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空の匣庭

空の匣庭

ProjectAmythos

萬劇場(東京都)

2024/04/25 (木) ~ 2024/04/29 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

持田千妃来さん出演。チームCANAAN。
去る2022年12月、チームEDENとCANAANのうち、CANAANが中止になってしまいました。EDENとCANAANはまるっきり異なるストーリーで、キャラクターの名前が同じでもまったく異なるという、珍しい試みに期待していたところでした。自分はCANAANを観劇予定でしたが、結果としてEDENだけを観劇しました。
その半年後2023年6月の朗読劇「空の匣庭 Archives」はCANAANの前日譚。EDENで知ったことと合わせて、世界観がよく分かってありがたかったです。
そして満を持して今回のCANAANの公演。全員揃っているわけではないですが、持田さんを含めて多くの演者さんが、あの時やるはずだった役を。感慨深いものがありました。

余談ですが中止になった2022年のは「CANNAN」表記でした。パンフレットもそうなっています。SNSでうかがったのですが、実は綴りを間違えていたと。そんなわけで今回「CANAAN」に直されました。

ネタバレBOX

EDENとArchivesを知っている自分は設定をだいたい把握しているので、匣庭(シエル)の目的を知っています。それを踏まえてのことか、CANAANではまあまあ早めに秘密が明かされます。EDENでは明かされるのは最終盤でした。
実は「試練」をこなすことで解毒剤をもらっていた、というのがいいですね。もらえなければだんだん毒が効いて(=堕天して)、最後には消える、と。だから、外部とのインタフェースである精霊をやっつけてしまうと、管理されなくなって自由になるけれども、そのうち消えてしまう、と。すごい納得感があります。
持田さんのヨフィエルの「親友を殺した」というセリフがありました。それがどんな経緯だったかは、Archivesで示されています。それを知っているかどうかで物語の理解度がだいぶ違うと思います。柳瀬晴日さんのガブリエル、大力さんのサンダルフォン、鶴田葵さんのカマエルも同様です。

ちなみにArchivesはこれを書いている時点では有料(1070円 x 2)で配信されています。CANAANを観劇したあと再確認したくなり、購入して視聴しました。再度楽しめて満足です。
儚き光のラプソディ

儚き光のラプソディ

アミューズ

明治座(東京都)

2024/04/28 (日) ~ 2024/05/26 (日)上演中

実演鑑賞

満足度★★★★

過去からと未来からのメッセージ。そして大切にしたい「今」ということが伝わってくる舞台でした。
先日見た「三國志」の時よりセリフが聞こえにくくて残念でした。

絶望という名のカナリア

絶望という名のカナリア

甲斐ファクトリー

小劇場 楽園(東京都)

2024/04/23 (火) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ポアンカレ予想とか聞いたの何年ぶりだろう
数学者の端くれ、それも落魄した男鈴木が主人公
飼っていたカナリアを逃がして自殺しようとするところから始まる
そこへ部屋を間違えてやってきたデリヘル嬢、続いて現れる新興宗教の連中
鈴木を核に3つの舞台が展開される
鈴木を巻き込んでいく新興宗教、鈴木の計算を元にプログラムを組む元部下の立ち上げたファンド、推し活のために風俗に身を置く娘たちとその芸能プロと風俗の両方の事務所を兼ねるヤクザの手下(らしい)
生きている意味はあるのか、生きた証を残せるのか
芸能&風俗の世界はあくまでコミカルに
中国娘を騙る風俗嬢ケイコは岩田がなり切っていて、事務所を取り仕切るタカノの助川は実にいい味を出して憎めない男を演じていた
宗教とファンドは狂気である
そしてそれがつながる
トラ丸は正直最初の窓を開けるシーンでは?と思ったのだが、、人生に疲れた男を実に良く演じていった
新興宗教のメンバーもいかにもそれらしく演じていた
ファンドを経営するヒロのどうにもならなくなっていく様子を東別府が好演
最期の涙するシーンはこちらも涙が止まらなくなった
ここで終わりか、暗澹たる気持ちで帰るのかと思ったら、カナリヤが帰ってきて、鈴木が死んでも最初の風俗嬢の役に立てるよう生命保険の受取人にサインさせて、もう少し生きてみようと考え(たらしく)終わったのは救いだった

まともがわからない

まともがわからない

The Stone Age ヘンドリックス

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2024/04/26 (金) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

