月の剥がれる
アマヤドリ
座・高円寺1(東京都)
2013/03/04 (月) ~ 2013/03/10 (日)公演終了
満足度★★★★
なんだろう
面白かったし、面白くなかったし、かなりグワッと掴まれたし、全然ピンとこなかった。
好きか嫌いかで言ったら、断然好き、だと思う。
普遍的で新鮮な「絶望」、と「いのり」が舞台に満ちる美しいラストシーンに、強く胸が締め付けられた。
2時間15分の長さは全く感じず、この語り口でならあと1時間くらい余裕だったし、その分ちゃんと「決定的な大事件」の辺りとか、各キャラクターのターニングポイント的なものとか、諸々いろいろ書きこんで来てほしかったなあ、と。
今回の脚本、ひょっとこ乱舞大爆破公演の『うれしい悲鳴』でもそうだったけど、ひとつの作品にとんでもない「圧」を持った流れがいろんなベクトルで存在しちゃってて、作家がそれを作品内で処理し切れてない、って感じ。
つまりイコールそれは「失敗作」ってことになっちゃうんだろうけど、でもそういうギリギリなラインでの「賭け」「勝負」があるようなところにこそ、圧倒的な「なにか」が生まれうる、そんな可能性があるんじゃないかとも思う。
そんなある意味でとっちらかった(?)脚本を一つの作品として舞台上で成立させた、演出、役者陣はさすがだなあ。
この劇団、次回公演はまたどう来るか、楽しみ。
・・・そういえば。
毎度使用する音楽にセンスが光るひょっとこ乱舞→アマヤドリ、この作品でもエンディングで流れていたプログレッシブロック調の音楽がとても印象に残った。
オリジナルなのか、既存の曲なのか、既存の曲なら誰のなんという曲なのか、誰かご存知でしたら教えていただけると嬉しいです。
アドバタイズドタイラント【ご来場ありがとうございました!!】
The end of company ジエン社
d-倉庫(東京都)
2012/01/19 (木) ~ 2012/01/22 (日)公演終了
満足度★★★★
本公演は初めて観ました
芸劇eyesで上演した作品の、時間を経たうえでの語り直し的な作品。
アレを観たときほどの衝撃はなかったし、やや冗長に思える部分もなかったわけじゃないし、ピンとこない部分もあったりするわけだけども、それでも十分に、十二分に見ごたえのある作品。
疲れたけど、面白かった。限りなく☆5に近い☆4。
役者さんの身体表現の的確さも好印象。
この方法論での本公演は初めてだったとのことですが、次回作でどのように進化しているのかが、今から楽しみです。
・・・って次回公演は11月か、時間結構空いちゃうなあ。F/T、受かりますように。
『うそつき』/『屋上庭園』/『千両みかん』
アマヤドリ
スタジオ空洞(東京都)
2013/06/26 (水) ~ 2013/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★
6/26『うそつき』
梅雨らしい天候の下、まさに雨天決行のアマヤドリだった今回の初日。
アマヤドリの役者力とスタジオ空洞の空間力と、お互いの化学変化的なモノが面白くていろいろ満足。
結構な至近距離で、この劇団の魅力たる身体表現の繊細さを味わえるのはうれしい限り。
あと同じ脚本の舞台を4月にも観てる分、二回目だと最後の落ちへの伏線が沢山で、「こうつながってたのか~」みたいな気付きとか「こここう広がってくのか~」みたいな発見とか、そういう面白さもあり。
会場の都合上、役者と観客の出入り口が同じで、遅れてきた人が入ってくるたびに集中力が殺がれちゃうのは、しょうがないとはいえちょっと残念だったなあ、と。
ただそういう設備的な限界的なものも含めて、雨天決行っつーこの企画、この先も結構面白くなりそうで期待できるかも、とも。
もう一方のプログラムも行こうかどうしようか。
Hedda
演劇集団 砂地
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2013/09/11 (水) ~ 2013/09/18 (水)公演終了
満足度★★★★
イプセンの原作は未読
薄暗い中で繰り広げられる「できる」役者の攻防。
面白くはあったけど、プラットホーム状のセットの意味や、今なんで「これ」なんだろう?ってのはあんまピンと来なかったかも。
小瀧さん、ガチで顔から出血してたように見えたけど、大丈夫だったのかな・・・?
