『起て、飢えたる者よ』ご来場ありがとうございました! 公演情報 『起て、飢えたる者よ』ご来場ありがとうございました!」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
1-20件 / 30件中
  • 満足度★★★★★

    再演
    チョコレートケーキは今年に入り2本再演されていたと思う。る、いずれの作品も初演で評価されたものだ。
    2度観ても、凄さは変わらない。
    この作品に携わった皆さんのほとんど(もしかすると一人もいないのかもしれない)は、生まれていなかった時代だ。

    そのときの時代・時代をテーマにすることが多い劇団だが、これからもこの姿勢を取り続けていただきたい。


  • 満足度★★★★★

    面白かった
    初演とは全く違う作品として受け止めました。これはこれでイイ!!怖さの為笑いが出ちゃうような、ひゃぁ~、。人ってなんでこうなんだろ~ね~特に辺境の日本人は。

  • 満足度★★★★★

    良い!
    緊張感の中に狂気の笑いもありました。

    ネタバレBOX

    初演のときは終始緊張していたような記憶がありますが、今回はふっと鼻から笑いが抜けるようなシーンもあり、少し緊張感がほぐれるだけのゆとりがありました。

    女管理人の豹変振りがあまりにも強烈で驚き過ぎて、長兄を殺された次男が復讐を果たすために、長兄の死に関わった者たちを総括、総括援助へと用意周到に追い詰めていく側面があったことには前回は気付きませんでした。

    女管理人の夫が、実家に帰省したという設定ではなく東京に息抜きに出掛けているというのも辻褄が合っていて良かったです。

    それにしても、言葉尻を捉えて一瞬にして形勢が逆転するなんて、分かったようで曖昧な概念を持つ言葉の力とは本当に恐ろしいものです。

    首謀者の革命ごっこという一瞬気を緩めた発言が命取りになりました。オルグを受け女革命家が憑依したような促成革命家には本音は通用しませんでした。狂った教義がまかり通る新興宗教のようでした。
  • 満足度★★★★★

    歴史を対象化しないために
    脚本・演出・演技、それぞれに力があるものが、舞台上で一体となっていた。

    役者さん全員が、本当に素晴らしいと感じた。
    中でも、劇団チョコレートケーキの劇団員である3人(岡本篤さん、浅井伸治さん、西尾友樹さん)の入り込みようは凄かった。

    浅間山荘事件を題材に、ありえたかもしれない別の物語を展開。
    フィクションにすることで、史実を再現するよりも、そこにあった問題の本質をより顕在化することに成功している。

    事件を起こした者たちは、なにも特殊な人間ではなかった。
    では、何が彼ら・彼女らをそこまで追い込んだのか、、、

    ネタバレBOX

    閉鎖的な集団の中にいると、何が正しく、何が間違っているのか、その判断基準がわからなくなってしまうことがある。
    顕著な例として、オウム真理教、戦中の日本など、例を挙げればきりなない。
    だからと言って、外から距離を置いて眺めれば、そこにある真実が見えるのかというと、そうとも限らない。ある部分では、冷静に見えてくる部分もあるが、距離をとればとるほど見えなくなってしまうものもある。

    歴史を振り返る際に注意しなければいけないのは、この点である。
    過去の出来事は、とかく自分と関係のないことと考えがちだ。
    だが、現在進行形の歴史である今、この場所がそうであるように、その渦中にあっては、それほど単純に、その事態を、自分の振る舞いを対象化することはできない。

    『起て、飢えたる者よ』の問題提起はここにある。
    連合赤軍を模した「連合戦線」という集団とその外部者である山荘の奥さんを描きながら、集団の内部と外部の問題を描いている。
    奥さんは、その集団に、外からの引いた視点を持ち込む。と同時に、元々は外部者であったはずの奥さんが、その集団の内部の力学に取り込まれていく。
    この過程は、歴史の外部者であった私たち観客が、物語を通じて歴史の内部に引きずり込まれていくこととも重なっている。


