生きてるうちが華なのよ TAIAI 公演情報 グワィニャオン「生きてるうちが華なのよ TAIAI」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い、お薦め。
    表層的には、街中に多くのゾンビが現れ、生きている人に噛み付きゾンビにしてしまう、そんなゾンビと生きている人との攻防といった予測不可能な物語だが…。このゾンビになった理由が切なく、そして<生きること>とはを考えさせる。

    特定地域の出来事ではないと思うが、何となくケーブルTVの放送を通して 地域に密着したような。そして身を守るために家から出ないようにと注意喚起する。それが何故かコロナ禍の様相を連想させる。COVID-19を介して人から人へ感染し、コロナ陽性者は隔離され不自由を強いられた。また誹謗中傷のような風評(噂)によって傷つけられた、そんな不寛容な世の中への警鐘のように思えた。

    勿論、グワィニャオンらしい面白可笑しさは存分に楽しめるが、奥底に潜む狂気のようなものが…。人が かつて人であったゾンビを抹殺する、しかも つい先ほどまで生きていた人(知人)を である。周囲の状況がそう せざるを得ないという怖さ。独創的なゾンビ劇、それは人々の心の脆さと強かさを浮き彫りにするようだ。見事!
    (上演時間2時間20分 途中休憩7分) 

    ネタバレBOX

    舞台美術はカラオケスナック店内、正面に大きなガラス窓。上手に出入口とカラオケ、下手は二階へ通じる階段、カウンター・酒棚、ソファなどがある。ちなみに後々重要になる電信柱が二階の小窓から見える。

    外には多くのゾンビが、そして なんとか逃げ込んだ店内は密室状態。どうやって避難するか、その脱出劇が一つの見どころ。そしてゾンビに咬まれたらゾンビ化してしまう、その感染するイメージはコロナ感染そのもの。人と人が通じ合えない、むしろ人が人であったゾンビを殺さなければならない不条理。何とか感染し(咬まれ)ないようゾンビの歯を抜歯し共存を図ろうとする。冒頭 ケンカ別れしたカップルにその情景を重ねるような巧さ。

    グワィニャオンの舞台は、設定の妙、心地良いテンポ、そして照明・音響といった舞台技術が効果的・印象的である。表層的な面白可笑しさ、その奥に隠された人を思う優しさと切なさが滲み出るような描き方だから余韻もある。
    また 途中休憩(7分)として 場面を停止、撮影タイムを設けるなど、奇知あるサービス(演出?)も楽しい。全体を通して、如何に観客に楽しんで 喜んで観てもらうかを意識した公演といえよう。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2023/11/18 20:56

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