止まらずの国 公演情報 止まらずの国」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-20件 / 30件中
  • 満足度★★★★★

    お見事!
    これは良い!みなさん書かれているとおり,舞台セットはいいし,ストーリーのテンポ,緊迫感,臨場感もいい。追い詰められた状況の中での各人の言い分には考えさせられるものもある。とにかく内容的に充実した舞台であった。これが第3回公演とは驚きである。思わず第2回公演のDVDを買ってしまった。ちょっとこの劇団追っかけてみますか。

  • 満足度★★★★★

    観光ガイド
    なんの偏見も情報も持たずに観劇。小劇場で久々に見入った! これだけたくさんの舞台を観てると、なかなかそういう感覚に陥らなくなっていただけに、無条件に5つ星。作品を丁寧に作り上げている感じが嬉しい(再演のために脚本があったから余裕があったのか、毎回これだけのクオリティなのかは不明)。客層は20代~30代が多め。出演者の年齢層に近い感じ。
    個人的に気になることは「ネタバレ」で。

    ネタバレBOX

    リアリティは人によって異なる。
    私は海外経験も有るし、アジアはよく行くから理解できることが多々あった。また自分とは異なる巡り方をこう表現されると、新しいガイドブックのようで楽しかった。
    しかし、一緒に行った海外経験のない友人には、この世界が完全なるSF。一線引いてしまったらしい。

    この原因として、作者の見てきた世界を伝えるに、作品上で不十分なリアリティが随所にあったからではないかと、個人的に思う。
    ・一つは外国人を日本人が演じていた。メイクや衣裳は申し分ないが、私の知る外国人はああではない(笑)
    ・日常会話に嘘は見られなかったが、展開に関して嘘が入っているように見えた。もちろん芝居だし、そういうことは必要だと思うが、リアリティある世界観を表現しているのに、その中で嘘が見えたら現実に引き戻される。

    その他、もったいないと思った点。
    ・冒頭
    ・ラスト・・・あのままだと、この作品で“なにを見せたいか”を勘違いされてしまい、オチがいまいちと評価されても仕方ない。

    ただこの金額でこれだけのクオリティを観られるところは団体は少ない。これからも期待大。
  • 満足度★★★★★

    「観てきた!」
    ワクワク感あり緊張感ありで心底楽しめました。
    ラストも個人的には後味が良い感じで最高でした。

  • 満足度★★★★★

    何度も何度も思い返す作品
    いやあ、素晴らしかった!
    何ていうか、とにかくあっという間で、心臓掴まれて、終わったあとはよくわからなかった。
    帰宅して今、また思い返している。
    全てを理解したとは思わないけど、でもこの衝撃にまだ浸っていたい。元々舘さんの作品は好きで才能もある方だとも思っていましたが、ここまでか
    !て感じ。これはすごい。

  • 満足度★★★★★

    すばらしい作品
    自分も旅行者になった気になって観てしまいました。舞台芸術もすばらしかった

  • 満足度★★★★★

    圧倒的!
    その場の空気の描写力と
    キャラクターの描き方双方がとても秀逸で・・・。

    後半にいたる時間の密度も圧倒的。

    息を呑んで見つめつづけてしまいました。

    ネタバレBOX

    冒頭に鮮やかに作られた空気の中で
    旅人という大きなくくりが
    登場人物それぞれの個性へとほどけていく。
    旅の経験から身につけたことや、
    他人との距離感、
    そして情報を交換したり助け合う姿に織り込まれた
    いろんな知恵の実存感、
    あるいは「イン・シャーラ」的な感覚。
    その中にひとりずつの個性が浮かびあがってきます。
    生まれ育った環境(国)やちょっとした物事への感想が、
    旅人達それぞれに繊細な濃淡をつけていく。
    物語の流れの中に、
    旅を極めたもの、
    旅を粛々と続けるもの、
    旅への期待を持ちつづけるものから、
    少し旅に疲れたもの、
    さらに意思とは異なってその場に置かれたものまで、
    さまざまな様相が
    ぞくっとするような解像度で織り込まれていきます。