今回の劇を楽しみました!
まだまだ三姉妹の恋の行方がどうなるかわからない(破局も、結婚も、確定した関係も語られなかったので)。そんな中でも、自分自身でどうにか受け入れていこうという意思がありましたよね!どうしよう、ではなく、やっていこう、という受け止め前向きな姿勢。
猫(ピーター)は、物語の力を抜いてくれてましたね😁甘咬みする場面とか、笑ってしまいました(^^)
あと、劇中にスポッチャ出てきて、自分の記憶を手繰り寄せたら、一度もいったことがないことに気づいてしまいました!💦過去5年間の間に3回ぐらい行く約束して、自然消滅していたわ、、、🤯め、巡り合わせが悪いこともあるもんですね(;_;)

っと、珍しく思ったことをつらつらと。

2×3

2×3

甲南大学文化会演劇部 甲南一座

甲南大学岡本キャンパス甲友会館(兵庫県)

2024/04/28 (日) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

満足度★★★

2×3とは❓と不思議な感じで拝見
二人芝居の三本だった
①警察とゴルゴ13が手を組んだら
拳銃の横流し現場をつきとめようとする男性刑事とその刑事に雇われたスナイパーの話…白と黒 今一
②うーん😔一番良かった‼️
生きることに疲れていた女性が、電車に引かれて生死をさ迷っていた…悪魔👿?えん魔さまは…
③スーパーで、バイトの男女二人の恋話を時間を歪めながら、男女入れ替えなどを交えながら、最後はバットエンドに… 今一

OH!文化体育祭

OH!文化体育祭

劇団カオス

大阪公立大学杉本キャンパス 田中記念館(大阪府)

2024/04/28 (日) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

満足度★★★★

体育祭と文化祭を一つにまとめようとの提案に体育会系と文化会系が猛対立 アンケートや討論会を実施するも互いに意見は平行線 校長が決断(新聞部の廃止含め)をくだすも、その内容に全生徒が反発 自治の決断についての話 実に考えさせられた コリッチの登録内容ミスがなければ星5の内容

朗読劇 ヴィヨンの妻

朗読劇 ヴィヨンの妻

ミモザ

STAGE+PLUS(大阪府)

2024/04/27 (土) ~ 2024/04/29 (月)公演終了

満足度★★★

太宰治の作品のグズ男の作品を三名の女性でかわるがわる読み進める70分 これで3000円は… いつものアングラの方が…

トライアル 2024

トライアル 2024

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2024/04/24 (水) ~ 2024/04/29 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

Aキャス
笑った笑った
ミステリー仕立てのコメディと言っていいかな(逆と言うより)
裁判員制度の始まった頃に初演されたものを時代に合わせ加筆修正したと言うが、登場する裁判員が皆超個性的で引っ掻き回す
「十二人の怒れる男」を想起させるが、素人の推理がなかなか面白く、途中から予想外の展開に
ともかくホンが良くできていて一瞬たりとも飽きさせない
そしてキャストも良くそれぞれの個性を際立たせて実に面白かった

ネタバレBOX

辺克己はさすが声優と言う声で裁判長にぴったり
チャラいダンディ俳優の戸田悠太やポケットから次々紙パック菊正宗を出す予想屋の永島雄三、エキセントリックなファンの吉田萌雪、オカルト雑誌の小野寺亨、自己主張の強いオバサン中村容子、舞台回し役にもなるミュージシャン川越涼
裁判官の桑山こたろうは上下碧に「一杯だけ」付き合ってもらえそうで、どうやら川越は今夜のライブにみんなに来てもらえるみたいなハッピーエンド、良かったね
筒井康隆笑劇場

筒井康隆笑劇場

笑いの実践集団

シアター・アルファ東京(東京都)

2024/03/08 (金) ~ 2024/03/14 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

①一について 
松田洋治氏、竹若元博氏(バッファロー吾郎)
②モーツァルト伝
竹下景子さん
③乗越駅の刑罰
松田洋治氏、小堺一機氏、花木さち子さん、上山克彦氏、竹若元博氏、竹下景子さん、飛野悟志氏
休憩
④冬のコント 
飛野悟志氏、花木さち子さん、小堺一機氏
⑤早口ことば
小堺一機氏、小中文太氏
⑥ヒノマル酒場
竹下景子さん、上山克彦氏、小堺一機氏、竹若元博氏、小中文太氏、松田洋治氏、見た目が邦彦氏、花木さち子さん、山田健太氏他

高平哲郎氏77歳のセンスが古いのか?全く笑えず。筒井康隆のアンチなのか?と勘繰った。兎に角笑いの爆弾で観客を打ちのめさないとこういう試みに意味がない。筒井康隆モノを他ジャンルに変換すると糞つまらないのは何故だ?飛野悟志氏は大仁田厚に見えた。『乗越駅の刑罰』の猫マスクの出来が素晴らしい。小堺一機氏は渡辺哲っぽい風格で雰囲気がある。得たものは竹下景子さんを生で観れたことだけ。

