蜥蜴の夜は虹色 公演情報 MCR「蜥蜴の夜は虹色」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2025/11/12 (水) 14:00

    「ねえ、何食べたい?」と聞かれて無意識のうちに相手の好きなものを答える…。
    そして毎日がそのパターンになっていく…。
    かつて私もそうだった…。(すげー若いころ)
    自分が何を食べたいのかなんて一瞬たりとも考えない。
    あの時の気持ちをありありと思い出して息苦しくなるような話だった。

    ネタバレBOX

    相手が自分に期待する自分を演じてしまう高校生奥田君、
    それが高じて自分を表現することが出来なくなっている。
    幼馴染の櫻井君と、奥田君を崇拝する堀君が、保護者のように観客のように(?)彼を見守る。
    同級生の徳橋さんにやっとのことで告白したものの、母親との板挟みで言葉が出てこない奥田君。
    この逃げてるんだか闘ってるんだかよくわからない奥田君が
    たまに吠える台詞のなんと効果的なことよ!
    誰もが耳を傾けるではないか。

    言葉にならない奥田君の気持ちを通訳かイタコのように解説するのは堀君だ!
    怒涛の台詞をあの活舌とスピードで堪能させてくれる。
    奥田君がモゴモゴしている部分は大体堀君が解説してくれるのでとてもわかりやすい。
    堀君のほっぺが少しシュッとなったのは、あの台詞を今日千秋楽まで全力で吠えたからだと思う。
    素晴らしい。

    客席に転げ落ちるほどのたうち回る伊達先生も素晴らしい。
    “立ってるだけでもう売人”の澤さんも素晴らしい。

    びっくりするほどストレートに「優しさと自己中のせめぎあい」の苦悩が描かれて、
    青春恋愛騒動記みたいだが、時にこれが年寄りになっても続くから人生はままならぬ。
    多かれ少なかれ大人になってもこんな忖度ライフはついて回る。
    大人には、櫻井君のようにずっと後ろから見ていてくれる友達も
    堀君のように“イタコしてくれる”友達もいない。
    ましてや60万円を「しょうがねえなあ」とチャラにしてくれる売人もいない。(チャラにしたんですよね?)

    だからいまだに肝心な時に限って忖度したりして自分を見失ういい大人は、
    こういう芝居を観ると本当に切なくなる。
    櫻井さんの“壊れてる部分と修復された部分”がバランスよく共存しているところが好き。



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    2025/11/13 00:32

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