
魚の血
troupe▲antLion
studio ZAP!(東京都)
2022/11/16 (水) ~ 2022/11/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/20 (日) 16:00
troupe▲antLionの第2回公演は前回に引き続き奥村千里の新作。が、今回は演出も奥村自身が手掛けている。
奥村の新作に対する期待は勿論のこととして、今回私が最も注目していたのが、やはり奥村が作・演出を担ったれんこんきすた「雲隠れシンフォニエッタ」以来3年半ぶりの舞台出演となる前川史帆だ。なにしろ前川はメガバックスコレクション在籍中は、同劇団が最大で年間7回公演した全てで主役もしくはそれに準ずる役で様々な性格を見事に演じ分け、その年間7回の公演のCoRich評点平均が4.5以上という驚愕の実績をたたき出した、まさに文字通り同劇団の立役者だったのだ。そんな彼女がいかに役者活動縮小中とはいえ、3年半ものブランクをどう克服するのかとの思いが強かったのだ。そして彼女はそれを見事に成し遂げてみせた。おそらく5人の出演者の中で最も台詞量が多かったと思われるが、それは前川に対する奥村の信頼と期待の表れだろう。苦悩を心の奥底に秘めた上での限りない優しさを、全身から(殊に目の表情で)滲みださせている。
劇中ではっきりと国名は出てこないものの、当日パンフなどを見るまでもなく、軍事政権下のミャンマー(1989年までの国名はビルマ。「ビルマの竪琴」の舞台となった国だ)の話である。
この国について簡単に記しておくと、第二次大戦中は日本の占領によって英国から独立したものの、日本の敗戦により英植民地に戻った。48年に独立するも、62年のクーデター後にビルマ社会主義計画党のネ・ウィンの独裁政権に。88年に民衆の民主化運動でネ・ウィン体制は崩壊したが、これを危惧したミャンマー国軍がクーデターを起こして軍事政権を開始。もともとが他民族国家でもあったため、これらの経緯の中やその後にも無数の民族グループが世界で最も長く続いている内戦の一つに巻き込まれ、組織的な人権侵害が横行してきたのだ。劇中でティハが加わっていたというNLDなる組織は、アウンサンスーチーらが結党した国民民主連盟のことである。
【詳細感想は後日追記します】

『鋼鉄の棺』
東京華劇団
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2022/11/18 (金) ~ 2022/11/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
とてもエネルギッシュな舞台。
演者の熱量が伝わってくる。
敢えて厳しい事を言わせて頂く。
感情の表現のチョイスは的確か?
必ずしも、悲しみ=涙ではないし、怒り=大声ではないと思う。
人間の感情は理性によってコントロールされているので、リミッターが外れて感情が爆発することは滅多にない。
この作品に関しては、そんな場面は数カ所だ。その場面を見所とするならば、他の場面(同じ場面内でも同様)でいかに感情を抑制して、山場はどこなのか考える必要がある。それは役者の役目だ。
それをせずに「俺の芝居を見ろ」と言わんばかりの演技をするから感動は薄れる。
感情を抑えるとテンションも声量も下がると思うかも知れないが、それは間違い。声のボリュームを上げれば良い。
これは訓練しないと出来ない事だ。
今の演技は、そのシチュエーションを「それっぽく」見せているに過ぎない。
どうか、自分の演技を論理的に組み立てていく事を勉強して頂きたいと思う。

建築家とアッシリア皇帝
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2022/11/21 (月) ~ 2022/12/11 (日)公演終了
実演鑑賞
初日観劇。すごいエキサイティングな芝居で、岡本健一、成河の自由奔放でエネルギーにあふれていた。猥雑にして純粋、聖にして俗、信仰と涜神、愛情と憎悪、等々と言われる戯曲だが、矛盾する要素を様々に読み取ることのできる、万華鏡のよう。古典ともいわれる作品なので、今回は珍しく事前に戯曲を読んでいたが、その戯曲からの予想を2倍も3倍も超えた。岡村健一が黒い女性下着に着替えていくシーンなど、戯曲にあっただろうか? グロテスクで、公序良俗への冒涜ともいえる挑発的な場面がいくつもあった。
次々話が変ってしまう、コントをいくつも繋げたようなつくり(特に1幕)なのだが、それだけではない。2幕は皇帝を被告にした裁判劇。証言者の合間合間に、幕間狂言を入れるよう。そして、最後は書くのがはばかられる展開になる(戯曲読んだのは2か月前なので、実は終わりの方は忘れていた)。
思い煩うことがあって、屈託した気分だったが、この芝居を見て元気が出た。それほど自由で突き抜けた芝居。ごっこ遊び、なりきり、すり替わり、女装、扮装、仮面劇、裁判劇、コント、ユーモア、暴力、殺人、処刑、血と性と食と、そうしたごった煮の生の人生と、演劇の原点のどろどろしたマグマをぶちまけたようだった。オペラ、音響、光、小物、衣装、美術も猥雑かつ大げさでよかった。
事前に戯曲を読んでいくなど頭でっかちの見方だが、私以外も頭でっかちそうな観客が多かった。こんな芝居を見ようというのは、それなりの演劇通であろう。でも素直な笑い声が絶えない。観客も理屈を離れて、感覚で受け止めて、舞台を楽しんでいた。最後列にずらりと立見席もある満員御礼。
2時間50分(休憩15分)と長いが、全然飽きない。

