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当然の結末

当然の結末

シベリア少女鉄道

俳優座劇場(東京都)

2023/06/17 (土) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

劇団初見。あらすじ程度しか知らずに観に行ったのですが、こんな話だったとは。それなりに楽しめましたが、ちょっとビックリですね。ゲームの知識がもっとあればよかったのかな。

当然の結末

当然の結末

シベリア少女鉄道

俳優座劇場(東京都)

2023/06/17 (土) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/06/22 (木) 19:30

 あらすじを読んだだけでは、何のことやら正直さっぱり分かんなかった。何がやりたいのかとか、大体どういうジャンルでどういう内容で、どんなメッセージを伝えたいのかとか、全く予想がつかず、想像も出来なかった。
 さらにチラシのイラストも劇を観始めてから分かったことだが、劇の内容と直接あまり関係がないことが分かってきて、良い意味で二重三重にしっぺ返しを喰らったような気持ちになった。
 さらに、劇を観終わった後にイラストが載ったクリアファイルのなかに入っていたネタバレ注意の紙の内容を読んで、劇が始まる直前に主要な役を演じるはずの5人の役者が降板になったので、代役の5人に出てもらうことや、機材トラブルといったことで、開演時間が予定より3分遅れて本編が始まったことの奇想天外な理由や状況を飲み込むことができた。

 劇が始まると、同棲と言えば聞こえは良いが仕事もせず家でブラブラしているニートで減らず愚痴だけは一人前の駄目人間半間真人と、恋人で仕事も家事もこなす人吉ひと美との噛み合わない価値観や倫理観、こだわりの違い、趣味の話などでの絶妙にズレていく会話や、時々挟まる独白と言うにしてはラジオがかなり大きめの音量でかかったような心の愚痴を代弁する独白と、とにかくコミカルでテンポ良く、自然と笑えた。
 メインは家族の話なはずなのに、劇の最初のほうでゲームのRPGの話があったからか、世界の終わりが来たらどうするといった話があったからなのかは分からないが、腹違い?の妹入来一恵を除いて、ひと美の父がドラキュラ伯爵であるのにその場に居合わせた全員その異常さに気付かないどころか、普通に話していたり、ニートの半間真人の浮気相手間島茉優花が明らかに蛇女なのに誰も気付かなかったり、ひと美の元恋人が人食い鮫ジョーズ人間だったり、半間の元働いていたバイト先の店長マイルスのマスターがRPGのファンタジー又はアドベンチャーゲームによく出てくるゴブリンであったり、謎の男·松島は植物人間(本当にそのままの意味)、そして劇の最後のほうに出てくる最後の客人·丸山は腰の低いUber Eats店員だがどう見てもダンジョンに出てきたら確実にラスボスな不気味な王髑髏人間と、個性豊かどころか、異物が居座っているのに、驚いたり、恐怖に慄くどころか、それらをも日常の一環として生活に埋没させ、平静に対応している感じの奇妙な間や、あまりの同時無さに呆れ、また大いに笑えた。
 また、最後のほうでは、それらの怪物どもに弱みや嫉妬に付け込まれて襲われ、この世から半間真人や入来一恵が消えるが、人吉ひと美が半間真人との一緒にアニメ映画を梯子したことや一緒に夢中になったRPGゲームなどの良い思い出話をする度、怪物が一人、また一人とさり気なく撃退されていくという、良かった思い出話によって怪物を倒すというやり方が新鮮で、斬新で良かった。
 劇全体としても不条理やブラックユーモアが光っていて、家族の話や金銭トラブル、浮気問題に元恋人との関係性など、盛り込んでいるテーマを普通に演ると真面目で救いようがない苦虫を噛み潰したような悲劇になるところが、怪物を日常の延長線上に入り込ませることで、ユーモアが生まれ、どうしようもないほどくだらなく、それでいて憎めない仕上がりになっていて大いに楽しめた。

