最新の観てきた!クチコミ一覧

18841-18860件 / 189750件中
オーガッタジャ!

オーガッタジャ!

発条ロールシアター

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2022/11/03 (木) ~ 2022/11/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 廃墟マニアと言うタイプの人々が居る。自分も廃墟は好きだが作中人物とは理由が異なる。安心するのである。無理して頑張る必要等無いのだと思わせてくれるから。滅ぶのが分かり切っているのに何を努力する必要があろう? という気持ちを許容してくれそうな空間だと感じさせてくれる。何れにせよ登場するのは廃墟案内人とフリーのライター、伝説の掏摸とかつての仲間、会社をクビになった元社長候補、元社長候補をクビにした二代目。そして刑場で斬首を担当していた者の霊、斬首された女の霊。登場するのは7名の人間と2つの霊。追記11.6

ネタバレBOX

 車の行き交う国道脇の、一見何の変哲も無いとある廃ビル。何でもこのビルの近くには江戸時代刑場があり、獄門、磔、斬首等の刑が執行されたと云う。因みにこれらの刑が廃止されたのは明治10年代であった。こんな歴史があった為かこの廃ビルにも出るとの噂があった。世の有為転変は決して今に始まったことではないが、廃墟が象徴する栄枯盛衰の有様に見合うように廃れた空間には所謂余計者、敗残者が吸い寄せられたかのように集まる。今作は、このような者達を巡って尚廻る宿命の喜怒哀楽を描いてみせた。
サド侯爵夫人

サド侯爵夫人

遊戯空間

銕仙会能楽研修所(東京都)

2022/11/05 (土) ~ 2022/11/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 今年拝見した総ての舞台の中で一、二を争う凄い舞台。絶対観るベシ! 華5つ☆
公演は11月6日13時開演の残り1回。演劇に興味がある人は絶対観ておくべき舞台だ。
 去年は正面から拝見したので今回は脇正面から。矢張り観る位置によって印象が異なる。それにしても凄い舞台だ。流石に観世さんの教えを受けた役者さんたち、縁ある方々の演技・舞台である。観劇料も極めて良心的。学生さんは2500円、一般は4500円と、この内容でこの観劇料は極めて安い。前回同様10分休憩2度、上演時間は前回より5分短くなった。更なる鍛錬の跡が見え、その分迫力が凄い。それでも休憩を含めて3時間半の長丁場である。役者さん達の質の高い演技(間・抑揚・迫力・言語の身体化等)は無論だが、観客と雖も一瞬たりとも気が抜けない緊迫感のある舞台だ。音響は二十五弦筝奏者・多田彩子さん。三幕物の三島作品だが、各幕の内容に合った曲想が見事に呼応し合い、曲を聴いているだけで物語の内容が想起されるほどだ。筝については全く素人の自分でもトレモロのような技法や筝の見事で様々な技法で奏でられる演奏の凄さには、唯感嘆させられるのみであった。追記後送

イヌの仇討

イヌの仇討

こまつ座

紀伊國屋ホール(東京都)

2022/11/03 (木) ~ 2022/11/12 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

5年ぶりの東憲司演出版。三田和代の、命より名誉・家名という厳しい女中頭、原田健太郎の庶民的で人のいい盗人がいい。出たり入ったりする坊主の春斎(石原由宇)も、「この隠れ場所は赤穂の家来が教えてくれた」など、素っ頓狂なことを言って笑わせてくれる。愛嬌があるし、外の状況を教えてくれる唯一の存在なので、セリフが多い。何より光るのは大谷亮介。柄が大きく、普通にセリフを言っても大げさに聞こえる人なので、時代劇の殿様にはピッタリ。しかもちょっと情けないから、吉良上野介ははまり役である。

ネタバレBOX

討つ理由のない吉良を、大石が討つのはなぜなのか? 井上ひさしの忠臣蔵の新解釈は理屈っぽいように見えて、案外結論は単純。狙いは吉良ではなく、将軍綱吉。討ち入りは「おかみ(幕府、将軍)への挑戦」なのだ。本当にその非道・いい加減を告発したい相手は5代将軍・綱吉とその側近だ。吉良に恨みはないが、幕府への異議申し立てを示すための犠牲になってもらうと(強大な敵への反抗を示すため、関係ない市民を巻き添えにする自爆テロのようなものだろうか)。幕府が吉良を見捨てたことを悟った吉良は、自ら首を差し出すことで、大石の「公儀への挑戦状としての討ち入り」を成功させる。
VANYA‼︎

