実演鑑賞
満足度★★★★
面白い、お薦め。
観たいと思っていた未見の演目「DOLL」、今後 本公演が基準になるがレベルは高い。高校1年生の5人の少女の不安・孤独・善悪・嫉妬等といった捉えどころのない心の揺れを瑞々しく、そして繊細に描いた珠玉作。上演前から波の音が響き、海辺の街にある高校が舞台であることを連想させる。勿論、説明にもある「何故、少女たちは水になったのか」に繋がるわけだが、それに至る少女たちの心の変化と友情が公演の観どころ。
それぞれ性格や情況が違う女子高生を表(体)現した女優陣の好演が、物語を味わい深いものにしている。1年間の高校 それも寄宿舎での共同生活はいつも仲良しというわけではなく、時に 性格や考え方の違いで ぶつかり合うこともある。むしろ その衝突が彼女たちの友情を深めていく<力>になっている。四季折々に、彼女たち一人ひとりの心に寄り添った出来事(事件)を描くことによって、友情という側面を通して 性格や情況を鮮明にさせる。5人という仲間が居ても、心の中は掴みどころのない不安と孤独が支配している。その何となくが…。
5人の女子高生以外に右眼・右耳・左眼といった語り部が登場するが、少女たちを俯瞰するような立ち位置で時代状況や世相風潮を表す激声、そして鼓舞するような。その容姿・衣裳は女子高生たちとは違う、その意味では社会なり常識といった確固たる<大人>を表している。それは 同時に少女たちの不安な足場という恐怖の対置として登場させているかのよう。
また女子高生の兄や思いを寄せる男子高校生が登場するが、彼女たちの純真さに たじろぐ様子、そこにも言葉では言い表せない<女子高生ならではの心>が垣間見えてくる。語彙力がない悲しさ、ぜひ劇場で…。
(上演時間1時間40分 途中休憩なし) 【team Ⅼ】10.21追記