Quinaの観てきた!クチコミ一覧

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幻書奇譚

幻書奇譚

ロデオ★座★ヘヴン

新宿眼科画廊(東京都)

2014/09/19 (金) ~ 2014/09/24 (水)公演終了

満足度★★★★★

濃密な1時間。
とても1時間だったとは思えない、密度の濃い論争劇。
議論のテーブルにつかざるをえないところから意外なオチまで、綿密に作り込まれた作品だった。

ネタバレBOX

地中海文明博物館、という架空の博物館を舞台に、研究不正など、今どきの要素を踏まえていて、細部まで楽しめた。
脚本・演出の柳井氏の所属劇団、十七戦地の作品とも繋がるスピンオフ感も面白い。

アンケートに近いことを書いたのだが、もしや『アルス・アマートーリア』はモチーフそのもので、劇中の世界に同書は存在しない設定だったのだろうか。
脚本細部の惜しい場所として、副館長が『カーマ・スートラ』を挙げるくらいなら、『アルス・アマートーリア』を挙げる方が自然(劇中の誰も同書を知らないのは不自然)では、と思ったのだが、モチーフであったのなら納得。
SUMMER PARADE

SUMMER PARADE

AnK

サブテレニアン(東京都)

2013/09/18 (水) ~ 2013/09/22 (日)公演終了

満足度★★★★

少女の心理。
思春期の少女の心理というか妄想が、ぺろんと開陳されているような作品。

SF風味の細かな設定も大変面白かったが、それ以上に、「ああ、こういう子、いるいる」と思わせる心理描写が大変面白かった。

少女の対話の相手が「アンドロイド」なので、なぜそう考えるかを丁寧に説明しなければならない、という形式になっていたため、余計に、少女の心理がわかりやすく説明される構造になっており、興味深かった。

ネタバレBOX

個人的には、萌えるシーンだけを作って、結末を作らない、という少女の傾向が、同人誌などを作る女子と重なって見えた。
劇中の少女は「あえて作らない」と言っていたが、萌えに傾倒する女子には「作れない」人も存在する。

劇中劇なので、作者の山内さんは、結末までお話を作る能力があるのだが、そういった、始まりも終わりもないシーンを作る膨大な作業があるのかな、と、創作の一端に触れたような気持ちになった。
花と魚(第17回劇作家協会新人戯曲賞受賞作品)

花と魚(第17回劇作家協会新人戯曲賞受賞作品)

十七戦地

王子小劇場(東京都)

2013/09/12 (木) ~ 2013/09/17 (火)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしい筆力。
『艶やかな骨』以来2度目の観劇。初演は未見。
当日パンフレットのあいさつ、あらすじを読んだ上での鑑賞。

原発事故とその対応・社会的混乱を、このような形でストーリーに仮託している、その筆力に、ただただ呆然。素晴らしい。
原発事故や震災そのものを直截的に描くのではなく、架空の緊急事態を軸に、世界が描かれていくのが大変素晴らしい。
架空の事態であるために、混乱の起きるさまや管理しようとしてしきれないさまなどが、そのまま現実にオーバーラップしてくるように感じた。

ぜひ今回の舞台を観て欲しいし、今後も観続けたい劇団となった。

水底

水底

ポムカンパニー

ギャラリーLE DECO(東京都)

2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

楽しめなかった。
ストーリーに納得が行かず共感ができなかった。

ネタバレBOX

母親のうつ病の病態の描写に全く納得がいかなかった(統合失調症ならまだ許容できた)。
作家さんの個人的な体験だったら申し訳ないが、個人的な体験でないのなら、体験者に取材するなど、もう少しストーリーの細部にまできめ細かな配慮が欲しい。
身近に患者がいるので、観ていてとても辛かった。
大きなトランクの中の箱

大きなトランクの中の箱

庭劇団ペニノ

森下スタジオBスタジオ(東京都)

2013/04/12 (金) ~ 2013/04/29 (月)公演終了

満足度★★★★★

悪夢と淫夢の集合体。
前作『誰も知らない貴方の部屋』を観て、「アトリエはこぶね」という空間に魅せられた。
そのはこぶねを出て、最初の公演なので、大変期待して観た。期待を裏切らない素晴らしい仕上がり。

