第45回関東高等学校演劇研究大会 公演情報 第45回関東高等学校演劇研究大会」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-13件 / 13件中
  • 満足度★★★★

    甲府昭和高等学校「 放課後の旅その他の旅」
    脚本: 中村勉( 顧問創作 )
    関東大会最優秀、脚本賞受賞(第56回全国高等学校演劇研究大会に推薦)


    高校生のともちゃんが放課後から下校時間までを学校の中で旅をするお話。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    オザワともこは同級生から「ともちゃん、今から旅をするんだよ」なんて言われて旅をすることになる。さて、旅を強いられても特別に行く当てもないともちゃんは、自分の学校でのポジションがないことに気づく。みんな、それぞれ自分のポジションを自覚してるのに・・。

    ともちゃんは同級生に促されポカン!としながらも自分の居場所を探しに行く。保健室へ行くと先生は「旅の目的の相談ですね。」と先回りする。ともちゃんは覚えがないけれど、予約が入っていたようなのだ。先生は「オザワは辛いよな。」なんて言いながら猫を探している。ともちゃんは「猫より大事にされない・・。」なんて嘆きながらも、今度は図書館に行ってみる。

    図書館では雑多な本が何だか踊ってるように動く。この場面の演出がお見事!だった。そうしてまた、ともちゃんは屋上や廊下や音楽室や色んな場所に行ってみるけれど、何処にも居場所はなくて、なんだか疲れてしまう。

    「もうそろそろ戻りたいな・・、でも戻ってもなかなか大変だな。私、ずっと旅してたんだね、旅は色々あるんだね。疲れた・・。」

    それからもともちゃんは何年も何年も旅を続けてました。「なぜ旅を続けたんだろう?この謎を解かないと家に戻れないぞ・・。」

    こうして16歳のともちゃんは自分のポジションも解らなくておばあちゃんになるまで旅をしていたんだ。おばあちゃんは振り返って思う。「楽しい旅だった。そして淋しい旅だった。」

    あやふやで傷つきやすくてちょっとの事でも悩んでしまう、そんな思春期の思いを旅という空想に乗せながら自分のポジションを追い求めたある女子の物語だった。序盤、不思議なぐだぐだな世界だなーって感じたのだけれど、終盤にさしかかっておばあちゃんが車いすで登場した場面から、「ああ、この物語は人生そのものだったんだ。」って気付かされる。

    きっとみんな誰でも自分のポジションを追い求めてふらふらしながら迷いながら、それでも諦めずに追い求めるのだと思う。何かにしがみ付いて、その恰好がやたらカッコ悪くて、みっともなくても、それでも這いつくばって生きる人生って素敵だと思う。そうしてやがて年老いて自分の人生を振り返った時に、ポジションらしきものが見つかってなかったとしても、そのあやふやな立ち位置が自分のポジションだったんだ。と気づかされるのかも知れない。その時にはそんな生き方も受け入れられる幅が出来てるはずだ・・。


    関東大会全体の総括
    全体的にひじょうにレベルが高く満足した。一日に6~7本を1時間ずつ公演するのだから、ワタクシたち観劇人も芝居漬けだったが、疲れることなく実に楽しいイベントだった。私見だが、どうやら審査員たちは、高校生らしい物語(現在の描写)と自分たちで制作した脚本が入賞させるに相応しいと感じたようだ。だから演技力とかうんぬんより、旬の作品上演校が受賞を総なめにした感がある。ロビーでは各高校のボードにコメントが多数、寄せられてて大会の空気感を満喫した2日間だった。次は全国大会へ。(^0^)
  • 満足度★★★★★

    松戸馬橋高等学校・ 神隠し「八十八ものがたり」

    優秀校受賞(第4回春季全国高等学校演劇研究大会に推薦)されました。おめでと~。。
    脚本は既成のもの。ここの顧問の土田先生も有名で毎年大会に出場する常連校。いやはや、もうこーなってくると堪らなく楽しい!(^0^)