    その解像度があるから、
    戦争とみまがうような後半のシーンが生きる。

    誰をも凌駕する事態が波のように押し寄せて、
    キャラクターのそれぞれを問う。
    やがてやってくる事態にバラけていく判断とパニックと悟り。
    緊迫感に観る側までが圧倒的に押し込まれる中、
    好むと好まざるとにかかわらず、
    それぞれが自らの経験に事態を重ねてさらなる経験を受け入れていく。

    結末におとずれるキャラクターたちの放心は
    ちょっとあっけない感じもするのですが、
    その軽さがあるからこそ、
    知りたいという意思を超えて知ることの昂ぶりや悦び、
    さらにはそれを受け入れることの重さまでが、
    同じようにしっかりした解像度を持って
    観る側に降りてくるのです。

    前回のマンション公演の時にも思ったのですが、
    舘の作る空気のしなやかさと
    その中に織り込まれるキャラクターの想いの浸透力には、
    類まれなものがあって・・・・。

    彼女の絵筆だからこそ、見え感じられる世界があることを
    改めて悟ったことでした。

    ☆☆

  • 満足度★★★★★

    たいへんよい作品
    感想書くのもいまさらですが。。。

    非常に秀逸な脚本だったと思います。
    反面、演者自身のテーマ性への理解?というか
    押し出し方のバラつきが気になるものでした。

    ネタバレBOX

    おそらく、多くの観客は物語の途中でラストのオチに気づくのでしょう。
    私もその一人ではありますが、
    オチに気づいてからが、実はヤバく、
    脚本家が「しめた」とばかりに、
    私たちに堂々と、私たちの愚かさに
    背後からさくり、と鋭くメスを入れるように感じました。
    なぜなら、劇中の登場人物の、
    戦争や死の恐怖に怯える滑稽さを目の当たりする私たちは、
    自分たち自身のそれに重ね合わせるのですから。

    だからこそ、その滑稽さを、
    そのまま滑稽に演じてしまった役者が数名いたのは、
    大変残念すぎました。
    そんなことは観客には関係ないのですから。

    いずれにしても、
    この拍子抜けさせるような滑稽さこそが
    私たちの無知や常識(=非常識)、視野の狭さを晒し、
    (私たちを怒らせない程度に)辱しめ、
    「旅行」にせよ、「人生という名の旅」にせよ、
    「旅」というのは得てしてそういうものなのです、
    ということに気づかせてくれたことは間違いありません。
  • 満足度★★★★★

    極上の臨場感!
    中東のとある国の(元)首都にあるユースホステルに集う日本人バックパッカーたちの一夜。
    前半、後半とまるで趣の異なる展開となるが、時間の経過とともに、自分が縁者の一人になったかのような錯覚を起こしそうなほど、臨場感あふれる舞台であった。
    たいへん出来の良い舞台である。
    またひとつ、目が離せない劇団を見つけた!

    ネタバレBOX

    地球の歩き方に紹介されているがゆえに、日本人のバックパッカーが多く集まるユースホステル。

    前半はどこの国での見かけるユースホステルののんびりとした雰囲気が舞台全体をつつむ。
    そこで繰り広げられるのは、日本を離れ遠い国で羽を伸ばすことに生きがいを感じる同志たちの他愛のない会話。

    ところが、徐々に舞台はきな臭さを帯びてくる。
    どうやら、戦争が始まったらしい。
    兵士に戦車、発砲音、さらには砲撃音。
    砲撃音は次第に大きくなり、バックパッカーたちはついに自分の死を予感するほど追いつめられていく。

