満足度★★★★★
素晴らしい!熱海殺人事件で、見たひとがみつひでを熱演していた。
これは、非常におもしろい演劇でした。はじめから、おわりまで楽しめました。
ネタバレBOX
荒木村重の謀反,これはどこかで聞いたことがある。織田において,重要なはたらきをしてきた人間が,どうにも織田信長についていけなくなった。あのような気性では無理もない。織田側から,村重の説得にあたり,逆に幽閉されて事件後かろうじて復活するのが,黒田如水だったと思う。
前半の見せ場だったのは,この荒木村重を織田方が攻めて滅ぼしてしまう場面だ。実際には,村重自身は命をまっとうして,仏門にはいる。しかし,見捨てられた一族郎党は,無残な結果になる。織田信長の恐ろしい一面である。
もうひとつ印象的だったのは,織田信長の妹,お市の方だ。彼女は,織田信長が,浅井・朝倉を敵に回すと悲劇のひととなる。結局,子どもたちを連れて,夫から離れる。このときの,お市の方の気持ちはいかがだったろうか。劇中の描き方はなかなか素晴らしいものだったと思う。
最後に,本能寺の変。もともと,桶狭間で不意打ち的に今川義元を殺害した織田信長が,今度は自分が落とし穴に落ちるなんてなんて間抜けなんだろう。
本作品では,明智光秀にむざむざと討たれたのは訳ありという設定。たしかに,そこまでいかなくとも,少々齟齬はあったかもしれないが,光秀に反旗を翻されるとは思っていなかったとは思う。むしろ,信頼していたから,無防備だったのかもしれない。そこを,狙い撃ちにされた。
演劇の中で,信長小姓衆,森蘭丸・力丸がおもしろかった。織田信長は,美少年が大好きだったのか。そして,一方で,羽柴秀吉・柴田勝家・前田利家・徳川家康などの総出演で舞台は盛りあがっていく。なんと,楽しい演劇。
一番光のは,やっぱり,明智光秀,に尽きる。
あと,「どけえ!」濃姫の腰元・葛。
面白い作品。そういえば,武田勝頼も出てきた。武田家は,家康に救済された。
満足度★★★★
伝記ものだと、あまり興味を引かなかったが、とりあえず見た。やっぱり、元作品に強く印象を持っているがゆえにか、前半は退屈だった。
しかし、後半、老僕のとぼけた演技、あるいは、メイドの切れのあるツッコミに楽しめた。さらに、最終場面における感動的であり泣けるところは盛り上がる。
なんの犯罪もしていないのに、盗賊集団に回収された男のつぶやき。なにも良いことはなかったが、いまはしあわせであるという結論は共感できるところ。
ネタバレBOX
1880年,チェーホフの初体験相手は,兄が気をきかせて紹介してくれた商売おんなであった。チェーホフは,その背景をほとんど知らず,有頂天になり,結婚しよう!と提案するも,おんなは,続きがしたければ,倍の支払いをしてくれ・・・と,その場を後にする。
ときは流れ,1890年,南サハリン・コルサコフ監視所。ここまで,チェーホフは,かつて愛したおんなに似た精神患者がいることをつきとめる。たしかに,かつての相手によく似ている。しかし,どうしても,おんなは双子の姉妹だと突っぱねる。
チェーホフの作品群は,実は芸術のためでもあったが家族を養うためでもあった。かつて愛したおんなもどうやら,事情は似ていた。兄の絵画モデルをしていた彼女は美しかった。ほどほどに身も落とした彼女は,家族への仕送りに苦しんでいたのだ。しかし,家族は,非難こそすれほめてはくれなかった。そんな中で,彼女は,精神に異常をきたしていく。
南サハリン・コルサコフ監視所で,再会するも,おんなは,三島由紀夫・豊穣の海の聡子さながらに,きっぱり知らないことであるという。
おんなには,すでに,えん罪で収容されたまぬけな男とのあいだに4人の子どもがいた。さらに,もうひとり生まれることになっている。男は,ほぼ気ちがいなおんなでも,自分は幸せものだとつぶやく。最愛の妻を奪われてなるものか。
全体的に,非常におさえた感じの気品のある演劇になっている。個々に目立つ役者がいたような気がする。下僕は,自分の父親が90歳で死んだから,絶対その年にならない。永遠に89歳だと言い張る。また,とぼけた味があった。
お茶目なメイドが出て来る。自分たちの主人たちをかたっぱしから,辛辣に批判し,笑いものにする。その表現はとても気がきいていた。びっくりするほど,楽しかった。自分自身のしあわせより,他人の評判が気になる手合いだ。
ほかにも,おもしろい場面,登場人物があった。とても良い仕上がりだった。
満足度★★★★
三島作品が気になる。戯曲はおもしろい。だが、近代能楽集って、どうなの?