    生徒達はきっちりとした演技で実に素晴らしいです。特に女子は自分を綺麗に見せようとか可愛く見せようとか思わないレベルで見事な演技でした。観ていて気持ちが良かった。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    220年前、岩城郡米里村の長者が神隠しにあう。しかし、その真相は神隠しではなく八十八という男が人を騙しながら金儲けをし、自分の死んだ親をとことん金儲けの道具に利用した挙句、大金を掴み、更に長者の金も騙し取って下男ともども大川に溺れさせるように仕向けた。という物騒なお話。だけれど、この話を仕組んだ村人達に、役人が「長者が持っていた金はどうした?」と聞くと、全員がとぼけるという状況!笑

    県大会前日に役者がインフルエンザにかかり、役のセリフを分けて上演にこぎつけたらしいが、どうしてどうして・・実に素晴らしい完璧な演技でした。上演時間1時間という制約のなか、舞台はハイペースで流れるように進んだため、息をつく暇もなく、なんだか滑稽で楽しくてやたら可笑しくて上演時間が2~3時間くらいあったように思えた。そのくらい中身の濃い素晴らしい演技でした。

    これだけの舞台を魅せてくれると茨城まで来た甲斐があります。んー全国大会も行きたいなー。きっと震えるような舞台に出会うはずだ!

    演出、セット、キャストの演技、衣装、どれもこれも完璧!

  • 満足度★★★★★

    麻布大学付属 渕野辺高等学校「 おやしらず 」
    脚本は既成のもの。ここの顧問も実力のある先生で大会常連校。

    クリスマス要素たっぷりのハイテンションな劇でホント、楽しかったぁ~。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    とにかく楽しいの一言!ファントムが出てきた時点でワクワクドキドキ!
    全体の作り込み、魅せ方、演出が上手い。流石!でもって登場キャラクターがファントム、ゲイリーウイッチ、オーストラリアトナカイ、南極トナカイ、ユーラシアトナカイ、アフリカトナカイ、サンタ、くるみ割り人形、クララ、なんつってファンタジー真っ盛りなわけよ。笑

    これだけのクリスマスバージョンを季節はずれの今?なんて思うかも知れないけれど、彼らが勝ち上がってきたまでは季節はずれなんかじゃなかったっ!しか~し、季節は外れても楽しいものは、めちゃんこ楽しい!

    真っ赤なお鼻のトナカイがトナカイインフルエンザになって真黒なお鼻のダークトナカイになった場面なんか、思わず拍手したかったもんね。でもってファントムとゲイリーウイッチは親子って設定なんだけれど、この二人の会話が絶妙。で、このまま突っ走るのだろうか?と思いきや、実はこのシーンは演劇部の練習シーンで、その中の一人の少女にスポットを当てる。

    その少女こと奥山優の妹、実果は不登校で家にいた。父親は歯医者、母親は専業主婦。優はそんな家族で育ち両親に甘えながら育ったが、ある日、姉妹だと思い込んでいた実果は本当の妹ではないことを知る。そして自分も両親の実の子でないことを知ってしまう。二人は施設にいたのを両親に家族として迎い入れられたのだった。そしてその両親も、実は施設で育ったことから、本当の家族の形を知らない両親は施設での年中行事を家族としての行事として同じように実行していたのだった。

    両親は自分たちが施設で育ったことから、同じ境遇の子供を育てようって決め、本当の家族のようにしていた。優がおばあちゃんと思っていたのは実は両親を育てた寮母だったのだ。この血のつながりのない家族が本当の家族としてお互いを受け入れ真実の家族になるさまを描いた物語だったが、ここに演劇部が奥山家の年中行事であるクリスマス会を華やかにしようとパーティーの企画を考えて実行するという芝居。

    夢のある仕掛けを会場にはりめぐらし、楽しくてちょっぴり切なくてファンタジーな世界でした。ワタクシ、こういった演出は大好きです。ファントム役の新井のファントムっぷりぷりが秀逸で素晴らしかった!

