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Little Alice ―少年アリスの時間割―

Little Alice ―少年アリスの時間割―

ルドビコ★

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2009/04/29 (水) ~ 2009/05/05 (火)公演終了

満足度★★★★★

夢と希望に満ちたおとぎ話
ひじょうに素晴らしい舞台でした。本もよく練られており、ミュージカルっぽい公演で大満足でした。
惜しむらくは、主役である北川アリス(高木万平),北川ナイト(村田充)の歌がヘタすぎ!
あんなにヘタなら歌うシーンはないほうが良い。
誰か、あの二人に歌を教えてやって!

アリス役の桜木さやかは上手かった!(^0^)

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

北川アリスは小さい頃から心臓が悪かったので母親によって女の子として育てられていた。「女の子だったら、走ったり重いものを持たなくていいんだよ。」と。

ところがある日、突然、母親が居なくなってしまった。少年アリスは捨てられたと思い込み引きこもって生きる希望を失っていたが、そんな少年アリスのもとに不思議の国のアリスや、タイム、ダイナなどがやってくる。そこから夢の世界に引きずり込まれた少年アリスは少女アリスらと一緒に沢山の冒険や友情、家族愛などを知る事になる。

これらの出来事は全て少年アリスが病院の中で見た夢で母親は少年アリスに心臓をあげて亡くなり、その後、少年アリスは6年の間、意識不明の状態で夢を見続けていた、という筋。

夢を見続けていた少年アリスは「青の森」といわれている意識で出来た森に迷い込む。そこにある「青の城」は夢や希望を見れない者は入れない場所だ。少年アリスは引きこもって何もしようとしなかったから、この森からも出られない。そんな少年アリスのもとに兄のナイトが助けに来るという物語。

やがて少年アリスは意識が戻り現実の世界で生きることができる。アリスは夢の世界で出会った人達に多くの事を教わり、「これからは自分の殻に閉じ篭ることは辞めて出会いを大切に前向きに生きて行こう。」と決心する。


兄ナイトが少年アリスを説得するセリフに感動!
急に(母が)居なくなってしまった過去は変えられない。だけれど未来は変えることが出来る。お母さんの心臓を無駄にするな。これからはお母さんと一緒に生きていくんだ。」

ある日誰かが居なくなるという事は、もはや言葉を交わす事もあの穏やかな笑顔を見ることもなくなるということだよね。あの不思議な空白、何かが断ち切られたような淋しさを・・、自分の一部がもぎ取られたような・・、あの暴力的な不在はどんなことがあっても癒える事はないけれど、それでも夢と希望を持って歩いていこう!というストーリーと、おとぎの国のキャラ設定がなんとも可愛らしく秀作でした。

歌がヘタな二人は問題だけれど、それでもそれを、ものともしない構成と演出には大満足!哀しくて切なくて楽しくて愉快な舞台!
お勧めです!(^0^)




『火事と火曜日』

『火事と火曜日』

劇団フルタ丸

小劇場 楽園(東京都)

2009/04/29 (水) ~ 2009/05/03 (日)公演終了

消防訓練
楽園で見る芝居は,割と新人さんぽい人のが多い(たまたまかな?)
未熟でもいいし、なにかひっかかるところがあれば!と思います。

ネタバレBOX

消防訓練という題材で,話が出来ていたことはよかったな!と思います。きっともっと芝居が自然な感じならはいり込めたのかな?緊張してる感があったかも。
ただ、これだけ世間がやなことだらけで,やなやつの多い世の中なのに,芝居でも下司な人が多く出ると...
そこにはやはり救いや希望が欲しいな!と思うのでした。
男の60分 -東京場所-

男の60分 -東京場所-

ゲキバカ

【閉館】江古田ストアハウス(東京都)

2009/04/22 (水) ~ 2009/04/29 (水)公演終了

満足度★★★★★

男の子向けだよね・・・
と、
劇場から出てきた女性たちが言っていたのは、劇場の下、たこ焼屋で“お好み焼きアジ”というお好み焼きの具が入った魚の鯵(アジ)の形をしていたタイ焼きの改良版を食べていたときのこと。

