ふじたんの観てきた!クチコミ一覧

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アニー

アニー

日本テレビ

新国立劇場 中劇場(東京都)

2015/04/25 (土) ~ 2015/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

とても楽しいアニーでした。
2015ミュージカル『アニー』観劇,四度め

アニー,それもトゥモロー組ばかり四回となる。今回は,とうとう一番前の席だったが,惜しいことに通路の左がわ三個の場所。それでも,その中では一番中央よりだったから良かった。

ルースターが,アニーを消してしまえばいい,というとき,実際にナイフを手品で消していたような気がした。あと,モリ―とケートは,タップのときに少しだけ参加していた。別の少女たちだと思い込んでいたが,それはまちがいだった。

過去の書き込みで,映画に比べてなんと間のぬけたものかと,家族一同でがっかりしたと舞台版アニーを酷評しているものがあった。しかしながら,映画は,ワンカットを何度も取り直せる。舞台で,これ以上アニーにセリフを増やしたら,それは大人の演劇になってしまう。子どもが,生の舞台でやるものとしてはベストだ。

座席の位置のせいもあるが,毎回視点が少しかわる。大型ミュージカルは,観る場所がたくさんあるので,端役の楽し気な仕草やら,ちょっとしたアクションが目に入って来る。同じミュージカルを何度も観るひとたちの気持ちが少しわかるようだ。

花買わないか,の少女(少年)の声はのびがあって良い。ダンスも上手だ。

ゆうなっちは,どの公演でも,声がときどきひっくりかえる。ハスキーボイスというものも魅力の一つだ。たくさんの場面で笑いをとっているのも特徴だ。やり過ぎということではない。これも含めて,ゆうなっちアニーの色だと思う。

そんな笑いを多くとった舞台が終わると,後部座席では,目を真っ赤にして泣いているお母さんがいた。アニーが親を見つけられなかった気の毒さに,感情移入したのだろうか。それとも,小学生にしては,ここまでセリフを完全に覚え人を感動させている事実に,びっくりしたのだろうか。

大池第三病院~Letter's Possibility

大池第三病院~Letter's Possibility

FUNエンターテイメント

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2015/05/13 (水) ~ 2015/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★

なかなか見ごたえありました。
FUNエンターテインメント『大池第三病院』を池袋シアターグリーンで観た。

この団体によるプロデュースで,その昔,チェーホフ『かもめ』を観たことがあった。ヤーコフ役の駆け出し女優が,私は『大池第三病院』に出たが,今回『かもめ』に出ることになった。実は,演技のことでいろいろ悩んでいる・・・なんて話を開始前に少し聴くことがあった。そのときから,『大池第三病院』とは?

これは,結論からいえばウィルスとワクチンの研究をしている連中が,実際の病院の地下で悪だくみをしているというものだった。先入観なく観ていると,さほど暗い作品にも思えず,むしろコミカルな部分が目立つ。ときには,しんみんとさせる場面も含まれて,終盤に突入する。

ウィルスに侵され,病院まるごとパニックに陥るが,そこでは人間の弱さ,あさはかさなどが暴露される。ただ,真実はもっと怖いものがあって,一番信頼しなければならない医療スタッフが金儲けのために,なんと人体実験をやっていたような話だったわけで,心が寒くなった。

今回も何度か見たような役者に出会った。池袋シアターグリーンでは,結構人気のある演目に出会う。ときどき訪れたくなる場所の一つだ。演劇は,なかなか迫力があって,見ごたえあったと思う。結構気に入った作品となった。出演者も熱演だった。女優陣もきれいなひとばかりだった。

舞首ー三つ巴の里ー

舞首ー三つ巴の里ー

鬼の居ぬ間に

シアター711(東京都)

2015/05/06 (水) ~ 2015/05/10 (日)公演終了

満足度★★★★

とても良い演劇だと思いました。
その村は貧しかった。掟は近代になっても,生きていた。食糧には限りある。だから,子ども一人が生まれてきたら,誰かが犠牲になって,断崖絶壁から突き落とされる・・・

村おさには,助役がついている。この重要ポストを巡って,三人の男は駆け引きする。三人三様にずるいやつらだ。この人たちに,般若心経をきかせ,人間にある欲とか怒りの毒を鎮めろ!と説教する。

