上海異人娼館-チャイナ・ドール - 公演情報 上海異人娼館-チャイナ・ドール -」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-7件 / 7件中
  • 観ました。
    7月10日14:00の回

  • 耽美ではあるけれど
    開演前の雰囲気作りから
    物語に至るまで
    独特の雰囲気に惹きこまれたのは事実

    ただ、どこか古風な感覚から抜けきれませんでした。
    人間の本質に潜む「何か」の表現が
    追い越してしまった時代への「追憶」の範囲を
    凌駕できていなかったように思います

    ネタバレBOX

    このような作品が
    前衛的な色として捉えられた時代がきっとあるのだとは思います。

    でも、その世界から浮かび上がる感覚が
    珍しいものではなくなってしまった昨今では
    舞台上の美もかすかに陳腐化してしまったようにも思えて。
    美しさは感じるけれど
    何かを凌駕して存在しうるほどに
    耽美ではなかったかも・・・

    よしんばそれが、第二次世界大戦前の話であっても
    通常に表現しえない心の闇の普遍性までが
    どこか古びてみえてしまうのはちょいとつらい気がするのです。

    娼館の掟が縛るものと
    縛ることによって解放されるなにかというプロットは
    すっと観る者に入ってくるし
    表現に破綻があったわけではないのですが
    この舞台の存在価値ともなりうる
    時代を超えた鮮烈さというか深淵のようなものが
    今ひとつ感じられないようにも思いました。

    娼婦たちが一同に会する迫力に目を奪われ、
    息をのむようなシーンもたくさんあったのですが
    それらのエピソードが重なっていく時に
    のりしろが十分に合わさっていないような感じもして・・・。

    役者達の芝居にもメリハリがあり
    見応え十分ではあるのですが・・・
    この作品に関しては
    個々のシーンが語る事象だけでなく、
    そこから醸し出される空気に
    さらなる精緻が求められるような気がするのです。

    まあ、それだけハードルの高い作品が
    演じられているということなのでしょうけれど・・・。

  • デカダン
    寺山修司が亡くなったのが1983年。その2年前に作られた映画「上海異人娼館」をもとに、岸田理生が今から20年ほど前に構成・脚本を担当した舞台劇。
    私が芝居を見始めたのは寺山の没後だし、岸田理生が関わった芝居を見るのもこれが初めて。古典を見るときのように、予備知識ゼロで見るのはなかなかむずかしい作品で、見ているうちにもその時代背景が気になってくる。
    映画はポーリーヌ・レアージュの「O嬢の物語」の続編を寺山が上海を舞台に置き換えたものだという。城館で繰りひろげられる退廃的でエロチックな世界というのは、ジャンルとはいわないまでも、映画や文学作品の系譜としてはそれなりにある。王侯貴族による酒池肉林の宴なんてのがそもそもの始まりではないだろうか。

    ネタバレBOX

    時代は1920年代。場所は上海の租界にある娼婦館。そこに新顔としてやってきた少女が目にする、妖しくもおぞましい人間模様。
    娼婦館の女主人は黒蜥蜴という。美輪明宏主演のアレを思い出したけど、そもそも両者に繋がりはあるのだろうか。女主人が銃弾に倒れたあと、少女がやがて2代目を継いで幕切れというのが面白い。
    娼婦たちのエピソードには寺山らしさがのぞいていた。娼婦と客との関係は、一種のRPG(ロール・プレーイング・ゲーム)だなと思う。

    個人的には、こういう時代がかったものを、いかにも凄みをきかせた演技・演出で見るのはあまり好きではない。
  • 満足度★★

    初見です!
    「田園に死す」 「星の王子さま」 で観た人たちが出演していたので初見の印象が無いのですが、寺山さん、岸田さん、野口さんだと自然に集まる顔ぶれになるのでしょうか・・・・。

    ネタバレBOX

    丸山さんの客案内にビックリ!「陰獣」を観て以来かな。
    娼婦と客がお互いの性癖のぶつけ合い、笑いもあれば悲劇も在る。
    異人娼館の異人て、変態な人を言うのか? それを魅入っている私はどうなるのか。 時が経ってまた再演する事があれば観たい。