触れただけ
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2022/11/16 (水) ~ 2022/11/20 (日)公演終了

仮面劇・犬神
昭和精吾事務所
ザムザ阿佐谷(東京都)
2022/11/11 (金) ~ 2022/11/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/12 (土) 14:00
一言で表現すれば「アングラのようでアングラでない少しアングラな作品(笑)」……というのは冗談として、物語は確かに土着的というか泥臭いというかアングラっぽい(個人の印象です)が、演劇表現としては垢抜けていて、いわば「ネオ・アングラ」なオモムキ?
また、タイトルにある通りの「仮面」が楽しい。実際にかぶると四頭身か三頭身くらいになってしまうが妙に説得力を感じたのは幼少時に観た木馬座などの着ぐるみ芝居の刷り込みによるものか?
そして、語り、演技・舞踏などの身体表現、生バンドをつけての歌、映像など各種表現を融合させたパフォーマンスは「観る」や「聴く」ではなく「浴びる」「感じる」感覚、テラヤマ汁ぶしゃあ~っっ!!!(笑)

サイレント・ブレス
千夜一夜座
ブディストホール(東京都)
2022/11/19 (土) ~ 2022/11/22 (火)公演終了

サイレント・ブレス
千夜一夜座
ブディストホール(東京都)
2022/11/19 (土) ~ 2022/11/22 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
2時間の中にいろんな人の生きざまというか、意思を見ました。
場面転換が巧妙で、ぐいぐい引き込まれ、「生き方」は本当に人それぞれ、
それこそ、「多様」で同じものは一つとないのだな、と感じました。
個人的には、けいちゃんがお気に入り。
是非、友達になりたいと思いました。

キョウカイセン
JACROW
駅前劇場(東京都)
2022/11/17 (木) ~ 2022/11/23 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/11/21 (月) 14:00
いつものJACROWと少し雰囲気が違って、今回は臓器移植がモチーフになっている。だが、結論から言うと、登場人物たちによる群像劇に近い。生と死の境目をテーマにした一晩のドラマである。
舞台は病院の待合室。ゲリラ豪雨が続く中、救急搬送された男女二人のそれぞれの家族が登場している。男性の方は妻、姉夫妻と妹。女性の方は夫とその弟。意識不明が続く中で、男性は脳死状態に、女性は自発呼吸が復活する。
脳死状態に陥り、医師は臓器提供を持ちかけた。何とか生きていてと願う家族に臓器提供の話は唐突であり、衝撃的だ。当然、当惑の極みに陥るが、女性の方の家族、すなわちその夫が「研修で教えたもらったことです」と断り、脳死とは何か、植物状態とはどう違うのか、意識が戻ることはあるのかなどについて冷静に語る。
ここまで見ると、脳死という診断を受け入れるかどうかというドラマかと思う。ところが、そういう私の見立てをよい意味で裏切った。登場人物それぞれに脳死をどう受け入れるかなどについての物語があり、それが次々と明かされていく。
増水した川に転落した二人が、片方が脳死で片方が植物状態とはドラマチックな仕掛けだが、やはりなぜ、まったく関係のないと思われるこの二人が同じ場所で川に転落して救助されたのか、二人の関係は何なのかというところに興味が移っていく。ただ、臓器提供を持ちかけられた家族の葛藤は舞台の最後まで続く。それはやはり、劇作家が描きたかったであろう点だと考えられる。最後までこの点を貫いた脚本は、JACROWらしいと言ってよい。
俳優たちはオーディションで選んだといい、いつもの顔ぶれとは違う。それが新鮮でもある。家族の物語であるが、その家族は仕事に追われ会話を失い、肝心なことを伝えていない。こうした警鐘ともとれる作品だ。
おもしろかった!

王国
少女東京奇襲
スタジオ空洞(東京都)
2022/11/18 (金) ~ 2022/11/21 (月)公演終了

夢の肉弾三勇士【11月21日夜公演中止、11月23日昼夜は特別映像上映に変更】
七ツ寺企画
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2022/11/18 (金) ~ 2022/11/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ありがとうございます。
『夢の肉弾三勇士』鑑賞させていただきました。
今年創立50周年を迎える七ツ寺企画さんが
こけら落とし公演(1972年9月)として上演した
「演劇団」流山児祥(りゅうざんじ しょう 執筆当時21歳)さんによる戯曲を
鹿目 由紀(かのめ ゆき)さんが新たに書き起こし
初心に戻っての公演とのこと。
時代も背景も超越したカオスの中、
まさに醒めない夢の中で答えのない答えを追い求め
もがき苦しみ続ける若者たちのありさま・・・
音響のせいなのか聞き取りづらく
何をしゃべっているのかよくわからなかったのが残念でした。

