tamagawaya_ucの観てきた!クチコミ一覧

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ワラドール~7人の勇敢な冒険者たち~

ワラドール~7人の勇敢な冒険者たち~

星の女子さん

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2014/08/01 (金) ~ 2014/08/03 (日)公演終了

満足度★★★★

星の女子さん「ワラドール」観ました
 地下アイドルばりの人気を誇るw所属女優三人が、交代で主役を務めるドール三部作・第二弾。



 今回は、「七人の侍」「オズの魔法使い」をモチーフとしつつも、昭和歌謡に舞踊にと、めっさ北村想さん系アングラエンターテインメント。

 もう少し、会話など相手への反応のテンポが良ければ、終始笑いが絶えない仕掛けになってたかも。
 その点、まったくふざけないにも関わらず、狙ったとおり確実に「間」で笑いを取るベテラン・二宮さんやお笑いタレント・ハヤシユウは偉大。

 と言っても、「あのゆるさが好き」という声にもうなずけるのでした。(東京でいえば、ワワフラミンゴみたいな位置づけ?)

 後に何も残さない、海でカカシが見た、辻褄の合わない奇妙な夢。
 舞台に常時存在する、女性の白い片腕。(猟奇)


  私にとってはやはり、星女子三人娘の身体が一番の見所(お人形りさささん・ふわふわすーじー・ロボコップたなはし)。
 みな、うまく役にはまっている。

 そして、名古屋演劇界の新星・ダイゴシ君が相変わらず朴訥な素でおいしかった\(^o^)/ 
 しかし、いつまでもキャラだけではやっていけんぞ(ブーメラン→グサッ)



 ドールシリーズも、残すはいよいよあと一作・「カナドール」のみ。お楽しみに!

坊っちゃん

坊っちゃん

NPO法人大阪現代舞台芸術協会-DIVE-

AI・HALL(兵庫県)

2014/07/04 (金) ~ 2014/07/06 (日)公演終了

満足度★★★★

AAFリージョナルシアター・大阪現代舞台芸術協会プロデュース「文豪コネクション・坊っちゃん」8/9@愛知 観ました
 
 愛知組「こころ」から二週間、今度は大阪組「坊ちゃん」。
 アウェイにも関わらず、出演者の半分が、一人芝居フェス・インディぺや芸創コネクトで見覚えのある方々という〈笑〉



 〈泉寛介(baghdad cafe)演出〉

 原点にほとんど忠実な流れながらも、小気味よく変わる劇空間と多視点。
 舞台上でも舞台外でも「語られる」「坊ちゃん」。
 難しそうにみえて、意外とエンタメ的に楽しめる新視点。

 劇中一人芝居状態が異常に多い一明一人さん〈ひとり12役ぐらいやってた!〉、が、まさにフィギュアスケート状態ww〈←ツイッターで自分で呟いてた〉


 〈くるみざわしん(光の領地)演出〉
 
 もともと漱石フリークで、この話以前から震災の影響を受けて自分で書いてたとの事。

 現実の漱石と空想の坊ちゃんの構造的レイヤード。どちらがどちらの見ている幻視なのか分からなくなってくるような場面も。
 取り巻く世界がじわじわ変わり、精神の迷宮に迷い込みそう。
 ミニシアター系の映画を観ているような気分。

 増田雄さんが、この作品だからこそ坊ちゃん役にハマっていました。



 ともに、主人公を包み込む清が重要なポイント。
 守護霊的に常につきまとう存在や、ひきずる価値観の象徴。
 どちらも、考えさせながらも、切り口にそれぞれの個性が出ている組み合わせでした。

 11月には神戸で再演されるとの事。短期間で三度目の公演、幸せだなあ。

アルルカン、天狗に出会う

アルルカン、天狗に出会う

ディディエ・ガラス×NPO劇研

津あけぼの座(三重県)

2014/07/25 (金) ~ 2014/07/26 (土)公演終了

満足度★★★★

ディディエ・ガラス「アルルカン、天狗に出会う」観ました
 二年前の全国ツアーを見逃したので、まさに僥倖。

 私、名古屋で毎年、京都の金剛流能楽師・宇高竜成さん(アトリエ劇研とも関わり)のWSを受けているのですが、なんとガラス氏、その宇高さんのお父様の下で能を修行していた事もあるそうな。演劇的世間は狭い…


 一人で一時間舞台を保つ強度。
 確かなマイムやムーブメントが、仮面や道具のいろんな使い方を支える。
 モノとの共犯関係、仮面への委託。

 アルルカンの歴史的背景にも触れて、意外と語り芝居(日本語)。
 語り部分は、訪れる国の言葉を覚えて話しているとの事。脱帽。


 終演後に仮面を取ったガラス本人は、細面の渋いイケメンでした。

 自分の特異な身体操作をコアに、身軽なツアー公演。
 ああ、こういうのやりたいなあ。

 9月には京都・三重で、いろんなパフォーマーを集めての演出作品「ことばのはじまり」が上演予定。観たい!

