なしかの観てきた!クチコミ一覧

361-380件 / 663件中
ロスト・イン・ヨンカーズ

ロスト・イン・ヨンカーズ

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2013/10/05 (土) ~ 2013/11/03 (日)公演終了

満足度★★★

見ました。
休憩込みで3時間近くの舞台、上演時の制約でもあるのか前半から丁寧過ぎてもう少し短縮しても良かったんじゃないかなーと。
深刻に見えて、真面目な一家の時々クスッと笑えた普通なお話。

歳をとっても親は親、子は子のそれぞれの年輪。
一瞬でその場の空気を変える家長の威厳ある存在感と肉親への愛情、ピュアだけど本能な欲を隠せないまま成長してしまった中谷嬢、松岡=アメリカンな仕草で漢気ある態度。家族を見守る兄弟もかわいい。
ガトーも普通ぽいが、実家に戻り母親と面と向かうと緊張で上手く話せなくなり、あの症状がちょくちょく出る気持ちはなんとなくわかる。長野さん面白かったし上手かった。
椅子を使って、一家の喜ぶ姿が統一されていたのが微笑ましかった。

MIWA

MIWA

NODA・MAP

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2013/10/04 (金) ~ 2013/11/24 (日)公演終了

満足度★★★★

美輪さんという存在感
タイトルが実在の人物、評伝のような舞台だけど野田フィクションだよな・・・?でも、あの方の生業からして、これからも肉体が衰える事はないんではないかと、自然に思わされる存在なのでこの舞台はノンフィクションです、と言われても普通に信じてしまいそうな威力のある話。ハーレクインロマンス小説(読んだ事ないけど)に出てきそうな設定の、一個人の愛と人生をかけた大作舞台みたいだった。
舞台から発する大量の動きや、台詞の随所に見られる計算された言葉遣いは聞いてて相変わらず面白い。

演るパワーに観るパワー、目には見えない存在への眼差しは野田さんが勘三郎さんに向けた行為にも思えるし、最後には異様な興奮に包まれた状態。
古田さんや成志さん達の変わらない素晴らしさ、浦井君の踊りの潔さとおもしろさ、欲張ってそのままシャンソン歌ってほしかったw、瑛太さんの昭和のスタァのハマりっぷりも良い。
約130分。

エドワード二世

エドワード二世

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2013/10/08 (火) ~ 2013/10/27 (日)公演終了

満足度★★★★

アフタートークの日
シェイクスピアと同時代の作家による作品、若くして早世した為、作品も3年前のコクーンで上演された「ファウストの悲劇」位しか知らず、その時も悪魔とか宗教観とかかなりぶっ飛んだ印象だったが、今作の王様の末路もかなり悲惨。BLっぽい描写はあるけど、実在の人物と事件。また、話の展開の面白さに、これってまんま歌舞伎に応用出来そうな、と思ったり。
エドワード2世の約40余年の時間経過、ブレヒト幕を使い、一気に時を変える演出。一瞬「え?」と思うが見慣れると苦にならず。
男色家エドワード2世と成り上がりヒールの立場になってしまったギャヴィストンとの恋愛中毒から来る御家騒動、のめり込んで政治やら妻放ったらかしで惚ける姿は正にバカ殿、でもどこかそれを装っている風にも見えたり。
柄本明氏や時生氏とも違う柄本家のDNAの面白さと凄さ、と言うのかな。

四方が金箔色で囲まれた簡素な空間、同色の玉座、場面転換のブレヒト幕。そんなセットの中を、座長級のベテラン俳優陣がメガネと髭を蓄え、ビシッとスーツを着こなした姿や、動き回る姿に惚れ惚れするやらシブカワに見えたり。紅一点の王妃イザベラ、歌わない中村さんのドレッシーな姿も綺麗で、確固たる気品を保った王妃さま、他に終盤の老モーティマーの甥の石田さんや王子エドワードの安西さん達には、目が離せなかった。
休憩込みの3時間近い舞台だったけど、話の行方に時間の経つのを忘れてしまった。面白かった。
当日、観客層が中高年の男性客が多めだったのには驚きました。
面白い演目だし、告知の仕方によってはもっと若い(演劇部以外の)観客呼べると思うんだが・・・。

当日アフタートークあり。(11/6up)
発言をそのままメモ書きし,羅列記述しているので、非常に読み辛い箇所が多いです。

ネタバレBOX

公演終了後に中井美穂さん司会、演出の森(以下、森)さん、芸術監督の宮田(宮)さんによるアフタートーク、途中から柄本(柄)さん、中村(中)さん参加。約1時間。明確な質問会話はあまりなく、話の流れで会話が和やかに進んだ感じ。会話部分、箇条書きで簡略。

・シリーズ企画の「Try・Angle 三人の演出家の視点」の企画意図、森さんを選んだ経緯について
宮/若い演出家視点で今回の3人を選んだ。劇作と演出を兼ねた人は多いが今回は演出専門の人を選んだ。世界を視野に入れていると思った。上演作品は3人とも好きなものを選んでもらった。
森さんとは、2011年に「ゴドーを待ちながら」を上演して以来。震災の時期だったので色々苦労したが、良い作品を作ってくれた。
森/3本選んだ中のエリザベス朝時代の作品。マーロウはシェイクスピアほど有名ではないし、余程の演劇マニアでなければ日本で知られていない。(選んだ)3本の中で一番下に置いといて宮田さんに出したらこれが一番面白い、と言われた。若い内はいくらでも失敗しろと言われて〜云々
・(森さんと観客に対し)貫禄あるが幾つと思いますか?
森/37です。演劇集団 円の所属。飲み屋に行くと橋爪(功)さんから「マーロウが面白いんだよぉ〜」と言ってて(自分は)言う程そうか?と思っていたら、読んだらその気になった。エドワード王は向こう(海外)では超有名、シィクスピアと同い年なのにかなり無茶苦茶な人で最後は飲み屋で刺されて死んだ〜(この件の解説は公式サイト参照して下さい)もし生きていたら、良きライバルでシェイクスピアより人気があったのでは。(戯曲の)リチャード二世はこれが雛型ではないがシェイクスピアみたいに埋めの台詞を言うのではなく、マーロウの場合はじたばた言って終る、それがリアル、成長しないまま(がいい)
・40人位(の役柄)でているが唯一お妃が王様の事を考えているのでは?
ーー俺、悪くないもん。みんな自分第一。死んじゃうんだけどね。
 