葵上は、美輪ファンでないと、ちょっと退屈かもしれない。しかし、小町は、もともとの話がおもしろいから、すっきりと観劇できた。さすがベテラン!さらに、舞踏会の情景は圧巻であった。ただ、物販では宗教的とか、人生相談的な雰囲気がけむったくて、やや引いてしまった。演劇的には、最良の部類だろう。
ネタバレBOX
ファッション革命を起こしたシスターボーイは,22歳で『メケメケ』がヒットする。たとえば,親子には,子どもよりわが身が大事だって話は多い。所詮あいがん動物に過ぎないケースがあると,私は思うのだ。
実家が破産したが,歌手としては成功していく。わたしには,チケットをまとめ買いして応援してくれるパトロンがいた。恋をすると,独占欲がはたらく。恋は自分本位なのだが,愛とは無償のものにちがいない。
わたしは,シンガーソングライターのはしりかと思われる。花よ,すみれよ,ため息よ,に混じって『ヨイトマケの唄』で社会派といわれた。よいとまけが,蔑称という理由で長くこの歌は自由に歌えなかった。
欠点を指摘する前に,ひとのいいところをほめてあげたい。心の目をこらして,見えて来るものがきっとある。愛される女とは,余裕のある思いやりのある女のことである。
会話を楽しみたい。ロマンティックな時間を演出しよう。かけひきを仕掛けてみたい。人間しか味わえない恋の楽しさを知ろう。ロマンとか,抒情性が大事なのだ。愛するに値しない人だとわかると,恋する気持ちは冷めるものです。
結婚式なんてどうでもいいじゃないですか。それが,イベント,仮装パーティにも思えます。それにひきかえ,結婚そのものはまさに現実以外のなにものでのないのです。
教育ママになっても仕方ありません。ほかのいかなる人間も,支配しようと考えてはいけないのです。それは,夫も,子どもたちも。ひとつ屋根の下に,ふたり以上の人間が暮らすには,忍耐・努力・あきらめ,が必要でしょうか。
わたしのレパートリーには,寺山修司の『毛皮のマリー』があります。自分が産んだ(ようなもの)子どもは,自分のものという意識がある。これが,無抵抗なわが子に手を上げるきっかけになると思います。
また,夫とずっと恋人どうしでいたいという,子どもっぽい女の人は苦手です。青春が終わっちゃうのはイヤかもしれないが,大人にはなっていくべきです。そのけじめがない人は,結婚しちゃいけないのかもしれません。
色気がある女になりなさい。自分を美しく見せようという意識は大事です。些細な行動にも,いつもいたわりとか,思いやりをこめる習慣を持ちましょう。永遠にしあわせでいたいなら,感謝の気持ちをいつも忘れないことです。
岡本かの子『巴里祭・河明かり』などは,随所に幻想的な表現があり,読書の楽しみ方をつかみやすいのです。そういうところから,読書にはまっていき,『源氏物語』など,日本の文化にどっぷりつかっていってほしいのです。
部屋に,花を飾り,静かな音楽を流し,美しいインテリアに囲まれるべきです。その波動の中で,人は美しくなります。わたしは,80歳でも,三島由紀夫の戯曲の中で美しく輝き続けることができるのです。
本当に,もてる女は,自分の生活の中に文化を持っているのです。全部知っているけど,そのことをひけらかすのは困ります。でも,なんにも考えずに生きているのは,もっと困ります。
私を嫌う女優は私のレパートリーの広さをねたみます。でも,自分は自分,他人は他人と思い,自己を確立しているから大丈夫なのです。ひととうまくつきあえないひとは,人間関係とは何かよくわかっていないのでしょう。
わたしには,子どもの頃から,不思議な霊的な力があったと思います。何が起こっても,ビクともしない強靭で,清らかな魂の持ち主になるには,試練も必要です。後悔しないと思える毎日があれば,それでいいと考えます。
わたしは,死ぬことは怖くありません。人間,楽観主義の方がいいのです。所詮,ひょうたんからコマ,偶然なにかの道が開けたりするのです。観音菩薩のようになって,世の中を高見から俯瞰したいものです。
以上,美輪明宏の世界を,わたしなりに解釈してみました。
満足度★★★★★
鑑賞日2017/03/31 (金)
座席1階2列18番
わたし自身,篠笛で,天空の城『ラピュタ』がひどく印象的な曲だと知る。
そこで,歌から,横笛,ピアノ,などYouTubeで参考にしていくと,
一番すごく感動的,抒情的に奏でていたのが,ヴァイオリンだと思った。
そこで,山梨に来ると知って,初観戦。常連さんは,あちこちをおっかけていた!