ダル

ダル

演劇組織KIMYO

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2014/07/24 (木) ~ 2014/07/28 (月)公演終了

満足度★★★★

演劇組織KIMYO「ダル」観ました
 クセック・スペイン公演から帰国しての翌日に、なんとか体力回復して観に行きました。



 今回は、KIMYOでは異色のサスペンス劇。
 「12人の怒れる男」のような展開に…なるかと思っていたら、論理的に破綻した流れが目立ち(敵の動機の説得力や、集団外部との関係、犯行状況の立証など)、やりたい事は分かるけれど、どうもすんなり飲み込めない話に。
 終わりもすっきりせず、宙ぶらりんな印象。


 演出のスピーディーで変化ある仕掛け(役交換や美術表現などの新しい試み)、役者のハイテンションに同調した熱量により、なんとか楽しんで観られる舞台に。
 「燃えて挫折する青春劇」という、これまでのテイストは共通。


 役者では特に、今回初めて客演する赤いロン毛の強面の男性が、見かけと裏腹に繊細な演技でいい感じ。
 あと、でっかいネコとちっさいねづみの初共演もポイント(笑)



 残念ながらトータルな完成度には満足できないけれど、安全でないところで挑戦しようとする(そして横滑りを起こしていたりする。。。)、その闘争意欲に☆4つ。(ほんとにギリギリ)

 去年に続き、東京・王子小劇場でも公演。
 関東の皆様、この、やみくもに燃えている愛知の若手団体を観て、思う存分批評してやってくださいませ!

こころ

こころ

公益財団法人愛知県文化振興事業団

愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)

2014/07/18 (金) ~ 2014/07/20 (日)公演終了

AAFリージョナルシアター「文豪コネクション・こころ」観ました
 クセックACTスペイン公演出発の前日に、なんとか余裕を見つけて観に行きました。
 「二人の演出家が、違う上演作品として連続上演する」愛知・大阪の共同企画、まずは愛知組。


 〈菊本健郎(NEO企画)〉

 ベテランならではの、原作への忠実さが逆に驚くレベルの堅実な作り。
 その反面、予想外の事が起きないという、やや退屈な面も。

 舞台を見えない壁で仕切っての空間作り。
 白い衣装が象徴する、過去への鎮魂歌。


 〈かしやましげみつ(孤独部)〉

 原作から構造を発見しての、大胆なアレンジや細かなエピソードの選択が観客の共感を探る、いかにも先鋭な若手の演出。
 一方で、観客がついていけるか不安な箇所も
 (バンドのフルコーラス4曲は、観劇目的には少々辛い。。。)

 キャラクターが、点や線で結ばれる関係の空間。
 物語内から現実へ連綿と受け渡される、現代の若者への手紙。



 (おそらく主催者が意図したとおりの)
 ベテラン・若手、好対照な演出でした。

 共同企画の大阪「坊ちゃん」が伊丹・名古屋二都市で上演されるのに対し、こちらは名古屋公演のみなのが残念。
 こういう交流企画は、継続して続けていくことが大事だと思います。

 という訳で、今週末は大阪「坊ちゃん」を観ます!

ハムレット

ハムレット

京都芸術センター

京都芸術センター(京都府)

2014/07/03 (木) ~ 2014/07/07 (月)公演終了

満足度★★★★★

KUNIO「ハムレット」観ました
 KUNIOは、愛知・うりんこ劇場で「椅子」を観て以来(木ノ下歌舞伎は結構観てるけど)。

 会場の京都芸術センターは、歴史ある旧・小学校を改装。もうそれだけで雰囲気充分。



 能狂言を思わせる様式美から入り、次第にむき出しになっていく激情。
 ガキや大人、老人など、男たちの野望と浅知恵が、無条件で自分たちを愛してくれる女たちを、そして自らをも滅ぼす。
 最後に残ったのは、この馬鹿馬鹿しい悲劇(もはや喜劇?)を伝える語り部と、舞台の外で無言のまま漁夫の利を得た野望の持ち主。