この“お好み焼きアジ”・・・まぁ、なかなかにうまい。
ニオイがいいもんだから前を通ったら絶対食べたくなる。
しかし、アジって・・・もうちょっと可愛い形にできないもんだったんだろうか・・・たとえばマンボウとか、くじらとか、その方が絶対にウケがいいはず・・・



って、
なんの話だ!
芝居だ芝居の話をしないと・・・。

ネタバレBOX

というわけで男の60分、男の子むけなだけに昔男の子だった自分には完全にかっちりとがっちりとがっつりとツボにはまった。
ましてや自分、名古屋出身なんで。

まぁ、裸で踊る彼らの姿に胸ずきゅんずきゅん打たれる女子達もいただろうが、なにしろあの激しさや、男なら誰もが通ってきた子供の頃のばかばかしい体験、そういうものを思い出させるだけにやっぱり男向けの芝居だったかもしれない。

最後の適当なダンスがやけにパワーを感じさせてかっこよかった。
ところどころホロリとさせるエピソード、なんだか涙がこぼれそうになった。

西川康太郎・・・もてるだろうなぁ。と少々嫉妬したという感想がやけに頭に残っている。
ショート7

ショート7

DULL-COLORED POP

pit北/区域(東京都)

2009/04/29 (水) ~ 2009/05/06 (水)公演終了

満足度★★

いいんだ、これ・・・
なんだかこの世界でたった一人仲間外れになった気がする。

ちょっと自分には合わなかった。

ネタバレBOX

なんだろ。
俺やばいんじゃない?
感覚がみんなと違うのか?
全然だめだった。

まぁいいけど・・・。
好みの問題だから。


■ソヴァージュばあさん 
出てくる方の芝居はよかったんだけど・・・。
なんだか古典小説を読んでるようでストーリーにおもしろみがなかった。

■Bloody Sauce Sandwich
意味がわからない。
前にも観たけど、今回もあいかわらず何を伝えたいのかどういう意味なのか・・・。前回はお姉さん普通に服着てたのに、なぜ今回は下着を出したんだろう?

■15分しかないの。 
まぁ、試みはわかるんだけど、誰の中にも色んな人格が存在するんだから。けれど、そのそれぞれの人格(?感情?)を女性三人が演じるストーリーは単なる日常。まぁ、彼と寄りを戻すかも、なんていうちょっとしたイベントはあったけど・・・。もう少しひねったストーリーの中で同じことをやってほしい

■アムカと長い鳥 
はぁ・・・。
これ意味不明。
風呂場であり、下着姿でなければいけない理由ってなんなんだろう・・・。
普通に服着て、台所でやられた方が集中して観れた気がするが。
学芸会レーベル♥KR-14【中屋敷法仁】

学芸会レーベル♥KR-14【中屋敷法仁】

キレなかった14才♥りたーんず

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/04/20 (月) ~ 2009/05/05 (火)公演終了

満足度★★★★★

中毒になるほど、面白いったら、面白い!!
とにかくテンションがいい感じに高いまま、流れるように見事に疾走していく。
それに振り落とされないようについていく感じの私。
最初から顔がゆるみっぱなしで、だらしない笑顔で観劇。

セリフも佇まいも物語そのものもキレがいい。

ネタバレBOX

禁じられた学芸会の「禁じられた」は、演じるということの楽しさが強すぎるってことなんだろう。
だって、舞台の上では、とにかく楽しそうなんだもの。
学芸会へいざなう、みゆき先生の目は、怪しく輝いていて印象的だったし。

ミもココロモも、取り込まれてしまってこそが「学芸会」。

これは禁じないと、誰もが中毒になってしまうのだ。

でもって、見ているこちらも「もっと見たい」「もっと見たい」と呻いて、中毒になっている。

・・・・ん、14才・・・それはまあいいや。
ショート7

ショート7

DULL-COLORED POP

pit北/区域(東京都)

