I元の観てきた!クチコミ一覧

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やえちゃんと、

やえちゃんと、

妄烈キネマレコード

ナビロフト(愛知県)

2016/11/03 (木) ~ 2016/11/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2016/11/06 (日)

役者陣が時間と空間を縦横無尽に駆け抜けるスーパーハイテンポ・ロボット演劇。コミカルな掛け合いとスピーディな場転を調味料にしながらも、作演・澤井さんの絞り出すような大切な言葉がぎゅうぎゅう詰まっていることが窺い知れる。やや、その数が多いのと展開のスピード感ゆえに一度で全ての流れと関係性を呑み込みきれないトコもあるけど、個々の気持ちがすっごく伝わってくるので、買った台本をじっくり読み返したい。でも、パンフでの「分かられてたまるか」って言葉もイカしてるなぁ(笑)

役者はみんなハマっているので、良いキャスティングだなぁと思う。河内さん、ロボ感と、それと対照的な情愛がよく出てた。久し振りの棚橋さん、経験の背景を色々感じさせる強さが印象的。アンジェさんの口よりもモノを言う眼力、さすが。
平手さん、いつもの不思議キャラから一転、切なさがよく出てた。竹淳さん、独特のマッドサイエンティスト気質が愉快だった。西尾さん、終始重い雰囲気を貫いて、作品でひっくり返すべきラスボス感を形作ってた。ホント2回観たかったよ。DVD化希望

くだんの件

くだんの件

KUDAN Project

三重県文化会館(三重県)

2016/11/05 (土) ~ 2016/11/06 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/11/05 (土)

全編に不条理感溢れ、言の葉が舞い踊り、その繋がりが捩れ、連鎖する。めくるめく様に変化しながら、その実、不変の様でもある世界。会話劇であり、コントであり、イリュージョンでもあり・・・ ぐるぐる頭の中を掻き混ぜられる無限ループの中、辿り着いたかに見えたヒトシとタロウの過去と今。自分の頭の中に浮んだイメージがあるんだけど、こういう作品は、頭に浮んだことが全てが真理であり、百人に百個の「くだんの件」があるんだろうなぁ。多様な楽しみを与えてくれました。

棘/スキューバ

棘/スキューバ

不思議少年

損保ジャパン人形劇場ひまわりホール(愛知県)

2016/10/29 (土) ~ 2016/10/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2016/10/29 (土)

棘(不思議少年)感想】思わずギョっとするイントロから始まり、終始、眼を奪われ続ける舞台。まるで空間に漂うマルコの魂が順に役者に憑依していくが如く、人格が入れ替わり立ち代わりして…2人芝居ながら丹念な1人芝居を観ているような感覚。人だけでなく、時空間も自在に操り、行きつ戻りつ、繰り返し、前後し、時には重なる。まさしく人生の走馬灯が駆け巡っている感アリ。そして特筆すべきは森岡光さんの演技。強烈な印象を残しました。泣き声を初めとして、どこから声が出ているのかと思わせる多様な声の数々が、作品の幅を拡げていました。もう、なんかね…言葉に出すとどうしてもありふれた表現にしかならないんだけど、小さな舞台にエネルギーが凝縮されて、ドッカ~ンと爆発してった。良い体験させてもらった。九州の劇団でそうそう観れる訳でもないってのが残念だけど、この機を逃さないで良かった、ホント

スキューバ(不思議少年)感想】棘と同様、時空を巡る感覚があるけど、悲壮感ある棘に比してハートフルな後味。個人的には棘のインパクトが余りにも強くて、あっさりめな印象として残りましたが、公演としての後味はとても良かったです。

METAL LOVERS

METAL LOVERS

N.N.P

ナビロフト(愛知県)

2016/10/27 (木) ~ 2016/10/30 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2016/10/27 (木)