 全ては劇場での出来事。
 フィクション性への着目という点では、柿喰う客の女体ハムレットにも通じるものがあるのでは。(違いはあるが)


 今回のための新訳は、セリフだけでもテンポのいい舞台が頭に浮かぶ。結果、舞台美術がほとんどいらない。
 美術といえば、おーじの舞台美術ではおなじみのレタリングアートが、今回は特に、最初と最後に大きな意味を持っている。社会性がかなり強い。

 全面に感じる、ことばの力。


 メインキャストの衣装にも注目。今までのKUNIOや木ノ下歌舞伎に比べて異色。
 特にハムレットは、かなり意味ありげ。



 という訳で、豊橋・札幌・東京公演も、ぜひご覧ください!
 あと、ネタバレにはちょっと別視点を。

ネタバレBOX

 知り合いの女性
(某公共劇場勤務。ハムレットは何度か観劇(私は初めて)。今週、一緒に戯曲を読みました)
 は、

「戯曲が強くて、誰が演出してもそう変わらない」
「女性が人格を持って描かれず、何を見ればいいのかよく分からない」
との事。

 うおお。
モモンガ・コンプレックス⇄珍しいキノコ舞踊団『Togetherさ。』

モモンガ・コンプレックス⇄珍しいキノコ舞踊団『Togetherさ。』

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2014/06/27 (金) ~ 2014/06/29 (日)公演終了

満足度★★★★

モモンガ・コンプレックス⇄珍しいキノコ舞踊団『「Togetherさ。」観ました
 モモンガ(というか白神さん)は木ノ下歌舞伎などの振付で、キノコはあいちトリエンナーレ・フェスティバルFUKUSIMAで知ってますが、公演は初めて。しかも合同とは!


 お互いの団体に振り付けし合う企画ですが、私はどうしても、両主宰の特権的身体に目が行った。
 上から吊られた操り人形的な白神さん。
 ふてぶてしく舞台上にすっくと立つ伊藤さん。
 それぞれの団体で集団で踊っていても、確実に目立つ身体に惹かれる…


 後半の自団体振り付けは、予定の都合でモモンガを10分ほどしか観れなかったけれど、白神さんとはどうも気が合いそうな気がする。。ああいう格好もする方だったのね(笑)

ネタバレBOX

 ハエ女ww 
 あの、感覚と直結した動きは、他人には振り付けしにくいだろうなあ(経験的に)。
ナカゴー特別劇場vol.12『ノット・アナザー・ティーンムービー』

ナカゴー特別劇場vol.12『ノット・アナザー・ティーンムービー』

ナカゴー

北とぴあ カナリアホール(東京都)

2014/06/26 (木) ~ 2014/06/29 (日)公演終了

満足度★★★★

ナカゴー「ノット・アナザー・ティーンムービー」観ました
 愛知から赴いた王子小劇場・佐藤佐吉演劇祭、第一週の五演目のひとつ。
 犬と串やワワフラミンゴは売り切れ、柿喰う客はトークラウンジで観れず、残るは肋骨蜜柑同好会とナカゴー。
 さて、どちらにしようか…と迷っている旨を呟いたら、名古屋の知り合い二人がナカゴーをオススメ。
 そういえば、徳永京子さんの「演劇最強論」でも名前を見た覚えが。

 という訳で、あまり事前情報なく、トークラウンジの後で観に行きました。



 まあ、、、開いた口がふさがらないことふさがらないこと(笑)


 歴史観や人種差別など、思想の偏りが露骨、
 人物の動機や感情の動きが、いきなりかつ整合性なく、
 何に焦点を当てたいのか、プロットの整理ができてないという最悪の脚本。

 さらにそれを、

 語彙に問題のある翻訳(知人曰く「訳:戸田奈津子」ww)、
 無意味に過剰にはじける役者陣、
 力を入れるバランスを間違えた特殊効果、
 
 によって、

 昔、昼のテレビ東京系で見たような、アメリカン青春SFクソバカ映画に仕上げてしまったwww(←誉めてる)


 恐ろしいのは、それらがすべて、意図的にそれも緻密に行われているということ。こんなバカバカしい作品を真剣に作り上げてしまう業。。。
 翻訳のところで語った知人(彼も名古屋拠点の演劇人)によると、最近のナカゴーのメソッドをごっそり詰め込んだ内容との事で、いいタイミングで観れました。