はこぶねの3公演を箱に詰めた、という発想と構成も面白く、「私演劇」という表現も大変興味深かった。

主宰のタニノ氏が、受験と性のモチーフにこだわりがあるのかと思ったが、そのこだわりが「私演劇」という表現にぴったり合った作品を作り出していたと思う。

ネタバレBOX

『誰も知らない貴方の部屋』同様、ペニスだらけ。ペニスを思わせる表現だらけ。
それが陽性の笑いでなく、少しこもったような、悪夢のような笑いになっているところが、この劇団の特徴だし、良さだと思った。

3つの公演のセットと、今回のセットを、盆の上に乗せ、回転して場面が移り変わっていく様は大変面白い(最初の転換は盆と気づかなかった)。
悪夢の場面が脈絡なく切り替わることを思わせて、大変面白かった。

今回は舞台演劇のできる空間での公演なので、普通のマンションの一室であのセットを観た時のような衝撃はなかったが、盆以外にも仕掛けの複雑さに心を奪われた。

演劇を多数観ている人、演劇に携わっている人には、あれがマンションの一室にあったということを踏まえて、ぜひとも観て欲しい作品。
秘を以て成立とす

秘を以て成立とす

KAKUTA

シアタートラム(東京都)

2013/03/01 (金) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★

ストーリーと役者さんの味が絶妙。
劇団初見。

途中まで気づかず、ただ違和感だけを抱えていたが、ハタと気がついたときに、「やられた!」と思った。

ストーリーの伏線やネタの明かし方に加え、主人格を演じる役者さんの持ち味が相まって、大変心に響く作品だったと思う。

ネタバレBOX

個人的に、妻が堕胎した、という事実そのものが、どうにも共感・理解できなくて往生した。

多重人格であることは感づいていないにしろ、精神的に相当弱いところのある夫だとわかっていながら、妊娠を望むのも、適切な避妊をしないのも、堕胎に至ってしまうのも、少しキャラクターの一貫性に欠けるように感じた。
最も、多重人格の再発(発症)という事実をもって、「妻」もまた変わった(成長した)ということなのかもしれない。

強い夫婦愛の話だったと感じた。
月の剥がれる

月の剥がれる

アマヤドリ

座・高円寺1(東京都)

2013/03/04 (月) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★

理解しきれなかった
断片的ないくつかの話が絡み合って、最終局まで行くのだが、根本的に、この劇団の文法がわからなくて理解しきれなかった印象。

断片的な話から理解できたもの、考えさせられたものもあるのだが、どうにも全体像を把握しきれなかった印象が強く、何か述べるほどのレベルに、鑑賞者である自分が達しなかったな、という感想。

もう少し繰り返し観たら、わかるようになるのかもしれない。
初見で、自分の感覚では、ややむずかしかった。

借景芝居『パーマ屋さん』

借景芝居『パーマ屋さん』

うさぎ庵

Claire クレール(東京都)

2013/03/01 (金) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★

本物と作り物の、「リアル」。
工藤千夏演出作品を観るのは、ラフカットの『真夜中の太陽』以来2度目。

今月末で閉店する実際の美容室で、お話も美容室を舞台としたもの。
作り物のセットではない、本物の美容室の中で、役者が美容師の役を演じる(作り物)ということの、違和感と難しさを感じた。

ネタバレBOX

出演者に、実際の美容師さん(会場となった美容室の店長さん)がいて、その方のリアルさが、異様に際立っていた。
客の髪をいじるのも、マッサージをするのも、整髪料をラックから取り上げるのも、何百何千回と繰り返した日常の動きで、役者が一朝一夕では追いつけない慣れというか、説得力があった。

その中にぽんと役者を放り込んで演技をさせると、どうしても、浮き上がる部分が出てくる。
例えば、髪をいじられているときに、美容師と話しながら頭を動かす(振り向く等)人は、実際にはそういないと思うが、役者は動かしてしまう。

そういう人物がいない訳ではないだろうが、本物の空間の中にいるからこそ、浮き上がる違和感があると感じた。
(これが舞台上にセットが組まれていて、全員役者で演じられていたら、そうは感じなかったと思う)

実験的で面白い取り組みだと感じたが、こうして違和感が浮き上がることは、狙っていたのだろうか。
観ている側としては興味深かったが、少し疑問に感じた。
月島ブルース

月島ブルース

Something TWO

アドリブ小劇場(東京都)

