
ヒットパレード・スペシャル
tea for two
劇場MOMO(東京都)
2009/12/22 (火) ~ 2009/12/27 (日)公演終了
満足度★★★★
Aプログラム
台詞はすべて心の声で、相手には聞こえないどころか表情や動作がまったく違う受け取られ方になって笑わせる「タッチ」はともかく、2編目以降は「優位性の逆転」が隠しテーマ?などと思ったのは深読みか?
「重き荷を負いて」は終盤で思わぬ展開が2段構えで待っており、「天体観測」では結局兄の方が上手…と言うか妹が釈迦の掌の上の悟空のようにも思えてくる。
「桜坂」は隠しテーマ(なのか?)もさることながら、当日パンフの「言い訳」(笑)に大いに納得。あのザラつきはそういうことからなのか…みたいな?

ヒットパレード・スペシャル
tea for two
劇場MOMO(東京都)
2009/12/22 (火) ~ 2009/12/27 (日)公演終了
満足度★★★★
Bプログラム
クライマックスでドサクサ紛れに判明する “相談したいこと” の内容でドッと笑わせる「待つわ」、出オチ的なものも含み全編笑いの「TAIN-TRAIN」に続く「大阪で生まれた女」も営業会議(?)の様子で笑わせるのでBプログラムはコメディ編か?と思っていたら、面白うてやがて哀しき…という展開で、しかし力強く立ち直るというのはイイ。
さらに構成が独特にして抜群な「サイレント・イヴ」で締めくくる構成は前菜やスープなどが出されてメインディッシュに至るコース料理の如し。

ヒットパレード・スペシャル
tea for two
劇場MOMO(東京都)
2009/12/22 (火) ~ 2009/12/27 (日)公演終了
満足度★★★★
Cプログラム
出勤前のサラリーマンを描いた一人芝居「サムライ」、だらしない男とひたすら尽くす女性の「守ってあげたい」という(部分的に)身につまされたりもする(爆)「ダメ男見本市」的な前半、夫婦ではない男女芸人コンビの解散ステージ後、女性の切ない想いがしみる「横恋慕」、クリスマスイブの “小さな奇蹟” に心温まる「すてきなホリディ」という後半の対比が鮮やか。
また、「すてきな…」は回想場面への切り替えとその見せ方も巧い。(とか言って最初はちょっと戸惑ったのだが…(笑))

オサムシ
バジリコFバジオ
駅前劇場(東京都)
2009/12/25 (金) ~ 2009/12/29 (火)公演終了
満足度★★★
裏手塚治虫史
同じく手塚治虫を題材としたLast Brandの『明日のアトム』(08年1月)とはアプローチが全く異なり手塚だけでなく他のマンガ家も3人くらいフィーチャーされるし、内容としては「八割くらいはデタラメ」(←当日パンフより)な「裏手塚治虫史」だし、と対照的なのである意味で対になっており、両方観ると手塚治虫像がより立体的に浮かび上がる、みたいな?
手塚マンガのキャラを「欽ちゃんの仮装大賞か!(笑)」な扮装や人形で登場させたり、同時期(ったって幅が広いが)のマンガやマンガ家のネタが満載だったりもして、おそらく大半がワカった身としてかなりウケる。

椅子
ZORA
イワト劇場(東京都)
2009/12/25 (金) ~ 2009/12/26 (土)公演終了
満足度★★★★
舞台を軍艦島に設定
廃墟のような部屋(加藤ちかによる美術がステキ)で暮らしているらしき老夫婦の会話(←いかにもイヨネスコ(笑))が続き、やがてその部屋には次々と客が訪れ…な物語。
客が増える度に椅子(の代用となるもの)を出しては会話をするが、その「客」は観客には見えず、「もしかすると彼らにしか見えないナニカでは?」と思っていたところに「弁士」(←冒頭から会話には出ていた)が現れて、老夫婦がいる舞台両側の照明が青白いものとなり、普通の照明の中の弁士とその娘が花束を持っている(そういえば弁士は喪服なのだった←花束の後に気付いた)ことでやっと老夫婦の素状が判明するのが舞台表現ならではで面白い。
また、老夫婦と弁士親子が同時に登場しているシーンも、時間的に同時なのかあるいは過去と現在をオーバーラップさせているのか、どちらにもとれるというのも巧い。
さらに終演後に関係者から舞台を軍艦島に設定した翻案であると聞き大いに納得。

