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寺山修司・作 「邪宗門」

寺山修司・作 「邪宗門」

月蝕歌劇団

ひつじ座(東京都)

2014/09/25 (木) ~ 2014/09/29 (月)公演終了

満足度★★★

人生いろいろ?
客席中央付近で観劇。ダークファンタジーなアングラ演劇。

ネタバレBOX

母に自身を売られてから「母親」という存在そのものを憎む妖しい美女。その美女を抱くために母親を捨てようとする男。父を探す美少女。

セットは雰囲気良し、女性陣は綺麗だし、エロスも十分(笑)。前説の間の妖しい踊りが本当に妖しい。
自分はアングラ演劇はあまり観ないので、話について行くのも一苦労だったが、割と楽しめた。
理解不能な展開が続くものの、芝居そのものの存在自体が劇的。
何人か経験あるベテランの方、そして中心的な役回りの女優の方々は、素直に上手いと思う。主にアングラ独特の詩的な言葉の台詞回しや役の雰囲気がいい。
その分、その他の方々の役をあまり感じられず、ダークな踊りの振り付けがちょっとバラバラ過ぎるかなと感じた。
その他のキャラは、肝心の台詞の表現に欠け言葉や歌詞も聞き取りにくかった。
そしてお決まりの救いようのない出血&セット崩壊。締めくくりだなあ、と思う。
マッチの演出は好きだけど中々上手くいかないみたいで大変そうだ。
意中の女を自分の物にするのはやっぱりなかなか骨が折れるのだなぁ。
太陽への回廊

太陽への回廊

無頼組合

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2014/09/12 (金) ~ 2014/09/15 (月)公演終了

満足度★★★

親子の確執? 世の中の不条理とは?
最前列端で観劇。

ネタバレBOX

無頼連合さんの作品を観劇するのは「ホンキィ・トンク騎士」以来二度目。
正直なところ、前回の観劇よりもあまり楽しめなかった。
作品の大きなテーマを自分はあまり感じることが出来なかった。
物語で筋が通ってるなーと感じることがあまりなく、何だかカッコつけたいだけに見えてしまった。

ある男は愛する妻とこれから生まれてくる我が子に会うことなく、非業の死を遂げた。
隕石のガス(だっけ?)によって現世に甦った男は、現世を生きており、罪を犯してしまった我が子に裁きのようなものを下す。
そして我が子に自分の人生をしっかりと生きて欲しいと願いながら消えてゆく……

この流れの中で周りに色んな人が登場するわけだけど、だいぶもみくちゃになったかなという印象。
一人一人の登場人物の掘り下げがあり、個性もあるというのが脚本の良さだと感じたのだけど……
その分、だいぶ尺が長く感じてしまった。てっきり2時間20分近く行ったかと。
最後が良いシーンなのは分かってるんだけど、もう疲れてしまっててどうにも。

たまにのギャグは面白かったし役者も熱演、演出にはすごいなと感じさせられる事が多かったのだが。なぜピンと来ないのだろう。

日本を舞台にしていたけど、あんな銃撃戦、無理があるなと思ったし。
前の作品は、架空のシティだったので理解も出来たけど。
スナイパーライフルみたいなのを動きながらあんなバカスカ撃てるのか。
前は、カウンターからあちこちに撃ってた。
喋ってないで早く撃ったらどうだろう。
女性刑事と本性を現した敵副官のアクションは、正直あのレベルだと見るのは厳しかったかな。練習したんだろうなとは感じたけど力強さが。やっぱり女性だと思ってしまった。
女性刑事の方は騎士シリーズの助手さんも演じていたのだろうか。
ごめんなさい。騎士シリーズを演じたあの一瞬のほうが自分には自然で魅力的に見えてしまった。
HAPPY END

HAPPY END

劇団ORIGINAL COLOR

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2014/08/28 (木) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★

