組曲「空想」
空想組曲
OFF OFFシアター(東京都)
2010/06/16 (水) ~ 2010/06/22 (火)公演終了
満足度★★★★★
面白い。素晴らしい。
今のところ、今年No. 1です。
アウェーインザライフ
プロペラ犬
サンケイホールブリーゼ(大阪府)
2010/06/23 (水) ~ 2010/06/25 (金)公演終了
満足度★★★★
みんな筋肉少女帯のファンと化す
若手劇団のようなバタバタ感と熱意がすごく良かったです。
ロックってこんな感じだよな~と思わせてくれる舞台。
水野美紀のはっちゃけぶりが最高でした!村上もソニンもびっくりするくらい面白くて可愛かった!歌えてるし!
大千秋楽だったので、筋少がゲスト、最後に歌ってくれました!
また見たいけど、最後なんだよね……。
厠の兵隊
劇団桟敷童子
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2010/04/16 (金) ~ 2010/04/26 (月)公演終了
満足度★★★★
気持ちのよさ
猥雑で暗い印象が多いアングラ劇団の中では、泥臭い中にも清潔感のある劇団だと思います。ダイナミックな演出と繊細な心の動きが、観客の心に沁みやすく自然と楽しませてくれます。
ネタバレBOX
板垣桃子さんの演じる月子の、突き刺さるような真っ直ぐな笑顔が作品の魅力を底上げしていました。中堅(年齢経験的に)の役者さんが、男女問わずしっかりしている劇団だと思います。
風変わりなロマンス / 悲しみ
劇團旅藝人
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2010/06/24 (木) ~ 2010/06/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
芸術的なセンス
あっぱれ!という言葉以外に賛辞の表現を思いつかないほどの秀逸な舞台だった。特に「悲しみ」の演出は叙情的でもありギリシャ神話をも思わせるような美しく甘美でもありながら、現実に襲い掛かる悲しみと後悔の負の感情表現を見事に表現していた。なにより、演じたキャストらが素晴らしい。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
「風変わりなロマンス」
孤独な独身男・ウェアーは何をやっても上手くいかない。他人と関わること自体が苦手で、自らも殻に閉じ込めてしまう。そんな男がある日、下町の古びた宿屋に泊まるも、そこの女主人・べラと情を交わしてしまう。女主人も家族がありながら孤独だったのだが、自由奔放な女でもあった。
ベラはそんなウェアーに対して「男に必要なのは女なのよ。家族を持たない男は家族に捧げる愛情を他で埋めようとするから、気がつかないうちに変人になってしまうの。」などと会話をしながら楽器を奏で心を開かせようとするも、既に妄想のなかで生きてるウェアーは猫のニチボーにしか心を開くことが出来なかった。そんなウェアーに苛立ち、ベラはニチボーを捨ててしまう。
ショックで精神的に病んだウェアーは精神科の病棟に入院するも退院して宿屋を訪れると、ベラは既に宿泊客とデキておりニチボーは相変わらず、行方不明だった。ベラに追い出されたウェアーは必死になってニチボーを探し、再会する。
宿屋の部屋でベラが奏でる楽器が一番美しいシーンだった。癒しを求めていたウェアーはベラの強引なアプローチによって関係してしまうも、この後のニチボーを巡っての言葉による傷つけあいの展開は、「だから俺は人間が苦手なんだ。」といわんばかりのウェアーの心の叫びが聞こえるようで、脱力感、失望感や挫折感を伴った舞台だった。最後の希望としてニチボーと再会できたのが救い。
「悲しみ」
実に美しい場面だった、コロス達の天使の歌声に神的な震撼を覚えたほど。老人グリーシカは女房のマトリョーナを酒の勢いを借りて、殴ってしまう。倒れるストリョーナ。驚いたグリーシカは老いぼれの牝馬でドクターの元に走るもマトリョーナは息を引き取ってしまう。この時になってようやく己のマトリョーナの対する仕打ちを後悔するも、どうすることも出来なかった。
