unwelcome
劇団スクランブル
STスポット(神奈川県)
2016/07/21 (木) ~ 2016/07/25 (月)公演終了
満足度★★★★
Vol.20の貫禄
家族と他者にまつわる悲喜劇。オギャアと生まれた時からひとりのニンゲンとして扱われる外国の意識とは正反対に、日本人による日本人のための日本的哲学という印象をうけた。「アカの他人≒家族でない」という、あいまいな定義を上手に捉え、Unwelcomeという主題が忠実に伝わり、観劇後が爽快だった。10人の配役が実にBestマッチで、これ以上の適役が見つからない。さらなる10年のステージが楽しみ!!
キャッシュ・オン・デリバリー ~Cash on Delivery~
ファルスシアター
駅前劇場(東京都)
2016/06/24 (金) ~ 2016/06/28 (火)公演終了
満足度★★★
British Social Systems
最初から最後まで猛スピードな展開と演技。演技者はもちろんのこと、観劇者まで額に汗をにじませながらの2時間。少々長すぎるような気がしました。せっかくの再演なのですから、思い切ってそぎ落としてもよかったのでは?ところで、私事。英国に10年前まで住んでいましたのでひとこと。この作品のラストのような〆は、英国ではまずありえません。アメリカではないので・・・(笑)
せんのう。
劇団108
STスポット(神奈川県)
2016/06/18 (土) ~ 2016/06/19 (日)公演終了
満足度★★★★
夢は虹色
ミミちゃんとミコちゃんの双子の物語。あの子のようになりたい、あの子がいなければいいのに、、、思春期にありがちな姉妹の悩みをユーモアを交えながら素直に表現していた。私自身姉妹の姉なので、同じ悩みを今も持っている。たぶん死ぬまで抱えて生きていくのであろうが、じゃあ、妹になりたいか、と問われたら、間違いなく、No!と答えるだろう。・・・それくらいの悩みなのだ(笑)。観劇後、何色だかわからない、自分の「色」について、時間をかけて考えてみたくなった。
慙愧
643ノゲッツー
OFF OFFシアター(東京都)
2016/04/26 (火) ~ 2016/05/02 (月)公演終了
満足度★★
タイトルに惹かれて
教会の一室が舞台・・・いったいこれから何が起こるのか、、、興味津津・・・ではあったが、全体的に、キャストの立場からの意図とその方向性が拡散し、「慙愧」という言葉の深い意味とstoryの趣旨との関連性がうまく伝わり難かった。
タイトルをなかなか決めることができない。。。と主宰者が仰るとおり、台本、演出以上に、公演のタイトルは最重要課題。このstageにいまひとつ、足りないものは、「タイトルへの執着」ではないだろうか。
サウンズ・オブ・サイレンシーズ
弦巻楽団
「劇」小劇場(東京都)
2016/03/11 (金) ~ 2016/03/13 (日)公演終了
満足度★★★★
慮るあまりに、Miscommunication
Simon & GarfunkelのThe Sound of Silenceが静かに流れる冒頭。小さな町に住む姉妹と、彼女たちに関わる男性2名の群像劇。適切な言葉にできないもどかしさ。言葉にできないからこその誠実さ。4名の互いの思いが、それぞれの音を持って、相手に伝わろうとするが、Harmoniseしていない。その結果はどうあれ、沈黙の音(時間)は絶えず流れ、過ぎ去った音(時間)はもう再生することはできない。
満潮となって川をさかのぼる、じわじわと寄せては返す水音。4人はそれぞれに何者かに身を預け、流され、沈んでゆく。
ただひとつ、この姉妹の描写について、もう少し深堀が欲しかった。実際の姉妹には、もっと複雑な心象(嫉妬や羨望、葛藤など)が必ず有るはず。
しかし、昨年、若手演出家コンクール2014で最優秀賞を受賞した実力派の劇団とあって、手抜きのない繊細な脚本と演出に魅了させられたことは事実。
10周年記念公演となる次作「果実」に大いに期待したい。
星の果てまで7人で
トツゲキ倶楽部
「劇」小劇場(東京都)
2016/02/24 (水) ~ 2016/02/28 (日)公演終了