    総括という名の殺人はなぜ行われたのか。それは、彼ら・彼女らが狂乱して起こった事態ではない。
    ひとつには個人の権力や暴力が集団の権力・暴力へと転化したからであり、
    論理に自縄自縛されたからであり、やってしまった行為を正当化し続けることでしか集団を、そして自分を保てなくなったからでもある。
    それらが、ほぐせないほどに絡まりあって起きた事件だったと言える。

    この物語でも、組織のトップである林常雄(森恒夫を模した人物)、または永山寛子(永田洋子を模した人物)が、または二人が共同で、個人の支配欲を満たすために行なったとこだという見方も提示される。
    これは浅間山荘事件を語る際に、最も一般的に結論づけられることだ。
    共産主義をうたい権力を批判しながらも、結局、それはまた別の権力体制を形作ることにしかならない。それどころか、ある種の厳格さが、独裁的な暴力を発動していく。まさにスターリニズム。共産党の党権力を批判し、スターリニズムを批判していた新左翼も、結局は同じ穴のむじなになってしまったと。

    若松孝二監督の『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』のラストも、加藤兄弟の弟が「(森や永田の暴力、または集団の正義に異を唱える)勇気がなかった」と結論づけて終わる。私はこの映画に対して、とても力のある作品だとは思いながらも、このラストシーンには全く納得できずにいた。問題はそれだけではないだろうと。

    『起て、飢えたる者よ』では、ここで結論づけるのではなく、実は森や永田が持っていた個人の権力・暴力欲は、人間ならば誰でもが有する欲望であるということが示唆される。
    それは、物語が進むにつれて、山荘の奥さんが、江藤兄弟(加藤兄弟に模した)などから様々な教育を受けることで、永山寛子にシンクロしていき、坂内邦男(坂東国男を模した)を永山よろしく糾弾するシーンに見られる。
    その後、なぜ永山のように振る舞ったかを聞かれた奥さんは「・・・分からない。でも、カッっとなったのは本当よ。酷い悪口だったから。」「でもどこかで冷静に考えてもいたわ、どうすればこの人をやりこめられるだろうって・・・」「言葉って凄いわね。ああいう風に使えば誰だって追い詰めることができる。」
    と答えている。

    人の優位に立ち、暴力を行使したい欲望、つまり権力欲は、山荘の奥さんという極めて一般的な人の中にも存在している。また、それを行使する際に、肉体ではなく、言葉や論理の暴力性でそれを行っていることも、注目すべきだ。この集団は、言葉や論理によって自縄自縛されていた側面も大きい。
    ここにも、二重の問題がある。一つは、理想を貫徹するための理念に縛られているという部分と、一度自分が行使してしまった暴力を正当化するために、その正義を信じ続けなければならないという部分と。特に後者は、重要だ。一度犯してしまった間違いを、認めてしまっては今現在の自分が成り立たない。そのために、自分でもどこか疑いながらも、それを信じ込むことで自分を納得させるということは、日常のあらゆる場面で誰でもが経験していることではないだろうか。
    このように、個の欲望と集団の暴力、そこに言葉や論理の暴力性が様々に絡まりあうということは、先鋭化した政治集団に限った話ではないのだ。

    山荘の奥さんという一般的な人を介して、ある集団の内部と外部、過去と現在の問題点を、極めて批評的に浮彫にしている。


    このように、本当に素晴らしい作品だと思ったが、一点だけ、欲を言えば、、、という想いも残る。
    奥さんが永山に見えてくるという構造は、極めて面白い設定だと思ったが、
    その辺りから、ある種の幻想譚のようになってしまい、その寓意性を高めることには成功しているものの、同時に、ある種のリアリティが削られていってしまっている。

    一般的な奥さんが、革命家の論理を理解し、その言葉のレトリックを駆使して議論できるようになるとは到底思えない。さらには、ラストシーンで、坂上を打ち、権力に銃を向けるというところまで至る訳はない。