若かりし頃の夫婦の生活情景から、やがて、グリーシカが働かなくなり酒に溺れ、女房のマトリョーナを母親と勘違いして甘え、挙句、殴って殺してしまった愚か者の老人の描写の仕方を過去と現在を交差させながら、コロス達の歌声とともに詩的に演出する。この演出の仕方が実に美しくこの世とは思えない場面だった。ドクターの顔の演出も素晴らしい。ファンタジー的でもある。
グリーシカはマトリョーナを失ってはじめて、「人生はなんとあっというまに過ぎて行くのだろう。もういっぺんやり直せたらな~。。酒と喧嘩と貧乏に紛れてあっというまに過ぎてしまった。そういやマトリョーナな奴、物乞いしたこともあったな~、俺をこんな奴だと思ったまま逝っちまった。もう10年生きてたら、俺だって・・・、ああ、もういっぺんやり直せたらな~。。」と呟く。
愛情、友情、依存、共栄の対象が失って初めて、「悲しみ」を感じ、対象と自身とのつながりが強い程、深い悲しみが訪れたグリーシカだったが、彼の最大の悲しみは過ぎ去ったものへの後悔と大事にしてやれなかった対象が失われた深さに大きく起因し、そして自身の孤独だ。
だから・・、自身の脳でその現実を受け止めるとともにこみ上げてくる感情は事実を否定したいほど悲しむのだが、現実は今を拒絶する。
清水理沙の天使の声が破壊的なほど美しい。役に見合った年齢のキャストらはこの舞台を崇高なほど完璧に仕上げていた。芸術的な舞台だった。。
クセナキスキス
The end of company ジエン社
d-倉庫(東京都)
2010/06/03 (木) ~ 2010/06/06 (日)公演終了
満足度★★★★
遅くなりましたが
いつも以上に独特なテーマ。分かり辛さもあったけれど、楽しみました。
水×ブリキの町で彼女は海を見つけられたか【ご来場ありがとうございました!!】
アマヤドリ
吉祥寺シアター(東京都)
2010/06/25 (金) ~ 2010/07/04 (日)公演終了
満足度★★★★
再演 水
とにかく、入ってすぐに美術が素敵でほわー!ってなった。上から見下ろしてもきっと素敵なんだろうなぁって感じました。
開演前にアンケートに目を通しておいたほうが良いでしょう。私は楽しめました。
次は英語字幕ありのを見てみようと思います。
ネタバレBOX
台本とかいじっているものだろうと予想していたので、初演の水そのままで意外でした。台詞も、間合いも、立ち位置も、変わりなく(と感じました)。なのでどうしても初演のキャストとかぶってしまって、重ねて見てしまって、それがもったいないなぁと思いました。西川さんがチョウさんに見えたり、根岸さんが酒井さんに見えたり。お母さん役の伊東さんが素敵でした。なんていうんだろう、「お母さん」って感じがして。
初演と本当におんなじ感覚がして、もう一度観れてラッキーという感じと、もうちょっと違った「水」を見てみたかった残念というのが入り混じってます。
ネバーランド
少年社中
青山円形劇場(東京都)
2010/06/23 (水) ~ 2010/06/27 (日)公演終了
観ました
観たよ、の記録。
自分にとっては照明・衣装・音楽(←特にこれ!!!)・アクション・殺陣が感動ポイントでした。
ネタバレBOX
・・・ただ、空想組曲の「遠ざかるネバーランド」があまりに衝撃作・感動作すぎて、おなじネバーランドネタだとどうしても比べてしまう自分がいて、ふとしたところで冷静になってしまう。ものすごく客観的に遠巻きに観てしまう自分がいる。
作品自体は本当に素晴らしいです。
全ての点で完成度が突出していると思います。
ただ、自分の心の中の比較物ができてしまっていたので(しかも「神」みたいな存在。笑)これはどうしようもないんだと思います^^;
はははなし【ご来場ありがとうございました!】
劇団森
早稲田大学学生会館(東京都)
2010/06/24 (木) ~ 2010/06/27 (日)公演終了
満足度★★★
母と娘の愛と憎しみの物語
劇団森の荻原永璃が演劇倶楽部、てあとろ50' くるめるシアターという早稲田を代表する劇団から魅力的な役者を3人集めて挑んだ合同公演のような企画。母と娘の愛憎を永遠の輪廻にまで導き、内面世界を舞台の上に表現してみせた。
萩原永璃は前作もリストカッターの物語を描いたが、心の内面を描く作家。コメディやエンタメが全盛の大学演劇でシリアスなものを真摯に書き続けている。
役者はそれぞれ各劇団を代表するだけあってうまい。河合恵理子はエンクラでいつも演じる明るく元気な子の役とは真逆の役を演じ、新境地を開いた。三谷奈津子は若いながら母親の持つ愛情とときに傲慢さを表現し、しっかりと母親に見えた。間に入って谷口大介が何役もこなしていたが少し難しい役だったか。他の公演も見てみたい。
