ひなたのなかのこども 公演情報 ひなたのなかのこども」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-16件 / 16件中
  • 満足度★★★★

    事実と虚構の狭間
    勝手にキャッチコピーを付ければ「下山事件・銀河鉄道の夜・電車ごっこの三題噺」、あるいは「事実と虚構の狭間」?
    元ネタである下山事件は現実のものでありながら、劇中でたどり着く真相は「いかにも推理ものフィクションらしい」凝ったもの。
    その2つのギャップに「思考が翻弄される」と言うか、騙し絵を見て「部分部分は正しいのにどこかヘンだな」と感じるその感覚に通ずると言うか、で独特。これぞまさに風雷紡風味?(笑)
    また、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をよく知っている身として、後半のある部分の意味がより深く感じられ、知っていて良かったなぁ、とも。
    さて、野崎淳之介が次に挑む昭和史の事件は?

  • 満足度★★★★★

    無題1214(14-262)
    19:00の回(晴)。18:00受付、18:31開場。

    昭和24年、下手/ソファ、書棚には「銀河鉄道の夜」)、正面/駅舎?「人員整理を撤回セヨ」などのビラ、傾いた木板に振り子時計…時間はよめず、上手/戸外、タオルが干してある…とぐるっと舞台装置、茶色を中心とした色合い、天井を見上げると巻かれた白い布。

    19:01野崎(谷仲さん)による前説、120分。19:06白い布が下りて映像、役者紹介、子供の影絵…舞台には向き合うふたり…開演〜20:59終演。前作に続いて「事件もの」、帝銀事件(昭和23年)の翌年。

    今夜は谷仲さん大活躍!!初めて観たのはなんだったか調べると「俳優のしあわせ(2011/4@ポケット)」でした。かもめマシーン「プライマルスクリーム(2011/3)」にも出ていらしたのですね(私は次作の「XTC」から)。「紙一枚の才(2011/7@pit」、そして「明けない夜 完全版(2011/8@トラム)」…643のゲッツー、チョコレートケーキ、JACKROW、ホチキス(饅頭やのオヤジが大好き)、鵺的。

    上手、やや陰になっているところに腰を下ろし、ちょっと客席を向いて目配せするシーン、見逃しはしませんでした。

    戦後のどす黒いもののぶつかり合いだけではない観せ方のために宮沢賢治を配し…煙を吐く列車はどんな夢を運んで行ったのでしょう。

  • 満足度★★★★

    墓地を模した美術にため息。
    入った瞬間に、墓標のような柱(あとでこれが××と化す)や、暗い雰囲気の東屋、そして卒塔婆のような……(あれは何だったんだろう?)。
    雰囲気がとても素敵でした。
    また、オープニングの影絵も良かった。
    異空間を思う存分楽しみました。
    この美術に+☆。

    ネタバレBOX

    脚本のことを言うと、ちょっと物足りなかったです。
    前半、事件のあらましを言葉をかえて何度も説明するのは必要かな?と思いました。
    また、銀河鉄道と国鉄って……ダジャレ?
    ここに関しては正直、一切必要ないと感じました。
    宮沢賢治はどうとでも取れる作品(特に銀河鉄道は年に二度くらいモチーフとして見るほどのもの)なので、作家が使用してみたいのはわからないでもないですが、その部分こそなぜ作家自身の言葉で表現しないのか不思議でした。特にラストにで宮沢賢治の台詞を出すのは個人的にはあり得ないです。
    安易に感じてしまうからです。
    そこを作家自身の言葉で語ってよ!と思ってしまいました。
    宮沢賢治がでてくると朗読劇風味が出てしまい、そもそもよく知ってるシーンばかりだし、中盤以降は正直しんどかった。せっかくの役者の演技が楽しめなくなってしまう、というのは私の個人的な好みなのかもしれませんが………。

    細かい描写で「ん?」と思う部分はあるにはありましたが、全体的に時代背景やオープニングの「電車ごっこ」の影絵が効いており、楽しめました。
    ただ、結局、自殺ほう助をしたトキコがなぜ「自殺するとは思えないから」と探偵に依頼したのかがよくわからなかったです。
    どなたかのレビューを見たらわかるかな~と思ったのですが、正直、私にはよくわからなかった。それより犯人が挙がらなかった弟の犯人の方が、姉としては気にならなかったのかな?とか、最後で変な感じがしてしまった。