2013/02/08 (金) ~ 2013/02/11 (月)公演終了

満足度★★★★

良質なエンターテイメント作品。
子どもの頃折笠愛さんの熱烈なファンだったので、生でご本人が見られるだけで幸せだった、という個人的な好みはありつつ…。

コントというか、オムニバスでとにかく笑いに徹した作品。ただ単純に、楽しかった。

ネタバレBOX

個人的には売れないデュオの話(冒頭)と、20年後に再会する大学の軽音部の先輩後輩の話が、大変面白かった(槇原敬之のネタとか)。
新・新ハムレット2013

新・新ハムレット2013

劇団キンダースペース

シアターX(東京都)

2013/01/23 (水) ~ 2013/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★

ハムレットは元々狂気なのか。
福田恒存訳『ハムレット』を観た経験があり、それに比べてだいぶ噛み砕いた言葉のわかりやすいハムレットだった。太宰治の『新ハムレット』などを下敷きにしているためだろうか。

舞台美術もさることながら、オフィーリアの「影」たちの使い方が大変興味深く印象的だった。

ハムレットは本当に狂っているのか、それとも本当に亡霊を見たのか…。
その解釈を観客に委ねているところが好みだった。

strange

strange

ニットキャップシアター

ザ・スズナリ(東京都)

2013/02/01 (金) ~ 2013/02/03 (日)公演終了

満足度★★★

身近であるかそうでないか。
同劇団は初見。
身体能力・表現力の高い役者さんが揃っているな、と感じた。
舞台上で楽器を使って効果音を出したりするところも、演出家のきめ細かい采配があってのことだと思う。
内容については、たぶん好みの分かれるところかと思うが、そのパフォーマンス性だけでも、一見の価値があると感じた。

ネタバレBOX

主軸というか、主要な要素に、東日本大震災のことがあった。

京都を本拠にしていて、震災を実感として体験していない人たちが、震災を直接体験しなかった者として、あの震災とどう向き合ったか、ということが大変に興味深かった。

また、当然、京都にいてどう震災を見ていたか、が語られるので、京都市内や、そこからアクセスできる近畿や上越の地名が出てくるのだが、東京に住まっていて、関西での居住経験がない私には、どこがどのくらい近くて遠いのか、その感覚がつかめない。

そのつかめなさが、逆に、舞台上の人物たちの「震災のつかめなさ」とリンクしているようで面白かった。

隠喩やさまざまなモチーフに、作家の言いたいことを仮託している形式の劇と感じた。
身体やその他のパフォーマンスが秀逸なので、観ていて感心したが、好みは分かれるところだと思う。
「テヘランでロリータを読む」

「テヘランでロリータを読む」

時間堂

シアター1010稽古場1(ミニシアター)(東京都)

2013/01/19 (土) ~ 2013/01/28 (月)公演終了

満足度★★★★

共感と虚しさと。
四方から囲む形の演出。
音響のない110分は、見応えがあり、聞き取りやすいせりふで構成されていた。
また、ストーリー上重要なある人物が登場しない、という劇構造も、とても興味深かった。

ネタバレBOX

男尊女卑というか、女性差別というか、そういったものを男性と語る難しさを感じたことが、実体験としてあるが、その体験を想起させられた。

自分が不満を感じているその話題を、まともな議論の俎上にのせられる時点で、その相手は自分が想定している対立する論者ではない、のだけれど。
しかしその相手は完全に自分の味方をしてくれるわけではない。
そののれんに腕押し感のある虚しさ、悔しさ、やるせなさに共感した。

程度の違いはあれ、現代日本にも通ずる、女性の問題もあったと思う。

ただ、イスラム教そのものに理解が薄い日本で、観客の「イスラム教とはこういうもの」(例:男尊女卑、人権侵害、文化抑圧、等々)という固定観念が強化されないかが、少しだけ気になった。
艶やかな骨

艶やかな骨

十七戦地

ギャラリーLE DECO(東京都)

2012/08/14 (火) ~ 2012/08/26 (日)公演終了

満足度★★★

【女性版】現代的な問題提起。
ストーリーが、ごく近い未来の、「安全な食」という大変現代的で、かつ身近に考えうるものを中心にえがかれており、大変興味深かった。
「原発」「食物アレルギー」「地産地消」など、本当に現代の食にまつわる問題を、考えさせる問題的だったと思う。