 間島茉優花役のアイドルラフ×ラフというグループの現役リーダー齋藤有紗さんは、間島に扮しているときはアイドル感が抜けきれていないものの(まぁ、天真爛漫で純粋無垢、ハイテンションな感じのキャラなのであっていると言えばあっているが)、蛇女の本性が現れてくる劇の後半では、豹変しつつ、可愛らしい名残も残しつつという感じで、その独特な感じはお見事だった。現役アイドルでもここまで出来るのかと、その役者としての素質に感動してしまった。
 半間真人を演じたラブレターズというお笑い芸人の塚本直毅さんは、こういうひねくれていて、屁理屈だけは一人前、かなり面倒臭い無職のニートをその辺にいそうだなと観ていて思わさせられた。芸人だけれども役にあまりにもその駄目人間っぷりがハマっていて、上手いと感じた。

 ただ、時々『シベリア少女鉄道』という劇団のファンによる内輪受け的な雰囲気が見受けられたのが、かなり気になった。

『消えなさいローラ』『招待されなかった客』2本立て

『消えなさいローラ』『招待されなかった客』2本立て

Pカンパニー

西池袋・スタジオP(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

この2作品をカップリングしたのはなるほどと思わされる。テーマも共通しているように思えるし、いずれも独特の魅力を持った美しい作品。あらためて別役実はすばらしい作家なんだなと思い知らされた。

青春の会 第四回公演「熱海殺人事件」

青春の会 第四回公演「熱海殺人事件」

ゴツプロ!

新宿シアタートップス(東京都)

2023/06/20 (火) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

熱気がありました。

ネタバレBOX

とても熱かったです。エネルギーが漲っていました。4人の個性と個性のぶつかり合い、熱のこもった会話の応酬に魅せられました。話の本筋、軸がぶれていくのですが、そこがなんとも、おもしろいです。中盤の少し落ち着いたやや静の場面、大山金太郎と恋人扮する婦人警官のやりとりは、冗長に感じて染みました。しかし、後半の熱量の高まる展開に単なる一つの殺人事件にとどまらない奥深さを強く感じました。
ダ・ポンテ

ダ・ポンテ

東宝

THEATRE1010(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

素晴らしくて大絶賛ということはないが、地味に良い舞台だった。音響が良くて歌もセリフも明瞭に聞こえる。小編成オーケストラの生演奏も素敵だった。ダ・ポンテ役の海宝直人さんの歌声は朗々と響き、後半の一曲でこの舞台全体の満足度を一段上げてくれる。モーツアルト役の平間壮一さんはセリフは良いが歌声は力が入りすぎて潤いに欠けていたかも。

演出では歌の終わりの拍手の求め方が下手だ。これは音楽劇の基本だと思うのだが他の舞台でも設定をしっかり考えていないなと思うことが多い。この舞台では拍手を求めない曲では間髪を入れずセリフが発せられるのはうまくできていたが、この曲で拍手はないでしょうというのもあった。あの沈黙が辛い。俳優さんには地獄だろう。

ロレンツォ・ダ・ポンテ(1749-1838)は、イタリアの詩人で台本作家。モーツァルト(1756-1791)の3つのオペラの台本を書いたことで知られている。『フィガロの結婚』1786、『ドン・ジョヴァンニ』1787、『コジ・ファン・トゥッテ』1790。(ウィキペディアから抜粋)

このダ・ポンテ氏、なぜか日本で人気で昨年には
音楽劇『逃げろ!』〜モーツァルトの台本作者 ロレンツォ・ダ・ポンテ〜
が上演されている。ダ・ポンテは天才ではなかったという設定で音楽もロックだったが本日の舞台では彼は天才であり音楽もクラシックである。

この公演はこの後は名古屋に移り再び東京に戻ってから大阪でフィナーレとなる。
カーテンコールの写真撮影がOKだった。「追記」これはプレビュー公演だけの特典で続く本公演では撮影禁止となった。

池袋Brilliaホールの本公演も行ったが完成度がずっと上がっていた。上で苦言を呈した平間壮一さんも全く問題のない仕上がりだった。また何度かBrilliaホールは音響が悪いと書いたが今回はコーラスの一人一人が聞き分けられるのにしっかり融合していて文句のつけようがない。オーケストラの音が明瞭なのも素晴らしい。どうやらホールのせいではなく音響技術者の問題のようだ。この池袋公演の満足度は星5つ。納得のスタンディングオベーション。

カーテンコールでの観客の動きが面白かった。2ndで立つ人が中段席でチラホラ、しかし前方席は微動だにせず(まあここは私も早いと思った)そして3rdで全員起立。リピーターなんでしょうね。NYの本屋の場面で奥さんが歌った後で食い気味に拍手を入れていたのも彼女らなのだろう。普通は短すぎる歌なので戸惑ってしまう。全体に拍手をするかどうかに困るのは相変わらず。16日の東京千秋楽は2ndで全員起立となると予想。

当然の結末

当然の結末

シベリア少女鉄道

俳優座劇場(東京都)

2023/06/17 (土) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

演劇というよりも長尺のコントって感じ?