VANYA‼︎

人間劇場

SPACE EDGE(東京都)

2022/11/03 (木) ~ 2022/11/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

古典のお芝居なのに途中、場面展開では、ダンスも組み込まれていて新鮮でした。内容は少し悲しいですけど、でも役者も皆さんの熱演とても響きました。面白かったです

もねとたいようのコンサート

もねとたいようのコンサート

コロンスタジオ

3丁目カフェ(神奈川県)

2022/11/05 (土) ~ 2022/11/05 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても素晴らしい演奏でした。お二人の途中のお話もとても面白かったです。こういう機会はまたあるといいと思います。とても楽しかったです。

にぶいちの失明

にぶいちの失明

山田ジャパン

新宿シアタートップス(東京都)

2022/11/03 (木) ~ 2022/11/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

テンションがやや高めの始まりから、最後までひきつけられました。

ネタバレBOX

苦しいやり場のない、皆の心の中の葛藤が痛いほど感じられました。心が折れそうになりながらも前に進もうとする姿に胸が熱くなりました。
あんなに優しかったゴーレム

あんなに優しかったゴーレム

ヨーロッパ企画

梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪府)

2022/11/05 (土) ~ 2022/11/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/11/05 (土) 18:00

座席2列27番

今回も大いに笑った。しかもベタに。台詞の緩急が素晴らしい。群像からの会話はいつまでも観ていたい。
今回は映像を買わなくていいほど前で観たので、満足でした。
ラストはかなり強引に思えましたが、特に突っ込むほどでもないのでスルーできました。
次回作も期待。来年は新作か?
今日観た人はおまけトークもありお腹いっぱいで帰路に着きました。

憧れのサンパチマイク

憧れのサンパチマイク

Monkey Works

シアターサンモール(東京都)

2022/11/02 (水) ~ 2022/11/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

リーチのかかった芸人青春ドラマって確かテレビでも去年やっていたと思うけれど、やっぱりこのモチーフというのは手堅い面白さがあります
中々ままならない「芸人」という生き様、その行く末にヒリヒリするものを感じますが、そこはやっぱり根っから笑わせるのが生きがいの人達
いい意味で“食えない奴ら”でした

実際に漫才シーンが織り込まれると物語にもグッと説得力が
漫才のレベルはさすがにルミネtheよしもと級とはいかないものの、将来に可能性を秘めたコンビにはキラッとした笑いがしっかりと
で、そんな漫才の様子を仲間の芸人達が舞台裏で観ている図 これが良い

高齢でM―1グランプリに輝いた錦鯉に思わずもらい泣きしてしまった審査員の気持ち
本作みたいのを観るとそうした感慨がしみじみ理解できます

supermarket!!!

supermarket!!!

壱劇屋

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2022/11/03 (木) ~ 2022/11/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

楽しかった☆今回は色んな作家さんによる作品なんでいつもの壱劇屋パフォーマンス(身体表現)が盛り沢山じゃない方が良いなと思ってたんで期待通りでした☆それぞれの作品を丁寧なお芝居としての表現で魅せてくれて大満足♪その分ちゃんとオープニングでザ・壱劇屋パフォーマンスが観れるのでちゃんと壱劇屋らしさも堪能出来ます☆

もねとたいようのコンサート

もねとたいようのコンサート

コロンスタジオ

3丁目カフェ(神奈川県)

2022/11/05 (土) ~ 2022/11/05 (土)公演終了

実演鑑賞

いい夜でございました。

をんな善哉

をんな善哉

ちょっこりひょうきん島

小劇場 楽園(東京都)

2022/11/03 (木) ~ 2022/11/06 (日)公演終了

実演鑑賞

演出、しっかりしてくれ!

