じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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今日はこれでいいや

今日はこれでいいや

のびる

東京おかっぱちゃんハウス(東京都)

2018/09/28 (金) ~ 2018/09/30 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/26 (水) 16:00

価格2,500円

古い家屋に入居した夫婦を中心とした物語、前作同様川上弘美風味だが、より「優しい怪談」系でSF(少し不思議)と言うよりはCF(ちょっと不思議)な感覚?
そうして起こる出来事の全てを明かすのではなく観客の想像に委ねる部分もあるので解釈は人によって異なりそう。
ましてや深読み・誤読が大得意なσ(^-^)ゆえ、あれこれ想像して世界が広がる広がる……(爆)

で、「公演会場へのあて書き」、あの会場ありきの作品であり、劇場版はもちろん、他の古民家系でも上演は難しいかも。

さらに考えようによっては大林宣彦監督の「HOUSE」に通ずるところがあるのではないか???などとも考えた。

さて、次回作はどんなパターンで来るかしら?


なお、2方向に客席があるので。入場時のスタッフさんの「主宰のお奨めは奥側です」というアナウンスはありがたかった。それでも場面によっては死角があるが、そのこまやかな心遣いが嬉しい。
ちなみに死角になった部分は心眼で見た。(爆)

演劇魂

演劇魂

劇団Please Mr.Maverick

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2018/09/26 (水) ~ 2018/09/30 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/09/27 (木) 19:30

価格3,500円

「総論賛成各論反対」的に全体としてはいろいろな意味で面白かったのだが不満点とダメなトコもあったのが惜しい。

ネタバレBOX

まずは苦言。人が人に手をかけたくらいでは死にません。劇中劇の台詞にあった「あなたがギュンター様に手をかけたのですか?」は誤り。よくある間違いだが「あなたがギュンター様“を”手“に”かけたのですか?」が正しい。
こういう基本的なミスはあった途端に白けてしまう。

また、役者の演技だけで十分に盛り上がるだろう良い場面に何故センチメンタルな音楽を流して芝居の邪魔をする?
対象物を描くだけで十分ステキになりそうなのに背景もゴテゴテ描き込んで肝心の対象を霞ませてしまった絵画のよう。久しぶりにこのパターンに遭遇。

さらに個人的な印象で言えばラストは尻切れ気味。
大先輩に対する感謝や思慕の気持ちを表現したところで終幕となったが、それを活かしたことを見せるその後の稽古場面(←一例:マイムだけでも可)のエピローグが欲しかった。

さて、以降は良かったところ。

上演中の劇中劇に客席からヤジを飛ばしていた柄の悪そうな(笑)客を終演後に追及し「お前が演ってみろ」と劇団側が迫ったところ迫真の演技を披露され、主宰と演技バトルをするという冒頭シーンで「ツカミはオッケー」。
そして、ベタで暑苦しくてクドい(爆)「いわゆる熱演・力演」をする男に対し主宰は抑えた自然な演技で対抗するのかと思いきや、更なる熱演・力演で圧倒するという「文字通りのチカラ技」での解決から「名演技」を「記号化」したのだな、と感心。
そういう意味では少年ジャンプの漫画を舞台化したよう(笑)。

そうしてその男を団員とした劇団の快進撃と大手事務所の陰謀(?)などを経てのクライマックスの演劇バトル/演技バトルがまた(オーソドックスなものも含めて)イイ。

・1回戦で「ヤジ男」とその実の兄である人気俳優が演じるラーメン屋の即興劇は彼らの演劇人生の暗喩
・その後の他の参加者たちの演目を音響処理で早回しにして時間を短縮する(最初は何で音声を録音で流すのか?と思ったが理由がワカって膝を打つ)
・最終戦の即興劇で劇団との出会い(現実での冒頭シーン)を演ずる

など、巧かったなぁ。(それだけに先に挙げた点が惜しい)
父が燃えない

父が燃えない

箱庭円舞曲

浅草九劇(東京都)

