満足度★★★★
シュールな会話劇
初観劇の劇団さんでしたが、実にシュールでした。個人的には好きな会話劇で、その会話とぎこちない場の雰囲気がとても面白く、楽しめました。公演中なので、以下ネタバレで。
ネタバレBOX
同居する3姉妹を軸とした話ですが、偏見や差別をラクダ星人との共存で表し、その独立運動を国家間での戦争をテーマとして盛り込んでいる。
いきなり、ラクダ星人ですから戸惑う観客も多かったように思えました(笑)
ですが、会話がとても面白く、またぎこちない場の雰囲気がとても良く出ていて、会話劇としては大変面白いです。
最初のシャワーシーンは特に好きですね。
開演時、何もない空間にロープを張って、3脚の椅子、テーブル、冷蔵庫で部屋にする演出も斬新に思えました。
ただ、70分間の舞台でしたので、その中で3姉妹の関係性や恋愛、独立運動等少し盛り込み過ぎたようにも思えました。
最後、かなり駆け足で進んでいったようにも思えましたので。(ヨーイチがラクダ星のレジスタンスに加わる意味が?カヤは日本にいたのですよね?)
役者さんは皆若い方ばかりでしたが、技量が高く、中でもテルコ役の國吉咲貴さんとヨーイチ役の浅見臣樹さんがとても印象的でした。
次回公演も、観てみたいと思う劇団でした。
満足度★★★★★
観るべき舞台
初観劇の劇団さんで初めて観る役者さんばかりでしたが、実に素晴らしい舞台でした。脚本が面白く、またこの時期に観るにふさわしい舞台で、涙腺が緩み考えさせられます。 席が余っているのが勿体無いくらいの舞台でした。
以下、公演中なのでネタバレで。
ネタバレBOX
戦時中の歌謡漫談を職とする5人が、特攻隊員がいる島に慰問にいく話であったが、行くまでの東京での生活に、戦時中の現況や思想が読み取れ、この段階で既に惹き込まれた。島に行ってからの軍人達との交流などで、よりそれぞれの思想や背負っている物が描かれ、当時の状況が想像できました。軍国主義と言ってしまえば簡単ですが、やはり怖い考え方ですね。
この舞台がより魅力的なのは、重い話の中に歌謡漫談を取り入れた事で、笑える場面が取れ、また<これまたぼーいず>の5人が実に魅力的な点でしょうか。
また他の役者さん達も、それぞれの役を実に上手く演じられ、谷大佐役の大谷朗さんや立野中尉役の立花伸一さんが印象的でした。
最後の、零戦に民間人3人が乗り込む場面は、状況的にはあり得ないとは思いますが、心情的には分かる場面で、涙を誘われました。
一つだけ疑問だったのは、島にいたであろう見張り役の軍人の方が、最後まで出てきませんでしたが、設定上必要だったのかと思いました。零戦2機を失った空襲もありましたし。
この時期に観ることが出来て、大変良かった舞台でした。
満足度★★★
アメリカ映画のようでしたが。
B公演観劇。少し前のアメリカ映画のような舞台で、独特の世界観は伝わった。 だが80分程の舞台では、登場人物の心情の変化などは今一つ私には伝わりにくかったです。
以下、公演中なのでネタバレで。
ネタバレBOX
家出した少女と放浪の旅を続ける女性の話。旅の中で、ヒッチハイク、コーラ売り、ガソリンスタンド、牧場等でイベント?があるが、基本的にはタンタンと進む感じ。家出した娘の父親も警察に連絡し、誘拐も視野に警察も動き出す。 途中声だけで作品名の牛も登場するが、柵の中にいる、決まった世間の枠組みの中にいる、自分(旅の女性もしくは家出した少女も)と重ねられる。個人的には好きな作風であるが、何か今一つ弱い感じに受け取れてしまった。家出した少女が家に連絡を取るのも、何故急に?みたいに受け取れ、どこで成長したの?誘拐と思われるから? と考えてしまいました。
また、サプライズゲストも好きな役者さんではありますが、この舞台では無理やり過ぎかなと。 内輪受けの部分が大きく、知らないお客さんには?だったのではと思いました。
役者さんは、放浪者を演じられた大橋繭子さんとスタンド店員の大野歩美さんが魅力的で印象に残りました。
満足度★★★★
出来るかもしれない施設
近未来の話という設定であるが、本当に出来るかもしれない施設という印象を受けました。脚本、設定が面白く印象に残る観劇でした。
以下、公演中なのでネタバレで。
ネタバレBOX