音もなく しぐれ降る 晩秋にて 候
プロペラ☆サーカス
d-倉庫(東京都)
2009/12/23 (水) ~ 2009/12/27 (日)公演終了
満足度★★★
「信長史」を2時間弱に圧縮したのはアッパレ
織田信長を中心とした戦国絵巻、2~3役を演じる役者が複数いたり、秀吉が太閤になってからのシーンが時折差し挟まれたりするので、その頃の歴史についてアバウトにしか知らず登場人物の親族・姻戚関係にも疎い身(爆)としてはついて行くのが大変ではあったが「信長史」を大河ドラマの総集編よろしく(笑)2時間弱に圧縮したのはアッパレ。
また、幼少時のホトトギスにまつわるエピソード(創作と思われるが見事)&前田利家が部下となるシーンという冒頭を再現して終わるのがイイ感じ。

108本のびんといくつものため息
空鼎鬧
劇場HOPE(東京都)
2009/12/23 (水) ~ 2009/12/27 (日)公演終了
満足度★★★
Cプログラムのみ観劇
A・B・Cそれぞれ異なった3つの短篇を1つの共通のストーリーを合間に挟んで見せる(=全部で10話)という企画、最初にチラシを見た時に単なるトリプルキャストと思いこんでしまい、3バージョンあると知った時にはすでに他のコマがすべてふさがっており…というのが残念。
1編目の「シャンメリー」は不倫もので男の妻まで登場するのにドロドロとかそういった感じがあまりしないのが不思議。
続く2編目の「メッセージ・イン・ザ・ボトル」は「不幸のボトル通信(これと同じ文章を30本のボトルに入れて流さないと…)」や「高校のボトル通信同好会」などという発想が楽しい。
3編目、「香水びん」は切ないオンナゴコロとちりばめられた映画ネタが好みだし、「みか」につけられた「メカちゃん」というニックネームも愉快。
また、大谷なおりに津留崎夏子に似たたたずまいを感じたりもして。
がしかし、それらをつなぐ(←内容的に、ということではなくあくまで構成上)「アバンストーリー」はいくつかツッコミどころが…。
まず、ボウフラを養殖(?)するハナシは単なる振りにとどまり、帰結しないのが半端な印象。
また、演奏後はみんなで飛び降りるとか言っていたのはどうしたの?な感なきにしも非ず。
そもそも先立つだけではないので「アバン」じゃないじゃん!(笑)
…とはいえ、びんの演奏(時節柄曲目はやっぱり「Happy X'mas (War is Over)」だ)がステキだったので「終わり良ければすべて良し」かも…。

タマリ
劇団K助
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2009/12/22 (火) ~ 2009/12/27 (日)公演終了
満足度★★★★
変形バックステージコメディ
年末恒例の「あの人は今?」的特番に出演するかつて人気を博した役者や歌手、芸人たちが集まっている控室(=溜り=タマリ)に銃を持った覆面の男が押し入って…という状況から始まる物語。
しかし覆面の男が実は仕込みというドッキリ企画だったのにアッサリそれがバレてしまい、窮地に陥ったディレクターがドッキリにひっかかった演技をするやらせをもちかけ…といういわば変形バックステージコメディ、そのテが好きな身としてはタマラン。
しかも基本的にはコメディでありながら、かつてCMの「こども船長」(笑)でブレイクして12歳で(!)劇団を立ち上げ作・演出もこなしたものの現在はなかずとばずで辞めることを考えていた俳優を筆頭とした「どん底」な面々が「現状からだったらいくらでも立ち直ることができる」とポジティブになる終盤は感動的だし、存在感が薄く唯一見せ場がなかった「おワン子クラブ」(笑)出身のアイドルにスポットが当たる締め方もイイし、序盤でホワイトボードに書いておいた「盛り上がる要素」が最終的にすべて揃うというのは巧い。

