アンゲーテッドコミュニティ
北京蝶々
テアトルBONBON(東京都)
2010/05/26 (水) ~ 2010/05/30 (日)公演終了
満足度★★★
Radioheadが場内に流れてる~
いいな~、珍しいな~洋楽が流れているのは。劇中の音楽の使い方もなかなかかっこよかったです。2階建てのセットはこのサイズの劇場だと前の方の人はちょっと疲れるかも。1階部分はドアをたくさん使った面白いセットだったが、場面転換があまり多いとちょっとうるさい。物語はミステリーには思えなかったけど?
笑う魔女の罠~Traps of the Laughin' Witch~
劇団三年物語
恵比寿・エコー劇場(東京都)
2010/05/16 (日) ~ 2010/05/23 (日)公演終了
満足度★★★
含蓄ある魔女のお言葉。
そしてOLさんが繰り返す言葉はまるで呪文の様。会社っつーところは本当に怖いところですよ。劇場内になんとなくこれからさらに人気があがりそうな空気を感じました。
CONVENTION HAZARD 奇行遊戯
TRASHMASTERS
駅前劇場(東京都)
2010/05/26 (水) ~ 2010/06/02 (水)公演終了
満足度★★★★★
衝撃的な完成度
物凄いものを観た。2時間45分休憩なしの演劇だったが、長さを感じさせないほどに引き込まれた。表現力の高さといい、照明、音楽、キャストらの演技にかける熱意が伝わってきて心地よい衝撃だった。久しぶりの衝撃!たぶん、ワタクシの観劇数の中で今年の一位を記録すると思う。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
前半、大分のとある漁港の町でのお話。まつたかを主軸にまつたかが小学校5年に学校でいじめられた事をきっかけに物語を貢いでいく。苛めはまつたかの爺ちゃんの南京大虐殺の話を起因とする。途中、ナレーションが入り、演技での表現に説明も加わり、文献、民話、経済、歴史、諸大陸の習慣をも含め、脚本家の博学さに驚かされる。勿論、ニュースや新聞での報道や本を読めば解る事柄なのだけれど、これらを取り込んだ芝居を制作するという次元がやはり普通ではない。だから2時間45分は必要不可欠なのだと、つくづく思う。
当時のまつたかがいじめを苦に逃げるようにしてヨーロッパに留学し転々としついにオーストラリアから帰国してからを舞台化する。現在のまつたかが営むバーでの客はかつての幼馴染や同級生らや従姉妹らだ。彼らの小学生5年当時の情景を大人になった彼らの会話で描写する。
一方でありさという女にまつたかの出生の秘密を暴露され、まつたかは妾の子で実父は名前を明かせないほどの国家の要人だったことが解り、実父の莫大な遺産が転がり込むことになる。これを資金にしてまつたかは将来の動向を予想してマグロ養殖に投資し、これが当たり、寿司チェーンも展開させる。そしてかねてからの夢だった月旅行にも行くことになる。この月旅行での命がけのエピソードでまつたかはありさへの愛を強いほど確認し結婚することになる。
後半、セットは一変し、数十年後の情景。まつたからが立ち上げた会社が軌道に乗り、かつての同級生らがそれぞれ重要なポストに就く。社内ではまつたかの従姉妹のリコの不倫をきっかけに離婚の話やら政治の話、中国との国家の利益の問題などを露呈し、一企業としての商談の風景をも描写する。ここで残念だったのはまつたか他、男性キャストがメイクやヅラで加齢させてるのに、女性キャストは加齢が感じられない。役者には綺麗に魅せるうんぬんより、演技力を期待するほうなので、もっと工夫して欲しかった。
経済と地位と過去の人間関係に揺さぶられながらも社長となったまつたかが一企業の利益よりも国家の利益を優先させる冷静な判断や説得の仕方は観ているこちらも圧倒され唸るばかりだった。生きた馬の目をも抜かれるような状況でまつたかの唯一の癒しはありすへの愛情だったが、このありすが異母兄弟だったと知り絶望に打ちひしがれるも、それでもありすのまつたかに対するひたむきな愛は変わらず、その愛は清く美しく潔かった。