ここで柄本さんと中村さん合流。
・キャスティングについて→宮/演出家がリストを出して、宮田さんや他のスタッフが加わって最終的には演出家が決める。(今回)濃いキャストになった。
・柄本さんにしたのは→森/エリザベス朝ぽく。いかにもシェイクスピアになって喋られるのは嫌、出来れば遠く離れた人にしたかった。朗々と喋られるとヤだな、と。〜ここら辺から司会そっちのけで登壇者喋りまくる。〜それについて柄本(以下、柄)「呼ばれたから来たのにw」森/馬鹿馬鹿しく笑い飛ばしてくれる人、ここまで頭悪く出来るとは思わなかった。柄/演出通りです!と。本(戯曲)が面白いし、台詞が面白い。(演じてて)日々変化ある。宮/本番始まっているのに、まだ稽古やってる。森/明日は3時集合で〜、で、稽古またやっている。こんな感じが毎日。柄/(だから)わざと違ってやってみたりして。まだまだ、日々新しい事が見られる。千秋楽までこんな感じ(と思う)。
・王妃に名前あがったとき→中村(以下、中)/「やりたい」と思った。デビューの時、芝居して唄歌ってという役割が多かった。(今回のような本格的に演じるのみの)芝居をやってみたかったので良かった~云々。戯曲読んで自分は多分イザベラをやるだろうなーと(笑)、(彼女は)幸せなのか不幸せなのかと考えた。歴史上では「悪女」と評される美貌の持ち主、男狂わせてコントロールさせて行動起す(イメージだけど)これ(戯曲?)を読むとよくわからず、役作りまでいくと余計にわからなくなった。徐々に悪女になったのではないか。(台詞を)言ってて変わっていった。
森/(イザベル)はフランスのメス狼と言われる人。マーロウが(彼女の)尊厳を回復させる為に描いたと宣言して書いた。これを考えたら誰にしようかと。以前、中さん見たとき「凄い人なんじゃないか」と、「毒を食らわば皿まで」でどんな化学反応起こすのかと思って2人(柄本、中村)を配役した。毎日変えるので他の女優だったら怒るのでは、中さんもそう思っているのではと思ったら、(王と王妃は)2人して楽しんでいる。
・王と王妃、よく子供作ったねー、の話題には全員入り乱れて発言。
ヤリチン、史実通り、(貴族とかの)やっかみとか。話は3時間の舞台だけど、10代から30代の約20年の出来事。いつの間にかハイスピードな作りになっているのが勉強になった。ベテラン勢(瑳川さんや西本さん等)最後は顔を見せない別の役になって出てくるが、そのせいか前(客席)より後ろ(背後)からの「圧」が凄い、厚みが凄い。ダメな側近だけどね。今も昔も日本もイギリスも変わんないなと。
・セットはシンプル、衣装はスーツ着て派手なシャツ着てる人いるし、音楽とかポスターのイメージと違い過ぎる。
森/最近はシンプルに(作る事に)拘っている。堀尾さんの舞台セットのイメージもそう(単純化?)だったようで、色は「金かなー?」と言ったら「そうでしょ!」と。金色が決まってこの衣装にした。じゃ、殺し屋だったら「赤で」
・おじさま達はメガネ、スーツで揃えてるが、中さん曰く「極道みたい」
森/単純に頭良く見えるように(したかった)でもそうでもなかったw。
・髭は邪魔じゃないか?→柄/特殊な作りでつけている、痒い、はずれそうになるので押さえたくなるが押さえないで、と言われている。イザベラが喋っている時とか目立たない所で(押さえつけを)やっている。「髭を剃ってしまえ」と本に書いているので、あの特徴ある髭になったそう。最後の場面で黒塗りの姿になってしまうが、そんな姿にさせる事を森さんは「(柄本さん)黒塗り怒るだろーなー」と思ったら、意外と御本人は楽しんでいるらしい。
イザベラが喋っている感じや揺れる感じ、怒っている等、日によって細かく違ってやっている。
・王妃だけは綺麗なロングの衣装、唯一ふざけなくていい役柄なのに本人曰く「笑いが欲しい」「むしろ笑わせたい」と欲求があるらしい。「紅一点になる事があまり嬉しくない話だなー、みんなを見ていると笑わせたくなる」と。あの衣装にしたのは普通(現代風?)の衣装もあったが、元々の品があるのであえてクラシック(になりすぎない)衣装にした。
・玉座が高い位置にあるが→柄/走ったり駆け寄ったり、もう大変。一回目に「僕、高い所ダメです」言った(あの高さの玉座は)リアルな高さなので、どこから落ちたらどれだけ痛いか〜色々わかる高さなので余計に怖かった。王妃も(玉座に)上るけど「助けてくんなかったので毎回自力で登っている」そんな態度を見せる柄本氏を「リアル王」ですね、と漫才みたいな掛けあいを見せる。
・(出てくる)人多いし、時間も長いし、眠くなるんじゃないかと思っていたがサンバとか影絵とか、2人で歌い出したりと見ていて落ち着く暇がない(位面白い)→森/お客に対して開けている。ブレヒトは(話が)「作り事」とわかるが、マーロウとかエリザベス朝とかは(小屋の)灯りの元で客に向かって喋りながら、コミュニケーション図りながらやっていたので(それをめざした?)
・歌唱指導は中村さん、出演者の中では大谷さんがつい大声で歌ってしまうため、台詞聞こえなくなるので、ちゃんと歌わない方が良いですよ(笑)と言っていたとか。
・演出について→森/柄本君の好きなようにさせている、色々させている、右回りに動いているが次第に腰痛くなるそう。それを見ている役者6人が面白い。柄本曰く、痛めつける演出らしい。
宮/(森さんは)演出家として良い仕事している。大きなおもちゃをもらって、舞台装置もらって楽しく会話出来るまで、稽古場からその前のやり取りや時間をかけ、お互い真面目にちゃんとやって信頼関係から来る遊びが上手くいけば、マーロウというハードル高い作品を選んでも現場が良いように行けば(作品もちゃんと完成する)これが演劇の面白さ。今ここでしか見られない。(舞台が出来ているのが)嬉しい。ある日、稽古見学したら、オジさん達がヘトヘトになってて、何やっているんだろうと思ったら、変更が多かったり動き回っていたので「あー大変だ」と。でも、出演者みんながスピード感を面白がって楽しんでいらっしゃるのを見て「流石おじさま♡」と。
森/気がついたら8時間くらい稽古してたりする、今日疲れてても、ソワレだけの日とか7(?)時半に終ったら、じゃ明日は9時まで稽古〜とか平気で言ってる。→連日ハードになるので、おじさま俳優達は「早く死んで(舞台から)ハケたい」とぼやいてりしてるとか。これも演出家が30代だから〜とも。
これからも変化していく演出家、この作品が指針になるんではないか。日本では作+演が多いので演出家だけが料理したらどんな化学変化があるのかと頑張らなければ、と思う。
・おじさま俳優陣について→森/西本さんの凄さは80代になったらわかると思う、一幕の時の衛兵と殺し屋の違いとか。衛兵でウキウキノリノリの衛兵は大谷さん、各々無責任な誰が誰かわかる、でもアンコールでヘルメット取ったら各自カッコいいんですよね。
終演のカーテン(ブレヒト幕)は王様が閉めるが毎回「楽しい」と。
・そのブレヒト幕について→森/「ブレヒト」って人が発明した。あれをやる事により、本当のお芝居!(って感じがする)幕を開けたら、話の展開が(一瞬で)違ってて、今回使用したのも堀尾さんから勧められたが、やってみたかったのでやった。
・気に入った台詞→中/「世界中がこんなに嫌っている人をなぜ愛しているのか」という台詞、イザベラ終演後の帰り道、エドワード二世の気持ちのわかるようになってきた。
柄/(うなりつつ、しばらく考え込む)どれを喋ってもツラい。泣きながらハンカチ出したり、王冠譲ったりする場面、この後長台詞があるので「喋りたくないなー」とか。日々ちょっと違うので「これで」とは見つからない。どういう想像力を満って喋ったときに上手くいかなかったとしても、何かあるのではないか、と。いろんなエドワード像に手を出していきたい。-いろいろと言葉を選びながら話していた。
宮/翻訳に左右されやすいが、その河合さんは作業好き。作品の意図と演出家の考えを優先して作っていた。作品に対する尊敬や贅沢。(森さんと河合さんは)メールでやり取りしたが、台詞の変更があったら赤→青→緑→紫とその都度訂正の色も変わっていくので、終いにはとてもカラフルな改訂台本だったと。その結果、台詞をシャープにしてもらったから役の台詞も言いやすかったのでは。
・ラストの場面→イメージとして「頭に剣刺して掲げれば?」と何気なく話題に出て「まさかw」と思いつつやってみたら、やっぱり面白いかも、で採用したらしい。

