みくろの観てきた!クチコミ一覧

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日本演劇総理大臣賞

日本演劇総理大臣賞

ロデオ★座★ヘヴン

駅前劇場(東京都)

2023/12/27 (水) ~ 2023/12/30 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

上演時間、2時間。

開場して10〜15分くらいに入場して、
席がとびとびで空いているくらいだったのですが、
場内スタッフさんが
「一番うしろは通路になっているので、ぐるっと回り込めます」
「奥側は最前列が空いています」
「手前側3列目ならおふたり並びで観劇できます」
などと
具体的な口頭案内をしていて、
着席しやすかったです。

役者さんも演技力がすばらしい人揃いで、
骨太の脚本とたしかな演技で大満足です。

なぜ「演劇」を選んで彼らがここにいるのか。
なぜ私は現地に行って「観劇」をするのか。
そのひとつの答えがここにありました。

ネタバレBOX


『残り火』という演劇作品が出来上がるまでの過程の「稽古場」と、
『残り火』が総理大臣賞に相応しいかを論じる「選考会」の
2つの空間が交差するのですが、
その構造・構成が巧みでした。

『残り火』というひとつの作品を劇団(内側)と選考委員(外側)から観測させて、
さらに『残り火』の「観客」となる警察・記者も舞台上にいることで
作中で語られていた「循環」「対話」を目視させつつ、
客席に座っている「こちら」と『日本演劇総理大臣賞』という作品で「循環」と「対話」を起こしていました。

観劇が、演劇が客席の「私」に与えてくれるものを画化・言葉化、そして体験させてくれたうえに、
自由な表現を奪われていく演劇人のあがきと、
それでもまだ失われてないものを描くストーリー。
すごい体験をしました。

客席が2面で舞台を挟む配置も良い効果でした。
特にそれを強く実感したのが
クライマックスの久子が「俳句にする」シーンの劇場全体の一体感。

横からの視点になることで、
舞台上のふたりの登場人物がつかもうとしている「ことば」への遠近感の表現が強まり、
否応にも視界に入る客席に循環を味わい、
さらに自分の心の揺れを自覚する。

すごく充実して、贅沢な時間でした。
さようなら

さようなら

オパンポン創造社

王子小劇場(東京都)

2018/04/19 (木) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

上演時間80分、+アフタートークで10分程度。

関西でも観て、動画配信サービスの「観劇三昧」でも観ている作品ですが、
何度観ても面白いです。
役者さんたちの細かい表情や
それによって動く劇場内の空気など、
「ナマだからこそ楽しめる」要素にみちみちているお芝居だからです。

淡路島のネジ工場を物語の舞台にしていますが、
淡路島行ったことない私にも見覚えのあるような登場人物たちだらけです。
こういう人達、いるよなぁ…と思わせるのに、
記号化されていない「人間」らしい人達なのは
脚本・野村さんの緻密な人間観察の結果と
役者さん各々の演技力のすごさなんだろうなぁと思います。

「小さな世界の、繰り返す日常」を、
退屈させないように、
そしてちょっと笑えるように描く手法など
見事でした。

最後まで観終えて、
タイトルの『さようなら』が各登場人物、そして自分の胸に落ちていく感じがしました。

ネタバレBOX

「変わろう」としている彼女と
「変わること」を嘲笑った彼とが鏡のようになる
雨の中のシーンが好きです。

あと、柴田が感情が先走って言葉にならなかったであろう部分を
別のシーンで社長が宮崎に伝えたところも
「付き合いの長さと年の功だなぁ」と
しみじみ感じ、年を重ねることを好ましく思いました。
(ここで社長があの殿村さんだからいいんだよな、とも)

「東京に出れば変われる」という思いから
行動に出た彼女を、
同じことを考えて上京して
いま東京で暮らしている地方出身者の人達は
客席でどう思っているんだろうなぁ…
そんなことも考えました。

ラストシーンの一瞬でひっくり返すところで、
「さすがオパンポン創造社作品!」と
いつも心の中で拍手してしまいます。
あの結末、大好きです。
東京30

東京30

ThE 2VS2

OFF OFFシアター(東京都)

2018/02/09 (金) ~ 2018/02/13 (火)公演終了

満足度★★★★★


6演目上演で90分。
「観たい!」で期待していた通り、
今回も面白かったです。

全編同じ衣装の役者さんたちの芝居が軽妙で、
サクサクッと軽い気持ちで観て笑えるのに、
あとになってからドキッ、ギクッとしてしまうようなネタ等も、
ストレスフリーで観れるように作られている(実は計算高い)脚本も面白かったです。

受付で精算して「チケット半券です」と渡されたものがハガキで
まず意表を突かれました(笑)

アンケートに下敷きついてる親切さ、
開演前から笑わせてきて
これから起きることの雰囲気も伝えてくれる採算度外視の当日パンフレットも楽しかったです。


私は「ブラザー」と「頭の中」、「オーディション」が特に好きでした。


ネタバレBOX

※以下はツイッターに投稿したものの転記です※


>免許 
まずゴルフのくだりでひと笑い。 
たしかに公式機関のつくるVって 
あんな感じになってるの、あるある(笑) 
「あえてしない人」へのメリットもあって、 
軽率に「この法案いいじゃん」って思ってしまった… 
感情こもってるなぁ、と思ったら、やはり(笑) 


>ブラザー 
気づいてしまった瞬間からもう 
笑いがこみあげちゃってこみあげちゃって。 
腕の位置でゲラゲラ笑ってしまったよね。 
序盤のアレの正体が明言されたときの 
客席全体の「あー!」感が大好きだった。 
体質変化に対しての解釈がヤバイ!(笑) 


>頭の中 
観劇直後ツイートでも書いたけど、 
ドンドコドコドコシーンの、 
顔冷静・脳内大騒ぎの「画」としての面白さがすごかった。 
自分もあぁいう風になってることあるんだろうな。 
しゃべるたびにBGM鳴らしてくるのと、 
あの「シンクロしてる俺」感がいい感じに心をザラつかせてきて、いい演技でした。 
彼に対しての脳内の対応が(笑) 


>わるいやつら 
殺人的忙しさの店内からの…の、見せ方がすごくかっこよかった。 
ほんと心中はあんな感じなんだろうね、っていう。 
後半のサスペンス交錯も好き。 
最後のあの空気感が…わらいつつ、こわい(笑) 