楽しい毎日を求めて
最前列上手端より観劇。
はじめ近未来SFかと思われたが、「もしもバーチャル世界が実現したら」という日常ストーリー。

ネタバレBOX

物語を動く中心はソフトウェア会社(だったかな?)の社長と部下。
社長は元いじめられっ子の軽い人。部下は女性恐怖症のオタク系。
社長はとにかく皆と楽しく、幸せに生きたいという目的で会社をやっている。
でも、ユルい社長と部下のせいで経営状況はいまひとつ。
一念発起し、バーチャル世界が体験出来るソフトを使い、翌日のイベントをシミュレート。
予習してから現実世界で実際に行動する、という手順で会社を立て直そうとし始めは上手くいくも誤解が生まれてしまい……

役者陣の方々は熱演だと思った。
ただ、正当性や必然性、リアリティに欠けたような気がした。
あれでは会社なんてとっくに成立しなくなってるし、新しい従業員が入って来てもすぐやめるだろう。本当の会社っぽくない。そこがどうなのか。
大事な友人達と毎日を楽しく生きたいが為に、高度なバーチャル世界を作り、そこに大事な現実の世界の住人を移動させる。
壮大な現実逃避、という印象になった。
社会は非情だから、あんな状況ではああなるのも無理はない。
理想を追い求めるのは、良い事だと思うが……
ラストシーンは、あのたたみ方だと、なぜあの人は協力してくれなかったの? という疑問が残る。
NO GOAL【ご来場ありがとうございました】

NO GOAL【ご来場ありがとうございました】

青春事情

駅前劇場(東京都)

2014/06/27 (金) ~ 2014/07/01 (火)公演終了

満足度★★★★★

GOAL!!
実際に行われているという「ホームレスワールドカップ」に参加するまでの「さすらいジャパン」こと日本代表が描かれていた。
登場人物一人一人の個性が魅力的に表現されており、退屈も全くしない。尺もちょうど良い感じ。
素晴らしい物語だった。

ネタバレBOX

理由があってホームレスになっている人達が、サッカーを通して社会復帰を目指す。
問題がいくつも起きる。それでもそれを乗り越え、ワールドカップに出場する。
言葉にすれば簡単。でもそれが美しいし感動した。
二度目になるがやはり個性が魅力的に表現されているのが良い。
誰が、どんな人なのかを教えてくれる。実在人物から取ったらしい登場人物だが、それぞれが生きている。
台詞の間の取り方もまたニクい。照井(ジョン・テリーがモデル?)さんの電話の所なんて普通に泣きますよ。
日常生活で大事なことも教えてくれた。
相手の受け取りやすいパスを出すこと。本音だけの、力任せのパスではダメだということ。
生きる為には、もがくべきなのだということ……etc。
残念ながらチームは勝利を挙げる事が出来なかったようだが、最後の試合、最強のスペイン代表から一点を奪う。
その感動のゴールシーンを観劇するこちら側の想像に任せてくれる所に、これまたやられた。泣ける。きっと、皆でめちゃくちゃに抱き合って喜んだんじゃないかな。
人生にはゴールを設けるべきではない。
でもとにかく、「さすらいジャパン」が挙げたゴールを、心から祝福したい。
ロベルト・バッジョの名言が好き。
白い象が夢を見るとき

白い象が夢を見るとき

劇団Nanaki

d-倉庫(東京都)

2014/04/10 (木) ~ 2014/04/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

考えさせられる
最前列、上手端より観劇。
想像はしていたが重い話であった。
舞台の内容は素晴らしい出来。

ネタバレBOX

比較的若いキャスト陣と見受けられたのでどうなるだろう? と思っていたが心配は杞憂に終わった。
リアリティに溢れ、観る側を惹きこむ素晴らしい芝居を見せてくれた。

難病に冒された女性。医者を目指す女性の弟。画家を目指す女性の恋人。画家の夢に反対する恋人の父。女性の助けになるために現れたホームヘルパー。女性を診る医者。女性の弟の力になろうとする友人達……他にも、登場人物がいる。
出番が多くても少なくても、興味を惹かれない登場人物は居なかった。
脚本や演出も優れているのか、物語のテンポも良い。笑いも笑えないシーンの方が少ない。とても練られていると思う。
自分が、何をしようとしているのか。それが、一体どういうことなのか。それらをよく理解されて演じられていたのではないだろうか。
だからとても真実味があった。感情移入できた。