・Q&Aー①特徴ある髭について。貴族はつけているがロイヤルファミリーつけていない、なぜ?
ー王や貴族としての権威、主張、象徴。明治時代の人のイメージの髭。ただ、安西君は美しいのでつけさせなかった。
ー②イギリスと日本の演出の違いはあるか?
ー文化庁で3ヶ月アイルランドに言ったが向こうは何があっても謝らない、それを味わって曖昧さより「こうだ」と思うようになったが、日本人もそれはあるかな、ひと皮むけばあるかなー?と。
・最後に
森/マーロウの作品は滅多に(上演を)やらない。シェイクスピアとは違うテイストの面白さを見てほしい。
柄本/面白いと思わなくても、どこが面白くないのかとか、エドワード二世〜って呟くだけでも良いので。〜〜興味本意で見に来てほしい、ような旨の発言。
中/また見にきて下さい。
宮/次回の「アルドラの幽閉者」まで、30代の演出家を見続けてほしい。楽しいし、ライバルでもあるし応援してほしい。
ストレンジストーリーズ

ストレンジストーリーズ

猫のホテルプレゼンツ 表現・さわやか

駅前劇場(東京都)

2013/10/03 (木) ~ 2013/10/14 (月)公演終了

満足度★★★★

面白かった
チラシの文面と写真イメージに偽りなし、でした。
ティムバートンの映画と宮崎アニメを融合実写化したかのような舞台、ゆるゆると楽しめました。真弓さんの声はいつ聞いても良い発声だw。

音楽劇「それからのブンとフン」

音楽劇「それからのブンとフン」

こまつ座

天王洲 銀河劇場(東京都)

2013/10/03 (木) ~ 2013/10/15 (火)公演終了

満足度★★★

劇場の違和感
銀河劇場ではなく紀伊國屋ホール辺りで見たかったかな。

小説「ブンとフン」にその後に「それから」を加え舞台化してから早38年。
子供の頃、読んだ文章から湧き上がる面白さは、現在では多少のダサさはあるが俳優陣の巧みさで安心して見ていられる。
痛快な読後の小説から5年後の舞台、ほぼ小説の内容に沿った前半から70年代の世相を反映した終盤は、常識ソングの歌詞から聞かれる非常識や権威者のエゴなど、大友憤=井上ひさし、が透かして見えるような展開だった。井上さんの舞台はメッセージ色が強くなると、途端に重く苦しく暗くなる。
個人的に若き日の井上ひさし作品は概ね好きなのだが、主張する事の良し悪しは置いといて、この作品については、この幕引きは合っていると思った。

ネタバレBOX

出てくる人達、みんな滑舌良く、歌がうまい。安心して聞いていられる。
橋本じゅんさん演じる署長が悪魔とやり取りする場面は、一瞬野田さんの真似してんのか、と笑えた。山西さん、じゅんさん、吉田さん達が集合していると途端に小劇場ぽく見えるのはなぜなんだろうw?
ブンの小池さんが動きもよく、華があってまた良い。
新妻さんのかわいい悪魔イメージがなんかデスノートちっくだったが、歌声が綺麗で軽やか。歌と言えば、辰巳さんと角川さんの声量と歌声の綺麗な事!意外な発見(笑)。富岡さん、足がすらっとしていかにも女性的な綺麗さ。山西さんと久保さんが熟練技発揮、手堅く締めてる。
無休電車【本日大千秋楽☆10/21(月)14時開演、当日券若干枚ございます!!!】

無休電車【本日大千秋楽☆10/21(月)14時開演、当日券若干枚ございます!!!】

劇団鹿殺し

青山円形劇場(東京都)