2018/09/26 (水) ~ 2018/09/30 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/27 (木) 14:00

価格4,000円

火葬場の親族控室で交わされる故人の親族たちの会話劇。
箱庭円舞曲と言えばかつての職場の微妙な人間関係でギスギスしたり緊張感が漂ったり、という印象が強いが、本作は笑いも交えた親族あるある的なエピソード集がやがて……な物語で、昭和のホームドラマの最終回スペシャル(あるいは「平成の木下恵介アワー」?(笑))のような優しい味わい。家族ができた故の作品かな?とも思う。
ラストシーン(と言うよりラストカット?)も巧かったなぁ。

なお、古川さんがかつて劇団青年座に提供した「父が燃える日」(劇中時間は本作の8年前で同じ親族たちの物語)の断片が挿し挟まれるが、本編部分と境目があまりなくしかも本編と違う役を演ずる方もいるのでやや戸惑った。
当日パンフレットにその旨が記載してあったので事なきを得たが、知らずに観たらまごついたかも?

ドキュメンタリー

ドキュメンタリー

劇団チョコレートケーキ

小劇場 楽園(東京都)

2018/09/26 (水) ~ 2018/09/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/09/26 (水) 20:00

座席RD列6番

価格3,500円

濃密な85分。
リアルタイムで知ってはいたが漠然とでしか捉えていず、詳細については今回初めて知る薬害エイズ事件を題材にした「事実を元にしたフィクション」。
しかしその「陰謀」度合いがあまりにえげつなく、全くのフィクションのように感じる……と言うより全くのフィクションであって欲しいと思ってしまう。(実のところ大半が事実らしい……ガクブル)

「あること」については34年近く前も今も変わらないなぁと思ったが、考えてみると今たからそれを描くことができるのかも。

野がも

野がも

アマヤドリ

インディペンデントシアターOji(東京都)

2018/09/20 (木) ~ 2018/10/01 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/23 (日) 13:00

「古典を演るアマヤドリ」でも「アマヤドリが演る古典」でもなく「アマヤドリ」と「古典」が両立していたと言おうか拮抗していたと言おうか、アマヤドリの新たな一面を見た感覚。そして終盤の「あの場面」の空間構成が印象的。

タイトルであり劇中にもしばしば登場する野がもは、いくつかの隠喩のようだがハッキリ見極めることはできず。不注意やら何やらにより今回はフリーパスを見送ってしまったが、何回か観たら読めたかもなぁ……(後悔先に立たず)

なお、後日広田さんのライナーノーツ的ツイートを読み、本作も「映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~」に通ずるものがあったか、とビックリ。

(余談気味)
登場した拳銃はハリー・キャラハン刑事の「相棒」であるS&WのM29のような大型だったが「演劇的記号としての銃」として容認。
ただし、7発以上連射する場合にリボルバー拳銃を使うのはいくら記号だとしてもアウト。(本作がそうだったワケではない)

翼をください、を歌いたくなった日

翼をください、を歌いたくなった日

ジ~パンズ

シアター711(東京都)

2018/09/20 (木) ~ 2018/09/24 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/09/22 (土) 18:30

退職する者の送別会で同僚の部屋に集まった職場仲間のうち何人かは別の思惑があり……な1シチュエーションもの。
そうして描かれるのは職場仲間2組に加えて部屋の提供者の妹(同居)も含んだ「修羅場の将棋倒し」的連鎖。
もはやその方面には実生活で縁がないので(爆)「他人の不幸は蜜の味」にはならずとも「よくやりますなぁ」と高見の見物、ドラマとして面白かった。
また、劇中のJ-POP関連のジェネレーションギャップに「そう言えばそうなるんだな」と改めて気付き、タイトルの意味がワカるラストに納得。
あと、照明効果で時として妹の部屋の中が見える装置も舞台ならではのシカケだね。