満足度★★★★
宇宙への Boarding Pass
地球を離れておよそ4年。7人(+1人)を乗せた宇宙船。ある女性乗組員の「帰りたい」とつぶやいた【禁句】がもとで、他の乗船メンバーそれぞれに過去の思惑が湧きあがる。
冒頭、各人が手にする木箱が、自身の棺に見えたのは気のせいだろうか。
自分(身体)を地球に残したまま、その分身(意識)だけが宇宙を彷徨う。一見、理想的だが、ほのかに寂しさがつきまとう。大事なのは、過去でも未来でもなく、今なのだということを強く印象付けるstageだった。
目下、シリアでのテロや難民問題など、国境と宗教の壁はとてつもなく厚いが、「国なんてどうでもいい、オリンピックじゃないのだから」の言葉に救われる思いがした。
それにしても、1600000000kmって想像もつかない。いっそ「光」になって、ひとっとびにあちらの世界へ行ってみたい。
わからなければモモエさんに聞け
劇団青い鳥
小劇場B1(東京都)
2015/12/15 (火) ~ 2015/12/20 (日)公演終了
満足度★★★★
積み上げて、崩す
私事で恐縮だが、10年前に亡くなった母も、「どうしてモモエちゃんは復帰しないのかなあ、もったいない。。。」と秋桜を鼻歌で歌いながら台所で料理をしていたことを思い出した。アイドルをきっぱり卒業して、妻(母)になるって、(女として)潔癖だよね。。。と当時、まだ子供だった私は、そんなふうに考えていた。けれど、月日がたち、自身が(いろいろな意味で)世の中のしがらみを認知したので、「百恵さんにも、今は今なりに、様々な悩みを抱え、考えることがあるだろう」と推測できる。
「しっかりした内容を、そして自分たちが納得のいく作品を」という
作家の意図が、強く映し出された「山田松子さん」の素直な生き方は、観ていて実に心地よい。母と一緒にでかけたデパートでの、出来事とそれにまつわる小さな思いは、永遠の宝物。ラストのタクシーを待つ彼女のまなざしが、とても優しく、穏やかで、印象的だった。
40年間の卒業証書にふさわしい、Heart warmingなstageに乾杯!
わかれ道のリテラシー
9-States
小劇場B1(東京都)
2015/12/09 (水) ~ 2015/12/13 (日)公演終了
満足度★★★★
リテラシーの真意
そもそもLiteracyとは、「情報や知識の活用能力」のことを言うが、この脚本の真理は、まさにこの部分にあると実感できる見事なstageだった。
あらゆるシーンにおける「アナタの生きる理由は?」という問いかけに、うーん。。。といちいち考えてしまうと、目の前で進行しているstageから遠く離れてしまい、ふと我に返るまでにかなりの時間がかかってしまった(涙)。
過去を忘れられたら、、、(コトー医師のつぶやき)や、モニターに映し出された「愛の錠の重さ」など、心にずしんと響く言葉がいくつも登場し、それを脳裏に焼き付けようと、躍起になってしまった。
ひとは必ず死ぬ。神なんていない。
正直なところ、もう一度、襟を正して、独りで観たい作品である。
うしろの正面だあれ
山の羊舍
小劇場B1(東京都)
2015/11/04 (水) ~ 2015/11/08 (日)公演終了
満足度★★★★
かもめ
チェーホフの「かもめ」を御存知の方には、驚きのラストシーンかもしれない・・・。舞台裏で起こる「出来事」がとても重要な意味を持つことに気が付くだろう。
別役氏の脚本が斬新なのは、ひとつの中心が無いということだけでなく、登場人物の間での意思疎通の不一致。互いにどこまで相手の気持ちがわかっているのか、観客にもよくわからないような描き方にある。
登場人物の、ひとりごとのようにも聞こえる台詞がリフレインする。
―わからないものは、わからない。だからわからなくていいのだ―
GOOD MORNING ракета -おはようラケタ-
ノアノオモチャバコ
シアター711(東京都)
2015/10/22 (木) ~ 2015/10/28 (水)公演終了
満足度★★★★
パーカッションの妙
観劇中、終始繰り返し朗読されるチェーホフの言葉と、ライヴで流れるパーカッションの音が、ほどよくマッチングし、やや陶酔に近い、不思議な感覚になった。