2013/09/27 (金) ~ 2013/10/14 (月)公演終了

満足度★★★

魅せる浪花節
過去作「電車は血で走る」をベースに、これまで上演した作品群の総集編みたいな内容で、話の展開がいささかマンネリ化している気がした。
客席もAブロックとその両隣のブロック周辺は見やすいと思うが他のブロックからだと非常に見えづらい、マーチングバンドのフォーメーションのような見せ方は面白かったが、その他はあまり円形舞台を生かしきれてない気がした。
思い描いた夢とは別の生き様を力強く歌って語る浪花節な姿に、一瞬、涙腺が緩みそうにはなる。一年後の再会を見据えたような電車の佇まいが印象的。
多分、阪急電鉄カラーと思うが、その色合いの衣装を着たブラスバンドの演奏もいい。休憩なし、約120分。
充電後の活躍を楽しみにしている。

ネタバレBOX

10/11追記
劇中、銀河鉄道の夜に触れるが、やるなら、昨年のプレイパークで演じた「暴れん坊銀河鉄道の夜〜前張り2012〜」位の馬鹿っぷりを見せてほしかった。
最後の精神分析-フロイトvsルイス-

最後の精神分析-フロイトvsルイス-

DULL-COLORED POP

d-倉庫(東京都)

2013/10/04 (金) ~ 2013/10/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

骨太かつ上質で芯のある舞台。
初めて行った劇場、住宅地の一角にある劇場に入れば、座席100席程度だが整然と並び、程よく傾斜がついてどこからでも見やすい。少しだけ空調の効き過ぎはあるものの、話の深さと面白さに「なぜ、どうして」と没頭し、その難しさも楽しめるという奇妙さ、あっという間に90分間たった感じ。もし再演する事があるなら、今度は公演日程をもう少し長めに設定してほしい。役者さんは大変だろうけど(苦笑)

ネタバレBOX

第二次世界大戦が始まろうとしている時代、フロイト宅にルイスが(遅刻して)訪れてくる。
無神論者と有神論者、争う事、道徳心、様々な欲、等、精錬された2人の一語一語が緻密なディベートみたいで、やはり外国人が好きそうな演目と思った。
それを操る、谷さんの翻訳と演出は、言葉と行動の明確さがわかりやすく自分は好き。
フロイト役の木場さんの存在感の揺るがない凄みと、巧みなユーモア。
口蓋の癌に侵され、看護はほぼ妻にしか行なわせない。話が進むにつれ出血するに至ってしまうが、出血の仕方が、見ていて何とも痛々しくもそれすら社会や世界観を現しているようで、意味有りげに捉えられそうな感じだった。
ルイス役の石丸さんのフロイトから受ける重圧にも似た会話から逃げない姿勢や、その会話の柔らかな物腰がまた魅力的。
台詞で「考える事をやめる方が狂っている」(だったかな?)が、妙に心に残り、最後の握手の場面はしびれました。
良い舞台を見せていただきました。
『起て、飢えたる者よ』ご来場ありがとうございました!

『起て、飢えたる者よ』ご来場ありがとうございました!

劇団チョコレートケーキ

サンモールスタジオ(東京都)

2013/09/19 (木) ~ 2013/09/23 (月)公演終了

満足度★★★★

初日観劇
対面式客席、実在の事件を基にしたフィクション。
総括という名で皆の前で反省発表会、自己中が集まるとミイラ取りがミイラになり、結局アンタらどうしたいの!っと突っ込みたくもなったが、全体的に濃密でヘビーな観劇でした。異様な時代の出来事だけど、現代でも起こりうるような話。あの時代を体験してた人は朝まで喋り場しそうな舞台。
楽しむ要素は皆無、骨太な知る演劇を見た感じ。
約2時間。

かもめ

かもめ

シス・カンパニー

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2013/09/04 (水) ~ 2013/09/28 (土)公演終了

満足度★★★★

女性陣が良い
コクーンで、気をてらわず静かで生真面目な演劇という印象、なかなか新鮮だけど淡々とした舞台のような感じというか。
チェーホフの事はあまり詳しくないが、彼が劇団持ってたら小劇場をベースに活動していたのかな、と、ふと想像。
照明や舞台美術が絵画のように映え綺麗だった。特に月。
面白い動きをするなー、と思ったら小野寺修二さんが参加されてたんですね。納得。面白かったです。

大竹さんと蒼井さんの怒気を含んだ自己陶酔ぷりの演技がなんか似てたが、話の進行と共に女性として成長する過程が見られたニーナの方はわかりやすい。萬斎氏、動きも喋りも反応も滑らか、どんだけ仕事熱心な作家なんだ。斗真くん、誠実な青年が似合ってた。好きだった人にあそこまで言われれば、あの結末が合点もいく。
遠くから見た中山っちはジョニデみたいだったw

OPUS/作品

OPUS/作品

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2013/09/10 (火) ~ 2013/09/29 (日)公演終了

満足度★★★★

アフタートークの日
中央正方形のステージを囲むように配置された座席、どこから見ても見やすい。PIT上演作品で、このタイプの配置はこれまでもあったけど、今回は特に適していると思った。
音楽と人間関係にまつわる題材のシンプルな会話劇。演奏同様、転調や変調が混じり合い、クレッシェンドの効いた見せ方、というか。
ふとすれば不協和音に陥りそうな人間関係なのに、各人の真面目可笑しな性分が良い個性となっているのか、演奏活動はそれなりにうまくいっている。永年蓄積された鬱憤と崩壊した人間関係と修繕にかかる時間とそれからの事。あの時の演奏者にとって、生身の人間よりも楽器=恋人なんだろうな。
イキウメとは違う顔を見せる伊勢さん可愛かった。トークショーも含め、相島さんの存在が良い。近藤さん真面目できっちり、段田さんの玄人芝居を間近に見られる幸福、加藤さんは「おじさんカルテット」の中の末っ子メンバーなのでおじさんの部類に入れると違和感あるような(笑)
ベテラン揃いの余裕の現れか、開始直後に軽く客席を和ませる自然体の軽やかさも楽しめる。約110分。

観劇日はアフタートークあり、演出の小川さんと芸術監督の宮田さんと役者全員参加、司会が中井美穂さんで約1時間。
公演チケット持っている人は未観劇でも参加出来た為、ネタばれに気を使いながらのトークに。それゆえ、些か答えるのに苦慮しながら話す事に。観劇直後なので、疑問点等もいろいろと聞きたかったのだが。
なので、若干消化不良になるのはイナメナイよね!