反復と循環に付随するぼんやりの冒険

反復と循環に付随するぼんやりの冒険

演劇屋 モメラス

北千住BUoY(東京都)

2018/09/20 (木) ~ 2018/09/24 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/23 (日) 18:00

価格3,000円

前週のアムリタに引き続いての「エッセイ演劇」。スケッチの積み重ね+街頭インタビュー映像で「お金ってなんですか?」の表現に挑む。
スケッチの中では「らっことアユム」の時として哲学?な問答が好み。(らっこのファッション含む(爆))
また、序盤に登場したクレーマーが後から中学校教師だと判明したりするのはシニカル。
なお、インタビュー映像に某団体の主宰が出ていらして「あらまぁ」と思ったら、サラヴァ東京での演劇人フリマでも撮影したそうで「そういうことか」と。

12人の怒れる男

12人の怒れる男

ナイスコンプレックス

サンモールスタジオ(東京都)

2018/09/20 (木) ~ 2018/09/24 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/22 (土) 13:00

「極私的オールタイム戯曲ランキング」の上位にいれるほど好きな戯曲だけに観劇中ならびに観劇後しばらくは興奮気味。
そんな好きな作品だけに一部首を傾げる演出もあったが、過去2例の「やってはいけない」レベルではなく解釈の違いとして容認。
そして憎まれ役の3人を筆頭とした見応えたっぷりの演技合戦を堪能。
(観ながら時々「ナイゲン」が思い出されたりもして……(笑))

違和を感じたのは以下。金額を判り易くするために日本円にしたのを目立たなくするためかイマの日本のものをいくつか入れた上に12号にあの有名な歌の替歌を歌わせるのはどうも。コメディリリーフとしたのか12号の言動を軽くし過ぎて浮いてしまった感も。

また、終盤での9号の「ご気分がすぐれないのですか?」は「ああそうだ!」と何かに気付いた風ではなく控え目かつ唐突で「急に何を言い出したんだ?」と思わせて欲しかった。

一方、議論の開始前、番号順に席についたまま(戯曲にある)席替えをしないのは後で印象に残った役者が何号なのかすぐワカり当日パンフレットと参照するのに便利。
昨年の某団体も同趣向だったが、陪審員の1人が風が当たる席は辛いと申し出る部分ごとカットした分スマート。(昨年のものは要望が黙殺されてしまうのがややひっかかった)

【参考】
「12人の怒れる男」でやってはいけないと思った演出は以下の2つ(実際に観た)
1.四方囲み客席:現場見取図が観客に見えない
2.戯曲指定の箇所ではなく、劇中の休憩場面で実際の休憩を入れる:休憩前と休憩後の尺がアンバランス

四天王~エレメンタルフィクサー~

四天王~エレメンタルフィクサー~

X-QUEST

シアターサンモール(東京都)

2018/09/20 (木) ~ 2018/09/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/09/21 (金) 19:00

座席H列11番

西遊記、ピータパン、桃太郎、アラジンの世界がクロスオーバーし、ピーターパンは飛べず孫悟空は悪となっているが、これには裏があり……なアクションやダンス満載の物語はX-QUESTの真骨頂。

同じく日大藝術学部出身のTEAM空想笑年第四回公演「MonkeyMagic」(2015年8月)も西遊記と桃太郎(それにあと2つ)の世界を往き来する話で、これは「日藝脳」というものか?などと思ったり(笑)
また、この少し前に観たお茶の間ゴブリン「AmazingLost~すっごい迷子~」はアリスやかかしなど童話や児童文学の登場人物が混在している世界のハナシで、シンクロニシティ?みたいな。

オープニングの主題歌や終盤の「オズ」「幻魔」に関するものなど、どちらかと言えば駄洒落系が多かった言葉遊びだが、ところどころ野田秀樹チックなものもあったのは「やっぱり!」。

それでいてラストは泣ける。たまたまこの前日(か前々日)に知ったある映画のあらすじと重なり、相乗効果をあげたのか?

