アンダーグラウンド・アンソロジー
イマシブ
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2021/07/22 (木) ~ 2021/07/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
2013年1月バンタムクラスステージ短篇集(https://stage.corich.jp/stage/40885)で上演された2作と、女優主催イベントのために細川博司が書き下ろした1作からなる3本の短編オムニバス。
過去に観ている2作の面白さは分かっているので作品に不安なく観劇。
観劇してから分かったことだが3作には2人が銃を向け合うという共通のシチュエーションが出てくる。その割に銃声が響くのは1作のみ、2発だけだ。それが3作を通してほどよい緊張感をもたらす構成になっているように思う。
3作とも洋画の吹き替え風セリフ満載でいてそれが浮つかない、不自然にならない細川作品の味をしっかりと孕んでいる。緊張と弛緩のコントロールがなされ、観客は一緒に緊張したり緊張を緩ませたり。そうやって翻弄されるのが気持ちいい。暗転明けから緊張の続く最初の「几帳面独白道化師」→暗転明けロリイタ服を着た女性2人が銃を向け合う異常な光景とすぐに始まる心地好いセリフの応酬に惹きつけられる「ステイルメイト」→全体の構造が見事に完成された「ジャガーノート」。3作の並びも良かった。
劇場での公演は本日までだがアーカイブ配信は後日開始。一見の価値あり。
「アンソールド」
パピプロデュース
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2021/07/07 (水) ~ 2021/07/11 (日)公演終了
映像鑑賞
満足度★★★★
アーカイブ配信を拝見。
出演者自身が主導した公演ということもあってだろう、いきいき楽しそうな姿を見られるというのは観客にとって嬉しいもの。
2年続く30を過ぎた独身女性5人のシェアハウス、アンソールド=売れ残りたちが誰も出て行かない安寧と退廃。
登場人物たちが語り合う本音のそうだよね感、梅田悠さん演じる京香の「言い合いにも入れない」自己卑下、変わりたいという欲求。からの、物語としてそういう収束をつけるのかという一種コメディのような帰結。いろいろなところに共感が落ちながら、かつ、男性の目を通した「女性5人の仲の良さはこうあってほしい」理想が入っているようなところもあってなかなか興味深かった。
舞台美術が見事で、特に窓の照明はまさしく住宅のそれ。
家、あるいは部屋というものは誰しもが知っているものだから再現をしやすいということだろうがそれが作品の見やすさにもつながっている感じがした。
アーカイブ配信は7/25(日)まで。
女性のイヤな面はそんなに無いと思う(個人の感想です)、テンポがよく自然体な演技が見やすい作品。
外の道
イキウメ
サンケイホールブリーゼ(大阪府)
2021/06/26 (土) ~ 2021/06/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
何気ない会話からしっかりと物語が膨らむ。
ただし、コロナ禍を引きずってか、解決しない物語のように感じられた。
劇場(客席)が明るいうちから、歪んだ扉から一人ずつ登場する人物たちが終劇までずっと舞台上にいる。
心象風景の表現だったり、同調圧力だったり、さまざまに変化する俳優たちの演技と演出を楽しんだ。
ネタバレに相当すると思うが、、
劇中で2回、劇場が真っ暗になる。
そのときの静寂、客席の集中、孤独感、台詞を聞きながら自分の身にふりかかったらと想像して感じる恐怖。
これは劇場の客席で感じるからこその醍醐味だと感じた。この部分は配信してしまうと格段に薄れてしまう。
そういう意味でも貴重な観劇経験だった。
蝶の筆
CROWNS
王子小劇場(東京都)
2021/05/12 (水) ~ 2021/05/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
6月6日追記し満足度を4から5に変更しました。
-----
5月15日無観客配信を1回観た時点での感想としては、
・3人の主役いずれも素晴らしい。はやく劇場で観たい。
・照明がめちゃくちゃ綺麗。○○○○のシーンこだわりすぎでしょう。はやく劇場で観たい。
・電話の描写、良い。なるほど素晴らしい情報のとりかた。
・ははあ、あの人がこうなってあの人がこうなるかー。やられた。
といったあたり。
途中まで登場人物の関係が掴みにくい。当日パンフに役の名前があるとありがたい。(でも、観ながらつい確認したくなるかも)