実際に舞台上で調理をするところが斬新な演出だった。
百人町
劇団唐組
花園神社(東京都)
2010/05/01 (土) ~ 2010/06/13 (日)公演終了
満足度★★★★
春公演
毎年段々と上演時間が短くなります。
ネタバレBOX
けれど、やはりすごいものはすごいです。面白い。筋といえる筋があるのかは疑問でしたが、そんなものはおいておいて見てるこちらの毛穴が開くような表現に圧倒されます。
ラーメン屋を幻想的にみててしまうその感性と言うのは、普通の人間が世界を眺める目とは全く違うところから生まれるのかもしれません。
しかし、年々役者さんの質が落ちていくのはやはり仕方がないことなのでしょうか。
その中では、病院院長役の辻孝彦さんが良かったです。アングラ役者にありがちな力で押すだけで細やかさにかける演技ではないのが好感です。
めぐみへの誓い
劇団夜想会
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2010/01/26 (火) ~ 2010/01/31 (日)公演終了
満足度★
予定どおり
始めからそれほど期待はしていなかったのですが、やはり予想通りの結果でした。
ネタバレBOX
失礼な言い方になりますが、演出家の方はプロなのでしょか?僕はこの団体の事を良く知らなかったのでどんな経歴の方なのか知らなかったのですが、演劇好きで憧れて思わず素人なのにやっちゃった、みたいな演出でした。
無意味にパネルが上下したり、幕を下ろしても幕の向こうで準備してる音が聞こえていたり、学芸会のようなのです。
脚本も、資料を繋ぎ合わせましたといった文学性のかけらもないものでした。
横田早紀江さんを演じてい女優さんの演技が、なんとも一方的で独りよがりな感じが、ざわざわとした嫌な感じを残しました。
田口八重子さんを演じていていた川上麻衣子さんはさすがです。テンポの良い台詞回しとリアルな感情のうねりを感じました。
不滅
鵺的(ぬえてき)
「劇」小劇場(東京都)
2010/06/23 (水) ~ 2010/06/27 (日)公演終了
6月24日(木)S
ハードな復讐譚。でも終始ニヤニヤ。直接描写のないQTか!?
PW
演劇企画集団THE・ガジラ
本多劇場(東京都)
2009/03/06 (金) ~ 2009/03/15 (日)公演終了
満足度★★★★
納得
非常に面白かったです。一人ひとりの役者さんがとてもしっかりされていて、地味ではあるけれども底力を感じました。
仁科貴さんがよかったです。
ランディーおじさん
個人企画集団*ガマ発動期
ザ・スズナリ(東京都)
2010/03/12 (金) ~ 2010/03/16 (火)公演終了
満足度★★
だからなんだ
といった感じの芝居でした。役者さんたちは割りとベテランの域の人が多く(単に年齢的に?)それなりに安定したお芝居を見せるのですが、だからなんなんでしょうか?でした。
だれも華ないし。地味な実力派というには少々揉まれていない感じもあります。
ネタバレBOX
佃典彦の脚本は、話の筋がわかりやすく起承転結が明瞭。伝わりやすいし伝えやすいと思います。けど、ツボを押さえている感じで、いくらでも量産できてしまうんだろうな、と思わせるブランド感のなさですね。生涯の名作を産めないで終わりそうな作家さんのニオイです。どちらが良い事なのかは解りませんが。
劇団、役者、芝居そのもの、あまり未来へ開けた展望や将来の野望などを感じさせない芝居でした。
峯の雪
劇団民藝
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2010/06/22 (火) ~ 2010/07/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
ただ、ただ美しい人たち
長塚圭史氏がイギリス留学中に「胎内」をワークショップで選択、そして
翌年には仲代達矢氏が「炎の人」に出演予定、と今もなお古びない
三好十郎。 一体、何がその生命力の源なのか。
前々からその作品を観てみたい、と思っていた矢先に本作。
即決で観ましたが…。
出てくる人たちが皆凛としていますね。 佇まいから、台詞から。