『桜の園』や『かもめ』など、少しでも読んだことがある方なら、どっぷりとハマる心情的に繊細なストーリー構成。私はあいにく『ワーニャ伯父さん』しか知らず、勉強不足やなーと悔いが残るものの、ラストまで緊張感を持ちつつ、充分に楽しむことができた。
紙の花たち
スポンジ
「劇」小劇場(東京都)
2015/09/02 (水) ~ 2015/09/06 (日)公演終了
満足度★★★
前衛的Stage
「いつか自分が狂うんじゃないかという恐怖を持っている」
インド映画の巨匠であったグル・ダット監督の作品を彷彿させる独特の香り漂うstageであった。
インド映画というと、歌って踊って・・・が特長であるが、この作品については、ストーリーよりもどこかArt(音楽や照明)に注力した印象を受けた。また、終始、脚本家が「孤独」にこだわる理由もラストで理解できた。
小豆島の方言がシリアスなシーンにほどよくマッチして最後まで安心感を持って観劇できた。
祝祭
Trigger Line
小劇場B1(東京都)
2015/07/18 (土) ~ 2015/07/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
Pietaに捧ぐ
とある事件や時事問題をモチーフに作られた演劇というものは、実にリアルに迫るものがあり、好印象を受けた。
フィクションとノンフィクションを織り交ぜたことにより、想像力も掻き立てられるstageだった。
Actionもさることながら、巧みな会話、表情にいたるあらゆる箇所で、緊張感を感じた。
もし、実際、自分がこの事件に巻き込まれていたなら、どんなふうに意識が変わったのだろうか。
また、日本人としての誇りや自負をどのように改心できただろうかと問題提起の多い、道徳的観劇となった。
私事。数年後、海外へ駐在に出る者として、非常に参考になった。
「月暈とメスシリンダ」(公演終了 ご来場ありがとうございました)
Sky Theater PROJECT
小劇場B1(東京都)
2015/07/07 (火) ~ 2015/07/14 (火)公演終了
満足度★★★
Mai Pen Lai !
コーヒー好きな私にとって、残る余生、あと何杯、楽しむことができるのだろう・・・と、観劇後、ひとりで真面目に考えてしまった。
田舎に暮らす母のこと、亡くした父のこと、そして、いつか来るであろうパートナーとの出会いと別れ。
きっちり計れないと思っている時間(とき)の流れ。
でも実際、ひとが自分の人生に使う時間は、寸秒の狂いもなく、すでに定められている。
でも、私たちは所詮、御釈迦様の手のひらの上。
なげだすことも、抗うことも、できない。
しょうがない・・・じゃなく
心配ない・・・をモットーに生きようと思わせるストーリー。
銀幕心中
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2015/06/10 (水) ~ 2015/06/14 (日)公演終了
満足度★★★
おれと一緒に死んでくれぬか
の、ひとことに、しびれました(笑)。
いつもながら、質の高い演技に脱帽です。
演劇を越えて、心地よいリゾート空間に居るような、そんな錯覚さえ覚えた公演でした。
Béranger
EgofiLter
シアター711(東京都)
2015/05/13 (水) ~ 2015/05/17 (日)公演終了
満足度★★★
どんな人間のなかにも
Berangerは潜んでいる-------
私は、かつてポーランドを旅して以来、ユダヤ人について強い興味を持っていた為、実に有意義な2時間となった。
イヨネスコとシオラン、または、アンドレアとベランジェ、ひつじと八男坊(村の子ども)など対比の妙が心地よく、最後まで、手に汗握る、ドキドキのstageだった。
さらに、このFlyerのデザインをよく見ると、5人の人間が串刺しになっている。ルーマニアのウラキア公ヴラド3世(ドラキュラのモデル)の過去とリンクして、実に意味深な仕上がり。
観劇後、ルーマニアを訪ねる旅に出たくなること、間違いなし!
