鈴木忠志の世界 再び!『トロイアの女』・『からたち日記由来』
SCOT
吉祥寺シアター(東京都)
2014/12/19 (金) ~ 2014/12/26 (金)公演終了
満足度★★★★★
本物、当然ながら
「演劇」を改めて素晴らしい物と思える時間です。
シチュエーション・コメディらしき物(三谷幸喜の悪影響か)が幅を効かせる現代で、本物に触れる喜びは何物にも換えがたい時間です。
「今」を見据え、伝えるメッセージを訓練された俳優が表現する。
これが本当の「演劇」であるはずだが、SCOT以外にはそれに出会えない現状を哀しく思う。
「劇的感動」を得られる唯一の公演。
みえない雲
ミナモザ
シアタートラム(東京都)
2014/12/10 (水) ~ 2014/12/16 (火)公演終了
満足度★★★★★
日本国民の全てが観るべき!
前日の『衆議院議員総選挙』
あれだけ「原発再稼働反対!」「憲法9条を守れ!戦争反対!」「特定秘密法反対!」「社会福祉特定財源の増税やむなし!」 etc.
と連呼していた世論が急に「経済の安定推進」というお題目と共に全てに耳を塞ぎ、口を閉じ、従順に政権継続を選択した。
反対の為の棄権などとバカなことを言い出す輩も多くいた。
行動すること、声を出すこと。無責任な人生を送らないこと。
現代日本の病巣を突く内容であり、演劇が本来持つ役割を貫徹した作品である。
エンターテイメントなんて、呑気で無責任な作品の垂れ流しを享受している日本の演劇ファンを自称している人こそ本作品の空間に身を置くべき。
僕のともだち
劇団 でん組
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2014/12/11 (木) ~ 2014/12/11 (木)公演終了
満足度★★
う~む
拝見いたしました。
率直に言うと、”イジメ”を扱った内容とは言えないと思いました。
加害者・被害者の双方の両親を描いた内容でしたが、親の側からの視点ですね。
親として、子供の変化に気を配るべきというメッセージは伝わりましたが、設定が現実離れした感があり、ご都合主義的な設定という意地悪い見方から離れられませんでした。
親の都合が「イジメ」を招くならそれでもいいのかも知れませんが、まさにその部分(核心)が描かれていないので弱い本だなと思いました。
被害者側の母親の苦悩は「イジメ」じゃなくても、子を喪う親ならかくありなんの表現で、「加害者を恨む気持ち」に転嫁したいという叫びのみが本題に合致しているに過ぎません。
ラストの処理は全くいただけません。不治の病で亡くなった子ではないのに、あのファンタジー路線の表現は何なのでしょうか?
母子の情愛の一端は描いていますが、「イジメ」の本質(意見で構わないのですが…)に斬りこめていない事を反省すべきでしょう。
そういった意味では残念ながら、的を外し過ぎた『駄作』と謂わざるを得ない作品という評価になってしまいます。
客席の無責任な「涙」を期待するなら、違う題材に挑むべきでしたね。
超天晴!福島旅行
笑の内閣
こまばアゴラ劇場(東京都)
2014/12/04 (木) ~ 2014/12/07 (日)公演終了
満足度★★
一応「社会派」?
タイトルに惹かれて観てきました。
過去作品をみると、「クラブ規制」に取り組んでいたり、社会派の集団なんでしょうか…。
演劇を観るというより、彼等に触発されに行くというのが適当かと思います。
芝居は…下手です!なっていません!校長役の松田さんだけがまあ役者レベルです。
ただ、演劇が内包すべき<問題意識>を持った取り組みには賛同します。
これからだろうけどの大人の分別を持って観てあげましょう。
思春期中年39号
気晴らしBOYZ
ザ・ポケット(東京都)
2014/11/26 (水) ~ 2014/11/30 (日)公演終了
満足度★★
エンタメとして楽しんでください
演劇としてより、エンタメという漠然としたものとしてとらえた方がいいと思います。
TVの深夜枠のドラマといった雰囲気でしょうか。
おもてなし
玉造小劇店
ザ・スズナリ(東京都)
2014/11/18 (火) ~ 2014/11/26 (水)公演終了
満足度★★★★★
拍手喝采
昨今の商業劇場が忘れてしまっている「芝居」を、良く書かれた本と手だれの役者の演技で愉しませてくれる公演です。
このまま商業劇場で上演しても立派に成立する公演です。
本当に素晴らしいです!
多くの方に観て欲しい作品でした。
舞台「靖国への帰還」
ネリム
滝野川会館 大ホール(もみじ)(東京都)
2014/11/14 (金) ~ 2014/11/16 (日)公演終了
満足度★
一考を期す
拝見させていただきました。
作品に対してのシンパシーは原作に対しての感情であるように思う。
それと、武者役を演じた野口さんの真摯な演技に対しても。
先ずは、会場の選択の間違い。
NPO他の関係で色々あったのかも知れないが、この作品の空間としては如何なものでしょうか?入場者数の票読みと座席数がかけ離れているし、演出と空間も合致していません。
次に演出。
展示パネルを応用したかと思われる空間の設定は、逆にチープさを際立たせます。ならば、いっそのことリーディング形式を取り入れるとかの工夫をしたうえで、黒バック(できれば別珍)のみでとか、空バック一枚だけは頑張るとかいった潔さが必要だと思います。
制作。
入場料の設定金額は舐めているとしか思えません。この簡素さで、学生演劇(高校生)クラスの共演者たちで、どこに制作費を使っているのでしょう?