2009/04/29 (水) ~ 2009/05/06 (水)公演終了

満足度★★★★★

最高
5月1日、A,B両プログラムを拝見。

いやはや、なんて贅沢な2時間弱×2。
7作品全て見ごたえ十分!
あまりにも個人的なお気に入りは以下。

A『Bloody Sauce Sandwitch』狂った世界とおっぱいにかんぱい☆
A 『アムカと長い鳥』 日常会話と独白の落差とパンチラにかんぱい☆

B『藪の中』は堀越涼さんに惚れた一品。
B『息をひそめて』は佐野功さんを惚れ直した一品。

そしてうわさの飲尿ミュージカル
B『エリクシールの味わい』 は生演奏に歌詞カード付き。
変態なんだが純愛でもあり、純愛なんだがやっぱり変態。
変態がなんだ!人間みんな何がしか変態だ!ばんざーいっ!
…と、勝手に開放されて気分爽快☆

笑いあり狂気あり理不尽あり変態あり(笑)
贅沢な短編小説を読んだ気分で劇場をあとにできました。

ああ、おもしろかったなぁ!

ショート7

ショート7

DULL-COLORED POP

pit北/区域(東京都)

2009/04/29 (水) ~ 2009/05/06 (水)公演終了

満足度★★★

★2と★4の狭間で。
私は物語がある話が好きです。
特に気に入った物は次の3つ。
・エリクシールの味わい
・ソヴァージュばあさん
・息をひそめて
AとB,どっちか片方を観るとしたらBを推します。
なんてったって、おしっこライブは必見です。

最後のPPPは、これも一つの短編みたいなものでした。
異様な光景が見れるので、もし参加できるなら是非どうぞ。

どうでもいいけど、観客席。よく見たら役者さんがいたりします。
2階の端に岡本あがささんが挙動不審な感じで座っているのを見て、
異様な雰囲気にちょっとなんとも言えない気持ちになりました。

ネタばれで一つずつ簡単に感想かいておきます。

ネタバレBOX

ネタばれなのに、ネタばれは極力控えてコメントします。

■ソヴァージュばあさん 
役者さんの演技がものすっごくいい。
声が通る男優さんに、ばあさん役のなんとも素晴らしい演技。
これだけでも来てよかったと思えた。

■Bloody Sauce Sandwich
こういう不条理な内容。苦手です。どうしても良さがわかりません。
姉さん役の方の陽気なおしゃべりはそれなりだけど、あれは役者さんの地っぽい。

■15分しかないの。 
ありそうでなかった、とてもありがちなコンセプト。
短編でしか出来ない、と言う意味では、これを見れてとてもよかったと思える。
天使と悪魔の声に唆されると言う展開は漫画でよく見かけるけど、より鮮明にした版を実写で見れるとはなぁ。
まぁでも、アイデアの具現化止まりというか、だから?という感じでもある。
うがいをするパントマイムで手が動いたりするのがとても気になりました。

■アムカと長い鳥 
これはダメでした。狂気が全然伝わってこなかった。
明かりと、女優さんのスイッチがずれている。
浴槽を表すパントマイムがいい加減。
女優さんがなんというか、学生っぽい。(いや、実際学生かもしれないけど)
中学生がいくら母親の狂気を演じても滑稽なように、狂気を演出する場面で、一生懸命さが伝わってきて、、、。
女性が入浴しているというシチュレーションで、露出も高いのにあまり色っぽいとは言えず、もうちょっと鍛えるんだ!せめて役柄的に太るんだ!とか思った。
同劇団の堀奈津実さんだったら、まったく違う印象になるかもしれない。
というか、同じ露出度だとちょっとエロすぎたりして。

■息をひそめて 
よい出来でした。この芝居を思い起こすと、とても複雑な心境になります。
割り切れないリアルな今を、感じました。

■エリクシールの味わい
7つの短編の中で1推しの作品。
ネタかと思いきや、実は純愛ものでした。
純愛ってなんか重いかんじですが、ここまで前提がきわどいと丁度良いです(エー!?)
「おしっこはきたなくない」これを科学者風の人がいうと、かなり説得力を感じます。
地動説のガリレオだって、こんな感じだったんでしょうかね。
こんな愛の形だってありだと思います。
大まじめに変態風の科学者を熱演出来る小林タクシーさんと、
リアルにちょっと幽霊みたいな岡本あがささん。
どちらもはまり役だったと思いました。