照明や音響も非常に力が入れられていた。
星のような照明。無数の四角い穴を通した照明。ツタのような照明。最後は客席をも巻き込み、舞台を盛り上げるのに工夫が凝らされている。
終盤、寝たきりとなった女性と恋人は結婚する。立ち会う弟。
みんな、追い詰められていた。弟は金も性根も尽き果てている。
照明が青に変わり。寝静まった女性と恋人をよそに、弟が動き始めたとき。
「やめろ。」と口走りたくなった。
終盤のシーンは全て美しい。
女性の為に恋人が描いた巨大な絵に、恋人と女性は消えて行った。女性を殺し、自らも命を絶った弟を残して。
これも美しい締めくくりだった。

これが旗揚げ公演だと言うのだから驚き。
これからどんな芝居を作っていくのか興味が湧く。

ピンとこなかった所。
弟が医大を辞めたと言い放ち友人達に責められる。そこで笑いを絡めたところ。笑いは面白いけど……序盤から暗くはしたくなかったということか……
弟が女性を殺してしまう。その直後の女性の独白。直前が予想がついていたとはいえ衝撃的なシーンなので耳に入ってこない。台詞の発し方がリアル寄り過ぎて聞き取ろうとしても難しい。パンフにも書いてあった台詞のようだったが……
真田十勇伝

真田十勇伝

劇団SHOW特急

萬劇場(東京都)

2014/04/03 (木) ~ 2014/04/06 (日)公演終了

満足度★★★

親しみやすさ
一番後ろから観劇。
史実を基にした脚本だったが、むやみに脚色等で暴走することなくしっかりとまとまりのある作品に感じた。

ネタバレBOX

一戦国時代ファンとしては、悪くはないかな……という印象。
毎度毎度、エラそうで申し訳ないが。
若い世代にもアニメ、漫画等で真田十勇士の存在は知られていて、それぞれが持っている十勇士のイメージがあると思う。
そういうものと照らし合わせて、個人的に印象あるキャラクターとして認識できたのは根津さんや筧さん位だったかもしれない。
由利さんや穴山さんも、結構キャラが立ってたかも。
2時間20分という長尺だったが、それでも十勇士達がどんな人間で何を考えているのか、どうしたいのかを感じて最後まで観るには描写が足りなかったように感じる。
大坂に入る前の十勇士が誓いを立てるシーンがとてもいいシーンなだけに、それがもったいないかなと。佐助が皆の骨をまくときに感動できるかも、それまでにかかっていただろうし。
後は、昌幸や家康の役者さんは熱演なんだけれどもやはり老け役と見るには厳しくどうしても……特に昌幸は表裏比興、と言われるような人には見えなかったな。いくらなんでも丸くなりすぎでは。

ギャグは、なかなか笑えなかった……唯一クスリときたのは家康が消える半蔵の音に驚くところ。
殺陣は、入り乱れて面白いとは思うけどもう少しスピード感があれば。佐助や才蔵は忍者だからかアクロバティックな所があって印象に残った。
演出だろうが、半蔵の刀に照明の赤い光が映り込む所は素晴らしかった。カッコよかった。

六文銭がうまく落ちなかったのは非常に残念。気になってしまった。見せ場なだけにね。
それから木村重成の方の芝居が気になったな。もう少し、台詞の言い方を役の方にシフトして、テクニックを駆使して行っていいかと思った。
HOME SWEETS HOME 【ご来場ありがとうございました】