仲代さんもそうなのですが、良い役者は姿を見るとただ「美しい」と
はっとさせられるのですが。 本作は皆「美しい」です。
ネタバレBOX
内藤安彦氏の演じる治平は本当に素晴らしかった。
台詞一つに、無骨でいささか不器用ではあるけど、優しさに満ちた
深みのある性格が出ていて。。 特に、娘のみきに対する複雑な
心情の表現が本当に、なんといってよいのか。
脇を固める人たちも皆レベルの高い演技。
特に新吾役の塩田氏の、きりっとした佇まいも観ててこっちが
背筋がしゃきっとしそうな、良い男っぷりでした。 最後の最後なのに
かなり良いとこもってった、かな。
戦中のいわゆる「戦意高揚モノ」に括られているらしく、三好十郎本人は
この作品を恥じていた、とパンフレットにはあったけど。
世間の片隅でひっそりと、自分のなすべきことを精一杯にやり遂げる。
そういう、なんというか、職種に限らない「人生の職人」達への尊敬と
深い愛情だけが観終わった後は心に焼きつくような作品でした。
それはとりもなおさず、きっと三好十郎本人が職人だからでしょう。
本作品は「戦時中」のものですが、混沌とする情勢の中、
「戦時体制」は今なお厳しく継続中、といわんばかりです。
現在と照らし合わせてみると、恐ろしいほど古くない上に
一つの清冽な生き方を想わされるよう。
この作品は観ないと損ですね。 観終わった後「人生」を考えます。
コクーン歌舞伎「佐倉義民傳」
松竹/Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2010/06/03 (木) ~ 2010/06/27 (日)公演終了
満足度★★★★
良かったです
クライマックスでは涙を誘い、笑える部分も所々に配置してあるバランスの良い作品でした。実はこの話は劇中劇でした、と最後に明かされる演出が効果的でした。
ラップは少し聞き取りにくかったのですが、案外マッチしているように感じました。
総立ちのカーテンコールが4回も続く、良い雰囲気の公演でした。
不滅
鵺的(ぬえてき)
「劇」小劇場(東京都)
2010/06/23 (水) ~ 2010/06/27 (日)公演終了
満足度★★★★
重い話でした
チラシを見て少しシュールなテイストもある作品かと思っていたのですが、登場人物全員が殺人に関わってしまうという、救いのないシリアスな話でした。けど、興味深いテーマで引き込まれました。
話の流れに多少無理を感じました(特に終盤)が、それを補って余りある演技でした。当初まともに見えた人の狂気があらわになっていく様がとても怖く感じました。
最初から最後までホテルのテラスのみを舞台としていたのですが、時間の経過を表すのに暗転&音楽を多用していたのが気になりました。
娯楽性ゼロの硬派な舞台も良いものですね。
恋する剥製
クロムモリブデン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2010/06/22 (火) ~ 2010/07/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
役者さんの名前が全部言える唯一の劇団
今回で、まだ3回目です。「空耳タワー」で、自分が演劇が好きになった原点を思い出させてくれて、勢いでDVDを全部買ってしまいました。で、正直いうと「不躾なQ友」で、ちょっとガッカリした面もあったのですが、今回の「恋する剥製」で再びやられました。こういう〝デタラメ”な感じが大好きです。芝居観に行って、パンフレットを買うのは多分この劇団だけです。役者さんの名前を全部言えるかもしれない唯一の劇団です。それくらい、役者さんのキャラ立ちが見事。・・・で、「評価」は相当バイアスかかってます、きっと。ただし、ラストシーンの「でたらめさ」と「見事さ」は、間違いなくおススメ!
ネタバレBOX
最近見た芝居では、「イキウメ」の舞台装置にうならされたのですが、今回のクロムの舞台芸術は、もはや演劇の枠を超えてましたね。引田天功の世界です・・・いや、むしろデイビッド・カパーフィールドかな・・・
不滅
鵺的(ぬえてき)
「劇」小劇場(東京都)
2010/06/23 (水) ~ 2010/06/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
感染。。。
これは怪作!