原作使用料が高かったのでしょうか?そうだとしても、文庫版販売とか出版側との交渉はするべきだったのでは?
演劇は演劇的な空間で、演劇的な内容で、お客に何かを享受してもらうというものであることは言うまでもありません。
見事にすべてを放棄している感があるこのカンパニーは謙虚に一考の上今後に臨まれることを期します。
「女女女ニョニョニョ」&「Tポーズお願いします。」
グワィニャオン
萬劇場(東京都)
2014/11/12 (水) ~ 2014/11/16 (日)公演終了
満足度★★★
楽しめます
70分の作品が2本というのは、観る側にとっても心地よい企画です。
演者は身体訓練されていて好感がもてますね。
特に、2本目に出ているやや突っ張ったイメージの彼女は良いですね!
ファンも増えるのでは…?
軽快な展開で進む両作品ですが、奥深いテーマが根底に流れています。
敢えてそれを押さないのが今流なのかな?と思いました。
しかし、この劇場は前列に関しては、全く観る側に配慮がない劇場です。
前に座る人によっては全くと言っていいほど見えません!!
このエリアでお金を取ってはいけないと痛感しました。事実ほとんど見えませんでした。視界確保のために首と腰が異様に疲れます。
本公演は指定席なので、絶対にE列以降の常設席を買うべきです!!!!
巨人伝説
劇団俳優座
俳優座劇場(東京都)
2014/11/06 (木) ~ 2014/11/16 (日)公演終了
満足度★★★★
荒廃か、それとも現実主義か
ダイダラボッチの存在とは?これに尽きるかなと思います。
作りとしては、オーソドックな演劇ですが、早替わり(?)の黒身を工夫した抽象で埋めたという感じです。後付け感がやや不快要素かも知れません。
「戦争」(敗戦気配も感じていたはず)の最中の人間が、自身のその後の身の行く先を利己的に求める姿は、世相の荒廃と断じる事は容易いですが、「生きる」という本能に従うとしたなら、それは別問題なのかも知れません。
相存在する「観念」と「本能」を「善」と「悪」と断じきれるのか?矛盾に満ちた人間の「生」を見つめた作品だと思います。
川口さん、中野さんの役者魂は若い世代の表現者のまさに手本となる演技でした。
老齢の観客層が多く、いびきが聞こえたりしていましたが、是非若い世代が観るべき内容だと思います。
儚みのしつらえ
TRASHMASTERS
紀伊國屋ホール(東京都)
2014/11/07 (金) ~ 2014/11/12 (水)公演終了
満足度★★★★★
これぞ演劇!!!
「戦争」という非日常の中
「恋愛」という日常の中
倫理観、精神の在り様、価値観…
人間はそれとどう向き合っていて、どう行動しているのかを(勿論仮定ではあるが)我々に突き付け、問うた作品。
演劇本来の目的意識に溢れ、安っぽい理屈(屁理屈)に攻撃をしかける必見の作品です。
あまりの衝撃に2時間半ずっと緊張を強いられ、その後も深く意識から離れない作品です。
出演者も、役者の役者たる表現を提示してくれます。
ピーター・ブルック、マリー=エレーヌ・エティエンヌ[フランス]『驚愕の谷』
フェスティバル/トーキョー実行委員会
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2014/11/03 (月) ~ 2014/11/06 (木)公演終了
自分に自信がなくなる…
全く何を語り掛けられているのか、或いは、何を表現しているのか理解できなかった。
集中力を拒絶され、眠りの谷との共存になってしまった。
「脳の神秘」をたどる云々とあるが、どこにそれがあったのか???
共感覚とは何なのか?
取材した作者は了解のうえで書いているのだろうが、劇場にサラの状態で来ている私には皆目何も(全く何も!)得られなかった。
記憶を捨てられない苦悩だけがドラマらしくはあったが…。
「さすが!ブルック」という終演後の拍手に、劣等感を抱いてしまった。
解ってないのは自分だけなのだろうか???
本間さんはころばない
九十九ジャンクション
小劇場B1(東京都)
2014/09/30 (火) ~ 2014/10/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
しみじみと観れます
まずは、よくできた作品だということを伝えたいです。
世の中の出来事は、それを見る角度によって評価が変わるものですね。
誰でも体験し、知っているはずの事を改めて提示してくれます。
押し付けがましくなく、しかも丁寧な語り掛けは秀逸です。
昨今の傾向の一方的な展開(それを芝居のスピードと勘違いしている例の多さには辟易します)を拒んだ手法に好感をもてます。
突き詰めれば「善」と「悪」がどうやって決められるのか、そんな奥深いテーマが骨太に内包されています。
演者たちにも非常に好感が持てます。
吉田君の正義感がもっと青い感じで演じられたら良かったかな?多少屈折が勝っていたような…。
とにかく、お薦めの作品です!
