イヌの仇討 公演情報 こまつ座「イヌの仇討」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    5年ぶりの東憲司演出版。三田和代の、命より名誉・家名という厳しい女中頭、原田健太郎の庶民的で人のいい盗人がいい。出たり入ったりする坊主の春斎(石原由宇)も、「この隠れ場所は赤穂の家来が教えてくれた」など、素っ頓狂なことを言って笑わせてくれる。愛嬌があるし、外の状況を教えてくれる唯一の存在なので、セリフが多い。何より光るのは大谷亮介。柄が大きく、普通にセリフを言っても大げさに聞こえる人なので、時代劇の殿様にはピッタリ。しかもちょっと情けないから、吉良上野介ははまり役である。

    ネタバレBOX

    討つ理由のない吉良を、大石が討つのはなぜなのか? 井上ひさしの忠臣蔵の新解釈は理屈っぽいように見えて、案外結論は単純。狙いは吉良ではなく、将軍綱吉。討ち入りは「おかみ(幕府、将軍)への挑戦」なのだ。本当にその非道・いい加減を告発したい相手は5代将軍・綱吉とその側近だ。吉良に恨みはないが、幕府への異議申し立てを示すための犠牲になってもらうと(強大な敵への反抗を示すため、関係ない市民を巻き添えにする自爆テロのようなものだろうか)。幕府が吉良を見捨てたことを悟った吉良は、自ら首を差し出すことで、大石の「公儀への挑戦状としての討ち入り」を成功させる。

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    2022/11/06 02:02

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