独りの国のアリス〜むかし、むかし、私はアリスだった……〜

独りの国のアリス〜むかし、むかし、私はアリスだった……〜

ことのはbox

シアター風姿花伝(東京都)

2023/06/15 (木) ~ 2023/06/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

箱チーム観劇
アリスを現代にアレンジした感じで、面白かったです!

『消えなさいローラ』『招待されなかった客』2本立て

『消えなさいローラ』『招待されなかった客』2本立て

Pカンパニー

西池袋・スタジオP(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/06/22 (木) 14:00

毎回とても楽しみにしているPカンパニーの「ベツヤクづくし」第3弾。去年の「いかけしごむ」「トイレはこちら」はいかにも別役実というイメージ(私の勝手な思い込み。裸電球の電柱がその象徴)だったのだが、今作の2作品は少し趣が違う。両作とも登場人物は2人。この2人のかみあわない会話劇、真剣に聞けば聞くほど睡魔に襲われるというとっても危険な不条理劇だ。

10分間の休憩を挟んで演じられる両作は薄汚れた壁に囲まれたほこりだらけの部屋に鎮座するテーブルという共通した舞台セットだ。最初の「招待されなかった客」は、魔女の家に招待状を持ってやってくる神父との会話劇。テーブルの上には汚れたままの食器類、ミニチュアでしつらえた街が置いてある。魔女と神父はこの街でつながっていて、神父は魔女狩りで何人も火あぶりにしたが教会の方針が変わって追放されたという男だ。
一方の「消えなさいローラ」も朽ち果てた部屋にあるテーブルと汚れた食器は共通していて、ローラと母が住んでいる。そこに訪ねてくる葬儀社の男。実はローラの母はもう死んでいるのではないかと疑っている探偵社の男だったりして、突き止めようとする男を絶妙な会話ではぐらかしていくところがおもしろい。ローラと母がクロスオーバーしていて、どっちが死んでいてどっちが生きているのか、そして、砂時計のように落とされる砂に埋もれていく動物のミニチュアに生と死を投影させる。「何だこれは」という、この不条理極まりない展開も、別役ならではの筋書きなのだろう。ここが見どころだ。

自分はこれまでこの二つの別役作品を見ていなかったので、何だか別役の違う顔を見たような気がした。冒頭に書いた私の思い込みが少し、薄れたような感覚が残った。

仮名手本忠臣蔵

仮名手本忠臣蔵

花組芝居

小劇場B1(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/27 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★



「仮名手本忠臣蔵全十一段」を一気に見せる、花組芝居ならではの総集編だ。
敵討ちの進行と、それに関わった人々のドラマを90分二本の前後編にまとめて見せる。
すべての段から有名場面はもとより、見栄えの良いところは全部とっている。大歌舞伎でもあまり見ない段まである。それでいて、無理矢理現代ぶっているところや楽屋落ちがない。様式的な統一もあって、きちんとした古典の一つの現代上演になっているところが素晴らしい。花組もまた、木ノ下歌舞伎とは明確に異なるコンセプトで歌舞伎古典に挑み、三十年、これだけの成果を出したことは誇って良いと思う。花組を入り口に古典に親しむようになった、という観客は少なくない。古典の底辺はこうも広がる、ということを、原点を損なわずに現代につなげた功績は大きい。今回もよく出来ている。








テラヤマ音楽劇★くるみ割り人形

テラヤマ音楽劇★くるみ割り人形

シアターRAKU

駅前劇場(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度

無料招待券があれば鑑賞するかもしれない。知り合い・昔からの馴染客以外にはエンターティメント性が極めて乏しく、大変厳しい演劇だったと言わざるを得ないものでした。
 役者・演出家が頑張っていればいい、というのであれば、手術が下手な合併症だらけの「がんばっている」外科医も非難せず拍手を送らなければならないだろう。
 とっても残念です。寺山修司を見たくて行きましたが、、、。印象批評はするつもりはありませんので、ネタバレに以下記載させていただきます。