満足度★★★★★
シェイクスピアを、ふんだんに織り込む趣向だったようで格調高い出来だと思います。やや、わかりにくい部分もありましたが、終わってみると子供の演劇にしてはハイレベル!感動的にしあがっていて、大成功ではないでしょうか。演出家の力量は、たいしたものだと感じました。子供たちが、意欲的に取り組んだことに、深く敬意を表したいと思います。
ネタバレBOX
池袋シアター・グリーンで,『春の夜の夢』を観た。メンバーに大人らしい大人,プロ・セミプロ問わずほとんど全面に出てこない,今回のような企画はたぶん初めてだと思う。
シェークスピア演劇の特徴は,劇中劇が含まれていて,途中でぼやっとしていると,登場人物の名前がすべていれかわり,時代背景,衣装・背景まで見事にふっとんでいることがある。子どもたちにとっても,Aのお話で出演すると思っていると,どうやら全員途中で,Bの劇中劇で,なんらかの役をになうから,たいへんだと思う。
自分の印象では,最初がちょっとはいりにくい。全体としては,非常に良くできているが,最初がもうひと工夫あると,抜群にいいと思う(と,思うのは,わたしだけかもしれない。)シェークスピア演劇ときいて,大人のものはいくつか見たが,ときどき豪華ではあるが,ちっともおもしろくないものもあった。それは,そういう演劇だからだ。仕方ない。
それはおいておくとして,一番おもしろい場面があった。かつて,モテモテの少女がいて,気がついたら,学校内のほとんどの男子のマドンナになっていた。本人が,そのことをどう自覚していたのか,わからない。しかし,そのためにボーイフレンドの心までも,意味なく奪われ,悔しさに傷心のあまり,首をくくって死んでしまった事件が発生。それは,事実か,夢か。
最近読んだ本の中で,小説は,どちらかといえば結論がはっきりとしたものが多い。それに比べて,戯曲は,どっちつかずで,観客が,この話はこんな感じだ!いや,こうじゃないか!と選べるのが多いとの意見。たしかに,大小説では,すっきり終わるが,演劇では,みんなが勝ってなことをつぶやきながら,帰宅しているようだ。
この演劇は,良い演劇だったと思う。はまって,五回ほどみれば,もっとちがう発見もあろう。ひまと,少しのお金と,なんらかの「思い入れ」が付け加わるなら,そんなこともやる。しかし,また,別の,ちがった趣向で,子どもの演劇を見たい。子どもの演劇は,子どもたちが見ても良いものがほとんどなので,どぎつい演出がないので安心だ。
満足度★★★★★
あまり得意な分野でなく、趣向になれるまで時間がかかった。そのため、前半の最後にやや眠くなった。しかし、後半は、アンドロイドを演じる三人の女性ダンサーの動き、切れに眠気も吹っ飛んだ。あとは、終末まで一気におもしろい流れ、息を呑む展開に圧倒されるばかり。気がついたら、ふたりにつられて、スタンディングオベーションをしていた。
実際におもしろかったのは、人工知能の問題ではなかったともいえる。才能ある将棋屋が、ギャンブルに身を滅ぼすくだり。あるいは、ラーメン店員になっても、ちっとも自我を殺すことができない場面。共感が持てた。
ほんとうのところ、人工知能が将棋界はぶっつぶすのかもしれないが、社会全体をこわすとは思われない。その前に、人類が滅亡するのは時間の問題だと書いた文章に心がむかう。おもしろい演劇だと感じる。
主役が、ぼくはパフォーマーで、役者じゃないけどと本音を言っているのもなんかわかる。それで良かった!その方おもしろい。そんな気がするのだ。
ネタバレBOX
コンピュータが進むと,将棋・碁の世界には,どのような影響があるのか?