    クリスマスにこういった家族の物語って多いけれど、やっぱクリスマスには家族が良く似合う。

  • 満足度★★★★★

    大船高等学校・ ミュージカル『アイ・ラブ・坊っちゃん』
    ここの高校の顧問の野間哲先生が実力のある方で大会の常連校です。実に楽しみにしていたミュージカル♪

    セットがひじょうに凝っています。道後温泉のセットなど、お金かかってんだろうなー。と思いっきり感じた。気合入ってます。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    明治の文豪夏目漱石が「坊ちゃん」を書き上げた11日間をミュージカルで描く。漱石は癇癪持ちで、家族とも上手くいかない、そんな自己嫌悪との日々を戦いながら「坊ちゃん」を執筆するわけだけれど、自ら書いた登場人物に励まされたり、気づかされながら、自己を見出していく様をびっくりするくらい完璧にミュージカルに仕立てていた。

    悪妻と言われた鏡子の真相も解き明かされ、「坊ちゃん」のストーリー展開とともに漱石の人間的成長が明らかになる。夫婦愛や盟友・正岡子規との友情をも織り込み、完璧でまったく欠点のないミュージカルでした。お馴染みの猫が登場するのだけれど、この猫役のキャストがバレーを習ってるのか、キャッツのような動きで、実に美しいのです。高校生のキャッツ!素晴らしい!

    そして、山嵐と正岡子規役のキャストがいい味出してました。人が人らしくあるための正義なんつって赤シャツをやり込めるシーンはスカッとした!(^0^)ものすっごいハイレベルな高校生たちで、プロ並み。こうした有名校にありがちに部員も多いようでミュージカルに欠かせない出演者の多いこと、多いこと!(^0^)

    いつも完全ばかりを求めているから満たされない漱石に、正岡子規は言うんですね、「キャッチボールの基本は相手の胸をめがけて、しっかりと投げる。例え相手がひねくれた球を投げても文句言わずに拾う。」
    人生の基本かもしれないね。(^0^)

    こんなに完璧で素晴らしいミュージカルだったのに受賞出来ませんでした。やっぱ、ミュージカルは高校演劇に不向きだったんでしょか?
    ワタクシは十二分に楽しんじゃった!飛んだ高さにも感動!(^0^)

  • 満足度★★★★

    静岡市立商業高等学校「 はなまぼろし」
    脚本は既成のもの。

    ただ自分が思う事をしただけで、誰一人として悪かった訳じゃなく、みんな、それぞれひたむきに誰かを愛していただけなのです。それぞれの想いが交差する物語。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    その昔、貧しい村では間引きと言って子供を水子にさせた時代があった。その水子の霊が見える桜子と学生の恋の物語。

    自分を無能だと卑下していた学生は学校から逃げ出して死のうと考えて死の旅に出る。その途中、満開の桜に魅入られ山に入った学生は美しい桜子に出会う。聞けば桜子は幼いころ、桜塚に捨てられていた女だったという。学生は何故か桜子の前では素直になれる自分がいて、自殺しようと考えていた事までも話してしまう。(究極の恋愛は同情から始まるって言うけれど、どうやら本当のようだ!)
    そんな学生に桜子も恋心を抱くが、桜子にはいいなづけが居たことから、ほのかな恋心を抱いた学生も桜子を諦めてしまう。しかし桜子は学生の子を産みたいと考え、この村に言い伝えられている「好きな人の飲み残しの茶を飲むとややこが宿る」というのを信じて学生が帰郷した後に飲み干してしまう。

    やがて、桜子はいいなづけの作蔵と結婚する前に子供が生まれてしまうが、作蔵は俺の子だと桜子を庇ってまでも結婚する。しかし、学生が元気になって村に訪れると、桜子の抱いていたややこは溶けて桜の花びらになってしまう。桜子は自分を淫らな女の血が流れてる、呪われた水子の定めだと言って崩れ落ちるが、やがてこの物語自体が現実の世界で、子供を水子にさせてしまった少女の妄想だと知る。

    現実では少女が両親に付き添われて、「何も心配ないからね。何もなかったんだから・・・。」と理解させようとしているシーンが現れる。少女が愛に敗れ傷ついて慰められている場面で終わる。

    本来なら、きっと頭上から舞い散る桜の花びらが幻想的で美しいはずだったのだと思う。籠の中に花びらを入れすぎたようで、舞台の上でゆっさゆっさ音を立てて花びら入りの籠を揺らしてるのに、はらはら・・・はら・・は・・・、しか落ちてこない。きっととんだ失敗にすごく悔んだろうと思うと言葉がない。

    それでも物語は幻想的で美しく儚いのでした。役者の演技力は秀逸でした。



  • 満足度★★★★

    竹園高等学校「 桜の香 」
    脚本は既成のもの。

    どの生徒も的確な立ち位置と大人顔負けの演技力でした。特にマーリン(盲導犬)役の百生成美は物語を解説するナビ役も引き受けて実に素晴らしかった!