近未来において、死にたい人を安楽死させる施設が出来ているという設定の舞台。そこに来る人(連れてこられる人)、そこで働く人達の考え方や感情の動きを舞台化している。大局では、自殺する人は勝手にすれば良いという考え方と思いとどませるべきというの考え方がある。一般的には、後者の考え方が多いとは思われるが、前者の考え方も決して少なくないのではとも考えさせられる。夢や希望という言葉が絵空事のように聞こえ、現実には、国内で年間3万人(一説には年間11万人)という自殺者が出ているのだから。
本舞台では、それぞれの考え方の揺らぎや一種のあきらめが感じられ、見応えのある舞台であった。
「死にたい」というのは、「助けて」と言っているのと同じというような台詞が特に印象的でした。
だが、お笑いの要素等はこの舞台にはいらなかったのではとも思う。
会話での笑いではなく、特にリアクション等での。
それも、その役の方の強がりを表現したのかもしれませんが。
近未来にはあるかもしれない施設ですが、それでも無い未来を祈ります。
満足度★★★
家族愛ではあるが・・・。
初観劇の劇団さんだが、今回は外伝公演という事で、若手の役者さん中心。
家族愛をテーマにしたオムニバス3部作。正直かなりベタな話ばかりであったが、涙腺を緩ませている方もチラホラ見られた。
私も好きな話ではあるが、少しいかにも的な流れ過ぎて、泣くまでは。
(選曲もいかにもだったので。)
オムニバスではあるが、世代の異なる組み合わせだったので、何か登場人物等で少しでも繋がりがあればとも個人的には思いました。
お笑いの部分も盛り込んでいましたが、かなりベタで、同回を観られた小学生位の男の子には大うけでしたが(笑)
役者さんは、技量差も感じましたが、熱演である事は伝わりました。
女優陣の涙にはやはり弱いです。
舞台とは別に開場に際し少し苦言を。
満員が予想される千秋楽でしたが、自由席で入場順に奥の方から詰めてという席はいかがかと思う。確かに混雑を避ける為とは分かるが、なるべく見やすい席で観たくて早く来ている意味がない。また、これも徹底しているならまだ良いが、途中(開場10分後位か?)からその縛りも無くなっており、素直に従っていた初期入場の方々が残念な感じでした。
満足度★★★★
気楽に楽しめる作品
ダンススタジオ主催の舞台で、ダンスや歌も随所に盛り込まれている。芝居部分は「オペラ座の怪人」をモチーフに日本版にアレンジされており、ご当地アイドルグループ等も取り入れ現代的。
ストーリー的には、基本的に良い人ばかりなので王道路線であるが、コメディ的なセリフも多く、幅広い年代に受け入れらる舞台で楽しめた。
正直、芝居、ダンス、歌には個人差も見受けられたが、メインの歌姫二人は想像以上のレベルで驚いた。
主催さんの最後の挨拶は真っ直ぐな感じが伝わりとても良いですね。
※見返してみたら、主催さんの挨拶に関しては昨年も同様の感想書いてました(笑)
満足度★★★★★
70年前の日本の話
原爆をテーマにした舞台でしたが、時期的にも世相的にもタイムリーで実に見応えがありました。終演後の挨拶で、少しでも考える機会になればとの事でしたが、とても考えさせられる舞台です。素晴らしい脚本と実力派の役者さん達の熱演で、観劇出来て大変良かったです。
以下、公演中なのでネタバレで。
ネタバレBOX
序盤、ダンスや歌を盛り込みエンターテイメント風な舞台かと思っていたが、中盤から終盤にかけては息苦しくもなる程の熱演で、惹き込まれた。
登場人物それぞれの信念や正義があるので、何が正しいと思うかは観客それぞれの判断になるとは思う。ただ、このテーマを考えた際にはその判断の為にも多くの人に観てもらいたい舞台と思う。
遠い国でも、昔話でも無く、70年前の日本の話なのだから。
それにしても、重厚な脚本と魅力的な役者さん達が集まった舞台で、次回公演も楽しみになりました。
満足度★★★★
緩やかで暖かい時間
2010、2015の両Ver観劇。
どちらも、様々なイベント(トラブル?)を軸に四季が進み、日常的とは言わないが、皆色々あるよねと思える舞台でした。登場する人達のつながりが優しく、緩やかで暖かい時間が進む。
以下、公演中なのでネタバレで。
ネタバレBOX