また、ギャラリーというやや不自由な空間を逆手にとり、水耕栽培実験場を現出した舞台美術は大変見事だった。

ストーリーの細部に引っかかる点があったのと、登場人物が少し過剰に表情で説明しすぎている点が引っかかってしまい、★は3つとした。

THE TUNNEL

THE TUNNEL

ユニークポイント

座・高円寺1(東京都)

2012/08/10 (金) ~ 2012/08/14 (火)公演終了

満足度★★

つかみにくい芝居。
シーンというか、登場人物のグループによって、同じ位相にいるのか、違う位相にいるのかが少々つかみにくく、全体として、誰と誰が同じ時代と空間にいて、誰がいないのかが、最後まではっきりと理解できなかった。

観終わった後、改めて説明を読んでみて、「失いたくないもの」がなんだったのか、結局のところ伝わってこなかったと感じた。
ある程度仕方ないことだが、デフォルメが少々きつくて、例えば差別的発言であったり、例えば政治家という職業であったり、「ここまで露骨な人(こと)」が本当に許容されるか?」と引っかかってしまい、うまく含意を受け取れなかったように思う。

ネタバレBOX

「公園の女」は全ての位相に存在し関われそうだが、「少女」と「女」は、存在しつつ見えない(基本的に関わらない)、といった雰囲気。
「リヤカーの家族」は、さらに未来の人間のような気がした(「弟」と交流しているから、実際には同じ時代と見るべきなのかもしれないが、あまりにも互いの常識がずれているので、同じ時代ととらえにくかった)。
正解はなく、受け手の判断に任されているのだろうが、何ともつかみにくい印象を強くもってしまった。

また「反対派」の「伝統が失われる」という言葉に具体性がなく、なぜあれで高校生が説得されたのか、今ひとつつかめなかった。
さらに、「反対派」と対峙する教師のバス停での言葉は全く正論なのだが、「反対派」に共鳴する生徒に対して、対峙しようとしない。
そこには、他人に対しては強く出られるが、身内に対しては弱い、という日本人独特の心性を表現した部分もあるのかもしれない。しかし作品全体としては、そこでの対峙がないために、「演劇部」が何をもってトンネルを受け入れているのかがわかりにくくなっていたと感じた。
(対峙しない、というストーリーそのものが、なし崩し的に受け入れる日本社会への皮肉でもあったのかもしれないが)

賛美歌で終えるラストシーンは、正直、日本人になじまないと感じた。
キリスト教徒の多い韓国と違い、多くの日本人は賛美歌になじみがない。あそこで大合唱になりうるのか、かなり疑問だった。もちろん演劇的には象徴的なシーンであろうから、実際に人々が賛美歌を歌ったわけでなく、共感し合ったという事実の表現として、合唱という形をとったと思うこともできるのだが、そのシーンまでの積み重ねが少なく、お互いがお互いを受け入れたのか、結局つかめないままだった。

解釈は観客に任されていると感じたが、どうにも中核がつかめなかった印象だけが強く残った。
荒野1/7【全日程終了・ご来場いただきました皆様ありがとうございました!】

荒野1/7【全日程終了・ご来場いただきました皆様ありがとうございました!】

鵺的(ぬえてき)

ギャラリーLE DECO(東京都)

2012/08/07 (火) ~ 2012/08/12 (日)公演終了

満足度★★★★

視線が合わない会話劇。
チラシに惹かれて観劇。素晴らしかった。
横に広い、恐らく演劇にはそれほど向かない空間が、かえって芝居の内容を引き立てていたように思う。

誰と誰が話しているのか、誰が誰に向かって言葉を発しているのか、そのリアクション、それが、視線が交わらないように配置されていることで浮き出していた。
「普通」の立ち位置(座り位置)で会話した場合、埋もれてしまうであろうそれらの反応が、あぶり出されることで、会話している人間たちの心のひだが見えやすくなっていたと思う。

上演時間が70分と、コンパクトにまとまっていたのも、冗長にならず簡潔に伝わってくることに繋がっていて、よかった。

誰も知らない貴方の部屋7月公演

誰も知らない貴方の部屋7月公演

庭劇団ペニノ

はこぶね(東京都)