対局というのは,かつては,個人の獲得した知識とか,もって生まれた天才的・動物的直観などで,その道の名人と言われる世界だったと思われる。ところが,パソコンのすべての過去データが膨大に集積されていくと,その精度がめっちゃあがっていくと,それは当初予測されたアンドロイドではなくなってしまう。
人口知能はどのような人間も防衛し,叩きつぶす。だから,すでに,対局のたびに人間が勝ったとか,ときどき負けた・・・とかなる段階で恐ろしく,将棋屋にプレッシャーとなっていく。気の弱い人は,対戦相手の向こうに,かつての100人名人が見えてふるえてしまう。
なんとなく,こんな世界は想像できるが,この恐ろしい演劇は,ダンスとか,パフォーマンスで見事に揶揄し,嘲笑している。
私見だが,前半はもっと簡潔にした方がいいかもしれない。
後半の展開は素晴らしかった。とても楽しい演劇だった。
満足度★★★★★
たいへん満足でした。
役者の演技が、魅力的!
話の展開も、後半
がぜんおもしろくなってきて、あっという間でした。
こんな隠された名戯曲があったのですね。
ネタバレBOX
K子はブラジル生まれの日系である。彼女には,近くにたいへんな富豪がいる。なんとか,その家族にもぐりこむことに成功したが,それは,さえないお抱え運転手の妻という立場。しかし,一発逆転のチャンスがないでもない。
あるとき,K子は,夫と,富豪夫人との不倫なごりを目撃する。そのことは,知っていて運転手の妻になったはずであるが,騒ぎ始める。
K子と,富豪は,次第に共犯関係になり,K子は見事に邸宅をのっとることに成功しそうになる。すでに,富豪ともHをしてしまった。あとは,夫と,富豪夫人が再犯に陥ること。そして,崖から自動車ごと転落して,心中してくれること。そこまで悲惨なことにならなくてもいい。富豪が,二人を,邸宅から毅然として追い出し,自分を後釜に据えてくれることを切望する。
しかしながら,終始一貫して優柔不断な富豪は,いともたやすく,K子を裏切り,元のさやに戻っていく。
これは,一体どういう戯曲なのであろうか?どうせ謀反を起こすなら,確実に敵方をせん滅すべきという教訓なのだろうか。
満足度★★★★★
南こうせつの曲は結構知っている。好きなもの,印象的なものもあって心に残っている。しかしながら,いま聞いても,お説教ソング(さだ的)が多くて,好きでなかった。でも,こうして,むかしの懐かしい曲を,本人が元気に歌ってくれるとしんみりする。
一方,伊勢正三というひとは,ほとんど記憶になかった。ところが,あるとき,ずいぶん有名な名曲を唄っていた方だと知る。その後も,あれも,これも,この人の作曲だと知って驚くことがあった。本人は,イメージ(だけだが)ちゃらい,ミュージシャン。自己ちゅうだと感じる。しかし,今回,本当に音楽が好きなタイプだと思った。青春にギターを抱えて,多くの友人はサラリーマン化したが,彼はいつまでも少年のままだった。
となりのミュージカルを当日券をあてにしていったホールで,こちらに企画にはまった。子どもミュージカルも結構人気あると再認識した。
満足度★★★★★
長すぎがの作品を引き締まった三時間の現代的演劇にまとめていて、楽しめました。楽器も、適度に活躍。
歌舞伎もいつか拝見したいところです!
