最新の観てきた!クチコミ一覧

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リズム

リズム

643ノゲッツー

OFF OFFシアター(東京都)

2010/03/10 (水) ~ 2010/03/16 (火)公演終了

満足度

テンションは高かったけど・・・
DVDレンタルショップの従業員控え室でのドタバタ劇でしたが。
各人の力関係は、理解し易かったのだが。
役どころとしての立ち位置がハッキリせず。
観客置いてけぼりの印象が否めなかった。

ネタバレBOX

シュチエーションが前作「ベストアンサー」と被っていた気がします。
それとも、そーゆー店裏従業員物語シリーズでやっていってるのかな?
結局劇中劇での話で終わってしまい、なんとも言えないあわただしさを、
感じただけで時間が過ぎた気がします。
いじられキャラの店長に対する仕打ちが酷いなーと思いつつ、
その店長の10年来の友人だからと、傷害事件まで起こしてしまう、
バランスの悪さは理解が出来ません。
せめて被害者が、東部打撲による事件時の記憶喪失でもなってるなら、
ラストの和解シーンも素直に受け入れられますが。
劇中劇の区別や、各人の役割・相関関係・立ち位置など。
もっと観客に理解させる努力が足りていないように思いました。
ゼロからはじめる

ゼロからはじめる

東京タンバリン

アトリエ春風舎(東京都)

2010/03/10 (水) ~ 2010/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

POPでユーモアがあり、軽くエスプリも効いていて、とっても面白い
プラスちょっとした男女の関係も挟まれたりしてテンポもいい。
そう、まるでおフランスの映画を観ているような雰囲気があった。

上演時間も手頃の80分だし。

ネタバレBOX

マンションの一室で行われる初心者向けのフランス語教室が中心舞台。
生徒5名にフランス人の教師が1人で、フランス語会話教室が行われる。

レッスンごとに、自己紹介や「〜が好きです」というような常套句を学ぶパターンが1つのシーンのように構成される。

簡単なフランス語も飛び交うが、教室の設定なので、何を話しているのかは観客にもわかる仕組みになっていて、また、わからないところは後に明らかになっていく。
このフランス語が混ざる会話が、心地よいのだ。交わされる会話にはリズムが生まれるのだが、さらにそれをリズム感をアップさせ、動きをプラスして見せていく。

テンポのいい会話劇に、セットチェンジや場面展開で役者たちが舞台を動き回る様子が挟まれ、それがいいアクセントになっていて、POPな印象さえする。舞台で作り出されるウェーブのようなリズムのある演出が、作用していく。

舞台を観ながら、そのウエーブに乗せられてしまった感もある。
「何?」なんて思った冒頭から引き込まれたのだ。

こうした演出の中で、登場人物の内面やバックボーンには、必要最小限しか語られず、さらりとした手触りがおしゃれな印象となる。
ちょっとした恋愛や、嫉妬、秘密めいた関係、友人や女性同士の感じなど、どれも軽いあるある感もあるものの、さらりとしている。

また、しつこいぐらいの口癖や、動きと早送りテープ音のある早回し、椅子や机を持って回る舞台転換、視点の転換、心の声など、かつてどこかで観たことあるようなシカケやテクニックなのだが、その組み合わせ方やリズムがいいし、使い方のセンスもいい。
こうした演出が、この物語にとてもフィットしていて、うまいと思う。

これって、やはりフランス語の語感もあるのだろう。英会話教室とかドイツ語会話教室だったとしたら、また違ったリズムになっていたと思う。

中心となるストーリー自体は、それほど大したものではないのだが、ストーリーが行き着いた先には、ちょっとした虚しさとか翳りみたいなものもあり、やっぱりフランス映画的だなと思ってしまうのだった。
でも、もちろん、見せ方は舞台でしかできないものであることは確かだ。

どの役者も醸し出す雰囲気がよかった。わかりやすいキャラクターで、メリハリが効いていて、この舞台には非常にマッチしていたと思う。

最後のもうひとオチで、軽く笑わせてくれるのもとてもよかった。
リズム

リズム

643ノゲッツー

OFF OFFシアター(東京都)