Master Plan ~B~
劇団スクランブル
シアター711(東京都)
2014/09/23 (火) ~ 2014/09/28 (日)公演終了
満足度★★★
もっと面白くなる筈
特に社会問題や人間の性(さが)とか俗にいう<演劇的なもの>という題材を扱った作品ではありません。
強いて言えば”シチュエーション・コメディ”を目指しているのでしょうか???
男性役者の気持ち悪さは別として、まだまだ磨ける作品ではないのかなと思います。
三人の女性の感情を独白風に織り込んだり、余裕と焦りが瞬時に入れ替わったりとかいう手法を取り入れたら、より明快に笑えると思います。
(人間の不安定さは滑稽の素なのです)
会話劇にしてしまったのが勿体ないですね。
再現コーナー風な展開もこの手法のために弾けないです。
よりスピーディーに、より心理の幅を拡げて書けていればな~と思いました。
ゲキ★BAR
世の中と演劇するオフィスプロジェクトM
タイニイアリス(東京都)
2014/09/18 (木) ~ 2014/09/24 (水)公演終了
満足度★★★
在るべき活動だと思います…が…
"kaigi"から始まるのが辛かったです。
不条理劇のつもりなのでしょうが、行きつく先が無い言葉遊びの域を出ていないと思います。
"お見舞い”は良い作品だと思いました。是非、昆明という都市が舞台であることと、漢詩が内包する意図をもっと(冊子や開演前のマスターのスピーチで)触れて欲しかったと思います。
昔のヒッチコック劇場のような解説ありきの上演形態ができたらいいかなと思います。
"立ち入り禁止区…”は日本人なら皆理解できる内容ですね。
虚無感が生む心理をよく描いた作品だと思います。
2本で良かったかなと思います。是非ご一考を。
サバイブ!
自転車キンクリーツカンパニー
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2014/09/13 (土) ~ 2014/09/21 (日)公演終了
満足度★★★★
身近な問題を提起した作品
先ずは、非常にディフォルメされた登場人物たちです。
ディフォルメされることによって、とても解りやすくなっていますし、それでも<いるいるこんな人>と思えます。
「依存」というのは人間特有の悪癖なのでしょう。改めて思い知らされます。
「情」と「依存」は混在して我々に巣食っているという警告でしょうか。
自分の心の中を客観的に観察する必要がありそうです。
「生きる」という意義を日常の<ある・ある>から問いかけた良作ですね。
夏の砂の上
作戦会議
Ito・M・Studio(東京都)
2014/09/03 (水) ~ 2014/09/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
素晴らしい
「演劇」本来の姿という印象を受ける作品。
<喪失感>
我々は日々何を失いながら生きていくのだろうか。
頭の中で理屈を捏ねながら観る作品ではなく、
舞台との時間を共有することで感じる作品といえる。
春田純一はじめ、役者たちの演技は素晴らしいに尽きる。
星灯り
TEAM 6g
萬劇場(東京都)
2014/09/03 (水) ~ 2014/09/07 (日)公演終了
満足度★★★★
気持ちいいお芝居ですね。
最近稀な「お芝居」然とした作品でした。中島敦彦の初期の(良かった頃)と似たテイストとでも言ったら、<な~るほど>とイメージできる方がいるかも。
決して真似てるという意味ではありません。あくまでテイストの事です。
とても良く書けている作品だと思います。身につまされる想いで観るかたも多いのではないでしょうか。
心が清らかになる想いがする観劇後です。
但し、幕開きの二人のシーンのやり取りの言葉の選び方、言語の使い方、演出の方向はどうも同意できません。
観ている最中もどんどんその事が不満に思えました。
敢えて<予定調和>的な展開をとっている事には共感を感じますが。
以下は「ネタバレ」に書きます。
YMCA~八巻モーターチアリーディングアクターズ~
空間製作社
萬劇場(東京都)
2014/08/27 (水) ~ 2014/08/31 (日)公演終了
満足度★★★
楽しめます!
昨日観てきました。
休憩はさんで2時間40分あまりの長めの作品です。
スポ根ものでストレートな作風です。
出演者の個性がよく表れていて、素直で嫌味が無い舞台です。
プロローグとエピローグがあるのですが、何故必要かは?でした。
個人的には、劇場空間や設備(椅子)を考慮したうえでもう少し刈り込む必要があったかと思いました。
よりスピーディーな流れのほうが要所が活きたと思います。
その辺りは、制作者の英断に委ねられるのだと思いますが…。
なぜあの時代を設定したのかは不明。
「日本が元気だった頃」というのならそれをもっと反映させて欲しいかな?個人的な印象ですが。
パフォーマンス路線を行くのなら、やはりスピードが必要だし、その辺りをしっかり決めて掛った方がより良くなると思います。