あまり知らない方が楽しめるので、エピソードを簡単に箇条書きで。
四季ごとに合わせているのは実に上手い。
2010Ver
春・新入居者登場(名古屋訛り全開の大学生)
夏・ゆずこしょうの木
秋・シングルマザー
冬・鍋とスパイ・・・。
キーアイテム(笑)・まあまあの俳句集
2015Ver
春・新入居者(シンガーソングライターの卵)
夏・ゲリラ豪雨と花火大会
秋・楽しい今と同棲婚の未来
冬・結婚イベント(元DV夫婦のやり直し)
冬・再び新入居者(おまけ)
2010、2015共通の感想。
・エピソード後の切り替えを、暗転を使わず役者さんが小道具等を使い、四季の変化を付けていく。その際に、セリフを発しないがちょっとした出来事なども盛り込んであり、時間を進めて行くのが良い。(告白や旅行への出発等)
・大家のやえがしさんは、基本的には前に出過ぎず住人達を見守る感じ。独特の口調であるが、ボイス・アクターのポチョミンを思い出した(笑)
・住居人がなんとなく、ボケ、ツッコミ担当に分かれていて、短的なツブヤキが面白い。
・グズグズ感は強いが、最後にほっこりする各エピソードが優しい。
個人的には、2010→2015Verの順で観た為か、2015Verの方が進化しているような感じで楽しめました。(もしくはこの舞台に私が慣れたのでしょうか。)
5年の時間差ですので、やえがしさん以外にも同じ住居人がいればとも思いましたが、成長して出ていく巣立ちの家のような気もしますので、これで良かったのかなと思います。(いつ出て行ってもいい、戻ってもいいというような歌詞もありましたし。)
次回は、2020Verでの続編でしょうか。
新宿☆アタッカーズも続編となるらしいので、今から楽しみです。
満足度★★★★
あの時代
客入れ時の選曲から、懐かしい歌が流れ、20年の月日を感じる。そして舞台上でも、当時の話題が盛りだくさんで懐かしくも楽しめる。基本的には、コメディであるが、歳のせいか切なくも感じた。
以下、公演中なのでネタバレで。
ネタバレBOX
1995年と現在を舞台上で交差させ並行で進めて行く演出。主役の人物だけが同人であり、時代の回想につながる。1995年時にはアイドルを目指していた主人公が、現在は主婦となっており、それぞれの時代を生きている。
時々の会話が実に秀逸で、役者さんの演技力の高さも伴い、共感できる。
また、存在感の強い役者さんも多く惹き込まれるが、周りの役者さんも引っ張られるのではなく、上手く調和されているので、皆上手いなぁと感じた。
懐かしく思う一方、特に1995年の方はあの時代を生きているなぁと感じた。
終盤は、2つの時代から更に未来までの時代を演じられ、時代の流れや、つながりなども感じたが、個人的には2つの時代だけの舞台でも良かったのではとも思った。
魅力的な役者さんが多く、全編通して楽しめた為、長い上演時間も全く気にならなかった。
観る方の年齢によっても受け止め方が大きく異なる舞台とは思うが、私はとても楽しめた。
満足度★★★
サスペンスではあるが
血生臭いサスペンスとの事であったが、少し設定に無理を感じてしまい、正直あまり集中できなかった。(何故、素直に参加するの?これが動機?等々)
役者さんは皆さん熱演ではあったが、言い直し等が少し目についた。
何となく全体的にボヤけてしまった印象で、オープニングとラストが好きな感じだっただけに少し残念でした。
満足度★★★★★
エンターテイメントな舞台
オープニングの映像を使った登場人物紹介、作中の視点変換や回想シーン等の演出、宝○風な歌やダンスなど、エンターテイメント性に富んだ舞台で大変楽しめました。まさに夏祭り的な公演でした。
以下、公演中なのでネタバレで。
ネタバレBOX
男女逆転の配役でこの時点からコメディ色が強く漂う。そしてオープニングの映像と幕を上手く使った演出。オープニングから死ぬ人が分かってしまうのも斬新で面白い。内容の方も、良い意味で意外としっかりしており連続殺人ミステリーで謎解きも楽しめる。だが、基本的にはコメディなので気楽に楽しむのが良いのかも。
舞台壁を地面に見立てた、落下現場の現場検証シーン等は大変面白く、演出の妙が味わえました。他にも、回想シーンなどでの早着替えや歌(ラップ)などにも笑わされました。歌やダンスはメインではありませんでしたが、桜木美樹・美貴役の小林さんの男装が、とても似合っており宝○風だったのもより華を添えたように感じました。
