最新の観てきた!クチコミ一覧

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壁裏ジェンガ

壁裏ジェンガ

演劇創作館 椿楼

ぽんプラザホール(福岡県)

2010/10/02 (土) ~ 2010/10/03 (日)公演終了

いいたいことはわかる
脚本が意図してることはびんびん伝わってくるし、
ベタに人間性に訴える作品で私には結構真実味があった。
舞台への乗せ方として、コロスを使ったりなど
演劇的な手法に長けていたと思う。
一般観客はどう思ったかはまた別です。
導入がもたもただったのがもう少しかな。
でも後半の展開は大変引き込まれました。
高橋氏はうわさに違わず突出していてちょっと驚き。
鶴田さんの脚本・演出は予想よりかなりよかった。

ネタバレBOX

値段があまりに安すぎて、逆にひいてしまう。
学生演劇ではないのだからもう少しあげてもいいかな。
安かろう、悪かろうでは逆効果だと思う。
4-doors

4-doors

サマカト

シアターシャイン(東京都)

2010/09/29 (水) ~ 2010/10/03 (日)公演終了

満足度★★★

結構いい
4つの短編会話劇。妙にこだわりがあったり、シュールだったり、切なかったり、軽いようでいて、身につまされたり。全部で1時間とちょっと。午後のひとときを楽しませてもらいました。

箱入り彼女博覧会

箱入り彼女博覧会

NICE STALKER

ギャラリーLE DECO(東京都)

2010/09/29 (水) ~ 2010/10/03 (日)公演終了

満足度★★★

ちょっと恥ずかしい
オジサンにはちょっと恥ずかしいものでしたね。そこそこおもしろいのだけど、アキバ系のノリなのでしょうか、あまり入り込めませんでした。残念。

壁裏ジェンガ

壁裏ジェンガ

演劇創作館 椿楼

ぽんプラザホール(福岡県)

2010/10/02 (土) ~ 2010/10/03 (日)公演終了

満足度

もっと立ててよぉ
登場人物のほとんどにリアリティを感じず、魅力に欠ける舞台だった。
人物の行動や言葉使い、また物語の展開が、作者自身の素養らしきものを飛び越えることなく一辺倒で。
本人を直接知ってるわけじゃないけど、マンガとかアニメとか二次元の影響のほうが強いんだろうなと思わせるような仕上がりになっていた。若い。
もっとナマの持つ力を知り、人間としての厚みを持つべきだ。

ネタバレBOX

幼なじみでもある野球部のバッテリーが「些細なこと」で仲違いし、一人は「記憶の壁裏」とやらに引き込まれ失踪してしまう。22年後、その行方を、こっちの世界に残った片割れの息子とその友人、そして当時の想い人を含めた3人で追いかけていくという内容。

まとめてみればなんのこっちゃないシンプルな話なのだけど、やたらと差し込まれる場転や、遠回しなだけで核心のぼやけた会話、効果として成立していたのかどうか怪しいテキストのみのオープニング映像&どこかで見たような振り付けばかりをサンプリングした奇妙なダンスetc…がどんどん物語を見失わせていく。
結末に関してはもう僕の理解の範疇を超えているので触れないでおこう…
ただあそこでジェンガを強調するからには相当ひねくれた狙いがあってのことでない限り、観客を見くびっていることになりかねないので要注意。

あとは仲違いの原因が本当に「些細なこと」すぎて、もう、残念。どんだけメンタル弱いんだよと。今どきのゆとり教育世代ならまだしも、22年前、昭和生まれの世代の話でしょ。もっとガッツあったと思うんだけどなぁ。
他に2つ3つくらいは如何ともしがたい理由が重なってなきゃ、自分の未来やなにもかもを捨ててまで「あっちの世界」に取り込まれるには至らないのではないだろうか。
絶望ってここまで希薄なものなんだろうか。自分の話を挟むのもどうかと思うがまだまだ酷い目にいくつも合ってきましたよこの三十男めは。このお話の彼のレベルで良いならば8歳の頃には「あっちの世界」に行ってたさ。

