭教師として潜入)
…仲原裕之さん
前田友恵(博の元妻。彼女の心を救ったキリスト教徒と再婚する予定)
…安宅陽子さん
相田奈々(新婚の彼女に突然悲劇が…)
…石井陽菜(いしい・はるな)さん
相田亜嵐(奈々の夫)
…奥田龍平さん
柳坂子(健二の妻。かっての無力なDV被害者ぶりから娘の春代に嫌悪されている)
…広川キクさん
柳哲人(健二の息子。DV被害がもとで発症した二重人格の彼が二つの悲劇を…)
…田名瀬偉年(たなせ・たか)さん
木島信代(ボランティア団体所属。実は蒸発した夫の借金に苦しめられる二児の母)
…はらみかさん(萬劇場で何度も演技を拝見した、実力派の女優さん)
宮垣秀太(ボランティア団体代表。盗難事件の犯人が誰なのか気づいている)
…佐々木道成さん
山崎加奈子(ボランティア団体副代表。正義を振りかざすヒト)
…烏森まどさん
柳春代(健二の娘、哲人の妹。幼い頃、DVを目にしたことから両親に不信。だが本心は…)
…相笠萌(あいがさ・もえ)さん
久下萌香(奈々の妹。高校生)
…藤間あやかさん
「やなぎどころ」従業員・神谷妙子
…左羽由梨佳(さわ・ゆりか)さん
木田真奈美(交通死亡事故の「真実」を追う新聞記者)
…押尾江里子さん
好きだ

好きだ

ちーちゃん短編をやろうよ

新宿眼科画廊(東京都)

2019/04/26 (金) ~ 2019/04/30 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/04/30 (火)

4月30日18時開演のBチーム回(短編4本・60分)を拝見。

ネタバレBOX

前半3本は倉本朋幸さんのホン。浮間ベース以来、何回も経験している、すっかりお馴染みの倉本節だなぁ。
後半の小路紘史(しょうじ・ひろし)さんの1本には…マイッタ!笑いっぱなしだった。

演技陣。
顔と名前が一致する、小川夏鈴さん、里内伽奈さん、佐野剛さんは勿論のこと、初見の、関口アナンさん、平野鈴(ひらの・れい)さん、川籠石駿平(かわごいし・しゅんぺい)さんも、出番が多かったので、顔と声、恐らく?覚えました。
今宵の役者さん達、舞台や映像で見る機会があれば、また是非!

【配役】
『生きる』
彼女…平野鈴(ひらの・れい)さん

『男たちの挽歌』
男1(写真を撮られる側)…関口アナンさん
男2(写真を撮る側)…川籠石駿平(かわごいし・しゅんぺい)さん

『たくとみかとなおや』
たく(いいヤツ)…佐野剛さん(江古田のガールズの方)
みか(たくが密かに好きだったヒト)…里内伽奈さん(殿様ランチの公演で知った方)
なおや(たくのマブダチ)…川籠石駿平(かわごいし・しゅんぺい)さん

『脚本家の憂鬱』
脚本家…関口アナンさん
無茶ブリするプロデューサー…平野鈴さん
脚本の中の「男」…川籠石駿平さん
脚本の中の「女」…小川夏鈴さん(初演の『蒼いラフレシアの鼓動』以来、意識して観ている方)
脚本の中の「夫」…佐野剛さん
妖花迷宮

妖花迷宮

ヅカ★ガール

レンタルスペース+カフェ 兎亭(東京都)

2019/04/23 (火) ~ 2019/04/28 (日)公演終了

満足度★★★★

『妖花迷宮(あやかしはなめいきゅう)』凛の回、23日13時半開演回(30分強)を拝見。

ネタバレBOX

真相は、「夫に成りきった妻」であり、「三つ子の末っ子の男児のフリをする長女」であった訳だが、途中までは、妻・長女を演じる各々の役者の一人二役・三役という、単なる「舞台上のお約束」だと観客は思い込んでいたのではないだろうか。
この観客の「錯覚」こそが、後に明らかになる登場人物達の設定(妻→二重人格、長女→母親を悲しませないために、この世にいない男児を演じてみせる)の異常性をより際立たせる効果を上げていたと考える。