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    幕開け、鶯の里泣きの声から舞台は始まる。実に美しいシーンで導入音楽も素敵だった。この物語の繊細な部分を音楽、演出でしっとりと表現していたと思う。

    ある中学教師は網膜剥離から完全に全盲になってしまい、絶望の底に落とされてしまった。先生自身、やけになったり怒鳴ったりと自らの精神を安定させることが出来ない。妻にも当たってしまい、そんな折れそうな心の先生を繋ぎとめようと、立ち直らせようと支える周りの人々。先生と同じように全盲になりながらも教壇に立つ教師が何度も電話をして支えるシーンや、糖尿病のために全盲になり両足は切断、手の指も何本かを残して切断、更に脳梗塞になっても教師を続けているという女性教師が「さしづめ日本のヘレンケラーかしら?それでも心が負けない限り元気なの」と明るく笑いながら語るシーンは圧巻でした。

    そんななか、全盲先生(新井先生)も少しずつ変わっていく。そうして、また教壇に立ちたい。盲学校の教師ではなく普通中学校の教師になりたい、と思うようになる。「なぜ、普通中学校の教育に拘るのか?」という問いに「子供にとって日常に障害を持つ人と接することで他社を思いやる心が育つ」と答えるのだった。

    やがて新井先生は普通中学校への移動が決まり戻ることが出来たのだった。「先生の夢は何ですか?」「いつか担任を持つことです。そうして亡くなる直前まで授業をしていたい。あのヘレンケラーのように・・。」
    先生と生徒達が楽しく会話するシーンもそして終盤、妻と桜を香るシーンも美しい舞台でした。
  • 満足度★★★★

    中央大学附属高等学校「急遽演目を変更いたしました」
    脚本:臼井 遊 (高校1年生・生徒創作 )
    優秀校入賞、第56回全国高等学校演劇研究大会に推薦される。

    東京芸術劇場で都大会公演の時には公演直前に女子部員がマイクを持って説明していた。「申し訳ありませんが、本日、インフルエンザの為に部員が欠席して急きょ部員の4人だけで芝居を演じることになりましたので、急遽演目を変更しました。」とのことだったが、今回は「申し訳ありませんが、本日、センター試験の為に部員が欠席して急きょ部員の4人だけで芝居を演じることになりましたので、急遽演目を変更しました。」と言った!(笑)
    随分、手の込んだ芝居じみた芝居だと感心したが、次回は何て説明するのだろうか?(苦笑!)

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    西暦3003年、核兵器の使用により地球は砂漠化、男性はモヒカン化していた。悪の帝国「苦利金団はその混乱に乗じて圧政を続け、人々は希望を失う。地球に降りた女戦士兼レンタルビデオ屋の久美子はすぐさま苦利金団を倒しに向かう・・。GS(ギャラクシーソルジャー)久美子物語。

    ってな内容がパンフに載っていたけれど、実際は弟と姉の会話劇から始まる。あやしげ研究会のオフ会に出かけるという姉に弟が「なんでそんなオフ会に?」から始まるショートコントのような内容だった。この姉がGS久美子。要はレンタルビデオ屋のバイトをしている高校生の設定だが高校には行っていない。不登校だ。だから家でゴロゴロしながらベントラ精神世界からベントラ逃げ出した久美子。(笑)

    この姉の話を弟が聞くという設定で芝居は流れていく。悪玉をオニに例えて「オニがやってくる」とか松ぼっくりのものまねとか箱の中に小人が入ってるとか、未来とか、エコロジーとか、怪しげな体験はやっぱベントラ精神世界だ。笑

    で、最後の終わり方はどうだ?ってことなんだけれど、このショートコントのような緩いコントが少しずつ繋がって最後に箱の中に松ぼっくりが入ってた。という流れで序盤に撒いた伏線が繋がる。これはもう感覚の世界だから説明するよりも観てもらうほかない芝居。

    五反田団の前田氏が「負けた!」と言っていた内容だけにきっと素晴らしいのだろうがワタクシはそこまで大絶賛するほどの好みではなかった。まあ、芝居とは感受性の問題だから・・。