…話を戻そ。
作品の構成上、終盤には成長したバッテリーの片割れが登場するんだけど、
これを演じる団長氏がナルシシズム全開で鼻について仕方なかった。
22年前の同人物を演じていた岡本氏の役作りをガン無視して、クール一徹なデジタル人間に豹変。これにより失踪事件を当事者達がどう捉えていたのかについて意味合いが全く変わってしまう。
「あ、結局のところ凄いヤな奴だったんだ」と解釈した人も多いんじゃないか?
そう思われたらあの登場シーンでは作品的に困ると思うんだけどなぁ…
(ここで出た「ファンタジー」発言もそれまでの物語をぶち壊しにしていたと思うんだけどこれは脚本なのかアドリブなのか分からないので置いておく)
(同じく「成長後」を演じる想い人役の大森さんはそれなりに説得力のある作り方だった。そもそも22年前の同人物があまり明確に描かれてないせいもあるけど)

その後のキャッチボールシーンは「俺、野球できますよ」感アリアリの所作をアピールしまくり、イケてる風のセリフだけをやたら張り上げたり(言い終えたあとのしたり顔もやめた方がいい)で、良く言えば抑制が効いていた周りの役者たちとの温度差がどんどん開いていく。
これはある種のデウス・エクス・マキナを狙っていたのだろうか。

話はさらにカーテンコールにも及ぶのだけど、あの並びはどう考えてもおかしかった。
最前面に出るべきはずの鶴田氏(作・演出)が、後列に追いやられ喋り難そうにMCしていたのが印象的。
彼が本来いるべき場所に陣取っているのは、やはりというか、団長氏。
もうちょっと、彼のこと、立ててあげても良いんじゃなかろうか。


さ、言いたいこと言っちゃったぞ。
同様に言いたいこと言われる覚悟も完了だ。無論、芝居の話に限る。
美しい手

美しい手

スポンジ

サンモールスタジオ(東京都)

2010/09/23 (木) ~ 2010/09/27 (月)公演終了

うまく入り込めなかったのか…
観ているときは何だか淡々と眺めてしまって、個人的には何だか心に響いて残るものがなかったのですが、観劇したあとで思いを巡らせると、何かが見えてくるのかなぁと思ったり。あと、舞台美術すごかったです。

「Floor in Attic 屋根裏の床を掻き毟る男たち」ご来場ありがとうございました!

「Floor in Attic 屋根裏の床を掻き毟る男たち」ご来場ありがとうございました!

演戯団コリペ

タイニイアリス(東京都)

2010/10/02 (土) ~ 2010/10/04 (月)公演終了

字幕なし
ということを会場に行ってみて初めて知る。
確かにあらすじを読んでいればキーとなる展開は把握できるのだが、独白のようなセリフもかなりあり、何も解らずボーッと観ている時間が多かったので、なんで字幕がなかったのかがよくわからなかった。演出上の都合と言うよりも技術の問題?セリフの速度が速かったし。
というか字幕がないならないでもかまわないのだが、そのことを予めきちんと明記しておかないのはどうだろうか。招待ならまだしも、お金を払って観ている方に不親切。それともこちらが見逃しているだけ?

そういう日本上演の際の不備は置いといて作品自体だけを観ると、とても面白い舞台だった。日韓合作は何度か観たが、韓国の現代演劇の公演は初めてだったのでナマの韓国の感覚が知れて新鮮。四人が置かれた汚らしいうだうだ状況からの反動パワー、ハチャメチャ加減は大変気持ちがよく笑わされた。
観ているだけで面白いシーンが多かったのは事実だが、やっぱり意味もちゃんと解った上で観たかった。なぜ字幕がなかったのか。

やわらかいヒビ

やわらかいヒビ

カムヰヤッセン

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2010/10/01 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★

表現したいものは深い
未来を表現するも、人間臭さを残していて良かったです。
初見ながら、いい作品を見せてもらいました。

千羽鶴

千羽鶴

演劇ユニットG.com

BAR COREDO(東京都)

2010/09/25 (土) ~ 2010/10/03 (日)公演終了

文学作品を見事に立体化!
濃密な空間に仕上がっておりました。文学作品というと何だか淡々としたものを想像してしまうのですが、とても熱量があり、演出の工夫もたくさん見られて、ギュッと引き締まった120分でした。一人が語りの手法によってか、物語の空気が途切れなかったので、体感としては90分ぐらいじゃないかと思うほどでした。お見事!