仏教思想を背景に演じているが,実は,演劇そのものは西洋演劇の手法にちがいない。出演者に,生野和人という名があった。彼は,数年前,イプセンでクロクスタをやっていた。つまり,イプセン的な役柄が合う役者がそこにいたのだ。

本田劇場の中で一番遅れてできた劇場は,小さくて狭かった。そこに,この人気の演劇を観るために,たいへんな数の人間が押し寄せた。たぶん,ハッピーエンドにあきたひとたちには,人間のゆがんだ世界が納得できるのだろう。

非常に,特異な演劇だと思うが,一度は観ておくのも良いと思った。仏教に近づくのが,このような形で良いとは思わない。というのも,ここに出て来る般若心経は,どうも口先ばかりのものに思えるのだ。

彼の妻は,アンタには,仏教があっていいワネ,あたしにも何かそんなものがあったらいい。アンタは,仏教でもなんでも,やっていればいい・・と毒ずく。本来の仏教者は,もっと人から尊敬され,信頼されているべきだと思いたい。

『櫻の園 Japan mix』『父帰る2015』

『櫻の園 Japan mix』『父帰る2015』

J-Theater

「劇」小劇場(東京都)

2015/05/07 (木) ~ 2015/05/10 (日)公演終了

満足度★★★★

『父帰る2015』は,結構面白かった。
『父帰る2015』は,結構面白かった。

原作は,菊池寛だ。

本作品によると,次のような物語だった。

不景気で下請け工場は借金にまみれた。かつて,不倫になりそうなになったが,結局は寿退職を見送った女性がいた。二人は,自殺の名所で再会し,燃え上がり,やがては離別する。

生き場を失った男は,三人の幼い子どもと,妻を捨てて,東北でホームレスをやっているところを,イカ釣り船に拾われる。そこで,震災で,未亡人となった女性と次第に仲良くなってしまう。

しかし,時が来て,父は,捨てたはずの家族のもとに一時的に戻る決断をする。

一番苦労した長男は,父を許さない。しかし,大なり小なりサンザンな目にあったはずの,ほかの連中は,人間としての間違いはあったが,父は父であると認めてしまう・・・

アニー

アニー

日本テレビ

新国立劇場 中劇場(東京都)

2015/04/25 (土) ~ 2015/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

2015ミュージカル『アニー』観劇,三度め
2015ミュージカル『アニー』観劇,三度め

回を重ねて,三週め,2015年アニーは三度め。毎回少しずつ前進しているような席だ。とくに,本日は,右端の二列め。最初,前回の方が良かったと感じた。しかし,オーケストラが一望できた。さらに,出演者はなぜか右端に良く場面を作る。その点で,非常に面白い場所からの観劇だった。

東京公演アニーは,ツゥモロー組で全15回あるようだ。そのうち,毎週土日に観ることで,四回は見られるだろう。しかし,そもそも同じ演劇を何度も観る!?

それでも,たとえば,サンディ&ポリス場面は毎回違った。最初は,ほとんど素通り。二回目は,ベスト・タイミング。三度目は,ちょっともたつく。しかし,実は,もたつくことは微妙に信憑性が増したようだった。でも,サンディが動かないと,舞台は進まない。ふと思ったのは,サンディには代役はいるのだろうか。

公演直前のNYシティーへの表敬訪問は,アニーに若干の疲れをもたらした。しかし,本日は,声も演技も理想的だった。

三回めともなると,さらに,場所が前に進み,とくに,子どもたちの熱演に夢中になった。二人小さなメンバーは,声も出てるし,元気だと思った。

さて,泣いても笑っても,あと一週間で2015年アニーは終わってしまう。そのあと,地方公演が続くのだ。

アニー

アニー

日本テレビ

新国立劇場 中劇場(東京都)

2015/04/25 (土) ~ 2015/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

がんばれ!前田優奈!
ゴールデンウィークは,どこの映画館も満員だ。私は,ミュージカル『アニー』トゥモロー組を一日だけ観劇できた。当日券も,その日ははやばや売り切れとなっている。ソールド・アウト!って,なっていたけど,一枚くらいありませんか?とかだれか,来そうな気はした。実際,二年前の青山劇場では,私は当日券だったのだが。

さて,前回は一般では初日だったので,良い場所が取れなかった。座った感じは,ほぼど真ん中で視野も良好だとは思ったが,開演してすぐ気が付いたのは,もう少し前でないと表情までわからない。それどころか,タップなどでは,似たようなタイプもいるから,お目当てが特定できなかった。しかし,今回はバッチリだった。

アニーが,迷い犬とのめぐりあいの場面は感動的だ。映画では,ポリスから結構疑われる。一度や二度では,寄ってこない。やっぱり,サンディは,アニーにまだ懐いていないのか。そんな微妙なシーンがあるが,前回に比べて,ゆうなっちは早からず,遅からずで,サンディを呼びよせていた。大成功!