また、「鶴」の「もうひとつの意味」にはウケたし、クライマックス前に勢揃いした時のワクワク感たるや!
あと、4人の主人公を「あるもの」と重ねるのはタイトルから予測できたが、それだけでなく「あんなもの」にも重ねるというのが面白いしステキ。

ネタバレBOX

「鶴仙人」が「亀仙人」の対としてだけでなく「つる舞う形の群馬県」(←上毛かるたより)にもかかってブラック幻魔の正体=元・ブラック群馬(ローカルヒーロー系キャラ)にも繋がるとか4人の主人公が風火水土の四大元素をなぞるだけでなくATCG(塩基配列)にもかかるとか、意味を重ねるのがイイ。

劇中でアベンジャーズも喩え的に挙げられるが、むしろ戦隊もの集合の映画に近いワクワク感。クライマックス前に集結した時に名乗りまであげるんだもの。(笑)

「四天王」が「知ってるの?」や「(何)してんの?」だの(オープニング主題歌)、「OZ」が「王子」や「お爺」だの、「幻魔」と「群馬」だの、駄洒落系ボキャブラマジックも愉しい。

なお、相乗効果をあげた映画は「君に読む物語」。
明日ー1945年8月8日・長崎ー(2018年@シアターKASSAI )

明日ー1945年8月8日・長崎ー(2018年@シアターKASSAI )

演劇企画イロトリドリノハナ

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2018/09/19 (水) ~ 2018/09/24 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/21 (金) 14:00

価格3,500円

副題の通り原爆投下の前日を中心に描いた戦時中の一般市民の生活。その意味で「この世界の片隅に」も連想するが描かれるのがほぼ1日のことだけに、凝縮された感覚。
そして慶事が複数あるも翌日を知っている身にはそれが却って切ない。

また、降伏勧告ではないビラ、軍部(?)はある程度の情報を得ていたこと、「足手まとい」のことなどは本作で初めて知り、戦争の恐ろしさを改めて認識。

あと、セオリー通りあるいは教科書通りではあったが、ラストシーンの表現も見事。

チキン南蛮の夜

チキン南蛮の夜

くによし組

ギャラリーしあん(東京都)

2018/09/19 (水) ~ 2018/09/20 (木)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/09/20 (木) 13:00

価格2,500円

チキン南蛮にされるべく殺された鶏ではなく「チキン南蛮そのもの」の霊(しかも言葉まで喋る)という突拍子もなくブッ跳んだ奇想天外な発想がナンセンスで愉しい。もはや隠喩とかそんなレベルではないよね。(爆)
そして身体と心が入れ替わったり憑依したりという状況の場合、入れ替わり/憑依後にどれだけ入れ替わった/憑依した相手を表現できるかがポイントになるが、本作は各人それぞれチキン南蛮(の地縛霊)をよくコピー(笑)できていたと思う。
ところで続編「なめろうの夜」はあるのだろうか?(笑)

the rat 13-11

the rat 13-11

キコ qui-co.

駅前劇場(東京都)

2018/09/13 (木) ~ 2018/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/17 (月)

価格3,300円

「ラット11」
ラット13の11年後の世界ゆえ「アレがそうなったのね」はもちろん、最近観た2本の芝居とのシンクロニシティもあって楽しめた。
しかしアレを「ロストテクノロジー」なんて言うからどんだけ未来かと思ったら2031年だったとは。(笑)
で、「ロボットに感情は芽生えるか?」というのはSFの古典的命題だが、それを恋愛に特化して「AIに恋はできるか」にして人間味を濃くしたのはいかにもキコ qui-co.

なお、この前夜に観たアムリタ「虚構の恋愛論」と通ずるモノもアリ。

【勝手にキャッチコピー】人肌の温もりもあるSF > キコ qui-co.「the rat 13-11」

the rat 13-11

the rat 13-11

キコ qui-co.

