実演鑑賞
初日と前楽を観劇。
大好きな俳優二人ががっぷり四つに組んで火花を散らす。いや、違うな。決して戦っているわけではない。可愛らしさも、可笑しさも、激しさもぶつけ合っているけれど、相手を倒すわけでも、やり込めるわけでもない。それぞれが持ちうるスキルと感情を、これでもかと惜しみなく披露して、それが互いを刺激して、高め合う熱情がうねりのように遠心力を増して空間を飲み込んでいく。物凄いモノを観てしまったなという思いを客席が共有した。
ストーリーは二度見ても掴めなかった。理解しようとする程に混乱した。でもきっとそれが正解のような気もしている。なぜなら彼女たちは精神に異常をきたしているという話なのだから。終演後の腑に落ちなさは、まんまとしてやられたのかもしれない。
実演鑑賞
満足度★★★★★
翻訳劇ではあるのだろうけれど、それを忘れてしまう人物の抱く想いの生々しさがあった。
観ていて訪れる日々のタイトさに加え、観終わって浮かび残る彼女たちの人生への思索がある。一過性ではない俳優たちが紡ぐものの見応えに感心。
実演鑑賞
満足度★★★★★
お二人の役者さんの息がぴったりで、セリフも多くとても見応えがある作品でした。演技力はもちろんですが、もはや演技というより主人公に成り切っている感じです。沢山の方に観て頂きたい素晴らしい作品でした。
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2024/02/28 (水) 19:30
「排除された女性たちが突きつけること」
出演者の熱演と戯曲の強いメッセージが胸を突く1997年イギリス初演の二人芝居である。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/03/02 (土) 13:30
正直、最後まで"わかって"見ていた訳じゃなかった。迷った末、前情報なしで観劇したので登場人物二人のバックボーンも、戯曲の構成もなかなか掴めずステージで繰り広げられるやり取りを見ながら、頭がフル回転していた。
二つの世界と、台詞の応酬にどんどん引き込まれた。
ひらひらと揺れる白いカーテンに幻想的な光。デッキブラシを力強くこする音。蛇口から勢いよく出る水音。水槽の中でくるくると舞う熱帯魚。観劇から1週間経っても、はっきりとまだ思い起こせる舞台美術、とても素敵だった。
断絶された空間であまりにも長い歳月を過ごした二人がようやく、穏やかな表情を見せたラストシーン。
ゆっくりと胸に感動が広がって、舞台上の二人がたまらなく愛おしかった。どうかその手を離さないでと思わず願ってしまった。
座席によって、二人の表情も動きも見える部分がだいぶ違ったなぁと思うと1公演しか入らなかったのが悔やまれる!
でも、ぐっと集中してその一回(お二人が、それはもう全力で演じているのをひしひしと感じた)を目撃できたこと。とても嬉しかった。
旗揚げ公演から足を運んでいる「カリンカ」
毎回新しいことに挑戦している俳優、橘花梨さんのますますの活躍がとても楽しみ。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/03/02 (土) 14:30
カリンカ常連です!知的障害者をモデルとしたお芝居があまりにもリアルすぎてのめり込むように見てました。そして社会問題されるレベルの深刻な話の中、水泳のシーンやセリフの中にボソッと笑えるワードを入れていて見ていておもしろかったです!これからも橘花梨はじめカリンカを応援しています!
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/03/01 (金) 14:30
冒頭2~3分でその膨大な台詞量を予期して舌を巻いた通り、とある施設に入所している人物二人の会話、会話、また会話……。
登場人物に憑依された演者二人の時にヴィヴィッド、時にしっとりした言葉のシャワーを浴びているうちに過ぎ去る「演劇」を「体感する」110分、スゴかった。
また、頻繁に挟まれるスタンダードナンバー(脚本での指定と推測)によってどこか和やかになる気がすることにNHKの「美の壺」に通ずるものを感じたりも。
あと、「いかにも翻訳劇」な台詞も「演劇」っぽかったか?
実演鑑賞
満足度★★★★★
友人に誘われたまたま見に行った作品でここまで圧倒されると思わなかった。
この作品を取り上げるセンスと上演を実行に移す力、圧倒的な台詞量とアップダウンの激しい会話劇を2時間弱走り抜ける俳優の技量と熱量、難解な海外戯曲を形にする演出力、全てに脱帽だった。
この作品が伝えようとしていることをどれだけ理解できていたか、すべてを理解できたとは到底思えないが、二人の関係性が変化していく様、互いをケアしながら生き延びようとする姿は愛おしく切なかった。私自身トランスジェンダーであり、また長期入院している精神障害者の支援に携わっているため、他人事には思えないということもある。なにが「異常」「犯罪」かは社会の趨勢で変わる。しかし、私たちはいつでも、ここに、たとえ隔絶され、差別され、忘れ去られようと、ここに生きている、生きようとしている、と。
しかし、とにかく演技や演出、舞台美術や照明が素晴らしかったため、ここまで強烈な印象を残しているのだと思う。感激から3日経った今日でも二人の姿を思い出しては胸が痛む。エアスイミングのシーンや二人のダンスパーティのシーンでは切なくて涙が流れたし、翻訳の戯曲だが笑わせるところは演技力や台詞の機微で客席から笑いが何度も漏れていた。
何度も見たい、もう一度見たいと思わせてくれる作品だった。
実演鑑賞
満足度★★★★★
開始数分でガッチリ世界に引き込まれました。
パッション!!