2010/03/10 (水) ~ 2010/03/16 (火)公演終了

満足度★★★★

赤組。
前回公演の時もそうですが、今回も情報が少なく無の状態で観ました。
群像劇。
ラストが赤組と白組が違うと当日パンフに書いていました。
こういう力が入ってないお芝居は、好きですね~。
セットもしっかり立て込んでいました。
席によっては見えづらい位置があるかもしれません。

ネタバレBOX

レンタルビデオ屋の休憩室。

『LOVE 2010 Yokohama ver.』

『LOVE 2010 Yokohama ver.』

東京デスロック

STスポット(神奈川県)

2010/03/05 (金) ~ 2010/03/07 (日)公演終了

満足度★★★★

深化であり、進化
2009年版の『LOVE』の冒頭からは、『2001年宇宙の旅』を感じた。猿から人間への進化。映画では道具だったけど、舞台では言葉の発見を描いていたような気がする。

ネタバレBOX

けれど2010年版は、もっと踏み込んで、なんだか生物が海中から陸上へと這い上がっていったところからはじまっていた模様。緑の照明の濃密な酸素感に、原初の地球の姿を感じさせられてしまった。

いったい、あの無言な時間で、どれだけのことを語ろうとしているの!(笑)
VACUUM ZONE

VACUUM ZONE

Dance Company BABY-Q

シアタートラム(東京都)

2010/03/05 (金) ~ 2010/03/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

魂が共鳴するような、圧倒的な舞台
じつは当日パンフも読まないまま舞台を観たので、ほとんどまるで知らなかったのだけど、途中、ダンスだけで、この場所で彼女が事故にあったことが伝わってきた。たぶん奈落に落ちたのだろう、ということまで。そして、そこからの再起。さまざまな虚飾から逃れ、いま、ふたたび踊れていることの喜びが溢れだす。それだけで幸せだと。
二度目のカーテンコールのときに、彼女は奈落に向かって手を合わせる。まるで、その事故があったから、いまの踊りに辿り着いたと、ふかく感謝するかのように。

月並みなはなし[2010]

月並みなはなし[2010]

時間堂

座・高円寺2(東京都)

2010/03/11 (木) ~ 2010/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

完成度の高い名作!
 プレビュー公演を観させていただいたが、プレビュー公演とは思えない完成度の高さ。十分練習を積んできたということがよくわかる役者たちがステージをていねいに楽しんでいる様子に好感が持てた。

 物語は近未来のちょっとSF的要素のある会話劇。設定がとても面白く、また登場人物一人一人の個性が魅力的だった。

 役者ではラストシーン、揺れ動く心を目線でしっかりと表現した鈴木浩司が光った。夫への確かな愛とその裏返しの不安を見事に表現した百花亜希も魅力的だった。また物語にスパイスを与える役として登場した大川翔子の明るい演技もいい味を出していた。

 3回目の再演だそうだが、よく練られた脚本をうまい役者が十分練習をして舞台にあげている。チラシ、ホームページ、豪華な当日パンフ、その全てから今回の公演に賭ける時間堂の熱い気持ちが伝わってくる。黒澤世莉の集大成がこの舞台にはある。

ネタバレBOX

 レストランでありながら、その周りには宙に浮かぶ島のような緑色のオブジェがあり、宇宙的広がりを感じさせる素敵な舞台美術だった。

 舞台のスタートがゲームのような役者紹介でとても楽しそうな雰囲気が最初から伝わってきたのもよかった。
恋2 【満員御礼!ありがとうございました!】

恋2 【満員御礼!ありがとうございました!】

ろりえ

インディペンデントシアターOji(東京都)

2010/03/03 (水) ~ 2010/03/07 (日)公演終了

梅舟惟永を観にいって、
最後、彼女が走ったり踊ったりする魅力的な姿を堪能。
いや、もちろん、坂口辰平の胸きゅんな台詞とか、深谷由梨香の「しこり」とか見所はたくさんあるんだけどねw

昆虫大戦争

昆虫大戦争

こゆび侍

RAFT(東京都)