Good Job!!
渦中の人
セロリの会
「劇」小劇場(東京都)
2015/02/25 (水) ~ 2015/03/01 (日)公演終了
満足度★★★★
たかが宝くじ、されど・・・
「渦中」という言葉の通り、とある僻地の島を舞台に、混沌としたカオスのように渦巻くコミカルな人間像を、丁寧に描いた作品という印象を受けた。親と子、夫と妻、島に暮らす男と女、そして島を訪れる女たち・・・それぞれが保有する苦悩。それらはひとつとして同じものが無く、それゆえに救いが無い。CASTの個性があまりに強く、おそらく最も大事なシーンの会話を聴き逃してしまった(涙)。1時間50分という長時間の大作は見応え充分。脚本、演出ともに、実に高尚且つハイセンスな作品であった。
ノミの心臓
劇団サミシガリヤ
シアター711(東京都)
2015/02/10 (火) ~ 2015/02/15 (日)公演終了
満足度★★
I know me! Do you know,,,
おむすび・・・を逃してしまったので、雪辱戦での観劇です。
アイドルという夢を追い続ける30代女子のパワフルなこと。その姿勢や容姿に、まだまだイケルぜお姐さんたち!と一喝したくなりました。さらに、某ジャニーズの流行歌に乗せて、「言わないでー、言わないでー、『いい年なんだから』って言わないでー」と歌う姿は、まさにミラクル30代女子。
夢追う女子も、夢諦めた女子も、みんなちがって、みんないい、、、と金子みすずさんの声が聞こえてきそうなストーリーでした。
『Fermat's Last Theorem』(フェルマーの最終定理)
ユニークポイント
シアター711(東京都)
2015/02/04 (水) ~ 2015/02/08 (日)公演終了
満足度★★★
冬来たりなば、春遠からじ
350年という歳月がとても愛おしく感じる、そんなストーリーでした。
350年前といえば、日本では島原の乱・・・うーん、そんな時代に、フェルマー予想が打ち出され、ようやく証明に至った1995年。その間、この証明に生涯をかけ熱意を燃やした数学者たちの怨霊が、劇場のあちこちに漂っていそうな気さえ感じさせる、気迫あるステージでした。
ちなみに1995年、自分はどんなことを考え、生きていたのか・・・大学卒業前、意気揚々と就職活動をしていた頃。当時の夢を、いまも追い続けていくことへの勇気と希望をいただいた。
ひさしぶりに、藤原正彦氏の本を再読してみたくなった。
FUN
Instant garden (インスタント・ガーデン)
ステージカフェ下北沢亭(東京都)
2015/01/23 (金) ~ 2015/01/25 (日)公演終了
子どもの頃から
演劇企画集団LondonPANDA
小劇場 楽園(東京都)
2015/01/16 (金) ~ 2015/01/25 (日)公演終了
満足度★★★★
上を向いて
大阪と東京という、いわば大都市で生まれ育った私たち夫婦にとって、地方での暮らしや習慣、思考性など、この日本という小さな国に今なお閉鎖的な世界が存在することに、かすかなカルチャーショックと新たな感動を覚える、少々ミステリアスなステージでした。観劇後、電車の中で、「子どもの頃から」というタイトルとストーリーとの関係性をずっと考えていました。先祖代々連綿とつながりゆく「血」は、絶えることなく続き・・・逃れられないのだ、と自覚することで生まれる、かすかな希望の光を感じ、帰途につきました。