舞台上に2人しかいないなんて信じられない、と思うほどの熱量を浴びる事ができました。
世の不条理を背負った登場人物2人の関係性が徐々に変化していく様子に、喜怒哀楽、全ての感情が沸き立ちました。
劇場内の空間、音、光、水…それらにも五感をバシバシ刺激されました。
観れて、出会えて良かった作品です。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/02/29 (木) 19:30
橘花梨さん、小口ふみかさんお二人の世界にぐっと引き込まれた。
現実と妄想。
希望と絶望。
胸が痛くなった110分でした。
素晴らしい舞台をありがとう。
実演鑑賞
満足度★★★
これは難しい戯曲。初心者が気軽に楽しめるようなものではない。でもガッチリ客は入っていたし、皆結構真剣に観ていた。自分なんかが気楽に観るような代物じゃない作品。あやめ十八番の堀越涼氏演出ということでいろいろサービスしてくれるんだろうと勝手に思っていたが、そういう訳でもなかった。これシアター風姿花伝とかでやる奴じゃん。下北の日曜の昼間に精神病院に監禁された女二人の数十年の闘いをガッチリ観劇する層。凄い文化だ。
女優二人は完全に狂っていた。只々それを見詰めるのみ。『蜘蛛女のキス』とかこういった閉鎖的環境での狂気こそ、「これぞ演劇」なのだろう。ただ、もっとサービスしても良かったのでは。字幕の投影とかで時間の経過を示した方が今作の意図が伝わったと思う。(ただ説明を入れると作品の意味合いが変わってしまうのでそこも難しいところ)。
キチガイの妄想なのか?、キチガイ扱いされた常人の苦悩と発狂なのか?で物語の見え方は大きく変わってくる。今作ではキチガイが妄想で生き延びる話に見えてしまう人が多いかも知れない。
ドリス・デイがキーパーソンなのだが、彼女が生まれたのは1922年、小口ふみかさんが収監された年。ドリス・デイの人生と長い監禁生活を重ねているのだろう。1956年の『知りすぎていた男』の劇中歌、『ケ・セラ・セラ』が印象的に使われる。演出で興味深いのは流れる曲と台詞のタイミングが完璧にシンクロしていること。計算され尽くしている。
タイトルの『エアスイミング』の場面は素晴らしい。アンナ・カリーナ主演の『アンナ』を思わせるポップさ。60年代のフランス映画の雰囲気。シンクロナイズドスイミング(アーティスティックスイミング)の気分。
実演鑑賞
満足度★★★★★
正直なところ、現実と虚構が入り混じった本作の内容をどれだけ理解できているかと問われれば甚だ心もとないのだが、小口ふみかさんと橘花梨さんの演技がとにもかくにも素晴らしく、お二人が登場した瞬間から引き込まれた。あとは1時間50分、眼の前で繰り広げられる圧倒的な台詞量とスピーディーな展開を全身に浴び、終演後もしばらくはお二人の表情や動作の残像と声の残響が続いていた。
実演鑑賞
満足度★★★★
正直、難しくて話の理解が…けど、すごいのを観たのはわかる気が…
膨大なセリフ量と出ずっぱりでの表情・演技。特に相手を思いやる2人の関係性の変化をあらわす表現、すごかったな。舞台装置と照明や音響がぴったり。
実演鑑賞
満足度★★★
難解。物語の背景設定は何となく理解したが2人が織りなす虚構、空想の会話の意味、ひいては戯曲が伝えたい事を受け取りきれなかった。
隔離された世界で精神崩壊を防ぐ術だったのか?
女優2人の狂気を纏った演技やカーテンを使った美術、演出は素晴らしいと感じた。
実演鑑賞
満足度★★★★★
千秋楽、観劇して来ました。初日に観劇して、本日二回目でしたので、ストーリーはわかっていたのですが、何故だろう?前回よりさらに引き込まれました。
『生きる』って、こんなに尊いことなんだとあらためて思い知らされました。
橘 花梨さん、小口ふみかさん、素敵でした。
実演鑑賞
満足度★★★★★
役を2時間演じきるという制約が
劇中では生きる為に彼女たちが選んだ手段であり、小さな劇場内で発せられるパッションが収容所から外の世界へ渇望する彼女たちの願いと綯交ぜになっていて圧巻でした。橘さんのパンチのある芝居と小口さんの大胆かつ繊細な芝居のバランスがとても良かったです。