まつたかの手に仕掛けられた時限爆弾の装置をありさがまつたかの手首ごと切り落とすシーンは迫真の演技で、息をつめて見守ってしまった為、なんだか息苦しくなってしまったが、血の色があまりにも赤すぎる。血糊はもっとどす黒い赤だし(下北沢に血糊が売ってますのでそれを使ってください)もっと流れてもいいと思う。
それにしても・・・重すぎるほどの物語だ。しかし観客を飽きさせることもなく、世界をまたにかけたようなテーマだった。もうこれは・・・舞台と言うより、生の映画を観ているような感覚だった。それほど箱の中は濃密な世界観に溢れていた。エンゲキの神様を観た気分。
憂鬱な午後
劇団なのぐらむ
恵比寿・エコー劇場(東京都)
2010/05/26 (水) ~ 2010/05/30 (日)公演終了
満足度★
憂鬱でした
何がやりたいのか、ほとんどの役者さんの力が無さ過ぎてわかりません。
甘え
劇団、本谷有希子
青山円形劇場(東京都)
2010/05/10 (月) ~ 2010/06/06 (日)公演終了
満足度★★★
役者陣すばらしい
本谷有希子初見でした。勝手に期待していた部分が強すぎたのか、脚本にイマイチ入り込めなかったような…小池栄子始め配役がマッチしていたし、演技も素晴らしかったです。小池栄子はもっと女優として活躍してほしい。
幸せを踏みにじる幸せ【公演終了!ご来場誠にありがとうございました】
ジェットラグ
タイニイアリス(東京都)
2010/05/28 (金) ~ 2010/05/31 (月)公演終了
プランクトンの踊り場
イキウメ
赤坂RED/THEATER(東京都)
2010/05/08 (土) ~ 2010/05/23 (日)公演終了
幸せを踏みにじる幸せ【公演終了!ご来場誠にありがとうございました】
ジェットラグ
タイニイアリス(東京都)
2010/05/28 (金) ~ 2010/05/31 (月)公演終了
満足度★★
中盤からは...
食いつきはよかったのだが、中盤の暴力シーン、あれは駄目。何か左翼セクトの総括ポックって(実際は総括など知らないが)。幸せのテーマと違うのでないか。後、この劇場、席の間隔(前後左右とも)が狭くすごく窮屈。後半は尻の痛さで、舞台に集中できなかった。この劇場はもう行きません。
空気ノ機械ノ尾ッポvol.15~キカイ~
空気ノ機械ノ尾ッポ
シアターブラッツ(東京都)
2010/05/27 (木) ~ 2010/05/30 (日)公演終了
潔さにはっとする
なんというか、"やりたいことをやるためにやりきる"という姿勢がそこかしこに見えて、すっきりしました。
潔くスパっと"こうしたいからこうしました"というのが。
それが演出なのか脚本なのか、はたまた役者なのか、非常に興味をそそられました。
尻は痛かったけど、腰も痛かったけど、素晴らしい非日常感を得られて満足です。
アンゲーテッドコミュニティ
北京蝶々
テアトルBONBON(東京都)
2010/05/26 (水) ~ 2010/05/30 (日)公演終了
満足度★★★★
スピード感が醸し出すもの
さくさくと展開する物語、
そのスピード感に見入っているうちに
舞台上を占める空気に染められていました。
ぞくっと
おもしろかったです。
ネタバレBOX
とある街で子供が姿を消した・・・。
冒頭のシーンですっと掴まれて
そのまま舞台にひきこまれてしまう。
クリアな質感にそのまま取り込まれていく感じ。
役者それぞれにイメージをすっと立たせる力があって、
そのイメージが舞台上で揺らがない。
どこか具体性が切り落とされているのに
ペラペラにならない不思議な存在感が個々のキャラクターにあって。
2段になった舞台に物語がどんどんと動いていく。
いまどきのいろんなものが
したたかかつロジカルに編み込まれて、
今という時代のテイストで舞台と観る側がつながれる
舞台転換の早さと効果音の秀逸が
やわらかな疾走感を醸し出し
観る側の思考を絶妙に少しだけ凌駕して
物語のコアにある
セキュリティー管理がエスカレートしていく必然と
その裏側で走る解放のムーブメントを浮かび上がらせていくのです。