>オーディション 
まさかの関係ってそっち!(笑) 
しかも朝から!(笑) 
私情に走りがちな鬼監督の様子が面白すぎたし、 
自覚と葛藤の女優志望は真剣なのに笑ってしまうし 
助手の「一人娘!」つっこみと目覚め顔でとどめ刺された… 


>逃げる阿呆に見る阿呆 
コントレックスでも観た作品だよな、これ。 
変質していくゾクッとする部分と、 
そこからの、そっちに行くんかい!? がほんと楽しい(笑) 
女優さんが変わって、また印象が変わった。 
こっちも色気すごい… 
そういえば序盤のアレが無かったなぁ。 


カテコの音楽(音声)の金額が…あわわわ( ̄▽ ̄;
オパンポン創造社「最後の晩餐」

オパンポン創造社「最後の晩餐」

オパンポン創造社

小劇場 楽園(東京都)

2017/06/02 (金) ~ 2017/06/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

上演時間は30分以上40分以下ってところ。
この時間のなかに
衝撃も笑いも哀愁も幸せも人間味も詰まっていて面白かったです。


(ネタバレ欄に
は自分のツイートを一部修正して転記)

ネタバレBOX


開始早々の衝撃から、
中盤の言葉なしで彼らの「変化」を見せる様が、
この距離感ならではだな、って。
全編に渡って存在している
「この絵ヅラ!(笑)」感が
重くなりすぎず、笑っちゃう。
でもどこか哀愁があるので面白い。

緒方ちかさんが
作中で見せる大波がスゴくて。
私の席からでは若干背中だったシーンだが、
それでもチラ見えした横顔につたう涙でぐわっと気持ちもっていかれた。
川添さんと野村さんが並ぶシーンで、いろんな意味で対比になってるんだなって気づいたりとか。
演劇祭参加にあたっての追加要素(ビーチボール)で彼の過去に深み。

『最後の晩餐』は前にも観たことある作品なんだけど、
序盤のインパクトがすごすぎて
あのシーンにあんなに細々と散りばめられてたんだなぁって
今さら気づかされた。

二人が「行こうか!」ってなった時
「その格好で!?」って止める人がいない事に笑っちゃうし、
ラスト急ぎめになる、
後悔したくない三人にじーんとなるし、
でもこの人ズボンはいてないっていう
絵ヅラの破壊力。

本当にお芝居(見せ方)が上手い人がやると、
あんなにそぎおとした&とぼけた台詞の応酬でも、
言外の意味や過去の想像までガッツリこちらに伝わるものなのね…
と、しみじみ思う
『ロデオ★座★ヘヴン』

『ロデオ★座★ヘヴン』

ロデオ★座★ヘヴン

スタジオ空洞(東京都)

2016/10/25 (火) ~ 2016/10/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

「芝居」の可能性&魅力の大盤振る舞い!
受付&開場は開演の30分前。
L字型の2面客席。
上演時間は、休憩なし110分。

作品と作品をつなぐ転換の時間も、
バタバタ物を置いていくのではなく、
リズミカルに計算して演出しているようでした。

まったく色の違う3作品、さまざまな魅力がありました。

役者の演技力と、演劇の自由度と、
ロデオ★座★ヘヴンという団体の軌跡と
ここに至るまでの奇跡的な出会い(役者さんや脚本演出家さん)を感じる公演でした。

ネタバレBOX


椅子の上にあったアレ、そして映像に、
「どこかでチラシを手にした瞬間から、
この公演が始まってたんだなぁ」
と思わされました。
刺毛-シモウ-

刺毛-シモウ-

はぶ談戯

テアトルBONBON(東京都)

2016/10/19 (水) ~ 2016/10/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

好みは分かれると思うけど、心に残る作品
知っている役者さんが客演するということで、
初めてうかがいました。
指定席で、上演時間は休憩なし2時間。

劇団先行で予約しまして、
劇場に行ってみたら
該当するイスがないという事態に直面しましたが、
スタッフさんが丁寧に迅速に対応してくださって
気持ち良く観劇できました。

予約の際のメール対応も優しくて良かったです。

本編は、好き嫌いはあるかもしれないけど、
見ないふりしてる醜い部分をえぐるようなシーンもあり、
でも、それでも寄り添っていないと生きていけない
人間の不完全さ&切なさを感じる話で、
私は好みでした。

ネタバレBOX



山奥のコテージに訪れた人々が、
少しずつ心と人生が壊されていく…
というような話で、
性的な方面の話題も出てきましたが、
「いろんな愛の形があるんだなぁ」
という感じで、

エロいなとは思いましたが
(基本的に直接的にはキス止まりだった)
いかがわしいとか汚らわしいとか思いませんでした。
と、いうか、
他人のこんな部分を見ちゃイケナイかなと思いながら見ているのが
背徳的で楽しい…あっ、でも楽しんじゃいけないのかしら? って感じで、
ゾクゾクしました。

歌謡ショー的な部分は、
スタスタやって来てさりげなくマイクを渡していったり回収したりする管理人夫婦含めて面白かったです。

歌謡ショー的演出は特に「突然!」って感じでもなかったので、
違和感なく見れました。

オープニングは耳が慣れる前に始まって、耳と目が忙しかったのですが、
ソロ曲の歌詞は、
歌詞カード(販売パンフレットに記載)見なくても聞き取れました。
人妻の曲が、
歌い出す前のエピソードを絡めた
それっぽい曲調で面白かったです(笑)

時々あった、2、3組の場面のセリフが入れ子になっている(?)演出は
情報整理で頭使うのにちょっと苦労したけど、面白いなぁと思いました。
ムーア

ムーア

日本のラジオ

RAFT(東京都)

2016/10/06 (木) ~ 2016/10/10 (月)公演終了

満足度★★★★★

めをつむるなんてもったいない
上演時間55分、濃密な作品でとても面白かったです。

受付のスタッフさんの対応も丁寧で、
当日パンフレットの裏面が台本(←全文掲載!)のことも
受け渡しの際に目を見て一人一人に言ってくださって、良いなと思いました。

新聞を模したようなデザインの当日パンフも雰囲気あって良かったし、
色みはないのに妙に圧迫感のある舞台美術や
役者の演技力を魅せる演じ分けや、
出ずっぱりの演出も見ごたえありました。