    誰もが死を覚悟したものの、やがて夜明けとともに訪れる静寂。
    どうやら一時、戦火がおさまったようである。

    とここで種明かし。
    実は昨夜のそれは戦争ではなく、国王の祝賀イベントであった。
    砲撃音は花火にすぎなかったという結末である。

    しかし、本当にその砲撃音は花火であったのか、祝賀イベントこそが夢なのではないか、とそんなことを感じさせるほど、臨場感あふれる舞台作りとなっていた。




  • 満足度★★★★★

    気分はもうバックパッカー
    根性ひねくれた人間が物事をいくら斜に構えてみていても「経験」という力の前ではおとなしく正座して耳を傾けるべきなのだと思う。それが最も優勢であるとは言いがたいが、特別な強さがあることは確か。
    この公演は明らかに、1年間実際に地球一周したという経験の強さが物語の根幹をがっちりと支えて魅力を生み出している。
    若者なら一度は憧れるのではなかろうか、異国を渡り歩くバックパッカー。彼らが集うゲストハウスという舞台設定でほぼリアルタイムで時間が進行する、まさにバックパッカー疑似体験。前半彼らの旅生活と異文化交流に慣れた会話、何気なく薫る現地の空気に心躍る。
    しかし後半にかけての混乱の中では一転、アイデンティティや社会といった「旅行」の陰に隠れていた空白部分がじんわり浮き彫りとなり、ストレートなメッセージがずるっと引きずり出されドキリとする。
    特別な構造も奇をてらった演出もない、ストレートすぎるほどストレートな芝居。それでこれまたストレートなメッセージを構えずにがっちりと受け取ることができたのは、やはり道程に経験を背にした確固たるリアリティがあったからこそ。
    旅行初心者から熟練者まで、役者もしっかり過ごした時間分の旅行者の顔をしていていい演技をしていた。個人的に演出でお見事と思ったのはラスト近くの「明るい音楽」の聞かせ方。

    この作品は色んな人に観てもらいたいが、ライフスタイル情報誌のような、ステキ外国滞在記邦画が好きとかいう人に特に観てもらいたいなーと思う自分はやはり根性がひねくれているのか。

  • 満足度★★★★★

    会話もいいし物語も面白い、素晴らしい舞台
    まず舞台にライトが点き、セットを目にして、とてもわくわくした。
    サンモールスタジオで、これだけの本格的なセットは見たことなかったような気がする。

    そして、そのセットで、わくわく感をまったく裏切らない物語と役者さんたちの演技と演出で、とても素晴らしい舞台が繰り広げられたのだ。

    わずか100分なのに、この満足感。

    ネタバレBOX

    セットを見たときから、青年団の『冒険王』を彷彿とさせたのだが、その影かちらついたのは、ほんの最初のところだけだった。
    あちらが、あるラインを越えてしまった人(大人というか)たちの普通の話であるとすれば、こちらは、ごくごく普通の人たちの話だ。

    つまり、この物語に登場する旅人としての軸足が、なんとなく故郷の日本にある(正確には1人の日本人を除いて)ような、ふらつきのあるような、普通の人たちなのだ。迷いがあり、それが出てしまうところが普通なのだ。共感できるというか。
    もちろんあちらの話の登場人物にも、心のふらつきはあるのだが。

    あちらには達観したような、あきらめにも似た様子が、「うらやましさ」さえ醸し出していたが、こちらにはそれがない。もし自分がそういう旅に出たら、こっちの人たちのようになるのだろうなぁという共感がある。私はこんな旅に出ない人間なのだというような、とでも言うか、そんな共感。
    ま、2つを比べてもしょうがないけど、ほら、設定が似てるから。

    この物語は、どこかイスラム圏にある王国の安宿が舞台。
    この安宿を出て学校に寝泊まりする女のために、最近旅を始めた男がお別れパーティをしようと考えている。
    同じ部屋には、旅慣れた2人の男がいる。1人は、もはや日本を帰る場所とは思わない、旅行者の間で伝説となっている、すべてを達観したような男で、もう1人は、籍は入れてないものの、かつて旅行仲間だった女性が日本に出産のため帰国していて、そこへ自分も帰ろうとしている。

    そんな中に、男女が案内されて来る。女は韓国人で、男は日本人。ふたりはカップルなのだが、男は、旅行に出たものの、自分には最後まで合わず、自分だけで何かを成し遂げられなかったことを悔やみ、結婚式に出席するという理由で帰国しようとしていて、もう旅には出ないだろうと思っている。
    さらに、初めての海外旅行に来て、お金をだまし取られてしまい、困って安宿に転がり込んできた女がそこに加わる。

    彼らの会話から、それぞれの状況が明らかになっていく。
    そんな中、外の様子が急変する。戦車や兵士が現れ、宿の持ち主たちや2階の旅行者の姿が見えなくなる。さらに銃声、爆発音らしき音が聞こえ始め、それが近づいてくるのだ。彼らの不安と焦りが高まっていく・・・。