HOME SWEETS HOME 【ご来場ありがとうございました】

青春事情

ザ・ポケット(東京都)

2014/02/05 (水) ~ 2014/02/11 (火)公演終了

満足度★★★★

親子。兄弟。家族。
オーソドックスなホームドラマといった印象だけれども、完成度は高く感じた。
明らかに無駄な演出もなく、観劇後はすっきりした気分に。

ネタバレBOX

町のケーキ屋が舞台。
ある日、家出をしていたケーキ屋の長男が久方ぶりに帰ってくるところから物語が始まる。
長男は実は多額の借金を背負っているのだけれど、それを結婚し夫とケーキ屋を守ってくれていた姉に言い出すことは出来ない。
自身を追う借金取り、幼馴染とその婚約相手、店の常連の受験生などさまざまな人物との交流が生まれ、各々のエピソードが進行していく。
いずれのエピソードにも共通するのは「父と子の関係」だろうか。
人物によって親子関係は勿論違うが、物語で見える父と子の絆には感動させられる。
登場する人物は良い人たちばかりなので、優しい気持ちになれた。

役者の皆さんはリアリティがあり、台詞回しも感情表現も舞台らしく自然に見えた。
チケット代はちょっと高いかなと思ったものの、楽しめる舞台だった。
ホンキィ・トンク騎士(KNIGHT)

ホンキィ・トンク騎士(KNIGHT)

無頼組合

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2013/11/22 (金) ~ 2013/11/25 (月)公演終了

満足度★★★

ある探偵の物語。
かなり小さめの劇場。
小劇場特有の芝居で、演技よりもノリやストーリーを楽しむ内容に感じた。
本筋から離れたダンスや歌、内輪の小ネタコーナーがチラホラあるのでそういう物を求めていない人には合わないかもしれない。
それでも、探偵ものとしてはなかなか楽しめる内容だった。
開演前に出演者から会場の温度について丁度いいかどうか聞かれたのだが、開演前丁度よかった体感温度は中盤以降一気に上昇。
本当に暑かった……出演者の方に暑かった事は伝えたので空調が明日以降改善されていると良いな。

ネタバレBOX

続きものの物語らしく今回で五作目だとのこと。
予定では三作程度を予定していたが延びているらしい。
結局この物語も間違いなく続きを意識させる幕切れ。果たしてどこまで続いてゆくのか。

主人公はいい加減そうに見えるが情に厚く、つい頼ってしまいそうな中年差し掛かり気味の探偵。
モデルを名乗る謎の若い女の依頼を受け同行したことをきっかけに、今回の事件へ巻き込まれていく……

一対一、大人数に限らず会話の台詞のテンポはもう少し欲しかったが、話が動くシーンが多いので退屈はしなかった。
ある時には敵、ある時には味方の個性豊かな登場人物達を、役者陣が熱演。
漫画やアニメを意識したのかな、と思える実際にはありえなさそうな人間達が、この作品では生き生きとしていた。ブラックラグーンみたい。
良いなと思ったキャラは泊氏か。ああいう強キャラ、いるよね。後西園寺警部。ろくでもない警官だ。(褒め言葉)
アクションシーンは臨場感があり、そしてやはり銃撃戦が良い。かなり個人的な意見だけれども。狙撃ライフルまで出てきたのは印象に残る。
銃の腕前や、人間的にもやり手で魅力あるものたちがぶつかると震えるものだ。
車を運転するメンバーが変わる時の暗転中の動きは好きだった。細かい所も考えているのだなと。注文を付けるとすれば、全員のタイミングをドンピシャに合わせて欲しかったが。

世の中は理不尽で、人は身勝手で、それでも頑張るしかなくて……
汚れてしまった人間が再び前に進もうとし、しがらみから解き放たれたと思わせても上手くはいかない……
こういう物語の、ありがちではあるが切ないシーンがあった。
物語が全て終わった後でも、あのシティの人間達は生き続けてゆくのだろう。
そう思わせてくれる作品だった。
『WAY OUT』

