最新の観てきた!クチコミ一覧

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華岡青洲の妻

華岡青洲の妻

文学座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2025/10/26 (日) ~ 2025/11/03 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

サザンシアターでの文学座(過去2回は体験)はアトリエ公演の濃密さ的確さに比してかなり「落ちて」しまう。その理由は恐らく商業演劇っぽい年輩俳優の演技のせいであった。が、本作はそれが似つかわしい時代物の脚本であり、嫁姑の対立の一方を演じる女優も、息子の溺愛振りを「笑わせ」てよい役柄。
有吉佐和子の原作は、嫁姑の悶着問題を薬の開発に勤しむ青洲への「協力」を巡って剣呑な領域に踏み込ませる。時を経た後半、青洲の母は仏壇に祀られ、青洲の妻の目は光を失っている。平体演じた次女は、思い合う相手がいながら嫁姑のグロテスクな対立を目の当たりにして婚姻を遠ざけた人生を歩むが、早死にした姉と同じ病に犯された時、想い人であった青洲の弟子と歩んで行く覚悟を漸くにして持つ。青洲の妻と次女のささやかながらの紐帯が、最後に見えるのが印象深い。

わかろうとはおもっているけど

わかろうとはおもっているけど

劇団 贅沢貧乏

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2025/11/07 (金) ~ 2025/11/16 (日)公演終了

実演鑑賞

気持ち良くなって眠ってしまった。抽象的とまでは言わないが比喩性の高い芝居なので、観方を見出す前に落ちた。苦言を言えば声が落ちて台詞が聞き取れない箇所があり、説明を省いた隠喩の効いた芝居は、ナチュラル演技で「声が落ちる」箇所が出てしまうならナチュラルを犠牲にしてでも明確に台詞を発語して届けてほしかった、というパターン。ただしリアル演技で伝えたいのは男の特性がどう日常的な男女の会話の中に紛れ込んでいるか、であろうから譲れない部分であったかもだが。
9年前に初めて観て以来の贅沢貧乏。断片的な観劇になったがその断片は面白かった。

虚構喜劇『野外劇 観客席』

虚構喜劇『野外劇 観客席』

吉野翼企画

戸山公園野外演奏場跡(東京都)

2025/11/10 (月) ~ 2025/11/13 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