冬のジャンゴフェスタ2009
劇団S.W.A.T!
「劇」小劇場(東京都)
2009/12/09 (水) ~ 2009/12/27 (日)公演終了
満足度★★★★
完結編に相応しい仕上がり(III)
まずはジャンゴよりも先にシンゴが登場するという掟破りな始まり方をし、しかしそれ以降は前2作での「お約束」をキチンと踏襲しながらも「シリーズ最大の敵」「ピンチに陥った主人公に力を貸すかつてのライバル」などの新要素を加えて完結編に相応しい仕上がり。
甘えに起因する疎ましさ(「姉や妹なんていなくなっちゃえばいいのに」)を上回る姉妹愛や、シリーズ共通の「自分はどうなってもいいからあの人を助けて」な場面で泣かせるのもやはり巧い。
また、天使に左手を切り落とされてギターを弾くことができないサダエルに、ヒロインの妹でパンクバンドをやっている花穂が「アタシがアンタの左手になるよ」と連弾(?)するのは愉快。高石ともやとナターシャ・セブンの「5人ばやし」(5人が4つの楽器を使い、自分の右隣の相手の楽器のフレットを押さえて自分の楽器の弦を爪弾く)を思い出したりもして。

パッチギ!
フジテレビジョン
新国立劇場 中劇場(東京都)
2009/12/04 (金) ~ 2009/12/23 (水)公演終了
満足度★★★★
8,000円の元は十分に取れた
たとえばキョンジャがブラスバンド部ではないなどちょっとした設定の違いはありつつ、原作である映画と同じ羽原大介の脚本(&井筒和幸の総監修)なので、映画が大のお気に入りである身にとっても文句ナシ。
第1幕のクライマックスとなるアンソンの送別会での「リンジンガン」(映画では日本語詞だったようだがこちらは原語)はやはり泣けたし、その前に女優陣による朝鮮舞踊を入れた演出も○。
第2幕では、映画でカットを重ねて見せた通夜・日朝決戦大喧嘩・出産・ラジオ出演と4つの出来事が重なるクライマックスをどうするんだろう?と思っていたら、やはり舞台ならではの表現で見せてくれてこちらも◎。
また、浅見れいなが楊原京子の役どころにつき出番が少なかった代わりに真木よう子の役どころであるちすんの出番が多かったのでトントンってところ?
ほかにキャスト関連では渡辺哲や小市慢太郎、峯村リエなんてあたりがさすがな味を出しているほか、昭和芸能舎メンバーも的確なサポート。
「映画ではどうだったっけ?」な部分もある一方、カット割まで含めて鮮明に覚えているシーンもあり、そんな「記憶の虫干し」もできたし、S席8,000円というのはフトコロへの少なからぬ打撃ではあったものの「やっぱり6,500円のA席で十分だった」なんてことはなく、むしろ元は十分に取れた、的な。

男舞~オトコマイ~
MENSOUL PROJECT
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2009/12/17 (木) ~ 2009/12/28 (月)公演終了
満足度★★★★
極道×HIPHOP
優勝すれば芸能界デビューというダンスコンテストに出場する一人娘の芸能界入りを心配する組長が、その優勝を阻止するべく組員を率いてコンテストに出場しようとするが…な物語。
極道×HIPHOPというミスマッチなものを、リアリティはともかく(笑)芝居のウソとして十分に成立させているばかりでなく、コメディ要素や親子ネタまでバランス良く取り入れて見事。
その「極道」についても「美学」と「コワい部分」を共に描いており、しかも極道関連の面々がメイクのためもあってかいかにもいそうな感じで…(笑)
親子ネタに関しては「私が踊っているところなんて見たことないくせに」から「踊ってみる?」を経ての「ドック・オブ・ザ・ベイ」で涙をこらえきれず、ってか「ベッドを抜け出して…」のあたりからすでにヤバかったし…やはりソレが弱点なσ(^-^) なのであった。