    とはいうものの、絵として見ると、ラストの総裁の椅子に座ったエダシマの超カッコいい(めっちゃ震えた!!)シーンとか、レールが下りてきて、そこにえげつなく(いい意味で刺激的)事件を再現するとか、弟が死んで傘をさして遠い目をして笑うトキコとか、心が震える場面も多かったです。


    舞台美術の異空間ぶりや、大げさな芝居の探偵、終始抑え気味の運転手、ストーリー等の齟齬を度外視しても十分楽しんだ2時間でした。
    谷仲さんは今まで私が見た中で一番役所広司に似ていました!
  • 満足度★★★★★

    「命」よりも大切な「憧れ」と出会う時
    「僕たち、どこまでも、どこまでも、一緒に行こうねぇ・・・」

    『銀河鉄道の夜』の旅の終わりに、
    ジョバンニが、カムパネルラに告げたこの言葉・・・

    受け取る者を失った、
    ただ銀河空間をさまよい続けるしかない
    この言葉が残した余韻・・・

    その深淵なる哀しみを
    実際の事件の中に描き出した秀逸な舞台。

    戦後の混乱期、国鉄総裁が巻き込まれた未解決事件、
    『下山事件』を辿りながら、
    あの時代と、この現代にも繋がる
    日本人の孤独と、言いしれぬ寂寥をあぶり出してくれました。

    一人の人間が「自死」を選ぶ。
    それは、どういうことなのか。

    幼少期から綴られる、
    その人だけの物語の中の、
    どの部分が「闇」を連れて来てしまったのか!

    かつて親友が自死を選び、
    近くの踏切から銀河鉄道に乗って逝ってしまった経験のある私としては、

    人が「命」よりも憧れる
    「何か」に心奪われる瞬間の輝きと漆黒について
    想いを馳せてしまいました。

    ・・・自分らしく生きることを許されぬ現世ならば、
    ・・・「憧れ」を選ぶかも知れない。自分の命と引き替えに。

    まさに身を切るような痛みと哀しみを
    一つの芸術として完成してくださった
    『ひなたのなかのこども』のカンパニーの皆様に、
    心から感謝いたします。

    本当にお疲れ様でした☆

    皆様が観客の心に残した余韻は、ずっと消えることは無いでしょう。
    誰もが今、
    自分の人生の中で闘っているその「闇」は、
    しばらくの間、未解決のままだと思うから。

    ネタバレBOX

    『ひなたのなかのこども』を最後まで観終えて
    一つの妄想が浮かんでしまったのですが・・・

    子母澤さんは生きている・・・
    生かされたかも知れない、という希望。

    少なくとも「生きていて欲しい!」と
    強く願った者が、二人もいたのですから!

    大人達がどろどろに、もみくちゃに握りつぶしてしまった
    純情を取り返して、

    きっと子ども心に還り、
    煌めく笑顔で電車ごっこに明け暮れている・・・
    大好きな三人一緒、
    あたたかな光の中で・・・

    そう想いたいのです。

  • 満足度★★★★

    骨太作品だが
    初見の劇団であったが、見応えのある公演だった。その印象は調査し綿密に練り込んだ骨太な作品だと思う。下山事件が題材だが、人間ドラマを主軸に置く見事な公演だ。
    さて、自分が生まれる前の事件ゆえ、リアル情報は持ち得ていない。自分が知っている下山事件は1981年公開の映画「日本の熱い日々謀殺・下山事件」に負うところが大きい。その頃は俳優座に知り合いがおり、同劇団の公演を観ていた。映画は俳優座も関係しており所属俳優が多く出演していた。その映画は同年の日本アカデミー賞で多くの賞を受賞するほどの傑作だったと記憶している。
    さて、本公演も下山事件の沿革を辿るが、その手法は探偵が事件を追究するというもの。この件も映画と同じ(映画は新聞記者が取材)。舞台の雰囲気は当時の状況を彷彿とさせるような美術・音響効果で堪能した。
    改めて、本公演も脚本・演出はもちろん、役者の演技も素晴らしく、秀逸なものだと思う。
    しかし、気になることが…
    (ネタバレBOX)