観に行けた。幸なり。四日間4ステージいずれも16:30開演、日照の変化を測っての設定は野外劇ならではで希少感をくすぐる。制作担当に梁山泊ステージで圧倒した女優の名があり、オヤと思う。年齢と共に裏方に回る実力派を散見する劇界の現実を思ったが、ちょっと調べたら引退の齢にあらず杞憂であった(多分だが)。
余談はともかく・・寺山「観客席」だ。
成る程。70年代にこれをやっていたのか・・と驚き。無論「今」が盛り込まれたステージであったが。市街劇など様々な演劇的試行を残した寺山修司が「観客」にスポットを当てるなら当然、安全圏にいる観客と身をさらす俳優との関係の主客逆転を発想するだろう。大枠その通りであったが、これを挑発的に、また面白く視覚化する趣向、アイデアには舌を巻く。
「観客参加」場面がある。これを仕切っていた寺田結美が流石であったが、これを「この試みは失敗であった」の台詞で締める。奇しくも観客参加型というのは巧くいかない事が多い、というより、観客個々人が己を表現するというポテンシャルを持つには、そもそも一つの舞台のために役者も身体を酷使して繰り返し稽古をするのであり、同じ立場にイチゲンの観客を立たせるのは「無理」なのである。
一方で演劇なり「上演主体」が持ち得る影響力は侮れない故に、「観客よ、簡単に騙されるな」という警告は有効と言える。
一時間半の上演の中身は多様で密度が高い。終盤「プロの観客」なる概念が頻出する。心許ない俳優の演技も観客の拍手、笑い一つで生かされる。かつてのTV番組では拍手屋、笑い屋が居て拍手一回に200円、笑いに300円がもらえた。稼ぎになるから私は喜劇が好きだった、等の駄弁がまことしやかに。そして耳が痛くもあるが「観客」の本質を言い当てているのが彼らの「批判」(劇評)であり、「何が上演されようが、たとえ観なくとも、こんな劇評は書けてしまう」と紹介される「いかにも」な芝居を観ての劇評が穿っている。「総じて演出が時代がかっており、身体表現も一時代前を思わせる」「だが役者に光るものあり」「今後に期待したい」・・褒める所がなければ役者は褒める、役者もダメなら美術を褒める、等の身も蓋もない(作り手の寺山氏の皮肉全開の)真実。落としつつ褒め、褒めつつ落とす、すなわち観客という特権のありようは、劇評を書き・公表する行為で体現されているという事のようである。(例えば扇田昭彦の文章を読んだ者は「愛と知性の詰まった劇評」があり得る事を知っていると思うが。)
演劇批評としての「観客席」なる演目は、芝居とは詰まる所「批評」である事を大胆に直裁に言い切った点で特異だが、見終えた今、これは「演劇」であり、本質において何か決定的な差が他との比較であったようにも思えない、と感じている。
戸山公園「演奏場跡」に当るのだろうステージとなる丸いエリアを、一方の傾斜から見下ろす。
客席側にふとどこかで見た姿が、と思い出せばDoga2女優。団員が出演してでもいるのか、と気にしながら観ていると、それでなのか、よく喋る痩せ型の女優が(声や喋りからして)あの女優かな、またこちらはやや三枚目を演じるあの男優か、と。だが後で見れば当ては外れていた(Doga2俳優は出演しておらず)。麗羅なる一見怪優が十全な喋りを繰り出していたりだとか、観客を取り囲むように各所から台詞を出したり、音を鳴らしたり、「外部」に開かれた空間ゆえの自由が(そうやって物理的に広がる事で)具現する感覚。
客から募って男女一人ずつ台本を渡して読ませる時間がある。収容一人だけの劇場=段ボール箱に入る人を募り、終演まで箱の中からのぞき穴で覗かせられた客もある。出席を取ると言って観客の名前を読み上げ、質問を投げて答えさせる時間も。最初に渡された紙に書かれた文字を皆で(何かしながら)発語するという場面も。オーラスで吉野氏が前に立ち、客に一本締めを願ってやった後、俳優らが周囲から「こんな物作りやがって」「時間を返せ」等の抗議を始めるが、観客にも「この際言っちゃって下さい」と促した時は、非難ごうごうが起きた(笑、う所だ)。「観客参加」が成功したのか否かはともかく・・ここまで趣向が詰め込まれた演目だとは知らなかった。確かに、役者に力量が無ければまず成立し得ない演目。鳴り物入りで上演される訳である。

再生ミセスフィクションズ3

再生ミセスフィクションズ3

Mrs.fictions

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2025/11/13 (木) ~ 2025/11/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

5つの話がテンポよくありました。

ネタバレBOX

開演前に舞台でもうすでに始まっていたので、期待に胸が高鳴りました。再演ということですが、特に、2つめと4つめのお話がおもしろかったです。醸し出される味がいいですね。
再生ミセスフィクションズ3

再生ミセスフィクションズ3

Mrs.fictions

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2025/11/13 (木) ~ 2025/11/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/11/13 (木) 19:30

価格4,500円

心温まる、とってもオススメ!!!

『イン・ヒューマン (in human)』

『イン・ヒューマン (in human)』

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

世田谷区民会館(東京都)

2025/11/12 (水) ~ 2025/11/13 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

和風フラメンコなのかなと思いました。ダンサーの方々はカッコ良かったです。生演奏も良かったです。

『はりこみ』

『はりこみ』

殿様ランチ

駅前劇場(東京都)

2025/11/12 (水) ~ 2025/11/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

さすが殿様ランチ!期待を外しませんね。ほんと面白かったです。ずっと笑い転げてました。小泉構文なセリフ、めっちゃドツボでした。あと、カーテンの後ろ側、しっかり作り込んでいて感動しました。殿様ランチの舞台はわかりやすく途中で睡魔に襲われることなくて大好きです。楽しい時間をありがとうございました!