「大胆…、思い切ったなぁ」というのが率直な印象。LOVERSシリーズを"FOR"、"DEAR"と観てきたNNPに対するこれまでの私のイメージは、単なる演劇でなく、「多種の表現媒体や手法を取り込んだ総合アート志向」の集団でした。それが、装いこそスチームパンクでソレっぽいですが、ほぼ全編で徹底的なコメディとエンタメ。なんか、すっごい「過去との決別」を感じました。

ネタバレBOX

客入れから舞台美術に貼り付いて、過去作にも通じる良い雰囲気を漂わせていた金原みな子さんを、ほぼ序盤でギャグとともに切り捨てる潔さ。過去とのギャップを狙ったんかな。(でも、「ば~かっ」の捨て台詞ともに走り去る金原さんは可愛かった。)

そう頭を切り替えてしまえば、後は数多の変態キャラ達や美女や殺陣を楽しむのみで、特にブリキンガーXとか、キャプテン・パンティとかオカマの振付師とか、キワモノ揃いやったなぁ。トップをねらえ!とか懐かしかったし、なんで"はらみつさん"だけキャスト名でいぢられてるの?、とかバラエティ的な楽しみが盛り沢山でした。そういや、加藤千菜実さんは、こここでもワニピースかます社畜ぶりだったなぁ(笑)

・・・それにしても、NNPは今後どの路線に突っ走っていくのか、気になるところですねぇ。
あの大鴉、さえも

あの大鴉、さえも

東京芸術劇場

三重県文化会館(三重県)

2016/10/26 (水) ~ 2016/10/27 (木)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2016/10/27 (木)

過去の不条理演劇をモチーフとして明示的に使っているが、舞台での印象は、それとだいぶん違う。ガラスの表現が非常に多彩で、なんか「現代アート」を見るような愉しみが盛り込まれており、それだけでも素直に楽しめる演出です。それでいて更に、それがその場の空気と言葉に深みと拡がりを与えている感覚で、二重三重に楽しみが繋がる。演出で、こんなにも芝居は変わるんだなぁ…と、その無限の可能性に感動を覚えます。
東京芸術劇場のRooTS、良い取り組みだなぁ。
そして、小林聡美、片桐はいりなんて手練の役者の演技を、間近で観れたのも感激でした。
今回、珍しく自分で選んだ訳ではない観劇だったのだけど、凄い拾い物したなぁ。幸運でした。劇VIPシステムに感謝

ONNA

ONNA

つねプロデュース

円頓寺 Les Piliers(レピリエ)(愛知県)

2016/10/20 (木) ~ 2016/10/30 (日)公演終了

満足度★★★★

女性をテーマに、男性作家2人と女性作家2人、で2回の公演に分けて上演。男性2作が完全に別作品だったのに対し、女性2作が見事な連作、オムニバスになっていたのが印象的。

以降、ネタバレBOXに作品毎の感想を書きます。

ネタバレBOX

①10/23「どこいく。」(久川德明)感想】「かぐや姫を口説いてください」を観ていた私。パンフの女1「空白」を見た瞬間…「ヤツが来る!」とワクワクしておりました。絶対病みつきになってるよね(笑)
シュールな展開とコミカルな会話の中、徐々に姿を現す2人の正体… 分かってから思い返すと、トランスジェンダーを感じさせる序盤のやり取りとの整合に謎を感じるけど、複合的に登場人物(?)に投影されてるのかなぁ…
そして、歳とるとリアルに周りで発生する出来事に収斂していく。体験を伴うとやはり重い。