役者さん達も楽しんでいるような感じで、悪くすれば内輪ウケともなってしまいますが、本作はお客さんに楽しんで欲しいとの点が随所に見られ、その上で自分達もという感じで大変良い座組だと思いました。
この探偵と警部をメインにした続編等も是非観てみたいと思いました。せっかく決め台詞も有るのだし。 (あ、成○石井・・・があるんでしたね)
最後の挨拶時のお辞儀での、アリーナや2階席があるような感じ、とても好きです。「劇」少劇場が帝○劇場に変わりましたね。
また、是非観てみたい劇団さんが増えました。
満足度★★★★
変わったのは人間
当初予想していたのとは異なり、殺処分をテーマにした考えさせられる舞台でした。難しいテーマですが、コメディ基調でしたので重くなり過ぎず見やすく観劇する事が出来ました。
以下、公演中なのでネタバレで。
ネタバレBOX
動物愛護センターで殺処分の仕事を行っている父と、ある日突然動物の言葉が理解できるようになったその娘を軸に、飼っている犬や殺処分待ちの犬達との交流を描いた舞台。
犬達や猫の言葉が、純粋でかつ風刺的でもあり、考えさせられる。舞台中や当日パンフにもあるが、「不要な動物」、「不要な命」とは何だろう。
全体的には難しいテーマを細かい笑いで和らげた舞台で、舞台後の挨拶にもあったが、少しでも考える機会になればとの話が実に良かった。
ただ、人間側で観た場合、父の葛藤に比べ、動物の言葉が分かる故かとも思うが、娘さんが少し正論ばかりだったのは残念でした。目の前しか見えていない様な気がしてしまいました。
又、少し辛口に書きますと、犬は基本肉食なので、ドックフードには他の動物の肉が含まれます。(100%植物のものもありますが、作中でも肉が食べたいとのシーンもありましたし。)
人間やペットの為なら、他の動物は良いのかとなると、「命」そのものを扱う事
になるので、実に難しいテーマですね。
少なくとも私は、肉や魚を食べますので、やはり値札がついた時点で「物」なのですかね。
色々書いてしまいましたが、それだけ考えさせられる良い舞台でした。
満足度★★★★
美しく幻想的
モノクロ版観劇。4人の役者さんがまず上手く、小道具、照明、音楽の使い方も効果的で、美しく幻想的な舞台でした。
再演されるだけあり、脚本が実に奥深く面白かったです。
公演中なので、以下ネタバレで。
ネタバレBOX
4面から見える舞台は一段高く作られており、大きな長テーブルと4脚の椅子だけが置いてある。童話白雪姫がモチーフだが、オリジナルの脚本であり、白雪姫が殺されている所から物語が始まる。そこから回想していくが、ストーリーが秀逸。誰が白雪姫を殺したかが焦点のサスペンスファンタジーとなっている。赤い糸を血にしたり、リンゴにしたりと小道具等の使い方も上手い。
舞台的にはシンプルで、静と動を使い分け実に見応えあったのは、役者さん達の演技力の高さだろう。白雪姫は健気で美しく、女王は狂気と後半に見せた後悔が上手く、王子は静かな強さを感じさせた。そして、少年役の加藤さんには驚かされた。言葉は勿論、表情や仕草の使い分けが素晴らしかった。
朗読的なシーンも多く、また役者さん達のハモリからも完成度の高さを感じた舞台でした。
満足度★★★★
サスペンスコメディ
ストーリー的にはサスペンスですが、コメディ要素も多く、気楽に楽しめる舞台でした。サスペンスですと、どうしても予想して観てしまいますが、今回は結構外れました(笑) だって、あんなにバッタバッタと死んじゃうとは思わなかったので。
ただ、私の理解力のせいかと思いますが、伏線も全部回収しきれなかったのではと思いました。
舛花さんの捻りには騙されましたし、ミラクルタイムは必見ですね。
最後の色々予想させる終わり方は好きですね。特に今作では。
ネタバレBOX
分からなかった点
当初、潤のストーカーが丁子かと思っておりました。途中で舛花があの子見た事あるというような台詞があったので。結局ストーカーは誰?舛花?
全員、名前が色だけど特に意味は無い?
契約変更は、男が女性を殺してもカウントされるように?