ネタバレBOX

出だしでヴァイオリンを引く女性が現れる。本物のバイオリンを持ちながら、弾くかと思いきや音響でカバー。弾いているフリ(このフリも酷いものでした)。観客に一瞬期待をもたせる、のが演出の目的であれば成功したかもしれませんが、笑いは一切起きませんでした。緊張と緩和を目的とした演出であれば、失敗でした。変な期待を持たせないのであればおもちゃのバイオリンを持たせても良いのにと思いました。なぜなら、この演出だけで『もう見たくない演出』かもしれないという胸騒ぎを感じたからです。それは、当たっていました。

 平均年齢が69歳の方ががんばっている。それは素晴らしいことだと思います。ただ、それにお金を取る行為はいかがなものでしょうか。ラインダンスも揃っていませんし、コロス的な歌うたいも酷いものでした。がんばっているから、という応援として観るべきなのであれば、もう何も言いません。お金は返してほしいという思いを、演劇で初めて感じました。

 寺山修司が好きで、彼の言葉だけでもと思い最後まで観劇しました。言葉自体は素晴らしいものでしたが、演出への共感的羞恥が強く、何度も鳥肌が立ってしまいました。

最後の舞台挨拶で、演出家はがんばっていた役者については一言も触れず、自分の本を延々と紹介し続けるところに、この劇団の行く末が容易に想像できました。もし「シニアでも驚くような演劇を」というものを作ろうとしているのならば、最後の舞台挨拶では彼らが主役として褒める時間をなぜ設けなかったのでしょうか。自分の書いた本をそんなに紹介したかったのでしょうか。とっても残念でした。

プロジェクトマッピングの演出は良かったと思います。時間の流れや舞台などを効果的に視覚で演出しており、場面展開が理解しやすいものとなっていました。
 ただ音響の入りがかなり唐突な部分があり、観客の驚きを意図しているのなら成功していますが、不快でした。
 寺山修司の演劇に対する印象を根底から悪い意味で覆したこの演劇を、早く忘れたいです。
キムユス氏

キムユス氏

フカイジュンコのプロデュース

こまばアゴラ劇場(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/06/21 (水) 19:30

フカイジュンコ名義での初プロデュースは、キムユスの一人芝居。深井の前説を含んで58分。
 キムユスの自分史、と思わせる展開で進む物語で興味深く観た。マネキンを小道具的に使うのも巧いが、仲間内の話みたいな感触はやや居心地が良くない。開演前の深井の盛り上げ方は流石。

兎、波を走る

兎、波を走る

NODA・MAP

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2023/06/17 (土) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/06/20 (火) 19:00

野田秀樹の新作だが本作も刺激的だった。(3分押し)126分。
 アリスに加えピーター・パンやチェーホフにブレヒトも出てくる仕掛けは壮大。前半はエンターテインメントを意識し、後半で社会性のある話題に繋ぐ手法は、ここしばらくの野田のパターン。本作ではアナグラムも出てきて『ゼンダ城の虜』を思い出してしまった。シャッターのような仕掛けや鏡を使う美術も見事だが、八百屋舞台は大変だろうなぁ、とか思った。

白眉濛濛

白眉濛濛

海ねこ症候群

インディペンデントシアターOji(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

絵を描くことが大好きな主人公・坪田実澪(みれい) さん。売れることや評価されることは余り気にしていない。ある日、街なかで画商の河合陽花(はるか)さんに声を掛けられる。彼女の主催する絵画のオークションを見学することに。そこでは物凄い額で絵が取引されていた。発奮した主人公、画商の所有するシェアハウスに住み込んで絵の制作に打ち込むことに。

画商の河合陽花さんを『坊っちゃん嬢ちゃん』のマタハルさんだと誤解していた。どちらもイケメン女子。
主人公の坪田実澪さんはマリアのイーちゃんが物真似する小雪風味の愛嬌でチャーミング。

