ハンダラの観てきた!クチコミ一覧

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闇言

闇言

JACROW

ギャラリーLE DECO(東京都)

2012/05/08 (火) ~ 2012/05/13 (日)公演終了

短編
 短編を4つ。オムニバス形式で演ずるという形であったが、短編の醍醐味を見事に活かした作品2編。日常性の中で、いかに短編の短編たる所以を掘り下げることが難しいか、を白日の下に晒した作品2編。音響や照明、劇場の雰囲気作りどれも、とても興味深いものであった。殊に役者陣の奮闘は、どの作品に出た役者にも拍手を送りたくn

Sissi

Sissi

早稲田大学劇団木霊

劇団木霊アトリエ(東京都)

2012/05/07 (月) ~ 2012/05/13 (日)公演終了

満足度★★

稚拙
 学生劇団なので未だ若いメンバーばかりなのだが、それにしても、もう少し言葉を丁寧に使えないものだろうか。どなったり、語呂合わせや駄洒落レベルの外しで掻き回す必要は感じなかった。そもそも、貴族というものを全然、理解していない。まあ、戦後は、一般の人々が、そういう階級或いは階層にこの国で出会うことは殆ど無くなったので、無理もないかも知れないが、品というものがあるのだということすら、ご存じないらしい。もう少し、研究して欲しい。ダンスなど派手な身体表現は、上手だが、演劇の本質を理解し、役の中で、身体をもっとコントロールすることを覚えてもらいたい。

バートルビー

バートルビー

ttu【2017年5月末解散】

インストールの途中だビル(東京都)

2012/05/06 (日) ~ 2012/05/09 (水)公演終了

満足度★★★★★

想像力への刺激
 役者2名、ダンサー2名の計4名で提示された表象。ちょうど、演劇とパフォーマンスの、中間のようなテイストの作品である。然し、メルヴィルの原作の持つアイロニーやパロディ、抽象的且つ実存的な風景を、身体を通して不在を浮かび上がらせる手法や、二つの旋律を交互に、而もだんだん強く演奏することで並々ならぬ高揚感をもたらすボレロを巧みに使いながら表現した。想像力を刺激すると共にパロディの素となった素材を、見る者には感じさせながら、非常にラディカルに、更には哲学的な思念を感じさせるまでにアウフヘーベンした上演は一見の価値あり。

パパ、アイ ラブ ユー!

パパ、アイ ラブ ユー!

タクトプレイ・プロジェクト

駅前劇場(東京都)

2012/05/06 (日) ~ 2012/05/13 (日)公演終了

満足度★★★★

職人芸
 如何にも英国の無責任な笑いだ。無論、この国が侵してきた数々の侵略と差別に目をつぶれば、この手の笑いは、楽しいものだ。然し、現在も尚続く、多くの国際紛争の原因を作って頬っかむりし、「紳士」の国だと傲然と言い放つこの国に腐臭を感じる者をすら、笑わせる場面を随所に持つこの作品を通して、作品が我々の鏡でもあると気付く時、この笑いは苦いものたらざるを得ない。
 一方、大道具や小道具の使い方一つとってみても、緻密で見事な職人芸が活かされており、舞台としての技術は高い。

【ご来場ありがとうございました】のんべぇい!

【ご来場ありがとうございました】のんべぇい!

SUMMER SONIC THEATER (サマーソニックシアター)

上野ストアハウス(東京都)

2012/05/03 (木) ~ 2012/05/06 (日)公演終了

満足度★★★

映画的
 なのである。どうも作・演出の方は、映画技法で、演劇の舞台が作れる、と勘違いしているようだ。これでは、役者が気の毒である。

Hi-School

Hi-School

幸野ソロ

ワーサルシアター(東京都)

2012/05/02 (水) ~ 2012/05/06 (日)公演終了

満足度★★★★

はじめはどうなることか と
 罪の無い笑い取りで始まり、フライヤーのイメージのような、そこはかとない青春賛歌で終わるのか、と思いきや、中盤から芝居の基本をキチンと踏み、王道を歩む構成になった。この状況変換が効いて、終盤の重い内容も、過重にならず、説教臭くならなかった。その為、却って観客の心には素直にメッセージが届いたのではないか。演出の手腕を感じる。更に先を読むならば、ここに描かれた様々な事件を通して思春期の群像を描くことで、言うのも恥ずかしい、人と人との繋がりの大切さ、という普遍的価値観に落とし込んでいるのではあるまいか。 ん、楽しめる舞台である。

がんぜない瞳の殺人者

がんぜない瞳の殺人者

アリー・エンターテイメント

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2012/04/24 (火) ~ 2012/05/06 (日)公演終了