駅前劇場(東京都)

2018/09/13 (木) ~ 2018/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/17 (月) 12:00

価格3,300円

「ラット13」(千穐楽)
初演のザムザ阿佐谷は内装の古木が独特な味わいを醸し出していることもあり、「SF」というよりは寓話的だったのに対して今回は「スタイリッシュな(笑)」美術が近未来SFらしさを醸し出す。
で、初演よりも整理された分、初演時の解釈は誤っていた疑惑が浮上。(笑) いや、詳細は記憶の外なのだが。(爆)

虚構の恋愛論(2018)

虚構の恋愛論(2018)

アムリタ

北千住BUoY(東京都)

2018/09/15 (土) ~ 2018/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/16 (日) 19:00

価格3,000円

恋って何?な疑問を持ち始めた小6女子の姿を中心に、ありがちでベタな恋のスケッチなども挟みつつ「恋とはどういうものかしら?」を表現しようとしたエッセイ演劇。
コドモの頃に似たような経験があるため小学生パートが懐かしく身近に感じた。また、完全暗転を活用してセミの幼虫時代を描いたのも巧い。
あと、L字型客席について、どのあたりがどうオススメかの図解を藤原さんがTwitterにアップして下さったのはありがたく、位置選択に大変役立った。

『Amazing Lost 』

『Amazing Lost 』

お茶の間ゴブリン

d-倉庫(東京都)

2018/09/13 (木) ~ 2018/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/16 (日) 14:00

価格3,900円

児童文学やお伽噺の登場人物たちが混在する世界で目覚めた主人公、さて、ここは?な物語。
主人公は何かから逃避しているのか?と思って観ていたらある意味当たりで好きなパターン。
また、その世界の住民たちは実は……というのは何回か観たことがあるが好きなヤツ。(笑)
なお、ちょっと切ない真相がこの前日に観た那波マオ原作・英勉監督「3D彼女 リアルガール」の裏返し、と言うか逆視点のようで「ありゃまぁ」みたいな。
あと、「いかにもそのキャラクター」な衣装と無駄に動きのイイ(笑)郵便屋さんが印象的。

上空に光る

上空に光る

やしゃご

アトリエ春風舎(東京都)

2018/09/13 (木) ~ 2018/09/24 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/14 (金) 19:30

価格2,500円

岩手県大槌町の民宿を舞台にした「被災地のイマ」の物語。
東日本大震災から7年が経ち変わった部分とその変わり方や癒えない傷、消えない哀しみなどをユーモアや「ちょっと不思議」も交えて描いて、もちろん芝居であるがドキュメンタリー的な味わいも入り混じり疑似体験をしているような感覚にとらわれる。
で、結果的に「楽しんだ」のではなく「学んだ」という感じ。

寒花

寒花

ハツビロコウ

シアターシャイン(東京都)

2018/09/11 (火) ~ 2018/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/13 (木) 19:00

価格3,000円

監獄が舞台ということで、黒一色の会場舞台を活かしテーブルと椅子、それに房などを表現する小さな柵(?)だけというシンプルな美術が硬派で男くさい味わいと相乗効果をあげていたと思う。(奇しくも全く傾向の異なるGORE GORE GIRLS「ステイ・ヤングと言われても」も柵以外はほぼ同じというシンクロニシティもあり)
また、シンプルな美術ゆえ芝居への集中力も高まろうというもの。「ソリッドな芝居」を堪能。

ネタバレBOX

伊藤博文暗殺犯である安重根の手記を新約聖書のキリストになぞらえたという解釈も面白い。
死旗

死旗

鵺的(ぬえてき)

ザ・スズナリ(東京都)

2018/09/12 (水) ~ 2018/09/18 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/12 (水) 19:30

座席G列4番

価格4,500円

開演前、仄暗い中に微かに見える舞台美術を「簡易版・桟敷童子?」と思ったが、開演して照明が入るとますますその印象は強まり、しかも台詞の一部は九州訛りのようだし、しかし内容はもっとダークかつ不道徳だし……ということで浮かんだ【勝手にキャッチコピー】は「ダークでインモラルな桟敷童子」(笑)