    勿論、これは暗黒童話のような寓意譚であり、そのことによって更に開かれた解釈を提示しているのだから、この設定や終わり方がプラスに働いている部分も大いにある。

    それでも言わずにはいられないのは、やはり、歴史として過去を対象化しないという問いかけがある作品のため、この物語が、ある種の幻想譚、つまり、作り事の物語に収まってしまってはもったいないと思うのだ。
    あくまで、本当にあり得たかもしれない別の話として終わっていたら、より地続きの歴史を、今現在を、認識できたような気がする。

    そうはいっても、この終わりはこの終わりで、素晴らしかったです。
    素晴らしい作品をありがとうございました。
  • 満足度★★★★★

    見ごたえあり!
    やっぱり、こういう本格的芝居は今後ものこっていくのでしょう。
    史実に基づいた中に山荘の管理人変貌のアイデアは素晴らしい。
    正直、見るまでは、あの事件の再現に近いものかと思っていたが、予想を超えていました。普通のひとが、あるきっかけで普通でなくなるということが、西牟田康子役渋谷はるかさんに象徴されていました。誰も革命が実現できるなんて思っていないのだが、引っ込みが付かなくなった1部の人間の権力保持がこんな狂気を生んだ。できれば、本当に怖かった迦葉山の出来事を含めた続編が観たいです。

  • 満足度★★★★★

    ウトウトしている人もいましたが
    劇団初見。
    中央の舞台を2方向から観る形。
    奥の方に行くには舞台上を通らなくてはならない。
    と言うことで間近で見たかったので奥へ!

    山荘の一室風舞台で、やはり柱が邪魔に感じたが(多分どこに座っても役者の顔が隠れてしまう場面があるだろう)柱があることで覗き見の様な感じになって強すぎる内容をオブラートに包む効果があったのかなと。
    何度か本気の絶叫があったりしたのでストレートに観てしまったら怯んでいたかもしれない。


    対面式なので対岸のお客の顔が見えるが割とウトウトしてる人も目に付いた。
    たまたまだとは思うがご年配の方に多かったので、その年代のかたには受けない内容なのかと少し気になった。

    ネタバレBOX

    環境にはまるとガラッと変わる人って確かにいる。
    自分で考えてる様に感じていても環境に流されてしまう事って十分あり得るのだろうな。
    それが怖い。

    この内容で、お客の何人からか笑い声が上がる場面があった。正直びっくりした。
    人によって見えるものってこんなに違うのかと。
  • 満足度★★★★★

    やっぱり凄かったです‼
    面白かったです‼初見でしたが、期待していた以上でした‼あの緊迫した空気感がたまりませんでした‼素敵な作品です。どうもありがとうございました。また観に行きたいです‼

    ネタバレBOX

    私自身が女ということもあり、「西牟田康子」さんに意識が行き過ぎてしまいました。全体を見失った感想になるかもしれませんが、彼女は自己選択出来ない自分を自己批判していたのに、「江藤倫路」さんによって洗脳され、最終的には一人で戦おうとしていました。それはある意味、戦うことを自己選択したと言えるのでしょうが、結局は口車に乗せられただけなのではないかと、「女性の弱さ」というものを見せられたように思いました。人間の弱点が見えた、そこがまた好きです。
  • 満足度★★★★★

    初日
    元の話は、私が母親のおなかの中にいるときに、テレビで観た(らしい)。

    ネタバレへ。

    ネタバレBOX

    昭和の香りを強烈にだし、ベースとなっている話の肝を取り入れながら、
    普遍的なものを、ある意味「アンチテーゼ」として描いているように感じた。

    非常に重かった。観終わって、少しの「絶望感」を持って気分が沈んだ。

    そう感じたのはこの話は「昭和の話」であるが、今でも起きているし、いつでも起こりうる話だと思ったからだ。しかも、それを完全に回避することは難しいのではないかとも思ったのが「絶望感」につながった。