ドン・カルロ
新国立劇場
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2014/11/27 (木) ~ 2014/12/09 (火)公演終了
うれしい悲鳴
アマヤドリ
吉祥寺シアター(東京都)
2012/03/03 (土) ~ 2012/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★
やや不完全燃焼?でも面白い
全部の要素が奇跡のように絡まりながら光っていた前作と比べ、今作では政治劇的な部分がうまくはまっていない、混ざり合えていないような印象があって残念。
世界がぐっと収斂していく「(自分の思う)ひょっとこ乱舞の魅力」的な部分が薄く、とっちらかったまま終わってしまったのも期待とは外れてしまったかなあと。
ちょっと長かったんじゃないか?な気もしたし。
ただ。
その「とっちらかってる」さまこそが、とても美しい作品だったのではないか、とも思う。
ラストシーンの「東京」の景色についてのモノローグは、ポリフォニックなさまざまな要素を、その不揃いなベクトルそのままに包み込むスケールの大きさを感じさせて印象的。
中盤の「感覚」「呼吸」についてのモノローグも印象的。
広田さんは毎回毎回素敵な台詞書いてくるなあ。
しかしまあ何はともあれ、ひょっとこ乱舞って集団はすごいなあということも再確認。
役者一人一人の身体が空間的な説得力をしっかり持ってるせいか、広さを持て余しがちな吉祥寺シアターの空間が今作では狭く感じてしまった。
ゲストさんだと、倉田さん西川さんは前回に引き続き大活躍。青☆組の荒井志郎さんも面白い。柿の永島さんはもうちょっと目立つ役でもよかったのではとか思わなくもない。
「感覚」についての話だっただけに、上演中のフォグマシーンの音が結構気になってしまったのはどうにかしてほしかったなあ、静かなシーンでは止めておくとか。
リメディア
東京芸術劇場
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2014/05/03 (土) ~ 2014/05/06 (火)公演終了
満足度★★★★
空席多いのは勿体ないなあ・・・
プレイハウスの舞台をめいっぱい使っての大混乱。
なんかもう暴力的に翻弄されてるっつー滑稽さにぐっと来たなー。
パッと見ぜんぜん上手く見えないのとかすごい。
途中「ん?今って何やってるシーンなの・・・?」ってな間がちょいちょいあったのはちと残念。
下のほうで面白いことやってることが多かったんで、中途半端に前のほうの席とっちゃったのは失敗だったなあ・・・^^;
ブルメイステル版「エスメラルダ」「白鳥の湖」
キョードー東京
東京文化会館 大ホール(東京都)
2015/05/20 (水) ~ 2015/05/24 (日)公演終了
満足度★★★★
20日『エスメラルダ』マチネ
「タンバリンの踊り」が有名なバレエ、全幕を観るのは初めて。
で、全幕上演が日本でなかなかスタンダードにならない理由はなんとなく分かったり。
民衆の反逆やらフロロのフェビュス殺害やら、ドラマチックに盛り上げるべき部分がやや中途半端に感じられなくもなく、転換の時間も多いような。
そんな作品でも、ダンサーのパワーで圧倒させちゃうモスクワ音楽劇場バレエ団はすごい。
ステージからピットに落ちちゃうんじゃないかってくらい舞台全体をエネルギッシュに踊る群衆。
パドブレで後ろに下がるだけで「エスメラルダ」ってキャラクターが鮮やかに刺さってくるタイトルロールのオクサーナ・カルダシュが素敵。
予算の都合かびっくりするくらい小編成だったオケも、そんなことを感じさせないくらいダイナミックに歌ってて素敵。
主演のカルダシュの次に終幕後の拍手が大きかったのはカジモド役とジプシー女役のダンサーだったんだけども、カーテンコールで登場するのはエスメラルダの他にはフェビュス役とフルール・ド・リス役のダンサーのみ。
向こうの客と日本の客の喜ぶモノの違いを見たような気がした。
キツネの嫁入り
青☆組
こまばアゴラ劇場(東京都)
2012/05/25 (金) ~ 2012/06/03 (日)公演終了
満足度★★★★
やわらかさに惹きこまれる
観る者にしとしとと「滲んでくる」演劇というか。
比較的エグイ表現が好きな自分としては趣味ではないものの、それでも十分に楽しめる、上質な舞台。
美しい舞台美術であったり、劇場に入るなり線香の香りに包まれる心憎さであったり、空間演出が素晴らしい。
「昔々、未来のむかし」に始まる、寓話的で宇宙的な広がりを、あからさまでなくさりげなく展開していくストーリーテリング。
さまざまな方面から高い評価を受けているのも納得です。