protest
劇団熱血天使
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2009/12/18 (金) ~ 2009/12/22 (火)公演終了
満足度★★★★
やるなぁ、ワカモノ!
若き日のオリバー・クロムウェルが、師であるビヤード牧師の逮捕と死によって失意の底に沈み、そこから立ち直るまでを描いた歴史系。
クロムウェル(とその妻)を紀元前のギリシアを民主化に導いたクレイステネス(とその妻)の転生とし、かつてのギリシアの巫女(転生というよりは霊的なナニカになった本人か?)が彼らを導くという「裏歴史」的な発想が面白い上に、クレステイネスに「知らない国の若者になっている夢を見た」などと言わせて「胡蝶の夢」にしたエピローグにツボを突かれる。
しかもこのエピローグ、プロローグでギリシアの良い巫女と悪い巫女(笑)のエピソードを見せているので対になっているワケで…。
なんでも作・演出はまだ大学在学中の21歳(!)とのことで、「やるなぁ、ワカモノ!」みたいな…(笑)

おぼろ
ゲキバカ
吉祥寺シアター(東京都)
2009/12/16 (水) ~ 2009/12/23 (水)公演終了
満足度★★★★
コメディ風味の娯楽時代劇
お披露目公演ということで、本編の前に劇団員(=主宰と7人の男優)による口上と自己紹介があり、それと続いての吉田兄弟(だよね)の曲に乗せたオープニングダンスとでハートを鷲掴みにされる。
以降の本編は比較的基本に忠実な義賊ものに「500年後から来た双子」などというトンデモ系(笑)の要素を加えたコメディ風味の娯楽時代劇で、ZABADAKや上々颱風、スウィングジャズも使う選曲や台詞にさり気なく織り込まれた歌詞(「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ…POISON」とか)にツボを突かれる。
また、観ながら「そう言えば『カゴツルベ』もここで観たんだっけ…」などと思っていたら、終盤でパなく降りしきる雪が共通だったという。
共通と言えば
1.からくり人形(あるいはからくり人間)が登場する時代劇
2.吉祥寺で上演
3.終盤で雪が降る
の3点が数日前に前進座劇場で観たものとカブっており…(@_@)

幸福な王子
yOsuka
遊空間がざびぃ(東京都)
2009/12/19 (土) ~ 2009/12/23 (水)公演終了
満足度★★★★
“主題と変奏曲” 的スタイル
オスカー・ワイルドのあの有名童話を楽園王+の長堀博士の作・演出でという企画、ちょっとしたプロローグの後に展開されるのは思いの外原作に忠実なストーリーで少なからず驚いていたら、続いて上演された「シンクロ」(←第2章と当日パンフに銘打たれている)が「幸福の…」をベースにしたオリジナルストーリーなので「あぁ、“主題と変奏曲” 的なスタイルなのね」と納得。
で、キモの部分だけ覚えていた原作を「あぁ、そうだった」と懐かしく思い出すとともに当日パンフに感化されたのか「確かにワカラン」な感も…(笑)
また、王子からの「贈り物」を届けることで他人の幸福を目の当たりにし、おそらくはそれを我がことのように感じながら最後に力尽きるツバメにちょっとだけ「マッチ売りの少女」(←not 別役作品)を連想。
あと、「シンクロ」が実は原典の中で王子が「贈り物」をする先の1つを描いたスピンアウト(とはちょっと違うか?)作品であることが最後に判明するというのは巧い。
なお、奇しくも対面式客席で車椅子に乗った人物が出て来るというのが前々日に観たものとカブる。ホントに今年はカブりが多いこと…(って、前々日の車椅子は予定外なモノなんだが(笑))