片時も目を離せない作品でした。



以下はツイート転載で失礼します。

ネタバレBOX


題材は、知らない人についてっちゃアカン的なアレと、
色々マイノリティな人のアレなんだけど
別にそんな「キモッ!」とかいう気持ちにはならなかった。
でも「かわいそう」とも思わなかったけど。
身につまされる部分のほうが多かった、というか。
小道具の使い方とか、役者のじわる変わり方とか…ゾクゾク

劇場出たら日常の風景、っていうこの立地がさらにクる話だなーと思った。
そんで、役者の表情とかが最後列でも視認できる
あの距離感もいいんだと思う。
東中野駅から会場のRAFTまで12分くらいか? 
歩く価値あった。
駅までのすれ違う人たちも、作品の一部みたいだった。

当日パンフに台本が載ってるの、
セリフ云々のパワーもあるけど
役者さんの演技でものいわせる系だからこその、
自信あっての行為なんだろうな…(まだ読んでない) 
安藤氏の視線と藤本さんの小道具の使い方と立ち姿、
横手さんの数種類の不気味さと
三澤さんの引きずり込み方と圧がスゴかった。

昼の(別作品)も、夜の日本のラジオも
床に靴底が当たる音すらたてるの憚られる緊張感ある景色で…
(別作品)は2回目だったから
どこでゆるみポイントがあるか把握できてたから良かったけど、
日本のラジオは次はどうなる、この止まった空気を誰が動かすのか…って
とてもヒリヒリした。


狂犬百景(2016)

狂犬百景(2016)

MU

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2016/10/01 (土) ~ 2016/10/10 (月)公演終了

満足度★★★★★

ゾンビ映画的設定で描かれる人間模様に、ニヤリ&ズシン
上演時間は約2時間10分。
受付は開演1時間前、
開場は30分前(チケット記載の整理番号順)。

本編もさることながら、
スタッフワークも劇場の椅子などの環境もよくて楽しかったです。
団体の公式ツイッターが公演前に
その日の当日券の有無、
開場時間等ツイートしてくれていて、
三鷹駅からのバスの乗り場と時刻表も書いてくれてるのがとても親切でした。

(以下、
自ツイート転載でしつれいします)



狂った犬がうろつく街に住む人々のあれこれ話。
男と女の面倒くささ、
人の本性が出て、それがピリピリするし滑稽。
上演時間は2時間10分だったけど、途中、
薄暗がりでの場面転換ありな連作短編なので、
肩の力を抜く時間あり。面白かった。

当日パンフに配役と各話のあらすじ&
登場人物のソコソコくわしめな説明が載ってそうだったので
ほとんど読まないで観劇。でも平気。
2話の暗転明けに女性が多めに出てたとき
区別つくか戸惑ったけど、
話始めたら各々個性的で
すぐ区別ついた。
前に観たことある方々も、わりとすぐに気づけた。

なんで今日マチソワじゃないんだろう(当日券買ったのに!)ってくらい
面白かったので、来週も来れたら来よう。
上演台本も販売。
値段は覚えてないけど高くはなかった筈。
早めに予約したから初演の台本データ送られてて、
聞くとなんか色々違うところあるらしいのですぐに読むのは勿体無いなぁ。

ネタバレBOX


「コウリュウ室」の漢字を、
最初違うほう(交流)をあてて聞いてて、その後、
あっちがうちがうそうじゃない(拘留か)…になったんだけど、
あれは作者の計算か私がバカなのか…

PMC野郎所属のNPO法人さんは、
全部人間の役。
メイクしてなくても演じ分ける役者っぷり。
そうそう、こういうの好き。
最後に出てくる役が特にインパクト強かったな。
前半の(役の)肩や手、呼吸と表情の細かさが印象強かったから余計。

古屋敷さんはナマでは3、4作くらい観てるかな? 
共通してまっすぐが暴走している感じで、
それが表に出るかフツフツしてるかっていう芝居の違い。
彼に限らずだけど、本筋スポットが当たってない時の反応や様子が細かい。

第一話の、 
コンビニの棚の品物を前に出す店員の手つきがやたらリアルだったな(笑)  
肩をすくめて気配消す感じとか、わかる。 
飛び越えて行われる会話を聞く
彼女の表情が好き。 
運命についてのことばが印象的。 

第二話の、 
女子アナみたいな(偏見)娘の、 
一見してすぐにわかる「あの感じ」すごい。 
彼女への「~で返事をするな!」が最高(笑) 
ラストの彼女の行為の意味に気づいて
スッとする。 

個人的に好きだけどエグいわ(精神的に)と思ったのが、
第三話の3人の「いつから」の話。 効果音とか無いんだけど、
空気が変わる音がするようだった。 
これは役の説明読まないで見てよかったな~。 
良心と残虐が
くるくると入れ替わって見える、 
なかなかそろわないトランプ神経衰弱みたい。 
志村さん(役名)と彼の関係が 
口に出される前に見ててわかる。 
なんでだろう。 
お互いの距離の取り方かしら? 

第四話は
全てが集束してくる感じにザワザワする。 
MUは前の時もそうだったけど、 
収まってるようで
別の部分の嵐が始まる感じ。 
男の「理解してる」感と
嫉妬丸出しの顔に
笑うかもやっとするかはこちらの心情次第だな。 
紙コップ男子がツボ。 

舞台装置の見えなそうで見える感じと 
奥の使い方が良かった… 
歌詞を覚えられない彼女の声が、 
ある意味サブリミナル効果だったな。 

想像力があると少しグロいのかも。 
現場はでないけど、血糊はあるから。 
橘さん(役名)の鞄から出てくるアレの破壊力。 

平日の天使、その他の短編

平日の天使、その他の短編

キコ qui-co.