②10/23「ハハチチ」(渡山博崇)感想】インパクトある猟奇な出だし。狂気と無知と幼児性が選択権を握る中での タイトロープ的な交渉。それに笑いが散りばめられて…奇妙な味わいの展開でした。それだけでも十分な楽しみがあるところ、そこから更に「多様な根深い背景」を感じさせる深みがあって、重みが増したなぁ。おっぱいに対する多面なコンプレックス、幼児虐待、愛情の思い込み、境遇の脳内合理化… 各々で1作が作れそうなピースが沢山詰め込まれていて、想いを巡らすのが楽しかった。特に、複雑な背景を一つの演技で見せてくれた まといさんの芝居、良かったなぁ。
そして最後に、本人すら癒した母性の代表で閉めたのにはぐうの音も出ません。まあ、今回は負けといたるわぁ…< 男の負け惜しみ

③10/30「スガタミ」(みなみ津姉)感想】女性の話と銘打っているので、トランスジェンダーの話であろうことは薄々分かるわけですが、それでいて尚、一般的な男の子の暴走を心配する母を演ずる荘加真美さんの演技はキレッキレで、可笑しいことこの上なかったです。
そして、最後の姿見の演出が素晴らしい。理屈ではなく、見せることで分からせるインパクトの強烈さは見事でした。「スガタミ」は、まさしく、このシーンのためにある作品でしたね。

④10/30「心(ハート)より前にあるモノ」(鏡味富美子)感想】そしてスガタミから見事に連携して本作。割とテンプレになりがちな本人と周囲の葛藤を、あっさり省いてココに持ってくるのはテンポ良い。今時、理屈としては理解できる人は多いでしょうから、それを前提にした作りは納得。それに積み重ねて、母に起きた事件を描くことで、2作相互により深みが増してました。
事を前に「女としての記憶を…」という母の行為なんかも、コミカルに描かれながらも、人間的で良い味だったなぁ。あと、母と子に起こる「逆の境遇」を象徴的に表現する印象的なセリフが多くて泣かせますね。
そして、良いタイトルだなぁと最後まで見て、改めて思いました。
フカフカがーる

フカフカがーる

劇団「放電家族」

G/Pit(愛知県)

2016/10/21 (金) ~ 2016/10/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2016/10/23 (日)

不条理感の強い構成で作品イメージのピースをばら撒いて、単体ではほぼ解釈不能だがw、ひたすら丹念に下地を作り続けた前半。そこから、一転、メインモチーフである大事故を具体的に印象付けて、現実に紐づけて伏線を回収していった後半。結果、心に染みるラストが演出されたが、なんか天野さんに騙されている気がしてならないw
(以降、続きはネタバレBOXへ)

ネタバレBOX

改めて感想を書き始めて、前半と後半がうまく整合しなくて苦悩。前半で何度も繰り返されて印象に残っているのは「夢に喰われる」というキーワード。夢に、仕事に、欲に翻弄され苦悩する登場人物の姿。夢追う辛さが前面に滲み出る。小劇場演劇に長く留まる天野さんならではの切実さ。
そして「フカフカが~る」に誘う少女。連れて行ける人と行けない人がいる。「フカフカが~る」とは何なのか。
後半では「少女の夢」と明示されたと思えた。「フカフカ がある」なんて語呂も出てきて、心地良さげなイメージ。安らぐ麻薬の様な暗示もあった。前半に相対して、この「夢」は救いの夢なのか…
だが一方、「カフカ」のモチーフも現れたりして、「苦悩する夢世界」のイメージも漂う。事故と絡めて「フカフカが~る」は三途の川の渡し舟にも思えるし、兄の最後の言葉では理想への架け橋の様。事故に巻き込まれた隣人を留めおく夢。一方で「1人残る少女」自身の張り裂ける心を繋ぎとめる…たぶん1本道で整合するような話ではないのだ。甘さと辛さ、毒と薬の二律背反を内包する「夢」を語るに相応しい物語。観て、考えて、混乱するのが正しい見方かも。
ふとTLに前半と後半を繋ぐ「おしゃれ相撲」は台本に載っていないと流れてきた。前半に引きずられる観客の頭を、本当に一旦キャンセルするためだけに仕掛けたのかもしれない。パンフに印象深い言葉があった。これも「ラストで観客に何かしらの感情を湧き起こさせる」ための手練手管か。
今後も心地よく騙してください、天野さん。
勧進帳