大富豪が,なぜか,「男どうしの話をしていいかな?」という場面で,アニーが,太い声で,「いいよ!」というところは,何回見てもおもしろい。演出といえば,演出だが,過去コントなども挑戦したゆうなっちの対応は,ぴったりだと思う。ほかにも,思わず笑えるようなしぐさも,上手だったと思う。

あと,前回も少し感じたが,三回~五回ほど,アニー自身の身体が宙に舞うところがある。お正月に,アクションスター?の学校だろうか,つばさ基地で.体操的なトレーニングをやっていて,ミュージカルになんの役にたつのか,と思ったものだ。でも,そういう体験などが,意外と役にたっているのかもしれない。

ミュージカルもたいした経験はないが,タップダンスもことはもっと知らない。これは,リズムタップでなく,身体全体で表現するミュージカル・タップというものか。もとは,やっぱり黒人独特のリズム感で始まったのだろう。今回,一番前まで,しばみやはなえさんが出て来て驚いた。すごく上手になっている。

アニー

アニー

日本テレビ

新国立劇場 中劇場(東京都)

2015/04/25 (土) ~ 2015/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

2015アニーを初めて観た。
2015アニーを初めて観た。新国立劇場は,少し小さな作りだが,その分アットホームな感じがして良かったと思う。

前田優奈のトゥモロー組は,とてもまとまっていい完成度だった。有名人では,ハニガン役の青木さやかが,前半を引っ張り,三田村邦彦が好感を持てる大富豪役で場を引き締めていた。

もともと歌もダンスも上手なゆうなっちであるが,今回はたくさんの演技を見られた。過去の出演作品とはちがって,タイトル・ロールということ,それも結構多様な場面があって,そのひとつ一つが安心して見られるものだったと感じる。いろいろな経験があって,ごく自然に魅力的な演技力をつけていたのかもしれない。

二年前見たときとは,タップダンスのあり方ほか,いくつか演出でもちがっていたようだ。そのどれも新鮮で,良かったと思う。

2015年のアニーは,これから先たくさんの舞台が続く。夏には,地方公演もあるようだ。今回,ミュージカルが始まったとき,子どもたちを飽きさせない作品だとつくづく感じた。たとえば,孤児たちの印象的なシーンが終わると,いきなりサンデーと呼ばれる犬が活躍して,面白いのだ。

大統領たちが,アニーの底抜けに楽天的なところに打たれる場面は,どう考えても難題だと思うのだが,そこは,アニーが歌うことで無理なく開かれた。偽の両親に,アニーがさらわれそうなるが,そこもこじれないうちに解決する。幼児を含めて,子どもたちの夢をはぐくむには,ちょうど良い設定なのかと思う。

熱海殺人事件

熱海殺人事件

Gフォース

Gフォース アトリエ(東京都)

2015/04/22 (水) ~ 2015/04/26 (日)公演終了

満足度★★★★

なかなか素晴らしい出来でした。
つか作品はときどき見ることにしている。それは,現代演劇をやるひとが,一度は体験し,パワーを得ていく性質があると思われるからだ。たしかに,つか作品は,今でもいろいろな人たちが,いろいろな形で挑戦している。一言でいえば,魂と魂のぶつかり合い,終わってみると,へとへとになるようなものだ。

最初は,少し内容の関わりが理解しにくい。さらに,どこかドタバタしていて,こんな演劇どこが面白いのか,ただのコントなのか,などと一度は思う。しかし,つかの作品は,いつも底辺で,虐げられたひとたちの悲しみが浮かんで来るようになっていて,最後は,感極まって泣かされてしまうのだ。

