最新の観てきた!クチコミ一覧

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エンジェルス・イン・アメリカ【兵庫公演中止】

エンジェルス・イン・アメリカ【兵庫公演中止】

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2023/04/18 (火) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

第一部を観て、その数日後に第二部を観る予定が急用のために行けなくなって、そのチケットは知人に譲り、あまり時間が開かないうちに第二部をと思いつつも色々用事が入って、結局2週間以上経ってから当日Z席を購入して観てきた。

休憩2回込みで3時間半だった第一部だが、第二部は90分+65分+55分に休憩15分が2回の4時間。第一部は二幕がちょっと物足りなく感じたが、今日の第二部はずっと見入ってしまった。Z席は手摺りが目に入るのは仕方ないとはいえ、当初不安だった見切れとかもなく、新橋辺りにある劇場の三階左右席に比べれば充分な良席で、この値段でこんな凄い舞台を観ちゃっていいのかと少々申し訳ない気分にも。

人魂を届けに

人魂を届けに

イキウメ

シアタートラム(東京都)

2023/05/16 (火) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

正直、自分はこの作家を過小評価していた。今作でやっと思い知る。こんな脚本、他に一体誰が書ける?とんでもない才能に興奮。ラストの着地点なんかに不満は湧くが、それにしても参った。この令和のふざけた時代、安居酒屋で膝詰めでドストエフスキー本人から語り掛けられるような夜。ベロンベロンに酔わされた帰り道。とにかく上手く言い表せないが、こんな作品を世界は欲している。

今作に一番近い作品は黒沢清の『カリスマ』だろう。“カリスマ”と呼ばれる一本の樹を巡る顛末で天皇制と日本社会を戯画化してみせた。もし今作を黒沢清が撮ることがあるならばモノクロでやって欲しい。役所広司の一人芝居でも良い。出来ればタルコフスキーに巨額な資金を提供して、『ストーカー』のように撮って貰いたい。一切の説明を排して。全く訳が分からないが皆平伏すような映画になる筈。

この世界のルールは人の数だけそれぞれに存在する。他人の解決法を幾ら熱心に学んでも、実は何にもならない。自分の世界の解決法を見付けることができるのは自分自身だけなのだから。

皆の“お母さん”である森のキャッチャー〈捕える人〉、山鳥さんこと篠井(ささい)英介氏が満場一致のMVP。美輪明宏のヴォイス、草笛光子のような表情、加藤登紀子のような強さ。彼を観る為だけに足を運ぶ価値はある。必見。

開演してすぐ地震があったのが残念、そこは集中できなかった。

「寒い、寂しい、お母さん・・・。」

ネタバレBOX

冒頭、浜田信也氏が山小屋の中で話を始める。床で毛布を被り寝そべった男達がそれを聞く。「ビルとビルの狭い路地裏で男が一方的に暴力を振るっている。酷い暴力だ。それを目撃した者、例えば君が警察に通報しようとする。気付いた男がやって来て、『友人同士の喧嘩なんだがちょっとやり過ぎちゃったようだ』と一万円札を無理矢理握らせて去っていく。目撃した君は金を返すことも出来ず、通報することも出来ない。ぼんやりとした嫌な感覚、胸の奥の収まりのつかない空白。」「その金の分、君は魂を売り渡してしまったって事だ。」
この会話から今作における“魂”についての定義がおおよそ伝わってくる。自分が自分のものだと認識している領域。

死刑執行された政治犯、絞首台の床が抜けて吊られる。その瞬間、汚物のようなナマコのような黒い物体が落下する。ゴミとして捨てられたそれを拾った刑務官・安井順平氏。何となく箱に入れて保存する。夜が更けるとその物体は人の頭にテレパシーで訴え掛ける。
「寒い、寂しい、お母さん・・・。」
この死刑囚の謎の遺留品を届けに行くことになった安井順平氏。生前、死刑囚が“お母さん”と慕っていた山鳥さんの住む山奥の深い森へと。

