やえちゃんと、
妄烈キネマレコード
ナビロフト(愛知県)
2016/11/03 (木) ~ 2016/11/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2016/11/06 (日)
役者陣が時間と空間を縦横無尽に駆け抜けるスーパーハイテンポ・ロボット演劇。コミカルな掛け合いとスピーディな場転を調味料にしながらも、作演・澤井さんの絞り出すような大切な言葉がぎゅうぎゅう詰まっていることが窺い知れる。やや、その数が多いのと展開のスピード感ゆえに一度で全ての流れと関係性を呑み込みきれないトコもあるけど、個々の気持ちがすっごく伝わってくるので、買った台本をじっくり読み返したい。でも、パンフでの「分かられてたまるか」って言葉もイカしてるなぁ(笑)
役者はみんなハマっているので、良いキャスティングだなぁと思う。河内さん、ロボ感と、それと対照的な情愛がよく出てた。久し振りの棚橋さん、経験の背景を色々感じさせる強さが印象的。アンジェさんの口よりもモノを言う眼力、さすが。
平手さん、いつもの不思議キャラから一転、切なさがよく出てた。竹淳さん、独特のマッドサイエンティスト気質が愉快だった。西尾さん、終始重い雰囲気を貫いて、作品でひっくり返すべきラスボス感を形作ってた。ホント2回観たかったよ。DVD化希望
くだんの件
KUDAN Project
三重県文化会館(三重県)
2016/11/05 (土) ~ 2016/11/06 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/11/05 (土)
全編に不条理感溢れ、言の葉が舞い踊り、その繋がりが捩れ、連鎖する。めくるめく様に変化しながら、その実、不変の様でもある世界。会話劇であり、コントであり、イリュージョンでもあり・・・ ぐるぐる頭の中を掻き混ぜられる無限ループの中、辿り着いたかに見えたヒトシとタロウの過去と今。自分の頭の中に浮んだイメージがあるんだけど、こういう作品は、頭に浮んだことが全てが真理であり、百人に百個の「くだんの件」があるんだろうなぁ。多様な楽しみを与えてくれました。
棘/スキューバ
不思議少年
損保ジャパン人形劇場ひまわりホール(愛知県)
2016/10/29 (土) ~ 2016/10/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2016/10/29 (土)
棘(不思議少年)感想】思わずギョっとするイントロから始まり、終始、眼を奪われ続ける舞台。まるで空間に漂うマルコの魂が順に役者に憑依していくが如く、人格が入れ替わり立ち代わりして…2人芝居ながら丹念な1人芝居を観ているような感覚。人だけでなく、時空間も自在に操り、行きつ戻りつ、繰り返し、前後し、時には重なる。まさしく人生の走馬灯が駆け巡っている感アリ。そして特筆すべきは森岡光さんの演技。強烈な印象を残しました。泣き声を初めとして、どこから声が出ているのかと思わせる多様な声の数々が、作品の幅を拡げていました。もう、なんかね…言葉に出すとどうしてもありふれた表現にしかならないんだけど、小さな舞台にエネルギーが凝縮されて、ドッカ~ンと爆発してった。良い体験させてもらった。九州の劇団でそうそう観れる訳でもないってのが残念だけど、この機を逃さないで良かった、ホント
スキューバ(不思議少年)感想】棘と同様、時空を巡る感覚があるけど、悲壮感ある棘に比してハートフルな後味。個人的には棘のインパクトが余りにも強くて、あっさりめな印象として残りましたが、公演としての後味はとても良かったです。
METAL LOVERS
N.N.P
ナビロフト(愛知県)
2016/10/27 (木) ~ 2016/10/30 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2016/10/27 (木)
「大胆…、思い切ったなぁ」というのが率直な印象。LOVERSシリーズを"FOR"、"DEAR"と観てきたNNPに対するこれまでの私のイメージは、単なる演劇でなく、「多種の表現媒体や手法を取り込んだ総合アート志向」の集団でした。それが、装いこそスチームパンクでソレっぽいですが、ほぼ全編で徹底的なコメディとエンタメ。なんか、すっごい「過去との決別」を感じました。
