最新の観てきた!クチコミ一覧

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父と暮せば

父と暮せば

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2011/08/17 (水) ~ 2011/08/24 (水)公演終了

満足度★★★★

語り継ぐ作品
こまつ座の名作を初観劇。
物語を穏やかに進めつつ、悲しみを繰り返さない力強い決意を感じ、この先を生きて行く姿勢に胸打たれた。
この芝居を頭の片隅に残し、これから暮らしていこう。

明けない夜 完全版

明けない夜 完全版

JACROW

シアタートラム(東京都)

2011/08/25 (木) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

名作がトラムで生まれ変わった。
サンモールスタジオで大評判をとった名作の再演。
大きく変わったわけではないのに新しい作品のようなドキドキ感がある。社会派JACROWの代表作。大人の観賞に耐えうる作品が出来上がった。

八月花形歌舞伎

八月花形歌舞伎

松竹

新橋演舞場(東京都)

2011/08/06 (土) ~ 2011/08/27 (土)公演終了

満足度★★★★

22年が感無量の乳房榎
第3部、とても組み合わせのいい演目でした。

舞踊劇「宿の月」は、今の時代にも通用する夫婦の情愛と倦怠期のすれ違い等を、喜劇仕立にした作品。舞踊をきちんと表情でも踊れるお二人なので、退屈にならず、微笑ましい気持ちになって鑑賞することができました。

舞踊では、扇子を様々な物に見立てますが、橋之助さんが扇子で赤子を表現すると、実際、赤ん坊がそこに抱かれているように目に映りました。

扇雀さんは、こういう喜劇タッチの舞踊がお得意なので、久々、楽しい舞踊を堪能させて頂きました。

「怪談乳房榎」の方は、内容については、ネタバレで触れますが、獅堂さんの表層的で紋切り型の芝居作法が、水を差し、せっかくの勘太郎さんの熱演を援護射撃しそこねて、単なる早替りに主眼を置くエンタメ芝居に格下げしてしまったのが残念でした。浪江は橋之助さんに演じて頂きたかったと切に思いました。

22年前、この八月歌舞伎が始まった時、勘三郎さんの「乳房榎」を、歌舞伎をほとんどご覧になったことのないPTAの100人の方にご覧に入れて、熱烈な歌舞伎ファンにしてしまったことがありました。

あれから、22年。勘太郎さんが、この演目を上演する日が来ようとは!
様々な感情が湧き上がり、感無量の観劇となりました。

ネタバレBOX

勘太郎さんの4役早替り、若いだけに、行動が機敏で、早替りの観点だけで言えば、もしかしたら、歴代随一だったかもしれません。
何しろ、10代の時から、この演目の上演は全て拝見していますので。

ただ、どうしても、気持ちが逸るのか、特に、重信の時に、腰から下が、役になり切れていないように感じました。三次と円朝はなかなかでした。正助は、実直な感じを懸命に演じているけれど、まだそれを演じる勘太郎さん自身が見え隠れしてしまいます。
勘太郎さんが演じるには、5年早かったような気がどうしてもしてしまいました。
階段での、三次と正助の早替り、父上の勘三郎さんはそれはそれはお見事で、一瞬にして、役の人柄まで豹変させて感嘆しましたので。
何度も演じられて、あそこまで達せられる日が近いことを楽しみにしたいと思いました。

七之助さんは、若いのに、人妻の風格を見事に演じていて、声の出し方も工夫され、巧い女形さんになられたなあと感激しました。

最後の真与太郎の仇討ち場面を割愛し、代わりに、園朝が口演して大詰を語る趣向。この方が冗長にならず、気がきいていたように感じました。

お父様は、早替りの時、今替わったとわかる時がありましたが、勘太郎さんは、その点ではパーフェクト!誰もが、驚嘆していて、小気味のいい早替り芝居となりました。
Caesiumberry Jam

Caesiumberry Jam

DULL-COLORED POP

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/08/20 (土) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★

谷賢一の世界が全開
作演出の谷氏の今の演劇的・世の中的な関心が凝縮した舞台だったように感じた。だから、というわけでもないが、谷氏の作品を観たことがあると、全体の雰囲気に既視感がある。彼ならこう作るだろうという部分が想定範囲内に思えてしまう。

ネタバレBOX

子供役の俳優の演技の演出が狙いすぎで好みではなかった。

土の持つその場所感はすばらしかった。
描いたように(満員御礼!!無事公演終演いたしました!)