「人の世の旅路の半ば、ふと気がつくと、俺は真っ直ぐな道を見失い、暗い森に迷い込んでいた。」
ダンテ『神曲−地獄篇−』

物語が進むにつれ、この山奥の森とは精神的な比喩であることが分かってくる。社会不適合者、脱落者、落伍者、犯罪者予備軍、自殺志願者・・・、精神の森で行き詰まった遭難者を温かく受け入れてくれる山小屋、“お母さん”。そこに至った者達は現実社会に復帰するも、社会を不安に陥れる“事件”を多発。到頭、公安が介入する事態に。“お母さん”の目的は何なのか?

公安の盛隆二氏は松重豊の有田哲平風味。物語の進行を担う。ゴッホゴホ咳き込む。
大窪人衛(ひとえ)氏の発する違和感は唯一無二。
藤原季節氏を「た組。」以外の舞台で初めて観た。普通に良い俳優。
主人公、刑務官の安井順平氏の歩き方が気になった。右膝を痛めている筈が、右から歩き出したり左から歩き出したり。記憶のシーンでは普通にスタスタ歩く。思い出すのは青山真治のデビュー作、『Helpless』。1989年の日本を数々の隠喩で表現。右腕を失ったヤクザは昭和天皇の崩御を示していたり、蓮實重彦一派のメタファー大会。(当時はこういう作品が大嫌いだった)。変に勘繰ると右脚、左脚、意味があるのかも知れない。若しくは全くないのかも。

森友学園問題で自殺に追い込まれた財務局職員・赤木俊夫氏を連想させるエピソードがある。今作では、彼の恋人は男性だった為に社会的には無視された。その怨念。

安井順平氏の息子は旅行先で行方不明に。妻は精神を病み手帳に詩を書き殴る。その詩に興味を持った安井順平氏、盗み読むとその悲しみの旋律に震える程の感動を覚える。地域のコンクールに勝手に応募。優秀賞と商品券3万円分が送られてくる。喜ぶかと思った妻は荷物をまとめて出て行った。「返して、私の魂を返して。」

奇跡とは何なのか?偶然と必然の境目は何処にあるのか?因果律を果たして素直に受け取っていいものか?他人が押し付けてくるものは全て根拠のない嘘だ。自分の世界のルールは自分にしか解読出来ない。きっと良い答えが導き出せるように願っている。そんな話。
梅子の梅根性

梅子の梅根性

劇団未来

東大阪市文化創造館・小ホール(大阪府)

2023/05/26 (金) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/05/26 (金) 19:00

津田梅子(肉戸恵美さんの演技がいい)の生き生き感、生き様が伝わるいい作品で楽しく観劇しました。書き下ろし作品ですが、しまよしみちさん演出はテンポがよく2時間20分(休憩含む)あっという間でした。周囲の人々を振り回す人間らしさ、津田梅子と下田歌子(華族女学校学監・池田佳菜子さん)のやり取り(日米文化の落差)は思わず笑ってしまいました。お世話になり亡くなつた人々が梅子の横を通りすぎる演出は周りの人々の支援に支えられた梅子の存在が浮か上がります。
また、文化庁芸術祭優秀賞「パレードを待ちながら」再演決定は嬉しく思います。

ネタバレBOX

留学生仲間で話していた日常英会話を舞台上理解しやすくする日本語会話への切り替えの工夫もいい。後半、女子英語塾が設立されてからの出来事(塾生神近市子、山川菊栄、後の2代塾長になる星野あいの登場、スペイン風邪流行、関東大震災そして梅の死)、両親の理解、伊藤博文・黒田清隆・大山巌の歴史上の人物との関わり、アメリカの様々な協力者、梅の波乱万丈の生涯、津田梅子を少しだけでも理解することができた。
其の女