今回の熱海殺人事件も,かなりインパクトがあった。ほかの複雑なものに比べて,比較的すんなり感じとれる方かもしれない。良い演劇だったと思う。

月の宴『ヘッダ・ガーブレル』新人公演『桜の園』

月の宴『ヘッダ・ガーブレル』新人公演『桜の園』

演劇集団アクト青山

APOCシアター(東京都)

2015/04/07 (火) ~ 2015/04/12 (日)公演終了

満足度★★★★

とても良い演劇だと思いました。
テスマンは,野心家なのに,その実かなりのマザコン(おばさんべったり)で,発想が幼稚な人間である。妻,ヘッダは,少し屈折した人生観,恋愛観を送って来た妖艶な女だ。著作権的な話は,時代としては先駆的。さらに,同様に,教授ポストをめぐって熾烈なレースがあるのは,いつの時代も変わらない。

この作品は,二度目になる。最初は,ガブラー家に保管されるピストルがきわめて目立った,陰気な話だと思った。ブラック判事は,終始美貌のヘッダをものにしようと企んでいる不愉快な存在だ。一方,エルヴェステード夫人は,一番可憐だが,どこか夢を見ているような,テスマンと合いそうなタイプの人だ。

舞台は,今回も結構狭くて,薄暗い。イプセン劇は,今のところ小劇場ばかりだ。役者を,ほとんど顔を正面から眺めてしまうような瞬間もある。前の席だったから,足を組んでいて,足を絡めて転ばせてしまうのでないか,と前を通るときあわてて足を引っ込めた。臨場感は,満点。役者の息遣いも十分感じられた。

イプセン演劇は,最後ピストル自殺するようなものが多い。その点,暗い。生活の中におこるさまざまな事件・真実を巧妙に描く。だから,この話とほとんど同じことが,職場であったような気がするとか,過去友人関係で体験したものがある,などと思える。実践でも一番役に立ちそうな,そういう演劇だと思う。

劇団員は,結構若くまだまだ不完全なレベルかもしれない。しかし,意欲的に難しいものを,わかり易く完成させていて驚いた。観客もあきずに,じっくり見入っていた。シェークスピアは最近あまり観なくなった。チェーホフも,幾分熱が冷めてしまった。しかし,イプセンは,まだ何度か見たい気がする。未知数な世界だ。

猫と針

猫と針

bother

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2015/03/21 (土) ~ 2015/03/22 (日)公演終了

満足度★★★★

おもしろい!良かった・・・
つか作品とかでお馴染みの女優が、今回現代劇に出演していた。

有名な脚本によるものでないが、それなりに面白いものだった。

場面は、高校時代の仲間がもう一度集合し、ミステリーな事件が明らかにされていく。挿話のなかには、なるほどなあと思うような事実か多く混じっている。

こういった現代劇の中で、人生ってなんぞやとかの問題が具体的に浮かんで来る。

子供の時間

子供の時間

劇団俳小

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2015/03/18 (水) ~ 2015/03/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしい!
メアリーのウソは、完璧ではなかった。たくさんの事実と記憶をつないだ話は、子どもが怯えながら、訴えているから、だいたい整合していれば十分だったであろう。

ただ、あるはずのない鍵穴からの目撃証言で窮地に陥るのだ。絶対絶命であるメアリーには秘策が残されていた。実際に現場を目撃していたのは友人だったとする。

ではなぜ最初からそう言わなかったのか。それは、友人を巻き込まないためのウソで、スキャンダルそのものは疑いのない真実であると強弁し始めるのだ。

この場面は作品中でもっとも面白く、かつ事件を確定させるファクターとなる。世の中で上手に立ち回り、不当にのしあがっていく人間の常套手段かもしれない。

ご来場ありがとうございました  ♪マザー・テレサ   愛のうた

ご来場ありがとうございました ♪マザー・テレサ   愛のうた

ミュージカル座

THEATRE1010(東京都)

2015/02/19 (木) ~ 2015/02/24 (火)公演終了

満足度★★★★

ひろさちやと,マザーテレサをつなぐ,「慈悲」の世界
ひろさちやと,マザーテレサをつなぐ,「慈悲」の世界

ひろさちやは,般若心経についての本で,大乗仏教の奥深い思想を紹介している。人間は,煩悩があるが,そこに執着しないことをすすめる。マザーテレサの話は,確かに,キリスト教思想を持つ女性の活動が語られている。ちがう背景を持ちながら,ひとびとから煩悩をなくすことに,両者は似ている。