描いたように(満員御礼!!無事公演終演いたしました!)

613

テアトルBONBON(東京都)

2011/08/24 (水) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★

結婚を見つめる
やはり若者は純情だった!  お金もない! 仕事もない!
それでも響き合う気持ち。久しぶりにキュンと心温まります。
私も信じたい!!愛には打算は似合わないと。
ああ好きな人と一緒に観たかった。

なにもない/なにもしない

なにもない/なにもしない

二番目の庭

J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)

2010/12/03 (金) ~ 2010/12/05 (日)公演終了

アゴラのサマーフェスもがんばれ!
「登場人物に共感する」とか「感情移入する」
と言うこととは違うのだけど、痛いところをつかれた感じがしました。

この、自分の感じる「痛さ」は何だろう?

ネタバレBOX

長いのでブログに書いてます。大したことは書いてません。
→http://l-project.jugem.jp/?eid=1035#sequel
「エダニク」「サブウェイ」

「エダニク」「サブウェイ」

真夏の極東フェスティバル

インディペンデントシアターOji(東京都)

2011/08/25 (木) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★

「エダニク」を観た
流石に横山拓也(売込隊ビーム)の本だけあってナンセンスコメディカラーの強いオモチロ可笑しい芝居だった。役者3人も熱演だったけれど、夏がすこぉ~しだけあがっていたような感じ。原真の演技力が素晴らしい!

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

序盤、元ニートのいかにも軽そうな茶髪男・伊舞(夏)が「屠場一日体験」と銘打って、職人たちの休憩所にもなっている研磨室に現れる。腕に自信のある職人2人はそんなちゃらちゃらしたイマドキ男を叱咤すべく説教じみた会話になるも、このイマドキ男こそが、伊舞ファームの跡継ぎ御曹司だということを理解した沢村(原真)は態度を豹変し、今までの暴言を詫びて急に遜ってしまう。笑
俗に言う強弱の世界なのだが、世の中というものはそんなもんだ。

伊舞とは3歳しか違わない沢村のしっかりした考えとニートだった伊舞のジェネレーションギャップな会話が可笑しい。ある意味、不毛な会話劇なのだが、価値観も考え方も真逆な二人に会話が成り立つはずはなく、その隙間だらけの絶妙さが実に面白いのだ。伊舞自身も自分の御曹司という立場を熟知していて、段々と少しずつゆっくりと偉そうになっていく態度。それに反して恐縮しまくり、縮こまる沢村。

しかし、玄田(緒方晋)だけは、大きな取引先の御曹司だろうとなんだろうと考えを曲げない、遜らない。笑  この3人の不毛なまでのバカバカしい会話が楽しかった。

また屠場という場所設定も、解らないことだらけで興味深々だった。専用屠場の話、工場ライン、別屠室、解体、屠畜銃の話など内容はエグイが、知らない世界を知らされるというのは、観客にとってワクワクドッキドッキな秘密基地を見ているようで新鮮だった。

文句なしに面白い!こうなったら「サブウエイ」も一見の価値ありでしょ。観に行く。
美しの水

美しの水

AND ENDLESS

THEATRE1010(東京都)

2011/08/20 (土) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★

【White】を鑑賞
義経誕生以前の歴史をきちんと踏まえた上で、華麗な音楽と踊りが舞台に展開。史実をいい加減にしていないところが大変よろしい。舞台上で役者たちがぴたりと決まるとほんとに美しい場面がいくつもあった。それにしても割りに質素な舞台装置を一度も転換せずにこれだけ壮大な芝居ができるとは驚きである。他の方も指摘されているように、台詞が聞こえない部分が多々あり、惜しい。もうひとつ、ものすごいファンじゃない観客にはこの芝居の長さと開演時間の早さはちょっときつい。(私は会社を休みました。)

「くすり・ゆび・きり

「くすり・ゆび・きり

エビス駅前バープロデュース

エビス駅前バー(東京都)

2011/08/21 (日) ~ 2011/08/30 (火)公演終了

満足度★★★★

他では味わえない満足感!
エビス駅前バーテイストというべきか、観ていて他では味わえない満足感がありますね! 近距離で役者さんの表情を見られるところがなんとも良い。 

離婚式に集まった友人たちの方が実は「えっ、、!!!」だったり、夫婦当人たちは純心でステキだったりと、意外性もあって面白かった。 

ネタバレBOX

宇宙食堂の伊丹孝利さんにはめずらしく?、『悪(ワル)伊丹』が観られるのでファン必見☆

ホチキスの山﨑雅志さん、エビス駅前バーに出演する度に、どんどん変な?キャラへ進んでいて面白い!
GHOST IN THE BOX!!