    とにかく、物語の展開と、その語り口が巧妙だ、旅行初心者が2人というところがうまい。初心者という設定は、ともすると観客に舞台上の設定を説明するためだけの役割を与えられるのだが、その役割もありつつの、設定の違う男女2人なので、切り口が異なるのだ。
    さらに彼らの呑気さと、不安が見事に他の登場人物を揺さぶっていく。

    また、各登場人物の設定も巧みで、確かにちょっとできすぎのメンバー構成だけど、うまいと思う。そけぞれが物語を内包していて、それが会話でうまく表現されていく様もうまいと思うのだ。

    驚いたのは、現地の男女の登場や韓国人の女性の登場だ。
    カタコトの英語という設定もあるし、なにより、物語に広がりを与えていたような気がする。
    彼らとの民族や国籍の違いによるギャップまで表現できていれば、最高だったのだが、そこまで盛り込むと逆に全体がぼけてしまったのかもしれない。

    とにかく、どの登場人物のキャラクターがくっきりしていてわかりやすい。
    しかも、どの役者もそのキャラクターをぶれずにきちんと表現していて、その人になりきっているように感じた。

    特に、かおさん(鈴木智香子)の醸し出すベテランぶりのうまさには絶品であったし、見ているこちらがイライラしてしまうような、海外旅行が初めてのともか(通地優子)の存在は見事だと思った。
    鈴木智香子さんはほかの舞台でも拝見したことがあったが、うま人だなあと改めて思った。

    セットも小道具も凝っていて、言うことないし、スムーズに役者が動き(出入りし)、舞台を広く使い、奥行きや幅までも想像させるような演出も巧みだと思った。
    さらに、物語が急展開していく中で、全員が一気に不安に陥るのではなく、それが徐々に伝播していき、その度合いの違いが表現されていく様は素晴らしい。

    一体どうなるのか、と興味を引っ張っていく物語の展開と、それが行き着く先のラストもよかった。
    ・・・ちよっとした矛盾というかご都合主義はあるのだが、それには目をつぶろう(笑)。

    本当に素晴らしい舞台だったと思う。
    「ガレキの太鼓」は、私にとって、これから要チェックの劇団になった。




    ちなみに私の『冒険王』の「観てきた」です。
    http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=30362
  • 満足度★★★★

    ディズニーのシンデレラ城的体感!
    とにかくセットが本格的!セットの技巧が秀逸な劇団って半端な気持ちで取り組んでない分、観劇前から期待に打ち震えちゃうわけよね。笑

    中近東のどこかに旅してる輩らが一軒の格安宿屋での風景を描いた作品。

    以下はネタばれBOXにて。。


    ネタバレBOX

    もはや、旅人とは言わない、つまり世界各国が故郷だと思っている気侭な旅を生き方とする達人のサン、旅のリーダー的存在の大塚、地球の歩き方の達人・かお、韓国のミン、ミンの彼・コウジ(日本人)、旅がまだ浅い竹田とともか、そして宿屋の主のザフラとオサマの宿屋でのやりとりの風景を前半、ゆるゆると見せる。

    これらの描写の仕方はいわゆる普通だ。彼らが旅を続ける上での情報交換や、日本の今を話題にし、どちらかというと取り留めのない話題に、物語というよりも、彼らの会話をただただ観客に紹介してるような感覚だ。だから、個人的には特別な感情もこの舞台でファンタジーな空間を旅するという感覚も起きない。

    ところが、後半、物語は一気にデンジャラスな香りへと突入する。それは・・・まるで殺人現場に「危険!」と書かれた黄色いテープが交差して張られるような異様な雰囲気に宿屋がさらされるからだ。宿屋の周りはいつの間にか静寂が漂い、そしていつの間にか宿主らが居なくなり、突如として戦車が走るまわる。兵隊が路上を練り歩き、怪しい音楽と放送が流れ、パン!パン!パパン!!などと、銃の音が響く。

    当初、何事か!?と暢気に考えていた旅人らは、人っ子一人居ない周りの景色にビビリまくり、今まで体験した事のない異質で危険な状況に、完全に動転してしまう。世界は常にどこかで戦争を繰り返しているのだ。彼らはいつ何時、自分たちが戦争に巻き込まれるかも知れないと、恐怖に慄き、慌て、理性を失う。宿屋の中の旅人は全員がパニクり泣き叫ぶ!