    ただ、その点で組み込まれている数多くの「人間の性質」がとても示唆深かった。結構普遍的な課題が描かれている。それが驚愕。

    芝居として残念だったのは、
    ● 舞台が狭いので、観ていて「左右」だけで「前後」の動きがみえなかったこと。2次元的にみえました
    ● 自分では私が座ったところがベストポジションだと思ったが、それでも柱でちょっと見づらいところがあったこと
    ● 何カ所(2、3ではなくもう少し)かもごもごっと話すセリフがあり聞きづらかったこと

    逆に、
    ● 奥さんの衣装の変遷や、ある意味2重人格に変わるのはインパクト大
    ● 浅井さんのポジション。他の4人との違いが明確だった
    ● 西尾さんの前半・後半での見え方。前半はまったく存在感がないようにみえたが、後半の切り替わりがすごい。この役が私には一番グサッときた。

    ちょっと思ったのは、「総括」や「総括援助」はどこの世界でも起きうること。
    最近はやりの「半沢直樹」でも同じ。
    (といっても現実の話ではないが。ただ,デフォルメはしているもののありがちな話)
    結局、ホントの理念を持っているリーダーはそうは多くなく、「主観」と「私利私欲」で動いていたり、メンバーもなんとなくの流れで加わっていて、周りに流されたり、「打算的」になったりする。
    そんなことが頭の中をぐるぐる回っている。



  • 満足度★★★★★

    再演に感謝
    対面式客席の造りは、やはり、なにか落ち着かないので苦手。場面によっては役者さんが見えなくても、空気感が濃厚なので、大満足でした。6人だけなのに、もっと多くの仲間たちの姿も叫びも、浮かび上がってくる世界でした。

    彼らの闘争自体の非正当さ、自己矛盾や挫折という社会派作品という一区切りに収まらせることなく、心理劇としても成立させ、重い雰囲気でありながら、救いを感じさせる作品で、とても素晴らしかった。

    私は2度目ということもあり、物語を追うだけでなく、より深く響くことが多く、再演に感謝です。ぜひ、2回見ることをお勧めします

    ネタバレBOX

    全役者さん、魅力的で、それぞれが背負っている想いが濃厚で、脆さを支える為の圧倒的な説得力からは逃れられない・・・
    正当化させようとすればするほど、綻びが広がってしまう・・・
    人の脆さとすがりつきたい勇気、かすかな温もりの中の手応え、、、
    頑丈な骨格の中に潜む繊細さが、古川さんの本の魅力だと痛感しました。
    本の魅力を色濃く深く演出する日澤さんとは、最強コンビと思ってしまいます。

    特に、西牟田康子(渋谷はるかさん)の変貌ぶりや、にじみ出る真情が饒舌で、絶品でした。

    男性陣、皆様見事な、化けっぷり?何度もお見かけしている方々なのに、あまりにも印象が違いすぎて、何度も配役表を確認してしまった。

  • 満足度★★★★★

    自己批判します
    連合赤軍あさま山荘事件を題材にした作品。
    異様なルールを持つ組織の凄惨なリンチ、生中継や
    女性リーダーの人間性が話題になった事件だが
    実は閉鎖的な集団における“思想に理想を求め過ぎる頭でっかち”達の暴走劇でもあった。
    組織の中で自分を守るために強いものに服従し、暴力に名目をつけて正当化する。
    その根底にある人間の弱さをえぐるように描いた脚本が素晴らしい。
    ラスト、銃口の前にたたずむ坂上の表情がこの組織の終焉を示して秀逸。

    ネタバレBOX

    対面式の客席から見下す舞台は、いかにも山荘のリビングらしい部屋だが
    テーブルの上にごつい荷物が積み重なっていてのどかさはない。
    男たちの「起て、飢えたる者よ」というインターナショナルの歌が次第に大きくなる。