勧進帳

木ノ下歌舞伎

穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース(愛知県)

2016/10/22 (土) ~ 2016/10/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2016/10/22 (土)

まずイントロに痺れた。最初、すごく無造作に役者陣が現れて仕込みを始めるんですよ。思わず、「えっ?」ってなる程、全く芝居っ気が無い。そこに照明と音響がグワっと入り、役者の姿勢が変わる、一瞬にして纏う空気が変わる、800年の刻を超える… 痺れるわぁ…

始まると、1つのシーンを分解したり繰り返したり、2つのシーンを融合させたりの進行で「時空間の使い方」が面白い。現代との融合もいつもながら見事ですが、中でも様式美を活かしつつもダンスの様に昇華された「足捌き」とか格好良かったなぁ。
音楽の使い方も、今まで観た中で一番ポップでした。歌舞伎語(?)が少ないのも特徴的でしたね。

そして、やっぱりキャスティングが素晴らしくて、弁慶・義経の異彩の放ち方が尋常じゃない。そういう"見てくれ"だけじゃない意味が込められているのも印象的でした。

ゴルジ隊「つい。つい、うっかり。」

ゴルジ隊「つい。つい、うっかり。」

津あけぼの座

津あけぼの座(三重県)

2016/10/19 (水) ~ 2016/10/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2016/10/22 (土)

脚本も役者も流石のラインナップ。
それを見事に纏めて、充実、濃密のひとときでした。幕間映像まで手抜かりなし。

以降、ネタバレBOXに個別の感想。

ネタバレBOX

①コントロールオフィサー(平田オリザ)感想】果たして仲間なのか敵なのか、当事者なのか傍観者なのか。呉越同舟、対岸の火事、人の不幸は蜜の味、奇妙で滑稽な集団の緊張感溢れる空気が堪らなく面白かった。特に諸星敦士さんの戦場に放り込まれた感が非常に愉快。

②団地の三人姉妹(岩崎正裕)感想】三姉妹の感情の発露を呼び起こす、くるぶしさんの腐れ住職加減・空気読めない加減が何とも良い味出してた。
結果として励起された気持ちの三姉妹の中でのやり取りが切ない。人生ままならぬ、でも、ありが〜とぉ。

③3650と3日(関戸哲也)感想】入り乱れるジェットコースター的負け組人生がとてもリズミカルで、役者が生き生きしてる。小関加奈さんのノリノリ加減が良かった。
そして関戸さん脚本にしては、主役男性に優しかったなという印象。男性に降りかかる未来が余りにも理不尽すぎて、対照的に男性の愚かさが感じられなかったからなのでしょうか。いつもなら、もっと明らかな自業自得展開だけど、今回は珍しく同情。
そして、顛末がとても甘酸っぱいわ〜。
いい感じに赤面(≧∇≦)

④うつつに響く(永山智行)感想】今回一推し。小説の頁を一枚一枚めくる様な生々しい・じっくりとした描写。単に朗読してるからってだけでは無いな。10年熟成された想いを経て、頭の中で辿り着く沙織への理解は、現実なのか幻なのか、昇華なのか狂気なのか。ある種、ねちっこく偏執的な坂口修一さんの芝居が良い意味で怖い。脚本にベストフィットですわ〜。沙織の人物像も、姿を見せないからこその幅の広さと深さが良い。
レコードを媒体にするという演出も気が利いていて良かった。

⑤夜のオシノビ(横山拓也)感想】故人を偲びつつ、否応なく時の流れと現実が忍び寄る… じっくりとした人間ドラマ的な前半の雰囲気から、一転、蔵田が出てくる後半へのギャップと展開が物凄い。何をするにしてもツッコミどころ満載の蔵田と浩輔との掛け合いは何とも言えぬ乾いた笑いに昇華しつつ、どんどん謎の人物化する故人の多面性が浮き彫りになっていくのが興味深い。当時の彼女の精神状態を推し量る情報を散りばめつつ、決して一意に収束させずに終わっていくのが良い味でした。