其の女

Nana Produce

小劇場B1(東京都)

2023/05/24 (水) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

一人芝居を淀みなく緊張感たっぷりに、時折笑い声が漏れる。80分間テンポよく緩急の効いた珠玉の舞台。渋谷はるかさんの一人芝居をライフワークとして今後もシリーズ化してほしい。

『クロノス・ビギンズ』『あしたあなたあいたい』

『クロノス・ビギンズ』『あしたあなたあいたい』

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2023/05/20 (土) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/05/27 (土) 13:00

「あしたあなたあいたい」を観劇。
クロノスを背景に、様々な人間模様を観ることが出来て楽しい。
特に三枚目のキャラクタが良かったです。

『メメントの森』

『メメントの森』

ウテン結構

六本木ストライプスペース(東京都)

2023/05/26 (金) ~ 2023/05/30 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/05/27 (土) 12:05

毎回楽しい時間が過ごせるので凄く期待して行くのですが、今回も期待を上回る面白さでアッ!という間でした。
テーマがシリアスなのに笑ってしまう場面が多く、その落差でシリアスな場面になるとゾッとしました。
演じている役者さんが上手過ぎて本当に自分の事として考えさせられてしまいました。

ネタバレBOX

前回が死の間際の選択だったのが、今回は紛争時に生きるための選択だったので自分に置き換えて考えてしまいゾッとしてしまいました。
天使(死神)とのシーンや強烈なキャラのお兄ちゃんのシーンが面白すぎる為にシリアスなシーンが余計に怖くてホワイトノイズがトラウマになりそうな感じでした。
緩やかな死と唐突な死、最後の瞬間に思い残すことが無いよう生きていきたいとおもいました。
ファミリーシアター『へんてこうじょう』

ファミリーシアター『へんてこうじょう』

新開地アートひろば

新開地アートひろば(兵庫県)

2023/05/27 (土) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

満足度★★★★

周りは小さな子供連ればかりで、不安感あったが、めちゃ楽しめました
小さな子供の為に良く作り込まれてました

原色★歌謡曲図鑑

原色★歌謡曲図鑑

株式会社ビーウィズミュージック

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2023/05/11 (木) ~ 2023/05/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

いろんな曲が聞けたわけではないですが、令和と昭和の対比が面白かったのと、コンプライアンスにがんじがらめな今より、昭和の自由さが良かったな~と、改めて思いました!

マミーブルー

マミーブルー

劇団Q+

萬劇場(東京都)

2023/05/24 (水) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ファンタジーを突き抜ける<力>を持った作品。
表層的には、画のようなビジュアルとして観(魅)せるが、内容はエッ!そういうことを描いているの とシャレにもならない問題・課題を突き付ける。
チラシに「水には記憶が宿る」とあるが、人の記憶は曖昧で、時間とともに薄れ忘れ去られてしまうかも。その良し悪しはあろうが、物語から連想するのは 環境破壊、自然災害や紛争戦争といった忘れてはならない事だ。

物語(内容)としては面白いが、シーンの描き方にバラツキというか調和・統一性が感じられないのが憾み。(自分)感性の問題であろうが、抒情的なのか叙事的なのか といった劇風が迷走しているような気がする。冒頭の設定や背景を特定させないようなファンタジー色から、急に災害・廃村といったリアル世界へ。それが黒服集団の登場によって、今度は時代背景を特定するような。そのシーンを境として前半・後半とみれば、前半部分は冗長に感じられ 惜しい。描きたいコトが盛りだくさん、その溢れる思いに演出が追い付いていない といった感じだ。

観(魅)せるのは、独特なメイクや衣裳、その格好は異彩を放っている。物語の着想は鋭いだけに、非現実の世界観の中で どれだけ現実に引き付けて描き出せるか。今後が大いに楽しみ。
(上演時間1時間35分 途中休憩なし) 追記予定