あと、ストーリーもだが、役者さん達の演技の質感、装束、提灯の灯り、場転を知らせる鈴の音…一つ一つの要素が合わさって、短い上演時間にもかかわらず、ヅカ★ガールさんらしい世界観を創り上げていくさまは見事だった。

なお、個人的に感じたことだが、「凛の章」から「共通演目」へのつながりが咄嗟にわからず、戸惑われた方もおられたような気がした。「燐光姫・共通演目」は「凛の章」のプロローグ(と私は理解している)である故、上演順は「共通」→「凛」の方がスムーズな進行ではないかなぁと。

【配役】
環(たまき、燐光堂店主の妖明かし)/燐光姫
…片山歩美さん
風折(かぜおり)瑠璃子/キミヒコ(一人で燐光堂を訪ねていながら、瑠璃子は蒸発した夫にも成りきっていた←序盤では、「演出上の演技」として、かまくらさんが訪問した夫妻を一人二役で演じ分けていた、と理解していた観客も恐らくいただろう)
…かまくらあやさん
風折珠緒/紅緒/アキオ(長女・次女・末っ子長男の瓜二つの三つ子だが、正体は長女の珠緒。紅緒は珠緒の悪戯がもとで事故死。アキオは死産なので、もともとこの世には存在しない)
…石黒乃莉子さん
風折家の侍女/狐 or 神
…結崎あゆ花さん、来栖梨紗さん
ミラクル祭’19(ミラフェス’19)

ミラクル祭’19(ミラフェス’19)

新宿シアター・ミラクル

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2019/04/20 (土) ~ 2019/04/29 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/04/26 (金)

26日20時開演回のBver(2本立て・65分)を観劇。

ネタバレBOX

前半の『名前の無い名前を呼ぶ冒険』は、たすいち(脚本・目崎剛さん)と劇団ミックスドッグスの良いとこ取りな、明るく・テンポの良い学園モノ。
スカジャン?羽織った見た目と表情がハマり役の金森優依さん
神様から下級生まで何役もこなす伊藤貴史さん
そして、終始、元気でポップな「思春期真っ只中の女子高生」としての演技で駆け抜けていった幾世優里さん
のお三方のチームワークが、この作品の命であろう鮮度というか活きの良さを出すのに大いに貢献していたと思う。

後半の『ルージュド・ガールと落下傘』は、Averの『海月…』と同じく加糖熱量さんのホンだけあって、『海月…』同様、じっくりと聞かせるセリフ劇。
そして、恐らくは観客の期待…否、願いを裏切ったであろうラストの効果で、観終えた後も余韻の残る作品に仕上がっていた。
演じ手に関して触れると、まずはヒロインであるカメラマン役の猫多ユウさん。大学の後輩だった僕(演・武島龍児さん)が語る、人間関係に不器用なアート系女史を丁寧に演じてきたからこそ、終盤の真紅のワンピースに込められた思いが観客に痛いほど伝わるのだろう。高く評価したい。
あと、「僕」や「先輩」と接する店のマスター役・藤本康平さん。まるでリスナーの人生相談のハガキを読む深夜ラジオのDJみたいな穏やかな関西弁が、ストーリーを展開する上での潤滑油として良く機能していたと思う。
いつもの致死量

いつもの致死量

こわっぱちゃん家

王子小劇場(東京都)

2019/04/24 (水) ~ 2019/04/28 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/04/24 (水)

24日19時開演回(2時間)を拝見。


ネタバレBOX

マジック・サークル・マンホール(MCM)というゲームが引き起こした「不幸な事故」のために、時の流れが止まってしまった・変わってしまった人々の2年後を描く群像劇。

リアルな企業モノのストーリーとしても説得力があった2時間。途中、何度かウルっとしかかったのを堪えてきたが、終盤、謝罪する桜(演・瀧啓祐さん)を前にして、長女(鳴海真奈美さん)が父親(砂山康之さん)に語りかけるシーンでついに…。
見事な舞台美術のチカラもあって、当初の予想以上に涙腺にくる・見応えのある作品だった。

ただ、私事で恐縮だが、顔と名前が一致する役者さんが岩﨑舞さん・雅野友里恵さんのお二人だけの自分は、登場人物16名を把握するのに、結構、時間がかかった。
こわっぱちゃん家の公演の常連さんじゃないと、序盤は混乱した観客もいたんじゃないかなぁ。野暮を承知で、人物相関図プリーズ!