 トークラウンジのゲスト、三重県文・松浦さんをして「三重のお客さんに観せたら発狂死しちゃう」と言わしめたwwナカゴー。

 好き嫌いや理解が激しく分かれるであろうこのスタイル、東京圏外での公演はまだまだ遠いかもしれませんね…あ、大阪なら充分ありかも!(笑)

天国の東側

天国の東側

劇団あおきりみかん

愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)

2014/06/26 (木) ~ 2014/06/29 (日)公演終了

満足度★★★

あおきりみかん「天国の東側」観ました
【※注 まだ未見の方は、ネタバレBOXを絶対に見ないでください】



 開演前のホワイエは、大学生、高校生だらけ。あおきりみかんの公演は、学生演劇部の集まりの場でもあるのだなあ(遠い目)

 鎖で繋ぎ合わされた11人が、終始舞台上に。
 それぞれが役割を持ったり、もめ事を起こしたり。

 ダンディさが何故か笑いを誘う花村広大さん、かわいいのにおもしろい近藤絵里さんが、安定の切れ味いい存在感。
 今回客演の椎葉星亜君は、あの気配り細かく大胆に迫る芝居が、あおきり勢の中で非常に新鮮。あおきりメンバーとお互いに刺激を与え合えるといいと思います。



 …で、今回かなり不満があるのでネタバレBOXに(あおきりで二回目)。
 他地域公演もあるので、書こうかどうか迷ったのですが、観劇一週間も経って書けないというのもおかしいと思うので。

 かなりのネタバレもあるのでくれぐれも、未見の方や、あおきりの批判が嫌いな方は読まないでください。
(ちなみに私のあおきりベストは、「湖の白鳥」「よく聞く。」「サーカス家族」です)

ネタバレBOX

【※あおきりみかんに、ただ 「笑ってジーンとしたい」 を求めている方は読まないでください】









・テーマは、「人と人との繋がり」なのか、「親子の絆」なのか。
 後者のキーパーソンが、終盤になってほとんど予兆なしに正体を明かし中心軸に。(それに触れた台詞や予感はあったけれど、作劇や演出では感じず)
 結果、前半でいろいろかき回した前者のテーマはうやむやに。


・「ここまでがユートピア」や映画「S」のような現実世界の社会実験なのか、牢獄のようなイメージの本当の天国なのか、昏睡状態の中で疑似体験している脳内世界なのか、観ていて無意味に迷い、世界観が見えない。
(物語中でも迷わせている。美術は、どれとでも取れる雰囲気)
 キーパーソンの特質のために、さらに混乱が。


・フラットな空間に出てくる固有の地名が唐突で、逆に現実感が感じられない。他地域公演ではそこの地名になるのか?掴みネタとして。
 唯一の地元以外の地名が出てくる台詞、鹿目さんには申し訳ないけれど取ってつけた感が。


・後半で盛り上る共同作業や部活が、、前半で小ネタ群のひとつとして出そうなレベル。前半であれだけ苦戦した課題(これもあやふや)をそれでクリアされても納得いかず。


・鎖の意義に? もっと、感情や関係性につながった身体表現、あるいは集団プレイで効果的に見せるのかと期待していたのに、取りあえず引っ張って転んでみました感…


・本筋から外れた小ネタ(役者の佇まい等)ばかりが、若い観客にウケていた…


・群集劇かと思ったら個人の物語。個人劇と思ったら群集劇だった「ここまでがユートピア」と真逆。その結果、広がりそうに見えた世界がしぼんだ…そこでキーパーソンとなる2人にも、キャラクターの強度が感じられない。他の人々は、結局作劇の都合に合わせた脇役。


・「作劇の都合」というのも、劇中で起きる出来事に関してかなり重要なキーワード。これはさすがに書けない…



 毎回観てるだけに。今回はかなり残念でした…仙台・東京公演では少しでも解消されてほしいです。

INDEPENDENT:TSU14

INDEPENDENT:TSU14

津あけぼの座

四天王寺スクエア(三重県)

2014/06/21 (土) ~ 2014/06/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

「最強の一人芝居フェスティバル INDEPENDENT:TSU14」観ました
 大阪名物・最強の一人芝居フェスティバルの地域進出版。
 年に一度の東海版、今年は三重県・津市で開催。
 ちなみに津は、名古屋からも大阪からも観客が来やすい、交流の穴場なのです。

 (記載は上演順です)



【Bプログラム】


[「ちあき」 (出・作・演 竹内康介)]