GHOST IN THE BOX!!

PEACE

上野ストアハウス(東京都)

2011/08/18 (木) ~ 2011/08/22 (月)公演終了

満足度★★★★★

1ネタで2度おいしい! 秀逸な構成に脱帽
後半のネタバレで紹介しますが、
構成がとても秀逸な作品。

ネタバレBOX

薄気味悪い建物の2階の部屋という設定で、
ここでまさに若い女性が男に刺殺されようというシーンから
始まる。女性の悲鳴が室内に響き渡る…。
ところがこれは、大学の映画サークルの撮影であった…(でもこれも伏線)
そして、他の者の乱入により撮影は中断
…ここに入ってきたのは生物学研究員の男女2名と、
廃墟好きな写真家(?)、それと、あまり売れない小説家。

そして、研究員から、この建物は戦時中、
人体実験が行われていたという噂があることが話される。
「ロケのため」「研究のため」「廃墟の撮影のため(?)」
「小説のネタ探しのため」と、ここに集まった目的は様々だが、
百物語を真似て、「怖い話」を語ろうということになる。
この辺まではホラー作品の様相…。

ところが、時々聞こえるのは、死霊の不気味な声なのか…?
そして、停電が起きて真っ暗になったり、人が姿を消し、
さらには不可解な方法で、次々に殺されていく……。
しかし、殺人犯は誰だか分からない。
犯人は外部の人間なのか、それとも集まったメンバーの誰かなのか?
この辺から、ホラー作品というよりは推理ドラマの様相となる。
最後まで残ったのは、最初の殺人シーンの女性と、
一度は死んだと思われた同じサークルの男性…。
そして、男がナイフを振り上げた所で暗転。ドラマは終わる…。

…と思ったら、どうも終わっていないようで、きちんと暗転もしないまま、
これまでの登場人物プラス別の人物(スタッフかと思った)が
舞台上を片付けている。
あれっ?1時間40分ほどの芝居と聞いていたが、
まだ1時間も経ってないし、2本立てのオムニバスだったかな?
なんて思ったり・・・。

そのうちに、次の芝居(?)が再開。
奥の部屋が無くなっていたり、掃除用具入れも無くなっていたり、若干は変わっているのだが、似たような部屋である。
先程の登場人物も時々出入りするが、しかし違う人物も多い。
この話は何なのだろうと思っていると、次第に分かってきたことは、
先程のホラー兼推理演劇は、「すべて映画の撮影」で、その撮影シーン中に、
大学の映画サークルが出てくるという入れ子作り…だったのである。
そして、今行われている芝居は、前半の出来事を、
今度は3階でのシ-ンとして繰り返しているのだ。
3階はこの映画撮影のスタッフが詰めている部屋で、脚本家、監督、助手、その他助手の友人等訳のわからない人々までなぜかいる。
そして2階で出番でない役者も、ここにやってくるのだ。
そして、前半ではホラー的雰囲気を醸し出していた
唸り声の正体が分かったり、
実は撮影の裏側ではとんでもないアクシデントが頻発していて、
それのフォローにスタッフやキャストが懸命に対処したり…。
つまり、後半は全く喜劇仕立てで、
前半の不可解な出来事のネタが分かったり、
ハプニングに必死に対応する様子に、
お客は大笑いしてしまうという趣向。
(詳しく書くと再演があった場合につまらなくなるので、
これ以上は書きません。)

このように、同じ話を、2階と3階の2つの出来事として示し、
前半はホラー、後半はお笑いと、全く正反対の性格で見せるという趣向で、
こういうやり方は観たことがなく、
とにかく、大変秀逸な構成である、と思った次第。

なお、全く余談ながら、初めての人には会場がやや分かりにくいので、
曲がり角のところでスタッフが立っていて案内してもらうと、
とてもありがたいのだが
(この日の前に観た劇団はしっかりやられていたので余計気になって)。
May’s frontview Vol.29「夜にだって月はあるから」

May’s frontview Vol.29「夜にだって月はあるから」

May

浄土宗應典院 本堂(大阪府)

2011/08/24 (水) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしかった!!
このたび初めてMayさんを観ました。
良いという評判は聞きつつ苦手意識があり、今回も予定にはなかったのですが。
結果、観て良かった!!知れて良かった!そんな公演、劇団、役者さんでした。