『はりこみ』

『はりこみ』

殿様ランチ

駅前劇場(東京都)

2025/11/12 (水) ~ 2025/11/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白かったです!
開場前の注意事項のアナウンスからして楽しい?のでお聞き逃しなく。
「はりこみ」をしているアパートの一室で繰り広げられる物語。もちろんその場所だけで話が済むわけではないので・・・

ネタバレBOX

そこは張り込みされている女の通うジムになったり、別の署の部屋になったり、署内にあるらしいカウンセリングルームになったり。登場人物の背景や意外な面も明らかになったり別の事件も絡んだりしながら話は進んで行き、思わぬ結末でした。
映画やドラマを見直したくなりました。
わかろうとはおもっているけど

わかろうとはおもっているけど

劇団 贅沢貧乏

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2025/11/07 (金) ~ 2025/11/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2025/11/13 (木) 19:00

80分。休憩なし。

トミイのスカートからミシンがとびだした話

トミイのスカートからミシンがとびだした話

新国立劇場演劇研修所

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2025/11/11 (火) ~ 2025/11/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

娼婦の流転記と云えば『にっぽん昆虫記』のような作品を想像するが今作はもっと明るく元気。岡本喜八の初期作みたいにカラッとしている。娼婦じゃなくストリッパーだが、作品の雰囲気は『カルメン故郷に帰る』か。井上ひさしの『日本人のへそ』も想起。戦後、パンパンから足を洗った女性から見える世界。

戦後の混乱期、パンパン(売春婦)で貯めた金で当時高級品だったミシンを購入、足を洗って田舎に帰る富子、通称トミイ(大田真喜乃さん)。パンパン仲間と元締めのヤクザの下っ端、流しのギターや顔馴染の刑事なんかが送別会。股ぐらでせっせと稼いだ金がミシンに化けたのだ。男の一人がからかう。「まるで『トミイのスカートからミシンがとびだした話』だな。」

空襲で両親を失ったトミイと弟(森唯人氏)、妹(田村良葉〈かずは〉さん)は提灯屋の伯父(和田壮礼〈たけのり〉氏)、伯母(向井里穂子さん)の家に世話になっていた。東京で成功して地元で洋裁店を開くトミイを皆が歓迎する。新聞記者が取材に来る。敗戦から落ち込んだままの日本を希望の明るい灯りで照らしたい。女一人で成功したニュースが皆を勇気づけるかも知れない。断るトミイだったが無理矢理記事にされてしまう。

東京でパンパンをやって金を稼いだことが写真付きで週刊誌に載る。陰口嫌がらせ落書き誹謗中傷、真面目な弟はグレ出し妹は精神を病む。伯父はトミイを性的な目で見始め、夜這いを繰り返す。この辺り『どですかでん』っぽい。地元の悪ガキの一人、中島一茶氏はカズレーザー系。

地元に居られなくなったトミイは職を転々とする。衛生博覧会で踊る。優しかったパンパン仲間の律子姉(辻坂優宇さん)の言葉を思い出す。「何処にも居られなくなったらいつでもここに戻っておいでよ。」

大田真喜乃さんは面白い女優。物語が進めば進む程魅力的に。サバサバしたトミイのキャラが立ってくる。信仰もしていないのに教会に通って祈る。『罪と罰』のソーニャなんだろうな。細かいことはどうでもいい。大事なことだけ間違えなければ。

現代ならAV女優が引退して帰郷したらSNSで情報を拡散されるような話。堅気の仕事に就こうとしてもずっとネットストーカーに付きまとわれ身元をバラされてしまう。それでも何とか幸せに向かって生きていこうと思う。真っ直ぐな前向きな心だけが自分の武器だ。