もう二度と言えなくなるねおやすみと

もう二度と言えなくなるねおやすみと

なかないで、毒きのこちゃん

OFF OFFシアター(東京都)

2023/05/26 (金) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/05/26 (金) 14:00

100分。休憩なし。

3RDEYE〜自動運転車の中の死体〜

3RDEYE〜自動運転車の中の死体〜

劇団Lacrimosa

SPACE9(大阪府)

2023/05/26 (金) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

満足度★★★★

人口現象に伴い、アンドロイドが増えたり、人体はダメになるが脳だけは移植され…等々近未来を見据えた話法律も事細かに決められ、常に監視カメラで見張られていたりと落ち着くところは、心が休まる場所はと問いかけられている感じ 
逆に、人間一人では生きていけないとの矛盾との葛藤
アンドロイドと二人?で生きてみては…

ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.27

ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.27

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

めぐろパーシモンホール(東京都)

2023/05/21 (日) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

何度か拝見していますが、素晴らしかったです。フラメンコは皆さんの上演ではじめて拝見しました。今回も演奏も歌もフラメンコも迫力があって見ごたえありました。また機会があれば拝見したいと思います。

龍と虎狼-新撰組 Beginning-

龍と虎狼-新撰組 Beginning-

FREE(S)

ウッディシアター中目黒(東京都)

2023/05/23 (火) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても良くできたストーリーでとても面白かったです。以前拝見したときには近未来的なお話でしたが、今回は幕末を題材に殺陣もあって見ごたえありました。このあとも見たくなりました。

マミーブルー

マミーブルー

劇団Q+

萬劇場(東京都)

2023/05/24 (水) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても素敵でした。衣装とメイクに目を奪われ、物語へ引き込まれていきます。会場の通路を使った演出が海の彼方への広がりを感じとてもよかった。そしてなによりも、役者さんの迫力の演技に大ファンになりました。是非見てほしいです。

星の果てまで7人で

星の果てまで7人で

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2023/05/24 (水) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

トツゲキ倶楽部版「2023年宇宙の旅」…不思議な感覚を抱かせつつ、国・過去・想いを乗せ(背負っ)て飛行を続けている。宇宙の物語だが、そこに独特の人間模様を紡ぐ。が、未来とか希望が紡げるのか?可笑しくも切ないクルーたちの旅物語。ぜひ劇場で…。

タイトルは<7人>で とあるが、登場人物は8人、そこに未知との遭遇(未確認生物体?)を想起させる面白さ。
(上演時間1時間40分)【チームハイパー H】

ネタバレBOX

舞台美術は暗幕だけの素舞台。
地球を発って4年、クルーは一人ひとり箱を持ち、下手から上手に一列に進むように登場する。暗転すると暗幕にある電飾が光り宇宙空間が出現する。その幻想的な雰囲気の中で、クルーの一人・マリナ(田中ひとみ サン)の「地球へ帰りたい」という禁句。理由は単純...地球にいる彼氏に逢いたいという。忘れていないか心配だという。この思いが公演の機微に触れる重要なところ。ラストの感動シーンに繋がる伏線になっており見事な演出である。宇宙というSFをイメージさせるタイトルであるが、根幹は人間ドラマである。

クルーと地球(基地)との交信は「新年」と「誕生日」の年2回のみ。そこへ不思議な交信が...それを契機に東西南北の各国からの代表という自国(民族)意識が目覚める。地球を俯瞰しながらも、国の代表という自覚に捉われるところが人間くさい。祖国に何かあったのでは、という疑心暗鬼がホームシックに結びつき、会議で帰還するか探索続行か決めることに。決議は全会一致というルールであるが、会議の都度、賛否票が分かれる。この混迷を通して、過去から現在まで、世界のいずれかで起こっている紛争を考えさせ、その愚かしさを警鐘する。まさに宇宙的規模の考え方に収斂していく。

冒頭の箱は衛星機(基)という設定であり、クルーは意識人格(AI)という非実在性、地球には実在する本人がいる、という奇知。地球に帰還すれば心身一体になるのだろうか?クルーの一人・さくら(前田綾香サン)は地球を発つ時には末期癌に侵され余命わずか。今はもう亡くなっており、帰る場所(体)がない。それでも残された家族は彼女のことを忘れず、いつも想っているだろうと...。結局、7機(基)の衛星基は永久の宇宙探索を続けることになるのだが、8人目は時折意識下に入ってくる”おばちゃん”、その正体は如何に(エイリアンか?)