フライヤー現物を作らないということなので、もしかしたら当日パンフも無いのかもしれませんが、ちょっとお芝居だけでは観たあとにフラストレーション感じるかも。
なお、★4は5月15日時点でのものです。
-----
6月6日追記。
5月15日・16日に定点映像を視聴し話の筋を理解して17日に劇場で観劇。
まず映像と実演鑑賞では受け取るものがこんなにも違うのかというのがショックなくらいだった。
パワーがすさまじかったのだ。演劇への情熱、緊急事態宣言下での旗揚げ公演を支えるという気概。
映像でも理解したつもりだった座組の信頼感のようなものは劇場ではもっと強く感じられ、おそらくは今公演が団体初主宰となる主演兼プロデューサー塩崎こうせいをがっちりと支える結束力なのだろうと思った。これはもうスクラムだ。
・劇場にはA4両面を半分折りにした当日パンフがあり配役表がありました。もちろん主宰挨拶も。ありがとうございました。
・劇場で見たのは通算3回目、さすがに物語は把握。見れば見るほど物語はシンプルだと感じるのだが、おそらくは詰め込みすぎなのだろう。時代ドラマにできるほどの内容。
・着物の着こなしが素晴らしい。主人公3人のうち大野清志演じる木島虎蔵は和装と洋装が入り交じり1幕と2幕の着こなしも異なるため目に楽しい。女性陣の着こなしも同じく。駒子姉さんの襟の角度と厚みがすき。塩崎こうせい演じる矢代露風は袂に手を隠しがちなのも良い。さひがしジュンペイ演じる剣持のおじさんが手紙を袂にさっと隠す仕草がプロ。江里菜演じる静子も衣装が多い人物、芸妓姿のだらりとした帯に上前が斜めになった着かたが艶やか。2幕の洋装も良い。なお今作品唯一の実在の人物は登場から一貫して洋装。好き。
・照明はやはりこだわりすぎでした笑。定点配信でまったく見えなかった照明を客席でみたときは度肝を抜かれましたよ。最後にまわる照明、良いですね。
・劇伴のほとんどがクラシック曲。月明かりのシーンに「月の光」、別離のシーンに「別れの曲」、嵐の見えるシーンには「テンペスト」、カーテンコールは「蝶々」。クラシック音楽が好きな自分は気持ちよく作品に没入できました。
-----
以下ネタバレBOXへ追記。
ブレインズ・グラフィティ
イベント企画OZ
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2021/04/14 (水) ~ 2021/04/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
物語の着想や屋台骨は良いが、いろいろと突っ込みどころが浮かんでは頭の中を駆け巡ってしまい物語に入り込むことはできなかった。
作品を完成させることは簡単ではない。一本の脚本を書き上げたことは賞賛されるべきことと思っているが、その上で物申したい。本作は脚本家と呼ばれるような人物に添削してもらうべきだ。大人の世界でこういうことが許されるか。自分の経験だけでは世界を書くことはできない。創作するのなら小説でも映画でもドラマでもそれっぽいゲームでも新聞でもいいから知見を広げるべきである。(なんのことを言っているのかはネタバレBOXへ記入)
作品の帰着点や進展は「よくある」ものであったとしても物語の着想は新鮮だし主人公が止めた歩みを再び進める良い話だった。作品のメッセージもけして悪くない。だが、満足いく出来ではないのだ。脚本も、演出も、演技も、どこか薄っぺらい。これだけの登場人物がいればそうもなるだろう。ひとりひとりをしっかりえがき分けることだけでも大変で、そこから深くもぐるのは至難の業だ。少しひねればもっと良くなる。初演ではなく再演とのことだが、まだまだ伸びしろのある作品だった。
気になったマイナス点を2つ。
1.劇場に到着してまず目に入ったのが長蛇の列。開演15分前だった。来場する観客全員がチケットを持たない状態で来るのだからそれを捌くのは難しい。それゆえに開場が開演の45分前だったのだろうが指定席であれば観客は早く劇場に行こうとはなかなか思わないもの。運営や出演者が早めの来場を呼びかけることがあっても良かったと思うし、振り込みで支払った観客にはチケットを郵送するようにしていればここまでの混雑にならなかったのでは。密を避ける、接触を避けるのが良いとされている昨今、現金の受け渡しすらも忌避すべきというキャッシュレスに追い風が吹く情勢の中、見通しが甘かったと言われても仕方がないと思う。
2.キャラクタービジュアルやパンフレットのデザインが良くない。見る気をなくす。デザイナーを雇うべきだし、もしデザイナーを雇ってこれだったのならばそのデザイナーに再勉強を促したい。それほどの出来である。