満足度★★★★

取材
 全体的にしっかり取材をしていると感じた。然し、劇中、気懸りな科白が、死刑執行の日、被告の発した科白にあった。「助けてくれ」というものである。これが、創作なのか或いは、そう本人が言ったという証言があったのか。その辺りである。
全体的にリアルに描かれていたので、証言があったとしたら、その証言をする必然性は、刑を執行した国家の側にあったはずだと考える。そして、その証言は、おそらく事実ではない。なぜなら、この作品の主人公は、実在した人物、永山 則夫であり、彼は、民衆として生きようと決意した時期もあったのである。その可能性をつぶしたのは、他ならぬ権力機構である最高裁であり、検察庁であった。永山の持っていた可能性に連なる多くの心ある者たちの連携を恐れた国家は、彼を葬るだけでは足りなかった。殺しただけでは、永山は、人々のヒーローになりえたからである。その為に、命乞いした永山 則夫というイメージを作り、彼を貶めようとしたのではないか。評者はそのように我々の国家を見る。
 この作品、少なくとも、この程度のことは考えさせるだけの深みを持っていた。高い志を評価したい。

BUS DRIVER【終了致しました。ご来場誠にありがとうございました!】

BUS DRIVER【終了致しました。ご来場誠にありがとうございました!】

机上風景

タイニイアリス(東京都)

2012/04/27 (金) ~ 2012/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★

シンプルだが
 シンプルだが勘所を押さえた作りだ。この作家は、シナリオを書く時、イメージが最初に浮かび、そのイメージと対話しながら作劇してゆくという。こういう書き方だからということもあるだろうが、キャラクターの作り方が非常に自然である。また、照明のセンスも抜群。導入部なども、新鮮で演出のセンスも伺わせる。

OMEGA DRIVE

OMEGA DRIVE

劇団東京ドラマハウス

上野ストアハウス(東京都)

2012/04/26 (木) ~ 2012/04/29 (日)公演終了

満足度★★★

詩的散文
 詩的散文で書かれたシナリオだが、構成面でやや弱い。アフガニスタンの戦闘、タリバーンの生成地パキスタンの登場人物と日本との接点に必然的な出会いが感じられない。作家の思いばかりが先走る感じがするのである。事件の起こる構造をもう少ししっかり考えるべきだろう。
 折角、終盤では、とても素晴らしい科白も出てくるのだ。事件の起こる場所というものが、芝居を作る上で如何に大きいか。もう一工夫して欲しい。

【日程決定です】『異説 金瓶梅』

【日程決定です】『異説 金瓶梅』

クロジ

シアターサンモール(東京都)

2012/04/26 (木) ~ 2012/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★★

悪の華
 ボードレールは、悪の華序文で、アンニュイについて強烈なメッセージを発した。実際、ディレッタントの持つ退廃的側面は、余人には計り知れぬものがあろう。
 ところで、今回、上演中の「異説金瓶梅」では、砂糖菓子よろしくふやけた現代日本にあってさえ、鞭のようにしなる言葉で、退嬰を切る。
 シャープで深読みの利く舞台だ。抜群に面白い。

サージェント

サージェント

劇団 浪漫狂

紀伊國屋ホール(東京都)

2012/04/26 (木) ~ 2012/04/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

完成度
 断固、見るべし! 完成度の高さは頗るつきだ。役者の演技、シナリオ、演出、音響、照明、道具なども芝居の展開を自然にすることに収斂し、メインプロット、サブプロットが見事に噛み合って太平洋戦争から現代までの庶民の、時代の中を生きてゆく姿を活写している。
 時代感覚を的確に捉え、その中で生きる個々人を役者陣それぞれが、作中人物を生きるように演じていた。見事である。更に、人と人との結びつきの大切さを、わざとらしくない形で作品化できている点でも、この劇団の力が知れよう。抑えの利いた演技力の高さも一見に値する。お勧めの舞台だ。

冷たい唇、温かい箇所

冷たい唇、温かい箇所

ジ~パンズ

銀座みゆき館劇場(東京都)

2012/04/25 (水) ~ 2012/04/30 (月)公演終了

満足度★★★

冒険が欲しい
 観客を驚かすような趣向が無いのは寂しい。話の展開は、業界の多少、ブラックなコメディ或いはパロディなのだろう。観客は、シナリオレベルでも、良い意味で裏切られにゆくのだ。そういう新鮮味が感じられない。無論、こなれていて、ソツはない。演技も上手い。だが、折角、そこまで積み重ねてきたのなら、思考レベルでももう少しアクロバティックなことに挑戦すべきだとは思うのだ。でなければ、とてもヨーロッパなどの興業には勝てまい。

オーシャンズ・カジノ

オーシャンズ・カジノ

北京蝶々

王子小劇場(東京都)

2012/04/18 (水) ~ 2012/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★

ギャンブル
 ギャンブルネタで、実際に勝負する場面が何度か出てくるが、ちゃんとギャンブルの勘所を捉えていて、迫力があった。ストーリー展開にも、そう無理は感じられない。然し、俳優の出、入りが、もう少し工夫できないだろうか。ハイテンションな作品なので、結構、多くの観客が楽しんだはずだが、細かいところに気を配れば、もっと観客を驚かすことも可能になるだろう。更なる工夫を期待する。