あの大鴉、さえも
東京芸術劇場
三重県文化会館(三重県)
2016/10/26 (水) ~ 2016/10/27 (木)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2016/10/27 (木)
過去の不条理演劇をモチーフとして明示的に使っているが、舞台での印象は、それとだいぶん違う。ガラスの表現が非常に多彩で、なんか「現代アート」を見るような愉しみが盛り込まれており、それだけでも素直に楽しめる演出です。それでいて更に、それがその場の空気と言葉に深みと拡がりを与えている感覚で、二重三重に楽しみが繋がる。演出で、こんなにも芝居は変わるんだなぁ…と、その無限の可能性に感動を覚えます。
東京芸術劇場のRooTS、良い取り組みだなぁ。
そして、小林聡美、片桐はいりなんて手練の役者の演技を、間近で観れたのも感激でした。
今回、珍しく自分で選んだ訳ではない観劇だったのだけど、凄い拾い物したなぁ。幸運でした。劇VIPシステムに感謝
ONNA
つねプロデュース
円頓寺 Les Piliers(レピリエ)(愛知県)
2016/10/20 (木) ~ 2016/10/30 (日)公演終了
満足度★★★★
女性をテーマに、男性作家2人と女性作家2人、で2回の公演に分けて上演。男性2作が完全に別作品だったのに対し、女性2作が見事な連作、オムニバスになっていたのが印象的。
以降、ネタバレBOXに作品毎の感想を書きます。
フカフカがーる
劇団「放電家族」
G/Pit(愛知県)
2016/10/21 (金) ~ 2016/10/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2016/10/23 (日)
不条理感の強い構成で作品イメージのピースをばら撒いて、単体ではほぼ解釈不能だがw、ひたすら丹念に下地を作り続けた前半。そこから、一転、メインモチーフである大事故を具体的に印象付けて、現実に紐づけて伏線を回収していった後半。結果、心に染みるラストが演出されたが、なんか天野さんに騙されている気がしてならないw
(以降、続きはネタバレBOXへ)
勧進帳
木ノ下歌舞伎
穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース(愛知県)
2016/10/22 (土) ~ 2016/10/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2016/10/22 (土)
まずイントロに痺れた。最初、すごく無造作に役者陣が現れて仕込みを始めるんですよ。思わず、「えっ?」ってなる程、全く芝居っ気が無い。そこに照明と音響がグワっと入り、役者の姿勢が変わる、一瞬にして纏う空気が変わる、800年の刻を超える… 痺れるわぁ…
始まると、1つのシーンを分解したり繰り返したり、2つのシーンを融合させたりの進行で「時空間の使い方」が面白い。現代との融合もいつもながら見事ですが、中でも様式美を活かしつつもダンスの様に昇華された「足捌き」とか格好良かったなぁ。
音楽の使い方も、今まで観た中で一番ポップでした。歌舞伎語(?)が少ないのも特徴的でしたね。
そして、やっぱりキャスティングが素晴らしくて、弁慶・義経の異彩の放ち方が尋常じゃない。そういう"見てくれ"だけじゃない意味が込められているのも印象的でした。
ゴルジ隊「つい。つい、うっかり。」
津あけぼの座
津あけぼの座(三重県)
2016/10/19 (水) ~ 2016/10/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2016/10/22 (土)
脚本も役者も流石のラインナップ。
それを見事に纏めて、充実、濃密のひとときでした。幕間映像まで手抜かりなし。
以降、ネタバレBOXに個別の感想。
庭と自ら
幻想劇団まほろ
ナビロフト(愛知県)
2016/10/14 (金) ~ 2016/10/16 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/10/16 (日)
下手・中央・上手の3つの舞台を行ったり来たりして、その関係性を色々想像させながら進む展開。箱庭療法をモチーフに、実際に治療を受ける「下手」、箱庭の中のイメージと思しき「中央」…に対し、残る「上手」に私は色々想像を逞しくさせられました。