この宇宙における人間ドラマ、キャラクターをしっかり立ち上げ観せる公演になっている。劇中の台詞「重力」、その言の意味合いを借りれば、公演は「温かで大きな心に抱かれているような気がした」である。ただ一つ、自分的には大きな盛り上がり、インパクトという印象付けが弱かったような気がしたのが残念であるが。
次回公演を楽しみにしております。
進

演劇制作体V-NET

TACCS1179(東京都)

2023/05/24 (水) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

▼猿組「猿組式 雪女」
私が知っている「雪女」の後日談。雪女は子どもがいたので約束を破った巳之吉を殺さずに去って行ったのでしたが、やはり子どもには会いたかったのでした。そこに思いもよらない者たちが登場して・・・。

▼大和企画「実家で不幸がありまして」
と、思わずついた嘘のおかげで猶予が与えられましたが・・・

どちらも初めて見る劇団さん(?)でしたが面白かったです。

ネタバレBOX

「猿組式 雪女」それは妖怪たちと妖怪退治屋たち。親分はぬらりひょんで、だいだらぼっちと鵺がお供です。雪女が人間と接すると妖気が乱れるとかで彼女を探しに来るのですが、佐吉(雪女の子ども)のところには座敷童子がいて、ぬらりひょんをやっつける勢いなのが笑えました。妖怪退治屋と妖怪たちの戦いの殺陣も良かったです。
親離れ、子離れの卒業なのかなと思いました。

「実家で不幸がありまして」好きなことがある人は続けてほしい。でも、それで食っていけないこともあるのが辛いところです。
劇団の内幕ものという感じですが、見ている方も気を使いました。え?そこで噛んじゃう?とハラハラしたら、それがちゃんとした演技(演出)だったんですね。
しかし最後のオチ(?)地球と書いてテラと読むのが、観客にすぐわかってもらえるのかな。
Spring Grieving

Spring Grieving

PLAY/GROUND Creation

サンモールスタジオ(東京都)

2023/05/19 (金) ~ 2023/05/31 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

この須貝英という劇作家は、もう忘れられている昔のミステリを脚色してみたり、新国立で新作をいじられてみたり、大胆に活動しているので、今回はいかがと観にいった。
大学内のパワハラの犠牲になって自殺した優等生を持った家族の物語である。
優等生(武田光稀)には普通の兄(三津谷亮)が居て、父(辻親八)はパワハラの教授(出てこない)の科は違うが同僚で助教授、母とは離婚している。優等生と同年のいとこ(伊藤白馬)も居る。この人間関係の中で、優等生がパワハラに耐えられず自殺するのだが、その前、葬儀の後、一年後、二年後、の命日の前後が演じられる。
桜の枝が舞台の枠に大きく飾ってあって、時はいずれも春。父と兄が主な登場人物になる静かな会話劇である。パワハラ事件の方はよくある展開で、あまり工夫もないが、家族の自殺で家族や周囲が少しづつ変わっていくところは意外によく出来ている。ほとんどが登場人物の板付きの会話ですすむのだが、家族がお互いに思いやる感じなど人間関係を人間関係をよく表していて面白く見た。
社会問題劇的な発想とテーマにはなっているのだが、そこを、家族に反映させて家族劇にしてしまおうと努力したところが良い。少し昔のイギリスのテレンス・ラティガンや、アメリカのリリアン・ヘルマンのようなタッチで、こう言う声の低い作風はこれからの時代のものだろう。最後の方でセクハラを問題化する声高な女子学生(内田靖子)などは、事件の方も解決しなければと入れたのだろうが、浮いていて面白くもない。今時の兄を演じる三津谷亮は煮えきらない普通人をうまく演じている。父はもう少し振幅が欲しい。
新国の「私の12月」では各シーンが揃っていたのに、今回はバラバラでそこで余計な雑音が入る。そこが課題だろう。でも「静かな演劇」というなら、よく見ると騒々しく品のない平田オリザよりも、それは時間の経過もあるだろうが、それは時間の経過もあるだろうが、