『WAY OUT』

WAYOUTカンパニー

博品館劇場(東京都)

2013/10/30 (水) ~ 2013/11/04 (月)公演終了

満足度★★★★

これが日本の働く男達だ!
席は会場のど真ん中。役者の表情までは若干厳しくなり始める距離だったが見応え十分。ただ、一部のキャストの歌声はこれより下がると言葉が聞き取れない可能性が高いか。
毎日スーツを着て頑張る働く男達の熱いミュージカルだ。

ネタバレBOX

AD役以外、キャストは全員スーツ。女性は一切登場しない。
ダンスは冒頭から派手さもキレもあり魅せてくれる。大人数のシーンで全員の振りが僅かにズレてしまっているのが気になったものの、それを補って余りあるエネルギーを持っていて素晴らしいと感じた。歌も気持ちが押し出されて観る者の心に訴えてくる。

男達は毎日一生懸命働いている。使う側の人間も、使われる側の人間も。
しかしこの物語の舞台である日本は、国債は1000兆円を軽く越え、消費税30%、医療費全額負担、地価高騰等、先の見えない不毛地帯と化していた。
そんな中、大型ファンドによる「日本買収」の一報が飛び込み、男達の中に激震が走る。
そして、ファンドの主導でここまで日本をダメにしたとされる大企業の社長や政治家を、それらに使われる側であった男達が弾劾し裁く狂った公聴会が行われることに。
日本を、そして自分を生まれ変わらせてくれると信じて、使われてきた男達は叫ぶ。責める。
それに対して、意志を持って人を使ってきた男達の言葉が正面からぶつかる。

どうしてこんな状況になった? 誰かのせい? どうすれば良かったんだ? 相手を潰して、何になる? 考えても考えても、泥の中にはまり込んでいくばかり。

毎日を生きるのに精一杯で諦めを覚えてしまった男達が、日本を買収から救う為に団結して立ち上がる姿に感動。
スーツを着て毎日仕事をする男達は、カッコいいという事を認識した。
働く男達に力を与えてくれる作品だと思う。
頑張れ! 世のジャパニーズ・ビジネスマン達!!
唐版 滝の白糸

唐版 滝の白糸

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2013/10/08 (火) ~ 2013/10/29 (火)公演終了

満足度★★★

あの女に魅せられたのか……
最上階の横の席から見下ろす形で、隣のお客さんと協力(笑)して譲り合いながら身を乗り出し見切れと戦う。
ありがちな席だったが、観劇には十分だった。
自分の心の中で感じて、世界を作るべきアングラ芝居なのだろうか。

ネタバレBOX

やはり怒りと悲哀、人間らしさといったものを感じる舞台だった。
流石に演出は見ごたえがあるし美しかったと思う。
印象に残っているのはお甲の登場シーン。これは圧巻だった。
重要なシーンだと思うのでここまでになるのは当然なのかとも思ったが……
運送屋の持ってきたクローゼット(?)が不気味に空き、中にはハンガー。鳥の声。そしてドン! という音が聞こえんばかりにクローゼットの上に堂々とした立ち姿で現れるお甲。衝撃だった。
そして小人レスラー達が自分達の影を見つめて喋るシーンも何だか悲しく、そして温かくなった。
なんと言っても最終盤、太夫がアームに乗って舞台を飛び回りながら手首から血を噴き出し、それをアリダが追いかけるシーン。
狂気ではあるしどんなシーンかと問われても分かりはしないのだけど、その血からは熱さを感じた。

途中の運送屋コンビのお笑いシーンはこれも流石プロ、テンポが良く笑えて面白かった。
音響はクラシックの選曲が意外と無難な印象。
みんな我が子

みんな我が子

Artist Company響人

テアトルBONBON(東京都)