作家の慧眼と表現の切れにぞくっとくる。
ここ数作と比べて、
得たいの知れない不安感が減じる一方で
シンプルではあっても揺るぎのない物語の骨格が
不安の実態と構造を浮かび上がらせていく。
それらの事象を得体の知れた不安感に昇華させるだけの
視座の秀逸と洞察力の鋭さを感じて。
観終わって、抜けの良い充実感がやってくる。
で、その充実感が醒めたあとに、
今という時間に内包された閉塞感や
囚われたような感覚が残っているのです。
観る側のこの充実感の裏側にはいろんな要素があると思う。
劇団の役者も観る度に腕を上げているし
客演の役者達もしっかりと切れをもった猛者ぞろい。
また、舞台のリング外もよく磨がれていて。
気持ちのよい受付からフレンドリーで小気味良い客入れの手順、
さらには、ここ数年見た中で一番凛とした前説(目が覚めた)なども
舞台本体が表現する力を研ぎ澄ましていく感じがして。
もちろんお芝居は本編のコンテンツが一番大切なのでしょうけれど、
劇団員によるツイッターを絡めた集客や、
劇場に立ったときから出て行くまで
気持ちよくお芝居を観ることができる雰囲気作りまで、
この劇団の持つ力や取り組みの
ひとつずつがしっかりと見る側を導き満たしていく。
ここちよい不安定さを抱えて劇場を後にしたことでした。
「ヒッキー・カンクーントルネード」の旅 2010
ハイバイ
西鉄ホール(福岡県)
2010/05/29 (土) ~ 2010/05/30 (日)公演終了
満足度★★★
90分弱のお芝居。
ギリギリの入場により、あまり舞台を見ていなかったので、開演後、??だったが、ドアノブや公衆電話は面白い。
部屋の出口の白い壁の一部もダイニングを想像させる、結構好きだ。
母役の役者さんも地でやっている感じ。
軽井沢旅行はチョット感情が入ってしまいました。
90分が短く感じました。
ネタバレBOX
登美男と圭一のダブルでの引きこもりには笑いました。
現実問題として引きこもり直面した時どう考えるのだろう。
妹、綾みたいには考えられないでしょう。
PARTYせよ
東京おいっす!
「劇」小劇場(東京都)
2010/05/25 (火) ~ 2010/06/01 (火)公演終了
満足度★★★
老若男女、どんと来い。
秘密な関係にあるお二人さんが複数組入り乱れるために、傷つけあったり、言い争ったり、苦しい言い訳をせざるを得ない修羅場を複数回お目に掛かれる、とっても貴重な体験が出来るお話です。
ドツボにハマって大爆笑!な類の笑いを求めて行くと肩透かしを喰らう恐れがありますが、二ヤリできる小ネタ満載の、間口が広く気軽に楽しめるユーモラスなコメディでした。
ネタバレBOX
真ん中にウッドデッキのテラス席、背後にガラスの引き戸と廊下、上手側が隣家の生け垣の、いづれも現実味のあるセットが全体的に立て込まれている、明るく開放的なバルコニー。ここからは、今夜開催される花火大会がベストポジションで見れるとあって、小瀬サン夫妻はふたりは共通の友人、新婚ホヤホヤの松月夫妻と夫の後輩・鈴木くん、妻が講師として務めているダンススクールの生徒のノゾミちゃん、腕によりを掛けた料理をふるまってくれる出張料理人の平川さんを自宅に招いた。
と、ここまで物語の登場人物を羅列したが、これらの人々が全員揃う場面は皆無で、のっけから楽しいだけではドラマは成立しない、とばかりに不穏な足音がどこからともなくやってくる。
どういう馴れ初めでそういう関係になったのかは分からないが、夫とノゾミちゃんは不倫をしている。妻は夫がノゾミちゃんと不倫をしているのは知ってはいるものの、無関心を装っている。というよりも、夫に期待するのを諦めたと言った方が近いかもしれない。あるいは、こんな夫と結婚なんかしてしまった自身を後悔していたのかも。この、どちらともつかない妻のアンニュイな表情。
そして、妻の秘密・・・。それは10年間不妊だった妻のお腹の中にいる3ヶ月の赤ん坊の父親が一度きりの関係を結んだ建築士との間に出来た子だったかもしれない、という疑惑。