ネタバレBOX
お軽と勘平の話。主君のピンチに間に合わなかった。お軽は、身を売る。その金は、仇討ちグループになかなか届かない。お軽の父親は、盗賊に襲われる。その盗賊を、勘平は撃ち殺して、なにくわぬ顔で、仇討ちの資金に差し出す。しかしながら、お軽の母親は、勘平こそとんでもない食わせ者だと騒ぎ出す。窮地に陥った勘平は、自害に追い込まれるが、死ぬまぎわに、身の潔白は晴れた。やがて、義士列伝に加えられることになるのであった。
チェロ・笛・太鼓に、やたら聴き取りにくい古典調、しかし、さっそうと義士が討ち入りを果たすと忠臣蔵だなあと感じる。
満足度★★★★★
ジゼルは、ストーリーがとても魅力的だ。これを上手に扱っている。
はじめから楽しげな演劇だ。後半の魔界の世界をどんなふうにするか気になっていた。たいへん感動的に出来ていた。すごい!
ネタバレBOX
まず、出だしからとってもさわやかで好感が持てた。病弱だが、なにか生きる目的達成をもちたい。病院から、お祭りに連れだし、人を愛する喜びに目覚めさせてくれた彼は素晴らしい存在だ。
しかし、幼なじみは、その恋を妨害する。アタシのためだって、それは身勝手な思いこみ。おおきなおせっかい。あの人も確かに世俗の毒に呑まれて、自分を裏切った。でも、違うのは、彼はちゃんと一度は相思相愛になってくれたってこと。ほんの少しでも、自分を幸せな気持ちにさせて、そして天国に送り出してくれたってこと。ありがとう。
ジゼルは、どうせ長くは生きられなかったんだわ。あなたは、まだ、こっちの世界に来ちゃいけない。一番美しかったアタシを、100歳になるまで思いだせばいい。桜が、今年もまた満開になる。あなたは、わたしをあつくだきしめてくれた。ありがとう。
満足度★★★★★
不思議な物語の世界があった。人生は、だれにとっても1年生のいくクラスは、存在しない。いつだって一番むずかしいことから学習させられる。それは、リルケのお話しにあった教訓だ。美しい演劇のなかに、しんみりとする展開だった。
ネタバレBOX
リルケ「マルテの手記」を読んだころは,ずっと子どもだった頃だ。そのとき,二つのことをずっと覚えている。ひとつは,見ることをぼくは学んでいるということ。これは,どうして,大人に向かうわれわれが,もう一度見ることを再認識すべきなのか。ものすごく,不思議であり,かつ新鮮だった。やっぱり,見るという行為を根源的に考えてみる必要があるということか。
もう一つは,マルテの母がおもしろいボヤキを口にしていたことだ。人生には,一年生のいくクラスはないんだわ。いつだって,一番むつかしいことから,学習させられる。だから,無防備な若いうちに,平穏にコマを進められたひとは良いが,そうでない子どもは,人生を傷つけ,壊してしまうだろう。それは,だれのせいだろう。いや,運が悪かっただけなのだ。
リリオムは,まだ,子どもだ。だけど,たったひとり自分を理解してくれる魂に出会う。ところが,悲劇はおこってしまった。まるで,ロミオとジュリエットの事件だ。かれは,自分の才能を唯一認めてくれた木馬のいる遊園地から追い出され,犯罪人に落ちていく。気が付けば,愛する妻を残して自殺へと追い込まれた。生まれて来る女の子の顔すら知らないで,天国にもいれてもらえそうもないのだ。なんちゅう悪いくじ!