西遊記前戯
スキマニ
ブディストホール(東京都)
2009/12/18 (金) ~ 2009/12/23 (水)公演終了
満足度★★★★
妖怪・化け物DAYその2
ダークな「リアルタイプ西遊記」、σ(^-^) の知っている門肇作品は SPIRAL MOON への脚本(多数)、パーマ企画での作・演出(2作)、映画『隣人13号』の脚本、とそれぞれテイストが異なっており、今回は「強いて言えば」の限定条件で『隣人…』に近い感覚か。
石から生まれたがあまりの悪行ぶりに釈迦によって封印された孫悟空が、500年後にその封印を解いた玄奘三蔵に同行することになり、猪八戒や沙悟浄と出会い「3人のお伴」が揃うまでを描いたもので、悟空、八戒、悟浄を「化け物」として扱っている(あるいは彼らの化け物としての面を強調している)のが新しい。
また、白塗りや隈取りという見た目だけでなく、台詞回しや感情表現などにも歌舞伎&アングラのテイストをたっぷり感じる。
で、歌舞伎ってば今でこそ伝統芸能という格調高いもののような扱いだけれど、発祥の頃は思いっ切りアングラだったワケで、そんなことに気付いたりもできて楽しからずや。
もちろん京劇っぽい雰囲気もあるし、「ちゃっぱ」のような、あるいは韓国シンバルのような打楽器も使うので東洋系無国籍な感じか?(はたまた上々颱風チックとか?(笑))
さらに悟空のアタマの輪っかがキリストがゴルゴダの丘へ向かう途中にかぶせられた棘の冠のようなデザインなのも面白い。(「確かに痛そう」ってコトだけではなく(笑))
他に、内容的には悟空の息子が見た目は石ながら実は生きていて仏の道に帰依した者だけがその声を聞くことができるなんて設定、表現的には「釈迦の掌」関連でそれぞれの指を役者が演ずるなんて手法が印象に残る。

天河鈴の妖霊病症録 鬼の巻
Office《RELAX》
六行会ホール(東京都)
2009/12/16 (水) ~ 2009/12/20 (日)公演終了
満足度★★★
妖怪・化け物DAYその1
人間界で思い悩み行き場の無くなった心あるいは魂が妖怪たちの世界に迷い込み、そこで妖精・天河鈴たちによって癒される(?)という世界観の物語。
和洋折衷というか、日本と西洋の妖怪(あるいはモンスター)が同居した妖怪世界ではそれぞれキャラが活かされているものの、バンシーの元ネタを知らなかったのがちょっとクヤしい。
一方、人の心に巣食うモノが人を鬼に変える、というあたりは民俗学的な部分も含めて大いに納得と言おうか共感と言おうか…。またその角のデザイン・造形もステキ。

モンキー・チョップ・ブルックナー!!
アマヤドリ
シアタートラム(東京都)
2009/12/15 (火) ~ 2009/12/23 (水)公演終了
満足度★★★
ヤられたぁ!
「監禁」と「3人」と「あるスポーツ」に関する物語。
比較的静かに始まってだんだん物語が加速するというか広がるというか大きくなり、やがて沈静化して終わるのは線香花火みたいだな、と思いながら観ていたが、出発点に戻るラストから、じゃあジェットコースターか?みたいな。(笑)
がしかし、同じ状況ながら立場が変わっているというのは誰しもどちらの立場にもなり得るというコトか。時間もののSFにもあるパターンだが、ここでそれを使いますか、と言うか「ヤられたぁ!」な感じが心地好い。
また、クミコを3人がかり(?)で演じていたのはそういうことか、なんて深読みもしたりして。