    軽井沢の山荘に連合戦線の5人が逃げ込み、管理人の妻を人質に立てこもる。
    リーダーは紳士的に接するが、やがて彼女を“オルグしよう”という意見が出る。
    平等な世の中を作るために闘っている自分たちは、人質などという不平等を否定する、
    理念を伝え教育を施し、彼女を同志にして共に闘おうというのである。

    いやいやそれは無理でしょ、という思惑に反して彼女は驚くべき変貌を遂げる。
    夫に従い自分の意志を持たず、責任からも逃れていた自分を認め総括したのちは
    覚えたての革命用語を駆使して男どもを一喝、
    「総括」できない同志を批判して黙らせ、ついには5人を従えて君臨する。
    そして(男たちが極度に怖れる)「永山さん」と呼ばれるようになる。
    組織はどこかで“永山さん”を必要としている、という怖ろしさ。
    渋谷はるかさんの「言葉ってすごいわね」という台詞に実感がこもる。

    こうして女が突出する一方で、男たちは分裂していく。
    せっかく永田から逃れたのに、結局同じことをして仲間を死に追いやり、5人は3人になる。
    組織と思想の終わりを悟った坂上の決断、それを覆す“永山さん”。
    “最後の闘士”はついこの間までおどおどしていた管理人の妻だ。
    その妻がひとり、警官隊に向かってライフルを構える…。

    思想が偏っているというより、運用する人間が偏っていたということが伝わってくる舞台。
    疑問を持ちながらもやらなければやられる恐怖心から、皆暴力に加担していく。
    リーダー坂上役の岡本篤さん、抑えた台詞がキャラに陰影を与えて
    死の瞬間まで魅力的な人物像を作り上げている。
    一人別組織から加わった坂内を演じた浅井伸治さん、
    孤立した立場ゆえの不安と焦燥から
    常に優位に立とうと激しい態度に出る姿が痛々しいほど伝わってくる。
    江藤兄を演じた西尾知樹さん、最初に処刑された長兄の復讐のため
    組織を誘導して来たと告白する後半、
    真意を明らかにする心情が切なく、キャラに奥行きがあった。

    管理人の妻を演じた渋谷はるかさん、
    変貌のプロセスに無理を感じさせない演技が素晴らしい。
    消え入りそうな声から恫喝する声まで、自在な台詞が舞台全体をけん引する。
    総括後に夫からの電話に出た時の声、男たちが思わず凍りつくような変化を見せる。

    小さな日めくりを破いて時間の流れを示す演出が効果的。
    照明による切り取り方もとても良かったと思う。

    人を幸せにするどころか死人を増やすとは、何と虚しい思想だろう。
    思想と社会、社会と組織、組織と個人、個人と自由、
    そして人は誰でもこんな風に変わる…。
    劇場を出てしばらくはドミノのように次から次へと思いめぐらさずにはいられなかった。
    駆け抜けるような2時間超の充実。
    3年ぶりの再演に心から感謝します。
  • 満足度★★★★★

    異議なし!
    浅間山荘事件をモチーフとした話でした。観賞後、Wikipediaで実際の出来事を確認したところ、劇での話とは異なりました。実際の事件を知ってた方がより楽しめるかもしれません。自分は詳しくは知りませんでしたが、十分楽しめることができました。

    舞台や衣裳、音響、照明、スタッフ、タイムキープどれも満足でした。ストーリーはやや閉じてしまった感が否めませんが、題材から到達できるものとしては、かなり水準の高いものに仕上がっていました。

    役者陣も良かったです。特に渋谷はるかさんの演技には吸い込まれました。

    良い舞台を見させていただけて本当に感謝しております。

  • 満足度★★★★★

    パワーアップ、普遍性
    初演の時よりパワーアップしていました。文句のつけどころがありません。
    初演から3年も経ったとは驚きですが、当時このような題材の芝居をやる勇気に敬服したものですが、今となっては時代を越えた普遍性のようなものを感じ、これは何度上演されてもなんら問題ない作品に昇華されたのだということを理解しました。
    一部キャストが入れ替わって(個人的には蒻崎さんが出てないのは残念)ずいぶん変わってしまうのだろうかと思いましたが、皆さん抜群の演技力で良かったです。