ネタバレBOX

演出いまいち、センスが問われます。装置プランにも問題アリなのかも。座敷に全員が全員上がる必要あるのか?履き物の処理が汚い。上がり下がりに必要以上に時間がかかり役者がかわいそう。劇場の構造上しかたがないのかなぁ。
冒頭の桜餅食べながらの芝居、上手く演出出来なかったかな?食べながら口中の餅をペタペタ言わせながら台詞話すのは頂けない。
タタキの床に外した前掛けが触っているのは和菓子屋としてどうなの?
エリック・サティを使うのもどうなのかな、今さら「君が欲しい」か?
切り裂きジャックを待ちながら2022

切り裂きジャックを待ちながら2022

劇団P・T企画

世界館(大阪府)

2022/11/05 (土) ~ 2022/11/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

悔しい〰️。また犯人をハズした。いい線いってたのに…。
トークショーも楽しめました❗
こんどこそ。

パレードを待ちながら

パレードを待ちながら

劇団未来

未来ワークスタジオ(大阪府)

2022/11/04 (金) ~ 2022/11/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

60年もの歴史がある劇団で、内容も素晴らしいの一言。素直に良かったです。女性五人で繰り広げられる、第二次世界大戦終戦近くのカナダを舞台にした話。女性の葛藤や移民の大変さをとっても上手く表現していたと思います。お客様も満席でした。

にぶいちの失明

にぶいちの失明

山田ジャパン

新宿シアタートップス(東京都)

2022/11/03 (木) ~ 2022/11/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

あっという間の2時間でした。すごく良い時間!
次回作も楽しみにしています

猫、獅子になる

猫、獅子になる

劇団俳優座

俳優座劇場(東京都)

2022/11/04 (金) ~ 2022/11/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い所がいろいろあるよくできた台本で素直に楽しめる。芝居らしいでき過ぎた偶然もここでは気にならない。

ラビットホール

ラビットホール

劇団昴

Pit昴/サイスタジオ大山第1(東京都)

2022/10/28 (金) ~ 2022/11/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

タイトルのラビットホールって何かな、と思っていたが、作品を観てなるほど、と思った。
奥が深い作品で、いろいろ考えさせられた。
役者さん達の熱演に、感動させられた。
他の人の観てきたコメントがとても良いので期待して行った。
期待以上で、本当に素晴らしかった。
観てよかった。
満足でした。

VANYA‼︎

VANYA‼︎

人間劇場

SPACE EDGE(東京都)

2022/11/03 (木) ~ 2022/11/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

チェーホフの戯曲「ワーニャ伯父さん」を刺激的・印象的に演出した野心作。
人間の生きる、特に労働という社会的な問題を根幹に据えた戯曲。人には色々な顔(面)、階級があり、そして様々な出来事がある。フライヤーの絵柄はそんなことを表しているのかも知れない。勿論 四幕ということも関係しているだろう。出来事といえば、観た回はチョットしたアクシデントがありヒヤッとさせられた。

今まで何度か「ワーニャ伯父さん」を観劇したが、この公演のような身体的なアプローチを加えたものは初めてである。それだけに新鮮でもあったが、違和感(取入れる疑問)もあった。ジャンルの違うARTとの融合を目指し、更なる芸術性というか可能性を模索している。同時に、チェ-ホフの戯曲は日常生活の中にある人の営みが根幹になっており、刺激的な出来事や事件は起きない。その変哲のない情景を少しでも印象付けようとしている。
(上演時間1時間30分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台セット、冒頭は ほぼ素舞台。あるのは下手にピアノとハンガーラックのみ。大きな空間になっているが、人物が登場して各々が上着を着る。そして激しいダンスを披露するが、何を表現しているのかは分からない。上手ドア(入口)が開き、テーブル、椅子そして梯子を場内に運び入れ、そこから物語が始まる。
ラストは、逆にそれらの物を奥の壁際へ運び、空間を確保する。人物は上着を脱ぎ、薄暗がりで淡色衣装が跳ね踊り、同時にその姿が後の壁に影となって妖しく蠢く。冒頭と最後をダンスで観(魅)せ、物語はその中(間)で展開する。勿論、劇中でもダンスシーンはあるが、それは演技の延長線にあるような動きである。例えば2人で愛を表現する場面では、ソシアルダンスのような優雅さ、そして全体的にはポップで軽やかなダンスで魅せる。

