満足度★★★★
面白かったものの、不完全燃焼の感
ドキッとさせられる、胸をえぐられるようなキレのいいシーン/台詞が数々あり「いいものを観た」という感じではあるものの、観終わって不完全燃焼の感が結構あり。
個々の要素はよかったのに、それぞれがぶつかり合うような化学反応というかスパークがあまり感じられず、もったいないなあという印象が。
前半のヒリヒリするような居心地の悪さが、後半にじんでぼやけてしまっていたようにも感じられ。
それでも震災に於いてのにんげんの在り様を、既存の枠内に押し込めようとせず正直に描いた脚本には好感。
震災という「事件」を神の視点でまとめるのではなく、それぞれどうしようもなく距離や断絶のある「当事者たち」のものとして綴られた物語からは、人間のどうしようもない無様さや滑稽さ、そしてその向こうにいとおしさすら感じてしまった。
役者陣の芝居、美術、照明、音効など、クオリティの高さが光る。