妻は妊娠したことを告げるため、建築士を呼びつける。家の点検とウソをついて駆けこんでくる建築士との夫のぎこちない間。
「どっちなの?」と男の子か女の子かを聞く松月さんの奥さんの言葉に夫か自分かと聞いているのかと勘ちがいする建築士が何ともオカシイ。
また、テラスから廊下へ上がる階段として用いている真実の口、のネーミングをパロった石に小瀬さんの旦那さん、建築士ら正直者でない人間がいちいちつまづくのは、小さなリアクションではあるものの、関係を終わりにさせたい一心の小瀬さんが、ノゾミちゃんの幸せのためをおもって、と言いつつ、ノゾミちゃんの意志を出来るだけ排除して、後輩のスズキくんにあてがおうとする小瀬さんの旦那さんの魂胆に説得力を与えていた。
更に、イイひと止まりで終わりそうなスズキくんの存在や、小瀬夫妻の隣人・三宅夫妻のアメリカンナイズドな求愛行動が、小瀬さん夫妻のW不倫オンリーだけでは湿っぽくなりそうなところをカラッとした明るさでいい感じに吹き飛ばし、小瀬さんの隣家、三宅さん宅で葬儀が行われているという破天荒なシチュエーションは、物語のボリュームを格段UPさせていた。
特に、三宅氏とよりを戻すために葬儀に参列すると装って喪服でやってくるホステスと「しばらく喪に服さないといけないから」だなんてビジネスライクな口調で取引先と連絡を取りあっていることを装いながら、ごまかしてホステスとの関係を断ち切りたい三宅氏とのやりとり、挙げ句、ホステスへの手切れ金を、高額な調理器具の購入代だと確信犯的に勘違いし、金をせしめる出張料理人の平川さん、そして三宅さん宅の葬儀場で料理を振舞う平川さん、そこで沸く歓声…。
PARTYは葬儀場で起きている!という一連の流れ、絶妙でした。
惜しむらくは、三宅氏とホステス、小瀬さんとノゾミちゃんの関係性が女性に泣きつかれるのは男性で、後ろ髪を引かれるのは女性で終息してしまったのが、少々新鮮味に欠けていたこと。
平川さんが恋愛の伝道師と称して、自己啓発セミナー的なことをやりはじめて最後にお金を取られちゃうとか、三宅さんにノゾミちゃんが一目ぼれするなど、軌道を逸している行動に走るひとも、パラパラいてもよかった気はします。
やがてパーティーははじまって、みんながテラス席から打ち上げ花火を見上げている背後で、脇目も振らずに前方を見据え、これまでの物憂げな表情とは打って変わり、小瀬さんの奥さんが颯爽と家から去っていくラストは、夫を見捨てた身勝手な妻。と言ってしまえばそれまでですが、もう旦那さんと会うことはないのかな、とおもうと少し切なくもなりました。
アントンにおける闘争
アカネジレンマ
神楽坂die pratze(ディ・プラッツ)(東京都)
2010/05/27 (木) ~ 2010/05/30 (日)公演終了
面白かった
大勢の登場人物を余すところなく使っていた。すべてのキャラクターに過去や思いをちりばめた熱いドラマが描かれたシナリオだった
すごくいいバカンス
万能グローブ ガラパゴスダイナモス
イムズホール(福岡県)
2010/05/29 (土) ~ 2010/05/30 (日)公演終了
満足度★★★★
いい仕上がり。
イムズの舞台の広さをどう使うか楽しみにしてましたが、1階・2階・奥行きといい感じに仕上がってました。
作品も舞台を存分に使ったコメディになってました。
満足です。今後は、東京にも進出とか、期待しております。
ネタバレBOX
年代の差からか、後ろの席の方が笑っていたシーンも『そんなにおかしいか?』みたいなところもありました。
あべさんは、いい味出してました。
金庫の番号はネタバレしてしまいしたが、もいっかいひねってもいいのかなと。
露出狂
柿喰う客
インディペンデントシアターOji(東京都)
2010/05/19 (水) ~ 2010/05/31 (月)公演終了
満足度★★★★★
スポ百合
好き好き大好き楽しいな。
演出に舌を巻くのはいつものことだが、今回は女優達が一心同体となってトルネードのような運動を産んでいた印象。中屋敷さんが「サル山」と表現したセットに相応しい、ジョシコーセー幻想を叩きかち割る野生のメス達ここにありけり。