  • 満足度★★★★★

    悪霊はわたしたちの中にいる
    この時代のしかもこの題材を直接的に取り上げることは、まだ我々の世代においては逡巡するところがあると思うが、この若き劇団はそれを真っ向から挑んだ。そして演劇というアイテムを使って人間の謎にせまるドラマを形作った。その取り組みは、社会的な存在意義をもたない趣味的小劇場劇団が大多数の中では注目すべき成果であると思う。

    ネタバレBOX

    はじめは史実の通り、追い詰められた革命戦士たちが山荘に逃げ込み、管理人夫人を人質にとって籠城する。しかし、その先は史実と違って警官隊も現れず空回りの空白の時間が過ぎていく。その中で管理人夫人を革命戦士にオルグしようという意見が出る。そして、意外にもオルグは成功して管理人夫人は単なる人質ではなく同志になる。やがて彼女は同志に留まらず、かつて山岳アジトで総括という名の凄惨な虐殺を繰り返した指導者の幻影としてよみがえる。このフィクションは強引にも思えるが、ごく普通の人々が残虐な行為の当事者になっていくのだということを現しているのだろう。管理人夫人を演じる渋谷はるかは大人しい一般女性から狂信的な指導者へメタモルフォーゼする。男優陣の演技も充分説得力を持っている。16人の同志殺しの行為者たちもはじめはわれわれと同じような普通の人たちで世の中を良くしようと思い行動して、結果的には歴史の闇の悪霊になってしまったのだという人間の不条理性をこの芝居はリアルに表現している。
  • 満足度★★★★★

    あの革命は何だったのか
    社会派の劇団を観るときは「理解できるかな、楽しめるかな」という不安を抱くのですが、いつもながら劇団チョコレートケーキはその不安を払拭して芝居にぐいぐいくと引き込み、ついにはここが劇場であること、目の前で繰り広げられているものが演劇だということを忘れさせてくれる・・・。今回はあさま山荘事件をベースに「あの革命は何だったのか」を、緻密で硬派でありながら実に理解しやすい脚本と演出で表現。描かれる一人一人の人間の、心と行動が重なり合って更に動いていく様は圧巻。中でも、オルグされた人質の主婦(渋谷はるかさん)が逮捕された女性指導者さながらに思想を主張する様、彼女の存在で革命家達の心の武装が解かれて乱れていく過程は、こんなに緻密な作劇が可能なのかと舌を巻きました。役作りのためにダイエットをした岡本篤さんの葛藤を秘めた演技も素晴らしく、カーテンコールでの熱い拍手にも納得の極上のお芝居でした。

    ネタバレBOX

    敢えて下世話な書き方をしますが、岡本さんと渋谷さんのラブシーンには「萌え」。突然、頬に手を添えてのキス(してないかな?角度的に見えず)の後に岡本さんの「痴漢行為を自己批判します」。心の中できゃあきゃあ言ってしまいました(笑) 深谷さんの「・・・意義なし。」にもキュン。これ流行らせたいですね(笑)
  • 満足度★★★★★

    やはり凄い!
    初演に続いで2度目の観劇。相変わらず緊張感に満ちた芝居なのですが、再演ということで、ディテールも注意深く観ることができました。かつて日本にこのような集団が存在していた事を伝えていくためにも、再演を繰り返して欲しい作品です。