もっと全体的に重苦しい感じなのかと想像してました。
ところが、ぜんぜん違った!
民族の歴史が描かれてはいるのですが、細やかにコメディ要素が盛り込まれていて、とても観やすく作られていました。

背景にあるものは、とてもせつなくて悲しい。
にも関わらず、お芝居を作る楽しさ、おもしろさにあふれてきらきらしていました。
お芝居のもつチカラというものを、この舞台を通じて改めて実感。

以下、ネタバレBOXへ。

ネタバレBOX

終盤クライマックスの、舞台内公演のシーン。
視点がくるくる変わり、それと同時に演出家の心が童心に返ってゆく様も表現されていて。
とても素敵な演出でした!鮮やか華麗な世界にうっとり。

死は美徳ではない。
想いはある、その想いにたまらない気持ちにはなるけども・・・それでもあえて。
生きていて欲しかったと、生きてお芝居続けて欲しかった、と願ってしまう。

胸が締め付けらるような思いでいっぱいで迎えたラスト。
そこでくすぐりをもってくるなんてw
おかげで、なんともいえず爽快な清々しい余韻に包まれ。
カーテンコールの後は、はっちゃけたお祭り騒ぎ。

Mayさん、素晴らしかった。ほんと素晴らしい公演でした。
観られて、出会えて良かったです!


金哲義さん、今回初めて拝見いたしましたが。
その生命力あふれるオーラ、愛嬌たっぷりな茶目っ気。
素敵な役者さんでした!めっちゃ注目です!

そして、ふくだひと美さんの楚々とした佇まいに。
きらきらしたかわいらしい笑顔が印象的でした♪

匂いのないものたち

匂いのないものたち

フォトボイスカンパニー

萬劇場(東京都)

2011/08/23 (火) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★

演劇多様性
説明の文章の意味が分かりづらく、「役になりきる、感情を移入する。言葉(台詞)のイメージを膨らませ、動きをそこに貼っていく。自然を模倣し、自然な動作をする。」ということが悪いというか、演劇ではないと言っているのだと思いますが、それじゃあ30年前の小劇場の世界を教えてもらいましょうと身構えて観ました。

ネタバレBOX

くねくねしながら台詞を言うことが虚構性っていうことでしょうか。確かに現実の世界ではくねくねしながらしゃべる人は限られています。

ちょっと『メモリーズ』のようなストーリーでした。安楽死の前に本人が希望する記憶を植え付ける人のような生き物の話で、人間は「匂いのあるもの」、彼らは「匂いのないもの」と呼ばれています。

彼らの能力は安楽死の前だけでなく広範囲で使われるようになり、イメクラ業界が壊滅したという、性欲が技術を発達させる典型でもありました。

最後に解決編のようなものがあり、全てお芝居でしたがあって大団円で終了という構成でした。虚構ではあります。

生物多様性ならぬ演劇多様性を担う存在かもしれませんが、30年前云々の大見栄を切るほどのことも無かろうにと思いました。

それにしても、所長さんともう一人は、妖怪人間ベラ、ベム的な感じでした。
May’s frontview Vol.29「夜にだって月はあるから」

May’s frontview Vol.29「夜にだって月はあるから」

May

浄土宗應典院 本堂(大阪府)

2011/08/24 (水) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★

オススメです!!
偏見と言われるかも知れませんが、もっと 民族色が前面に出て 話も難解だったらどうしよう・・・と正直 思っていました。 ところが始まった途端に もう引き込まれ、胸にグッとくる切ないシーンも有りますが まさかのラストシーンで救われ、本当に一緒に踊り出したくなりました。 初観劇のMayさんでしたが、これからは要チェックです。本当に この作品に出逢えて良かった。 もし迷ってるなら足を運んで下さい。 きっと その魅力にとりつかれますよ(*^^)v

ゲゲゲのげ ~逢魔が時に揺れるブランコ~

ゲゲゲのげ ~逢魔が時に揺れるブランコ~

オフィス3〇〇

座・高円寺1(東京都)

2011/08/01 (月) ~ 2011/08/23 (火)公演終了

満足度★★★★★

演劇へのあふれ出る愛
演劇の楽しさってこういうワクワク感なんだよなぁということを思い知らされた作品。

「すごーい、すごい!」と心の中で叫びました。

渡辺さんが20代でこれを考えて書いたのもすごいけど、演出してこういう形にするっていうのがやはり天才だなぁと。
(私は渡辺さんと同年配で、ほぼ同時期に同じくらい年の離れた相手と初婚で結婚したという共通点があり、勝手な親近感がある)。