千秋楽を観たので、再度観て確認出来ないのが残念。
満足度★★★★★
それぞれの正義
13人の男性キャストだけの舞台。薄暗い照明の中で、舞台には何もなく、役者さんの演技だけで魅せる。ただただ、格好良い。音響、照明も実にフィットしており、舞台の醍醐味を味わえた作品でした。
ハードボイルドタッチではあるが、笑いの要素も散りばめられ、映画のような映像美も魅せられた。
脚本も素晴らしかったですが、実力派の役者さんが揃っており、またそれぞれが素晴らしく、極めて完成度が高かったです。
主人公含め登場人物誰もが清廉潔白という訳では無く、そこがまた人間らしくもありました。
同じ役者さんで是非続編も観てみたいと思う舞台でした。
満足度★★★★
家族への想い
☆チーム観劇。家族愛を感じる作品だが、複雑な想いと純粋な愛情に溢れ、見応えがありました。
以下、公演中なのでネタバレで。
ネタバレBOX
イギリスからのピアノ留学から戻った次女と家を守る長女、フリーターの末弟の家族を描いた作品。母親は既に亡くなっており、父も家を出て再婚している。最初、揃った姉妹と従妹の和やかな雰囲気と会話で静かに物語は進んでいく。だが、弟の詐欺被害事件と母親や父親の不倫等で急にドロドロした物語へと変貌した。だが、詰め込み過ぎた印象も少し感じてしまった。弟の詐欺被害事件なども登場してから急展開かつ即解決だったので(笑)
夢?で出てきた母親も直球で詐欺の事を話すので、少し含みを持たせて次女が気づく位の方がとも思ってしまった。DNA検査も飛躍したなと(笑)
だが、家族の形はそれぞれとも思うので、根底にある愛情を感じられたラストは感動的でした。
役者さんは、子供時代も見事に演じられた小野寺夏子役の堀口幸恵さん、強さと家族への思いに溢れた小野寺春花役の丸山彩智恵さん、明るく支える本田香役の小西有香さんが印象的でした。
満足度★★★★★
今回もつながる
トツゲキ倶楽部さんは3回目の観劇となるが、今回も「人のつながり」を感じさせてくれる暖かい作品でした。今作では、化学反応と言った方が良いのかもしれませんが。
あの内容を、90分にまとめている脚本・演出は実にすごいと思います。
公演中なので以下、ネタバレで。
ネタバレBOX
アルツハイマーの治療薬を研究する大学の研究室が舞台であるが、恋人関係のもつれ、研究室を辞めようとしている者、皮肉にも自身が若年性のアルツハイマーになっている者等、当然だが様々な自身の問題を抱えている。
その中で、治療薬につながる実験が成功したのだが・・・。
この実験データを巡り騒動が起こる。回転数が安定しない遠心分離機、ゴミ箱に処分してしまった記録紙、データを消去してしまったPCファイル等々。
この辺りもそれぞれの人間関係が相互作用しており、これが面白い。
また、ある程度話が進んだところで、今まで起こった事が予知夢という形で巻き戻される。そして、タイトルの「リ:ライト」である書き換えが始まる。また、研究の言動力の一つに、研究員の治療も入っており、そこもまた、つながりを感じさせる。
いやぁ~、素晴らしい脚本です!