2012/07/03 (火) ~ 2012/07/10 (火)公演終了

満足度★★★

劇場に感服。
アトリエ「はこぶね」がどのような空間か、全く前知識無く観に行き、あのような場所で、ここまで作り込んだ舞台美術(空間)を観られることに驚愕した。狭い、高さがない、電源、もろもろの悪条件があるだろうに、それを生かし切ったあの空間の使い方は一体どういうことか。ただ驚愕。
劇団の作風等も、全く知らずに行ったので、少し驚いた感があることは否めない。
笑うべきか笑わざるべきか、迷った部分が多々あるのだが、個々のせりふや事象ではなく、全体を通して、男性の妄想というか、偏愛というか、それを示す作品ではあったと思う。
劇空間としては、ぜひ観るべき。特に狭い劇場を呪っている作り手は、勉強になると思う。作品としては、好みが相当分かれそうだと感じたため、★は3つとした。

Goodnight

Goodnight

劇団競泳水着

王子小劇場(東京都)

2012/06/22 (金) ~ 2012/07/02 (月)公演終了

満足度★★★★

あたたかい気持ちが残る。
何ということはない、日常のひとこま。そのなかで、思いがすれ違ったり、ぶつかったりする様が、とてもあたたかく伝わってきた。
登場人物たちの視線、うなずき、しぐさなど、非言語の表現が、せりふより雄弁に心情を示していて、役者の巧みさが光った。
決してドラマティックではなく、八方丸く収まったわけでもない結末だったが、人の心の機微があたたかく、穏やかな気持ちで劇場をあとにした。

ローザ

ローザ

時間堂

王子スタジオ1(東京都)

2012/05/16 (水) ~ 2012/05/29 (火)公演終了

満足度★★

「誰かが誰かを演じる」ことを信じられるか。
予備知識無しでも楽しめる、とはあったが、予備知識皆無では、難しい印象の方が強いのでは、と思った。
この時代に、理想に燃えていた共産主義・社会主義革命の話を上演する、その意図を考えたくなった。演出家には、何らかの意図があったようにも感じたが、演者側はその意図をもっていた(共有していた)のだろうか。

ネタバレBOX

お話の肝は、ローザの周りの人たちが、ローザを演じていくことで、彼女が自分にとって/相手にとってどういう人だったのかを改めて理解していく、というものだったと思う。しかし、エーベルトやツェトキンやカウツキー夫人が、「ローザを演じよう」と言い出すこと自体が、私は残念ながら信じられなかった。
その場にいる役者が、「エーベルト他を演じよう」と言う→「さらにローザを演じよう」と言う、という段階なら、信じられたようにも思う。誰かを演じようとする衝動は、役者にとっては自然なことだが、そうでない人間にとって果たして自然なことなのか。話を観賞する前に、それを考えさせられてしまった。
轟く

轟く

ビニヰルテアタア

こった創作空間(東京都)

2012/06/08 (金) ~ 2012/06/10 (日)公演終了

満足度★★★

文学的な印象。
恋、と当日パンフレットにはあったが、想像(というか妄想)と現実がモチーフ。リアルなセットと幻想的なストーリーが、独特な世界観を織りなしていた。醜いものを美しい言葉で語る違和感が、世界観を支えていたように思う。
暗転が少し多く、集中力が途切れやすかったのが難。また、美しい言葉が役者の口になじんでおらず、その言葉に違和感を感じた。しかし、違和感を感じることで、その言葉が引っかかるので、それは演出であったのかもしれない。また別の作品を観てみたいと思った。

GO HOME

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サスペンデッズ

吉祥寺シアター(東京都)

2012/06/15 (金) ~ 2012/06/24 (日)公演終了

満足度★★★★

胸が詰まるラストシーン。
早船聡さんのお話は、父と子、母と子、夫と妻(特に離婚した夫婦や、子どものできない夫婦)など、家族のモチーフが必ず出現する。人間の関わり合いの原点だからだろうか。
鮭が川を遡るように、人生のさまざまなシーンを遡っていく。
どうしようもない、人生の理不尽や挫折、日常などがさまざまに絡み合っていく様が、美しく紡がれていく。
ラストシーン、絶望なのか、希望なのかわからないけれど、胸が詰まった。

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