【配役】
※もし記憶違いがあったらゴメンナサイ!
志田桜(ゲーム会社の創業メンバー。MCM開発のメインクリエーター。「不幸な事故」以降、ゲーム開発から離れる)
…瀧啓祐(たき・けいすけ)さん
小林千秋(MCMが縁でゲーム会社にインターン→正式採用の元ゲーマー。祐香里と面識有)
…森谷菜緒子さん(タメにタメた末に、終盤、一気に、観客の涙腺を刺激する刺客へと!)
ケッチ(ゲーム会社の創業メンバー。マーケティング担当だが、千秋のメンター役でもある)
…トクダタクマさん
上村千佳(ゲーム会社の社長。「不幸な事故」の責任を一人で背負い込む恋人・桜の身を案じている)
…岩﨑舞さん(若き女性創業者の苦悩とリーダーシップに、観ていて強い説得力を感じた)
マリモ(ゲーム会社のクリエーター。阿久津等と同期)
…及川空美(おいかわ・くみ)さん
ムーミン(MCM愛好者のオフ会主宰。2年前の祐香里の事故死を知らなかった)
…大瀬さゆりさん
須田恵美(ゲーム会社の営業。阿久津等と同期。木ノ下のことを憎からず思っている)
…金井愛(かない・いつみ)さん(終盤の息苦しい雰囲気を和ませる存在へ)
進藤道子(ゲーム会社の創業メンバーで営業のチーフ。責任感ゆえに指導は厳しいが、内面は優しいヒト)
…雅野友里恵(かの・ゆりえ)さん(怒られそうですが…100%のハマり役!)
阿久津咲(ゲーム会社の営業。マリモ等と同期)
…佐藤来夏さん(上司の進藤に抗議するシーンが印象的)
新渡戸悟(ゲーム会社のクリエーター。過労が遠因か入院中)
…杉浦惇(すぎうら・じゅん)さん(見た目だけでもハマり役!)
川崎美羽(MCM開発のサブ・クリエーター。「不幸な事故」で退社を考えるも、進藤に引き留められ、営業へ)
…鈴木朝日さん
岸谷充(祐香里の父親。「不幸な事故」以降、生きる気力を失っている)
…砂山康之さん(一人、食事するシーンが印象的。沢庵をかじる音は…残念!聞こえてきませんでしたw)
木ノ下衛(ゲーム会社のダメ営業。阿久津等と同期。須田のことを憎からず思っている)
…多嘉良荒(たから・こう)さん(お疲れ様な好演!)
岸谷祐香里(2年前、MCMにハマった末、「不幸な事故」で亡くなった高校生)
…那智さん(あの年代のコの感じが伝わって来た)
岸谷結衣(祐香里の姉。亡くなった祐香里の面影ばかりを追い続け、自分を顧みない父親に寂しさを覚える)
…鳴海真奈美さん(この方の声質は心に響きます)
横山晴香(ゲーム会社の創業メンバーでデザイン部門のチーフ)
…平井亜矢子さん(千佳のよき相談相手なイメージを感じさせた)
ミラクル祭’19(ミラフェス’19)

ミラクル祭’19(ミラフェス’19)

新宿シアター・ミラクル

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2019/04/20 (土) ~ 2019/04/29 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/04/23 (火)

Averの23日20時開演回(2本立て・75分)を拝見。

ネタバレBOX

まず、前半の『ペルソナ・サークル』。
「※決してネタバレしてはいけません…!」なので、詳細は伏せるとして…
当初は、何かのシアターゲームのデモでも見せられているのかな?とまで思った、出入りの激しい舞台。
だが、やがて、その忙しない中にも、私立探偵とその助手を除く、「村人達」個々のアイデンティティーがどんどん曖昧さになっていくさまが、笑いながらも、ちょっと怖くなってもきた。
役者さんでは、狂言回しな私立探偵と助手を演じた、小太刀賢さんに津山夏南さん(津山さんは実にハマり役!)、それから、以前、同じシアターミラクルの舞台で「ここあ」さんだった浦田すみれさん、ホーム・客演共に観る機会の多い大田彩寧さん、が印象に残った。