FUTURE
ブラジル
駅前劇場(東京都)
2009/12/16 (水) ~ 2009/12/21 (月)公演終了
満足度★★★★
騙される快感に酔う
舞台上、左右対称に(しかし90°くらいの角度をもって)位置する安アパートの2つの部屋で繰り広げられる振り込め詐欺をする女と1億円を拾った男のストーリー、コメディタッチで始まりながらも次第に「ヤバめ」な空気も漂い、2つのストーリーの関連は何か?という疑問の回答は最後に明かされるというスタイル。
最初は同じアパートの隣か向かい合わせの部屋での同時期のことかと思わせておきながら終盤で時期が異なることを示唆し、さらにそのスパンがかなり大きいことを明かす終わり方が鮮やか。
そこまでに観客にミスリードさせるあるいは観客をミスリードする要素をさり気なく織り込んで煙に巻くのがお見事。
σ(^-^) なんざそれぞれの部屋の 男女が元夫婦であるとすっかり騙されており…ってか、おナカマは少なからずいることでしょう。
とはいえ、時期がそんなにも違うのに両方に登場する人物が同じ顔で出て来るのは反則気味では?(笑)
終盤の「オバサン」発言だってその時は「へ?」で、その後真相が明かされてやっと「それで “オバサン” だったのね」とわかるくらいで。
とかなんとか言いつつも騙される快感と言おうか、最後に「あぁ、そうだったのかぁ!」と気付く快感と言おうか、そういったものを満喫。

FUNNY ALIEN’S SHOW
YANKEE STADIUM 20XX
アイピット目白(東京都)
2009/12/17 (木) ~ 2009/12/17 (木)公演終了
満足度★★★★
「宇宙語」fだけなのにステージにひきつける
前年のクリスマス公演『チョコとおかしな宇宙人』に登場した宇宙人たちによるパフォーマンス&連作コント(?)集。
まず超技巧的なジャグリングを見せてツカミはオッケー、その後は得意の(笑)客いじり(しかも拡張スペシャルバージョンだ)や観客全員参加型のパフォーマンスが中心の前半と、休憩(10分)を挟んでパピプペポ星の日常(通勤電車や子供たち)をオムニバスコント風に見せる後という構成も良くて時間の経つのがアッと言う間。
ま、休憩込みで130分という上演時間が通常の公演と比べるとかなり短め(!)だったこともあるが…(笑)
それにしてもステージに上げる客の選択が的確。イヤがらないどころかちゃんと個性を発揮できるような人物を選んでいるのはさすが。
また、上演中の日本語はカーテンコールの最後の一言だけであとはすべて「宇宙語」(笑)なのに、観客をずっとステージにひきつけているのもスゴい。

エンジェル・イヤーズ・ストーリー
演劇集団キャラメルボックス
サンシャイン劇場(東京都)
2009/11/28 (土) ~ 2009/12/25 (金)公演終了
満足度★★★★
なるほど「天使の耳」
事故により「ある能力」が身についてしまった主人公の数日間を描いた物語、ここ何年かオリジナルの新作が不調(私見)なばかりでなく、原作ものですら時々首をかしげてしまうような出来だったりする中、新作として久々のクリーンヒット、な感じ。
その「身についてしまった」能力はなるほど「天使の耳」、ヴィム・ヴェンダース監督の『ベルリン 天使の詩』に登場する天使の如く他人の心の声が聞こえてしまうというもの。(逆『嵐になるまで…』とも言えるか?)
そんな設定のもと、仕事が忙しくて家族にあまり目をむけることができなかった(あるいは「仕事に逃げていた」)父親(とその変容)を語り、終盤では『嵐…』や『さよならノーチラス号』のように犯罪も絡めてサスペンス要素も盛り込んだストーリー、語り口が巧みなことも加わってひきつけられる。
「心の声」を他の役を(も?)演じている別の役者が白いものを身につけて語るという演出がナイス。最初こそ「なんでもう1人いるんだ?」と戸惑ったが、すぐにわかって心の中で拍手喝采。
そればかりでなく、メインとなる部分はすべてが終わった後に主人公が部下たちに語る内容というスタイルで、劇中の「現在」と「回想」のクロスのさせ方も○。
さらに、本棚の本をあんな風に作ってラストシーン(だけ)で効果をあげるというのもゼイタク。