ちちんち
オイスターズ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2022/11/18 (金) ~ 2022/11/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2022/11/20 (日) 14:00
名古屋のベテラン劇団らしいのだが個人的には初見。良質の会話劇コメディ。(5分押し)89分。
東京で女子大生をする涼子(高畑結希)が大学講師の所に来て、父からラインが来たので名古屋の実家に帰らなければならないと言う、その理由は…、の物語。多くの父を持つ涼子の回想を描いて、苦笑が起こる展開は、ほぼ予想できるものの細かいエピソードは巧い。事実上初舞台のアイドル高畑のセリフが棒読みっぽいのも逆に効果的で悪くないが、テンポが意外に遅く、じれったく感じる部分もややあった。

ジャンキー・チエの木人件
グワィニャオン
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2022/11/16 (水) ~ 2022/11/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
面白過ぎます。あらすじも天才的!
沢山の役者さんが出演されていますが、セリフが無い時でも
みな表情で演じているのが楽しい。
宮崎さんの演技が得に最高でした。
観劇後に役者さんを調べましたが、声優業メインで構成されている。
しかもかなり有名な方もいる・・・これで5000円の観劇料は安過ぎでしょう。
初見でしたが、今までこの劇団を知らなかった事は一生の不覚です。
これからの一生ついていきます。

寛永浪侠伝
劇団M'sーG
大阪市立芸術創造館(大阪府)
2022/11/17 (木) ~ 2022/11/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
日本人の根元となっている武士の精神的なものと、自分のやりたいことをやるといった一面相違することに思えることの融合が上手く表現されていた。千秋楽ということもあって泣きました‼️

堕天使は薄い本を閉じて~君のなにわ。編~
三栄町LIVE
in→dependent theatre 1st(大阪府)
2022/11/16 (水) ~ 2022/11/20 (日)公演終了

そんなに驚くな
名取事務所
小劇場B1(東京都)
2022/11/11 (金) ~ 2022/11/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/11/20 (日) 13:00
フライヤーの動物園、カニカマばかり食べる主人公…ラストで明かされるその理由が切ない。
登場人物の誰もが「諦めて生きている」が、時に「やっぱり違うだろ!」と苛立つ、
それが翻訳ものであることを完全に忘れさせる台詞で強烈に迫ってくるところが素晴らしい。
天井からするすると降りて来るマイクを握り、熱唱する歌声がまだ耳に残っている。

二本立て「『米屋はまだ無事か』『正直・清兵衛』」
京浜協同劇団
スペース京浜(神奈川県)
2022/11/19 (土) ~ 2022/11/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
柿落とし回を観劇
客層も演者側も
あまし若くないなーと思っていたら
お若い方々が数名入ってくれたそうで
喜ばしい限りですね
朗読劇の米屋と落語原作の芝居
2本立てで10分の休憩を入れた1時間50分の作品です
話の選択と
衣装とか小道具は雰囲気良かったが
台詞がいろいろ駄目だったー
だけど回を重ねれば とは思います
この
ご時世で頑張ってるんだけど
星数のオマケはちょい出来なかったデス

supermarket!!!
壱劇屋
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2022/11/03 (木) ~ 2022/11/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
初日観劇。
短編9本2時間半のてんこ盛り!
短編毎に少しムラを感じたが、個人的には
神出鬼没の佐々木ヤス子さんや
三田村啓示&吉迫さんの"もしも悪い人が来たら"や
田中遊&安達さんの"AUTUMN WHETHER"等
客演や安達さんの回が安定感あり、シーンに引き込まれた。

さくらんぼ畑
8.22企画
THEATRE E9 KYOTO(京都府)
2022/10/28 (金) ~ 2022/10/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
千秋楽観劇。
桜の園は難解なイメージですが…
本作は桜の園の別訳!
原作通り(🌸→🍒)、白い花の"さくらんぼ"をイメージし、
衣装等も明るく白が基調。
そして何より分かり易くって!?
桜の園は楽しいコメディでしたっけ?
登場人物も親近感がわく親しみ深いキャラ達で、老練な役者陣のボケも息ピッタリで、愉しかった!

ともだちが来た《大阪公演》
ツレヅレ
大阪市立芸術創造館(大阪府)
2022/10/28 (金) ~ 2022/10/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
何度か拝見した演目。
高校時代の友人が遠方から自転車でやってきた。
「嬉しいよ。ゆっくりしてゆけよ。」
「俺の事、忘れないでくれ。」
長い長い2人の別れ話から漂う、生へのこだわり?
既に何名かの友を亡くした世代には、懐かしい友に会いたくなる、そんな公演。
わが友は元気だろうか?

ふにゃふにゃ、夕立、夏霞
The Stone Age
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2022/10/28 (金) ~ 2022/10/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
連載マンガのラストと旦那のED?!悩める彼女の人生と漫画がリンクしだし…
久しぶりのストーンエイジさん、悩める人の背中をそっと押し、自分に正直にしてくれる、そんな公演。
更に久しぶりのseicoさんの演技も観られてホクホクや?!