上海異人娼館-チャイナ・ドール - 公演情報 青蛾館「上海異人娼館-チャイナ・ドール -」の観てきた!クチコミとコメント

  • 耽美ではあるけれど
    開演前の雰囲気作りから
    物語に至るまで
    独特の雰囲気に惹きこまれたのは事実

    ただ、どこか古風な感覚から抜けきれませんでした。
    人間の本質に潜む「何か」の表現が
    追い越してしまった時代への「追憶」の範囲を
    凌駕できていなかったように思います

    ネタバレBOX

    このような作品が
    前衛的な色として捉えられた時代がきっとあるのだとは思います。

    でも、その世界から浮かび上がる感覚が
    珍しいものではなくなってしまった昨今では
    舞台上の美もかすかに陳腐化してしまったようにも思えて。
    美しさは感じるけれど
    何かを凌駕して存在しうるほどに
    耽美ではなかったかも・・・

    よしんばそれが、第二次世界大戦前の話であっても
    通常に表現しえない心の闇の普遍性までが
    どこか古びてみえてしまうのはちょいとつらい気がするのです。

    娼館の掟が縛るものと
    縛ることによって解放されるなにかというプロットは
    すっと観る者に入ってくるし
    表現に破綻があったわけではないのですが
    この舞台の存在価値ともなりうる
    時代を超えた鮮烈さというか深淵のようなものが
    今ひとつ感じられないようにも思いました。

    娼婦たちが一同に会する迫力に目を奪われ、
    息をのむようなシーンもたくさんあったのですが
    それらのエピソードが重なっていく時に
    のりしろが十分に合わさっていないような感じもして・・・。

    役者達の芝居にもメリハリがあり
    見応え十分ではあるのですが・・・
    この作品に関しては
    個々のシーンが語る事象だけでなく、
    そこから醸し出される空気に
    さらなる精緻が求められるような気がするのです。

    まあ、それだけハードルの高い作品が
    演じられているということなのでしょうけれど・・・。

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    2009/07/13 00:30

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