ひろさちやは,あたたかい眼で相手に接するから,相手は良い人に見えて来る。逆に,憎しみをもった眼で見れば,憎しみがわく。ものを見るということは,「空」なるものだから,見かたによって,見る方向によって,ちがったものが見えてくるものである。そのことを忘れてはいけないという。

観世音菩薩,観自在菩薩は,素晴らしい。マザーテレサも,きっとそのような資質をもった人物にちがいない。音は聴くもので,見るものでないが,助けを求めているひとの口許を,菩薩は見ていて,すぐに助けてくれるのだ。カルカッタの貧民窟に,若き身をおいて,虐げられたひとびとを見るのだ。

自分の心が冷たいと,他人の心も冷たい,と見えるものである。だから,宗教家は,自分自身がまず変わり,やがて,周囲のひとびとも感化されていく。

般若心経では,舎利子(シャーリプトラ)よ,と観自在菩薩は,呼びかける。大乗仏教にめざめて,エリートのためでない,宗教活動をすすめる。マザーテレサも,キリスト教会下に身をおきながら,じつは,より広い意味の慈善活動に道を開くことになる。差別にこだわらず,病人をいとわない。

物乞いといえば,仏教での,布施である。これは,「空」の心でしなくては意味がない。施してやるのだ,というような傲慢な気持ちはだめである。自分が,プレゼントしたものを,あとは,どう利用されようがケチをつけるなんてもってのほかである。素直な,まごころをもって,プレゼントをしよう。

佛教説話には,ウサギが出て来る。ほかの動物は,気のきいた「布施」を行うことができた。しかしながら,ウサギだけ,したくても何も持っていなかった。帝釈天は,旅人に化けて,彼らの「布施」を見ていた。ウサギは,たき火に焼身して,身をささげようとする。驚いた帝釈天は,助け,月に姿を刻んだ。

ひろさちやは,われわれは,どうしても気に入らない人は,軽蔑の目で見るが,みなが菩薩になりうるのだと,広い心をもつように努力してほしい,という。誰もが,菩薩。それも,不完全な,赤ん坊の菩薩なのかもしれない。菩薩の歩みというのは,道を歩もうとしない大人などより,一歩を歩いた小学生の方がすばらしいという考えかたなのだと。

ご来場ありがとうございました  ♪マザー・テレサ   愛のうた

ご来場ありがとうございました ♪マザー・テレサ   愛のうた

ミュージカル座

THEATRE1010(東京都)

2015/02/19 (木) ~ 2015/02/24 (火)公演終了

満足度★★★★

やっぱ,岡田カレンががんばっていた!
昨年末、小コンサート形式で、非常に感動したものだったので、期待して鑑賞した。とても、おおがかりになっているので、圧倒的な迫力で素晴らしかった。

カルカッタというメロディは、耳になじんでいたので、懐かしい。今回は、ライオン・キングのような大きな馬が登場した。子どもたちの出演もやや多めだった。

ミュージカルは、そんなに見たことがなく、いつも台詞でいえば良いようなところまでどうして歌なのかいまでも悩む。そんな私には、批評の資格はない。

二つのほぼ同じ内容の企画を見比べることになって不思議な気持ちである。どちらにも良さがある。別のものと考えるべきなのかもしれない。

このミュージカルは、あまり取り上げられていない賢人の活躍をひろめるために社会的に大きな意義がある。映画にもなった偉人伝で上手にPRすると意外と大ヒットか。

狂人なおもて往生をとぐ	 ~ 昔、僕達は愛した ~

狂人なおもて往生をとぐ ~ 昔、僕達は愛した ~

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2015/02/10 (火) ~ 2015/02/26 (木)公演終了

満足度★★

これは、少しむずかしい演劇だった。
笹部博司によると、役者は、舞台に解き放たれたときひとりの人間であるという。役を演じてはいるのであるが、人間としてその舞台に上がっているに違いない。