⑥橋の上のはなし(油田晃)感想】何か元ネタでもあるのだろうか… と思わせる程、支離滅裂感があるのだが、それでいて何故か微笑ましく、背景のドラマを勝手に脳内創作して補ってしまう。不思議な作品だぁ。オレオレの人達が何とも良い味を出してたよ。
庭と自ら

庭と自ら

幻想劇団まほろ

ナビロフト(愛知県)

2016/10/14 (金) ~ 2016/10/16 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/10/16 (日)

下手・中央・上手の3つの舞台を行ったり来たりして、その関係性を色々想像させながら進む展開。箱庭療法をモチーフに、実際に治療を受ける「下手」、箱庭の中のイメージと思しき「中央」…に対し、残る「上手」に私は色々想像を逞しくさせられました。
並行した別のモチーフなのか、箱庭による創作物なのか、時系列で直結する過去なのか・・・を揺れながら観てました。終盤のタネ明かしはやや性急な気もしましたが、必ずしもイメージが一致しない3人の女優で実質3人1役の構成になっているのは新鮮で、だからこそ、色々と想像の余地が発生したのが面白かったです。

ネタバレBOX

そんな脚本の仕組みの面白みを剥がすと… 母の箱庭を飛び出した少女が、外に自分の箱庭を見出し、結果として母と同様に対象に裏切られる辺りも非常に皮肉的。
しかもそれを箱庭を造って認識する辺り、とても意味深。いったい何が「大丈夫」なのだろうか… マリーならずとも、彼女の行く末が心配になる結末でした。闇を感じさせてくれる点で、もちろん、こちらも面白い。
そうそう、当日パンフに付いた心理学用語集はとても有難かったです。
麦とクシャミ

麦とクシャミ

ホエイ

四天王寺スクエア(三重県)

2016/10/14 (金) ~ 2016/10/16 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/10/15 (土)

昭和新山誕生が舞台で、何かスペクタルな要素を想像していましたが、それよりも遥かに存在感があったのは、そんな環境下で地道に、逞しく、強かに生きる人間たち。「どっこい、生きてる!」って感じの生々しくも強靭な生命力が印象的。
全般、なんか「生の素材を活かした料理」みたいな芝居で、脚本で技巧に走るのではなく、本当に役者の良さを前面に活かした印象を受けました。彩る徹底的な「方言」が強さと温かさを演出していて、特に中村真生さんの岩手弁は素晴らしい。
普段からアレで生活してるんじゃないかなと思うほど。そして、宮部純子さんの徐々に強かさが現れてくる芝居の感じも良かったな。河村竜也の最後のシーンも、一転、現実・現代に帰ってきているかのような説得力と余韻が印象的でした。観に来て良かった。

嵐になるまで待って

嵐になるまで待って

演劇集団キャラメルボックス

三重県文化会館(三重県)

2016/10/10 (月) ~ 2016/10/10 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/10/10 (月)

芝居はさすがの緊張感と情感。ただ、好み的にはこのネタならもっと深くダークに斬り込んでくれた方が現実味を感じられたかな。

ネタバレBOX

作品の狙う客層が違うと言われればそれまでだけど、この生い立ちと実績があるならば、波多野と…さらに言えば雪絵には、積み重ねられたもっと深い闇があるべき。あんなにアッサリ終わっちゃ不自然。むしろ、あの結末が雪絵の意図したところである…なんて策略的なエンディングなら… などと考える私は心が汚れているな;^_^A 

シーンとしては、クライマックスでの雪絵の嗚咽がとても印象的に心に残っています。喋れない人が絞り出す声というのものには、計り知れない魂が乗っかっている。それを表現した岡内美喜子さんに感服至極。
虹色のリリー