Ito・M・Studio(東京都)

2016/09/20 (火) ~ 2016/09/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

Aプログラム観劇。
受け付け、開場は開演30分前。

会場は坂を上ったあとに路地を右折するのですが、
入るべき路地に看板が置いてあるのも親切でした。

Aプログラムは休憩込で150分。
(『ミートソース・グラヴィティ』『赤猫の舌』+休憩10分+『平日の天使』)

Bプログラムは後日観に行きます。

この上演順、にくい。
すごく面白かったです。
役者さんも作品ごとに様々な姿(表情・性質など)を使い分けていて、
終演後「同じ役者だったのか!」ってびっくりするような人もいました。


特に『赤猫の舌』は観劇後「2回観たいなぁ」と思ったので、
Bプログラムでも上演されるの嬉しいです。

彼らが内に秘めた、「狂おしいほどの愛」を
自分だけひっそりと透かして見ていたら、
そのまま自分の中に通じていた、というような体験でした。

ネタバレBOX


>『ミートソース・グラヴィティ』
阿佐ヶ谷の商店街にある「ミー○屋」に行きたくなりました。
コントのようだなぁと思っていたら、後半の展開が切なくて泣けました。
小栗さんの笑顔からとてつもない時間を感じました。

>『赤猫の舌』
「イバラキ」の存在感の笑いと重み、衝撃的でした。
赤い服の女性とギターを弾く小栗さんという初っ端の絵面で
小栗さんが作・演出した別団体の『おつきさまがついてくる』のことを
ふっと思い出したのですが、似て異なる…でも
底にある感覚的なところで同じものを感じる世界観だなぁと思いました。
作中の世界観はとても冷たい設定なのに、
人間の温かみや肉感的な表現で役者さんが世界を構成してるのが
面白かったです。

>『平日の天使』
相手に触れなければ基本的に発症が分からない、という病を
役者さんが具現化させる様に
「演劇って、なんて面白いんだろう!」と思いました。
(客席は演者に触れられないから、彼らの説得力が命)
『ミートソース~』で見せた笑顔と同じ顔で、まったく違う性質で、
一番遠いけど一番身近にある恐ろしさかもしれないな、などと思いました。



↓以下は自ツイートの転載↓

人の目に見えないものを、役者の芝居でそのように見せる感じ、
感覚を言葉にするセンス、表情。ドキドキする。
愛と欲、本能と理性の境界線を刺激された。
作品ごとに違う人間になる役者さん達スゴすぎ。

Aプログラムは3作で150分。全然、そんな長さを感じなかった。
パイプ椅子のクッションも厚かったし。
あることばが、劇場を出たときにタイミングよくその通りだったので、
この時に観に来た自分を誉めたい。
(追記:雨が止んだ)
利己的な愛情を否定しない所が好き。
『平日の~』の彼女(追記:マリ「感染しててほしい」)の台詞、至言。

人を好きになった時の、
情緒不安で幸せで破滅的なあの感じを味わえるのがキコ/qui-co。
『ドリームランド』『ラット13』と観てきて今日やっと確信した。
あと『赤猫~』あの声どこから出てるの!? って感じだった。
女優さん達、ピュアなのも、夜を想像させる色気も、
どっちも持っててスゴイ。
(追記:『ドリームランド』は別団体での上演で
厳密にはキコ名義じゃないけど…)


小栗さん、ほんと超いっぱい出てた。
そしていろいろな感情が取り揃ってた。
3編のうちどの小栗さんが好きかなんて…言えない…
(強烈に好きな役があるけど、はげしくネタバレに抵触する)
(追記:『 ミートソース~』の誠一さん、すごく好きです。)


覇道ナクシテ、泰平ヲミル【偽蝕劉曹編】

覇道ナクシテ、泰平ヲミル【偽蝕劉曹編】

劇団ZTON

王子小劇場(東京都)

2016/09/22 (木) ~ 2016/09/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

再演されるごとに洗練される、ZTON流三国志!
受付・開場は開演の30分前。
上演時間は、途中休憩なし2時間10分。

客席は横に広く、アクトエリアも上下左右に広く使った方式で、
迫力の殺陣と
キャラクターと世界観を一望できる「ACT」と呼ばれる一連のシーン、
大小さまざま散りばめられた伏線と格好いい見せ場、笑いどころなど
飽きることのない時間でした。


覇道泰平シリーズは2作だった初演から拝見しておりますが、
1作にまとまった2015年版の「そのまま再演」ではなく、
役者さんに合わせてキャラクターの性格が変化していたり、
セリフは同じなのに
語調や表情でまったく別の言葉のように聞こえるようになっていたり、
新たな楽しみがありました。


こりっちフォームから事前に予約していると
劇団から当日に案内メールが来るのですが、
席の種類や空調の具合、
当日の天候についての言及(傘立てがある等)もありとても親切でした。

自分は2公演予約しているのですが、
内容把握は1回で満足できる描かれ方です。
でも、どうにかもっと追加観劇できないかな? と思うくらいに
何度も味わいたい魅力的なキャラクターと世界観でした。

ネタバレBOX


今回は「劉曹編」と冠されている、劉備と曹操が主軸となる話。

劉備役と曹操役の役者さんの芝居力と客席に与えてくるイメージが
天秤…あるいはコインの裏表のようにバランスがとれていて
すごく良かったです。

若干、BGMの音量と役者さんのシャウトが混じって
不明瞭な部分もありました。


↓以下は自ツイートの転載↓

再演を重ねるごとに本当に文字通り研ぎ澄まされていく
為房さんをはじめとした皆さんの殺陣! 
あとキャラクターの掘り下げもどんどん深くなって、
見せ方もさりげなくとディープにとが混在してて楽しい、
ほんと東京でコレ観れて幸せ…!


平野くんは
全覇道泰平張飛のなかでいちばん(ピー【ネタばらし:おばか】)だよ!!!(笑
めっちゃ良いもの観た


黄龍ちゃん代々可愛いんだけど
「可愛いってこんなにいっぱい種類あるんだ!?」って感激した。
炎龍さま…白いすてらさん、美しすぎた。
某台詞、いままでの炎龍の印象とは決定的にちがう言い方だったなぁ。
董卓一行今回出てきた瞬間に惚れたわ。
同中(オナチュー)感ある関係性

ZTON、速さもあるけどそこに乗せたストーリー云々って感じのことを
開演前にツイートしたけど、速さもやっぱりすごかった。
今回、王子の舞台をとても広く使ってる…! 
ここの劇場は団体によって、
客席入った瞬間に方向感覚めっちゃくるうね。
前で迫力を体感するか、後ろで世界を楽しむか悩む

『覇道ナクシテ、泰平ヲミル【偽蝕劉曹編】』で
「知恵がまわるものが生き延びていくための術(すべ)」を観てほしい。
ほんと、今回の「彼」の生への執着を観てほしい。
まだ初日だから明かすの悩んだけど言っちゃうね。
後半の関羽の生き方。血が冷える。
(追記:劉備の話を聞いているとき、
両側の二人の疑念や怒りをおさえようとしてるような仕草、壮絶な笑顔)

初演再演を経ていろいろ追加要素があったり、
逆にスパッと、見せる部分を語りに変えたり他のキャラに託したり…
ブラッシュアップってこういう事なのね、と実感。
笑いどころも客席だいぶウケてて、
笑わせ方愛され方がどんどん巧くなってる。
張飛の某発言(追記:義勇軍のくだり)がツボにハマった。あれウマいわー!