並行した別のモチーフなのか、箱庭による創作物なのか、時系列で直結する過去なのか・・・を揺れながら観てました。終盤のタネ明かしはやや性急な気もしましたが、必ずしもイメージが一致しない3人の女優で実質3人1役の構成になっているのは新鮮で、だからこそ、色々と想像の余地が発生したのが面白かったです。
麦とクシャミ
ホエイ
四天王寺スクエア(三重県)
2016/10/14 (金) ~ 2016/10/16 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/10/15 (土)
昭和新山誕生が舞台で、何かスペクタルな要素を想像していましたが、それよりも遥かに存在感があったのは、そんな環境下で地道に、逞しく、強かに生きる人間たち。「どっこい、生きてる!」って感じの生々しくも強靭な生命力が印象的。
全般、なんか「生の素材を活かした料理」みたいな芝居で、脚本で技巧に走るのではなく、本当に役者の良さを前面に活かした印象を受けました。彩る徹底的な「方言」が強さと温かさを演出していて、特に中村真生さんの岩手弁は素晴らしい。
普段からアレで生活してるんじゃないかなと思うほど。そして、宮部純子さんの徐々に強かさが現れてくる芝居の感じも良かったな。河村竜也の最後のシーンも、一転、現実・現代に帰ってきているかのような説得力と余韻が印象的でした。観に来て良かった。
嵐になるまで待って
演劇集団キャラメルボックス
三重県文化会館(三重県)
2016/10/10 (月) ~ 2016/10/10 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/10/10 (月)
芝居はさすがの緊張感と情感。ただ、好み的にはこのネタならもっと深くダークに斬り込んでくれた方が現実味を感じられたかな。
虹色のリリー
演劇ニッケル
御浪町ホール(岐阜県)
2016/10/09 (日) ~ 2016/10/10 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/10/09 (日)
断片的にばら撒かれ繰り返される言葉のピース達。言葉遊びとしてだけでも、かなり面白い秀でた表現が多々出てきました。独唱感想文とか、ツボすぎ。
そして核心。何に触発され、何を結び付けるかで、観客がこの作品の中に何を見出すかは全く異なるんだろうね。
治天ノ君【次回公演は来年5月!】
劇団チョコレートケーキ
穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース(愛知県)
2016/10/01 (土) ~ 2016/10/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2016/10/02 (日)
皇室を題材にするというタブーに挑んだ…というだけでも興味津々でしたが、その実、なんと愛すべき人間ドラマであったことか。嘉仁のお世辞にも君主然とは言い難い立ち振る舞いの芝居がとても巧みで、生来の気性に合わぬ重責と父からのプレッシャーに翻弄されつつも、一方で懸命に自分の考えの実現に挑む様が対照的に心に響く。その心意気ゆえの頑なさで事態を悪くする展開があまりにも切ない。周りを取り巻く人々も、その各々の想いに一切の私心がなく、清廉の一言に尽きるのも胸を熱くさせます。
どの人も安易に折れず、ブレないのも良かったなぁ。そして悲劇の中、夫婦が通わす一貫した情愛が何とも清々しい後味を残してくれるのが救いでした。
本当に見逃さなくて良かった。140分の長編なのに全くそれを感じさせない吸引力のある作品でした。
トランジット・ルームⅱ
てんぷくプロ
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2016/09/29 (木) ~ 2016/10/02 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/10/01 (土)
なんか色々な人間模様を見せてくれるお話なのかと思いきや!、徐々に異様な雰囲気が展開し、いつしか不条理な夢の中に囚われる感覚に陥る、なんとも不思議な芝居。文字通り"集団トリップ"!