虹色のリリー

演劇ニッケル

御浪町ホール(岐阜県)

2016/10/09 (日) ~ 2016/10/10 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/10/09 (日)

断片的にばら撒かれ繰り返される言葉のピース達。言葉遊びとしてだけでも、かなり面白い秀でた表現が多々出てきました。独唱感想文とか、ツボすぎ。
そして核心。何に触発され、何を結び付けるかで、観客がこの作品の中に何を見出すかは全く異なるんだろうね。

ネタバレBOX

私はトランスジェンダー(百合や性同一性障害のイメージも感じた)とか、多重人格とか、多様な価値観の中で自己が確立できない状態とか想起したけど、とても一度の観劇では消化できなかったし、それ"だけ"とも思えない。分からないキーワード沢山あった。
きっと、西野さんも一本道で消化させるつもりはないだろう。色んなイメージが渾然と凝縮されている印象です。脚本を数日後にUPするとのことだったので、熟読してみたい。本音言うと、その上で更にもう一度観てみたいと思わせるお芝居でした。
治天ノ君【次回公演は来年5月!】

治天ノ君【次回公演は来年5月!】

劇団チョコレートケーキ

穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース(愛知県)

2016/10/01 (土) ~ 2016/10/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2016/10/02 (日)

皇室を題材にするというタブーに挑んだ…というだけでも興味津々でしたが、その実、なんと愛すべき人間ドラマであったことか。嘉仁のお世辞にも君主然とは言い難い立ち振る舞いの芝居がとても巧みで、生来の気性に合わぬ重責と父からのプレッシャーに翻弄されつつも、一方で懸命に自分の考えの実現に挑む様が対照的に心に響く。その心意気ゆえの頑なさで事態を悪くする展開があまりにも切ない。周りを取り巻く人々も、その各々の想いに一切の私心がなく、清廉の一言に尽きるのも胸を熱くさせます。
どの人も安易に折れず、ブレないのも良かったなぁ。そして悲劇の中、夫婦が通わす一貫した情愛が何とも清々しい後味を残してくれるのが救いでした。
本当に見逃さなくて良かった。140分の長編なのに全くそれを感じさせない吸引力のある作品でした。

トランジット・ルームⅱ

トランジット・ルームⅱ

てんぷくプロ

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2016/09/29 (木) ~ 2016/10/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/10/01 (土)

なんか色々な人間模様を見せてくれるお話なのかと思いきや!、徐々に異様な雰囲気が展開し、いつしか不条理な夢の中に囚われる感覚に陥る、なんとも不思議な芝居。文字通り"集団トリップ"!
サオリ役・谷内範子さんの癒される笑みがとても印象的。

ハロウザディップ

ハロウザディップ

演劇組織KIMYO

名古屋市東文化小劇場(愛知県)

2016/09/29 (木) ~ 2016/10/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/10/01 (土)

会社の設定、着想がすごく面白い。客のニーズを更に結び付けようとした段階もなかなかビジネス思考っぽくて良かったが、具体性を持たせる前に有耶無耶になり、割りとテンプレな国絡みの陰謀にシフトしていったトコはちょっと勿体なかったかな。

虎屋社長はもっと深彫りして判断の合理的な裏付けを感じさせて欲しかった。それを単なる命令受諾でなくメンバーにしっかり同調させることで、凶行に及んだ判断の重みと自責の念を表現して欲しかったかな。やっぱテロはやんちゃでは済まされない。

ただ、演出・アクションのド派手さは最早鉄壁で、それだけでも見る価値があるのは確か。ラストの血しぶき演出がとても印象的で、このためにここまでの脚本があったのではと思うほど。役者さんの方では、田口佳名子さんの方言にちょっと萌えたw

沈澱タイ

沈澱タイ

room16

愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)