 地元劇団から、青春純愛お笑い系。
 青少年の妄想題材に、ただただふざけたコントかと思いきや、最後には切なくなる瞬間が。

 決してうまくはないけれど、体当たり演技の思い切りよさに好感。


[「ライト」 (出:おぐりまさこ 作・演:関戸哲也)]

 最初は自意識過剰コメディかと思いきや、時折冷たい感触が突き刺さり、ついには全ての伏線が残酷に観客を締め上げる、上質のサイコサスペンス。
 照明のこだわりにゾクゾク。影は、心の闇。

 おぐりさんは、Aプロの岸☆青龍さんの演出でも参加!
 さらに、この二日後には大阪・インディぺトライアルにこの作品で参加、見事第二次予選を通過されました。おめでとうございます!


[「戯式」 (出・作・演 田中遊)]

 京都からの招聘作品。
 20分枠内でカラーの違う実験的作品2本を連続上演。
 モノ・声の、舞台でのあり方を探求。特に二本目は、どうやって作ったのかすら謎。。。

 舞台を実験台と捉えるような上演形態に、ベケットを連想。(田辺剛さんとか村川拓也さんとか。これが京都カラー?)



【Aプログラム】


[「PUNCH OUT!」 (出:田中みな 作・演:くつなつく)]

 嫌いな自分jから逃げてヒーローに変身した少女が再び自分へと戻っていく、妄想との訣別。
 以前観た時より、最後は後味よくなってた気が。

 名古屋・K・Dハポンで一度観ましたが、その時は空間の力が強すぎたのか、少々観にくかった…。今回はブラックボックスの舞台で、より観やすく。


[「ウィザードリーマンBZ」 (出:岸☆青龍 作:二郎松田 演:おぐりまさこ)]

 キモオタ系超能力者の誕生をねっとりと見せた怪作、今回は津のみの、「ビギンズ」+完結編「Z」連続版。
 各地で上演を重ねてきた鉄板作品、しかし今回は少々お疲れ気味?大阪で観た時ほどは切れ味がよくなくて残念。しかし、まだまだ次もある!

 岸さんは、昨年11月の大阪インディぺを最後に役者を引退と宣言されていましたが、期待通り一人芝居は継続中\(^O^)/


[「ときめきラビリンス」 (出:永島敬三 作・演:中屋敷法仁)]

 あの、柿喰う客から登場!と期待していたのですが…

 言葉も身体も表情も、技術的には他の役者を圧倒していたのだけど、芝居自体にはなぜかぐっと来ず、途中で眠くなってしまった。。。
 脚本の割に全てが安定し過ぎなのか、最初から最後まで変化が感じられず、結局何をやっているのか分からなかった…



 まあ、思うところは色々あるのですが(汗)、観客は、普段会えないいろんな役者や演出を観る事ができて、各団体にとっても、初めての地域でも作品を見せて宣伝ができる、非常によい企画です。
 これからも、演国各地での盛り上がりを期待!


 そろそろ出ようかな…(ボソッ)

人生2ねんせい

人生2ねんせい

財団、江本純子

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2014/06/14 (土) ~ 2014/06/15 (日)公演終了

満足度★★★★

財団、江本純子「人生2ねんせい」観ました
 (女性の月のもののシーンがあるためか)どうしようもない「血」を感じた。血族、宿命、生命、輪廻…。
 同じ集団内での立場の違う視点から、それでも抜けられない精神の傾向。

 スライドし、時には重なる時間を通る、魂の旅路の追体験。

 リアルな家族関係のドキュメントの面も。
 語間を一気に飛び越える、時にはぶっきらぼうにも見える信頼関係。

 女系家族の生々しくもさっぱりした生態に、柴幸男「反復かつ連続」を連想。


 効果的かつ合理的な(笑)美術、無駄を削ぎ位置にこだわるシンプルな舞台。

 一瞬ミクニヤナイハラかと思う瞬間も。
 女たちが同じ動作をするとドキッとする。
 野郎が使い回し\(^o^)/なのも象徴的。



 「四つ子の宇宙」@アトリエヘリコプターの四人組(岩井秀人・松井周・前田司郎・江本純子)の最後の一人の公演を初めて見ましたが、やはり只者ではありませんでした。

 。

地下室

地下室

サンプル

三重県文化会館(三重県)

2014/06/06 (金) ~ 2014/06/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

サンプル+青年団「地下室」観ました
 最近作と違い、具体的なストーリーがあって分かりやすい(汗)、でもやっぱり生理的に嫌な会話劇。(最近では、水素74%がこれに近い作風)