死んだら流石に愛しく思え

死んだら流石に愛しく思え

MCR

ザ・スズナリ(東京都)

2023/05/26 (金) ~ 2023/06/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

俳優自身の名前がそのまま登場人物名なんですね。ストーリーや登場人物の心の動きにもう少しまとまりやわかりやすさがあるともっと面白かったと思うが、役者たちの熱演は楽しめる。グレープフルーツの香りが漂うのもうれしい(食べ物を粗末にするなとか細かいことを言わなければ)。

コスモポリタン

コスモポリタン

U-33project

インディペンデントシアターOji(東京都)

2023/05/24 (水) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

独特の世界観というか、不思議な舞台でした。
ストーリーは分かるような分からないような・・。
私に分からないだけで、将来の夢を持った若い世代、何になりたいのか悩んでいる世代には響くのかなと思いました。
役者さんは皆可愛くて、一生懸命さも伝わり、好印象でした。

龍と虎狼-新撰組 Beginning-

龍と虎狼-新撰組 Beginning-

FREE(S)

ウッディシアター中目黒(東京都)

2023/05/23 (火) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

大人向けエンタメの秀作! 面白い。べし観る。

ネタバレBOX

 芹沢鴨の描き方は、通常の新撰組ものでは碌でもない人物として描かれることが多いが、今作では往時(1863)の世界情勢、殊に欧米諸列強の政策の本質を弁え行動する政治的知性と剣術に長けた人物として描かれている点が興味深い。また、今作の設定が竜馬と土方が兄弟であったという、非歴史的解釈が不自然に映らぬよう人間の行動原理の本質的一部を為すトラウマを竜馬の行動原理として描いている点で戯曲家の眼目の鋭さが窺える。
 背景にあった世界情勢判断と日本の近代化を巡る動乱の世をどの方向にどのように導くか? を巡って壬生浪士組の2人の局長、芹沢鴨、近藤勇が浪士組勢力を二分していたが、格上であったのは同じ浪人であっても水戸藩出身の鴨。一方の近藤は元々農民出身ということもあってか、宴席で披露したとされる彼の芸(げんこつを口に入れる)を繰り返す、腕は立つが“みむめも” (間の抜けた)存在として描き出している。だが現実は鴨が捉えていた通り、勤王か佐幕かで割れる勢力の隙を突かれては唯でさえ列強に後れをとる日本は植民地にされる他なかった。その日本の近代化を巡って長州と薩摩が、物語の3年後の1866年に竜馬を仲立ちに薩長同盟が結んだことは、日本近代史の常識。今作の面白さは、その3年前に壬生浪士組が新撰組と名を改めるに至った背景にあった謀略を練ったのは桂と推察されることを示唆しつつ、桂が送り込んだと思われる長州側密偵と鴨の繋がり、鴨と竜馬、竜馬と新撰組との関係を上手に絡ませながら恰も運命の糸が竜馬の負ったトラウマの恨みを弟の土方歳三に負わせ解消するように働く筋書きに巧みにすり替え、熱い熱を伴った人間物語に仕上げた点にある。役者陣の演技・演出も良い。大人向けエンターテインメントの秀作である。

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