底抜けカンガルー

底抜けカンガルー

ぬいぐるみハンター

参宮橋TRANCE MISSION(東京都)

2010/09/23 (木) ~ 2010/09/27 (月)公演終了

ゆるさがおもしろい
適当な感じの発展性のない会話のやりとりがおもしろい。どんなに丁寧に話しても理解してくれない人を自分が相手したらきっと無理だろうけど、傍から見てる分には(笑)
最後まで何の伏線もなく話がただただ流れていくので、引っ掛かりが途中に散りばめられていたらよかったかもと思いました。

リリーの方程式

リリーの方程式

9-States

OFF OFFシアター(東京都)

2010/09/15 (水) ~ 2010/09/20 (月)公演終了

複数の脚本家による…
オムニバスでいろんな話を楽しめた部分もありつつ、しかしながら上演時間が長く、暗転も多いので、そろそろ終わりかなと思ってもまだ続くというのが繰り返されると、ちょっと辛かったです。
すべてにリリーが関わってくる点で、村上龍の『走れタカハシ』を思いだしました。

レストランじゃないっ!!!【終了いたしました。ご来場ありがとうございました!!!】

レストランじゃないっ!!!【終了いたしました。ご来場ありがとうございました!!!】

コメディユニット磯川家

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2010/09/23 (木) ~ 2010/09/26 (日)公演終了

頭は空っぽで
何を期待するでもなくただ笑って楽しみたいと思って足を運んだら、きっとたくさんの笑いを届けてくれる劇団。
初見でしたが、非常に楽しむことができました。

『笹の音の小夜曲~セレナータ~』

『笹の音の小夜曲~セレナータ~』

劇団40CARAT 【第36回公演『ダーリン×ダーリン×ダーリン』9月15日[金]~9月17日[日]阿佐ヶ谷アルシェ】

シアター風姿花伝(東京都)

2010/09/17 (金) ~ 2010/09/19 (日)公演終了

足場が欲しい
アングラな雰囲気が作品のベースとしてある思うのですが、ダンスとか他のものを混ぜるとそれが不協和音となり、それが効果的ならよかったのですが、邪魔しているような印象を受けました。
あと、俳優全員にその世界観を作り上げる力がないと、舞台に乗せるのは難しい作品だと感じました。

箱入り彼女博覧会

箱入り彼女博覧会

NICE STALKER

ギャラリーLE DECO(東京都)

2010/09/29 (水) ~ 2010/10/03 (日)公演終了

バカになってしまいました
それも、思いっきり。5人のメールアドレスを買わせていただきました。そこまで含めて、初めてあの芝居が完結するのではないかと思ったもので(まだ、確認メールしかもらっていないので、実態はわかりませんが)。会場に入った瞬間から芝居が始まっているような、演劇のショートショート集を観るような、若手お笑い芸人のコントライブを観るような、新幹線には成れなくてもディズニーリゾートラインには成りえるような、ズバリ言えば……ズバリ表現出来ないような、そんな“ようなような感”を満喫しました。私的には“全然有り”です。

ネタバレBOX

最初の、販売員のお姉さんの商品番号の説明がお気に入り!
鬼灯町鬼灯通り三丁目

鬼灯町鬼灯通り三丁目

トム・プロジェクト

赤坂RED/THEATER(東京都)

2010/09/28 (火) ~ 2010/10/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

それぞれの想い
セットは相変わらずのケレン味溢れる東ワールド。舞台の庭満面に咲き乱れる鬼灯の群生。ここは戦後間もない、昭和21年。多くの引き揚げ者であふれていた博多の街。鬼灯町鬼灯通り三丁目。そこには空襲を免れた一軒の家が建っていた。東の出身地である福岡を舞台に、自分の過去や社会に対して傷を持つ者たちが、その出来事に対面し、それでも生きていくという普遍的なテーマを描く。
富樫真の演技が光る物語。


以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

復員してきた松尾大吉が妻・弥生の元に帰ると、そこには二人の女・番場と小梅が居候していた。弥生たちは大吉が死んだものと思い込み、既に葬式も済ませていた。さらに弥生が本当に待っていたのは戦争のどさくさで結婚してしまった大吉ではなく、番場の息子・裕介だったことが判明する。

鬼灯に囲まれたその家で、大吉、弥生、番場、小梅はそれぞれの思いを抱えながら共同生活を始めるのだった…。

大吉が帰還したことで縁起が良いと近隣から物資を頂き、「奇跡だ」と崇められ町内会報にも載った大吉。これを利用して金儲けを思いついた番場、小梅に載せられるように「奇跡の男のお守り」の行商をすることになった4人は強かに稼ぐ一方で、祐介を待ちわびる弥生の発狂寸前なまでに病んだ神経と番場の悲壮なまでの胸のうちが物悲しい。