アフタートーク覚え書き、一部発言、省略化あり。

ネタバレBOX

全ての行為が細かくやや心配性?の第一ヴァイオリンのエリオット、女性には柔らか対応の第二ヴァイオリンのアラン、公私は割り切るチェロのカール、天才肌気質のヴィオラのドリアン、清楚だけど快活なグレイス。
男優陣、全員適役だったけど日替わりで配役シャッフルして見たい気も。
全員の正装した立ち姿は綺麗。
名器を破壊し、その破片が頭上に吸い上がるように視線の先は彷徨う、途方に暮れるようなラストシーンだけど、それほど悲壮感はなく、「ああ、海外戯曲」と思ったりして。
セットらしいセットや小道具はあまり出てこなかった(楽器、譜面台は除く)、椅子の配置の仕方で各自宅がわかる仕組み、だったと思う。

以下、アフタートーク覚え書き
サイドシートをそのまま活用し私服姿の関係者着席、三方囲んで観客。
登場順(敬称略)/小川、段田、近藤、伊勢、相島、加藤、宮田

今回の舞台の企画のキッカケは、から質問開始。
共通質問事項は宮田さんと小川さんが主に説明してもらったような。
宮田/三角、アングル、3人の30代の演出家でスタートした企画、演出を中心とした3人、第一弾に小川さんを選んだ。
小川さんを選んだ理由は→人間関係を丁寧に探る、等身大である、戯曲の読み込みが深く、作品と役者に丁寧に向かい合う、基本作業を丁寧にやってくれる。(作・演出等)女性に頑張ってほしいから。(戯曲の選択は)このシリーズでやりたいものを選んでもらい、小川さんが選んだのがこの「OPUS」だった。(比べると)音楽家や演劇だと音楽の関係の方がはっきりしている、音を間違ったら即クビになるし。プライドあるし。
演出家は良い俳優によって育ててもらうのでは。役者さんの発想や戯曲の読み込みについてや、言葉のリズムとか(動きが入ったり)多角的に作ってもっと人物を自由に設定して、そのうちタフになる。
小川/新国立に呼ばれるとは思わなかった、(選ばれて)はしゃいだ、劇団持ってないし一人でやっているし、宮田さんと話してこの環境を作ってくれて良かった云々
この作品を選んだのは→人間関係がよく描かれていた、コミカル・コメディと書いているが(コメディ)強くはない、その要素を今までやっていないので選んだ。
共演の役者さんについて→伊勢さん(「佳世ちゃん」呼び)だけやった事ある、他の方は歴史上の人物なので。
楽器演奏のシーン→先生とやりながらどこを選んでどこをやらないか、とか。役者さんが楽器に真摯に向き合ってくれた、舞台がいろんな角度から全て見られるが、戯曲を選んだ時点で四方囲みを考えた。
日本と海外、演劇の違いはあるか→社会体制の違いはあるけど、作品の作りは同じ。(今回の作品が出来るまで)難産だった、と言っても帝王切開で作品を作った事はないが。構成等スタートラインが弱かった。役者さん各メンバーに奥さず出来るか。ファン目線にならないように。ドキドキしながら作った。(役者さんから得る)人間的にも学ぶ事多かった。
台本を自分のアイデアだけで(作るわけ)ではない、役者が加わって出来、エゴとの戦いでもあるが今回は沢山良いものをもらって楽しかった。

段田/この並びで話すのは恥ずかしい、と言いつつ。本を読んで面白いと思った、それが良い、役は元々決まっていた、クビになる結末は笑ってもらうのが良い、コメディとは思っていない、真剣なんだけど笑えるところがいい、(今回のメンバー)舞台の共演は初めて、テレビでは何回かある。(演出の経験はあるが)バトルになったり、はなかった。色々試すの大好き。
近藤/(段田さんとは)テレビ出始めた頃「私の運命」で共演した、それ以外だと段田さんの野球チームに所属している、(この作品の印象)面白い、人間関係がよく描かれていると思った(役柄について)ガンにかかる役だがやせた方が良いの?と聞いたが病状発症する前なのでそのままで良いと言われた、チェロの先生が22歳の学生さんで怒られながら練習した。→ここら辺は笑いながら話していた。何か楽器弾けるのか、という話題になり相島さんはハーモニカ、段田さんはギターと。
伊勢/伝説の方々と一緒にやるので(笑),本読みで初めてあった時、震えて、噛んで、ちゃんと出来なくて、もう夢じゃないかと稽古中とか泣きそうになった。(その後、ちゃんとなった模様)お客さん違うと毎回こんなに反応あるのかと、驚いている。今までも本番中「ひー」ってなったりした時もあったが今回はそんな事もなく、客席も素敵なお客さんばかりです、と。
相島/近藤君とは色々やっている、(初共演の方)とても刺激的で面白い、(小川さんの演出は)日本とアメリカで経験あって、半々の演出経験ある為か言い方も違う「ダメだし」とは言わない「ノートを出します」と、(今までの演出家とは言い方が)違うのでちょっと嬉しい。宮田さんは「チェック」というので救われる、とも。(苦労した事は)楽器の扱い、お客さんの反応についてとか。(最後の終り方について)日本だとドライな感じなのに、ちゃんと終らせて良いと思った。
加藤/(役柄について)難しい。なんとなくですが。頑張ってます!質問が難しい!ドリアンぽさはない、と答えに困る(小川さんについて)丁寧で夢のような時間を〜、と答えたら「嘘ばっかり(笑)」と返答される。(好きなシーンは)全部好きです。大好きです。(心がけている事は)一日一日頑張ろう、です。すいません。との事。(一人一人の印象は)相島さんとは出の前にストレッチやってるそんな仲、佳世ちゃんは「妹」しっかりしている、近藤さんは「お父さん」近藤さんは息子って言ってた。(その流れで、じゃあ段田さんは?に答えにつまり)段田さん自ら「おじいちゃん」で。本人は「末っ子」加藤さん発言時、隣の相島さんがアシストしながら答えてたり。かわいがられてた。