『リリオム』は,とても美しいハンガリー戯曲。それを,ミュージカルにしてもヒットしたというのは,ストーリーに魅力があるからだ。おそらく,実際にあった話かもしれないし,比較的どこにでも,どこの国でもあるような話だ。それを,そのまま素直に,伝えているから,あまりおもしろものではない。そのために,趣向のなされた演劇になれたひとには,ポカンとして終わる。
でも,むしろそこに,この演劇の狙いもあり,効果がある。人生の,不条理なところまでも,そっくり自然に受け止めて,人生を考えたい。そんな意図が感じられた。珠玉の作品。アコーディオンの奏でる音楽と,悪に走るリリオムたち若者の放つ歌声がやけにあっていて,妙に耳に残る。楽し気であり,それがかえって,終末へのアクセントになっている。
満足度★★★★★
この作品は、ほかの二劇団で鑑賞して内容がよく理解できていたこと。会場が引き締まっていたことなどでより感動できた。珠玉の名作には、まだなぞも残っているかもしれない。
しかし、笑いあり、涙ありの小劇場での到達点かと感じられるもの。素晴らしかった。なにか足りないもの、それは私にはとても見つけられそうもない。
ネタバレBOX
『売春捜査官』は,2010年の62歳でなくなった「つかこうへい」のずば抜けて有名な戯曲である。韓国人であることは,この作品が,知名度があがるたびに注目されていくが,当初は知る人も限られていたようだ。
つかの作品は,無理やりのことばのやりとりが,いつのまにか収束していく中で,大事なメッセージが伝わっていくような演劇である。パワーは半端でなく,血管がブチ切れそうなやりとりは,役者の寿命を縮めてしまうだろう。
一番前の中央ですわっていた私は,前回,すぐ隣の観客を演じていた役者が,すくっと立ち上がって,劇に参加してクレームを出したのに驚いた。今回は,女性だから大丈夫と油断していた。彼女が,伝兵衛につかみかかられた!
こういう一連の度肝をぬく演出は,二時間ずっと続く。今回,伝兵衛は,もの真似あり,カラオケありの,ぐっとお色気路線だった。
五島列島の無垢な中卒の少女たちは,いったい誰に騙されて落ちていったのか?いずれにしろ,落ちていった女の象徴である「コケ」の女が熱海で死んだ。熱海にいくと,幼なじみ「大関」は,彼女と故郷をなつかしがる。そこに,女の顔を知っていた客が,彼女をいたぶる。すべては,李大全が悪いのだ。いや,村長だってグルだったのだ。真実もわからぬままに,女は絞殺された。
伝兵衛は,腐れ縁のあった(かつての恋人だった)熊田刑事と,もっとも異彩をはなつ存在のホモ刑事を交えて,罵倒しあいながら,事件の真相にせまっていく。
このようなバカげた事実,シーンは,フツーではない。とんでもないことばかり口走る連中は,日本の警察組織を愚弄しているだけなのか。とはいえ,そんなことも頭の中から消えていくのは,自分のあたまに,伝兵衛が割った大根が飛んで来るからだ。
なんだ。この演劇は,いや,小劇場のつか作品はどこもこれが定番なのだ。
満足度★★★★★
ありがとうございました!
これまでの中では最高です。時間をもう少し短縮してください。内容も、わかりやすくしあがっていました。
ネタバレBOX
小劇場をささえる小金をためこんだおやじ集団。その集団を笑いにする,ってのは良く見かける。おやじ集団を,たとえば,下北沢のモロ師岡は,新型落語で笑い飛ばす。青春の夢を追っているおじさん。いまさらベンチャーズなんざ真似されても,周囲には迷惑なだけだよね。確かに,高いギターが売れて,飽きたら中古市場で若者に手に入るかもしれないけどね。
自転車だって,なにも10万もだせばいいさ。そもそも,足を括るロードバイクなんか危険に決まっているんだよ。60過ぎたら,もう,着地のしやすいやつにした方が長生きできるってものだよ。たしかに,そっちも,30万以上もするのがバンバン売れたら,自転車業界も多少は潤うってもんだよ。君ね,小劇場のおじさんたちだって同じようなものだよ。
昭和の昔から,小劇場なんて,もうかったためしはない!だから演劇は仕事になるか,なんていう本まで出ちゃうんだよ。でも,やることのない!資金源の豊かなおじさんたちの,パワーはすごいよ。あなどってはこまるさ。気にいった劇団は,ヒイキの引き倒しにさえなるさ。
ごく普通にまじめに生きてきた連中ほど,SMクラブに通い始めるものだっていう話は,痛快だった。かつての,ヒーローだった,仮面ライダーだって,いまじゃさえない老後だ。人間の夢とか,人生ってなんだろう?というのを,げらげら涙を流して考えこむのは,たいへん納得できる作品だった。もっと,もっと,明るく現実の日本を笑い飛ばしてください。そして,TVタレントでもなんでも輩出する劇団になってくださいませ。応援してまっせ!