一方でそんな弥生に嫌われ蔑まれても、弥生を愛して止まない大吉の心も痛々しい。そうしてそんな大吉を受け入れるように関係してしまう元女郎の小梅。

そんな4人を取り囲むように橙色の鬼灯の謂れは鬼灯の実を堕胎に使っていたという言い伝えと、墓のないちっちゃい鬼が鬼灯を提灯にしてクリクリクリーーと自分の墓を見つける為に使うという言い伝えを絡ませながら、蛍が鬼灯に入って光らせる小さな提灯を思わせる演出は美しく幽玄の世界だ。

絶対に帰ってくると信じて祐介を待ちわびる弥生、本当は祐介の戦死を知る番場と小梅。一方でそれらの本当の真実を知ってしまった大吉ら、それぞれの心の葛藤に焦点をあてて描写したこの物語はみんなが不幸だけれど、幸せだ。それぞれが思いやり、特に大吉が吐くセリフ「弥生、祐介さんは、お前の祐介さんはぜったいに帰ってくる。ぜったいに帰ってくるんじゃー!」と言って奇跡の男・大吉が泣くシーンはまるで「泣いた赤鬼」のような情景だ。やっぱり泣けた。

終盤、弥生が井戸に落ちるシーンとその後の4人で暮らす展開はワタクシ達に希望を与える作品だったと思う。
悪魔の絵本

悪魔の絵本

Theatre Polyphonic

サンモールスタジオ(東京都)

2010/10/01 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★★★

悪魔の絵本は本当に悪魔?
文学と縁の無い私には敷居が高いのではないかと尻込みした気持ちでを初日を観てきました。

ネタバレBOX

文学と縁の無い私には敷居が高いのではないかと尻込みした気持ちでを初日を観てきました。大衆演劇しか見た事のない私には 初めは違和感を覚えましたが 役者さん達の迫力のある演技力と素晴らしい演出に圧倒され 次第に自分もこのファクトリーに住んでいて以前から瀬田という男の事を知っている人間の一人なのではないかと思える程この舞台に入り込んでしまいました。一夜明けて昨夜から瀬田という男をズーット引きずっている自分がいました。もう一度観てみなくてはイケナイと思いました!何故なら初めは嫌な男だと思っていた瀬田という人間が一夜明けると(遅すぎ) その思いは変化し なんて優しくてピュアで素敵な男性だったのだろうかと気がついたのです…もう一回観ます! 最後の場面!瀬田をもう一度理解するためにも。
ファイナル ウィーク

ファイナル ウィーク

遊々団★ヴェール

SPACE107(東京都)

2010/09/29 (水) ~ 2010/10/03 (日)公演終了

満足度★★★★

うぅ・・・参った。
笑いを求める劇団じゃないんですか?ここ。

思いっきり泣いてしまいましたよ。
ほんと、ほぼ号泣に近い形で。

参った参った。

ネタバレBOX

結局終わり良ければ全て良しですよね。

途中なんとなくだらけてる感じがあり思わずウトウトしてしまったのですが、ラストに向けての感動劇には久しぶりの号泣を味わってしまいました。ハンカチが出せない芝居中の出来事だったので、服のソデで拭きまくり、芝居が終わる頃にはソデがびそびそになってました。

女の子のモーレツなパンチラが頭から離れません。
まったく困ったものです。

音の使い方や照明の使い方が効果的でとても良かったです。

常連の方々が多く来ていたようで、コンスタントに実力を発揮しているんだなぁと思いました。
表に出ろいっ!

表に出ろいっ!

NODA・MAP

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2010/09/05 (日) ~ 2010/09/28 (火)公演終了

満足度★★★★

みたよー
まず、野田さんと勘三郎さんを間近でみれたことに感謝。勘三郎さんのマックCМも好きだが、やはり生はいい。

お二人とも舞台上で、まじめに遊んでました。これからも、このカップル?には期待です。雨にも関わらず、当日券待ちの列。その光景だけでも観劇テンションがあがります。楽しかった。


それにしても娘役の美貌がウラヤマシイ・・・。

ネタバレBOX

ゲキバカの「ワイルドターキー」を観た後の観劇だったため、より楽しめましたwwww野田さんは元気でした。
Root Beers-ルートビアーズ-

Root Beers-ルートビアーズ-

劇団東京ヴォードヴィルショー

ザ・ポケット(東京都)