    ネタバレBOX

    次のことが気になった。
    第一に、主人公の現視点と探偵の追究視点があり、それが交錯して物語が展開する。事件が起きたのが昭和24年7月で、まだ日本がGHQ統治を受けている。対外的には共産主義への警戒、国内的には景気浮揚が重要であるかの描き方だ。その縮図として、日本国有鉄道(国鉄)内における対労働組合(国労)と経営再建(人員整理)だったようだ。その複雑な社会情勢が伝わらない。主人公の人間ドラマにしては、取り巻く情勢の中で苦悩した姿が弱かったと思う。例えば、GHQからの呼び出し場面、組合幹部との交渉場面(少なくとも駅舎へのビラ掲示、赤旗掲)など緊迫した場面がほしい。
    第二に、なぜ探偵は追究することにしたのかという動機面がしっくりこない。依頼主の思惑は後日明かされるが、当初、金銭面だけだったら面白くない。当時の国鉄三大ミステリー事件(他は三鷹事件、松川事件)の中で、下山事件に興味を示した理由はなにか。
    第三に、なぜ今、下山事件を扱うのだろうか?敢えて意味を持たないかも知れないが・・・。思惟か恣意か、はたまた私意なのでしょうか。事件当時の状況が、今まさに対外警戒(領土問題)と景気回復(派遣きり)を意識したと・・・深読でしょうか。隠れテーマがあるとすれば、芝居屋風雷紡恐るべし。
    今後の公演にも期待しております。
  • 満足度★★★★

    見応えありました
    思いがけず野崎淳之介に再会できて嬉しかった。
    戦後すぐを舞台にしたシリーズ物なのですね。気が早いけど、
    来年も見に来たいと思った。
    それくらい時代背景と脚本が自分好みの作品。Twitterでも呟いたけど、うだつの上がらない探偵と下宿の女中さんのやり取りって、それだけでニヤニヤしちゃうくらいツボ。
    人の心の闇を垣間見て謎を解く探偵物には、
    観客がふっと力を抜けるシーンが大事だと思うので。
    全体の緊張感とのバランスも良かった。

    廿浦さん演じる総裁は誠実さと人間味がある。
    だからこそこの展開は辛く、やりきれない哀しみが残った。

    個人的には妻の心情がもっと知りたかった。 彼女は何を思い、あの行動を取ったのか。(演出の感想はネタバレで)

    ネタバレBOX

    最近目に止まった言葉に、舞台は観客の想像力があって完成するものだというのがあって、シンプルな舞台装置の本作でそれを実感した。
    力尽き、線路(に見立てた2本の横木)に伏す国鉄総裁。
    機関車の音がどんどん大きくなり、最大になった瞬間、
    機関車本体が見えた…気がした。正確には、思わず目を閉じてしまったのだけど…
    そんな体験をさせてくれて感謝です。
  • 満足度★★★

    脚本が良すぎ?
    ストーリーはとても良くって、結末も好きなんだけど、なんというか、ストーリーに合わせよう合わせようとしていて、役者や劇団の個性が消えてしまったかな?とも。

    ネタバレBOX

    宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」と結びつけたのは、安直と言えば安直。あとこの重いネタで、2時間は正直ツライ。
  • 満足度★★★★★

    犠牲者の思い!
    芝居の題材、内容もさることながら、その時代背景を感じさせる舞台セット、衣装を楽しみにしています。今回も満足してますが、片岡の姉の登紀子が履いていた赤い靴が傷だらけなのには、ホントきめ細かさを感じる。
    そして、ラスト間際のレールが降りて敷かれるシーンは、子供の頃、仕事にいく父を見送りに行った帰りに貨物列車を見るのが好きだった私には堪えられない。
    気の早い話だが、来年が今から楽しみです!

    ネタバレBOX

    国鉄再建の為、GHQと国労との間で苦悩する主人公の子母澤国鉄総裁。
    幼いころに父と現在の運転手の小口との間に起きた暗い過去を背負っていた。
    そして、父に読んでもらった宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の一節が今も脳裏にやきついている。それらのことが絡み合い自分が犠牲となることで人の為になることを決意した。そこには関係者たちの複雑な思惑があり、探偵野崎淳之介は子母澤総裁の轢死を「殺されたんだ」と結論づけた。
    犯人探しではなく、彼が”なぜ死んだか”に焦点をおいた脚本興味深く観劇できました。
  • 満足度★★★★★

    会場から好きになりました
    日暮里d倉庫、こういう劇場があることは知っていましたが、はじめて行きました。
    この雰囲気は大分良い!
    開場前でもロビーでのんびり出来たし、登って降りるのも何だか好き。
    今日の演目にも特に合っていた気がします。
    終演後、外に出たらすぐに民家が目に入って、その辺りのギャップもたまらなかった。
    席は座りかた気を付けないとちょっとギシギシいう感じがしましたが(笑)

    下山事件。
    国鉄総裁が~と聞くと何となく事件の大枠くらいは思い浮かぶレベルにあります。
    題材にした話であるので、史実?はどうだったのか興味がわいています。
    あと宮沢賢治もね!