■藪の中
1人7役。本当によくやると思います。
小説で結論をぼかしてもやもやするのはともかく、芝居で結論が出ずにもやもやするのは好きではないです。

■番外(PPP)
この為だけにナース服とか用意しているんでしょうか。
ゲストをコスプレした女優陣が囲んでいる図。とても異様でした。
どうせなら岡本さんも「役ひきずったまま」出ればいいのに。ずーっと針金いじってるだけでいいから。
変身

変身

THEATRE MOMENTS

シアターX(東京都)

2009/04/29 (水) ~ 2009/05/02 (土)公演終了

20090502S
初見の劇団。
遊園地のようなわくわく感に溢れている。
スタイリッシュさと素朴さとが同居する、不思議な温かさを感じた。
良い意味で、非常に健康的な芝居。
原作の味わいもちゃんと伝わって来る・・。

個人的には、より客席が一体感を味わえるような、フラットなスタジオでの挟み舞台や、ブラックボックス型の小劇場空間でも見てみたいと思った・・。

神様とその他の変種

神様とその他の変種

ナイロン100℃

本多劇場(東京都)

2009/04/17 (金) ~ 2009/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★

好きだなぁ
こういう感覚。すごく複雑、辛辣なようで、明るくて、…
生きることに貪欲というか。。。とにかく、観た人にしかわからないですよね。
久しぶりにケラさんのお姿拝見できて今日はラッキーでした☆

「猿 mashira 2009」

「猿 mashira 2009」

劇団ZAPPA

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2009/04/17 (金) ~ 2009/04/29 (水)公演終了

4月29日(水)M
後半の押せ押せは良い。

テンリロ☆インディアン

テンリロ☆インディアン

劇団6番シード

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2009/04/18 (土) ~ 2009/04/26 (日)公演終了

満足度★★★★

GIRLSバージョンを見ました。
舞台を見たのは2回目で、しかも2回とも6番シードですが、今回も感じたのは、役者の皆さんが楽しんで演じていることが伝わってきて、見ているこちらも演じてみたいと思ったことです。 全体としては、楽しかったので満足しています。

ネタバレBOX

予告どおり「どんでん返し」があり、はらはらしながら見ていましたが、最後のネタ晴らしのシーンが何となくあっけなすぎて、残念に思います。 犯人が最後に留置所から出る必然性を感じませんでした。 なので、あれっと思っている間にネタ晴らしをしていたという感じでした。
男の60分 -東京場所-

男の60分 -東京場所-

ゲキバカ

【閉館】江古田ストアハウス(東京都)

2009/04/22 (水) ~ 2009/04/29 (水)公演終了

満足度★★★

汗と涙?とエクササイズ
よく動きよくしゃべりよく走る、流れる汗をものともせず、若さだなあ・・・芝居好きだなあ・・・芝居馬鹿だなあ・・
・気に行ったところ=みんなで泳ぐとこ(笑)いい、いい、すごくいい。
過去の作品とは打って変わってほんとは、はじめちょっとがっかりしたんだけど、あっという間の60分
少年時代が過ぎ去った後の喪失感と充実感が残った、そして少しの疲労。

ミコトマネキン

ミコトマネキン

アップフロントワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2009/04/23 (木) ~ 2009/05/02 (土)公演終了

満足度★★★

そっくりなマネキンに日本の技術を感じる
支離滅裂かつ内容の薄いストーリーを
スピーディーな展開で、
飽きさせずに見せる演出力には、感心。
ハロプロの女優陣は勿論みな美形だが、逆にみな同じカオにも見える。
ブルー暗転の多用は、プロの仕事としては、ルール違反。
ハロプロファンのみに受ける小ネタが多い所や
客扱いの雑さから推察するに、
一般客はお呼びでないのかもしれない。
保田圭の爽やかな色気にドキッ。

ショート7

ショート7

DULL-COLORED POP

pit北/区域(東京都)

2009/04/29 (水) ~ 2009/05/06 (水)公演終了

200905011600/1900
200905011600A/1900B@pit北/区域 / 終演後ポストパフォーマンストーク有

音楽劇 三文オペラ

音楽劇 三文オペラ

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2009/04/05 (日) ~ 2009/04/29 (水)公演終了