作中の、龍達の舞からの一連のシーンは
ZTONでは「ACT」と呼ぶらしい。
今後の展開や、世界観などをぎゅっとおさめた見ごたえある部分。
今回は龍と各勢力の関係の中に、伏線や各キャラの心情が描かれる。
全体見るつもりだったのにうっかり董卓軍を注視してた(笑) 
呂布の表情、雄弁でした。

タイムリーパー光源氏

タイムリーパー光源氏

十七戦地

Gallery&Spaceしあん(東京都)

2016/09/09 (金) ~ 2016/09/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

観客をタイムスリップさせるタイムリーパー
受付、開場は開演20分前。
上演時間は65分。

靴を脱いで上がる古民家での上演。
(受付時に、靴をいれるビニール袋を貸してもらえる)
最前列は少し低くはなりますが、
全席椅子でした。

脚本家さんの客席案内は、
開演直前に設置される追加席の事も告げてくれて、
親切でした。


タイムリープ(時間を戻ってやりなおす)の演出はどうするのかなー…と思ってたら、
そうきたか! という見せ方で、
それによって色々想像させる部分が増して、
とても面白かったです。


終演後に台本(800円)や劇団グッズ販売あり。

ネタバレBOX


最初のシーンの、光源氏と景色のコラボレーションがとても雅で、
「この人が光源氏(光る君)だ!」という説得力がありました。

藤原さんが藤壺役だと思っていたので、
キャスト表を見てびっくりしましたが
作中の惟光の発言を聞いて納得。
そして「重要人物を、あえて舞台上に出さない」柳井さんの脚本の力をつくづく感じました。

平安的な小道具は扇子くらいなのに、
(衣装も雰囲気程度)
芝居が始まると平安時代になってしまう舞台の魔法にかけられた65分でした。

夜公演だったので(?)、
戸のガラスに役者さんの顔が映って、
背中を向けているときも表情が見えたのがラッキーでした。

繰り返される会話、
出てくる言葉は同じなのに
感情によって言い方が変わったり、
それによって向かう先が変化してしまう(見える部分が変わる?)のが
とても楽しく、
繰り返しのダラダラ感がなくて良かったです。
ハロウザディップ

ハロウザディップ

演劇組織KIMYO

王子小劇場(東京都)

2016/09/08 (木) ~ 2016/09/11 (日)公演終了

満足度★★★★

にぎやかな茶番劇。ネーミングセンス超好み!
上演時間は休憩なしの2時間。
内容的に、
休憩がもし入るならここかな~、
というポイントは有りましたが、
勢いがある話なので休憩なくても
「長いなぁ」とは思いませんでした。
(むしろ休憩が入るとあの疾走感が損なわれそう)

鮮やかなダンスや大量の衣装も豪華で
舞台空間を全部使う演出もあって目が楽しかったです。

展開全部を知ってから、
「ある登場人物」の人生を追いたくなったので、
リピート割引にも背中押される形で
明日も観ることにしました。


こりっちの予約確認メールに
開場は45分前と書いてあったのに、
劇場に行ったら30分前に受付開始でした。
私が行った回だけだったのかなぁ…

パイプ椅子に劇団オリジナルの座布団が敷いてあったのも、
親切でよかったです。

ネタバレBOX


当日配布パンフレットに書いてある役名の読みが、
全部食べ物系のものをもじった名前。
(カツカレー、中落ちカルビに大トロサーモン…などなど)
開演前から飯テロでした(笑

まさに人を人とも思わない「国民」としての視点で見ていたので、
鬼木さんの言葉にギクッとしました。

ラストの景色の荒涼とした空気間と、
その数秒後に起きた出来事に「やられたー!」と思いました。

キャラクター一人一人のアクが強く、
最初のうちはそれがあちこちに乱射されてるように見えて
正直胸焼けしそうだったのですが、
お互いの関係性が密になっていくにつれて
彼らの生き方(目的や欲望など)がぶつかりあって、
大きな流れになっていくのが見えて面白かったです。
七人の語らい(ワイフ・ゴーズ・オン)/笑の太字

七人の語らい(ワイフ・ゴーズ・オン)/笑の太字

Aga-risk Entertainment

サンモールスタジオ(東京都)

2016/08/31 (水) ~ 2016/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

【Bチーム】観劇。
『七人の語らい(ワイフ・ゴーズ・オン)』と『笑の太字』(各45分)を
間に10分の休憩をはさんで2本立て。

各作品上演前に、
脚本演出の冨坂さんがご挨拶してくれました。

2作品とも、現場を見てただ笑いながらも
「笑いをつくること」に関して考えさせられる部分もあって、
楽しかったです。


早期予約&事前入金して
当日受け付けに申し出るとキャッシュバックされる
「(大)貧民割り引き」があるのも面白いです。

ネタバレBOX


『ワイフ~』での、
スタイリッシュ大作戦(勝手に命名)で時計が外されてからの展開に笑いました。
更なるハラハラドキドキ要素も加わって、
ラストまでゲラゲラ笑いながらも手に汗握ってました。
(アナログ時計よりデジタルカウントダウンの方が
焦燥感と誤魔化しできない感じがあって、
あの切り替えから空気が変わった気がしました)

途中に挟み込まれるあれやこれやで
「どうせ円満に解決するんでしょ?」って気が見ていてしなかったのがすごかったです(笑
べつに「あのコメディを演じてる役者さん」の人生について
作中で語られることはほとんど無いのに、
彼らの話し合いシーンで垣間見える「芝居へのスタンス」の違いで
彼らが普段どういう役者で、
他にどんな感じの作品に出てるのかなど
想像できるのも楽しかったです。
「実はスタイリッシュ作品が好きな、チャン役の役者」
を演じてる津和野さんの
片言を禁止された後の「アイヤー」の日本語訳、面白かったです。


『笑いの~』は、
観劇前にはタイトルの意味がよくわからなかった(モトネタにピンときてなかったので)のですが、
そういうことか! と気づかせる序盤のやりとりと、
タイトル映像の、有無を言わせない感じにのけぞりそうになりました。