2010/03/05 (金) ~ 2010/03/08 (月)公演終了

満足度★★★★

祈りたくなるような時代感
あたかも防空壕や核シェルターのなかであるかのような、暗い、舞台装置のなにもない空間だからこそ、成島秀和の詩情に満ちた台詞は効力を発揮していたように思う。
まるで祈るように、他が顧みない家畜の糞を食糧とすべく丸めて転がしつづけ、採取され、やはり祈るような姿で標本にされてしまうフンコロガシの世界に、いまの二十代の心情が重なっているような気もした。

ネタバレBOX

ちなみに、同名映画はこちら。
初代『ゴジラ』すら彷彿とさせる、壮大で骨太な「マンモス巨編」な模様w
http://www.youtube.com/watch?v=RY0WA0wemrY
月並みなはなし[2010]

月並みなはなし[2010]

時間堂

座・高円寺2(東京都)

2010/03/11 (木) ~ 2010/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

月並みじゃなく、極め”月”!!
知的で洗練されたお話。

心理描写が素晴らしかったと思います。

ネタバレBOX

アッと言う展開に驚き、でも、そういう決め方もありだなとすぐ納得したり、素晴らしいお芝居でした。登場人物もそれぞれ個性豊かでした。

オリンピックの開催地を選ぶような選抜方法、ドラマが生まれます。

「私、誰にも何も言わなかったよ」と、ユリコのモリに対する恩着せがましい言い方。そりゃそうだよ、言えば確実にコウドウは落ちるでしょうから。

誰にも話さないことで、赤ちゃんを身ごもった恋人たちを引き裂いてでも、自分の思いを通そうとするユリコの心理…。

もし、ススム以外の人とコウドウとの選択だったら、ユリコはきっと話していたでしょうね。良い悪いではなく、その葛藤が分かります。

最後、プロポーズもたもたで終わらずに、ロケットを見送る場面で終わったことで最終結果が理解でき、スマートでなラストシーンになったと思いました。

ところで、タバコですが、そもそも応募時点で喫煙者は除外されるのではありませんか?!せめて訓練中に禁煙することが条件でしょう。

2004年の初演のときと2010年の今では、近未来は変わります。公共施設での禁煙が義務付けられようとしている現在、そこのところは手直しが必要だと感じました。
渋谷編ii

渋谷編ii

女道xxx

ギャラリーLE DECO(東京都)

2010/03/10 (水) ~ 2010/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★

不思議な空間に癒されて感じて・・・
凄く面白い作品でした!

入ってすぐにわかる、とあるオブジェが、
3本のオムニバスの度に意味合いを変え、
でも実は意味合いを変えていないのかもしれなくて

生の音楽と演じる面々が、その公演ごとに変わり、
影響しあい、
これから益々深く濃い空間になっていくだろうと感じました。

空間と、音楽と、役者さんから出るパワーとを全身で感じられる
凄くいい舞台でした。

ネタバレBOX

女道のお二人はやっぱり美しくて濃くて素晴らしい!

まん中にある巨大なオブジェは、恐らく子宮をイメージしているような

おひとり、実際に妊娠なさっていて、ご自身の体の変化が
恐らく舞台に直接つながり、空間と、役者全員と、スタッフと、音楽が
すべてで鼓動をしているような舞台。

近代能楽集のお話や、ベースが道成寺であろう新しい世界

その他にも、不思議で、少し怖いような、嬉しいような、切ないような
とにかく「体感」する感じの舞台です。

渋谷の雑踏にあるアートな空間である小屋と、
作品がとてもマッチしていると感じました。

ただ、足元にある照明をついけっちゃうので気をつけて!
喪服の時間

喪服の時間

弾丸MAMAER

なかのZERO(東京都)

2010/03/03 (水) ~ 2010/03/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

粛々とはじまりつつ・・・
だんだんテンションが上がっていき。
人間関係が崩れ、まさに修羅場と化す展開。
大いに盛り上がりました。
まさに出し惜しみの無い、やりつくしって感じでした。

