実演鑑賞
満足度★★★★
数か月経ってもなお、俳優の細やかな仕草を思い出します。
強く左右に引かれた口もと。遠くの宙を見つめる目じり。バスタブに置かれた指先の緊張。
役者が今そこにいる熱気を思い出します。
今作の感想に、熱演、という言葉をいくつも目にしました。熱演、を辞書で引くと「熱意をもって演じること」というように書いてあります。けれどその言葉以上に「心身ともに熱気を浴びた!」と感じる客席でした。それはもちろん出演者ふたりの俳優としての熱量、どんなシーンも保ち続けられた演じるテンションの高さがあります。なにより俳優ふたりの相互の影響。片方が発し、片方が受け止め、また発する。互いに打ち響き合い、大きなうねりを作っていく。ふたり芝居の醍醐味を感じました。
また、二面舞台でほかの観客や角度を意識してしまう空間の影響や、演出のリズム感もあったように思います。演出の堀越涼さん(あやめ十八番)ならではの音やリズムが、俳優の熱量を促進しているように感じました。
これらの融合により、この座組でのみうまれた『エアスイミング』の舞台空間でした。