満足度★★★

欲求不満の塊
すべてが欲求不満。
カーテンコールが3回あったのも、欲求不満の捌け口を求めた拍手です。
別に社会批判や混沌をはっきりさせてほしいとは思っていないのだけれど、メッキの臭い色気も、ビーチャムの蒸れた世俗も、不良淑女のエッチなくすぐりもみんな説明尽くされていて、私が自分の中で考える妄念は何も残されていない。全部演出しきっていて、全部舞台装置されていて、考え付く小道具は全部惜しげもなく、ほんとに全部、千田も串田も中村座も抑えました。亜門流の優等生演出の見本でしょうか。でもやっぱり欲求不満が固まって渋谷の町で酒を飲みたい。最後に、公演カタログのデザインについて、字が小さい色が悪い表紙が光って客席で気になる。三上のコメントは、欲求不満だと言ってるのでしょうか?

ネタバレBOX

特赦にあったメッキは、売春宿で大パーティやっているのではないですか?
三上メッキはなにやら不満そうに深刻ぶっていましたが、米良皇太后を裸にするような悪のメッキが見たかった。まるでどこかの美輪舞台の真似ラストでうんざりです。
ショート7

ショート7

DULL-COLORED POP

pit北/区域(東京都)

2009/04/29 (水) ~ 2009/05/06 (水)公演終了

満足度★★★★

知的にバカをやる脚本の、ギリギリ感が魅力
 谷賢一さんの作品は豊かな知性と、パンクの精神を感じさせるテキストが大きな魅力だと思います。今公演でも、言葉に対する尋常ならぬこだわりが感じられ、充実の観劇になりました。

 DULL-COLORED POPでは、役者さんは決して読みやすいとは言えない長いセリフ(詩情たっぷりの状況説明や、難しい専門用語が散りばめられた感情の吐露など)を、読みこなすことが求められます。作・演出家が当然のように役者に負荷をかけ、役者もそれに全力で応えるという、演劇に対するひたむきさが伝わってくる作品群でした。

 ただ、その高くかかげた目標にたどりつけていたかというと、まだもう一歩足りなかったのではないか、というのが全体についての感想です。また、この3年間に上演された短編戯曲7本の中では、やはり最近書かれたものほど面白いことは否めず。時代の流れは早いですね。

 あくまでも個別の短編を7つ集めた公演だということで、作品終了ごとに装置変更の休憩が挟まれていたのは潔いと思いました。観客も遠慮なく頭の切り替えができます。
 装置を動かす舞台監督さん(?)が黒装束だけど金髪で、とても目立っていました。演出意図なのかしら(笑)。
 終演後のトークイベントでは、演劇についてのディープな話が聞けて面白かったです。“キャバクラ”のぐだぐだ感は好みが分かれそう。様式は毎日変化していきそうですね。

 Aプロは心の暗部を深くえぐるような題材が多く、休憩があったおかげで気持ちを楽にして拝見できました。Bプロの飲尿ミュージカル「エリクシールの味わい」は出色。バカ笑いしながら考えさせられました。生演奏が素晴らしいです。オススメです。これから予約される方は、A、Bの順番でご覧になるのが良いのでは、と思います。

ネタバレBOX

 Aプロは女優さんの体の露出がかなり大胆です。美しいので純粋に眼福ではありますが、そちらにばかり集中させてしまうのはもったいない気もしました。Bプロはとにかく「エリクシールの味わい」が突出しています。
 A、B両方とも最後に1人芝居を持ってきていますが、Aプロは「15分しかないの」、Bプロは「エリクシールの味わい」で終わってほしかったですね。

■Aプログラム
・『ソヴァージュばあさん』
 演出、出演者違いで数回拝見した戯曲です。3人の敵国兵士と仏頂面のソヴァージュはあさん(堀川炎)が、数ヶ月の同居生活を経た末に・・・。

 言葉が通じない人々(しかも敵同士)が食事を通じて心を通わせていくお話なので、ダイニングテーブルと料理のセットが効いています。フランス語とドイツ語の通訳をしていた兵士(和知龍範)が、冒頭のセリフを手帳を読むように語っていたのが良かったです。