後半の『海月は溶けて泡になる』。
エリ…丸山夏歩(なつほ)さん
トオル(エリの彼氏)…河村慎也さん
マサキ(エリの弟)…安藤悠馬さん
のお三方演じる世界観って、イプセンの「人形の家」現代版・逆バージョン?
性別引っくり返って、トオルがノラ、エリがヘルメル(ノラの夫)に見えて仕方がなかった。
それにしても…観劇後も余韻がなかなか消えない。
役者としては存じ上げていた加糖熱量さん。このホンならば、以前、『午前十時のぬけがけ』で受賞を逃した「清田洞爺文学賞」、今度は取れるかもしれませんねw
『のぞまれずさずかれずあるもの』  東京2012/宮城1973

『のぞまれずさずかれずあるもの』 東京2012/宮城1973

TOKYOハンバーグ

サンモールスタジオ(東京都)

2019/04/11 (木) ~ 2019/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2019/04/21 (日)

『宮城1973』の千穐楽である21日ソワレ(105分)を拝見。

所謂、菊田医師・赤ちゃん斡旋事件を題材にした105分。
斡旋が明らかになった当時(1973)、マスコミから相当叩かれていた記憶のある菊田医師。そんな彼の動機と信念を改めて省みる機会を、平成最後の月に与えてくれたことには深く感謝!

なお、細かいことで恐縮だが、菊田医師の最初の記者会見(1973)の頃、既に生きてたヒトから一言だけ。
テレビ朝日から取材申し込みがあったというセリフだが、当時はまだNETテレビだったはずですよ。

演技陣。
個人的には、ストーリーの進行役であり、尚且つ、殺伐としがちな内容にひと息つかせてくれた、毎日新聞の藤岡記者とその妻役の、小林大輔・福寿奈央(ふくじゅ・なお)のお二方が、大変印象に残った。
あと、他の方も指摘されておられたが、千穐楽にもかかわらず、セリフの噛みが気になる役者さんがおられたことは些か残念であった。

【配役】
毎日新聞・藤岡記者(菊田医師事件を最初に記事にした記者。菊田医師に共鳴)
…小林大輔さん(好演!)
藤岡記者の妻(夫のよき理解者)、他…福寿奈央さん(好演!)
越野陽子(菊田医院の看護師。不妊症)、他…永田涼香さん
深津芳恵(菊田医院の看護師)、他…ししどともこさん
朝日新聞・田代記者、他…葛山陽平さん
妊娠した15歳の娘の父親、他…宇鉄菊三さん
子宝に恵まれない夫婦の夫、他…入間史雄さん
他人の子を身ごもった妻の夫、他…小林翔さん
妊娠した15歳の娘、他…原愛絵さん
篠塚、他…當瀨このみさん
菊田静江(菊田医師の妻)、息子以外の子を身ごもった嫁の姑、他
…上田尋(うえだ・ひろ)さん
菊田医師…堂下勝気さん

『妥協点P』『みんなのへや・改』

『妥協点P』『みんなのへや・改』

しむじゃっく

東中野バニラスタジオ(Vanilla Studio)(東京都)

2019/04/09 (火) ~ 2019/04/21 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/04/21 (日)

21日11時半開演回で『みんなのへや・改』(60分)を拝見。

ネタバレBOX

榊アユコさんと、ナイゲン2018以来の菊池泰生さんの他は、お初の役者さんばかりだったが、皆さんのデフォルメされた表情の豊かさが、アガリスクの冨坂さんの本らしい、畳みかけるようなテンポによくマッチ。大団円(全員鉢合わせ)に向けて、観客の笑いの量が加速度的に増えていく60分だった。

それにしても、この「畳みかけるようなテンポ」。「窮地に陥る登場人物(笑いの起点)を固定せずに、適宜、振り分けていき」「窮地の内容もバリエーション豊富」にすることで、常に観客の意表を突いてくることから生まれて来るんだろうな、と自分なりに納得させてもらった。

最後に演技陣。
一番、表情の変遷にメリハリがついていた梅津光さん
泥棒なのに、中盤からは困り果てた末のヒトのよさそうな笑顔が貼りついた二宮正晃さん
のお二人が、個人的には特に印象深かった。

【配役】
篠崎優也(部屋の借主)…菊池泰生さん
鹿島杏子(優也のカノジョ)…梅津光さん
立川賢一(杏子の浮気相手)…小鳥遊空(たかなし・くう)さん
沼田翔(優也のバイト仲間&恋人!)…佐藤裕樹さん
優也のストーカー…木許舞由(きもと・まゆ)さん
大家:榊アユコさん
Live together!~同棲はじめました~

