エアスイミング 公演情報 カリンカ「エアスイミング」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    これは難しい戯曲。初心者が気軽に楽しめるようなものではない。でもガッチリ客は入っていたし、皆結構真剣に観ていた。自分なんかが気楽に観るような代物じゃない作品。あやめ十八番の堀越涼氏演出ということでいろいろサービスしてくれるんだろうと勝手に思っていたが、そういう訳でもなかった。これシアター風姿花伝とかでやる奴じゃん。下北の日曜の昼間に精神病院に監禁された女二人の数十年の闘いをガッチリ観劇する層。凄い文化だ。

    女優二人は完全に狂っていた。只々それを見詰めるのみ。『蜘蛛女のキス』とかこういった閉鎖的環境での狂気こそ、「これぞ演劇」なのだろう。ただ、もっとサービスしても良かったのでは。字幕の投影とかで時間の経過を示した方が今作の意図が伝わったと思う。(ただ説明を入れると作品の意味合いが変わってしまうのでそこも難しいところ)。

    キチガイの妄想なのか?、キチガイ扱いされた常人の苦悩と発狂なのか?で物語の見え方は大きく変わってくる。今作ではキチガイが妄想で生き延びる話に見えてしまう人が多いかも知れない。

    ドリス・デイがキーパーソンなのだが、彼女が生まれたのは1922年、小口ふみかさんが収監された年。ドリス・デイの人生と長い監禁生活を重ねているのだろう。1956年の『知りすぎていた男』の劇中歌、『ケ・セラ・セラ』が印象的に使われる。演出で興味深いのは流れる曲と台詞のタイミングが完璧にシンクロしていること。計算され尽くしている。

    タイトルの『エアスイミング』の場面は素晴らしい。アンナ・カリーナ主演の『アンナ』を思わせるポップさ。60年代のフランス映画の雰囲気。シンクロナイズドスイミング(アーティスティックスイミング)の気分。

    ネタバレBOX

    穿頭術(せんとうじゅつ)とは、頭皮を切開して頭蓋骨に穴を開ける古来よりの手術法。精神病の治療に使われ、ロボトミー手術に発展する。

    モデルになったのは女性二人の実話。1922年、イギリス「聖ディンプナ精神病院」に収容されたドーラ・キットソン(小口ふみかさん)。レズビアンで男装趣味だったことが理由。イギリスでは1967年に男性同士の性行為が条件付きで合法になるまで同性愛は犯罪だった。1924年、上流階級育ちのペルセポネー・ベイカー(橘花梨さん)は21歳にして父親にこの「触法精神病施設」に入れられる。妻帯者のレジーと恋愛関係になり、妊娠出産したことが家名に泥を塗った。奪われた赤ん坊は何処かに養子に出されてしまう。二人はドルフとポルフという架空の人格を演じ続けながらこの地獄に耐えていく。

    ブロマイド3枚500円、自分が買ったのはお二人のサイン付きだった。当たり?

    橘花梨さんの左瞼に違和感を感じた。病気じゃないといいのだが。吉川晃司も最近急に症状が出て検査を受け手術している。

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    2024/03/05 02:32

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