サオリ役・谷内範子さんの癒される笑みがとても印象的。
ハロウザディップ
演劇組織KIMYO
名古屋市東文化小劇場(愛知県)
2016/09/29 (木) ~ 2016/10/02 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/10/01 (土)
会社の設定、着想がすごく面白い。客のニーズを更に結び付けようとした段階もなかなかビジネス思考っぽくて良かったが、具体性を持たせる前に有耶無耶になり、割りとテンプレな国絡みの陰謀にシフトしていったトコはちょっと勿体なかったかな。
虎屋社長はもっと深彫りして判断の合理的な裏付けを感じさせて欲しかった。それを単なる命令受諾でなくメンバーにしっかり同調させることで、凶行に及んだ判断の重みと自責の念を表現して欲しかったかな。やっぱテロはやんちゃでは済まされない。
ただ、演出・アクションのド派手さは最早鉄壁で、それだけでも見る価値があるのは確か。ラストの血しぶき演出がとても印象的で、このためにここまでの脚本があったのではと思うほど。役者さんの方では、田口佳名子さんの方言にちょっと萌えたw
沈澱タイ
room16
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2016/09/29 (木) ~ 2016/09/29 (木)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2016/09/29 (木)
1つのテーマで作られたというよりは、ゴロゴロと転がる人生そのものを見せてくれた印象が強い。持ち前の天性と賢さと優しさを兼ね備えた者が陥った悲しい末路があまりにも皮肉。クリエーター主観に強く彩られる展開となる前半は共感半分、反感半分。
room16の創作集団としての如何にもな若さと自負を感じさせつつ・・・ 一転そこで終わらせなかったところが意欲的であり、現実的でもある。そこら辺が「人生」を感じさせてくれたところですね。凡人の反感がもっとドロドロしていても良いかな。
役者。外道を見事演じきった中村さんの印象強し。
藤島さんの色んな感情が綯い交ぜになった表情の先輩役が怖くて良かった、主人公と良い対比。コンタさんのリアルでその台詞吐きそうなスズケン役、廃墟文藝部次回公演は色んな意味で覚悟していかねばと思ったw
鈴木さん、美と暴力が同居する佇まいがズゴイ印象的やった。
僕の居場所
劇団あおきりみかん
G/PIT 名古屋市中区栄1丁目23-30中京ビル(愛知県)
2016/09/21 (水) ~ 2016/09/27 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/09/25 (日)
まったく想像できなかった舞台○術とか、超斬新な□転技術とか、△△から出てくる○○とか、私が今まで観た中でも屈指の"驚き"が仕込まれていた舞台でした。(←ネタバレ厳禁でワケ分からんことになっとる。)
主人公「ななし」の周りの人たちが、それなりに色々背負った境遇のハズなのに違和感ある程に明るく描かれるのが、最後に合点がいく、じんわり良いお話でした。パンフの鹿目さんの挨拶が全てを語っている気がしました。
【演劇×ジャグリング】シャドウトラフィック 【影×交通】
壱劇屋
ABCホール (大阪府)
2016/09/23 (金) ~ 2016/09/25 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/09/24 (土)
ただのダンスに留まらない多様なパフォーマンス。特に道具を使うところに他劇団に追随を許さないオンリーワンの価値を感じる。そこから伝わってくる異次元感覚はサスペンスにぴったりで、何百の言葉を重ねても中々伝わらない雰囲気をダイレクトに伝えてきた。
元が不条理展開のところを、強引に推理劇に落とし込んだ感もあって、解決の種明しのくだりはやや唐突感が否めなかったけれど、それ自体のテンポはとても良く、特に演劇でリプレイする演出は巧みで面白かった。あと姉妹の「本体と影」表現の演出とか好きだな。
モンタージュ はじまりの記憶
Contondo
common cafe/会ふ afu/阪堺電車/siroiro.(大阪府)
2016/09/02 (金) ~ 2016/09/25 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/09/24 (土)
名古屋・大名での紺野演出には「驚き」が付き物なんだけど、さすがコンセプトで「日常の延長線上の非日常の創造」を謳うだけあって、contondoでは、また別の印象。
ありふれた雰囲気を漂わせながらも、実際にはなかなか得られるものではない「日常的非日常空間」をさりげなく、丁寧に表現してて、羨望の眼差しで観てました。
その中に我が身を置けずとも、せめて目と鼻の先でその営みを眺められたことに感謝です。
あぁ、それにしてもお婆ちゃん達はキュート過ぎや。特に土江さんのお婆ちゃんイントネーションは優しく包み込まれる様で大好きだし、浦長さんの悔しがる顔も可愛いくて良かったなぁ。
大阪に住んでたら、他のシチュエーションのも観たものを… 特に本物の運行中の路面電車を舞台にしたバージョンは見逃して惜しいことをした。紺野さんは大名でのブランカもそうだけど、会場を選ぶ嗅覚に優れてるなぁ。