THE STAR CLUB 「THE WORLD IS YOURS」

苦境に瀕した時 頼りは悪運だけ
後戻りは不可能 覚悟してやったぜ 信じる事さ

是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

流しのギター、菊川斗希氏。戦争中、船が撃沈し海上を板に掴まって漂う。同じくその板に掴まろうとした戦友を振り払い死なせてしまう。それ以来手に感覚が戻らない。確かなものに触れたくてヤクザを刺して殺してしまう。
ヤクザの若い衆(﨑山新大〈しんた〉氏)。
ずっとトミイを探す男・源造(井神崚太〈りょうた〉氏)。
パンパン仲間の目が見えなくなるベス(野仲咲智花さん)。
赤ん坊を産むスガ(千田碧さん)。

前半が単調で退屈、居眠りもいた。後半、大田真喜乃さんの魅力と共に作品も盛り上がっていく。前半に工夫が必要。衛生博覧会なんかはムードが面白かった。寺山修司の『血は立ったまま眠っている』みたいに東映っぽく荒っぽくやればいい。
高知パルプ生コン事件

高知パルプ生コン事件

燐光群

「劇」小劇場(東京都)

2025/10/31 (金) ~ 2025/11/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/11/02 (日) 19:00

価格4,500円

11月2日〈日〉19時観劇。

製紙工場が違法に汚染水を垂れ流した結果、
市内の川や内湾の環境破壊が進んだ。
役所や地元メディアは知らん顔。
そこで、有志が立ち上がる…。

私自身は高知の出身です。
この事件については幼い頃から、
話を聞かされていました。

今回の上演に当たって、燐光群の方は
事件のことをとてもよく調査されていました。
事件の背景や登場人物など、とてもよく分かりました。
大変勉強になりました。

ということで、この劇は社会的な内容
(公害事件を広く世に知らしめる目的)がゆえに、
芸術的・文学的な要素はまったくありません。
そういった要素を期待されている方には退屈だと思います。

『はりこみ』

『はりこみ』

殿様ランチ

駅前劇場(東京都)

2025/11/12 (水) ~ 2025/11/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い。
タイトルと説明だけみると、緊張感溢れる物語のように思えたが、実際は ほどよい緊張と弛緩が絶妙に組み合わさった公演。まず前説が警察 無線通信のように音声で注意事項を伝達、繰り返し緊張しないように と笑わせる。が、冒頭シーンから緊迫感を漂わせ、警察隠語が飛び交う。

公演は、舞台装置とその使い方が上手い。単に はりこみ する<静>のイメージと監視する対象者の<動>への切り替わりが巧みで、物語が生き活きとしている。街の風景が台詞の端々で説明され、それを表わすかのように電車の走行音が聞こえる。
(上演時間1時間55分 休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は駅前ロータリーガ見渡せる 或るビル(マンション?)の一室。上手に玄関ドア、下駄箱や流し台、中央に押入れ、下手にはカーテンが閉められた窓。そこへ はりこみ用の機材を搬入し手際よくセッティングしていく。玄関の外や窓の外もしっかり作り込まれている。押入れが別空間への出入り口にもなる。場景に応じて、はりこみ する部屋、スポーツジム、警察病院カウンセラー室 そして警察研修センターを表す。勿論、衣裳替えも併せて行う。

物語は説明通り、強盗殺人容疑の男が元カノに接触する可能性を考え、彼女の行動監視を始める。彼女は監視にも気づかず、単調で平和な生活(スポーツジム通い)を繰り返すだけ。刑事たちは それでも監視を続ける。そして…結末は ぜひ劇場で観てほしい。
はりこみ を通して警察内のセクト主義や先輩/後輩といった上下関係、さらにメンタルケアといった、どこの会社組織と変わらぬ光景を描く。そんな中で、最初と最後の場面で警察研修センター教官が新任刑事を教育するシーンは、警察ドラマならではの緊張感があった。映画やTVで見るような緊張や緊迫した物語ではなく、どちらかと言えば 刑事という職業にある人間ドラマを見るような印象。刑事になった動機や人間性を巧みに織り込み、時に笑いを誘う。