満足度★★★★★
全体的に良くできていた。
現代的な笑い話を混ぜている。
少しあきた頃に、終了しているが、もう少し聞きたいものもあった。
落語は、あまり関心はなかったけど、たまにはこういうのもいいだろう。少なくとも、イマイチの演劇よりはずっと楽しい!
ネタバレBOX
五人の演目は,以下のとおり
まずは,結婚式での,裏話満載のもの。これは,いくつかの面白い事実をどこかで発見し,見事につないだようでさすがです。お互いの出会いは,交通事故での救急車とか,花嫁の友人スピーチがまたおかしい・・・
次は,すりがどのようにして詐欺をおこなうか。はては,そのような軽い気持ちでおこなった事件によって,罪もない子どもが窮地に陥る。はては,すり犯人そのものが利き腕を自傷して詫びるが,実は利き手は逆だった「落ち」。
妾を囲った主人は,ロウソクの灯も一つ点灯すればよいと下男に諭す。しかし,彼は,黙ってはいない。女房は,一人持てば十分なのに,ご主人は,あっちにもこっちにも女性を囲っている。そんな莫大な無駄をなんと説明するのか?
四つの話題は,だだっこが,純朴な父親に,なにか買って欲しいとせがむ。あの手,この手で,親のすねをかじる。それに対し,わかっていても,親ばかな父は振り回されていく。その二人の駆け引き,やり取りが愉快である。
退職に近づくと,かつての夢であったギター演奏に熱中する。しかし,会社の社長は,経営では優秀であっても,ミュージシャンとしてはサイテー。そのような男の身勝手に,会社やら,地域は,かき回されていく。
満足度★★★★
『桜の園』を,吉祥寺シアターまでいって,観劇した。内容は,何度か拝見した演目だから,少しはわかっていた。それを,確認しながら,新しい発見をしたいと思っていた。不幸だらけの家庭教師,シャルロッタは,どこにも出て来ない。だから,きゅうりも食べないし,手品もなかった。
そもそも,枠にこだわった演出だった。わくの中に,主要な四人が,顔を寄せ合っている。そのきゅーくつな状態が,早く解除されてほしい。次なる場面が展開するのを待っていると,終演になってしまった。だから,よく理解できていないのかもしれない。しかし,印象は残った。
演劇を楽しく見られたらつづく。しかし,ハイレベルになると,普通の人はついていけない。だから,どこかで妥協して,わかり易くするものが人気である。だとすると,今回の企画は,「チェーホフをどう演出するか」で最先端をいくものにちがいない。たまには,こんなのも観た方がいいだろう。
企画者の本を一冊買ってみた。なかなか手ごわい。また,興味ある演劇と出会えるかもしれない。初見の段階では,その手法の斬新さに,びっくり。とはいえ,シーンが固定され過ぎて,最後やや眠くなった。おわってみて,あれは,なんだったのか?チェーホフとは,軽い印象を残すだけの,新作か。
ネタバレBOX
三浦基『おもしろければOKか?:現代演劇考』は,吉祥寺シアター・観劇後抱いた「チェーホフをどう演出するか」について持っていた疑問に少し回答を与えてくれそうである。
古典再生の名のもとに,演出家がどれほど演劇そのものを形骸化してきたか。
もし今日,宗教に取って代わるものとして芸術があるのだとすれば,演劇とは信者を養成しないところに凄みがあるのではないか。
私の演出したチェーホフ作品のほとんどで,観客が入場して来る前から俳優が舞台上に動かずに居る。
私がほとんどの演出作品で戯曲をそのまま原作通りにやらず,再構成し,特に古典の場合はその分量を半分近くまで削ぎ落す。
舞台における言葉とは,すべて外国語のようなものとして扱うべきなのである。
その作家を消化することで,初めて作家の言葉を生きたものとして舞台にのせることが可能になる。
言葉を口にする俳優の身体が問題となるとき,衣装は俳優の姿と切っても切り離せない重大な要素。
演劇はナマモノであると改めて言いたい。・・・このとき,身体=生の時間は取りこぼされる。堕落する。誰かがと言えば,俳優と観客の両者である。なぜならば,「見る-見られる」の関係自体が危うくなっている。
再演について
私の舞台を見た人から,「原作の通りのものを見てみたい」「カットしないでやってほしい」と言われる。
ここにおよそ百年前の近代の作劇術のひとつの形式がある。
今,演劇で映画と同じことをやっても仕方ない。
果たして,再演ということがどういうことなのか。
初演のときほど,追い込みに差しかかると変身する傾向がある。
何週間後に別の劇場で上演するという場合も,もはや本質的には再演である。
私が毎回すべての本番を見る演出家である理由。
フランスの巨匠演出家,クロード・レジは,再演をほとんどしない。
再演をどうするかということは,「今,ここ」でしか成立し得ない演劇の宿命を考え抜くことであり,過去に対する挑戦を示すことであり,さらに未来を見ようと決意することだ。
以上,本の中から,気になる部分を抜粋。
満足度★★★★
楽しいコンサートだった!