話が佳境に入るも「これから見る人もいるので、全部は話せない」という前提で話が進む。
近藤さんの役柄が重要な役。台本に役柄振り分け書いてあった。まさにチェロ的な存在。台本上場面16場あり、ベートーベンの曲も16曲ある。なんとなく曲と本の中身がリンクしている。戯曲の作家がビオラ奏者なので各場面タイトルもあった。グレースが入ってくる場面のタイトルは「挨拶」、ビオラ、バイオリン、チェロ等出てくる舞台なので映画「25年目の弦楽四重奏」の話題もちょっとだけあり。
楽器所作の指導はプロについてもらった、段田さんの担当の方はセカンド。サッカーのMF?みたいなパス廻しな存在だけど、それに喜びを感じるそうだと。
(グレースとリンクする部分はあるか)あんなに天才的じゃない〜、似てますかね〜、とも。初々しい反応に、でも佳世ちゃんいると明るくなる、相島さんが野球見に行ったよねーと。(ここら辺になると陽気に喋りまくる。さすが徹子の部屋で黒柳さんを黙らせた男というべきか。)

客席の質問
最後の楽器は予め作られたもの?毎回作るのか。
小川/小道具です。ネタバレになるがスタッフさんが毎回良いもの作って用意している。
演奏に費やした時間は?
近藤/せっかちなので早めに。2ヶ月くらいやった。
段田/稽古40日位の期間。蓋の開け閉め、楽器の扱い方とかに気をつけて、弾けたらいいという気持ちで。
伊勢/稽古入る前から練習。足の開きが日に日に大きくなって注意したけど、最終的にはでも良いやと思うようになった模様。
相島/40日くらい
加藤/曲にあわせて弾いているシーンがない。チューニングの場面はあるけど。エアーで。音が出るようになって嬉しかった。力の入り方は頑張りました。
他、加藤さん集中質問
ドリアンの役柄のように、気持ちを犠牲にしてもいい?→ないです
エリオットへの気持ちは→自分の半身と思っていたのでは。追いつめるエリオットに、恋愛と自分の音楽に対する見切りをつけたが、そこまで気づいていないのかも。云々

最後に各自挨拶抜粋
宮田+小川/感謝の言葉と各次回公演の告知。近藤/違う角度から見るとまた違った見方も出来る、友人知人にも紹介して。伊勢/虎さんがいったように1日1日大切にやっていく。加藤/最後の日まで全員と手を取り合って前へ前へと進んでいけたら、と思う。

質問事はあったんですが、時間とネタバレに通じる事になるので質問自粛。でも、和気あいあいとした雰囲気で楽しいアフタートークでした。

hedge

hedge

風琴工房

ザ・スズナリ(東京都)

2013/09/11 (水) ~ 2013/09/18 (水)公演終了

満足度★★★★

見ました。
最近ではテレビドラマ「半沢直樹」で金融機関用語を耳にする機会も多いが、金融、会社株、経済用語etc、実生活で普段このような言葉を発する機会もなく馴染み薄い題材の為、自分とは無縁の話になるのではないかと危惧していたが、全く杞憂。
全部が理解できたかは少し自信ないけど、仕事に対する情熱や葛藤が入り混じった、大人のエンタメ社会学舞台でした。
ユーモアある前半から、シリアスな後半まで、ついつい話にのめり込み、普段にニュースに一通り目を通していれば理解出来る幕引きでした。
オープニングアクトは相変わらず面白くて恰好いい!
生演奏、シックだけど扉に囲まれた舞台セット等◎
約130分。

犬、だれる

犬、だれる

劇団HOBO

サンモールスタジオ(東京都)

2013/09/10 (火) ~ 2013/09/16 (月)公演終了

満足度★★★★

大人の夏休み
いつの間にか40歳も超え、バブル景気も多分あまり体験出来ず、ロストジェネレーションにも入らなかった男女が、最南端の離島を舞台に緩い日々を送る話だが、戦争の名残りや老後の事もチラホラ見え隠れしたりする。が、登場人物の性格によるモノか、その土地の空気感が伝わる特色故か、終始穏やかな気分で深刻にならず見られる。オリジナルの民謡島唄も聴いてて心地いい。悩み事ある人はこれ見て笑い飛ばすのも良いかも。
姿を見せない犬も名演技。
安定の手慣れの枯れ専男優陣と、それらを掌で転がしているような女優陣。女3人、その会話がいかにもお酒呑んだ時の世間話のあるある内容で聞いててついつい頷きそうになったり。面白かった。約110分

ネタバレBOX

プログラムでは「大家」さんになっていたが、「大矢」さんだよね?
その大矢さんの発言や表情が、子どもの時に接していた近所や親戚のおいちゃんみたいだった。ゆるキャラの顔が林さんに似てなくもない、と思ったりして…。
須賀子さんの水商売ママは板についている。ゆるキャラは手縫いだった事に驚く。器用なのね。
いろんな願望を持っても侭ならない暮らしぶりの正子と直子姉妹。
小さい不幸が知らず知らず積み重なると、現実から逃げ出したくなる気持ちはよくわかる気がする。ほぼ出ずっぱりの正子さん、好きな人の前では一層可愛く見えた。手榴弾投げつける行為はスカっとするだろうーなー。
オヤジ達のお酒吞む時の格好とゲスいエロ馬鹿話、滑稽で笑える。しかし、あの姿で外を歩くと虫に刺されるんではないかw? お酒はホドホドにねw
フォアローゼス

フォアローゼス

ゲキバカ

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2013/09/12 (木) ~ 2013/09/16 (月)公演終了

満足度★★★

初見、初日観劇
チケットプレゼントにて観劇。
既に固定観客が多く、開演前が学祭のような賑わいでズブン所在なかったっす。
ある殺人事件を巡り元刑事の探偵とチンピラとヤクザ、現職刑事等がそれを追う。男だらけの出演者。息抜きの様な小ネタは冗長であまり面白さも感じられなかったが、周囲の笑いも大きかったので個人の主観の違いかなと。
話自体は途中から展開が想像ついてしまったが、ダンスや後半のアクションと見せ方が上手い。
劇中歌に随所「バラ」のフレーズが入る選曲も心憎い。
初日だから?開演時間5分程遅れて約130分。芝居の前半、もう少しブラッシュアップさせてみせてほしかった気も。
気になる役者さんが何人か居たので、これから注目していこうと思う。