白百合なんちゃらとか聖なんちゃらとかでなく、高天原って校名がなんとなく、日本全土を産んどきながら最終的に黄泉の国の鬼神になって夫殺そうとしちゃうイザナミとか、天岩戸にひきこもって皆を困らせちゃうアマテラスとか存外パワフルな日本の女神を連想させていいなと思う。
女の顕在的な恐ろしさをあますところなく肥大化すれば、むしろドロドロ泥試合になりそうなものなのに、実際残るのはちょっとしたすがすがしさというのがすごい。
もう一回観たかったなー。
ネタバレBOX
個人的に、なあなあ→革命→濃密→能率→なあなあの高校集団活動の弁証法はすっごく身に覚えのある光景だったので、昔の作文を発見しちゃったような気恥ずかしさ。けれどここまで極端に誇張されると笑える。
空気ノ機械ノ尾ッポvol.15~キカイ~
空気ノ機械ノ尾ッポ
シアターブラッツ(東京都)
2010/05/27 (木) ~ 2010/05/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
澄み渡る風!
幻想的で、澄み渡った気持ちになれるお芝居でした。
フライヤーとHPの説明から「当たりか外れか微妙な芝居かな?」
と思っていたのですが、期待を裏切ってとても素敵な芝居でした!
できれば、部屋に飾って置きたい!
と思えるような、大事にしたい一作!!!
次回も観に行きますよ!
ネタバレBOX
舞台上に、ベンチが一つとセンター上下に数枚の布が垂れ下がってるだけの舞台。。。
木漏れ日を映した陽光の中に佇むベンチ。。。
そんな客入れ風景から始まる芝居~
ともすれば飽きがちな二人芝居を合間合間に二人以外のシーンを
挟み込む事で全く飽きさせません!
セリフ回しも小気味良くて心地いい~
終わった後に、澄み渡った気持ちになれる芝居でした^^
空気ノ機械ノ尾ッポvol.15~キカイ~
空気ノ機械ノ尾ッポ
シアターブラッツ(東京都)
2010/05/27 (木) ~ 2010/05/30 (日)公演終了
満足度★★★
ほっこり不足。
踊るように、歌うように物語を紡いでいこうとする独特のリズムとテンポがあり、とてもワクワクしたのですが、途中から、いつやって来るともわからない列車に乗り遅れてしまったようなやるせない気持ちになり、現在地を失いました。それが地上から3センチくらいフワフワ浮いているような、適度に現実味のある浮遊感として受け取っていいものか、イマイチ確信が持てないのですが、フライヤーから想起される、月と太陽がとりとめのない話をしているような抽象や、陽だまりの庭でぼやんとしているようなほっこり感というか、充足感はあまり得られませんでした。
ひょっとしてこの時の私の頭のなかのなかが、執拗にねじくれていたことが原因だったのかもしれません。
ネタバレBOX
キーワードも関係性もすべて「ベンチ」から水面に波紋が広がるように形成していく。
背後から照らされた照明が、木陰を照射している。
ベンチは通常公園にあるものだ、という固定観念があるからだろう。
そのような場所で、サンバ調の軽快なBGMに合わせて俳優たちが、舞台上の捌け口だけでなく、開放された客席扉からも出入りし、自由に美しい対角線を描きながら行きかう。
行きかう人々は、化粧をしながら通り過ぎるひと、新聞を読み一瞬立ち止まるひと、子どものようなひと、音楽を聴いているひと、妊婦さんらしきひと、などさまざまだ。時折、風そのものであったり、サーチライトであったり、擬人化された何かが通りすぎることもある。
このシーンは場面転換をする際に時折登場するのだが、非常にスタイリッシュだ。しかしそれだけでなく、ノスタルジーや、ぬくもりが自然とこぼれ落ちる不思議な感覚があった。きっと、この作品に携わっているひとたちの関係性のよさ、なのかもしれない。
それが非常に良い空気感をまとっており、私はこの1シーンがずっと続いたらいいな、とおもうくらいとても好きになった。
けれど、音楽が鳴り止み、仕事の合間にぶらり公園に立ち寄ったような身なりのふたりの男性があらわれて、なんでもない会話がはじまってからというものの、これまでのふんわりした心地よさがするりと消えてなくなるような気持ちになった。