宇宙論☆講座 the BEST & the WORST

宇宙論☆講座 the BEST & the WORST

宇宙論☆講座

北とぴあ カナリアホール(東京都)

2024/03/14 (木) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

観客6人。関係者抜いたら3、4人だろう。まあ酷い。ただ楽しそうに仲良く演っているのが良い。武者小路実篤の「仲よき事は美しき哉」だ。

ネタバレBOX

増山紗弓さんが立ち、「開演が5分遅れます」のお知らせ。5分後、更に「開演が5分遅れます」との報告に観客の一人(遠藤孝氏)が立ち上がってキレる。舞台上に上がり込み、江頭2:50調に怒鳴り散らす。「嘘をつくな!」と。止めに入る劇団員達。増山さんは泣きながら謝罪する。「一度言ってみたかったんです、何かカッコイイなと思って」···みたいな雑なコントから開幕。ピアノの五十部裕明氏と新成亜子さんがひたすらディープキスをしたり、鈴木環さんがベロベロ涎を垂らしたり、星ヒナコさんが一万円札を飲み込んだり···、こりゃ大変だ。全く面白くないところが凄い。何かパッと見、面白そうな感じのネタだが意図的に面白さをかいくぐっているかのよう。こういうのは常連客との閉じた空間で身内だけでゲラゲラやり合うものなんだろうけれど、ここは誰一人笑わない“氷の世界”。色々と考えさせられた。

外に出ればバス停に並ぶガチガチに汚れた浮浪者の姿。王子駅前の交番横の公衆便所ではパンツを膝下まで下げてオナニーしている男がいた。(有名な奴らしい)。次々に入って来る利用客のペニスを凝視して。何が演劇の街、北区だ。演劇なんてものは、表現なんてものは、この世から消え去っちまえ!みたいな当てどない気分。
明日から心を入れ替えて真面目に働こうと思った。
天の秤

天の秤

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2024/03/29 (金) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

少ない人数でよど号ハイジャック事件(1970年3月31日)をよく描いた。脚本の工夫には感心。自分は山村新治郎が次女に刺殺された事件(1992年)や田宮高麿の怪死(1995年)など後追いで事件に興味を持った口。当時『噂の真相』や『創』なんかを毎月買っていた。
未だによく判らないのが共産主義の魅力。戦前の太宰治的キリスト教文脈の解釈としての憧れならば理解出来るのだが。ただ“革命”に参加したくて、それを肯定する理由付けの為だっただけなんじゃないかと。大義名分による暴力衝動の正当化。

テーマは「剣なき秤は無力、秤なき剣は暴力」。
ギリシャ神話に登場する女神テミス(=ローマ神話のユースティティア)像。目隠しをして左手に秤、右手に剣を持つ。秤は善悪を量る「正義」を象徴し、剣は裁く「力」を象徴、目隠しは「法の下の平等」を。1872年、ドイツの法学者ルドルフ・フォン・イェーリングの『権利のための闘争』から。その元となったのはフランスの哲学者ブレーズ・パスカルの死後、1670年に発刊された遺稿集『パンセ』の一節、「力のない正義は無力であり、正義のない力は圧制的である」。

機長役、祥野獣一氏が物語の重心となる。
山村新治郎役、山村鉄平氏が事件を追想する額縁。
ハイジャック犯、田宮高麿役は高橋亮二氏。乗客達に「(退屈しのぎの為、)希望者には自分達が持ち込んだ本を貸し出す」と告げて書名を読み上げる。このシーンが一番観客が沸いた。

乗客の生命、安全を最優先にすることが日本航空乗務員の“正義”。
“革命”の為にどんな障害があろうとも計画を遂行することがハイジャック犯の“正義”。
今、最優先すべきものは何なのか?その判断の根幹、“核”になるものとは果たして何なのか?