2013/09/21 (土) ~ 2013/09/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

人とは、社会とはなんだ?
最前列。八日目? 15時開演。タイトルを見た感じ、コメディかと思えるがそんな事はなかった。

ネタバレBOX

非常にレベルの高い芝居に感じた(エラそう)。2時間10分とほんの少し長尺ではあるけれど、それを感じさせない内容だった。
セットも、演者も、演出も、これぞプロと言えるのでは。
アメリカンに言えばいわゆるストレートプレイに分類される芝居なのだろうか。


家族と、その周辺の人物達が抱える悩み、問題。世の中とのしがらみ。
社会の中で上手く生きなければならないという事。誰にそうしろと言われたわけではないのに。何かを守る為に。
人の過ち。愚かさ。望み。
リアリティ溢れる流れの中にふっと出来る間にも、愛、緊迫、憎しみ、怒り、哀しみが確実に伝わってくる。
これが、登場人物が生きている物語だと思った。
間違いなく、一流のものだ。


どうすれば良いのか、誰にも分からない。
突きつけられて。
終盤に響き渡る銃声。
あれほど悲しい銃声はあまり聞いた事がない。
様々な事を大事にした、素晴らしい芝居だった。

お母さんが、息子が手紙を読む事を止めない点が、少し理解出来なかった。
芝居に関係ない所では、明らかに会場の空調が効き過ぎで寒かったな……
赤ずきんちゃんの森の狼たちのクリスマス

赤ずきんちゃんの森の狼たちのクリスマス

演劇ユニット パラレロニズム

シアターシャイン(東京都)

2013/08/13 (火) ~ 2013/08/18 (日)公演終了

満足度★★

人生は旅だ。雪のような白い肌。それが正しいか?
公演四日目。夜19時開演。
自分でも何をトチ狂ったのか分からないが、二度目の観劇である。(失礼)
舞台は、最悪でも50%から70%のお客様が納得して楽しんで帰ってくれればまぁ成功かなと思う。
でも、それを目的にしないのであれば、富士山の入山料のように、お金の支払いは任意にした方が良いのか? なんて夢の中で感じた。
楽しませて巻き上げるのか、見せつけるだけ見せつけてパクるのか。どちらも非人道的だが。

ネタバレBOX

会場に入るまでの階段の壁には、様々な偉人の言葉や書物、諺から引用した格言が紙に印刷され、壁一面に張り巡らされている。
格言は「男と女」「人生」についてのものが中心のようだった。「女とは決して口論するな。」「真理は醜いもの。」真実を突いていると思える言葉が多く、個人的には耳の痛い言葉たちだ。
これだけ言葉を並べられると胸が一杯になり、逆に「嘘なのでは?」と疑いも生まれてくるし、これから始まる夢の中の話、入り込むと取り憑かれる迷宮への誘いのようにも感じる。面白い。
しかし、通路も広くないから言葉をチェックしようとすると他の観客に気をつけねばならないし、何より開演前の時間だけでは全ての格言を見てそれについて考える事は出来ない。
そして、芝居はやはりテンポが厳し過ぎる……
テンポが遅くて本来の会話として成立しないし、「みみず」「湯たんぽ」「赤ずきんちゃんに気がつきました」「雑誌のフロク(←違う言葉だった)」「帰らせていただきます」「才能ですね、全然努力したみたいには見えなかった」こういった単語や一連の流れを更に大事にして欲しいし、自然に見たかった。
折角ただ素直に見てくれる人も笑えそうなシーンなのに、どうしても一方通行に見える。
あ、そうだ。ラブレターの宛名の字、薄いしぱっとしない。
終盤は雪が降り、クリスマスという一つの心地よい夢のような揺りかごへと皆で乗り込み、そして赤ずきんちゃんは両親を思い出す……
のだが、視覚的に雪が認識出来ない(舞台の背景を白照明で照らし、キャスト陣が雪をイメージしているのを観客が感じ取り一緒に夢に加わる感じ)からどうしても感動が薄い。せめて綿か何か……問題は山積みだが。
子供達が夜遅くまで起きていても良いのは大晦日ではないだろうかという疑問が付きまとった……(笑)
夢はおかしな世界だ。悪夢を見るし、気持ちの良い世界へと行ける。それでも夢は夢だ。それだけに価値などない。クソ喰らえだ。
だが時に夢は現実よりも現実的なナイフを突き立てて来る。しかし夢は希望でもある……
地獄の嘘のような夢から醒めた少女は、果たして生きて、生きた母の胸に抱かれたかどうか。心配である。
魔女:お荷物だが日本シリーズでHRを打つ。夫婦:旦那は神。仲の悪いバイトの同僚。兎:いずれ売女落ちして欲しい見栄えだけ良い女達。狼:落ちぶれた男らしく優しいヤクザ達。森番:真の神。ただしバカ。案内人:夢のあるある探検隊。そんなイメージ。
赤ずきんちゃんの森の狼たちのクリスマス