    人というのは本当にちっぽけだ。外の景色は旅人らを心理的に追い詰め、今までの自分たちがあまりにも危機感がなかったと反省させるように警告する。物語はメッセージ的なセリフも飛び交い、いざ死ぬという時に人はやっと己の過去を振り返るのだ。身重の妻を日本に残してまでも夢を見続けていた男はこれまでの行いを後悔し懺悔のように妻の留守番電話にメッセージを残す。

    舞台も観客もシン!と静まり返った矢先、「どんどんどん!!どんどんどん!」と外からノックする音が・・。ワタクシ、心臓が飛び出るほどビックリした!椅子から10センチくらい飛び跳ねた!ビクゥッ!!!って。

    しかーーし!、外は戦争が始まるのではなく、国を挙げてのパーティーとかで、たぶん・・・チンポコ国王の祝祭だったのだ!結果はアホらしいけれど、ここまで観客を誘導する仕組みに脱帽!だから、物語を楽しむというよりもその体感を楽しむ。といった味付け。

    観劇後、女神のような美女に挨拶されて???状態なワタクシ。美女曰く「いつもアゴラでお見かけします。主宰の館そらみです。」って。
    いあいあ、この美人がこの物語を書いたの?しかも・・・チンポコ国王ってww
    どんだけお茶目なんでしょ。美人で秀才でお茶目ときたら欠点はないなー。
    神はやっぱ平等じゃあないんだねっ。
    神様、今からでも遅くはない。彼女に何か欠点を授けたまえ~~。むふふ!(^0^)

  • 満足度★★★★

    良作品です
    外国の安宿に泊まる若者たちを描いた良作でした。

    舞台のコンパクトさが、この芝居の世界にぴったりマッチしていたように思えます。


    ネタバレBOX

    前半のお気楽でのんびりした雰囲気が後半一変、
    緊迫感漂う展開になり、どんどん引き込まれました。

    追い込まれていく旅人の心境の変化を
    役者陣がうまく演じていたように思います。

    ラストの展開は、個人的にはちょっと残念。
    苦い感じを残したまま朝を迎えて終わる方が、
    余韻があって良かったような気がします。
  • 満足度★★★★

    細部までていねいに。
     ガレキの太鼓の作品は手作りのていねいさを端々まで感じる。今回の作品は特にそうだ。芝居という作り事の世界だからこそ、ディテールにこだわって、リアリティを持たせようという演出意図がよくわかる。

     登場人物ひとりひとりの設定がていねいで、類型的でない。何人か外人が登場するが、日本人が外人を演じているといういやらしさがない。

     そして、仮想の国で起こった仮想の出来事でありながら、今まさに日本人旅行者が世界のどこか巻き起こして(巻き込まれて)いそうな物語だと感じられる。そういう意味で作り込まれた作品だ。

     登場人物の一人一人は、決してヒーローでもないし、特別な存在でもない。それにも関わらず、それぞれの登場人物がとても素敵に感じられる。ここら辺も舘そらみの凄いところだろう。

    ネタバレBOX

     中盤の戦争かテロかを予感させる薄暗いシーンがとても良かったので、最後の実は○○でしたというオチには少し違和感を感じた。途中何度か登場人物が外へ出て行ったので、そのときに雰囲気でわかるだろと思ったのだ。

     そういったことはあるにも関わらず、ラストシーン、全員が顔や体を汚しながら、喜びを表現するところは、大変素敵だった。極限状態の人間を表現しながら、最終的には愛にあふれたラストを用意してくれる。そこら辺もガレキの太鼓の素敵なところだ。
  • 満足度★★★★

    リアルでした。
    うらやましすぎてレビューがなかなか書けないほど。実際にあの場所にいたかのような錯覚すら覚えました。

  • 満足度★★★★

    この感覚、なんだろう?
    結構な数のお芝居を観ているのに、この作品はなんだかよくわからない感覚に捕われちゃいました。演劇を観ているというより。。。なんだろう?異空間に誘われて、思考する暇ないまま最後までずずっと。ドキュメンタリーでもあるようで完全にどこにもない世界。集中してその世界に浸ってるのに一歩引いて冷静でもあるっていうのが両立しちゃう作品でした。

    ネタバレBOX

    最初はやっぱり青年団の「冒険王」と比べちゃったりもしたんですけどね。でももっと生々しく、うそ臭い。全く自分の知らない世界だけど実際に存在している本物の世界ってことなのかしら。