ネタバレBOX

この事件を起こした共産主義者同盟赤軍派の9人はリーダーの田宮高麿が最年長27歳、最年少の柴田泰弘に至っては16歳の高1。しかも犯行に使った日本刀、拳銃、爆弾など全て玩具でしかなかった。目的は北朝鮮をオルグ(勧誘によって仲間にすること)して“赤軍化”すること。勿論、朝鮮語も英語もできない。こんな無計画な度胸だけの若者達が国家相手に大立ち回りを演じ、見事国交のない北朝鮮に入国したことは世間に衝撃を与える。当時は国家権力は“悪”の象徴だった為、「あいつら凄えことやりやがったな、俺達だって出来る筈、負けてらんねえ。」の気分。ある種、痛快な英雄でもあったのだ。(無論、革命ごっこに夢中な愚かな連中と白眼視もされていたが)。

この人質を取って荒唐無稽な要求を国家に呑ませるというアイディアは、ゴジが撮った『太陽を盗んだ男』という映画になる。
冴えない中学校の理科の教師が、自宅で原爆を作る。証拠を携えて日本政府を脅迫。要求は「プロ野球中継を最後まで放送しろ。」「ローリング・ストーンズの日本武道館公演を開催しろ。」(当時、ストーンズは前科が問題となって入国審査が下りず)。実は彼にはそれぐらいしか望みはなかったのだ。

この事件の裏の主人公は乗客の中にいた米国人のダニエル・マクドナルド神父。彼はどうもCIAのエージェントだったらしく、北朝鮮で尋問を受けることを米国は危惧。日本と韓国に、北朝鮮には絶対に行かせないよう要請。朴正熙(パク・チョンヒ)大統領はKCIAに命じ、よど号を金浦(きんぽ)空港に着陸させた。そして3回、別々の米国人の3人が神父の身代りになりたいと空港に申し出てくる。更に管制塔から神父との交信を求められる。山村新治郎が身代わりになることで乗客は解放され、飛騨号で帰国することに。だが神父の姿は消えてしまい、結局日本に帰ることはなかった。この神父の存在がこの事件をここまで込み入ったものにしている。

一番ぐっと来たのは山村新治郎が母親に電話して「母ちゃん、最後にもう一度、直義(彼の幼名)と呼んでくれないか」と頼むところ。国交のない北朝鮮に行けばどうなることか誰にも分からない状況。死を覚悟した男の名シーン。

後年、山村新治郎は24歳の次女により、寝室で出刃包丁で滅多刺しにされて死んだ。精神疾患を患っていた次女は「心神喪失により責任能力なし」で無罪に。その4年後、飛び降り自殺。

今作の物足りなさはよど号グループ、田宮高麿に全く感情移入していないこと。ただの馬鹿ガキの起こした事件にしてしまっている。これではドラマにならない。“正義”を後生大事に崇めているだけでは何も変わらない。間違った何かを変えるのはいつも“暴力”だ。行動なくして何も動きはしない。そんな異なる“正義”の対立が観たかった。その為には全く別の視点が必須。
前田日明が批判としてよく使うのは、歴史の「後出しじゃんけん」について。結果を知っている現在と、何も結果が未確定の当時とでは評価が違って当然。いつだって闇の中を無我夢中の手探りでどうにか進んできたのが人間の歴史。現在から過去を安易に断罪することの愚かさ、無意味さ。未来から見れば今の世界の“正義”など全くの無意味、ナンセンスなのかも知れない。

ちなみに田宮高麿の子分だったのが後の連合赤軍トップ・森恒夫。田村は森を腰抜けだと馬鹿にしていた。
S高原から

S高原から

青年団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2024/04/05 (金) ~ 2024/04/22 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

奇妙な病が発生している日本。一見、病状はないのだが、それが発症すると徐々に弱って死んでいく。深い眠りに落ちるように。かつての結核患者みたいに高原にある高級なサナトリウムで療養生活を送る人々。(何故彼等にこんな経済的余裕があるのかは話の都合だろう)。人から人に感染することはなく、見舞客が気軽に頻繁に訪れる。コーヒー(刺激物)を摂ったりテニス(激しい運動)をしたりは、人によっては禁じられている。
常人よりも死をリアルに密接に感じる毎日。「メメント・モリ、カルぺ・ディエム」(死を見据え、今日の花を摘め)。堀辰雄の『風立ちぬ』の有名な台詞、「風立ちぬ、いざ生きめやも」(風が起きた、さあ生きようか···、いや生きられはしまい)。
徐々に“下”の世界とこのサナトリウムとが遠ざかっていく感覚。どうせすぐに消えて失くなってしまうのならば今更何をする必要があるのだろうか?ここは終末の楽園。辿り着いた終着駅。天井で反時計回りにぐるぐる回転を続けるシーリングファンがこの世界そのもののようだ。

宮藤官九郎っぽい、入院して半年の木村巴秋氏。
面会に来た彼女の瀬戸ゆりかさん。ある意味、前半の主人公。
その友人、田崎小春さん。やたら印象に残るリアクション。香坂みゆきっぽい。