・『Bloody Sauce Sandwich』
 姉(佐々木なふみ)の部屋に転がり込んだ妹(ハマカワフミエ)。彼女はある妄想に取り付かれていて・・・。

 子供を堕胎してしまった若い女性の苦しみ。水子が堕胎医(千葉淳)の姿で登場するのが空恐ろしい。
 私が座った席のせいもあると思いますが、姉役の佐々木なふみさんの美しい胸元ばかりに目が行ってしまいました(笑)。ここまで来るとやりすぎなんじゃないかと思いますね。ブラウスのボタンが数個はだけてるぐらいのチラリズムを希望。

・『15分しかないの』
 大手商社で働く27歳の女性サラリーマン。深夜に1人暮らしの家に帰宅して、寝る準備をするまでの15分だけが、自分の自由時間なのだ。

 サラリーマン本人(堀奈津美)と、彼女の中にある相反する2つの感情(桑島亜希、境宏子)の合計3人で、1人の人物を演じます。モト彼(千葉淳)からの電話への反応がそれぞれバラバラだったり、重なったりする演出がとても面白いです。ほぼ正方形のステージを立体的に使ったステージングも見ごたえがありました。

・『アムカと長い鳥』
 田舎に嫁いで暇をしている若い主婦の独白30分。キャミソール姿での清水那保さんの1人芝居です。

 初演の方がもっと引き込まれたように思います。演技はまだまだ上を目指せる感あり。あやうさが足りなかったのかも。
 白いベビードール風キャミソールが似合う若い女優さんっていいですね。ショーツはお尻にぴったりフィットするタイプの方が私好みです。

【アフタートークイベント】
 4/29(水)出演:谷賢一 中屋敷法仁(柿喰う客・代表)

 「演劇は21世紀に生き残れるか」という壮大なテーマを掲げ、谷さんと中屋敷さんが本気で話されているように感じ、しかもお2人のご意見は対立するものでもあったので、非常に面白かったです。
 初日ということもあってか、キャバクラ嬢に扮した女優さんたちが所在無さげでお気の毒でした。どうせなら本気で議論に参加して欲しかったです。改善を希望。


■Bプログラム
・『息をひそめて』
 同姓しているカップル(堀奈津美&佐野功)が暮すアパート。男は女が浮気をしているのではないかと疑心暗鬼になり、床下に隠れて女とその友人(田中のり子)との会話を盗み聞きする。

 畳がパカっと開いて男が出てくるのが面白いです。わざわざこのためにセットを作られたんですね。ビーフシチューを食べるのか食べないのか・・・で終わる最後の空気には、岸田國士作品のような情緒が感じられました。ただ、女2人の会話はいやに早口で、感情表現がはしょられているようで残念。

・『エリクシールの味わい』
 さまざまな女の子の“尿”を用意しているバー。飲尿フリークの男(小林タクシー)が1杯ずつ味見をしていく。

 絶品でした(笑)。始まる前のセットチェンジの時に、スポットライトが客席に2灯も用意されたところから、ものすごく可笑しかった。キーボードの生演奏&ボーカル(伊藤靖浩)もノリノリで素晴らしいです。
 男が心奪われたエリクシール(万能薬・不老不死の薬)と呼ばれる尿は、精神を病んだ女(岡田あがさ)のものでした。テーマが飲尿なのに、変態のダメ男と薄幸の美少女の純愛物語にまで昇華しました。「50cmだけ離れて。ずっと一緒に。」にうっとり。

・『藪の中』
 芥川龍之介原作『藪の中』の翻案・舞台化。

 たった1人で30分間、7役を演じ分けていくのは大変なことだと思います。堀越涼さんは花組芝居の役者さんなので、歌舞伎っぽい演技がポイントにもなっていました。原作の持ち味そのままに上演したようですが、構成に変更を加えても良かったのではないかと思います。


【アフタートークイベント】
 4/30(木)出演:谷賢一 船岩祐太(演劇集団 砂地・演出)

 初日とは違って、キャバクラ嬢(?)の皆さんは床に座ってお話に参加。「ポストモダンって何ですか?」という質問が良かった。
少年B♥KR-14【柴幸男】

少年B♥KR-14【柴幸男】

キレなかった14才♥りたーんず

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/04/19 (日) ~ 2009/05/06 (水)公演終了

満足度★★★★

『あゆみ』以来
ものすごくドキドキしながら期待して見てしまったんですが…

あれはどう使うんだろう!?
あれがどうなるんだろう!?