赤ずきんちゃんの森の狼たちのクリスマス

演劇ユニット パラレロニズム

シアターシャイン(東京都)

2013/08/13 (火) ~ 2013/08/18 (日)公演終了

満足度★★

やり方はそれぞれだが……
最前列。初日。
別役作品にしては、素直に観れる方の作品か?
ある一つのおとぎ話である。

ネタバレBOX

客席内と舞台上一杯に落ち葉や土に扮した細かく刻まれた新聞紙が敷き詰められた演出は好印象。
物語の舞台である「森」を作ろうという意志を感じられた。
開演前の森の朝、夕暮れ、夜を表現した照明演出もなかなか味があった。
別役作品に登場する「柱」は今回は「クリスマスツリー」のようなものだったがこれは正直チープだった。
光る装飾や雪の演出は一切無し。これもどうか。
芝居の内容も、原作の戯曲の良さを生かしているとは言い難い出来に感じた。むしろ戯曲を潰しているのではないか。
台詞回しが贔屓目に見て及第点かと思われる役者は一人か二人居たものの、テンポは異常に冗長であまり褒められたものではないと感じる。いいから早く次の台詞へ行けと何度思った事か。
動きが細かく決まっていないのか終始ごちゃついていて美しくなく、明らかに時間を無駄に使っている。
台詞も台詞になっていない言葉、アドリブにしてもいい加減な部分が多かった。
付け加えたギャグもはっきり言って温かい身内位しか笑ってくれる人は居なかったのでは。脈絡が無さ過ぎる。
逆に原作でくすっと出来るシーンが面白く無くなっている。
これは意識のし過ぎで変に強調したりして不自然になっているからだと思う。
原作と変更した点に魅力があったとも思えない。「森番」から「案内人」という役を派生させ、衣装等頑張っていたが、分解するべき役だったかどうか……役者の人数に合わせただけ、ではあまりよろしくは無いはずだ。
終盤、割と突然に無理矢理盛り上げるようなシーンはあるが時既に遅し。何故役者達がシリアスかつ繊細になったのか、自分としては付いて行けなかった。
観客達は疲れきって感性をシャットアウトしているか、周りの年配の方などは眠りに落ちていた。
最後のシーンでは赤ずきんちゃん達を使い何かメッセージを伝えようとしていたように見えたが……? 疲れていてよく分からなかった。
決してキャスト陣が手を抜いているわけではない。感情は見えるし、目の奥で相手から受け取った思いを表現している役者も居た。
しかし、人物の意図やキャラクターがそれらしいものだったかどうかは個人的に不満が残った。
もう少し正面から戯曲に挑んでも良かったと思う。残念だった。
尚、原作は音楽劇だが今回の劇中で伴奏が入ったりキャラクターが歌ったりする事はない。鼻歌はあるが。

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