オークションのシーンがダンスでテンポよく面白い。シェアハウスの世話係・新里乃愛さんがまだ二十歳!「忙しい忙しい」とそこら中をはたきながら、雀を何羽も乗せる。かなり巧い役者だった。オレンジの家政婦・神尾りひとさんがキュート。劇団の主催であり、司会者役の作井茉紘さんも目立つ。
熊本や石川から大きな花束を持って駆け付けるファン達にRespect。

ネタバレBOX

物語のテイストが『 U-33project』っぽい。だが作品に哲学が足りない。高額で絵画が取引される様は価値観の本質の風刺だと思うのだが、もう一歩突き詰めたい。

好きなことを好きでいられる才能というものがあると思う。やっぱり人間、飽きてくる。昔、夢中だったものをふっと思い出した時に、ずっと好きのままだった奴等にRespect。人間の嗜好性なんて変わっていって当然。それでも螺旋のようにまた巡り逢うことも事実。

シリアスなシーンが退屈。観せ方が下手。画商と主人公の出会いも適当。シェアハウスのくだりも意味がない。悪人を描けないのだろう。エピソードはぬるい友人関係ばかり。あやふやな言葉とあやふやな感情、全てすり抜けてしまうだろう。

画商の本当の目的は才能がないのにやめられない人間を見付けて諦めさせること。オークションで全く相手にされなかった主人公は踏ん切りが付いてやめる。だがしばらくするとまた描き出す。何故か?人は意味や理由があって生きている訳ではないからだ。ただ生きる。ただ描く。

※3日目に扁桃炎で信國ひろみさんが降板、作井茉紘さんがその日の二公演の急遽代役に。
4日目に他の出演者のコロナ陽性が判明し、以降公演中止。
瀬戸内の小さな蟲使い

瀬戸内の小さな蟲使い

桃尻犬

OFF OFFシアター(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/28 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

あのシチュエーションで展開されるお芝居、よく思いついたなーと感心する。設定だけですでに面白い。あり得ない場所で言い争うカップルの口論。とはいえ男性と女性の言い分にはそれぞれの立場に即したリアリティと説得力があった。90分弱ほどの上演時間もちょうど良くて久しぶりにお芝居を心から楽しめた。
座席と座席の間を10センチ程度離してくれていたおかげで隣の人に身体が当たる事もなく最後まで集中して観ることができた。客数を多くするために隙間なく椅子を並べる劇場も散見するけど、それだと隣の人が腕を動かしたときに必ずと言っていいほど私の身体のどこかに当たってその都度集中力が削がれる。些細なことだけど私にとっては大変重要で、今回の座席配置はとてもありがたかった。

ネタバレBOX

遊園地は昔の神戸ポートピアランドか姫路セントラルパークがモチーフ?私は昔、兵庫県内の大学に通っていたのでなんだか懐かしかった。
「山兄妹の夢」では終盤、役者全員で「LEMON」を大合唱するシーンに大笑いしたけど、今回はあいみょんの曲に笑わされた。
タイトルに出てくる「蟲使い」はキーワードではあるものの、主となるテーマではなかった。最初は「蟲使い」が出てくるファンタジー要素のあるお芝居なのかな?と思っていたので、せっかくの内容が、このタイトルで必要のない誤解を招くところはあると思う。
とにかくとても楽しませてもらった。面白かった!!
樫の木坂 四姉妹

樫の木坂 四姉妹

夏の川企画

川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)

2023/06/15 (木) ~ 2023/06/21 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