残念だなあと思ったのは、舞台に登場するキャラクター以外に存在するであろう「島」の住人の影があまり感じられなかった点。
昔話的な語りを目指すにしても、リアリズムによる演出をするのであれば、もう少しそのコミュニティの在り様が見えてくる、そんな脚本だとよかったのになあとは思いました。
役者の芝居も、声色の巧みさ、所作の美しさなど、一人ひとり魅力的ではあったものの、時系列入れ替えを多用した作品の演技としては、キャラクターの年齢による演じ分けがもっとほしいなあ、と。
印象的だったのは吉田小夏さんのホスピタリティ溢れる前説。
某劇団(?)の醜聞にトゲトゲしていた心を癒された。
明日を落としても
ピンク地底人
王子小劇場(東京都)
2012/08/17 (金) ~ 2012/08/19 (日)公演終了
満足度★★★★
チラシの文言と実際の作品とは
結構話の軸が違っていたので、念のため。
「音」によって紡がれるポリフォニックな世界に、一つの「物語」が鮮明に浮かび上がってくる、不思議な作品。
「演劇」の構造に踏み込んでいながら、そこで溺れていない姿勢には好印象。
終盤で置いて行かれたものの、そこも含めて面白かった。
(ただ、隣の客がずっと独り言ブツブツ言ってたせいで、舞台に全然集中できなかったのが残念・・・!><)
シルヴィ・ギエムの「カルメン」
公益財団法人日本舞台芸術振興会
東京文化会館 大ホール(東京都)
2013/11/14 (木) ~ 2013/11/17 (日)公演終了
満足度★★★★
面白かったけど
公演タイトルは『シルヴィ・ギエムの「カルメン」』じゃなくて、あくまで『マッツ・エックの「カルメン」』だったんじゃないかなあと。
ギエム、ムッルと東京バレエ団の面々あわせて17人が、ひとりひとりマッツエック作品の役者としてあくまで対等に舞台に立っていた、という意味で。
春よ行くな【15日(日)18:30に追加公演決定!!!】
悪い芝居
駅前劇場(東京都)
2013/09/11 (水) ~ 2013/09/17 (火)公演終了
満足度★★★★
言葉にするのは難しいいいいいい
けど、ヒリッヒリに腫れ上がったいい芝居だった。
観るたびに魅力的になってくなあ、この劇団は。
(観劇の後半が若干尿意との戦いになっちゃったのがとても残念・・・^^;)
猫隠しまっすぐ
わっしょいハウス
新宿眼科画廊(東京都)
2013/07/19 (金) ~ 2013/07/24 (水)公演終了
満足度★★★★
もっと観ていたくなる90分
今回の作品、いつもよりキャストの少ない二人芝居になったことで、わっしょいハウス独特の時制いじくりまくり~なセリフ芸の側面は目立たなくなってて、そのかわり生活感と異界とのシームレスぐあいの気持ち良さ的なのがこれまでの作品より当たり前のように存在してた感じ。
ぬるっと始まっちゃう幕開け、「え!?そこで終わっちゃうの!?」って締めかた、そして後に残る余韻までなんとも味わい深い面白さが残った。
傘月(サンゲツ)
乞局
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2012/10/10 (水) ~ 2012/10/17 (水)公演終了
満足度★★★★
面白かったものの、不完全燃焼の感
ドキッとさせられる、胸をえぐられるようなキレのいいシーン/台詞が数々あり「いいものを観た」という感じではあるものの、観終わって不完全燃焼の感が結構あり。
個々の要素はよかったのに、それぞれがぶつかり合うような化学反応というかスパークがあまり感じられず、もったいないなあという印象が。
前半のヒリヒリするような居心地の悪さが、後半にじんでぼやけてしまっていたようにも感じられ。
それでも震災に於いてのにんげんの在り様を、既存の枠内に押し込めようとせず正直に描いた脚本には好感。
震災という「事件」を神の視点でまとめるのではなく、それぞれどうしようもなく距離や断絶のある「当事者たち」のものとして綴られた物語からは、人間のどうしようもない無様さや滑稽さ、そしてその向こうにいとおしさすら感じてしまった。
役者陣の芝居、美術、照明、音効など、クオリティの高さが光る。
不変の価値
集団:歩行訓練
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2012/11/21 (水) ~ 2012/11/24 (土)公演終了
満足度★★★★
面白かったけど
中盤以降の情報量の多さに、ぜんぜん頭が追い付かなかった・・・^^;
前半油断させておいて後半あそこまでグッと引っ張ってく鮮やかさはお見事。
キレイ
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2014/12/05 (金) ~ 2014/12/30 (火)公演終了