2016/09/29 (木) ~ 2016/09/29 (木)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2016/09/29 (木)

1つのテーマで作られたというよりは、ゴロゴロと転がる人生そのものを見せてくれた印象が強い。持ち前の天性と賢さと優しさを兼ね備えた者が陥った悲しい末路があまりにも皮肉。クリエーター主観に強く彩られる展開となる前半は共感半分、反感半分。
room16の創作集団としての如何にもな若さと自負を感じさせつつ・・・ 一転そこで終わらせなかったところが意欲的であり、現実的でもある。そこら辺が「人生」を感じさせてくれたところですね。凡人の反感がもっとドロドロしていても良いかな。
役者。外道を見事演じきった中村さんの印象強し。
藤島さんの色んな感情が綯い交ぜになった表情の先輩役が怖くて良かった、主人公と良い対比。コンタさんのリアルでその台詞吐きそうなスズケン役、廃墟文藝部次回公演は色んな意味で覚悟していかねばと思ったw
鈴木さん、美と暴力が同居する佇まいがズゴイ印象的やった。

僕の居場所

僕の居場所

劇団あおきりみかん

G/PIT 名古屋市中区栄1丁目23-30中京ビル(愛知県)

2016/09/21 (水) ~ 2016/09/27 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/09/25 (日)

まったく想像できなかった舞台○術とか、超斬新な□転技術とか、△△から出てくる○○とか、私が今まで観た中でも屈指の"驚き"が仕込まれていた舞台でした。(←ネタバレ厳禁でワケ分からんことになっとる。)
主人公「ななし」の周りの人たちが、それなりに色々背負った境遇のハズなのに違和感ある程に明るく描かれるのが、最後に合点がいく、じんわり良いお話でした。パンフの鹿目さんの挨拶が全てを語っている気がしました。

【演劇×ジャグリング】シャドウトラフィック 【影×交通】

【演劇×ジャグリング】シャドウトラフィック 【影×交通】

壱劇屋

ABCホール (大阪府)

2016/09/23 (金) ~ 2016/09/25 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/09/24 (土)

ただのダンスに留まらない多様なパフォーマンス。特に道具を使うところに他劇団に追随を許さないオンリーワンの価値を感じる。そこから伝わってくる異次元感覚はサスペンスにぴったりで、何百の言葉を重ねても中々伝わらない雰囲気をダイレクトに伝えてきた。
元が不条理展開のところを、強引に推理劇に落とし込んだ感もあって、解決の種明しのくだりはやや唐突感が否めなかったけれど、それ自体のテンポはとても良く、特に演劇でリプレイする演出は巧みで面白かった。あと姉妹の「本体と影」表現の演出とか好きだな。

モンタージュ はじまりの記憶

モンタージュ はじまりの記憶

Contondo

common cafe/会ふ afu/阪堺電車/siroiro.(大阪府)

2016/09/02 (金) ~ 2016/09/25 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/09/24 (土)

名古屋・大名での紺野演出には「驚き」が付き物なんだけど、さすがコンセプトで「日常の延長線上の非日常の創造」を謳うだけあって、contondoでは、また別の印象。
ありふれた雰囲気を漂わせながらも、実際にはなかなか得られるものではない「日常的非日常空間」をさりげなく、丁寧に表現してて、羨望の眼差しで観てました。
その中に我が身を置けずとも、せめて目と鼻の先でその営みを眺められたことに感謝です。
あぁ、それにしてもお婆ちゃん達はキュート過ぎや。特に土江さんのお婆ちゃんイントネーションは優しく包み込まれる様で大好きだし、浦長さんの悔しがる顔も可愛いくて良かったなぁ。
大阪に住んでたら、他のシチュエーションのも観たものを… 特に本物の運行中の路面電車を舞台にしたバージョンは見逃して惜しいことをした。紺野さんは大名でのブランカもそうだけど、会場を選ぶ嗅覚に優れてるなぁ。

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