女優としての渡辺さんのファンだが、女優としても才能あるのに、作・演出家としてもこんなに才能があるというのに敬服する。

そしてこの作品を観て思ったのは、渡辺さんは本当に演劇を愛して、まっすぐに純真無垢な気持ちで真摯に誠実に取り組んでいる人なんだなぁということ。

それが強く感じられた。

「人間性なんて劇作には関係ないよ」と昔、私に言った学生劇団の関係者がいるが「関係あるよ!」と言いたい(笑)。

第一次小劇場ブームのころ、渡辺さんからの電話を職場で一番多く受けたのは私だった。

劇団主宰にはいろんな人がいて、制作任せの人や、すっぽかしが平気な人もいたが、渡辺さんだけはどんなに忙しくても、寝てなくても、ご自身で連絡してこられ、「ゲネプロの時間伝わってますか?」とか「来週が初日だって私言いましたっけ?」とか「いま、写真探してるのでよろしくお願いします」とか細かい確認をおろそかにしない真面目な方でした。

稽古中、過労で声が出ないこともあり、「ごめんなさい。こんなガーガー声で失礼します」と電話の向こうで謝っておられた。

その誠実な人間性が今回も作品を通してひしひしと伝わってきました。

あの人だからこの作品ができたのだという・・・。

最近の女性作家のブログなどを読むとお洒落な生活感が伝わるが、それとは少し違う。

貧しい都会生活の中で血肉をふりしぼるように書いたという渡辺さんの青春が息づいている。

渡辺さんが尊敬し憧れ、「夢のような芝居」を目指してきたという唐十郎氏の作劇術の影響が強く感じられ、それを確認できたことも嬉しかった。

そういう意味では、唐十郎信奉者の若き作・演出家にこそ、ぜひこの作品を観てほしいと思いました。

ネタバレBOX

若月(松村武)が登場してしゃべり始めたとき、その抑揚まで唐十郎の芝居に出てくる人物のようで「あ」と思った。

「記憶の糸」に操られて登場する男といえば、唐作品の定番だ。

そこにサンシャイン・シティの建設により失われていく東京池袋という町と時代への渡辺さんの想いも重ねあわされていて、感慨深かった。

小学生がワーッと出てくる場面、俳優たちの動きやかしましさが本物の小学生に見えて感心した。

この小学生、ビワの実の精みたいで、河童に変身するのがまたビックリだが、その河童がなんだか腐ったビワの実のようでもあり、不気味さがたまらない。


若月の戦時疎開中のいじめ体験と、マキオ(吉田裕貴)のいじめ体験を重ねる構成も秀逸。

マキオのいじめを扇動する教師(土屋良太)の描き方も、実際小学生の時にこのような体験をした私にはリアルに感じられた。

鬼太郎(中川晃教)の登場シーンが大型ミュージカルのようで驚いたし、妖怪・茶飲め小僧(加藤亜依)との対決場面などはとても舞台とは思えぬスピード感があり、アニメや実写版映画に抵抗がある私でも、こちらのほうがむしろ楽しんで観られた。

一反木綿が舞う場面や杉の木に封じ込まれ同化した子供、びわの実が成った舞台美術など視覚効果も素晴らしい。

鬼太郎であると同時にマキオの親友を演じる中川の声の悲しさが印象に残った。

横長で見づらい座・高円寺の舞台を中央四角に作りこむなど、舞台面も見やすく工夫されていた。

入れ子のようになった複雑な構成で、正確に理解できた自信はないけれど、幸福感で満たされた。

中川の女性ファンの姿も多く見受けられ、彼が登場してひとことせりふを言うたびに隣の中年女性が「ふわぁ」と奇声を発して跳ねるものだから座席が揺れ、いささか興をそがれた。この奇声、ほかからも一斉に聞こえてきた。

ほかの席でも「座席が揺れて落ち着かなかった」と終演後、不満を漏らす声がきかれた。
彼のコンサートではないので、抑えてほしいところだ。

谷賢一・田中沙織 結婚式

谷賢一・田中沙織 結婚式

DULL-COLORED POP

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/08/16 (火) ~ 2011/08/17 (水)公演終了