国境のある家

国境のある家

劇団青年座

青年座劇場(東京都)

2012/04/21 (土) ~ 2012/04/29 (日)公演終了

満足度★★★★

矜恃
 池子弾薬庫の旧地主一家三代の歴史を通して、日本人の
矜恃が、アメリカ及びアメリカ人によって侵され、襤褸屑のように
なった有様を描いて重い作品である。
 然し、その描き方や筋の運び方、音響や照明、美術などは、流石に
伝統のある劇団のそれで、随所に笑いを取り入れながら、不必要に重く
ならないような配慮がなされていた。俳優陣の演技の質も基本的に高い。三世代に亘る話なので歴史的な変遷と変わらなかった物との対比も可能だろう。様々に考えさせる舞台であった。

カルテット! 4/25浦安公演

カルテット! 4/25浦安公演

アトリエ・ダンカン

東京グローブ座(東京都)

2012/04/12 (木) ~ 2012/04/21 (土)公演終了

満足度★★★★

音楽の持つ純度の高さ
 ストーリーとタイス、カノン、ボレロ、G線上のアリアなどの名曲が並走することで、話の展開が境界を踏み外すことなく、同時に本質的な展開を可能にして、心の洗われるような大団円に持ってゆく、そんな舞台であった。楽しめる。

勝手にしやがれ

勝手にしやがれ

演劇ユニット『MOSH(モッシュ)』

Geki地下Liberty(東京都)

2012/04/19 (木) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度

現代の寒さ
 全般的に創造性に乏しくギャグのレベルが低すぎる。演技にも独創性が無い。世界の中で生きていて、それを解釈できていないのではないか。結果、総ての表現が上ずってしまって、上っ面をなぞるだけである。楽屋落ちが多いのもそのせいだろう。もっと、状況を客体化して見る目と、自らの力量を知る謙虚さが必要だ。

チェーホフ短編集 「賭け」 【沢山のご来場ありがとうございました!】

チェーホフ短編集 「賭け」 【沢山のご来場ありがとうございました!】

華のん企画

あうるすぽっと(東京都)

2012/04/18 (水) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

流石
 頭取の予測と若者との間には、一筋縄では片付かない成長という要素があった。説明にもある通り、外枠を「賭け」で囲い込みながら6篇の短編を編み込んで、いわば布地に色目を編み込んでゆくような作業が行われた結果、ストーリーは重層化して、輻輳したトーンを醸し出し、劇中劇では高尚な芸術論、演劇・演技論さえ戦われるという、芝居好きには堪えられない趣向もあって、大いに楽しめた。また、俳優陣の演技も、流石とうならせる内容であり、巧みな演出、音響や照明とも相まって厚みのある舞台表現に仕上がっていた。

白痴

白痴

ユニークポイント

atelier SENTIO(東京都)

2012/04/15 (日) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

詩的
 白痴役の女優が一切喋らず、身体表現だけに終始した点を評価する。然し、せっかく壁まで白く塗ってセンスを高めているのに、モニターをあんなに置く必要はない。視覚的に観客の視線を散らす狙いがあるなら兎も角、モニターをあのようにセットする必然性は感じられなかった。
 職人夫婦役は、演出をもう少し工夫すべきだろう。白痴役は良かった。スタッフの感じも頗る良い。無駄を削ぎ、必然だけの裸にして見た上で、更に膨らみを持たせる工夫が必要だろう。

淋しいマグネット

淋しいマグネット

ワタナベエンターテインメント

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2012/04/08 (日) ~ 2012/04/28 (土)公演終了

満足度★★

スターシステム
 良かった点:照明、大道具、ダンス、音響、スター以外の俳優たちのがんばり(下手をすれば怪我をするような無理までして)
悪かった点:志、シナリオ、演出、コマーシャリズム

俺以上の無駄はない

俺以上の無駄はない

MCR

駅前劇場(東京都)

2012/04/12 (木) ~ 2012/04/17 (火)公演終了

満足度★★★★★

捻り
 こんなに下らない国に、今生きていて屈折していない奴は大嫌いだ。概ね、そういう輩は、「みむめも」「うましか」「どんとかん」だからである。という具合に居直れたら、この手のシナリオは、上がってこなかっただろう。実は、こんな下らない国に生きているのに、自分が、悪いと思う多くの日本人と同じように、劇中の主人公も考えているのだ。然しながら、彼は売れない表現者でもある。その彼には、いくつもの問題があるのだが。それらの問題を巧みな場面転換と小気味の良い科白で繋ぎ合わせ、オムニバス形式に近い形でプロットを換骨奪胎している点、並みの手法ではない。
 更に思い掛けない仕掛けをそれらのプロットに仕掛けることによって、メインプロット、サブプロット共にパターン化することの悪弊から逃れて、乱反射してゆくのである。この様な形態を編み出しうる者を称して、人は才能ある者と呼ぶのだ。注目しておくべき劇団である。

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