満足度★★★★
再演のときに比べだいぶパワーアップしてたような
スルーのつもりだったけど、オケに今堀恒雄さんが参加してるとのことで観劇。
二階立見席しか残ってなくて、かなり観づらく、台詞も聞きとれない箇所が多かったものの、密度の濃い役者陣のアンサンブル、よりグルーヴ感を増したバンド隊。前回の再演に比べて、劇場空間の「圧」みたいなものがより強く感じられたような、満足感の高い3時間40分。
小劇場的なスラップスティックと普遍的な「物語」とのバランスも、とても気持ちのいい塩梅に感じられ。
今回の演出のトーンで、また再演を重ねていってほしいなあと。
前回まで秋山菜津子さんだった役を今回演じていた田畑智子さん。どうなることかと思ったけど、そりゃ技術的には及んでない部分や役どころとして上品さに欠けるような部分はあるものの、ザラっとしてるんだけど不思議と透明感のある佇まい、キャラクターの「純」な部分が際立っていて予想外によかった。
マリア
Straw&Berry
王子小劇場(東京都)
2013/04/17 (水) ~ 2013/04/23 (火)公演終了
満足度★★★★
面白かったはずなんだけど
面白かったはずなんだけど、舞台転換がすごかったのと、照明がきれいだったのと、百花亜希が素敵だったのと、おまけ演劇なるブツが相当に酷かったのくらいしかなぜだか覚えてない・・・^^;
でもそうですよ、ほんとに舞台転換が見事で、照明が印象的で、百花亜希が素敵だったです。
そんでもって間違いなくその三点によって、この『マリア』という作品の持つ「同じ光に照らされていた時間」への思いが、生き生きと劇場内に立ち上がっていたんじゃないかと思う。
客入れの音楽に「あれ」を使っていたのは、作品の世界を萎ませていてしまってたような。
個人的に嫌いってのもあるけど。
新年工場見学会2013
五反田団
アトリエヘリコプター(東京都)
2013/01/02 (水) ~ 2013/01/04 (金)公演終了
満足度★★★★
今年の観劇初めに
ものすごく脱力してるのに、要所要所の締めるところではちゃんと「演劇」としてガチな部分がぎらっと目を光らせてる、そんなかっこいいorぞっとする瞬間が多くあり。
10年になるというこの企画、観るのは初めてだったけど、来年も是非スケジュールあけて行きたいものだなあと。ホットワインも美味しかったし。
声潰しちゃって役を換わった黒田さんと、声がかれ気味だった内田さんがちょっと心配です・・・
プッチーニのラ・ボエーム
東京芸術劇場
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2013/12/19 (木) ~ 2013/12/22 (日)公演終了
満足度★★★★
20日マチネ観劇
声のグルーブが気持ちよかったなあ。
時に主旋律を食っちゃうほどパワフルなオブリガードのコーラスが好き。
普通のオペラでの『ラ・ボエーム』上演は観たことがなく作品自体はあまり知らなかったんだけど、こういう「フィクションの可能性を信じてる」っていう力強さのある作品だったんだなあ、と。
元の編曲を知ったうえで観てたら、もっと楽しめた部分もありそう。
ただこれは仕方ないことなのかもだけど、「あっさり終わりすぎ・・・」ってなことは若干思わなくもなかったかも。
テーマとして重点を置きたかったであろう「結核」もお話の中でそこまでビビッドには感じなかったし、もうちょっとこの集団の味が活きる演目ってのもあったんじゃないかなと。
あと音響はもうちょっとどうにかできなかったのかなーと。
特にパーカッション、サウンド的に美味しい部分が全部上の空間に逃げちゃってた気がする。音響反射板吊るすなりなんなりの工夫で、もう少し音を近くに感じたかった。
フリル
アマヤドリ
王子小劇場(東京都)
2012/09/08 (土) ~ 2012/09/17 (月)公演終了
満足度★★★★
「第0回公演」に納得
もっとずっと目の前のこの世界を観察していたい、そう思える100分。
観終わって、まだいろいろ消化しきれてないけども、ひょっとこ爆破→幸せはいつも以下略→今回の第0回公演と来て、この劇団のこの先がなんとも楽しみになる、そんな不思議なおもしろさがある作品だったなあ、と。
乱舞はなくとも、ストーリーはなくとも、ちゃんと脚本と役者と演出でグッと惹きこんでくれるのはさすが。
(ただ広田さんが「飽きた」と言っていた、「ひょっとこ乱舞」の洗練された「物語」や「ケレン」が、もう見られないっていうのはちょっとさびしいかもしれない・・・^^;)
アフタートークでも話題になっていたように、照明と美術の素敵さは印象的。
スケジュールが合えば、リピートしたいところ。