満足度★★★★★

祝うべき側がこんなに楽しんでも良いのか?
事前情報通りの笑いと感動に茶番(爆)や秘話も加わり、祝うべき側がこんなに楽しんでも良いのか?状態。
さらに新郎新婦はもとより関係者の人柄まで垣間見るようだったり「人の繋がり」に想いを馳せたり、出席できて本当にヨカッタ。
ちなみに「千穐楽スペシャル」的な部分もあり、目論見通りでニンマリ。
妄想再現(?)芝居のコーナーは各執筆者の個性が出ており、小劇場系演劇人の自虐っぽい部分あり大笑いだった上にE列からは新郎新婦の表情も見えて面白さ倍増、的な?(笑)
なお、開宴前に写真集に添えられた新郎新婦挨拶を読んでホロリとしたのはココだけのハナシ。

おじゃがいけ

おじゃがいけ

東京ミネラル金魚

こった創作空間(東京都)

2011/08/11 (木) ~ 2011/08/14 (日)公演終了

満足度★★★

世弥きくよさんの演技
「んなワケあるかーい!」な状況ながら85分間しっかり(強引に?)引っ張って行くのは何なんだろう?(笑)
それにしても世弥きくよさんの演技、スゴいなぁ。中心となるシーンはもちろん、受けのさり気ない演技まで何だか存在感がある感じ。あ、やはり引っ張っているのはこの人か?

ダブルスピーク

ダブルスピーク

SORAism company

萬劇場(東京都)

2011/08/12 (金) ~ 2011/08/14 (日)公演終了

満足度★★★★

概ね良好
若干の無理や「ソコ、要る?」な部分もありつつ、終盤のサスペンスとどんでん返しが鮮やかで幕切れも爽やかな上に「できない理由を挙げるのではなくできる方法を探せ」なる台詞にブン殴られたので概ね良好。

描いたように(満員御礼!!無事公演終演いたしました!)

描いたように(満員御礼!!無事公演終演いたしました!)

613

テアトルBONBON(東京都)

2011/08/24 (水) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

素敵でした
一人で行かなくて良かった♪
切なくてでも幸せな気持ちになった。
形容しがたい・・・

ネタバレBOX

一緒に行った連れは絵を書く場所があんな小綺麗なのは変とか、画家は本当はああじゃないとか言ってましたが(笑)セットも素敵でした。
「ケチセレブレート」はツボでしたw
彼女がかわいくて良かった。
ハッピーエンドでうれしかったです。
描いたように(満員御礼!!無事公演終演いたしました!)

描いたように(満員御礼!!無事公演終演いたしました!)

613

テアトルBONBON(東京都)

2011/08/24 (水) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★

結婚かあ・・・
なんだかにやにやしながら観てしまいました。
好感。
観終わったあと、じわじわっとくる、こそばゆさみたいなものがあって・・・
もう一回観たいな。
良かったです。

ネタバレBOX

ただ、手話がちょっと気になった。反応とか、手の流れとか。
あ~本当はちがうよな、と思っちゃって気になりました。
お話はこんなに丁寧に作ってあるのに残念。
斬激 ZANGEKI~spirits of fire

斬激 ZANGEKI~spirits of fire

アクション殺陣教室『たてびと』

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2011/08/12 (金) ~ 2011/08/14 (日)公演終了

満足度★★★

殺陣のお祭り♪
まさしく暑い季節にふさわしい熱い、大な殺陣の祭りでした!

ストーリーは一応あるにはあって、ジャンプ風。
でもストーリーはさておき(笑)、とかく殺陣とアクションをメインで魅せる舞台でした!
ダンスの公演があるんだもん、こういう殺陣にスポットライトが当てられた公演もあってもいいですよね♪
むしろあって欲しい!

ともかくどえらい大人数での殺陣なので迫力はありありで、逆にひとりひとりの殺陣は把握しずらい面もありつつ。
その中でも中核で暴れまくっておられた小坂さんがやはりずば抜けてすごかった。
そして平宅さんもしなやかでかっこよく、筋肉でふちどられた身体のラインがとても綺麗でした。

なんせ殺陣まみれなので、かきーん、かきーんと、いったいどんだけあるんだ!?というキッカケの嵐も必見(笑)
音響さんはそれはもう大変だったことでしょう・・・ぜひその操作してる様をみてみたい☆

舞台の面積的に、動線が狭めで疾走感は多少不足気味で、その場での動きが多めではあったけども・・・。
あんだけのアクションをよくぞあの暑い劇場内でやりとげたものだと☆
殺陣アクション好きにはたまらん舞台でした!

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