ネタバレBOX

喪服の着物女性の水の掛け合いといい、
乱闘騒ぎといい、喪主の奥様の爆発ヘアーといい、
ここまでやるのか。っといった感じがツボにはまりました。
いやあ笑わしてもらいました。
一番インパクトあったのが、復縁話のオチでした。
「そっちなんだー」の台詞が、耳から離れませんでした。
まさに、大どんでん返し!
最初から最後まで、一貫していて。スキ・矛盾無く。
ラストシーンも気に入りました。
とても楽しい時間を下さり感謝いたします。
音楽劇「雨を乞わぬ人」

音楽劇「雨を乞わぬ人」

黒色綺譚カナリア派

ザ・ポケット(東京都)

2010/01/20 (水) ~ 2010/01/24 (日)公演終了

満足度★★★

変わらぬカナリア派
今回は音楽劇ということで、いつものカナリア派と違うのかなと思っていましたが、カナリア派の雰囲気はそのままでした。
劇中に挿入される歌も、物語の流れを切ることなく、物語の中の1つとして考えられてました。

物語は若干好き嫌いが分かれるかと思いますが、役者が世界観に溶け込めているし、世界観にきちんと連れて行ってもらったと感じたので、オイラは面白いと感じました。
その中でも巫女を演じた、牛水さんは非常に好演でした。

バベルノトウ

バベルノトウ

国道五十八号戦線

サンモールスタジオ(東京都)

2010/01/20 (水) ~ 2010/01/25 (月)公演終了

満足度★★★★

2回観てしまった
最初は話が行ったり来たりするので、話の関連性が掴み辛かった部分もあり、また空想のドラッグの話で幻覚が見える設定もあり、製薬会社の研究所?場面は幻覚の世界のお話なんだろうと思っていて見ていたら、製薬会社の研究所?世界の話は20年後の話だというのがわかり、繋がった時は、ほーそうきましたかと感心させられました。
ほんとにあるように思わせる設定や、繋がりなどが上手いこと考えられていたので、面白い上に面白かったです。

後、タイトル「バベルノトウ」の発音は完全に勘違いしてました(笑)
(バビル2世の発音と思ってたww)

2回目観て感じたこと
シキミ(加賀美秀明)が「バベルノトウ」をやってる人達が作り出した幻であることが最初から分かっていたので、それを頭に入れながら見てると、「バベルノトウ」をやってない人達には見えないから、シキミと話してるのを怪訝な顔で見たり、どこ向いてるのと言ったり、シキミが話てるのに台詞をかぶしてきたりと、ちゃんと演じられてることが分かりました。

月並みなはなし[2010]

月並みなはなし[2010]

時間堂

座・高円寺2(東京都)

2010/03/11 (木) ~ 2010/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

月並みでないはなし
10日のプレビュー公演を観劇。
地球温暖化などの影響により、今よりも若干地球環境が悪化した近未来が舞台。
月への移住計画に応募した6人+部外者3人、計9名が繰り広げる悲喜こもごも。

ネタバレBOX

月への移住計画に応募しながら、落選した6人が「残念会」と称して、当局よりレストランに呼び出される。
そこで当局より知らされる驚愕の事実。「当選者のなかに欠員が生じたため、6人のうち、1人だけが月移住を果たすことができる。60分で全員の総意として1人を選出してほしい」。
そこから始まる、6人+部外者1人により選考会の様子をほぼリアルタイムで演じる。
そこで示されるのは、恥も外聞も投げ捨てた欲望むき出しの人間性のぶつかりあい。
夫婦1組、恋人ありの男性を軸に物語は展開する。果たして選出されるのは誰か?
本音のぶつかり合いの末、最終的に、1名を無事に!?選出する。
しかし、当局から告げられたのはまたしても彼らを出し抜くものであった。
つまり、選出された1名を除く、5名を当選者とするという理不尽な結論だったのだ。

6名の応募者が月を目指す理由はそれぞれ異なる。生まれも育ちも経歴も異なる人々の本音でのバトルに観客はいやおうなく引き込まれる。
物語が進むにしたがって、目指す理由が明らかにされ、個々人への共感が広がる演出は出色。
ありそうな物語でありながらも、丁寧なストーリーテリングで1級のエンターテイメントに仕上がっている。
すべての演者が役を理解し、十分な演技を見せてくれたが、特にユリコを演じた百花亜希が、前作「掘出者」とは違った顔を見せ、素敵だった。

家族の証明∴(公演終了!次回は10月シアタートラムにて!)