「甲田くん」の屁理屈爆弾と、
それにツッコミながら対応する「津和野先生」の、
短い言葉なのに的確で破壊力ある感想の言葉のチョイスが
すごいなと思いました。
「不死身か!?」最高でした。

怒涛のセリフ量に圧倒され、
仰天のオチ、
その後繋がっていくシーンでの表情にドラマを感じました。

「ごはんと祭」

「ごはんと祭」

ごはん部

駅前劇場(東京都)

2016/08/15 (月) ~ 2016/08/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

【B日程】楽しい米騒動でした
開演1時間前から受付開始、開演30分前から開場。

「受付開始から15分間のうちに手続した人から抽選で1名に
チケット代キャッシュバック」
という太っ腹企画あり、グッズ付きの豪華な升席あり、
開演まで舞台セット撮影OK。
ごはん部のお二人(?)が開演ぎりぎりまで劇場内にいて、
客入れBGMのリズムに合わせてウチワをたたいていたり、
観劇諸注意などをくだけた言葉で言っていてときどき笑いが起き、
開演する前から和やかな雰囲気でした。

上演時間は100分くらい。
どの団体も「ごはん」というキーワードが含まれているのは共通でしたが
様々な色合いで、楽しかったです。

当日パンフレット表紙の絵がかわいくて、
グッズになっていてうれしかったです。


以下は自分のツイートの転載。

ネタバレBOX


ごはん部は最初と最後に上演のサンドイッチ方式。
初っぱなから盛平さんのうっとりどや顔っぷりに笑ってしまった。
「せっぷく♪」とか、
あの突っ込み入れ足りないヌケヌケとした世界観、スゴい好き。
なのに心情を感じちゃうんだよなぁ。
後半の展開で「ええええっ!?」って
劇場が静かにどよめいた(と私は思ってる)あの瞬間が、すごく楽しかった。
ある意味、開演前から種まいてた感(笑) 
疑問符浮かべるタイミング、巧すぎ…! 
そして、せりかちゃんの鞄(×2)可愛い。 


ウミダはある意味ごはん部よりごはん部の話(笑) 
前園さんがどこまでもどこまでも自由っぽくてやかましくて、本当に女の子。
壁際の言い訳(?)最高。
対する海田さんも、どこまでが台本なんだろうってくらいに。
リアルにお腹すく。


ピヨレボは「こ、これが噂のピヨレボか…!」って思った。
正直、ゆるい手作り感あるつくりなのに
段々と熱量にひっぱられてしまう楽しさ。
衣装替えたくさんで目が楽しい。
macoさんの華が格好よくて、特別ゲストみゆぅつー可愛すぎ。
細胞がそもそも彼女の形だったってのは
玄米さんの脳が常に思ってるものがそれだったってことなんだろうか。
劇中で玄米さんそういう反応はしてないから、
メタ的な考えなのかもしれないけど。
なんかそう思うとめっちゃ愛しいな。


あひるなんちゃらは
話通じない系特有の間が上演順的にちょうど良かった。
3人っていう微妙な人数での「普通」のゆらぎが楽しかったなぁ。
サムのくだりは、アレをやってなくても
「アイツだな」って知ってるくらいだから…スゴい文化だ。


スタンダード・デイ 騎士

スタンダード・デイ 騎士

無頼組合

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2016/08/05 (金) ~ 2016/08/07 (日)公演終了

満足度★★★★

非日常に生きる彼らのスタンダードな日々…(笑
観たのは前売り券完売回でした。

当日券対応で開演が押すのを防ぐためか、
本来受付開始40分前、開場時間30分だったのを
受付と同時に開場したのは賢明だなぁとおもいました。

上演時間は休憩なしで2時間。

短編と大きな流れの絡ませ方が
想像してたよりライトでしたが、
うまいこと作用してて楽しかったです。

シリーズのレギュラーメンバーが今まで見せてなかった面も描かれていて、
相変わらずハードボイルドものの格好よさも押さえてあって、
面白かったです。

ネタバレBOX


本編シリーズで描かれているような「非日常」ではない
スタンダードな彼らの姿…といいつつ、
そっち方向に巻き込まれてしまうあたりが
彼らの性分なのかなぁ、などと(笑)

オープニングや全員参加のお祭り騒ぎシーンこそ無いものの、
バイクのシーンや追いかけっこシーンの演出は健在で、
騎士シリーズっぽさはありました。
風吹のハイキックは、なかったかな…?

短編タイトルの出し方
(特に「摩天楼」のラウンドガールみたいな彼らの表情)
好きでした。

時間を盗まれた人々、という共通項で
人情、ドタバタ、自己中心的な動機、
暗躍する犯罪組織、
きまぐれクールガイ、
やりきれない思いを抱える犯罪被害者、
そして復讐…など、
ドラマがたくさん見れて良かったです。


次回公演が騎士シリーズ最終回だと聞いていたので、
まさかの最終回延期の報告にぶっとびました(笑)
もう少し長く彼らの生きざまが見れそうで、
嬉しいです。
[再演版]東京ドーピング2020

[再演版]東京ドーピング2020

<火遊び>

Live Art akasaka(東京都)

2016/07/22 (金) ~ 2016/07/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

芝居と現実の距離ゼロ。まさに「目撃」
別団体でバー公演やカフェ公演は何度か観たことがありますが、
今回のように
バーをバーとして使う形の公演は珍しかったです。
(上演の都合上席は多少移動していたようですが)

上演時間95分。
ワンドリンク込だったので、
開演までゆっくり飲み物を飲んで落ち着けました。
(上演中も飲んで良かった)

会場時間からすでに「登場人物」となって場内いる数名の役者さん、
机の上にある「ドーピングの光と闇」を象徴するような飾り
(錠剤シートが詰められたグラスの上に置いてある花)などが
開演前から作品世界と現実の距離を詰めてきていました。

開演前の主宰さんのご挨拶で
「目撃する」「ゼロ距離芝居」などのフレーズが出てきて、
現実にありそうな内容だったり、
役者さんとの距離だったり、
上記のような開演前の演出だったり、
そしてあえて芝居がかってない
「聞き取りづらい」セリフのやりとりなどが、
まさにその現場を見ているような感覚を与えてくれて、
とても面白かったです。