2010/09/29 (水) ~ 2010/10/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

ギラギラした中に一筋の優しさ
これが東京ヴォードヴィルショー? と思わず言ってしまうほどのハードなタッチだったが、とにかくストーリーが面白いし、何よりキャストのなりきり方が素晴らしい。
130分の上演時間だったが、集中して観ることができ、とても楽しめた。

ネタバレBOX

一見すると、こんなに登場人物が次から次へと出てきて、なんとなくがちゃがゃっしてくるのだが、それが魅力的に活きてくるのだ。「がちゃがちゃ」ではなく「ギラギラ」しているのだ。

生命力溢れるこのホテルの様子が見事に切り取られたと言っていいだろう。
ギラギラした中で、強引にでもまとめていく演出の腕の確かさ(強引さ?)を感じた。

登場人物は、どれも魅力的だ。
特に、欽次を演じた、まいど豊さんの、2面性の表現は抜群で、狂犬のようなヤクザと妹思いの兄との差は素晴らしいと思った。
東京ヴォードヴィルショーの本公演では、超個性派揃いの古参勢の中にあって、渋い役どころしか見ていなかっただけに、その姿には新鮮さを見た。

また、ホテルのオーナー、ジャスミンを演じた高山奈央子さんの、押し出すような迫力と、韓国語を基調にしつつ、英語と、カタコトの日本語の台詞がうまく、実在感を感じた。
さらに、韓国人の姉弟(金澤貴子さん・黒川薫さん)の2人も、ほぼ韓国語だけの台詞ながら、姉弟の感情を細やかに表現し、実際には何を言っているのかわからないが、その情感はしっかりと伝わり、ぐっときた。
観客に言葉の内容を伝えたりせずに、その雰囲気と勢いを壊すことなく(字幕や誰かが訳したりすると勢いが削がれるのだ)、あえて韓国語だけで通した演出には拍手を送りたい。

そして、ヒバリに心を寄せるヤクザを演じた植田裕一さんも、不器用だけど、誠実な男を演じ、印象に残った。

本間剛さんも、「自分の持っているものは何でも大切にしないと」なんていう憎い台詞があったり、チルを演じた芹沢秀明さんも、欽次に対する友情以上の強い絆を感じさせたりと、他の役者さんたちも、誰もが、印象に深く残る、濃さが素晴らしいと思った。

KAKUTAの持つ、人間への洞察(時には辛いほどの)、生きることの厳しさと、東京ヴォードヴィルショーが持っている、人間の弱さと強さのようなものが見事にミックスされて、素晴らしい作品になったのだろう。

また、ルードビアーを飲んで欽次がもとに戻ったと、観客の誰もが思っていた中で、実はそれはウソだったということがわかるラストも粋だと思った。

「性分」というキーワードが出てきたが、欽次のヤクザなところは、ある意味優しさと不器用さであった。
一緒に住んでいたときに妹には優しくできなかったのは、それの現れであったのだろう。

その優しさを知っているからこそ、古い知り合いであるチルは、仕事の前に妹の死を伝えるのだ。欽次が想いを残さずに、暗殺に向かうことができるように。
それがチルの友人としての優しさだったのかもしれない。

また、弟のために働きに出るヒバリと、どんな仕事だかわからないのだが、不安を抱え、それを健気に表に出そうとしなかった弟、そして姉弟が互いを思いやる姿には涙を禁じ得なかった。

ラストで、欽次は、妹がこの世にいないということを知り、自分が守るべき者は、自分を慕う子分たちということと割り切り、彼らのために、もとの自分を演じて死地に向かうという姿、つまり、それがその場所にいる全員への「優しさ」であったというところが、まさに任侠の世界だったと思う。
欽次は、自らの運命に従うのではなく、自から選択したということなのだ。

東京ヴォードヴィルショー(京極圭プロデュース)+KAKUTAは、とても面白かった。是非またこの組み合わせを見たいと思った。


そう言えば、ルードビアーって飲んだことないなぁ。
ひとり語り@無垢里

ひとり語り@無垢里

林英世

暮らしの工房&ギャラリー無垢里(東京都)