第一回に、顔をだしてからごぶさたしていた。そのあいだに、篠笛フェスタはプロを招待する会から、インターネットを駆使した篠笛コンクールとなっていた。
自分にとっては、篠笛は、1年に1度ふるさとで祭りを盛り上げるための手段にほかならない。その篠笛を日本人はどう感じているのか!
満足度★★★★★
たいへん良い作品です!
今回は、初めて舞台にかぶりつく感じで観劇した。いつものメンバーのチームワーク良く美しい新感覚な演劇をやっていた。やや、話がややこしい。でも、最後は感動的!良かったと思う。
満足度★★★★★
素晴らしい!
ヘッダーガプラとほぼ同じメンバーだったのかもしれない。
人形の家、ゆうれい、海夫人、棟梁ソルネス、ペールギュントを観劇して来た旅は、やっと野鴨にたどりついた。
かたくなに真実を曝こうとする人物、それに真摯に向き合おうとする魂の激突。
実際には、もっと要領よく人生をいきるひとたちも多いのでしょうし、そもそもの原因は大旦那さまの放縦。なんで、罪もない中学生が自殺に追い込まれるのか、考えさせられるところです。
ネタバレBOX
イプセンの『野鴨』をなつかしい上野ストアハウスで観劇した。
イプセン作品は,いつも鋭い人間観察とか,人間社会の裏舞台の暴露みたいなものが多い。そのために,どちらかといえば,楽しくミュージカルを鑑賞した方が気持ち的には楽である。しかし,名作を名演で理解し,問題点を自分なりに整理するのは,生きるための力を得ることもあって貴重だ。
直前にみた,『外道の絆』が,交通事故にあった家庭の,モラルに反した解決案にがっかりさせられたもの。しかし,これもまた立派な演劇だったと思う。
豪商ヴェルレが,実際の自分の孫に,最後財産を分配することになるこの物語は,そのような配慮が届く前に,ヘドヴィクを追いつめしまう。
まず,グレーゲルス・ヴェルレという主役は,終始一貫して,父親の偽善をあばく。さらに,運命に翻弄されるひとたちに,もっと真実を,もっと正義を,倫理を,と糾弾する。
これに対し,ヤルマール・エクダルは,騙されて結婚し,他人の子どもを育てていたにはちがいないが,それまでかわいがっていた娘に厳しく接する。そのような仕打ちは,はたして許されるものなのだろうか。
イプセン作品は,シェークスピア演劇のようなものとちがう。身近なスキャンダルをあつかう。そのこと自体が批判されるようだ。しかしながら,現在にも,多くの劇団で,手をほとんど加えず再演され続けるのは,その作品にいまも魅力がたくさん残っているからだろう。
良い演劇だったと思う。
満足度★★★
よい作品だった。
だが、初心者には会場がわかりにくい。アクセスの起点となるゴルフセンターがマンションになっとるくらい制作はちゃんチェックして!
満足度★★★★★
ホールニューワールドが、圧巻!
アラジンというミュージカルも、素晴らしい名曲があるようです。よく曲は、耳になじんでいましたから、余計楽しめました。
ベルサイユのばら、天空のラピタ、などついになってやる企画が印象的だった。