Live together!~同棲はじめました~

風凛華斬

cafe&bar 木星劇場(東京都)

2019/04/19 (金) ~ 2019/04/21 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2019/04/20 (土)

20日ソワレ(1時間半)を拝見。

ネタバレBOX

ことコメディーに関しては、やいのやいのと理屈をこねる観劇玄人よりも、自分が身を置く会場の笑い声の総量の方に評価の信を置いている。
その観点から申すと、(他の回は知らねど)私が観た20日ソワレは、観客の表情に笑顔は浮かんでいたかもしれないが、客席から聞こえる笑い声は散発的だった。
でっ、あくまで個人的な見方だが、役者さん個々の演技・テンポはさほど悪くはないし、脚本も(文字で読んだとしても)笑わせどころやオチも適所に配置されたキチンとしたもので明白な瑕疵は見当たらず。なのに、笑いの絶対量は…私を含めた20日ソワレの観客に原因を求めるしかないのかな?
ともかくもヒトを笑わせるってホントに難しいもんだなぁと改めて感じさせられた。

なお、収まるところに収まる、観客の期待を裏切らないエンディングだったので、観客は皆、満足して帰路につかれたと思われることは付記しておく。

【配役】
望月士郎(主人公)…吉田紳さん
岸本美沙(同棲中の士郎のカノジョ)…あおいはるとさん
岸本孝造(美沙を男手一つで育て上げた父親。娘の同棲を知らされていない)
…石倉瑞樹さん
後藤(空き巣。地縛霊サチが見える・サチと話せる!)…大西青樹さん
桃子(空き巣。終盤、悩む美空を励ます)…野村恵美さん
サチ(不倫相手に裏切られ自殺した、士郎たちの引っ越し先の部屋にいる地縛霊)
…末次由布子さん
星野美空(士郎たちの友人。一向にプロポーズして来ない祐司に疑心暗鬼)
…山田奈津美さん
紺野祐司(士郎たちの友人。美空の彼氏)…平野真哉さん
新・正午浅草

新・正午浅草

劇団民藝

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2019/04/17 (水) ~ 2019/04/28 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2019/04/17 (水)

17日ソワレ(途中休憩15分はさみ140分)を拝見。

ネタバレBOX

『断腸亭日乗』を下敷きに、永井荷風の半生をスケッチした舞台。
淡々とした作風ながら、特に太平洋戦争突入直前、戦争景気に沸き立つ日本の世情への荷風の批判的視線を描いたシーンでは、今、この作品を世に出した歴史的・政治的意味合いを噛締めつつ拝見させてもらった。

ところでだが、民藝さんに限らず、老舗劇団さんの公演に足を運ぶと、主だった役者さん達と共に観客も歳を重ねていくんだなぁ、とつくづく実感させられる。
ただ、実年齢に見合う年輪を重ね損なった不肖の我が身には、ある意味、老舗劇団の達観された枯れた味わいよりも、カレーのようにスパイシーなテイストの小劇場の方がまだ水に合うのかなぁ、と本作品を観終えた後、再認識したことも合わせて記しておく。

【配役】
永井荷風:水谷貞雄さん(終始、良く通る発声に、「壮年期」における身のこなし…御歳を知って驚嘆しました)
荷風の父親: 伊藤孝雄さん(子供の頃、ブラウン管の向こうでお馴染みだった役者さん)
終の棲家である千葉県市川市の荷風宅で世話をする近所の女:田畑ゆりさん
戦前の銀座での荷風の友人:松田史朗さん
市川の荷風宅を訪ねてきた、荷風の昔の妾・お歌:白石珠江さん
玉の井の娼婦・お雪:飯野遠(いいの・おん)さん
東京日日新聞(毎日新聞の前身の一つ)記者:佐々木研さん
荷風ファンの若いカメラマン:みやざこ夏穂(みやざと・なつほ)さん(好演!)
壮士風の男(実は菊池寛。戦争翼賛派ゆえに荷風は忌み嫌っていた):梶野稔さん
若い新聞記者:大中耀洋(おおなか・てるひろ)さん
カフェの女給(Wキャスト):高木理加さん/長木彩(ちょうき・あや)さん

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