そこそこ成功した画家だった吉田庸氏。作品全体を奏でるのは、彼の言いかけた台詞。
かつての婚約者でいいとこのお嬢様、村田牧子さんは美智子上皇后に似てる。
彼がここで絵のモデルになってもらっている南風盛(はえもり)もえさん。凄く何かがありそうな役だが何も見せない。

中藤奨(なかとうしょう)氏は女好きの遊び人。

狂気の兄妹、松井壮大(もりひろ)氏と山田遥野(はるの)さん。兄のサイコパス度合いは飯伏幸太を彷彿とさせる。怪獣スリッパ。

ネタバレBOX

飲み物を運ぶ看護人、島田曜蔵氏。コールベルをチリリンチリリン鳴らされて到頭最後に壊れる。
女性看護人の南波圭さんの語る電車内の怪。傘を抱えて寝ていて、駅に着いて気付くと傘が巨大な物に何故か変わっていた。

倉島聡氏の降板により永山由里恵さんが新しい入院患者を演ったのだが異様な違和感。意図が見えないキャラクター。元々は何の意味があった役なのか?

平田オリザ氏とは全く接点がないまま来た。そういえばももクロの『幕が上がる』を2015年、Zeppブルーシアター六本木で観たが、脚本が平田オリザ氏だった。(演出は本広克行)。まあ良くも悪くもないような印象。で、今回こまばアゴラ劇場が閉館という事で慌てて観ることにした。(多分、今後観る機会はなさそうだから)。
やはり同じような感想。つまらなくはないが面白くもない。何か物足りなさが残る。もっと面白くは出来るんだけれどそうする気もない、みたいな。自分の周りにいた小津安二郎信者はこういう考え方をする連中が多かった印象。品が良い、というのか。
S高原から

S高原から

青年団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2024/04/05 (金) ~ 2024/04/22 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

2回目。
死へのモラトリアム(猶予期間)。

ネタバレBOX

死の世界にいる住人が、生きていた頃の知り合いに会うけれど妙な違和感に捉われていく。吉田庸氏が南風盛もえさんに言いかけた言葉は「俺達、もう死んでるんじゃないか?」

The Cureの『Where the Birds Always Sing』みたいに耽美的にやって欲しい話。現代口語演劇ってのは観てる人のリアリティーのことなんだろうが。
夜会行

夜会行

動物自殺倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2024/04/24 (水) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

今作は2021年7月、サンモールスタジオにて鵺的が公演。その時の演出家は寺十吾氏。まさに天才の仕事、メチャクチャ衝撃を受けた。ここまで練らないと成立しないのか、舞台芸術の奥深さに打ちのめされた。(未だにあれを、可能ならば観劇初心者に体験して貰いたいと思う程)。
今作は『動物自殺倶楽部』の赤猫座ちこさんが活動休止する為、同時にユニットも一旦打ち止めとなる節目的作品。だが赤猫座ちこさんが心因性の体調不良にて降板。代役はアンダースタディの太田ナツキさんに。

あるマンションの一室。お洒落な室内には鉢植えとプランターがお店のようにズラリと並び観葉植物が飾られている。中央のベランダのガラス戸を左右に開ける。そこだけ外からオレンジ色のライトが当たる。

太田ナツキさんの家で同棲している木下愛華(まなか)さん。今夜は木下さんの誕生日パーティーが開かれる。太田さんは料理中。木下さんは物憂げな表情で理由なき不安感と焦燥感に気持ちを尖らせている。
銀行員の日野あかりさんが到着。神経質な程、コロナ対策に拘っている。
続いてやって来た保険外交員の輝蕗さんは区役所の生活福祉課で働いている寺田結美さんを紹介する。

とある夜、東京の一室でほんのひととき営まれる夜会。太田さんの用意したドリアのようなボルシチのような料理が美味しそう。
木下愛華さんは肩幅がガッチリしていて女子プロレスラーのHikaruみたいでカッコイイ。
日野あかりさんの役の作り込みには狂気すら感じた。強迫神経症のような書き込み。ベロンベロンのワイン。素晴らしい。
寺田結美さんの電話のシーンでは泣いた。