あ、あとですね、公演ページご出演者さんのところに福地教光さんのお名前を追加いただけますか。よろしくお願いします。
以下ネタバレBOXへ。
サンサーラ式葬送入門-普賢篇-
feather stage
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2021/02/04 (木) ~ 2021/02/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
Bを劇場で、Aを配信映像で拝見。
初演を観ていてお話は分かった上で鑑賞。
本来の脚本は全て男性だったので、今回全員女性という変更があったことでどんな作用が起こるのか興味深かったが。緊急事態宣言の発出により稽古期間が短くなったこともあってかややパワー不足を感じた。
残念なことに演技を観ながら初演の俳優の演技が脳裏にちらつくこと多数。そんな中、主人公梶さんとヤクザの情婦しのちゃんは説得力があったように思う。女性になったことで「すぐに大金を用意するなんて無理」からの「命を売る」にリアリティが出た梶と、本当に親分さんの愛人であると自他が認識している立場であればこうなるのかもと思え衣装も良かったしの。他の役にはちょっと無理を感じるところがあった。そのために、ファンタジー感が拭いきれなかった印象。
とはいえ久しぶりに劇場で観劇できたこともあり楽しく拝見した。
サンサーラ式葬送入門-自在篇-
feather stage
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2021/03/11 (木) ~ 2021/03/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
初演を知っていて、一ヶ月前に普賢篇を観ているので話の流れは充分に分かった上で鑑賞。普賢篇と対になるちょっとした工夫・劇伴曲の変更が作品を新鮮に見せてくれた。
期待していたご出演者の演技に大変満足。
細川演出は俳優の個性を伸ばすようなところがある(と個人的に感じている)ので今作もとても楽しく拝見できた。
以下ネタバレ。
愛する母、マリの肖像
T-works
赤坂RED/THEATER(東京都)
2020/03/11 (水) ~ 2020/03/15 (日)公演終了
満足度★★★★
非常に静かなお芝居だったことが印象に残っている。
音が少なく、客席の呼吸音までもが邪魔になるほど。だんだんと舞台に入り込んでいくと客席まで静かになっていた。が、この種類の作品では仕方のないことなのだけど合わないかたは眠くなりますよね…寝息に苦笑した時間がありました。
M0はマリ・キュリーの祖国ポーランドを意識したのかなと感じさせるスラブ系のメロディ。開幕するときにだけ舞台のある場所が輝きます。ラジウムのあかりを意識しているんだろうと分かります。そして舞台美術はまさにラジウムを取り出すために大量に必要だったといわれる岩石をイメージしたんでしょう。
しかしこういった知識がある観客には、この作品は物足りなかったのでは。
古川作品はわたしにとって2作目であるが、2作とも”ちょっと足りない”。
ただし今作では女優・山像かおりがその脚本の不足を補って余りある力を発揮していた。これこそが演技だと感じさせてくれる。冷静と情熱、マリ・キュリーの信念を感じさせてくれる。舞台の上で生きて死んだことが実感できた。
理系の知識が無いことでこの作品の観劇を忌避する必要は無い。
ひとりの女性の生き様を受け取る貴重な観劇になるだろう。
とはいえ、あまりに淡白、さらっとしすぎている感じもあって物足りない。
ただの伝記になりかねない、というか、ほとんどそうだろう。どこかで古川さんご自身がこの作品について「あまい」と記述されていたのはその通りと感じる。
☆は4つとさせていただく。
ところで山田延男について。
この名前は知らないと思ったし、お芝居を観て「そんな都合良く作って」なんて思ってしまったが。どうやら近年(ここ25年ほど)ご子息によりきちんと調べられ、ほんとうにキュリー夫妻の長女イレーヌと共同研究をし論文を発表していること、帰国後もやりとりがあったこと、初めて知ることとなった。空襲により史料が焼失してしまったことは残念である。
天才たちは相次ぐ体調不良を放射能の研究によるものと当然考えたが、証明は先のこととなる…そこに絡む感情も、山像かおりさんのマリ・キュリーはしっかりと表現されていたと感じる。
放射能の名付け親たる「キュリー夫人」を語る作品を3.11に解禁すること、その意義、挑戦には敬意を払いたい。(もちろん、新型ウイルス禍の中公演を実施くださったことにもだ)