 地下室を拠点にする一団。

 取りしきる男の、他人を度量広く受け入れるようで全く相手のいう事を聞き入れず、全てを思うように支配しようとするオーラ。

 外の世界で満たされず、男の用意した価値観に塗り込められたいと望む者たちに、回る毒。

 外から来てこの世界を見下ろす人々のエキセントリックな態度もまた、この場との関わりが育んだもの。
 

 嫌な現実を忌避し嘘に生を委ねた人々の、それぞれ種類の違うゆがみや身の振り方を、克明に描写。
 肌感覚に訴え、人の心を生ぬるく絡めとり自由を奪う、気味悪い作演。

 依存、コミュニケーション不全、秘儀の共有、閉じた王国。
 崩壊しても再生する、不気味な家族劇。



 内容的には凄く嫌で危険だけど、構造がしっかりしてるので、初心者が観ても勉強になるかと思います。
 さすがに、「自慢の息子」や「女王の器」を観た今では、松井さん若かったんだなあと思ってしまう…(笑)

 古館寛治さんの演技は唯一無二(参院選でも詐欺でも、軽く成功しそう)。
 いっそ、岩井秀人さんと競演してみてほしい(爆)

ぬけがら

ぬけがら

劇団B級遊撃隊

長久手市文化の家 風のホール(愛知県)

2014/05/31 (土) ~ 2014/06/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

「ぬけがら」「脱皮爸爸」連続上演・総評
 関係者でもなければ頼まれてもないけど、ツイッターまとめました→ 
【劇団B級遊撃隊プロデュース『ぬけがら』+香港話劇團『脱皮爸爸』 
http://togetter.com/li/675317?page=1 】


「ぬけがら」「脱皮爸爸」を続けて観て、アーサー・ミラー「セールスマンの死」を思い出した。ちゃんと向き合えなかった父と息子。
 ミラーの戯曲ではどうしようもないラストを迎えたけど、佃さんの戯曲ではあんなにいろんな対話ができた。
 佃さんは、亡くなる前のお父さんに、文学座のこの演目を観てもらうことができた。
(そして私は、まだちゃんと向きあってない。。。)


 そしてつくづく、今回のB級遊撃隊+香港話劇團・連続公演は、プチ国際演劇祭だったと思う。
 東京や横浜など(ひょっとしたら香港からもww)、各地からお客さんがみえて空気を共有(私も、津から来た方と食事しながら意見交換)。
 劇王の地・長久手ならではの空気感かも。

 こういう企画は難しいだろうけど、もっと観る機会がほしいなあ。
 と同時に、観客・演劇人にも、こういう自分に身近でない舞台を観る、貴重な機会を活かしてほしいと思います。

ぬけがら

ぬけがら

劇団B級遊撃隊

長久手市文化の家 風のホール(愛知県)

2014/05/31 (土) ~ 2014/06/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

香港話劇團「脱皮爸爸」観ました
 稽古中のツイートで、B級版出演・鹿目由紀さんが「ジャッキー」「スパルタンX」と呟いていたのが納得。
 最初はB級の自然体・心情芝居と違和感あるけれど、その不自然に切れ味いい力づく感が、だんだんと快感に(笑)



 とにかく、楽しませる前提の見せる芝居。B級版よりも要所要所に強いアクセントとインパクト。鍛え抜かれた役者の表現力が惜しみなく炸裂。男優の腹筋、女優の笑顔(グヘへ)

 ラストは、戯曲を読んだだけでは想像もつかない演出。「田園に死す」かと思った。。。舞台LOVEみなぎる。


 不条理劇というよりも、日常に非日常が隣り合わせになっている死生観には、メキシコ幻想文学的香りも(特に脱皮シーンの演出)。


 心情面では、B級版は明日へ向かう男に、香港版はあちらへ旅立つ父に焦点が合った感じ。
 共感性なら前者、浄化感なら後者か。



 演劇の作り方、社会でのあり方自体が、日本と違うのかなと感じた。
 香港版を観た後でB級版にひるがえって思いを馳せたり、同じ演目を別団体の連続で観れるというのが効いた企画。

 異文化と出会う、貴重な機会になりました。(総評へ続く)

ぬけがら

ぬけがら

劇団B級遊撃隊

長久手市文化の家 風のホール(愛知県)