    題材がある場合、そちらにも目を向けさせる事が出来るのは良い作品なんだと思う。


    パンフレットにも書かれていましたが、トリックやミステリーではなく、人間ドラマが主軸となっていました。
    ここも本格芝居が好きな人にお薦めかと思います。


    ちなみに、ツイートでちょっとした事を指摘したら(と言っても物販の前はもう少し広く空けた方が、程度)吉水さんから即レスがあって恐縮。
    と、同時に「そう理想はそれなんだよ!」と嬉しく。
    対処が早い、明確に返答をする事で逆に好感が上がったりするものです。
    素晴らしい。

    ネタバレBOX

    脚本の吉水恭子さんが演じる駒さん、構成で言ってしまえば単調にならない様にメリハリを付ける為のパートなんだろうけど、あの時代にあんな人がいたら素敵だと思える可愛らしさがあった。

    まだ二回しか観ていないのでなんですが、探偵野崎淳之介と駒のコンビはシリーズモノになってるのかな?
    駒さんメインのスピンオフとかあっても面白いと思う。
  • 満足度★★★

    銀河国鉄の夜
    鉄道繋がりでアレを持ってきたのはいいけど、史実ではなく人間ドラマとして扱うんであれば、運転手や妻など周辺の人をきちんと描かないと、ちょっと説得力に欠ける気が…。

  • 満足度★★★★

    モヤモヤ
    見応え有るんだけど多少面白味に欠けるというか、その辺のスレスレを行ったり来たり。

  • 満足度★★★★★

    ゆやゆよん!
    日本史的事件をモチーフにしつつ芝居屋風に観せる世界観は重厚で見応え充分。谷仲さん演じるキャラは飄々として魅力的。観に行って良かったと思える作品でした。

    ネタバレBOX

    謡う元気なお駒さんに会えました。次回は元気に踊るお駒さんで(笑)
  • 満足度★★★★★

    アプローチの見事
     言う迄もないが、この作品は下山事件を背景としている。1949年7月5日、国鉄総裁が轢死体となって発見された事件である。未だ占領下、ドサクサの日本でGHQの関与も噂される難事件だから、どうやって手をつけたらいいか、多くの者が、途方に暮れる。その難事件を、風雷紡は、“どう亡くなったか?”ではなく“何故、亡くなったか?”と問うことで、独自解釈の糸口を紡ぎ出している。つまり、総裁の人柄に焦点を絞った。そして彼の性格描写に決定的な役割を果たしているのが、宮沢 賢治の「銀河鉄道の夜」今作のタイトルの取られた詩「金策」である。
     設定の上手さ、シナリオ、演出の無駄の無さ、効果的な舞台美術や役者紹介フィルムまで含めて、時代を感じさせる手の込んだ作り、音響、照明の効果的な用い方、変にベタベタさせない冷静さと想像力を刺激し、人間の何たるかを考えさせる深い技法。見事である。(追記後送)

  • 満足度★★

    ガチガチに文系派、かたいなぁ

    ネタバレBOX

    でも、ストーリーが、暗くて、かたいのは劇団の個性か・・。
    好きな人は好きなんだろうな・・。
    役者はすごくうまい。
    全体的に、もっと遊びというか余裕があると、客も構えずに観れるから、大衆うけするのだろうなぁ。
    今の状態は、【これぞ頭の良い人たちで作られた劇だ!】って感じです。
    感性の豊かな人が演出をすると、エンターテイメントになるのだろう。というかなんとなく朗読劇みたいでした。いろんな見せ方や、動きが少ないと退屈する。
  • 満足度★★★★★

    なるほど。
    こういう解釈もあるのかと、なんだか妙に納得したのと同時に、心の中に引っ掛かっていたモヤモヤとしたものが少し晴れた。

    素晴らしい空気感。
    役者の力量。

    その時代に連れて行かれたような錯覚すらおぼえた。

    良かった。
    すこぶる良かった。

    ネタバレBOX

    最後の中島みゆきにグッときた。
  • 満足度★★★★★

    芝居を堪能
    ホントこの劇団は本格っていうか,王道っていうか,芝居好きには堪らない良い芝居をするなぁ。下山事件なんて難しいテーマを,こんなにわかり易くかつ深く見せてくれるんだもの。いろいろは言いません。雰囲気のある良い芝居です。オススメです。

このページのQRコードです。

拡大