俳優が、ある役を演じているとしても、そこに留まるべきではない。ただ、演技しているのでなく、アクティブに役を作りだすべきととなえる。

素晴らしいセットや、あるいは、美しい音楽も、ことばによる力には勝てない。とりわけ、イプセンなどの古典鑑賞には、ことばに対する畏敬の感情が見える。

ただ、そのような真理もあるが、ものごとを役者が大げさに表現し過ぎてもだめ。逆に、ことばなどなく目で人は、気持ちを伝えるように直観で伝わるものもある。


で,感想・・・


これは、少しむずかしい演劇だった。タイトルに引かれて、見にいった。満員で、とても見にくい後方垂直の席。予約したとき、ファンで買い占められていたようだ。

最初から、四人で死のう、子どもだけ残してはかわいそう。毒薬はちゃんとあるのか。話のつながりもよく見えず、眠くなったところで休憩になった。

大学の教授もたいへんな商売だ。会議のメンバーから下ろされたり、教科書作成者の資格を失う。これじゃ食べていけない。この部分はしんみりと納得できた。

ふたたび、どこが空想でどこが現実なのかわからない。中央においたミラーボールみたいなものに、軽く催眠状態にかかったかと思っているうちに終了した。

少し背伸びして、慣れない世界をのぞいたことになる。場所があまりに遠いので、演劇がテレビでも見ているように退屈なものになったかもしれない。でも良い演劇。

スィートホーム

スィートホーム

トム・プロジェクト

赤坂RED/THEATER(東京都)

2015/02/04 (水) ~ 2015/02/09 (月)公演終了

満足度★★

窮鼠猫をかんだ事件,把握が非常に皮相的
劇場によって、内容とか雰囲気がある。位置的なこと、大きさ、新しいか古いか、そういうことも予測される。もちろん、同一の劇場で、スカもあれば感動もある。

今回この企画は、内容が暗く、敬遠されているかと感じた。アマチュアの演劇は、関係者ばっか。プロ化が、進むと屁理屈ばかりのオタク集団なのだろうか。

わたしの子どもの頃、教育ママとパパが金属バットで寝てるところを撲殺されるというショッキングな事件があった。その事件後の祖父と少年の回想の物語。

一番大事なのは、起きた事件はすくいようもない。せめて、同様の結果を招くことがないようにすることだ。表面的な対策はだめで、根本的に変わらないといけない。

WITH!!  ~ザ・ワールド・イズ・ワン~

WITH!!  ~ザ・ワールド・イズ・ワン~

A´company

高田馬場ラビネスト(東京都)

2015/02/07 (土) ~ 2015/02/08 (日)公演終了

満足度★★★★

良い出来でした。
都内の移動手段は、できるだけ折り畳み式自転車にしている。赤阪から、高田馬場をどうするか、時間が結構あったから電車は避けた。ただ、高田馬場駅がわからん。

高田馬場駅すぎて、ラビネストまではなかなか距離感がつかめない。初めての劇場探しはいつもいきあたりばったりだ。とにかく開演まで余裕はあった。

こりゃ狭いなあ、と思う劇場もよく表情が見えたのでかえって良かったかもしれない。孤児のお話は、定番なのだろうか。その中でも非常によくまとまっていた。

いくつかの演劇に通用するためのワークショップ的な作品にも思われた。どこかで見た顔もあったが、全体は今回も初対面。楽しめる、十分楽しいものだった。

新「復活」

新「復活」

劇団キンダースペース

シアターX(東京都)

2015/02/04 (水) ~ 2015/02/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

非常に意義ある観劇でした!
築地小劇場で、小山内薫が、新劇を始めるとき、この復活はバカにされた。坪内逍遙と、訣別した下村抱月が松井須磨子に歌謡曲を歌わせたというのだ。

ミュージカルなどより、バリバリの演劇が志向されたのだ。で、イプセンとかチェーホフか浮上する。でも、新劇の前史としての復活は意義深いと思う。

メイドに手をつけたボンボンが、独善的に罪をつぐない、社会的不正を憎むが、所詮は滑稽な芝居だ。トルストイの深い、敬虔な思想は原作でないと漫画になる。

しかしながら、演劇とは、大作を大衆化し、とにかく二時間に収縮する作業にほかならないから仕方ない。この復活は、良くできていた。泣けた。

青ひげ公の城

青ひげ公の城

非シス人-Narcissist-

サンモールスタジオ(東京都)