ネタバレBOX

木下愛華さん←福永マリカさん
太田ナツキさん←笠島智さん
日野あかりさん←奥野亮子さん
輝蕗さん←ハマカワフミエさん
寺田結美さん←青山祥子さん

同性愛者として生きていく“覚悟”に対して、日野さんが寺田さんを問い詰める。“気分”のような不確かなもので一生を賭けたアイデンティティを弄ばないでくれ。その執拗さに我慢ならず、輝蕗さんは切れて怒鳴りつける。
そんな中、寺田さんの元彼はよりを戻そうと電話を掛けまくってくる。実は妊娠3ヶ月、元彼の子供を孕んでいる寺田さんは黙って独りで出産し育てようと決めている。涙ながらに訴えるも無神経な元彼は寺田さんの“本気”を全く意に介さない。耐えられなくなった輝蕗さんは「今は自分が恋人です」と電話口で宣言する。元彼は大受けして、「他に男ができたのかと嫉妬していたら、レズの恋人かよ」と笑い飛ばす。「なんだ、それならじゃあもういいや」と。その遣り取りを黙って聴いていた部屋の女達の気持ち、観客の気持ち。痛みと悔しさと情けなさ、踏み躙られた尊厳。自分達マイノリティは言葉通りにいつだって少数派だった。何処にいたって差別されてきた。いつも笑われ馬鹿にされてきた。はみだし者の出来損ないだと。そして沢山の人間が長い年月をかけ、闘い勝ち取ってきた“権利”。そんなものですら大多数の人間にとっては何の価値も持たない事実。

小崎愛美理さんの演出では、木下愛華さんの不安を視覚化したように天井から物が音を立てて降ってくる。輝蕗さんは大量の風船を部屋中に転がす。寺田さんの元彼の電話口からの言葉に怒り傷つく度、皆がその風船をバンバン割っていく。いろんな工夫、オリジナルに対しての戦意表明は支持するのだが、脚本の良さを肯定していないのでは?とも思う。一番重要な太田ナツキさんと木下愛華さんの物語が中途半端に投げ出されてしまっている。(前半の遣り取りが全体的に退屈に感じたのも、会話に潜む個々のキャラの掴み取り方が弱かったせいでは。後半の怒りの場面までの伏線が弱い。前半に緻密で繊細な関係性を構築させていないと暴力的な崩壊による効果が小さい)。

この芝居は別れの岐路に立つこの二人の一夜の出来事であり、観客が観ているのもその一点。そこを放り出して「はい、終わり」は酷い。現実と地続きの物語にしたかったんだろうけれど、全く乗れない。初見の観客からすれば「酷い男がいるねえ」でオシマイ。何じゃこりゃあ。こういうのを観る度にヌーヴェル・ヴァーグなんてものは、ごく一部を除いて『百害あって一利なし』と思う。
デカローグ1~4

デカローグ1~4

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2024/04/13 (土) ~ 2024/05/06 (月)上演中

実演鑑賞

満足度★★★

B ②④

②同じ集合住宅の最上階に住んでいる女(前田亜季さん)が下の階の老医師(益岡徹氏)を訪ねて来る。彼は入院している女の夫(坂本慶介氏)の主治医。「寝たきりの夫は助かるのか、このまま死ぬのか?」「そんなことをこんなところで軽々しく答えられない。決められた曜日に来院して正式に面談してくれ。」
テーマは「プラマイゼロ」。

④娘(夏子さん)を産んですぐに亡くなった母(松田佳央理さん)。父親(近藤芳正氏)は独りで娘を育て上げた。長期出張に出掛けた父の引き出しの中に意味ありげに置かれた封筒。「私が死んだら開封するように」と書かれてある。それを読むべきかずっと考え続ける娘。

前田亜季さんだとは気付かなかった。確かに①②の組み合わせだと暗くて動きがなく、つまらないかも知れない。(だから変則的なプログラムにしたのだろう)。
夏子さんは熱演。背景に映し出される巨大な映像がなかなか効果的。公園の池のシーンは良かった。
MVPは近藤芳正氏。笑いに飢えている観客が食い付いた。

全話に登場するであろう、亀田佳明氏演ずる名無しの男。石森章太郎の『ジュン』に登場する少女のように集合住宅の人々の暮らしを哀しそうに見つめている。この役をもっと意味ありげに配置するべき。この連作集の謎を解く鍵のように。

是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

何か自分的にはイマイチだった。映画を無理矢理舞台化しただけで、この表現こそが正解とまで至っていない。

②旦那とは別の男の子供を妊娠した妻。旦那が助かるなら堕ろすし、死ぬなら出来れば産みたい。医師は適当な事を言えず、諦めた妻は墮胎しようとする。慌てて医師は「夫は助からない」と告げる。戦争中の空爆で幼き子供達を失った辛い過去があったのだ。堕ろすことをやめた妻だったが、奇跡的に回復した夫が医師に挨拶に来るオチ。「生命が助かった上に子供まで授かるなんて。」
妻はヴァイオリニストの設定だが別に弾くわけでもない。主人公は医師であり、重要なのは失くした子供達のエピソード。しかも愛犬さえも女の車に轢き殺されている。その葛藤が巧く伝わらない。妻がどうしても子供を産みたい訳でもなさそうなので、ある意味どうでもいい話。