  • 満足度★★★

    専修大学松戸高等学校「 交番へ行こう 」
    脚本は既成のもの。
    とあるところにちょっぴり田舎くさい雰囲気の交番があった。そこに万引き少女とスーパーの店長が押し掛けてくる。交番が舞台の芝居。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    スーパーの店長は反省の色が見えないといって万引き女子高校生のひかるを近くの交番に連れてくる。熱血婦警の日下部は最初、丁寧に高校生に対応していたが、彼女の態度にだんだんキレてくる。一方でベテラン警官の手塚はひかるの万引きに対して少し寛大な様子を示す。

    ひかるの父親の再婚話が浮上したことによって、父親とちょっとした言い争いをして、父親に殴られ、それでカッとなって家出してしまった事情がひかるにはあったのだったが、それを言い出せない。子供の純粋さというのは様々な気持ちを生み出す。それが家族や社会などに抗う気持ちだったりする。その思いや悩み、そして万引きという過ちを犯して交番へと連れてこられたのだったが、ここでのおまわりさんが実にいい味を出してる。地域に密着する交番で、登場する大人たちはみんな優しく温かいのだった。この大人たちの対応にひかるは少しずつ心を開放していく。ふれあう事で変われる人間の素晴らしさ、親の気持ち、希望を表現した舞台。

    大げさなコメディ部分は実に笑えた。しかし本がありがちな内容で新鮮味に欠けた。


  • 満足度★★★★★

    村田女子高等学校「 とぅらとぅらとぅらとぅらとぅらとぅららー♪」
    この作品は演劇部のみんなでエチュードを土台に作ったもの。でもって芝居のテーマはバカテンポ!テンションとパワーのある舞台でした。

    優秀校入賞、第56回全国高等学校演劇研究大会に推薦される。


    以下はネタばれBOXにて。。


    ネタバレBOX


    今がテーマ。つまり彼女らが部活を通じてどんな話題やどんな関係やどんな交友関係を構築しているか、殆どが部活での様子を描いたものだったがこれがすんごく楽しくてフレッシュ!いっぱい笑って元気を貰った作品。

    演劇部では大会に向けてみんなでアイデアを出しているが、中々、良いネタが集まらない。ネタ作りの話をしているのに恐い話になっちゃったり好みの彼の話題になっちゃったりと、ものすごく話がそれてしまう。それてしまう話にみんなも乗っちゃってハイテンポでその話題にノリノリになってしまう。どこの高校生も似たようなものなのだろうけれど、ここでのそれた話題の会話が実にバカバカしくて楽しいのだ。ホント、バカテンポ!笑
    そんなだから、笑う、笑う、笑っちゃう!(^0^)

    台本が決まってない時間はワーワーと騒いで楽しもう!なんて暗黙の決まりがあるのか、これなら部活が楽しくて仕方がないだろうなー、なんて羨ましく思う。それでも受験とか就職とか目の前には馬が喜ぶ人参ではない大きな壁が立ち塞がってて、これらを乗り越えなければならない。人生には乗り越えなくちゃならない城壁がいくつもあるんだよねー。

    そんなこともあってか、それぞれの部員たちは練習をサボって塾に行ったり自宅学習を選択したり、友人らと買い物に行っちゃったりと部室に集まる人数が少なくなっていく。そんな中、部長と後輩が部員たちに呼びかけるも、中々まとまらない。出席人数が減ってしまうと、じゃあ、みんなが来ないんだったら帰るね。なんて部員も出てくる。演劇って一人では出来ないのだ。ここでの演技も自然だ。

    それでも彼女らはどうにか人間関係を上手くこなしながらも部活に注ぐ情熱をサラッと淡々と表現していく。そうして最後には7人の部員たちがまあるく時計回りに駆け回ってハイテンションに幕を閉じる。イマドキの高校生でイマドキの部活のありかたなのか、部活に参加するもしないも案外、自由だ。ゆえに今の高校生活をそのまんま上演したように見てとれる。だからか、私たち観客にも審査員の目にも現実的で楽しげで、それでいて将来に不安を抱える心や演劇に対する情熱が、すんなりと伝わってくる。素直で素敵な芝居だったと思う。高校生ならではの高校生しか作れない高校生活のこういった作品を観ることは大人になった私たちにはかけがえのない価値があるのだ。