家族の証明∴(公演終了!次回は10月シアタートラムにて!)

冨士山アネット

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/03/06 (土) ~ 2010/03/10 (水)公演終了

脅威
こんなにもリアルな家族の像を見せられると
圧倒されて口がぽかんと開かざるを得ない。

余分なものが一切ない、長谷川さんの策士を感じました。

シューマンに関すること

シューマンに関すること

劇団東京イボンヌ

サンモールスタジオ(東京都)

2010/03/09 (火) ~ 2010/03/14 (日)公演終了

満足度★★★

クラシックは、やっぱり良い
ネタバレBOXに書きます。

ネタバレBOX

クラシック大好き、クラシックがないと生きていけないわー、な人間なので、とっても楽しみにしてました。
シューマンの、風景の見えるような美しい音楽も大好きだし。

「自分はシューマンの生まれ変わりだ」という狂気の中で自分を保っている男、その妻、クララ、作家。
この設定はすごくドラマチックで好きでした。クララとシューマンのやりとりなんて、ものすごく美しかったし感動しました。
だからこそ、ここだけにもっと焦点を絞って良かったと思いました。

編集部の人たちや、夏樹の夫や、作家の担当のキャラクターが薄くて、立ち位置がよく見えなくて、・・・じゃあ不要じゃない?と感じてしまいました。

あと、せっかく音楽の融合を唱えているのでもっともっと曲を使うと良かったと思います。

今度は生演奏のあるステージ・・・なんてのを見てみたいなあと勝手に思いました。勝手に期待します。
家族の証明∴(公演終了!次回は10月シアタートラムにて!)

家族の証明∴(公演終了!次回は10月シアタートラムにて!)

冨士山アネット

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/03/06 (土) ~ 2010/03/10 (水)公演終了

満足度★★★

間に合った。
「EKKKYO-!」の時のモヤモヤが消えた。

家族の証明∴(公演終了!次回は10月シアタートラムにて!)

家族の証明∴(公演終了!次回は10月シアタートラムにて!)

冨士山アネット

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/03/06 (土) ~ 2010/03/10 (水)公演終了

満足度★★★★

中味を詰める力
舞台上の表現から伝わってくるものは
一見ストレートなのですが、
実はしたたかなひだがつけられていて・・・。

その家族の匂いがしっかりするところに
作り手の表現の深さを感じました。

ネタバレBOX

その家に夫婦がやってきて、
次々に子供が生まれていく。

一人のこともが手離れすると
次の子が生まれ・・・。
やがて、両親の戸惑いを感じるような間があって
3人目の子供が現れる・・・。
作るというより授かるといったニュアンスの表し方、
また子供がハイハイをするまでの手の掛かり方の表現などが
とても創意にあふれていて・・・。

さらに、子供たちが成長していく中の出来事、
反抗期や愛情の表現などにも
小さな表現の積み重ねがあって・・・。

で、なによりも感心したのは、
その家庭の匂いのようなものが
舞台から伝わってくること・・・。

自分の家の匂いはわからないけれど
他人の家って玄関に立っただけで
それぞれに個性があるじゃないですか・・・。
その個性が舞台上の家庭からしっかりと醸し出されてくる。
父親と子供たちの関係や、
母親の誕生日のちょっとしたサプライズに至るまで、
そこにXX家の香りが存在しているのです。

単にステレオタイプな家族を描くというだけでなく、
そこに中味を詰めて色を醸し出す演出や振り付けの力、
そして、ほとんど身体の表現で
こまかい印象を刻んでいくダンサーたちの表現力に瞠目。

刹那の身体表現からわき上がってくる
ニュアンスの解像度の細かさが
舞台上の空気のスムーズさにつながって。
ラストちかくのシーンにほろりとして・・・。

表現される時間の尺が自然な感触kとして伝わってきて
そのしなやかさにどっぷりと浸りこんでしまいました



富士見町アパートメント

富士見町アパートメント

自転車キンクリーツカンパニー

座・高円寺1(東京都)