※一部の「聞き取りづらい」は、わざとそうしているのがわかるので不快感はなかったです。
(「声にならない言葉」のような感じ。
行動や表情が何を言わんとしているのか語っていました)

ラストも、
終わったんだけど終わった感じがなくて、 
作中時間的にはまだ未来(2020年)の話で、 
でもすでに今も起きてる事かも知れなくて、
終演の挨拶として主宰さんが前に出てくるまでずっとはりつめていて、 
自分の拍手の音でやっと安心した感じでした。 

うちの犬はサイコロを振るのをやめた

うちの犬はサイコロを振るのをやめた

ポップンマッシュルームチキン野郎

シアターサンモール(東京都)

2016/07/23 (土) ~ 2016/07/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

【R18回】珍妙な設定にくるまれた美しさに涙
土曜ソワレを観劇。

初演が、私の初「PMC野郎」でした。
(そしてその時もR18回を観てました・笑)

上演時間は約120分。

再演、嬉しかったです。
役者が変わって演出なども変わって、
とても楽しかったです。

大人になった小学生男子達の
アダルティかつ馬鹿馬鹿しい遊びが入ったR18公演でも、
本筋の楽しさと切なさ、
残酷さや愛情の美しさは損なわれることなく、
ぼろぼろに泣いてしまいました。


開演前パフォーマンスは開演20分前くらいから開始。
開場時間の時点で、
すでに開演前パフォーマンスの登場人物は舞台の上にいるので、わくわくです(笑)
あれを東京で観れるとは思いませんでした(笑)


有料の販売パンフレット(2000円)には
役名やビジュアルが記載されていますが、
劇場入ったときにスタッフさんがくれる束に入っている
「忙しすぎるキャスト達」一覧には
正式な役名は書いておらず、
でも本編を観れば
「あぁ、この役はあの○○○のことだな!」
ってピンとくるように書いてあるので、
奇想天外な登場キャラクター達を上演中新鮮に楽しめるのも上手いなぁと思います。

終演後は役者さんがロビーに出てきてパンフレットにサイン等書いてくれるのですが、
スタッフさんが通路の確保に細かく気遣ってくれていて、
すぐに帰りたいなって思ってる人(電車の関係とか…)にも
優しいなと思いました。

ネタバレBOX


「ここは(国名)だから!」って感じの序盤のやりとりや突拍子のない登場キャラクター達に、
そんなむちゃくちゃな、と思ってしまいそうになりますが
「いいたいことはそこじゃないんだ、
これからの話なんだ!」
というような、
その勢いに押されて観るのが楽しい作品。

ゴルバチョフがシヅ子に初めて(ダンスの練習してる時の方)会ったときの表情に泣かされ、
ゴルバチョフがシヅ子に会いに行った時の(空襲時)の優しいやりとりにさらに泣かされ、
その後のビジョンで(歌詞にも!)とどめをさされました。

はっきり言って「見目が良い人」の話ではないのですが、
それが彼らの生きざまの美しさを際立たせていて、
大好きな話です。


サイショモンドダスト★さんの某シーンは
通常でも衝撃的(演劇手法的な意味で)でしたが、
R18で追加された要素でさらに衝撃的になっていました…!
「がんばれ」のシーンは、
そんな彼を心から応援したかったので
その機会が劇中に設けられていて良かったです(笑
INDEPENDENT:3rdSeasonSelection / JAPAN TOUR

INDEPENDENT:3rdSeasonSelection / JAPAN TOUR

INDEPENDENT

王子小劇場(東京都)

2016/07/21 (木) ~ 2016/07/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

【c】【f】【i】を観劇。
大阪に遠征して、
1日通し券を買って観るほど好きな一人芝居フェスティバル。

今回は予定が入れきれなくて
土曜マチネの1ブロックのみの観劇。
c『DANCE BURRN』
f『次の場所までさようなら。』
i『仏の顔も10度目にもう一度』
を観劇しました。

(前評判から気になっていた『或る男』『如水』
以前観てすごく好きだった『あのとき』も観たかった…)


劇場に入ると
まるでクラブのようにDJが曲を流していて、
照明も派手にぐるぐるまわっていてわくわくしました。

販売している公演パンフレットも、
出演者・脚本家・演出家の写真とインタビューと
作品解説と過去の上演作品の1枚写真+あらすじ、
これまでの流れ…情報量すごい!
販売価格もワンコインで、
先行予約していたらタダでもらえました。

20~30分の作品詰め合わせ。
1作品ごとに転換のため2、3分ほど間があきますが、
目隠しで降りている幕に、
先程の作品の舞台写真が映るので
記憶を反芻したり確認したりと集中切らさずに楽しめました。

一人芝居といっても様々な方式があり、
特に今回私が観たブロックは1作目と2作目の脚本家が同じなのに
全く作風の違うもので、ますますお芝居の世界の奥深さを感じました。

とても楽しかったです。


以下は
観劇時のツイートを一部修正して転記。

ネタバレBOX


『DANCE BURRN』
一人作業の独り言、あるある…。
このアメリカンな言い回しと、
随所におりこまれる
純日本な小ネタ大好き!
(笑点のくだりが特に面白かった)
男から見た女論にも
底に愛情があるからイラッとしない。
妄想最高潮から…の河口さんの、
ぐにぐにした表情に(笑
終わり方がなんとも秀逸で楽しい作品。 


『次の場所までさようなら。』
タイトルと舞台写真から、
あの内容は絶対想像できない!(笑) 
最初の5秒ほど面食らい、
正面向いての一言にひっくり返り、
でもその姿を観るにつけ受け入れてしまう自分がいる。
(中身は同じようなモノかもなぁ…と)
後半はバカバカしくも神々しくて涙が…!