登場人物は、杖つく老教授・セレブリャコフと若く美貌なその後妻・エレーフ、一方、領地の管理に生涯を捧げたワーニャ(伯父)とその姪ソーニャ、そして自然環境の将来を気にかける医師アーストロフ、元地主・テレーギン、乳母のマリーナ、色々な立場の人物を配置している。立場は階級に置き換えることもできる。
物語は、淡々とした日常生活とその会話で舞台の雰囲気を漂わせた静劇であり、そのため身体表現や音楽等の効果的な観せ方が必要かもしれない。ジャンルの違うARTとの融合は、その意味で有機的な役割を試みているようだ。

公演では、身体表現のみならず、抒情的とも思える美しい台詞、工夫や計算された対話の妙など、様々な技巧が観てとれる。巧みな演出によって、チェーホフの人生観が垣間見える。終盤、勝手な言い分(提案)のセレブリャコフを銃で威嚇するが、そこに今までの労働(管理)を蔑ろにされた怒りを描く。チェーホフの「かもめ」では、〈芸術〉の中に生きる意味を与えているが、「ワーニャ伯父さん」では、もっと直接的な〈労働〉に生きる意味を見出している。日常の暮らしは、物静かだが 挫折、忍耐、そして働いて生きていくを実感させるに十分な迫力、緊迫感を漂わせていた。
次回公演も楽しみにしております。
オーガッタジャ!

オーガッタジャ!

発条ロールシアター

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2022/11/03 (木) ~ 2022/11/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/11/05 (土) 14:00

座席1列

初めて観る劇団でした。
全体的な印像は良かったです。
演技が下手だという感じではなかったし、
話も面白いと思いました。
ただ、段取りの通りにここまで移動してセリフを言うって感じに見えてしまったので話がなかなか入ってこなかった印象でした。
スリの回顧シーンも二人が背中越しに話してるのか、子供と大人が実際に向き合ってるというシーンなのかも判らないなどちょっと難しかったです。
なので次回違う話も観てみたいと思いました。

レオポルトシュタット

レオポルトシュタット

新国立劇場

新国立劇場 中劇場(東京都)

2022/10/14 (金) ~ 2022/10/31 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ウイーンの成功したユダヤ人である工場主ヘルマン(祖父、浜中文一)を軸に、曾祖母エミリア(那須佐代子)から孫の代(レオ=八頭司悠友、ナータン=田中亨)まで4代の物語。1899年から1955年まで5つの時を描く。家族が多くて(25,6人?)、舞台上だけでは全部を理解できない。最初の一家のパーティーのあたりはあまりなじめないが、ヘルマンの妻でカトリックのグレートル(音月桂)の将校フリッツ(木村了)との不倫、ヘルマンとフリッツの対決・対話の場面は迫力ある(後の重要な伏線になる)

第3場1924年、赤ん坊に割礼をするか否かの騒ぎは面白い。笑いが多い。子どもたちが大人になり、家族の成長を一緒に見守って来たかのような気になる。第4場1938年は、ナチスの迫害により一家離散はつらい場面。医師のエルンストは、ヘルマンに促され、移住に耐えられない認知症の妻を安楽死させる。第5場1955年、孫二人と叔母の三人だけ。迫害を生き延びたナータンと、何も覚えのないイギリス育ちのレオとの対話には、ズレと嫌味もあるが、次第にレオが過去との手掛かりを回復していく。収容所で死んだ一族の名が次々詠みあげられ、粛然とした思いがする。

ネタバレBOX

妻の不倫に目をつぶり、家族と妻のために屈辱に耐えたヘルマン。ナチスの迫害が起きた時、実子ヤーコブ(鈴木勝大)をフリッツの不倫の子だと、フリッツに偽の証言をさせ、自分の財産と息子を守った。何んとも見事な作戦だ。そうい例は当時あったのだろう。戦後の第5場で、へルマンは収容所に移送される前に、ゲットーで飛び降り自殺したと明かされる。しかもヤーコブは戦争が終わってから自殺したと。「自分には生きる価値がない」という理由で。切なく、粛然とさせられる。