④父が実の父親ではないことを知って、愛を告白する娘。近親相姦的なコメディなのだが違和感がある。血縁関係がなければいいのか?母親が実の母でないと知って、世の男性は急に異性として意識するものか?DNAではなく、これまでの関係性の方が重要だろう。ポーランドではまた違うのかも知れないし、このドラマの父娘の関係が特殊なのかも知れないが。しかもオチでは手紙は娘が偽造した物で、母の手紙の内容は読んでないとのこと。実の父娘のままの可能性も普通にあるだろうし、娘の頭はイッちゃってる。
雨降りのヌエ

雨降りのヌエ

コトリ会議

扇町ミュージアムキューブ・CUBE05(大阪府)

2024/03/09 (土) ~ 2024/03/30 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

1ヶ月とその後の話が今日届き、私の中の雨降りのヌエが今日終わりました!
1ヶ月足繁く劇場に通わせていただき、何かを感じたり考えたりお芝居がとても身近にある時間を過ごさせていただきました。
場当たりやゲネプロ、劇団員さんのお芝居への向き合っている姿など普段なら見れないことが沢山見れるいい機会でした。そして本編も今回初めての観劇だったのですが、何回も観たくなるほど変化もあり面白い内容でした。次回また観れる日が楽しみです!

絶望という名のカナリア

絶望という名のカナリア

甲斐ファクトリー

小劇場 楽園(東京都)

2024/04/23 (火) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ほぼ素舞台ながら劇場(楽園)の特性と大小の箱馬を活用する休憩無し約2時間、自殺を図った中年男が巻き込まれるシチュエーションコメディ的開始から、新興宗教・怪しいファンド・推し活など絡めて転がる展開は、この劇団にしてはややありきたりの感もありつつ、脚本家曰く「数学への復讐」が独特のスパイスとなり、その流れから予想外な形でタイトルの意味が氷解するところが素敵。あとヒジカタ役がいい声。

SEXY女優事変ー人妻死闘篇ー

SEXY女優事変ー人妻死闘篇ー

劇団ドガドガプラス

浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)

2024/04/24 (水) ~ 2024/04/30 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初めてドガドガプラスさんの舞台を観ましたが何度も見たくなるとても中毒性の高い舞台です
作品名やポスタービジュアルからは想像できませんがアイドル好きにもオススメです

11月の第4弾も今から楽しみにしています

恋と呼ぶには気持ち悪い

恋と呼ぶには気持ち悪い

株式会社ジェイステイツ

ヒューリックホール東京(東京都)

2024/04/26 (金) ~ 2024/05/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/04/28 (日) 12:30

純情に目覚めたちょっと気持ち悪いオジサンを内がキモ〜く大熱演。主人公のふたり以外の、相思相愛がなかなか実現しない人間関係もユーモラスに表現。

花影

花影

臼井智希プロデュース

シアターバビロンの流れのほとりにて(東京都)

2024/04/23 (火) ~ 2024/04/24 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

華5つ☆ ベシミル!
 花影(かえい)とは、月光などにより花が落とす影のことを指すが、何とも含みのある言葉ではないか。こんな素敵なタイトルを未だ若い人たちが付けた作品が今作だ。壬生狼と呼ばれた時期もあった新撰組の謂わば顛末記の一節が今回描かれた訳だが、今迄新撰組に纏わる舞台を10作程は拝見してきた。その中でのベスト作品である。僅か2日間の上演であったが配信もあるとのこと、是非観て頂きたい。お勧めである。