『仏の顔も10度目にもう一度』maechang氏の演技の幅広さに衝撃。
後半の、喋る前に「誰」なのか分かる
ってのが素晴らしい。
そうなるようなキャラ作りの巧さも特筆もの。
連鎖して救済されていく人生、
ヤスコの叫びに泣き笑い。
カーテンコールで椅子もペコってお辞儀させるの好きでした。

『仏の顔も~』の彼女の狂乱は、
『DANCE BURRN』の「女は熱狂する」のくだりを意識してるんじゃないのかなって思った。
(上演順的にもこちらのほうが後だったので)
maechang氏はスキンヘッドなのに、
あんな真剣な勢いで
ツインテールだって言われたら、
こっちはそう思うしかない!(笑
『シェリングフォード・ホームズの論理的推論~第二楽章 who is ripper?~』

『シェリングフォード・ホームズの論理的推論~第二楽章 who is ripper?~』

黒雪構想

APOCシアター(東京都)

2016/07/21 (木) ~ 2016/07/25 (月)公演終了

満足度★★★★

黒雪構想を感じつつ、単体推理モノでも楽しめました。
旗揚げ公演の『蝶(キミ)が夢で~』以来の観劇。
上演時間も90分と

今回は前作と時間軸が同じということで、
「途中参加にはハードル高いかな」とドキドキしてましたが、
劇団サイトや団体公式ツイッター、
開演前にスクリーン(壁)に映っている文字、
開演直前のダイジェスト映像などで予備知識は得られました。

上演時間も90分程度で気楽だし、
推理もののポイントを押さえつつ
(イイ感じに全員あやしい・笑)
そこにこの団体独特の世界観「黒雪構想」が絡んでいて、
面白かったです。

犯人が複数の女性を殺害するに至るまでの動機(重なるところ)や
最初の殺人シーンの演出(逆光)、
舞台全面をセピア色に染めて
リアルなのに映像のように見せる技術などもきれいでした。

ネタバレBOX


黒い雪が降って世界が滅亡して、
生命が消えたあとに
また同じ星で新たな進化が起きて文明が発達する…
という「世代」論および器と魂の云々は、
文字ではピンと来ませんでしたが
作中の作家夫婦や探偵兄弟などを観ていたらなんとなく理解できました。

ロンドンといいつつも、
私が知っている「シャーロック・ホームズのロンドン」ではないというのが、
(小型通信機やビデオ、デジタル時計がある)
最初は思考を混乱させましたが、
「そういう世界なのだ」と落ち着いたところで
もう一度観たかったなぁと思いました。

『蝶夢』から急にホームズの世界観になったので戸惑って、
シェリング第一作目を見逃してしまったのを口惜しく思っています。
(今では「そういうことか!」と繋がりがわかるだけに)


開場時間から「開演時間=霧の出る時間」として
登場人物が一人アクトエリアに居る演出も、
世界観が感じられて良かったです。

ティル・ナ・ノーグ〜太陽の系譜〜

ティル・ナ・ノーグ〜太陽の系譜〜

劇団ZTON

ABCホール (大阪府)

2016/07/22 (金) ~ 2016/07/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

壮大な世界観と生命力あるキャラに大満足!
翻訳版→通常版の順に観劇しました。

上演時間は当初よりだいぶ延びて、
休憩15分含め2時間50分になっていました。
(13日に劇団公式ツイッターで告知があって、
交通手段の変更も間に合うタイミングで良かったです)


翻訳公演では、
「こちらからは彼らの気持ちが通じているのが見えるのに、
登場人物たちは言葉が通じてないのでそれに気づけないもどかしさ」
を感じてヤキモキしたり切なくなりました。

通常公演では(マチネの記憶を頭に残しつつ)
言葉がわからないなりに
他族がお互いに表情や動きからどうにか理解しようとしている様を見、
逆に同じ言葉を使いながらも理解し合おうとしない同族のやりとりに思いを馳せました。

キャラの一人一人が生き生きとしていて、
休憩に入る前の
ACT(ダイジェスト&後半予告のようなシーン)も
とても格好良かったです。

アンサンブルとして様々な部族の衣装に早替えして駆け回る皆さんにも
ストーリー&個性が感じられて良かったです。


ZTONの過去公演では何度か
「セリフが早滑りしてるなぁ」と思わされることがあったのですが、
今回それを感じることなく、
快適にドラマに没入できました。

公演期間中に脚本販売しているのも、
とても嬉しかったです。



以下は、観劇時のツイート(一部)。

ネタバレBOX


もう前半だけで号泣しました
こういう大きい流れのなかでもがく人間模様ほんと悲しい…

どんな大きな畑も
最初は一粒の種から始まるんだよな。
種をまいた人が
花を、実を見られるかは別の話。
脚本を書いた主宰の河瀬さんが、
最初にドルイドの神の話をした司祭ってのが…責任感を感じる。
ACTのバロルを見て、
休憩時間に『隻眼のバロル』読んどいて正解だった。


殺陣は相変わらず「戦い」で、
そこにドラマが含まれているから見てるだけで泣ける。
痛み以外の表情がある。
例えばエリウ王女が斬られたあとにルーに笑いかけるところとか。


作中の40代以上(推定)世代の
モルクやキアン、キッホル王の見せる姿が、とても良い。
道をつくるけど戻ることはできなくて、
伝えるもの・残してはいけないものの選択を迫られて、
自分の意思だけではどうにもできなくて、その眼と背中がつらい。


2回目観劇はやっぱり
もう一組の親子(ブレス側)を追ってしまう。
立ち上がるタイミングやいざってときの目線の行きどころ、
三騎士も各々で何を信じてるか如実だった。


姫に抱きついた通訳を、ぺいってやる騎士さま微笑ましい。
この話、ってか争い事のほとんどに言えるけど、
当事者が居なくなった後の世代の憎しみって不毛。
ましてやこの物語は文字等「形に残すものがない世界」だから余計にそう思った。

「大切な人が傷つくならそれはやっちゃいけない」
ってスレンの言葉は、転じて
「大切な人が守れるなら俺は何でもやれる」ってことで、
彼はそれを貫いててすごく好きでした。
ブレスが驚くほどの、姫ピンチへの即反応。
「これで良かったんだよな、姫」っていう誰よりも騎士らしい最期の言葉も好き。


スレンとブレスの会話も印象的。
「そんな父が欲しかった」の戦いは
父親がクソガキをぶん殴って諌めるようなものであったし、
騎士の誇りをかけた決闘。
スレンは血を分けた子はいないけど、
父親の役割を見事に果たしていた。
キッホル王がルーに「会えて良かった」と言った時のブレスの姿も切なかった。


ブレスの事情を知ってから観ると、
王がルーの出生を感づいても沈黙した理由がさらに一段深くなるのも面白かった。
バロルは荒んだら完全に別人で、
同じ役者だったのにすごいと思った。「子供を助けに行って」ってルーに言われた後の表情好き。

ZTONは基本的に「この役者さんいつもこういう系」ってのが無いから、楽しいです。

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