    村田弘美さん。今回セリフはやや少なめでしたが「星の王子さま」の人形の声でラスト涙を流しての熱演を思い出しました。  
  • さすがの様式美☆
    原作・寺山修司、脚本・岸田理生による舞台は、もはや歌舞伎のよう。偉大なる先人の芸を、しっかりと残そうとする試みにはつねに好感を抱く。とはいえ、それはもちろん全面肯定ではなく、とても懐かしくもあるけれど、もっと新しい風も感じたかった、ということでもある。もちろん、元・唐組の丸山厚人が客入れ、には激しくこころ踊ったのだけれど、頽廃という鈍色の輝きを欠いたようにも思えてしまった。少なくとも、いろいろな意味で、客席前方の桟敷席に直前までほとんどだれも座らなかった事実には疑問符が、灯る。

  • 満足度★★★★★

    異妖奇怪!
    青蛾館とは良く名づけたもので、青い誘蛾灯に張り付く毒蜘蛛のようなものだ(苦笑!)
    諸君!チャイナ・ドールに行った事はあるか?
    もしくは横浜ドール!(^0^)
    娼婦宿「春桃婁」には今宵も夜な夜な殿方が忍び寄る。娼婦宿の壁や階段には「黒蜥蜴」の紋様がっ!!!
    1925年、上海での物語り。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    異界も異界!妖しい奇怪な動きの、これまたこの世の者とは思えぬイデタチの男が後方から現れたかと思うとそこはもう「春桃婁」なのでした。

    その後から「ワタクシまだ生娘ですの!」みたいな女が現れ、今から娼婦になるという。何故?という質問に、「試したいのです、私の恋を。100人の男に抱かれても、あの人の事をいつも思っていられるかどうか、試したいのです。」と、女。

    遊女と客の交わりは、身体は自分のものではないように様々に動くのだが、心は天井にぴたりと張り付いてるかのよう・・なのだろうか・・?

    そうして、続々と登場する煌びやか、豪華絢爛の娼婦たち。
    いやはや・・・ワタクシ、顎が外れそうなほど愕然としました!仰け反った!
    その中に黒蜥蜴以上の、既に1286年は生きてます!っつー程の、エリマキ蜥蜴のようなナリの閣下がいるではないですかっ!(@@!)
    な、なんと、この閣下が宿の女主人だっ!ってから、またまたびっくり仰天!

    そんな仰天ついでにチャイナ・ドールが繰り広げる妖しいSMの世界。
    個々の娼婦の癖というか、客の癖というか、性癖というか、イッチャッテル世界。妖しいのは娼婦だけではなく、ドーベルマンのようなナリの犬人間が犬のカッコで這い蹲る奇怪な世界。世界広しと言えど、ここで繰る広げられる異界は桃源郷という言葉が好きな殿方の天国なのです。

    個性の強い娼婦の紅い唇から流れるセリフも妖しく幽玄な言葉で魅せられる。・・・赤い鳥、星の欠片、川に沈んでいったグランドピアノ・・・。
    そんなホーフツとした世界も、革命の流れ弾に当たって娼家の女主人が死んでしまう。
    一方で後目を継ぐのが「ワタクシまだ生娘ですの!」だった娼婦。
    そうして、物語は以前と同じように「ワタクシまだ生娘ですの!」みたいな女が現れ、今から娼婦になるという。

    衣装、音楽、舞台セット。それらは観客の視覚を楽しませ、一方で感覚も楽しませるという、異妖奇怪な物語をたんと堪能したのでありました!

    もう一回、観たいなぁ。時間が取れるか・・?




  • 満足度★★★★

    初日観劇
    満員でした。1時間40分。
    耽美なアングラを堪能しました。ベテランの女優さんたちは見応えあるなあ。

    芝居とは直接関係ないですが丸山さんの入場案内はさすが。彼の「役者紹介」が無いのがちょっぴり残念でした。

    最前列は何かが飛んでくるかもなのでご注意を。(初日は水と血糊がとんできました(笑))

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