ネタバレBOX

 何がお勧めか? 登場する個々の人物のキャラクター描写が素晴らしいのだ。史的には、激動の歴史の最中で先の見極め方を誤った者達が殺戮集団として機能したことが悲劇として或いはアイロニカルな喜劇として描かれることの多い新撰組だろうが、それを観た者は更に捻れた悲劇と取る向きも喜劇と取る向きもあろう。然し乍ら今作のように己の生き死にの問題と捉え、自らの念(おもい)と生き方の切実な鬩ぎ合いと捉えて作家自らがキチンと自らの頭で考え創作された作品は極めて少ないのが我が国の現状のように思われる。その壁を今作の作・演出を担い役者としても登場している臼井氏はやってのけた。役者陣の意識も高く、脚本・演出・演技・手作りの日本刀、衣装、照明や音響も良い。殺陣も半年掛けてしっかりしたものに仕上げている。また武士の作法についても良く此処迄キチンと調べた、と感心させられるような数々の場面があって驚かされた。
 さて、今作を論じる核心に入ろう。上記の如く新撰組評価に関しては毀誉褒貶様々であるが、そのような評価に関する意見でもない。表現そのものが、それを受け取る人々に何を齎すかについてである。所謂エンターテインメントが楽しみや安らぎ気晴らしを提供すると主張し娯楽作品を提供している。これを悪いことだというのではない。然し世の中には真に自分の伝えたいことを持ち伝える手段と方法を持つ者が居る。だがそういう者達の中に在ってそれを最も有効且つ効果的に伝える方法を持つ者は少ない。その方法の有効性に気付いて居ない場合も多かろう。その稀有な才能を顕わす前に他界してしまった者もあろう。然しそれを表現し得た者が日本にも居た。既に鬼門に入ってはいるが昭和の時代に彗星の如く顕れ世界でも高い評価を受け未だにファンの多い多才な詩人・劇作家・映画製作者等々の肩書を持つ寺山修司である。彼は“問い”を表現の極めて大切な動機、方法、実現手段として社会に大きな文化的インパクトを実際に与えた。
 つらつら考えてみるに表現する者にこれ以上に大きな社会貢献は可能だろうか? との問いが生まれた。今作の眼目は、作家が自分の頭で本当に自分の描きたいことを考え、それを問いとして提示する為に演劇を選び、新撰組という素材に念と何時死ぬとも分からぬ我らの“死”を前提とし各々の実存を賭した生き様を、普通に生きる人々に提示した点にある。以下、作中に顕れた具体例を幾つか上げておく。
 当時、労咳と言われた結核が沖田の持病であった。不治の病と恐れられ罹患すれば死は避けられない。池田屋襲撃時に傷を負った沖田は、近藤、土方をはじめ新撰組の寝食を共にした家族のような仲間から可愛がられた。然し「無理をするな」との温かい思いやりは、全身全霊を懸けて信じた近藤についてゆく。明日をも知れぬ自らの命をその念の為に費やそうとする総司には隊の任務に携わらせない皆の思いやりが、アンヴィヴァレンツでしかない。そのことを土方のいたわりに対する答えのシーンで訴える。その直截な表現が胸を撃つ。
 その優しさの余り隊規を破り切腹を余儀なくされた山南 敬助が介錯に沖田を指名し「声を掛ける迄待ってくれ」と言ってから切腹したことの意味。即ち既にサラリーマン化した江戸時代の武士の切腹が初手で脇差を刺した瞬間に介錯を行っていたことに逆らい古式の切腹をして“武士”として天晴な死に様を晒したことと沖田に任務を与えたことの意味は明白である。
 また山南の古くからの親友、新撰組参謀として活躍した伊東 甲子太郎は、手の込んだやり方で新撰組に敵対することとなったが、流石に切れ者の甲子太郎、時代の読み方に間違いは無かった。この流れに共感する者二人。藤堂 平助と永倉 新八各々の剣の腕と人間性。それに賭けるだけの力や矜に懸けた念によって敵対しつつ共鳴する生き様は、新撰組の法度を鬼になっても護ろうという念で実行した土方撃退には共闘して当たり功を得た。然もそれぞれの歴史的立ち位置と選択の差によって決着はつけるという男の意地を通す美学は現代的では無かろうがグー。
 細かい点で他に2点、指摘しておきたい点がある。新撰組法度に盾突き追われる身となった山南が追手となった隊士たちと争う場面で隊士を殺さぬ為北辰一刀流の妙技・親指斬りを用いたと思われるシーンがあった点。
 山南の遺志を継いだ伊東が近藤 勇と会談した折、近藤は着座の際、刀を右側に置いて敵意の無いことを示し、伊東は左に置いて反対の意思を示している点である。双方の懇談に対する態度が如実に示されると同時に近藤のリーダーとしての人間の大きさも示すシーンだと解釈した。
 物語の創りとして本質的に非常に上手いのが、今作がかつて新撰組隊士であった人物の語る一次情報を基本とした事実譚として創られていることである。物語であるから、フィクション部分はあるのが前提だが、このように本質を弁えて作られると物語としてのリアリティーが確保されるのだ。作家は若い。この若さで此処迄普遍性を具えた作品に仕上げた才能に今後とも期待したい。制作を今回担当した駒井さんは照明、広報、ヘアメイク、小道具製作なども手掛け大活躍、役者陣もキチンと役の個性を演じてグー。こんな質の作品をあと2作発表できたら、今作に参加した総てのメンバー全員が、今後も期待できる本物と見做せよう。

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