公演が面白いのは、計算されつくした構成の精緻さ、それに基づく場面転換の巧みさ、そして絶妙な会話。なによりも登場人物たちの多彩な魅力が物語を生き活きとさせている。神奈川県警本部と所轄(川崎警察)署、さらに後々判るが、警視庁が抱えた事件との競合等 ありそうな場面を盛り込み、現実社会にありがちな鬩ぎ合いを見せる。同じ警察組織でありながら、事件の重大性/話題性ー例えば詐欺と殺人ーといった(罪状の)軽重意識を垣間見せる。また、はりこみ時 定番となる飲食(あんぱんorおにぎり)は…先入観/固定観に捉われず、時代や人の嗜好で異なるといった笑わせ方。そこにコンプライアンスと合わせて、「令和版」としての面白さを盛り込んだよう。

公演では、はりこみ する警察(監視する)側だけではなく、対象となった女性の日常も描く。その大半がスポーツジムでの様子。自分が監視されていることなど知る由もない。そこに日常に潜む狂気や恐怖ー例えば ストーカー等の行為ーを感じさせる。はりこみ という行為の中に人間や社会の不気味な関係性が浮かび上がる好公演。
次回公演も楽しみにしております。
『イン・ヒューマン (in human)』

『イン・ヒューマン (in human)』

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

世田谷区民会館(東京都)

2025/11/12 (水) ~ 2025/11/13 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

スタンディングオベーション! 華5つ☆、必見!!

ネタバレBOX

 今作は、歌舞伎とフラメンコのコラボ。江戸川 乱歩原作「人でなしの恋」をベースに脚本を人形役で出演なさっている歌舞伎の中村 壱太郎さんが担当。全12パートに分かれたシーンで展開する。
 のっけから台座の上に乗った日本人形の態の和の“静”が板センター奥に、フラメンコの“動”が板の他の部分からやや遠巻きに、だが見事に対峙して幕が開く。この瞬間から惹き込まれるのは歌舞伎の静が単に静かに佇んでいる訳ではない“静”だからであろう。
 歌舞伎のハイライトシーンに誰もが知る見得がある。これは型と取ることができる。その時、型になるほどの必然性がこの瞬間に存在している訳だが、その内実は何だろう。有名な「白波五人男(青砥稿花紅彩画)」の浜松屋見世先の場で盗人の弁天小僧が切る啖呵で見得を切るシーンがある。これは悪(犯罪者)と善(浜松屋)とが意地・力という背景に支えられつつ拮抗した結果一見“静”に見える状態にあるという事態だ。(それを見ている者にはこの内実がハッキリ伝わる)更に端的にこの構造が明らかになるのは、同じ演目の二幕目三場、稲瀬川勢揃いの場。この場面では盗賊五人と捕り手(権力・体制の象徴)が対峙する。
 当然のことながらこのファーストシーンに籠められている意味は他にもある。洋の東西である。東は和で、西はスペインで代表されている訳だ。役者の身体の用い方も全く異なる。歌舞伎役者は人形を演じることで動かぬまま同じ姿勢・ポーズで台座の上に固定されているかの如く、恰も物体そのものであるかのように立つ。片やフラメンコダンサーたちは温暖な地中海性気候と透き通るようなスペインの青空に恵まれフラメンコ発祥の地であると言われシェリー酒の名産地としても知られるヘレス・デ・ラ・フロンテーラの陽気、軽やかさ、茶目っ気、情熱を炸裂させる。これらを極めて知的に対比させ演じて魅せることによって観客を虜にしてしまった。筝、ギター、津軽三味線、バイオリン、ビオラ、チェロ、篠笛、ボーカル、カンテ、附け打ち、パーカッションの生演奏・表現も素晴らしい。総ての演者に共通するのが、芸に賭ける真摯な姿勢である。殊にその鍛錬は、驚嘆すべきレベルのものだ。例えば真上にジャンプし落下時は安愚楽を組んで着地する。こんなことを素人が真似したら尾骶骨骨折等耐え難い痛みを伴う怪我を負うであろうことを難なくやってみせる。流石、役者とその底力に驚嘆した。
『はりこみ』

『はりこみ』

殿様ランチ

駅前劇場(東京都)