14人の登場人物がいるのですが、それぞれがキャラ立ちしており、また皆一様に良い人達なのでついつい応援したくなります。
複雑な心情が多く難役の星神沙織役の前田綾香さん、病気ながら明るく皆に愛される笠戸華役の佐竹リサさん、クールな優しさを魅せてくれた淡路玲子役の高橋優都子さん等の女優陣の活躍が印象的で、それを支える他の女優陣やコメディ要素が多かった男性陣、繋がりを感じるまさに化学反応でした。
次回公演も楽しみです。
満足度★★★★★
確立した舞台
噂に聞いていた本劇団を初観劇。噂以上の舞台でした。
何も置いていない四角い舞台、またはその周りを縦横無尽に走り回り、殺陣にかなりの比重を置いており、そこに言葉遊びや笑いの要素も盛り込んだ舞台。リピーターのお客さんが多いのも納得の、「X-QUEST」として確立した舞台だと感じた。
以下、公演中なのでネタバレで。
ネタバレBOX
鬼の世界と桃太郎童話を軸にした世界。だが、通常の桃太郎とは異なり鬼側にスポットを当てている。最初にネタバレを書いてしまうが、鬼の王である金鬼は実は鬼子として捨てられた人間で、銀鬼が鬼として育てた。だが、自分の角を与えたせいか銀鬼の記憶が混乱し、金鬼の弟として行動している。
これに、鬼に故郷を襲われた緑丸と助佐(この二人の関係性が非常に良い)、桃太郎一行(なぜか蟹もいる(笑))、配下の鬼達のクーデターや飛行を夢見るライム兄弟も加わり、カオス的であるが上述の秘密に向け進んでいく。また、金鬼の生まれ変わりが桃太郎という時間軸の歪みなどもあり、よりカオス的。
だが、本舞台はストーリーもあるが何と言っても殺陣であろう。ストーリーに即した殺陣というより殺陣を中心に捉えているような舞台である。
この殺陣がより映えるのは、音響や照明の見事さであろう。
また、この世界観に笑いを随所にちりばめているのも流石だと感じた。
桃太郎の家来達の言動には何度も笑わされたが、今回は何と言っても桜満の妖刀「鬼切」のくだりの一人芝居であろう。これは必見である。
他にも見所が多く、多くの人がはまるのが分かりました。
ただ、個人的には少し人数が多すぎたのではと思い、また削れるシーンもあったのではないかとも思えた。(伏線回収が面白かったので、不要と思えるシーンもあり、少し時間が長く感じられた。)
公演後のファンサービスの撮影会は、良い企画だと思い、本劇団の人気の所以も改めて分かりました。
満足度★★★
オリジナリティ溢れる作品
シェイクスピアの「リア王」、三島由紀夫の「火宅」を原作に主催の長堀氏が演出した2作品。「火宅」は原作を知らないが、「リア王」は過去観たことがある。結論から言えば、良い意味でオリジナル作品に近いと感じた。
以下、公演中なのでネタバレで。
ネタバレBOX
「火宅」~35分程度の作品で、家族崩壊が淡々と進む感じで個人的にとても見応えのある作品であった。感情の起伏はあまりないように思えるが、ちょっとした所作等に揺れを感じとれる。大里千代子役の大畑麻衣子さんの、能面を連想させるような無表情でかつ怒り、怯えているような演技が印象に残った。
「リア王」~子供を自殺で亡くし、夫との関係も壊れた妻が小説「リア王」の世界とシンクロしていくような舞台。リア王の娘達が何故は往年のアイドル楽曲で登場し、よりカオス感を高めていく。悲劇的な面は原作と共通するが、オリジナリティ溢れる演出。
やはり妻/リア王役の岩澤繭さんがオープニングのダンス含め印象に残った。
独特の世界観を持つ劇団で、次回は長堀氏のオリジナル作・演出作品を観てみたいと思った。
満足度★★★★
起こりうる現実
余命一年の母。病気の為か、久しぶりに会う息子の顔も良く分からない。それでも最後の時を迎えるまで思い出を増やしながら生きていく。そしてラストの衝撃と役者さん達の熱演で身につまされる舞台でした。
以下、公演中なのでネタバレで。
ネタバレBOX
あらすじだけ見ると重苦しい内容ではあるが、余命宣告されている母親が、悲観的になりすぎず明るくふるまうのが良く、笑えるシーンも多く配してある。久しぶりに帰ってきた息子の影響でもあるが、息子の友人、息子の彼女と誕生日や昔の思い出話を軸に余命を過ごしていく。だが、最初に息子の顔が分からなかったのは、病気のせいでは無く、本当の息子ではないから。そして息子の友人や彼女もそう。
(息子は4年前に震災で亡くなっているが、母親はそれを受け入れられておらず、何度も携帯に電話している。)
息子は福祉課の人間であり、友人は医師、彼女は看護師だ。孤独死を迎える老人が多く、新しい福祉政策として導入されたモデルケースだという。
いわゆる衝撃のラストという展開だが、母親が残した日記にはそれが分かっており、その仕事だけではない優しさに付き合い騙されていたフリをしていたという二段オチ。
近未来には起こり得るかもしれない話ではあるが、最後母親が気づいていたという結末が個人的には非常に良かった。賛否両論あるとは思うが、気づかずに息子達と信じたまま亡くなったのではやはり寂しい気がするので。
正直いうと序盤のテレビのシーンで、ある程度の予測はしていたのですが、それでも魅せられたのは役者たちの熱演があればこそでした。
終演後に購入させて頂いたパンフレット(すいません、最初本公演に関するパンフレットかと思ってました。)に、本劇団の歴史等が書かれており、また応援したい劇団が一つ増えました。