夏になると、必ずこの手の反戦・平和路線ドラマを上演するのは旧新劇時代からの日本の演劇風物詩である。懐かしい感じだが、いまいかにプーチンが核を使いそうだといっても、その迫力を失っていることも事実で、かつては何本も量産されていたのに、現在は数少ない。上演あれても、こう言うオーソドックスな型どおりの筋書きにかわって、例えば、チョコレートケーキやパラドックス定数の政治劇では、かなりリアリティのある人民側にたった物語の上に納得できる現代の人間像が描かれている。
だからといって、こう言うドラマを上演する演劇人たちも、この芝居も見るだけで反繊運動に参加した気分になる観客も、批判しようとは思わないが、ファンタジーの世界に酔っているのはいかがかと思う。少しは迫力のある企画を考えた方が良いと思う。政治劇は時代を外すと途端に時代遅れになる。
一夜の芝居としても、結構新劇大劇団のトップクラスの俳優が参加して、演出者も青年座から出ているのに、物足りない。大きく問題点は二つだと思う。まず脚本。十年ほど前に俳優座が上演したという創作劇だが、そのときと今とはずいぶんこのテーマに関する周囲の状況が変わっている。そこがつかみ切れておらず、古いままやっている。きめの細かい作家ではあるが、こう言う素材なら、ウクライナ問題があり、コロナが流行って、政府が国民に何事も平気で強制し、国民が唯々諾々と従うようになった現在が見えないと懐メロになってしまう。俳優は新劇団を代表する劇団のトップ俳優が出ていて、それなりの実力は見せてくれるが台詞回し術だけに止まっている。台詞でいやというほど人物の背景説明しているのに役にリアリテイを持たせる演技の工夫をほとんどしていない。過去のシーンが出てくる必要があるとは思えない。それよりも、もう老年になった三姉妹の生活のリアリティだ。これは演出にも責任がある。ここが第二。話にリアリティを持たせるセット(美術)の工夫もない、例えば、せっかく写真家の第三者を置き、写真という小道具まで言っているのにドラマになっていない。
久しぶりに新百合ヶ丘の小劇場へ行ったが、約6割の入り。ここまできた甲斐があったといえないところが残念。

瀬戸内の小さな蟲使い

瀬戸内の小さな蟲使い

桃尻犬

OFF OFFシアター(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/28 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/06/21 (水) 19:30

80分。休憩なし。

『ザ・ロンゲスト・スプリング 熱海殺人事件』『熱海殺人事件 Girls, be glamorous.』

『ザ・ロンゲスト・スプリング 熱海殺人事件』『熱海殺人事件 Girls, be glamorous.』

劇団『横浜組曲』

STスポット(神奈川県)

2023/06/17 (土) ~ 2023/06/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/06/18 (日) 12:00

熱海殺人事件 Girls, be glamorous.
125分。休憩なし。

少女都市からの呼び声

少女都市からの呼び声

新宿梁山泊

花園神社(東京都)

2023/06/11 (日) ~ 2023/06/26 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/06/21 (水) 19:30

主人公田口(六平直政)が手術中に見る夢(ランダムに出てくる場面は仕方なし)、水子となった妹への思い、大陸での連隊長(風間杜夫は風格があった)とのやり取りなど様々な思い出が舞台上に現れその人物逹が意思を持って動き回る。唐十郎初期の作品で上演時間が100分で開演時間が午後7時30分だった。いつもより30分遅いので要注意。

ネタバレBOX

水子となった妹の死の象徴が、最後の舞台テント崩し(流れる水の中で死んだ妹が浮かび上がる場面)は印象に残った。
殺意(ストリップショウ)

殺意(ストリップショウ)

ルサンチカ

アバンギルド(京都府)

2023/06/20 (火) ~ 2023/06/22 (木)公演終了

満足度★★★★

最前列の桟敷席で拝見
内容は何度か見たが、演技の迫力はナンバーワン 
タダ、桟敷席での100分超えはきつい
基本女優の一人芝居だが、素晴らしいの一言

独りの国のアリス〜むかし、むかし、私はアリスだった……〜

独りの国のアリス〜むかし、むかし、私はアリスだった……〜

ことのはbox

シアター風姿花伝(東京都)

2023/06/15 (木) ~ 2023/06/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

千秋楽の《Team葉》を観劇。
初日のコメントでこのチームの演技の硬さが指摘されていたが、楽日はテンポよく観ていて特に気になる点はなかった。私自身、ファンタジーには興味が湧かないので、物語自体をどうこう言うつもりはないが、奇抜な服装や声高な会話は「奇妙な世界」を表現するには十分だったと思う。今回の収穫はアタシ(アリス)を演じた花房里枝さん。歌も良かったが、終盤の独白シーンの最後のセリフ、「一人でも笑って生きていくわ」(正確に覚えていないがこんなニュアンスだった)。これが圧倒的な説得力で軽い衝撃を覚えた。今後の彼女に注目したい。
この団体の鑑賞は今回で3作目だが、毎回、作品の持つ魅力を最大限に引き出し観客に提示しようとする姿が感じられるし、キャスティングの妙も光っている。

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