峯の雪 公演情報 劇団民藝「峯の雪」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ただ、ただ美しい人たち
    長塚圭史氏がイギリス留学中に「胎内」をワークショップで選択、そして
    翌年には仲代達矢氏が「炎の人」に出演予定、と今もなお古びない
    三好十郎。 一体、何がその生命力の源なのか。

    前々からその作品を観てみたい、と思っていた矢先に本作。
    即決で観ましたが…。

    出てくる人たちが皆凛としていますね。 佇まいから、台詞から。
    仲代さんもそうなのですが、良い役者は姿を見るとただ「美しい」と
    はっとさせられるのですが。 本作は皆「美しい」です。

    ネタバレBOX

    内藤安彦氏の演じる治平は本当に素晴らしかった。
    台詞一つに、無骨でいささか不器用ではあるけど、優しさに満ちた
    深みのある性格が出ていて。。 特に、娘のみきに対する複雑な
    心情の表現が本当に、なんといってよいのか。

    脇を固める人たちも皆レベルの高い演技。
    特に新吾役の塩田氏の、きりっとした佇まいも観ててこっちが
    背筋がしゃきっとしそうな、良い男っぷりでした。 最後の最後なのに
    かなり良いとこもってった、かな。

    戦中のいわゆる「戦意高揚モノ」に括られているらしく、三好十郎本人は
    この作品を恥じていた、とパンフレットにはあったけど。

    世間の片隅でひっそりと、自分のなすべきことを精一杯にやり遂げる。
    そういう、なんというか、職種に限らない「人生の職人」達への尊敬と
    深い愛情だけが観終わった後は心に焼きつくような作品でした。
    それはとりもなおさず、きっと三好十郎本人が職人だからでしょう。

    本作品は「戦時中」のものですが、混沌とする情勢の中、
    「戦時体制」は今なお厳しく継続中、といわんばかりです。
    現在と照らし合わせてみると、恐ろしいほど古くない上に
    一つの清冽な生き方を想わされるよう。

    この作品は観ないと損ですね。 観終わった後「人生」を考えます。

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    2010/06/26 10:47

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