  • 満足度★★★★★

    凄ぇ!以外の言葉なし
    初演も観ているけど,やっぱ再演も「凄ぇ」の一言に尽きる。キャストが変わっても,六人の演技が心に響くんだよなぁ。芝居の質は全く変わらない。観劇後は,ただただ放心していました。初演時は三方向の囲み舞台だったけど,今回は挟み舞台。とにかく芝居にのめり込みたいから,最前列に陣取って観劇しましたよ(まぁ,最前列でなくてもこの芝居ならのめり込んでしまうんだろうけど)。熱気と迫力,そして狂気と絶望,充分味あわせていただきました。チョコレートケーキの芝居に死角なし,もう満足です。次回作も予定されている。これもまた待ち遠しい限りです。

  • 満足度★★★★

    初日観劇
    対面式客席、実在の事件を基にしたフィクション。
    総括という名で皆の前で反省発表会、自己中が集まるとミイラ取りがミイラになり、結局アンタらどうしたいの!っと突っ込みたくもなったが、全体的に濃密でヘビーな観劇でした。異様な時代の出来事だけど、現代でも起こりうるような話。あの時代を体験してた人は朝まで喋り場しそうな舞台。
    楽しむ要素は皆無、骨太な知る演劇を見た感じ。
    約2時間。

  • 満足度★★★★

    総括しなさい
    とても面白いが、柱が邪魔で残念。渋谷はるかはピカイチ。

    ネタバレBOX

    山荘に逃げてきた男5人。オルグされた山荘の奥さん・西牟田(渋谷はるか)を含めた6人で総括と自己批判を繰り返す中、坂内(浅井伸治)と吉田(加藤大輔)が総括援助され、江藤倫路(西尾友樹)が復讐を目的としていることがわかる。西牟田は共産意識を高め、(赤軍幹部の)永山と呼ばれるが、坂上(岡本篤)から江藤兄弟を逃がすことを言われ異議なしと応える。二人を逃がし、西牟田も逃がそうとする坂上に銃を向ける西牟田が引き金を引く。そして、男5人に歌で送り出され、西牟田は「銃による殲滅戦」に一人身を投じる…。

    120分あっという間。序盤の赤軍理論に面食らって笑いそうになったが、西牟田の変貌からグッと引き込まれる。坂内に総括を迫るシーンとか最高。ダンナからの電話に応じる際の声の調子もいい。

    赤軍とかの知識はほぼ無いけど(その理屈に理解もないけど)、本作品は赤軍理論と過去の事件に翻弄され苦悩する人間をホットに描いているとこがいい。
    兄の復讐を胸に総括を強要する江藤兄とか、永山の夫だった坂上の苦しみとか、「革命」を信じた愚かさとか、どんどん崖っ淵に進んでいるのに引き返せない男たちの暗部を描く。対して、夫に従い横領までして一人山小屋で留守番してた西牟田が、総括で解放され生き生きして見える。幹部・永山と見間違うような振る舞いをし、赤軍理論に染まり、その目的に突っ走る西牟田が美しかった。
  • 満足度★★★★


    チケプレで。ありがとうございます。

    役者さんたちの熱に引き込まれました。

    ネタバレBOX

    全共闘世代の話はいつもよくわからない。

    ゆえに笑ってしまう部分もあります。

    その分、自分がこの時代に若者で、学生だったとしたら「革命を」と思うのだろうか、オルグされてしまうのだろうかと怖く感じたりもしました。

    怖いと笑いはどこかで紙一重だ。
  • 満足度★★★★

    事実を基にしたフィクションの難しさ
    故若松孝二監督の「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」がフェイバリットムービーの一つである自分には成程こう言う解釈もあるかあ、大胆な発想だし、意外性のある展開だなあと感心しきりでしたが・・・

    ネタバレBOX

    多少リテラシーが必要な話だった事もあり、私の隣の人は退屈したのか観劇中何度も時計を光らせて時間を気にしていた。勿論その人もマナーもいかがなものかと思うが、逆に言うと、当日パンフで説明しているとは言え、それだけだと知らん人には引っ張りが無かったのかなあと思いました。
    知っている人には、完全フィクションに転がって行く展開、その転がり方が面白かったのですがね。

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