…別にどうにもなりませんでした。
心落ち着けて静かに見るのが正解かも。

派手さはないけど、深さを感じる舞台でした。

ネタバレBOX

壁面には鉄パイプが組んであります。
その延長で床面にも灰色のビニテで格子模様が全面に。
そこに脱ぎ散らかすようにあるたくさんの服。
これをどう使うのか…!

主人公は14才の男子中学生。
彼の周りでは動物殺しの事件が起きているが、彼がこれといって鍵になったりするわけでもない。
クラスメイトと漫才の練習をし、不良の同級生にいじめられ、好きな女子にドギマギする日々。
その中でたまに差し込まれる妄想(エイリアンをやっつけたり、告白されちゃったり、不良に一矢報いたり)と、
何もすることができない現実とのギャップがなんとも…苦笑い。

この妄想と現実の間に演出上の違い(照明や音響や特別な効果)が入らないんですよね。
同じシーンが繰り返されることによって、「あ、さっきのは妄想だったんだ」とわかる。

散らかった服はほとんど衣装で、学生服だったりパジャマだったりジャージだったり。
主人公の状況に応じて他の役者さんが一生懸命着替えさせてました。
これ一見するといらない演出のように見えるんですが…。
どういう意図だったのかな?
一人じゃ何もできないことへの暗喩?

出番のない出演者も全員舞台上にいて端っこから主人公をずっと眺めてる。
これも演出家の目線のような気がしました。

14才の愚劣さ、軽率さ、鈍感さ。
馬鹿で小さくて何も出来ないのに何でも出来るような顔をして、他人を馬鹿にして自分を過大評価して、なのに一歩も踏み出さない。
そんな14才に対する侮蔑の視線。

でもどこかしらに14才に対する憧憬もあるような気がしました。
だって絶対輝いてたもん、14才。
今ではできないと理解してしまったことを、14才はできると信じ込んでいる。
馬鹿だなぁ。でも愛しいなぁ。

その表現として合唱コンクールってすごくいいと思った。
だってもう出れないし!
唾飛ばしながら大声で歌ってさ!

演出という観点で言えば、『あゆみ』の時ほどのインパクトには欠けてた。
というところで若干がっかりしてる自分がいる。
でも良作には違いない。
トライアルE

トライアルE

笛田宇一郎演劇事務所

フリースペース・カンバス(東京都)

2009/05/07 (木) ~ 2009/05/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

通し稽古を見ました!
なんだろう。笛田さんの公演の中でも一番躍動感があって、スリリングで面白かった。コーデリア役の黒田さんがよかった。座・高円寺アカデミーの生徒さんだそうです。

ショート7

ショート7

DULL-COLORED POP

pit北/区域(東京都)

2009/04/29 (水) ~ 2009/05/06 (水)公演終了

満足度★★★★★

初日の迎え方
短編7本。しかも、3本、4本と2プログラム。
GW中なので、1日3ステージの日もある。
役者は14人。
と、稽古の様子や、楽屋の様子を想像するだけで、たいへんそうである。

もちろん、そんなことを微塵も感じさせない、クオリティを提出してくるのが、主宰谷のスゴイところ。

アゴラの「KR14」の演出家は82年生まれが基本集まっているわけだが、谷賢一も同年生まれ、その資質と志向の異なり、隔たりに
「後生畏るべし」と。
切実に思う。

演劇は爛熟しているのか、衰退しているのか?
中屋敷、谷のPPTをきいて、思いました。

リビング(公演終了!!)

リビング(公演終了!!)

カスガイ

インディペンデントシアターOji(東京都)

2009/04/22 (水) ~ 2009/04/29 (水)公演終了

満足度★★★★★

須貝!!
実にすてきだった「須貝英」であった。演出ということで、玉置が引いた分を補うどころか、ひょっとしてこのユニットは「カ・スガイ」なのではと思わせる、充実と実力を見せつけてくれた。

こんな風に役者を絶賛できる芝居はうれしいなぁ。

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