2010/02/27 (土) ~ 2010/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★

Aプロは、私は蓬莱作品派です
まず、客席に座って、何となく違和感が。
舞台の面と客席が平行でないので、素直に正面向いて座ると、何と、富士見町アパートの壁面しか見えないのです。(笑)
舞台が始まってしまえば、あまり感じなくなったものの、生理的な座り心地の悪さが、何となく不快でした。

「魔女の夜」…核心部分に入るまでが、やや間延びした感じですが、二人の女性の人間関係は秀逸に描かれていた作品でした。最近、蓬莱さんの作品は、頼まれ仕事の出来栄えの方が優れている気がしました。

「海へ」…赤堀作品、何度か拝見していますが、どうやら、私の性には合わないようです。男性目線の作劇だからでしょうか?ピース、ピースは面白いのですが、人間工学的リアルさが欠けているように思いました。

両作品で、一番の好演は、私としては、井之上隆志さんだと思います。

ネタバレBOX

「魔女の夜」…女優の友紀が核心部分を話し出すまで、マネージャーのさゆりが、何度も、「どうして?」「何でなの?」など、同じ言葉を繰り返すため、しばらくは、世界に入れず、蚊帳の外で観ていました。友紀が起こした事故の顛末が語られるに連れ、二人の人間関係が秀逸に露呈され始め、俄然話が面白く展開し始めました。最後に、お互いの本音を吐露した時、部屋が明るくなり、二人の今後の人生の方向を示唆したように感じました。最近、よく目にする事件での、芸能マネージャーや、代議士の秘書等の職業人の立場の哀しさが、胸に迫りました。

「海へ」…自殺した男と、部屋にいる3人の男の関係性があまり見えて来ない作品でした。だから、自殺した男の存在感がとても希薄な感じがして、彼が散らかしたゴミがどうも生活感がない気がしました。休憩中に、スタッフがせっせとゴミを仕込んでいる様子も見えますから、余計に、あー芝居観てるんだという気分が強くなったのかもしれませんが。弟は部屋を片付けるため、後の友人二人は、貸したお金の所在を探すために、この部屋にいる筈なのに、無闇に脈略なく脱線してばかりで、ちっとも、当初の目的を果たそうとする様子がないのが、不自然な気がしました。その目的を果たそうとしながら、思いが交錯して、脱線するのなら、そういう心の軌跡が描かれていれば、感情移入できたかもしれないのですが、どうも、3人の行動の意味づけが曖昧な印象がありました。でも、それぞれのショート不条理コント的場面は、実に面白くはあったのですが。その中で、同じアパートの住人の土井には、一番人生が滲み出ていた気がしました。きっと、自殺した男の部屋に、人恋しくて、何だかんだ理由を託けては訪れていたのでしょう。彼の語る夢の話に、一人暮らしの老人の悲哀を感じました。1時間ちょっとの芝居で、暗転が3回程あるのも、落ち着かない気がしました。長い時間が経過しているという設定でしょうが、それなら、最初に時刻を表示していた電子時計が、暗転後に、時刻を示してくれたらよかったのに。何故、最初だけの表示だったのでしょう?
ストーリーのあるAVの方が好みと言う弟の心情は理解できましたが、陰毛をトイレに保管する男達の気持ちはさっぱりわからず、意味不明でした。赤堀作品の世界感は、男性客の方が理解しやすいのではないでしょうか?
農業少女

農業少女

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2010/03/01 (月) ~ 2010/03/31 (水)公演終了