2025/11/12 (水) ~ 2025/11/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

強盗殺人容疑の主犯が逃亡中。立ち寄りそうな場所ということで元交際相手(今泉舞さん)のマンションの向かいの空き室を借りて刑事達が張り込む。服部ひろとし氏、こくぼつよし氏、相樂孝仁(さがらこうじん)氏。女性の行動を監視する為、彼女の足繁く通うフィットネス・スポーツジムに潜入する刑事(大井川皐月さん)。ジムのオーナーでトレーナーでもある小笠原佳秀氏は女性会員の憧れの的。彼に夢中のはてなさんは半分ストーカー。更なる新人刑事の応援も入り混沌とする現場。

応援に入る斉藤麻衣子さんは正義感が異常に強い女刑事。父親も刑事だったが殉職。独特なファッションセンス。
発達障害の松田龍平みたいな原住達斗氏は父親が大物のキャリア組。
彼の指導を任された園田裕樹氏の困惑。
小笠原佳秀氏は武田修宏っぽい。
警察病院のカウンセリング・アドバイザー、篠原彩さん。この人が裏のMVP。ソフトな受け答えがプロ。
鶴町憲氏はロバート秋山のようなキャラで『絶対に笑ってはいけない』シリーズを彷彿とさせる。

張り込みを続けるマンションの部屋のセットがよく出来ている。前の住人が出て行ってまだハウスクリーニングも済んでいない。跡がある壁紙や妙な生活感。

テンポの良い笑いで会場が沸く。板垣雄亮氏独特のセンス。人物の内面の掘り下げに興味があるのだろう。着眼点がオリジナル。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

MVPは大井川皐月さん。気が強く口の悪い性格のひねた女を好演。周りの男共はげんなりしながら話を収めようとする。原住達斗氏との対決が観たかった。
はてなさんも見事な助演。
冒頭とエピローグにしか登場しない板垣雄亮氏は流石。

張り込みをするが何も起きない作品を観たか読んだかした記憶があってずっとそれが何だったか考えていた。大友克洋とか山本直樹とか、はたまた小説だったか香港映画だったか。日活ロマンポルノ?

玄人筋に高く評価されるキャラ設定と演出。笑いというものの本質を見据えている。もっと基調は憂鬱な世界観であってこそ跳ねる笑いだとも思う。足を洗う決心をしたこくぼつよし氏の心象風景こそ重要。
リヒテンゲールと二つ国の詩

リヒテンゲールと二つ国の詩

Jungle Bell Theater

萬劇場(東京都)

2025/10/29 (水) ~ 2025/11/03 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/11/02 (日) 14:00

2日昼に【チーズチーム】、3日昼に【野イチゴチーム】を観劇。

魔女の策略により対立が続いている鳥の国と猫の国の和平会議を決裂させるよう遣わされた魔女の配下とたまたま宿をとった魔女を倒す旅をしている者たちが織りなす物語。
ある意味少年ジャンプ的とも言える笑いと感動を仕込んだ王道勧善懲悪ストーリーがよくできているだけでなく、それが「もう一つの物語」に包まれている層構造で終盤にはメタフィクション的な展開もあるという凝ったもの。
さらにそこに昨今の風潮に警鐘となる要素も加えて見事。
また、鳥や猫をはじめとした様々な動物をモチーフにした衣装・メイクや動作の表現も巧みで大いに満足♪

なお「当日パンフレットの配役表示が役名と俳優名を併記するだけで役の説明がないのでどれが誰だかわからないのが難点、今後の改善を望みたい」との旨を Twitter/X に投稿したら後日、役に動物を書き加えた画像をアップしていただけた。感謝♪
こういう細やかさも30年の蓄積によるものか。

あと、クライマックスの「あの場面」で「デ、デカルチャー!」と思ったのはσ(^-^) だけではあるまい。また、Tツノコプロの複数のアニメキャラを連想した方はおナカマです。(笑)

『イン・ヒューマン (in human)』

『イン・ヒューマン (in human)』

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

世田谷区民会館(東京都)