2014/05/31 (土) ~ 2014/06/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

B級遊撃隊プロデュース「ぬけがら」観ました
 3年ほど前に同じ長久手市文化の家で、文学座の公演も観ました。
 あの時は、佃さんのお父さんがすぐ後ろにみえたなあ…



 2時間20分、戯曲の構成や演出の折り込みに、いまさら唸らされる。

 つかみはロッキーでOK。

 最初の脱皮した父とのやり取りを丁寧に描写した後、どんどんと脱皮がテンポアップ、ついには観客の視界での脱皮。

 その進行の中で、父と男のやり取りでの、それぞれの心情の揺れが。
 無邪気な喜び、変化する相手への戸惑い、自分の存在への不安。

 劇中の理屈も吹っ飛ばす大団円。

 そして、締めもロッキーww
 
 文学座とは違う最後のリフレインシーンの演出にも、妙に納得。
 演出は理屈を超え、受け手の自立した感性を刺激する。


 小熊さんら父役の男優がことごとく濃くて、集合シーンでは、母役の長嶋さんが光り輝いて見えた…(笑)

 平塚さんと中田さん・鹿目さんの丁々発止のやりとりも、心の襞の揺れが気持ちいい。

 そして、全編通して、平塚さんがごく普段通りに存在してるようにしか見えないという。。。



 とにかく、観ていて楽しく、それでいて切なくなり、自分の明日を考えたくなる傑作でした。

 引き続き、連続上演・香港話劇團「脱皮爸爸」へ。(続く)

ディラックの花嫁

ディラックの花嫁

劇団ジャブジャブサーキット

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2014/05/29 (木) ~ 2014/06/01 (日)公演終了

満足度★★★★

ジャブジャブサーキット「ディラックの花嫁」観ました
※ジャブジャブサーキットに関して、以前から引っかかってた事中心です。
 大抵の方にはあまり参考になりませんので、念のため。



 ジャブジャブはほぼ毎回観てるけど、いつも観方が難しい…。

 SF的な世界観や優しいストーリー自体は、わりと単純で映画みたいに具体的なイメージがあって分かりやすいはず。
 その具体化を主に、観客の想像力に委ねており(たいていどこかの一室で舞台は進行、完結)、そのためのヒントが小出しなためかと。
 (演技や演出を抑えた、ストーリーも派手ではない会話劇なので尚更)。

 今回も、世界観の特殊さに比べ、状況・人物の情報(←今回は、これ特に重要)がなかなか貰えなくて頭の中で統合できず、大筋もなんとなく取り逃していた…(ちなみに、私は学生時代にはハヤカワ文庫を数百冊読み漁ったSF者です)
 イメージ自体は具体的なので、「あとは観客に委ねます」というように演劇の観客として誤魔化されにくい、のかな?
 前回「月光カノン」くらいの世界の滲み方が、むしろ演劇的には私の頭に合ってるのかも。


 何が起きているのかよく分からないけど、しっとりした雰囲気はいい、というのが私のジャブジャブ感。
 そんなわけで、次回もまた観ます。



 今回初の客演・岡本理沙さん(星の女子さん)は、ずっと前から出ていたかのようにジャブジャブの舞台にシャンとハマっていました。
 愛知県外ではあまり舞台に立たない方なので、ぜひ彼女の勇姿をご覧いただきたい ヽ(´∀`)ノ

Flower Girl

Flower Girl

劇団オートバイ

市民ギャラリー矢田4階 展示室1(愛知県)

2014/05/24 (土) ~ 2014/05/25 (日)公演終了

満足度★★★★

劇団オートバイ「Flower Girl」観ました
 こちら、残念ながら今回が最終公演とのこと。
 市民ギャラリー展示室での公演。(これまでにも、体現帝国や孤独部など身体表現を重視した公演が、展覧会とコラボ)


 ギャラリーの広く白い空間に組まれた、座標軸のような美術の中を漂う魂のイメージ。
 前回公演での、カメラの中のようなブラックボックスとは正反対。


 放たれる身体や声が、中央で交錯。時には折り重なるように。
 6人の役者によって時空を越え再構成される、男女二人の意識・記憶の断片と向き合う。

クセックACT等とはまた違うコロスのあり方が、はかなく美しい。


 劇場ではないため、声の反響は台詞を聞き取りづらいけれど、題材的には演出効果として許容できる。

 

 劇団としては最後だけど、メンバーの活動にこれからも期待。
 ホワイトキューブなギャラリーでの公演、今後も何かの団体で観たいなあ。かなり手ごわいけど、やりがいがありそう。