    この後、たまたま村田女子演劇部員と席が隣り合わせになり、話しかけてもらった。そして色々話したが、ここの生徒はどうやら大人が好きらしい。まったく物怖じしないでよく話す。ワタクシは村田女子高自体を存じ上げなかったが、きっと偏差値は高いのだろうなと彼女らをみて、そう感じる。で、自分たちの芝居が終わっても他校の芝居と比較しながらも審査結果が気になるらしい。ワタクシは「大丈夫だよ優秀校に選ばれるから。」と言ってるのに、その後の他校の芝居を見れば見るほど、不安になったらしく、こういった心情も高校野球児のソレと似ている。彼女らの今はこれらを含めて輝いているのだ。
    次も頑張ってほしいと切実に思う。
  • 満足度★★★★★

    水海道第二高等学校「 トシドンの放課後」
    優秀校に選ばれました。別室登校している平野歩の教室に不良っぽい森田あかねが同席することになる。これをきっかけに友情が芽生えていく人間劇。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    優秀で真面目な平野歩は学校という集団の中では合わない。緊張してお腹が痛くなったりストレスになったりしてしまう。教室に行くことが出来ない歩は別室登校して、一人で勉強していたのだった。そこに、彼の家でイチャツイテいたのを彼の父親にチクられたあかねは反省文を書くという理由で、この教室での謹慎を担任から命じられたのだった。

    歩とあかねの対照的なナリと言葉。この二人の掛け合いが絶妙で秀逸だった。赤く染めた髪と乱れた服装のあかねは、当然のように校長先生はじめ母親からも不良という烙印を押されてしまう。大人の世界ってそういうものだ。なんだかんだいっても、見た目は大切なのだ。大人になってもこういった状況はかわらないんだよね~。

    一方、まじめ過ぎて集団生活に馴染めない歩はあかねの反省文を書いてやったり手伝ったりしながら、友情が芽生えていく。しかし、長い間、別室登校していた歩は進級できなかったことから、自分自身を追い詰めてしまう。「「十年後の私は相変わらず一人ぼっちで部屋で読書をしてるんだ。ずっと一人で社会に馴染めず、お腹が痛くなって苦しんでるんだと思う。こんな私なんか死んじゃえばいいんだ。生きてたって苦しいだけなんだ。」と絶望の淵に立たされてうずくまる。・・・、もうこの場面は号泣でした。真面目でガラスの心を持った歩の様子は本当に苦しげで観ていて痛々しい。思春期の、受験や見えない未来や不安や雑多なストレスをかかえた時期の心理がこちらまで伝わってきて、その描写にヤラレル。とめどもなく溢れる涙。そしてそんな状況下、バカ丸出しで不良っぽいあかねは「トシどん」のお面を被って歩を励ます。ここでもヤラレル。泣く。

    結局薬局、ヤラレッパナシ!この二人の生徒を蔭ながら支える女教師。
    ああ、やっぱ胸にずん!ときて震える芝居は素晴らしい!
    キャストのそれぞれのキャラクターの配置も秀逸でした。


  • 満足度★★★★

    甲府第一高等学校「 Stand By Me 」
    脚本: はやおとうじ・橋詰 博・坂本知弘( 生徒・顧問創作 )
    オリジナル部員は2名。ずっと二人芝居ばかりやってきたとのこと。だから息もぴったり。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    昭和39年10月10日、日本中がオリンピックに沸いたこの日、橋詰弁護士は拘置所の接見室にいた。大企業をゆすったインチキ降霊術師を弁護することになったのだ。勝機のなさに途方に暮れる橋詰。その時、降霊術師の口から発せられた一言は「兄さんの仇はうったのか」だった。橋詰は尊敬する兄を戦争で亡くしていたのだった。「なぜそれを?」と詰め寄ると、降霊術師は橋詰の幼馴染だったことを知る。