2010/09/30 (木) ~ 2010/10/28 (木)公演終了

満足度★★★★

『語り』とは
お手製の黒いシンプルなワンピースで登場した英世さんは、
M.O.P.の大きいステージで観たかたと同じだとは思えないほど小さくて、
でもその小ささとは裏腹な存在感。
会場が素敵な古民家だったことと、雨模様だったこともあいまって、
なんだかものすごい公演(空間・時間)でした。

勉強不足で話をよく知らずに行ったのだけれど、
物語を語られているというよりは、
情景を見せつけられている(想像させられる)というか、
だから終わった後、逆に、活字で読んでみたくなりました。

悪魔の絵本

悪魔の絵本

Theatre Polyphonic

サンモールスタジオ(東京都)

2010/10/01 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★★★

一言で素晴らしい!それだけ
個人的にDULL-COLORED POPの谷賢一の本は好きだ。彼の描く主人公には必ずといっていいほどの精神の歪みが存在する。しかしその歪みは他者に攻撃する歪みではなく、いつも内向きだと感じる。自らを責めて屈折して歪む。だからストイックまでの歪み具合の描写は観ているこちら側の感受性をを大いに打ち鳴らすのだ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

セットが素敵だ。合わせて椅子の配置も中々いい。今回の音楽は生西谷国登のバイオリン。やはり生の音楽は美しい。

粗筋は説明に細かく載っているのでかいつまんで。
編集者川田希が「ファクトリー」で作家・瀬田賢二の遺稿を読みながらかつての瀬田と関わりのあった人たちから瀬田との様子を取材し瀬田賢二を描写していく物語。

川田希役の市井紗耶香が緊張していたのか、セリフが聞き取れない部分があって、それがひじょうに惜しい。スピーディにしゃべりまくる役なのだろうか?もっときちんと話しても充分に雰囲気を損なわないような気がするのだが・・。


瀬田賢二には尽くしてくれる恋人が居たが、井佐原茉莉との奇妙な出会いと、茉莉が壁に描いた絵を見た瞬間に恋に落ちてしまった瀬田は以前の恋人と別れる決心をする。茉莉との出会いがなければ作家としても人間としても狂わなかった人生なのだが、茉莉と過ごした生活は瀬田にとって生きてる実感と充実した日々だったのだ。

茉莉が冷蔵庫から首だけ出す情景はドキッとして、ウギャーーー!!と絶叫しそうだった。貞子の到来かと思ったほど。笑
それにしても、岡田あがさには圧倒される。エキゾチックで確かな存在感のある女優だと思う。素晴らしい!

茉莉の過去も描写しながら、DULL-COLORED POPでかつて公演した「小部屋の中のマリー」を登場させる脚本は、その公演を観ているワタクシにとってはあの時の情景も思い出され、それらとリンクさせながら観る事が出来るのだから、より深く感じるところはある。

瀬田は茉莉に出会ってから今までの作風と一変し茉莉の絵を取り込んだ絵本作家となるも、彼女の才能をもっと開花しようと焦ったうえに、茉莉に対しても描くということに強制的になってしまう。そして親友の織田(瀬田の出版を担当)を信頼し、茉莉の海外進出の手助け兼、同行を頼むも、いつしか茉莉と織田が男女の関係になってしまうのだった。

それを知った瀬田は茉莉との共同合作の絵本「小部屋の中のマリー」の最後の行、「そしてマリーは幸せに暮らしました。」を「その後、マリーは何処へ行ったのか誰にも解りませんでした。」に書き直して出版してしまう。それは茉莉との永遠の別れを意味するものだった。それというのも茉莉との合作の絵本には魔力のようなものがあり、絵本で描いた物語がそのまま本当の物語として現実に起こってしまう力があったのだ。そのまま「悪魔の絵本」だ。

やがて茉莉は行方不明になり、瀬田は、右で字を書くことが出来ない疾病症(鬱病)になり苦悩し屈折し、六万枚の未発表原稿を残して、失踪する。失踪する直前の瀬田の病んだ演技が素晴らしい。大絶賛!



好みの作風だった。序盤撒かれた伏線をきっちり回収し、謎共々すっきりさせ、終盤、「雲の上に隠した大切な宝物」として茉莉が描くべき絵の部分を白紙にしておく隙間が素敵だった。やがて茉莉は登場するのだが、茉莉に吐かせるセリフも素敵だ。
田村真の迫真の演技にも魅了されたが、勿論、他のキャストらの演技力にも震えた舞台だった。
ああ、舞台って素晴らしい!

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