ネタバレBOX

国民的漫画サ○エさんの登場人物になぞらえた配役は、もう少しオリジナル性が欲しかったかな。
出所後、退職刑事が差し出す洋酒のボトルの意味はよくわからなかった。前作からのお約束事なんでしょうか。
悪霊-下女の恋

悪霊-下女の恋

森崎事務所M&Oplays

本多劇場(東京都)

2013/08/29 (木) ~ 2013/09/16 (月)公演終了

満足度★★★★

見ました。
再演(宮藤、大浦、小島)観劇から12年ぶりの再々演。いつの間にそんなに年月が経ったの!?と驚いたが、当時と現代の小ネタが今もウケるのは松尾さんがキレ捲ってる証。
人にはわからない幸と不幸のせめぎ合い。緊張感覆う終盤に呪縛のような母性が支配する強烈な舞台。
広岡さんがその当時の役と変わりないのがまた驚き。掴みどころのない可愛さ健在であれは年齢抑止薬でも飲んでるに違いない(笑)。
あの映像は、作品スケールに比べ綺麗過ぎたような感じだったが、久しぶりに強烈で刺激的な舞台を味わいました。
約2時間10分。

ネタバレBOX

宮藤タケヒコはマザコン度と哀しみ率が高めに思えたが、三宅タケヒコは馬鹿さと正直さが表裏一体化しているようで甲乙つけ難し。
猛者に囲まれた中での賀来くんの違和感ないはまり具合のハチマンも良し。
松尾さんの舞台作品ではおなじみの犬いじりはこの時からあったっけ?
「女になっちゃうよ〜」の漫才ネタで懐かしの春子、ブック、センターを思い出しちゃった。
近づく星の光うるわし

近づく星の光うるわし

株式会社Legs&Loins

Geki地下Liberty(東京都)

2013/08/28 (水) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★

最終日マチネ観劇
既に終了した公演ですが、記入したコメントを誤って消去した為、再投稿。
明治の時代の言動にしては、男女のやり取りが明け透けで、女性が寝間着姿で人前に出るとか、今よりもその時代のお産は命がけだと思うがなんか扱いが軽く見え、矛盾を感じた箇所は幾つかあったけど、噂の一人歩きによる市井の混乱具合、天文学者の学問の倫理観や信念、苦悩や葛藤の部分は大変見所がありました。
時代は移り変わっても、似たような状況はつい数年前に起こったばかりだし、気分が滅入りそうになったけどラストの描写で救われました。
作者の村松さんはまだ20代、これからの活躍が楽しみです。

軽め描写の同性愛、家族、子供、歴史が繋がる等のキーワードは、最近流行なのか、よくある描写という印象がなきにしもあらず。

ネタバレBOX

舞台セット内の小道具は他の方も指摘されたように、舞台端には劇団ポスターが貼ってたり、積み上げられた書籍にまんまバーコードが見えたり。小道具だけ見ればそこだけSFの世界だった。
明治時代末期の出来事の舞台。
男女別学の時代に、女性の権威はまだあまり認められなかった時代だと思うが幼なじみで許嫁とはいえ、お相手を「君」と呼んだり、目上の男性に接する態度が、年頃の娘にしては恥じらう事も無く、誰にでも馴れ馴れしく見えたり。
果物を取り扱う商売をしている女性も登場したが、その籠の中身にバナナが入っていて、果樹類ならわかるけどバナナってもうその時代に流通してたのかな?果物自体、容易に庶民に手に入るモノだったんだろうか?女の左利きは矯正されたりしたんではないか?
コミカル福橋さん、上から下に手を降ろす仕草で拒否してたけど、あれじゃシャッター降ろしてるみたい、暖簾を外すにしてもその仕草は少し違うしな、せめて両手で左右閉める襖とか戸板とかを想像させてほしかった、他、ハイカラな名前つけて時代の先端いってる夫婦等々、重箱の隅を突くわけではなく、単純に?と思ったが、コミカル部分だと思ってあまり深く考えないようにする。

その当時だったら一世一代の天文ショーにワクワクし過ぎるキチガイ風味の学者さんもいたと思うが、寺田先生は非常に実直で不器用、ぼさぼさ頭でカワイイが、登場した瞬間から存在感あり。栄子さんの発言に誠実な美しさと一途さが垣間見え、先生と栄子さんの過去話をもっと見ていたかった。
ハレー彗星がぶつかる事を巡り、「ぶつかる」前提で生き残る術を模索するやり取りが長く、そのやりとりがだんだん重いわーと、感じたりもしたけど、現代に移ったラストシーンの描写にどこか救われた気になった。
一人ゾンビ芝居作品集 ―SUMMER OF THE DEAD―

一人ゾンビ芝居作品集 ―SUMMER OF THE DEAD―

キューブ

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2013/08/31 (土) ~ 2013/08/31 (土)公演終了

満足度★★★★

ゾンビだらけ
愉快で刹那な活劇3話と旧作1話、ゲストのピアニカ前田氏と林さんの演奏を聞きながら夏の終わりに世事を気軽に嘆く。
いつものように、映画愛と音楽愛に溢れ、好きなモノをサービス満点で演じる独り舞台。ゾンビホラーな怖さは無く、全体的に笑いの要素が少なかったは残念。面白かったけど、もっとガツンとしたパンチも欲しかった。

カントリーロードのピアニカ演奏も涼やかに聴け、残暑から秋の気配に移り行くような気分になったが心地良かった。ピアニカ前田氏、凄い肺活量だなー。
当日パンフ無。約1時間50分。

ネタバレBOX

映研のゾンビ:顧問の先生と生徒2人しか居ない映画研究会による映画製作、全校生徒巻き込んで青春ゾンビ映画撮影記
ライフ・オブ・ザ・リビングデッド:ゾンビだけど、日常生活を可もなく不可もなく過ごしているゾンビ達によるバンドやろうぜな話
月夜のゾンビ:無名役者が最後の撮影仕事で訪れた場所で起こる世にも奇妙なゾンビサバイバル。一世一代のゾンビ演技で危機を乗切り愛する家族に一目会いたい。