満足度★★★★

多部未華子の好演が光る
「農業少女」という作品を初めて観たのは5年前、明治大学の学生劇団「劇団螺船」においてだった。この劇団は長年にわたり現代演劇の秀作を数多く上演しており、見逃した話題作にも出会える楽しみがあり、私のような者にとってはありがたい劇団だったが現在は活動休止中らしい。
「螺船」の公演のときは、当日パンフが「都市農業説明会」のパンフを兼ねており、入場するとすぐに「どうぞ」とウーロン茶の入った紙コップを差し出された。これが後の「健康に良いと言って飲んだ毒の入った飲料」の伏線になっているという趣向で、気のきいた演出だった。「螺船」は野田版に近い演出だったと聞く。今回は松尾スズキらしく楽しい趣向があるが、そのぶん「螺船」より筋がわかりにくく感じられ、テーマがすんなり頭に入ってこなかった。
人気公演らしく、平日の昼にもかかわらず席は完売。
雪の降った翌日でまだ冷え込みが残っているというのに、冷房が入っているかのごとく空調が寒く、途中で思わずコートを着た。
私はかねてから「農業少女」のヒロインには多部未華子が合っていると思っていたので、今回の配役が発表されたときは、わが意を得たりだった。
事実、多部は生き生きと好演している。

ネタバレBOX

開演直後、「こんにちは」とやけに明るく感じの良いスタッフが入ってきたと思ったら多部未華子本人だった。「都市農業」についての説明会チラシを上手側最前列客に配る。中央部最前列の客には主催者・都罪=ツツミ(吹越満)の秘書役の江本純子が配る。ミーハー目線で言えば、このとき間近で観た「多部ちゃん」はとにかく可愛い。
舞台上手側のTVモニターに舞台稽古の模様が映ったり、山崎一の以前の出演CMの映像が流れて本人が照れたり、蟻に扮した野田秀樹本人が映って「新作の台本も書かずにサボってる」と吹越が突っ込みを入れたり、多部が山崎を見て「石田純一?」とソックリネタを振ったりで、客を笑わせる。
家出少女(多部未華子)と列車の中で知り合った毒草の研究者を名乗る山本ヤマモト(山崎一)と少女を商売に利用する都罪との対立。
「都罪」という名前からして象徴的だが、少女は都罪の怪しげな仕事にかかわり、米の新種「農業少女」の宣伝キャラクターとなり、都会生活の中で都会の毒に染まっていく。ヒットラーを例にとったファシズムや大衆の情報操作批判などもからめ、山崎、江本、吹越が1人何役もこなしながら物語が進んでいく。
江本を観るのは実は今回が初めて。毛皮族などの扮装写真でしか見たことがなかったので、想像していたイメージと違っていたが、松尾スズキの演出の中で呼吸していたのはさすがと思う。
周囲の声が聴こえなくなった状況で、少女が実際の聾唖者のような発音をしていたことが印象的。「螺船版」ではなかった。
農業や田舎を嫌い、都会に出た少女が結局、農作物のブランド戦略に利用されてしまうが、その毒から離れて黙々と農業に向き合う皮肉。このあたりが「螺船版」では非常にわかりやすかった半面、ヤマモトと少女のかかわりかたがややわかりにくかった。
今回の公演は逆に、都会での生活描写が具体的に入ってくる分、都市農業の諷刺がややぼやけた感が残った。
「都会では野菜を英語で表現し、化粧品などに加工してからだの外に塗る」というのもなるほど痛烈な指摘だと思った。また、よく知らない人物がゲスト出演し、「あの○○界のカリスマXXさんが企画したお品物!」と絶叫する深夜のTV通販のいかがわしさも都会の毒の一種なのかもしれない。
ヤマモトも都罪も妄想に生きている男。少女は都会を夢見ながらもひたすら現実を希求する。少女と男たちの関係はいまひとつ真相がよくわからないのだが、もしかしたら、この少女の話も現実には存在せず、男たちが妄想の中で作り出した虚像なのかもしれないと思った。前回の「螺船版」ではそんなことは考えなかったのだが。
多部未華子はTVの画面の中より舞台のほうが合っている気がする。最近は不況の影響も受けてTVドラマ界が不調のせいか、舞台に進出する人が増えている。昔は映画スターが舞台に転進する例が常だったが、いまや大女優の岩下志麻のように舞台俳優の両親を持ちながらただ一度「オセロ」に出て「舞台には向かない」と自分で判断してその後一切舞台に出ないような人はむしろ珍しい。多部には舞台女優の素質もあり、今後、良い作品に巡り合うことで活躍していってもらいたいと思う。
終演後、若い男性客が「むずかしくてよくわからなかったけど、多部は超カワイイ!」と言っていた(笑)。

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