100年前の言葉が突き刺さる。
人間の知は、未だ彼女が名付けた”息子”を制すことができない。
『僕と死神くん』『KNOCK KNOCK KNOCK 或いは別れた記憶たち』
ポップンマッシュルームチキン野郎
シアターサンモール(東京都)
2019/12/18 (水) ~ 2019/12/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
PMC野郎らしさをあえて減らしたと感じられるSF仕立ての短編集「KNOCK KNOCK KNOCK 或いは別れた記憶たち」と2009年・2011年上演作の再々演「僕と死神くん」との2本立て公演。恒例の開場中(開演前)パフォーマンス15分をあわせると4時間近い芝居を観させてくれる。
短編集の巧みさに比べると再々演作の構成がご都合主義的であることが浮き彫りになるが、この劇団らしい力業を用いながらしっかりと最後まで魅せてくれた。
短編集の構成は見事。数本の短編とその合間を埋める小芝居という構成だった過去短編集から一歩踏み込み、作家の脳内に入ることで消された己の過去と向き合うことを選択する男の物語となった。SFであり、刑事モノであり。かなりシリアスに寄ったのはそのためだろう。
メガネニカナウ5
メガネニカナウ
in→dependent theatre 1st(大阪府)
2019/12/10 (火) ~ 2019/12/16 (月)公演終了
満足度★★★★★
いやはや今回もたまらない3本否6本立てであった。
観ておいて損は無い関西小劇場のお祭り感たっぷりの公演である。
バンタムクラスステージ主宰細川さんの新作、期待通りだった。
大人の男が若者の幸せを祈ってしてやれること。
観客の観たいものを観させてくれた。
コウト・イン・ザ・ネット 〜Caught in the Net〜
ファルスシアター
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2019/11/07 (木) ~ 2019/11/10 (日)公演終了
満足度★★★★
シアターKASSAIのコンパクトな舞台が舞台美術によりさらにコンパクトに。
そのきゅっと小さい空間をこれでもかと使い切った激しいファルス、楽しませていただいた。
スタンリー・ガードナー役福地教光さんの演技がほとばしり、お芝居に対する情熱を客席でひしひしと感じた。彼に関しての満足度は★5である。
公演全体、主に制作面で、開場前の観客に対するフォローの無さやグッズの少なさなどがどうしても気になってしまい★4とさせていただく。
ザ・小劇場といわんばかりの1公演3500円、こればかりは各団体が無理なくできる範囲のことをやってくれたら良いのであるが、のちのち見返したいものに限ってこうして映像が残らないというのは残念である。
キャッシュ・オン・デリバリー
合同会社シザーブリッツ
クラブeX(東京都)
2019/10/10 (木) ~ 2019/10/14 (月)公演終了
満足度★★★★
期待通りにクラシカルでおしゃれな劇空間。
ファルスらしいドタバタと優雅さとを兼ね備えた不思議な手触りの作品になっていた。
台風により10月12日の2公演が中止に。
ご関係者の皆さま、大変でしたね。
もろもろのお手続き、ありがとうございました。
ROBBER's LOVER
ROCKA+エンターテイメント
ABCホール (大阪府)
2019/08/28 (水) ~ 2019/09/01 (日)公演終了
満足度★★★
演劇と太極拳と和太鼓とダンス。ある程度、プロデューサーのやりたいことは達成できているように感じた。
お話がどこまでも広がりすぎて最後にまとまるのか心配になりながら観ましたが、まあ、まとまった、んでしょう。
個人的には、和太鼓の力強さがもっと欲しかった。
お芝居パートは関西小劇場の名優たちによってかなり楽しく観られた。
太極拳の演舞と演劇の殺陣とがしっかりマッチしていて見応えがあった。
トリックスターの皆さまは言わずもがな。素晴らしかったです。
天守物語
少年社中
近鉄アート館(大阪府)
2019/08/16 (金) ~ 2019/08/18 (日)公演終了
満足度★★★★
泉鏡花の戯曲をもとに改変を加え厚みを持たせた作品、2011年上演作品の再演。
舞台美術が豪勢。傾きのあるあの舞台に役者さんたちは平然と立たれるんだろうなと開演前思っていたことがまさに展開された。
衣装も豪勢。メイクも素敵。ぎゅっと密度のあるダンスは見応えあり。豪華な衣装とあのダンスとで印象は「エンタメ」なのだけど、隙の無いつくりなのは流石。
DOGS,UNDER THE ROSE!