前作、「暗黒地帯」に続いての観劇となったが、前作同様、きわめて質の高い舞台であった。
「次から次へと感染する悪意」、「真のサイコパスは誰か?」、「誰の中にもある殺意」など、たいへん深いテーマ性を有していた。
ネタバレBOX
舞台はとある観光地にあるホテルのテラス。
不仲の父親と17歳と思われる娘。
30代半ばのわけありのカップル。
カップルの彼を執拗に追いかける男。
興信所勤務の男。
以上の6人が繰り広げる、悪意の連鎖と、それを断ち切ろうとする善意の攻防。
親子の父親は、自分の不注意で、娘と双子であったもう一人の娘を、パチンコ中に熱中症で失ってしまう。そのことが原因で妻に逃げられ、男手ひとつで娘を育てるが、娘は父親に強い嫌悪感を抱く。また、娘は猫を殺したことをきっかけに、殺人に強い興味を抱く。
カップルの彼は、十数年前に、バスジャックを起こし、乗客6人を次々とかけた次々の惨殺犯。
彼女は、ボランティアをつうじて、彼と知りあい、彼の更正を信じて付き合う。
バスジャック事件で、妻を殺された男はその後の全人生をかけて、彼を執拗に追いかけ、彼のすべてを否定する。
興信所勤務の男は、日々のつまらない生活に満足できず、盗聴を趣味とする。
これら、普通でない人々が出会ったときに起こる惨事を見事に描く。
バスジャック犯の彼は、サイコパス気質で、自らの起こした罪に罪悪感を感じることなく、かつ、何事にも興味を持つことができず、惰性だけで生きる。
そんな彼のことを知った娘は、彼に異様な興味を示し、神格化する。娘は、バスジャック犯の彼と出合ったことで、サイコパス気質を開花させてしまう。
一方、興信所勤務の男は、バスジャック犯の男に、もう一度、世の中を騒然とさせる犯罪を二人で起こそうと持ちかける。自分は人殺しはできないので、プロデューサー役に徹するとの条件で。一見、普通そうに見える、この男にも、サイコパス気質が透けて見える。
しかし、バスジャック犯の男は、この申し出を無碍もなく跳ね除ける。
そんななか、ちょっと絡まれたという理由だけでいとも簡単に、娘はストーカーの男を殺す。
その様子を見た、興信所勤務の男は、バスジャック犯の代わりに、娘を殺人鬼として育てようと決意。
また、娘も、快楽殺人の魅力に取り付かれ、男ととも、行動を共にすることを決意。
バスジャック犯の男は、こうした悪意が次々に感染することを防ぐために、娘を殺そうと試みるが、十数年経過したことで、昔のように無意味に人を殺すことができなくなっていた。
この日をきっかけに、興信所の男と娘、バスジャック犯の男は、姿を消す。。。
そして、1年後、残された父親と、バスジャック犯の恋人は何者かに呼び出される。
そして、現場に現れたのは、興信所の男で、巷で話題の連続殺人は、自分とその協力者がプロデューサーとなり、実行犯は娘である。また、バスジャック犯の男は、その犯罪をやめさせることが目的なのだろうか、協力者を次々に殺し回っている厄介者だと、二人に告げる。
そのことを聞いた二人は、これ以上の連鎖を断ち切るために、興信所の男を殺すことを決意。一見、殺意から最も遠いところにいた二人が殺人を犯すという悪意の連鎖はやはり感染を繰り返し。。。
以上のように、悪意は次から次への疫病のように感染を繰り返す。しかし、悪意には、それぞれ意味があり、善意から発出されるものもあることが提示される。
また、登場人物6人の行動の必然性を作家はうまく表現することで、単なるスプラッター作品に終わらせることなく、人間の罪と罰を我々に問うている。
本作は紛れもなく、名作と言えよう。
電車は血で走る(再演)
劇団鹿殺し
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2010/06/18 (金) ~ 2010/07/04 (日)公演終了
満足度★★★★
電車は「思い」で走る
本劇団所見で、正直「電車は血で走る」っていうタイトルに若干得体の
知れないモノを感じ気味だったんですけど、終演時には少々泣きつつも
晴れ晴れとした気持ちの自分がいました。
あらゆる迷いと悩みを吹き飛ばして、未来を前向きに見られるような、
そんな「パワフルで優しい」作品だと感じました。いや、劇中劇は
ぶっ飛んでるんだけど(笑
ネタバレBOX
鉄彦を乗せてきた電車が楽団で構成されているのが、本作タイトルも
相まって象徴的でした。 人々の、それぞれの「思い」が形になって
電車を走らせているし、電車は人々が思わなければ、願わなければ
走る事が出来ない、のだと思う。
終盤、虎川にいいように弄ばれていたのに気がついたフルシアンテが
鉄彦に向って、
「他の人の人生だもん…僕がどうこうすることは出来ない」
「でも、どうすることも出来ないのが悔しくって…」
「僕にはこれしか書けないんだもん!!!!」
と独白するところで、危うく号泣するところだった。 アレはヤバい。
何でもいいからとにかくひたむきに打ち込んだ人は、あれは本気で
心に響くと思う。 私の後ろの席の人も泣いてましたね。。。
子供のように純真で、レッチリのように渋くて熱い奴らの、体を張った
抒情スペクタクル。 堪能させて頂きました。
余談ながら、男前田ドクロをはじめとした、宝塚奇人歌劇団の面々の
毎回の大立ち回りが、なんか良く分かんないけど猛烈に決まってて
カッコ良過ぎ!!!
恋する剥製
クロムモリブデン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2010/06/22 (火) ~ 2010/07/04 (日)公演終了
小屋を駆け抜ける音響
劇団初見。演出のセンスが素敵。PAの充実ぶりは、超小劇場級。