    序盤、二人の少年が舞台バックの風景の中から浮かび上がってくるように駆け出してくる。風景画は大きなキャンパスに描かれた馬場山とどこまでも続くコバルトブルーの空だ。そこから飛び出したように現れた二人の少年は白いタンクトップと半パン姿。まるでジブリの映画のように、コーンファームが良く似合う。少年らは馬場山にグラマンが落ち、そしてアメリカ兵が落下傘で落ちてきた姿を確認した後、こうして走って観に来たのだった。糸の切れた操り人形のように木に引っ掛かってつり下がったアメリカ兵を見たとたん、戦死した兄を思い出した一人の少年(弁護士)は米兵を直情的に憎み、殺したいと思う。そして近くに転がっていた石を掴んで投げる少年。それを止めるもう一人の少年(降霊術師)。投げられた石は止めに入った少年の左目に当たって失明してしまう。しかし、この間の記憶が曖昧になっていた少年(弁護士)は自分がアメリカ兵を殺したと思いこんで大人になり弁護士になる。もう一人の少年は親友の為に失明したことを隠し失踪してしまう。赤鬼と青鬼の物語みたいだ。

    やがて大人になった彼らはこうして拘置所で再会したのだった。少年だったあの頃の犯した罪の記憶と、政府が関わる馬場山の隠された秘密、それらをリンクさせながら、笑いとサスペンスと降霊(ホラー)を上手く組み合わせていたと思う。何が素晴らしいって、やっぱ既成の脚本で演じるのではなく、脚本も演出も、バックの画も自分たちで制作したという、その心意気に共感した芝居だった。なんだかんだいって、今回の全ての作品の中で序盤での駆ける二人の少年は絵的にも美しい芸術品だった。
  • 満足度★★★★★

    韮山高等学校「 天国(うえ)を向いて歩こう 」
    脚本は既成のもの。
    演技はすんごくレベル高っ!(・・!)
    大人顔負け。寝ずに来て良かった。笑

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    死にたい五人が集まって心中する事から芝居は始まる。死にたいと言いながらも、どうやら死にたくないような人たち。死ぬ為に七輪を購入してきた男がその費用を5人での割り勘の申し出をすると、初音は払いたくない、と言い出す。どうせ死ぬんだから払わなくてもいいでしょ。との主張にガゼン立ち向かう町野。この二人の言い合いのセリフが絶妙!とにかく笑った!

    死ぬ死ぬって言いながらも、初音は自殺後に、垂れ流さないようにと、トイレでうんこをしてくる。(注・舞台でのセリフがうんこ連発だったのでセリフを変えずあえてUP)しかし、空き家のアパートは電気が止められてて流れない。こんな状況じゃ、心中は出来ない。と言い張る初音。そんな折、町野は押入れから2億の現金を見つける。どうやら、今、騒がれてる強盗事件の犯人がここに隠したらしい。現金を目の前にして、考えが変わる町野。

    初音と同様に、死なないと言い出した町野を確認したのをきっかけに、トイレに入って首吊り自殺をやらかす女子。やがて死なないと言い出した面々を次々と銃で殺してしまう一番大人しそうだったマナオ。こうして、彼以外、誰も居なくなった。

    ダークコメディ。シリアスの場面とコメディの場面とのギャップが絶妙で、公演時間の全てを楽しんた舞台でした。最後にマナオが叫ぶ「俺だ!俺がやったんだ。俺が全員殺したんだー!!」とのシーンは今時を反映していてリアルでもあった。

    全員のキャラクターの立ち居地が素晴らしく、演技も上手い。秀逸なキャストたちでした。
  • 満足度★★★

    水海道第一高等学校「十番の行進曲」
    脚本は既成のもの。全校の中で一番最初の出だし。だからあがってたんだねー。芝居の前半は演技が硬い。しかし中盤から流れるような演技に。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    演劇部で毎回、主役をはっている太一は親友の為に主役から降りる事を決意する。理由は一度も舞台に立ってない照明係である谷の母親が舞台を観に来る事から、その晴れ姿を一度でも母親に見せてやりたいと考えたからだった。現在の谷は母親と別居していた。両親が離婚したからだ。

    しかし、顧問の教師は演劇の大会にむけて勝ちに行きたいと考え、主役は太一を抜擢する。やはり演技の上手いものがやるべきだと意見する。フテル太一。しかし、教師は最後の3分間の主役を谷にやらせることに。

    高校生の演劇部での演技、仲間意識や、友情、それぞれの家庭の事情を表現しながらも、これからの未来に向けて「私達は歩き続ける。それぞれの道を。大切な時間を。」と言いながらスローでそれぞれが違った方向に歩きながら終わる。

    こうした最後は他劇団の舞台でも数多く観てるが、やっぱ、ヤラレル。
    ジーーん!!青春なんだよねー。


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