2025/11/12 (水) ~ 2025/11/13 (木)公演終了

実演鑑賞

良かったです。

蜜柑とユウウツ ~茨木のり子異聞~ 

蜜柑とユウウツ ~茨木のり子異聞~ 

WItching Banquet

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2025/11/11 (火) ~ 2025/11/13 (木)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

蜥蜴の夜は虹色

蜥蜴の夜は虹色

MCR

OFF OFFシアター(東京都)

2025/11/06 (木) ~ 2025/11/12 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/11/12 (水) 14:00

「ねえ、何食べたい?」と聞かれて無意識のうちに相手の好きなものを答える…。
そして毎日がそのパターンになっていく…。
かつて私もそうだった…。(すげー若いころ)
自分が何を食べたいのかなんて一瞬たりとも考えない。
あの時の気持ちをありありと思い出して息苦しくなるような話だった。

ネタバレBOX

相手が自分に期待する自分を演じてしまう高校生奥田君、
それが高じて自分を表現することが出来なくなっている。
幼馴染の櫻井君と、奥田君を崇拝する堀君が、保護者のように観客のように(?)彼を見守る。
同級生の徳橋さんにやっとのことで告白したものの、母親との板挟みで言葉が出てこない奥田君。
この逃げてるんだか闘ってるんだかよくわからない奥田君が
たまに吠える台詞のなんと効果的なことよ!
誰もが耳を傾けるではないか。

言葉にならない奥田君の気持ちを通訳かイタコのように解説するのは堀君だ!
怒涛の台詞をあの活舌とスピードで堪能させてくれる。
奥田君がモゴモゴしている部分は大体堀君が解説してくれるのでとてもわかりやすい。
堀君のほっぺが少しシュッとなったのは、あの台詞を今日千秋楽まで全力で吠えたからだと思う。
素晴らしい。

客席に転げ落ちるほどのたうち回る伊達先生も素晴らしい。
“立ってるだけでもう売人”の澤さんも素晴らしい。

びっくりするほどストレートに「優しさと自己中のせめぎあい」の苦悩が描かれて、
青春恋愛騒動記みたいだが、時にこれが年寄りになっても続くから人生はままならぬ。
多かれ少なかれ大人になってもこんな忖度ライフはついて回る。
大人には、櫻井君のようにずっと後ろから見ていてくれる友達も
堀君のように“イタコしてくれる”友達もいない。
ましてや60万円を「しょうがねえなあ」とチャラにしてくれる売人もいない。(チャラにしたんですよね?)

だからいまだに肝心な時に限って忖度したりして自分を見失ういい大人は、
こういう芝居を観ると本当に切なくなる。
櫻井さんの“壊れてる部分と修復された部分”がバランスよく共存しているところが好き。



『イン・ヒューマン (in human)』

『イン・ヒューマン (in human)』

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

世田谷区民会館(東京都)

2025/11/12 (水) ~ 2025/11/13 (木)公演終了

実演鑑賞

今回は演劇でした。
豪華、贅沢すぎる音楽劇でした。

私としては前回みたいな方が好きですが、今回みたいな作品も素晴らしいし、独自だと思います。

ギターとか人声がもっと自然に聞こえら更に良かったのに、とは思いました。

ネタバレBOX

ぜひいつかタンゴとの競演も見たいと、今回の公演を見て思いました。
『イン・ヒューマン (in human)』

『イン・ヒューマン (in human)』

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

世田谷区民会館(東京都)

2025/11/12 (水) ~ 2025/11/13 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

最高でした。文字通り圧巻でした。劇伴がほぼオーケストラスタイルで音圧も半端なかったです。劇場のPAさん、いい仕事されてましたね。演奏もすばらしく音楽だけでも十分楽しめました。ダンスもほんと最高でした。ずっと感動しっぱなしでした。前回のものはフラメンコ教室の生徒さんも参加だったのか「う〜ん…」というシーンがいくつかありましたが今回はプロだけのパフォーマンスということもあり文字通り圧巻でした。最高の時間をありがとうございますm(_ _)m

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