    爆撃後の展開はややシラケたところもあるけど。味わったことのない感覚は心地よかったです。
  • 満足度★★★★

    これは凄い
    これは凄い。徐々に盛り上がって、臨場感あるストーリーも面白いし、舞台セットも、音響も雰囲気いっぱい。この劇団追っかけます。

  • 満足度★★★★

    物語とかではなく
    舞台上に流れ出した空気にやられた。途中、なぜだか息苦しくなってる自分に気づきビックリ。息をうまく吸えなくなる舞台なんて、これはなかなか出来ない経験…。たしかにストーリー展開で気になる部分、もったいない部分はなくはない。でも、それよりも他に感じるべき部分が沢山ある舞台だと思った。お見事。
    7月、この脚本家さんとやれるのが楽しみです。

  • 満足度★★★★

    臨場感がありました!
    旅行者のそれぞれの事情が丁寧に描かれており、素晴らしい群像劇でした。

    ネタバレBOX

    一期一会を大切にしながらも、自分の判断で行動する旅行者の判断の素早さなど、真に迫っていました。

    チンポコ国王が統治する国。緩い国かと思うと、王様、王様とからかわれていた人がオサマと知り、中東情勢に緊張感が走ります。

    後半の不気味さ、怖さ、緊迫感は見事でした。

    ただ、あの泥祭りのような終わり方が良かったかどうかは微妙です。
  • 満足度★★★★

    ポコチン国王
    一発の銃声から緊張感を持って観ていました。ドアをけたたましくノックするシーンはドキドキしました。ラスト、パーティのような喧騒の反対側には夥しい血が流れているようで恐怖を感じる。

  • 満足度★★★★

    不思議体感体験の舞台でした
    稽古場風景が想像し難い作品というべきでしょうか?
    たとえば、昨日観た「相対的浮世絵」は、稽古場風景どころか、原稿用紙だか、PCだかの前に座る作者の執筆風景までが、目に浮かぶような芝居でしたが、この公演は、それとは、真逆で、目の前にいる人物達が、いきなり、その場で初めて口にする会話を小耳に挟んだかのようなリアルな感覚がありました。
    でも、だからと言って、物語の人物に自分もなったような錯覚はせず、たとえるとしたら、たまたま観るともなく観ていたドキュメンタリー番組を結構興味深く最後まで観てしまったような、不思議な劇後感でした。
    具体例を挙げるなら、「アイノリ」のカップルの成り行きを見守るような…。

    舘そらみさんは、女優さんとして拝見したことはありますが、作演作は初めて拝見しました。脚本もさることながら、演出力が優れている方だなと感じました。とにかく、役者さん達の台詞が、全然フィクションぽくないんですもの。
    セットも、音響も、大手プロダクション演劇も脅かす勢いで、こんな小劇場団体が存在するんだという事実に、とにかく驚愕しました。

    ネタバレBOX

    とくお組の舞台を拝見した時、この方の舞台はまた観たいと思った篠崎友さんが、身重の妻を日本に残して、ずっと外国旅行を続けている男を、リアルな佇まいで、好演されていた他、日本人旅行者と、韓国人旅行者を演じた全ての役者さんが、その旅経験の度合いまでをも、見事体現されていて、本当に感服しました。
    どうしても、作り物めく、現地人役の登場人物は、最初の人物紹介部分だけの出演とし、後半の緊迫シーンには、登場しないのも、よりドキュメンタリータッチの芝居のリアル度を高めていました。
    巧く、伏線になる会話を挟みながら、それを客に気取られないようにする技術も素晴らしく、舘さんの作家としての手腕にも感心しました。
    ただ、終盤、サンがポコチンのお祝いだと今更気付くシーンがありましたが、お祝いの日を知らなかったならともかく、記憶の底にあったことなら、あの爆発音で、皆が花火かと言っていた時点で、気付いていたのが自然ではないかと、ちょっとそのことだけが、腑に落ちない点でした。
    とても、リアルな若い旅行者のドキュメンタリー番組を楽しく拝見させて頂いたといった感覚で、誰かに甚く共感したりはできなかったので、☆は、5に近い4といった感じでしょうか。

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