幼くして養父とイギリスにわたり、ウィーンの記憶のないレオがストッパードの分身。ストッパードの実父は医師だった。同僚医師の娘がガラスの破片で手を切った時、実父が傷を縫って治療した。50年後、ストッパードは彼女に会った時、まだ縫った痕が残っていた。その縫い後に触れて実父を感じたという。そのエピソードは変形されて戯曲に生かされている。ほかにも妻の肖像画のこととか、史実を生かした話がちりばめられている。作者の思いを考えさせられる。
欲望という名の電車

欲望という名の電車

文学座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2022/10/29 (土) ~ 2022/11/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

近代戯曲の最高傑作のひとつ。文学座らしい手堅い芝居で、非情に濃密な舞台だった。3時間と長いが全然飽きない、充実した時間だった。題名は、欲望(Desire)という地区行きの実在の路面電車があったから、くらいにしか言われていないが、今回見て、芝居のあちこちに「欲望」というセリフがあるのに気づいた。「死」の対極にある「生」の象徴として。男に次々「欲望」をいだき、ミッチ(助川嘉隆)と結婚しようとするブランチ(山本郁子)は、過去をふりきって、生きようとしただけなのだ。「欲望」という題には、ブランチの生きる意欲が託されている。

その夢をスタンリー(鍛冶直人)につぶされてしまう。ブランチがスタンリーを「下品だ」「粗野だ」と忌み嫌ったせいもあるから、自業自得でもある。それぞれの登場人物に言い分があり、スタンリーでさえ悪人ではない(戦争のPTSDという解釈もあるらしい)。

山本郁子のブランチはいたって自然体で説得力があった。やけに喋り散らす、急にやって来たちょっと厄介な居候の姉というだけで、精神を病んでいるとは見えない。何かと酒に手を出すところが危ういけれど。しかし、後半、ミッチに向かって過去を語るくだりの切なさ、スタンリーに富豪からの電報やミッチの謝罪(いずれも妄想)をいかにも楽しそうに語るくだりは迫力があった。正気と狂気の境目自体がなくなって自由になる、最後の輝きが感じられた。最後のバスルームから顔をのぞかせてはしゃぐ声は、それまと違って作り声のようではかなげで、何かが変わったとわかる。

ミッチとの別れのシーン、幻のような黒服の女が室内をうろつく。ブランチのせりふに死神の言葉があるので、それを具現化したのかと思った。が、戯曲には花売りのメキシコ女とあり、その物売りの呼び声をカットして歩かせたもの。印象には残るが、やりすぎの気もする。かつての夫の死と重なる「ポルカ」の音楽は、冒頭の最初に夫の死に触れるところと、ミッチに告白する前後(九場)に気づいた。ほかにもあったはず(少なくとも六場、ミッチとのデートの夜)だが気づかなかった。この舞台では音楽の使用は難しい。

ラストのブランチ「わたくし、いつも、見ず知らずの方のご親切にすがってまいりましたの」が名セリフということになっている。今回もそこだけ目立つように、少し間を開けて明瞭に語っていた。が、それ自体はどうということのない文句。実は全編を通じて、似たようなフレーズをブランチは繰り返している。例えば5場で妹に「わたしは強い女になれなかったの、自立した女には。そういう弱い人間は、――強い人間の好意にすがって生きていくしかないのよ」と。ミッチにローレルでの淫蕩な生活を告白するときにもある。ミッチとの結婚に未来の夢を託すのもその流儀の表れだ。彼女の生き方と、その破綻を示すセリフとして、この戯曲の核心になっている。

ネタバレBOX

自殺したゲイの夫のことも、ホテル・フラミンゴ(ブランチが、これをタランチュラ=毒蜘蛛、というのはすごい)での売春(多分)のことも、彼女が告白する相手はミッチ。意外にもミッチだけにはそれほど心を開いていた。これもミッチがたまたま出会っただけの「見ず知らずの方」だからなのだろう。

何か所か、第三者の科白が終わるのを「待って」しゃべり始める空白が感じられた。自然な流れを途切れさせるので、そこはうまく処理してほしい

このページのQRコードです。

拡大