スサノオ

スサノオ

Performance Act OUTSIDER

千種文化小劇場(愛知県)

2014/05/24 (土) ~ 2014/05/25 (日)公演終了

満足度★★★★

Performance Act OUTSIDER「スサノオ」観ました
 アクション系演劇はふだんあまり観ないのですが、今回は予定が空いていて気になる役者さんも客演するので足を運びました。



 完成度としては、演出や進行にもろもろ不備は目についたけれど、「劇団☆新感線・中島かずきの脚本を、唯一上演してみせる他団体」という実行力が魅力。(後で氏の映像チェックが待ってるとのこと。ヒエ~ッ)

 暗転での転換がかなり気になる。役者が装置を転換するのだけど、完全暗転でないので、素の動きがほぼ見えてる訳で、いっそスタイリッシュな動きで「見せる転換」をした方が、この劇団には合うのでは?
 (鉄系の衣装、薄めの暗転の中で意外と綺麗に見えた)


 次から次へと繰り出すアクションシーンはさすがの迫力。
 円形劇場ならではの激しい出入りや構図の変化を見せてくれる。
 ただ、演出的には、それぞれのシーンにいろんな味付け(静かな殺陣とか、客席を挟んでの睨み合いとか)や、全体の流れの中での起伏が、もう少しほしいか。
 

 他劇団の主宰である、
伊藤佳月さん(劇団創造)
宮谷達也さん(演劇組織KIMYO)
中居晃一さん(演劇ている/movemates)
 ら客演陣は、独自の芝居作りで舞台上に存在できており、周囲の団員に比べ出番が少なくても印象的。
(ウヒェッ・ヘラヘラッ・畳バーンッ)



 自分たちの得意分野に特化して、限界以上の熱量・人生を注ぎ込んでいるのが、指針がはっきりしていてステキ。
 私の好みの演劇とは志向が違うのですが、これなら初心者にも観てほしいと思いました。

 特に、主役スサオウを演じた代表・御陵正人さんがすごい存在感。
 アクションにかける熱意の塊。燃える36歳。

A.C.O.A.「ジョン・シルバー」×百景社「斜陽」

A.C.O.A.「ジョン・シルバー」×百景社「斜陽」

三重県文化会館

三重県文化会館(三重県)

2014/05/10 (土) ~ 2014/05/11 (日)公演終了

満足度★★★★

百景社「斜陽」観ました
 A.C.O.A 「ジョン・シルバー」からの連続上演。
 こういう、渋い劇団をまとめて受け入れる三重県文の姿勢が男前。


 終始背景に投影されているカウントの、ラストにやられた…あんなパラダイムシフトが起きるとは!事前予想への大ドンデン返し。

 役者が全員、身体のキレがいい。きれいに動きつつ、瞬時にオブジェ。


 百景社のお家芸(借景、ポップソング、水)オンパレード。
 こういう、公共ホールが敬遠しそうなものを受け入れる三重県文、男前。

 笑えて悲しくなり、しかもどんなに追いつめられても消える事のない、人間の飽くなき生命力を見せてくれる。
 太宰治の原作を読んだ知人によると、小説の方がもっとえげつないとのこと(笑)


 こういう演目を、地域にいながら体験させてくれる三重県文の男前ぶりが光る公演でした。(←結局、三重県文の感想になってる)

A.C.O.A.「ジョン・シルバー」×百景社「斜陽」

A.C.O.A.「ジョン・シルバー」×百景社「斜陽」

三重県文化会館

三重県文化会館(三重県)

2014/05/10 (土) ~ 2014/05/11 (日)公演終了

満足度★★★★

A.C.O.A.「ジョン・シルバー」観ました。
 昨年の「スピリッツ・オブ・~」を見逃したので楽しみにしていました。
 今回は、百景社「斜陽」との連続上演、舞台セットも共通。


 これは演劇なのか?なにが何だか訳が分からないけど、面白い。唐十郎の戯曲を読みたくなった。
 様々な身体のおもちゃ箱。観客席にまではみ出す出演者たち。


 東京デスロックではいじられ役の夏目慎也さん(なんと地元の隣町出身w)が、一番重要な役で、すごく立派な大黒柱。こんなにうまい人なんだなあ。
 
 セットのあちこちに点在する生演奏のバンドも、役者と共に弾けていい役者っぷり。


 三重県文の広い空間が似合う、妙にウキウキ楽しいアングラミュージカルでした。

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