また、ある漫画家の作風を漠然と連想したり、特定の漫画家の作風ということではなく一般的な文字通りの「マンガチック」で無茶あるいは笑える部分があったり、(劇中でも触れているが)某有名小説的な部分があったり、往年の日本の怪獣映画を思わせる部分があったり(私見)、全体的に「見世物小屋の胡散臭さ」が漂っていたりでまさにカオス(爆)
そんなことから浮かんだもう一つの【勝手にキャッチコピー】は「暗黒神話、もしくは漆黒のジェネシス」。

誤解を恐れず本音を言うなら(最終的な落としどころはともかく、そこに至るまでは)どちらかと言えば好みではないタイプでありながらも面白く……と言うか固唾を呑んで見入るほど引き込まれたのは芝居のチカラというモノか。

あと、他団体に所属していて客演している女優さんがたは川添さん、夕沈さんを筆頭にそれぞれ所属団体の持ち味・個性を存分に発揮していたと思う。まさしくキャスティングの妙。

ネタバレBOX

全体の不気味でおどろおどろしい雰囲気や新たな人類の登場ということに諸星大二郎を連想。
また、生まれた赤子が這い出て残美を認識するまでの流れに昭和の怪獣映画に通ずるものを感じた。高木さんも怪獣映画が大好きなようなので意識せずともにじみ出たのではあるまいか?(笑)

序盤でチセが銃口を自分の頭に向けた時に「だってもう撃ちつくして残弾はないでしょ」と思ったのは「ダーティハリー(1作目)」のせいでほぼ無意識的に発射弾数を数えていたから……(爆)
ロックでもない人生

ロックでもない人生

制作「山口ちはる」プロデュース

下北沢 スターダスト(東京都)

2018/09/12 (水) ~ 2018/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/12 (水) 14:00

価格2,700円

【倉本ver.】
ある喫茶店で起きた「ちょっとした事件」を居合わせた定連客の女性作家が中心となり解き明かすコメディタッチの推理もの……ということで倉本さんらしからぬと思いながら観ていたが、話が進むにつれて供述の中からそれぞれの生活(人生?)が浮かびあがってくるのはやはり倉本作品っぽいかな、と。

ステイ・ヤングとか言われても

ステイ・ヤングとか言われても

GORE GORE GIRLS

シアター711(東京都)

2018/09/11 (火) ~ 2018/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/11 (火) 19:30

価格2,800円

川柳の名人を慕って若き川柳家が集って住むアパートに新たな入居者が加わって間もない日、名人が筆を折ると言い出し……な物語。

とあるネタでツカミはオッケー、やがて始まるは川柳界の内実。演劇表現のお約束を逆手にとったトリックを経ての川柳対決の見事なこと! 結構大事な事を言っていながら……なオチも巧い。
さらに川柳をはく場面や対決場面など要所要所の特徴的な照明もイイ。

ネタバレBOX

出だしですべての部屋が事故物件で……というのはコメディのツカミとしてよくできているだけでなく、美咲の存在いついてのミスリードにもなっているのが上手い。
ちなみに舞台上の人物の存在に主人公(とあと1人)しか気付かないのは「霊」の演劇表現というのはお約束だが、それを逆手にとって実は全員に見えているがシカト/無視しているだけだった、という手口は数年前に一度見て以来二度目。これも巧い。

あと、実際には川柳をはかないが、それを感じ取ってしまうというクライマックスの対決場面で、気付くと王将が無かった(互いに先を読みすぎてちょっとした誤算から間違って王を取っていたことに双方気付かなかった)将棋の名人戦や、「七人の侍」で勘兵衛が仕掛けた罠に気付いた五郎兵衛が「ご冗談を」と破顔一笑する場面などを連想。

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