舞台が公園のベンチだとすると当然、公園に住んでいる浮浪者が出てくるものだと期待していたからなのだろうか。
抽象的な冒頭のシーンとはかけ離れた男性らの具体的なある意味リアルすぎる会話が異質すぎて、上手に連結していないようにおもえて、フリーズしてしまったのだ。
しかし、そうこうしている間にもふたりは何かについて会話をしており、人生に疲れたことがないから、ベンチには今まで座ったことがないという貧血気味の男のひとのつぶやきや、そんな男性にチョコレイトを強く勧める工場勤務のハツラツとした声の男のひとのやさしいおせっかいなど、何とか耳をダンボにして会話に集中するのだけれども、私は結局、会話の多くを掴み損ねてしまったとおもう。
ふたりのシームレスな会話のなかで、いつだったか擬人化されたベンチが登場し、ベンチの”フォーム”について尺の長さや用途、適切な場所をプレゼンする場面において、ソファーはベンチに対抗して己の座り心地の素晴らしさを強調し、ベンチVSソファーの熾烈な戦いが勃発した時、私がこの作品に求めているのはこちら側なのだなぁ、と痛切におもった。
だもんで、度々挿入されるあの、陽気なサンバ調のリズムに合わせたあの雑然と人々が行きかうシーンになると楽しくて仕方がなかった。
やはりあのシーンをみてしまうと、コンテンポラリーダンスのような独創的な動きとベンチを取り巻く環境をベンチ自身の視点からキャッチするやり方に絞るか例えば男性のひとりが疲れないからベンチに座ったことがないのは彼の前世がベンチだったからだ、と仮定したうえで今現在ベンチとして存在している女性と、かつてふたりはベンチ夫婦でもあった、などという突拍子もない方向性から切り開いていく方がこの作品には合っているように思えてならなかった。
裏切りの街
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2010/05/07 (金) ~ 2010/05/30 (日)公演終了
ポツドール、ではない。
おもしろかった。けど……
「パルコでの作品」としては◎。
純粋に「三浦大輔作品」として観ると△。
いつもは暗転になった途端に堰を切ったように観客が咳をし出すが、今回は演技中にそれがあった。客層・劇場のせいもあるだろうけれど、舞台上の緊張感・密度が三浦大輔作品としては希薄。
『ボーイズ・オン・ザ・ラン』を見て三浦さんの対応力に目を瞠った。
今回もそうだった。
が、器用さを続けて2回見せつけられると今後もそちらに
走られるのではないかとファンとしては不安になった。
ドラマとしてはとてもとてもおもしろかった
けれど、僕が演劇にもとめる欲求は満たされず。
あと、前半の「性欲ではない何か」は新境地かなと思った。
MUKAIYAMA ザ・トラブルマスターズ
東京ストーリーテラー
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2010/05/22 (土) ~ 2010/05/30 (日)公演終了
満足度★★★★
設定がいい
荒唐無稽な設定にリアリティを上手く添えた、シチュエーションの爽快な物語。
舞台美術はシンプルだが、役者が華やかなので、舞台が彩り豊かに感じられる。物語がある程度進むと話のオチは見えてしまうけれど、それがなんらマイナス要因にならない優れた脚本と演出がいい。
おのおのの心情の急展開が、無理や違和感ではなく、爽快に見える演出と役者の技量はなかなか見事だと思う。
家族4人の動きがコミカルで、静動がはっきりしてるアニメのような見やすい画面構成が分かりやすくて、作品世界に入りやすいのも見事。
夢の泪
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2010/05/06 (木) ~ 2010/05/23 (日)公演終了
満足度★★★★
抑え気味
「~裂け目」に比べ、抑え気味なトーンなのは、
作者が語りたいことが多いからなのだろう。