メガネニカナウ
in→dependent theatre 1st(大阪府)
2019/07/09 (火) ~ 2019/07/15 (月)公演終了
満足度★★★★
楽曲とダンスが良かった。
演技は想像の範疇といった感じ。舞台上で突然着替えが始まるのが小劇場らしくて良かった。(お疲れさまでした)
問題は歌唱力。これはどんな作品でも同じ、ミュージカルであれば俳優の歌唱力は問われるべき。
あるかたのお歌には惹かれ、あるかたのお歌は聴きながら応援する。そんな感じだった。
脚本にはツッコミどころがあったけれどそれは笑って許せる程度。
全体的に見応えあり、関西小劇場の関係者が多く目にするだろうメガネニカナウプロデュース公演でこのミュージカルを上演した意義は大きかったのではないかと考える。
個人的にも、この俳優さんにこんな魅力が、と新しい発見をできた。嬉しいことである。
殿はいつも殿(しんがりはいつもとの)
ポップンマッシュルームチキン野郎
HEP HALL(大阪府)
2019/05/30 (木) ~ 2019/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
東京公演で観たあと大阪公演も観劇。
この作品を、いやこの劇団を初めて観る観客の笑い声にのせられて何度も観ている自分も初めて観るような新鮮さで笑うことができ楽しい大阪公演であった。
王子小劇場のぎゅっとした密度で感じた良さはHEP HALLでは薄れてしまうのだが、殺陣はHEP HALLのほうがのびのびとされていていくつか変更点もありたっぷり堪能することができた。横幅の広がった大阪公演では視線を左右に振らねばならず、前方の席で観ると大変さがあったし、つい次のシーンの準備されているところを観てしまうダメな観客になってしまったのであった。。
それでも物語の良さは変わらない。3年ぶりの大阪公演、大阪の観客にもポップンマッシュルームチキン野郎の良さを知ってもらえたのはとてもうれしい。
殿はいつも殿(しんがりはいつもとの)
ポップンマッシュルームチキン野郎
王子小劇場(東京都)
2019/05/16 (木) ~ 2019/05/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
初演を観ているので物語の骨子は知った上で観劇。
登場人物の名前が変わっているのも、ネタが変わったり増えたりしているのも、この作品をより面白くするためとわかって安心して笑うことのできる劇団であり物語である。45分の初演より90分の完全版のほうがより「しっくりくる」感じで、とても良い感触だった。
今作は舞台美術をごくシンプルにしていたのが気になったが、それだけ中身に自信があるということだろう。演劇への愛を感じる公演であった。
ミュージカル『悪ノ娘』
amipro
あうるすぽっと(東京都)
2019/04/06 (土) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★★
VOCALOID楽曲から派生したミュージカル、再演を重ねに重ね見応えのある舞台作品に仕上がっていた。
VOCALOIDの知識が多少あったので大変楽しむことができた。が、小説を読み込んだりしていたらもっと場面に詰め込まれた作品愛を受け取れたのだろうと思うところもある。
そういう意味では観客を選ぶ作品だったのかもしれないが、基本的には気軽に楽しませていただいた。
獣の柱
イキウメ
シアタートラム(東京都)
2019/05/14 (火) ~ 2019/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
なんだろうなあ、話は分からないことだらけなのだけど、とにかく上質のお芝居を観たという満足感はものすごいのだ。
ゆえに星は5つ。話が分からなくて、終演するときに戸惑うのに、星は5つだ。
美術、床の砂感がたまらない。上部にあるはずの余白は空を思わせてむしろ良い。
俳優の演技について。いわゆる悪人を演じるお二方がものすごかった。あんなに分かりやすく登場人物を憎んでしまうのに、別の役ではあのアクが無い。どういうこと、と思うほど。
会話劇で全てが浮かび上がるイキウメの濃密さ、今作も堪能した。
くるおしき綾、絢爛なれ
OG-3works
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2019/02/28 (木) ~ 2019/03/03 (日)公演終了
満足度★★★★
出だしから漂う空気感が男女のそれで一気に引き込んでいただいた。
そういう話だと事前に公開されていたあらすじで知っていたしTwitterのクチコミからも読み取れたわけだがさすが、話の芯はそこではなかった。ミスリードのしかたが巧い。
お話を楽しめたし、お目当てのご出演者さんがたの演技も良かったという点で星はゆうゆう4点を超える。
毎度満足度の高い作品を見せていただきありがとうございます。