帰郷:再演。ゾンビ騒動後、帰省した男。幼なじみはゾンビになりある願いを男に託す。青春時代を過ごした郷里と幼なじみとのドライブ、道中その当時にヘビーローテーションで聴いていた邦楽洋楽を絶え間なく聴きながら、最後には郷愁と哀切を感じる。この作品は以前から好きな話だったので、再演されて個人的には嬉しい。
一人で全てを考え、それを人前にさらけ出すのは容易な事ではないし、とても凄い事だと思う。次の公演は、不謹慎でもいいからブラックユーモア的なお話も見てみたい。
あと伝説にならなくてもいいから、次はもっと公演数増やして下さいw
ART

ART

関西テレビ放送

東京グローブ座(東京都)

2013/08/17 (土) ~ 2013/08/25 (日)公演終了

満足度★★★★

最終日観劇
静物画の様な壁面を背にし、1枚の絵画を巡り15年来の男友達で口喧嘩が始まる。次第に本音炸裂する口論は1:1→2:1になったり。
女性作家らしい男性への理想が根底に見られる様な、面映さある後半の会話とさらけ出し具合が面白かったが、いかにも海外ぽい言い回しだな、とも思った。後半の3人の構図は、漫画家のよしながふみの作品ぽかったけど。
原作者のヤスミナ・レサの作品を見るのは、2年前のシスカンパニーの「大人は、かく戦えり」以来だけど、少人数で口論させるのが好きなんだろうか。
でも、あの絵画は前衛過ぎてお金は払えないや(苦笑)
知的な気分になれた約1時間45分。

ネタバレBOX

発端の絵画を購入したセルジュ(須賀)、それを見せられた友人の一人マルク(萩原)と、どっち付かずの感想ばかり言ってしまうイヴァン(山崎)
1メートル程の縦長キャンパスに描かれた絵画は、白地の中に白い一本線が入った前衛絵画らしい。
美的感覚の違い、友人に対する目に見えない距離感や態度、よもや仲違いしたまま終るのか、と思ったらバランス良く終って惹き込まれた。
イヴァンの長台詞は凄いけど、母親との会話をあんなに覚えてるなんて凄いな(笑)
役者さんはそれぞれ良かったけど、役柄の齢が30代前半〜40代前半の仲間に見え、この話の内容だったら年代を揃えた方がもっと違った面白さも味わえたのかも。
何気ない台詞で一区切りつけ、白で覆われた舞台を回転させるシンプルな転換。
時折、照明光の加減で舞台の壁面がまた別の表情を見せ、そちらも綺麗で良かった。
上部座席から見ていたので、最後のマルクの描く様子がじっくり見られ、満足。お絵描き歌みたいな作風だったけどw。
cocoon

cocoon

マームとジプシー

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2013/08/05 (月) ~ 2013/08/18 (日)公演終了

満足度★★★

見ました
今日マチ子さんの描く絵柄タッチで、作品全体爽やかなイメージにも見えるが内容は少しほろ苦さが読めたりする。元々会話が少なく、コマの空間から世界を読んでいくような見方をしていたので、今作のメインテーマの戦争とどう向き合い、どう見せるのかと興味もあり見に行った。

今日さんの描く世界から飛び出してきたような、イメージ通りの役者さん達により、色んなモノがミックスされ冒頭からコミックス原作よりマームの世界観を感じ、作風に違和感もあったけど。

沖縄戦、ひめゆり等、メインテーマがテーマだけに、結末の行方は容易に想像出来る。どうする事も出来ない残酷な体験を、時に強く、可愛らしく、憤りを超え美しく見せる。
中身が凄惨であればあるほど、この対比が際立って見え、そこに現代部分を挿入されるとかえって嘘っぽく虚を削がれ、どちらかといえば個人的には苦手な部類に入る。ただ作り手の篤実な思いは強く印象に残った。
他愛ない会話、四肢、体幹の動き、大海原へ飛び出す様相に涙は出ないが、帰る場所を見つける為にひたすら「走る」行為には胸が熱くなったが、無念な感情を抱きつつ見終わった。10代のそこら辺にいた女子が戦渦の時代に絶望とか喪失、綱渡りのような生き方しか出来なかった無念さとか、その反面、普段、口には出さないけど、日本に生まれ自然と身についた平和への有り難みのようなものなのかな、と思ったり。
挿入歌の入れ方はそこだけ映像作品みたい。

8/17 一部修正したつもりでも、感想がまとまりません。
いろんなモノが入り混じり、心に突き刺さり、未だにモヤモヤ感があります。

砂漠の町のレイルボーイズ

砂漠の町のレイルボーイズ

とくお組

座・高円寺1(東京都)

2013/08/07 (水) ~ 2013/08/11 (日)公演終了

満足度★★★

初見、最終日観劇
とくお組10周年公演の一作。
架空の町の駅舎が舞台。話自体は起伏が緩やかな調子でシュチュエーション・コメディという割にはどこで楽しんで良いのかわからず、何事にもピュアで必死な感情を抱いてる男子達が出てくるような少女漫画テイストを戯曲化したような印象で、終始むず痒い思いで観てしまい、終わりまでに何らかの刺激が欲しかった。
鉄オタを体現しているかのような役回りで、役者さんはみんな良かった。
舞台セットや衣装等は素晴らしいけど、劇場の空間余白が大きくてこの作品には適していないように見えた。

ネタバレBOX

結末があの終り方だったのは、架空の町の設定だし最後までファンタジーとして捉えれば良かったのかな。
次の作品と見比べてみたい気もする。

エリートさん役の佐藤さんがサモアリ、ワンダフル、表現さわやか等とは違う一面を見せ、すらすら台詞を吐いていたので驚きましたw。
カタルシツ『地下室の手記』

カタルシツ『地下室の手記』

イキウメ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2013/07/25 (木) ~ 2013/08/05 (月)公演終了

満足度★★★★

どこにでもいそう、でも、いない人
40男のほぼ一人語り、自己弁護と三人の友であり敵とのやりとり。まさかドフトエフスキーも21世紀のアジアの片隅で話題になるとは思いもよるまい。見てて自己嫌悪でしょっぱい気分になりつつ、そんな事を思う自分にも笑ってしまう。面白かったです。

ネタバレBOX

冒頭からMC芝居。自然過ぎて、どこまでアドリブ?と思ったが、多分脚色なしの喋りなんだろう。
絶妙なタイミングのニコ生のコメントの入り方にも、視覚的に面白かった。

このページのQRコードです。

拡大