2015/02/05 (木) ~ 2015/02/09 (月)公演終了

満足度★★★★

楽しめました。次回も期待!
つか作品の広島は、反原爆で政治的、熱海は貧困の犯罪で社会的、そんなのとは少し違っていた。とことん舞台にこだわり、その中で演劇が進行する。

内容が完全に分解されてしまったようなものでもなく、スッキリと見終わった。今回は、女性の出演がむやみと多かった。その分むさ苦しくはなかった。

主演の竹下は、前回脇役的だったが、今回はでっぱなし。若林は、ふたたび天井に吊るされ、妖艶だった。四人娘が、楽しいキャラで、欠けると寂しかった。

このサンモールも、何となくカラーがあるかもしれない。毒々しくはないが、やや抽象的でもあるものが多い。ダンスあり、歌あり、初めてでも楽しめる。

こわれゆく部屋

こわれゆく部屋

水素74%

こまばアゴラ劇場(東京都)

2015/01/16 (金) ~ 2015/01/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

初回の参加ですが,良かったです!
駒場アゴラ劇場には一度いってみたかった。内容は,なんでも良かった。退屈するかと心配したが,そんなことは全くなかった。むしろ,どんどん入りこんでいった。今までにも,なんとなく同じ雰囲気の演劇がなかったわけではないはずだが,演劇のあり方,劇の表現,セリフの発し方などに非常に特徴があって,興味が増した。

内容は,まず,事情があって,家出していた妹が,彼氏をつれて姉のもとにもどる。姉は,姉で,彼氏ができていた。ぎこちない,二組のカップルのぶつかり合いが前半のテーマだ。ひとりが少し何かを語ると,思いのほかおもしろいキャラクターがわかって来る。テーブルを囲んで,喧嘩したり,仲直りする場面に,たまたま自分が居合わせたような錯覚に陥る仕組みがある。

後半の,大きなテーマは,ざっくりというと,介護士の隠された苦悩だ。経験を積むと,医療関係者は,ひとの病とか,死についても,無感覚になって,慣れていってしまう。たくさんの事例を扱うことによって,このあいだまで遊んであげた少女の死を知って,その日のカツ丼が食えるのは,あって良いことかどうかと・・・

スピード感はほとんどない。ぶつぶつ,テーブルを挟んで,なんとなくつきあっている男女が,じつはどんな感覚を持っているのか,少しわかって来る。結婚しているひとたちには,それぞれに,なるほどこんな夫婦もいるのか,とか思っているのだろう。とても良い演劇であった。おそらく,こういう演劇がだんだんと支持される時代なのかもしれないと考えた。

男は二度死ぬ・その一度目!!~その三~

男は二度死ぬ・その一度目!!~その三~

ライオン・パーマ

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2015/01/15 (木) ~ 2015/01/19 (月)公演終了

満足度★★★★

とても楽しくまとまっていました。
ライオン・パーマの演劇を観るのは,これで三回めだ。ストーリーはあるといえばあるが,どちらかといえば,ショート・コントの連続のような感じだと思う。笑いをとるタイミングは,なんとなくわかって来た。そう思いつつも,気が付くと爆笑している。メンバーは,三回ともほとんど同じだと思われるが,個性的な人が多い。

最初は,王子小劇場だったので少し遠かったが,ここ二回は,池袋シアター・グリーンだ。舞台の特徴は,高いところでシーンがときどき展開する。さらに,中央に,扉があって,そこから人物が出たり入ったりすることがある。体格のいい男性陣の中に,混じってひとり不細工男を演じる彼は,愛すべき存在だが,ひどく顔のことでいつもいじられる。

女性陣は,ほとんどは小柄で,こちらも,ひとりだけ大柄で,マイペースな役を演じきる目立ったひとが混じっている。ミュージカル仕立てというほどまではいかないが,結構上手に歌をうたう場面もある。もう少し,ちゃんと聴いていたかったなあ,と思うところでぶつっと,切れる。でも,まあ,演劇,ストレート・プレイにこだわりはあるから仕方ないのかもしれない。

三作品とも,作品のつくり,構造がやや凝っているので,どこがどこにつながっているのか,おそらく三回以上見ないとよくわからないと思う。でも,そのようなこともあるにはあるが,二時間ほどの演劇は,ほのぼの系で,感動する。若さや,未熟さや,荒っぽさもあるが,演技そのものは,結構高いレベルだと感じた。今回も,楽しい時間だった。

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