THE TUNNEL 公演情報 ユニークポイント「THE TUNNEL」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    つかみにくい芝居。
    シーンというか、登場人物のグループによって、同じ位相にいるのか、違う位相にいるのかが少々つかみにくく、全体として、誰と誰が同じ時代と空間にいて、誰がいないのかが、最後まではっきりと理解できなかった。

    観終わった後、改めて説明を読んでみて、「失いたくないもの」がなんだったのか、結局のところ伝わってこなかったと感じた。
    ある程度仕方ないことだが、デフォルメが少々きつくて、例えば差別的発言であったり、例えば政治家という職業であったり、「ここまで露骨な人(こと)」が本当に許容されるか?」と引っかかってしまい、うまく含意を受け取れなかったように思う。

    ネタバレBOX

    「公園の女」は全ての位相に存在し関われそうだが、「少女」と「女」は、存在しつつ見えない(基本的に関わらない)、といった雰囲気。
    「リヤカーの家族」は、さらに未来の人間のような気がした(「弟」と交流しているから、実際には同じ時代と見るべきなのかもしれないが、あまりにも互いの常識がずれているので、同じ時代ととらえにくかった)。
    正解はなく、受け手の判断に任されているのだろうが、何ともつかみにくい印象を強くもってしまった。

    また「反対派」の「伝統が失われる」という言葉に具体性がなく、なぜあれで高校生が説得されたのか、今ひとつつかめなかった。
    さらに、「反対派」と対峙する教師のバス停での言葉は全く正論なのだが、「反対派」に共鳴する生徒に対して、対峙しようとしない。
    そこには、他人に対しては強く出られるが、身内に対しては弱い、という日本人独特の心性を表現した部分もあるのかもしれない。しかし作品全体としては、そこでの対峙がないために、「演劇部」が何をもってトンネルを受け入れているのかがわかりにくくなっていたと感じた。
    (対峙しない、というストーリーそのものが、なし崩し的に受け入れる日本社会への皮肉でもあったのかもしれないが)

    賛美歌で終えるラストシーンは、正直、日本人になじまないと感じた。
    キリスト教徒の多い韓国と違い、多くの日本人は賛美歌になじみがない。あそこで大合唱になりうるのか、かなり疑問だった。もちろん演劇的には象徴的なシーンであろうから、実際に人々が賛美歌を歌ったわけでなく、共感し合ったという事実の表現として、合唱という形をとったと思うこともできるのだが、そのシーンまでの積み重ねが少なく、お互いがお互いを受け入れたのか、結局つかめないままだった。

    解釈は観客に任されていると感じたが、どうにも中核がつかめなかった印象だけが強く残った。

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    2012/08/15 04:34

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