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シャトル!

シャトル!

JUIMARC

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2011/12/09 (金) ~ 2011/12/11 (日)公演終了

満足度★★★★

熱量芝居!
熱量が凄いで・・・・

と、LINX’S でも撮影をしてもらっている森達行さんよりメールを貰い、色んな誘いを断ち切って剛速球で向かう。


二人芝居・・・・と言ったものの、最初は一人芝居の連続で話をつなげていく。

奇しくも宮川サキさんは、同じ会場で一人芝居をやっており、僕自身涙した一人だ。

なので田川さんのフレッシュさと脚本で書かれた天狗な役柄では軍配は宮川さんに上がる。



しかし、

物語が進むにしたがってLINKする思いがこちらに訴えかける。



この物語は最初にどういった経緯で生まれたかは知らないが、

バトミントン二人芝居・・・というものをしようとしたという時点で色んなものがパズルのように埋まっていったのが勝因だと思う。




バトミントン、シャトル、ロケット、アポロ、ネジ




終演後、

演出の大塚雅史さんと少しだけお話しをさせて頂いた。

熱量が半端ない方だと感じる。

ポルノ○ラフィティのアポ○が流れながらの絶妙なライティングに二人のバトミントンする姿。

この快感をなんと表現しよう?

心地よかった~!




後、

田川さん!

めっちゃ演劇LOVE!な方だと思った。

演劇を愛してはるんやな。

愛して愛して、こういう場所にたどり着いてはるんやな・・・と思った。

だから宮川さんが出てくれはったんやろうな・・・・と思った。

何か、くちはばったいけど・・・・僕と同じなんやなと・・・・思った。



頑張って!田川さん!!応援してるよ!

『 GIFT -Love begets love- 』

『 GIFT -Love begets love- 』

劇団PEOPLE PURPLE

HEP HALL(大阪府)

2011/12/13 (火) ~ 2011/12/19 (月)公演終了

満足度★★★★★

まるで映画を観たような感覚。
まるで映画を観たような感覚。



観終わった後の感覚は本当に映画を観た感覚だ。

そして、

他の誰かに優しく手を伸ばせる演劇。

ザ・ナード

ザ・ナード

TUFF STUFF

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2011/12/16 (金) ~ 2011/12/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

大満足!
はっきり言ってしまうが、セカンドでやるレベルの芝居ではない。

もう一クラス上、

HEP HALL、ABCホール クラスでやるべき芝居であった。

セカンドの客席は満席。

いや、もしかしたらあぶれたお客様もおられるのではないか?

いつもここでされる小劇場の劇団さんは集客に苦労しているのだ。

それはそれは涙ぐましい・・・・・・・



セカンドを使用するにあたり、

入口に三面の金網看板にチラシを貼り付け、

セカンドの入口はここですよ!というアピールと案内係を配置する。

そうする事でようやくお客様を迎えられるというものだが・・・・・・



なにもせずとも、引きつけられるようにお客様は座席に納まっていくのである。



これが・・・・・テニプリの力・・・なのか・・・・?




満席の芝居。

しかし、

そんなネームバリューとは別次元。



面白い!!




ああ!面白かったさ!!!

何だろう、心の底から、一人として作品を作り上げるに必要不可欠なピースであった!

それに主演の馬場さんは溢れ出るオーラを全て星色に変えてキラキラっとしている。

少し悔やんだ顔をするだけで、

男の僕でさえ、ハッとなる。

その引力は筆舌に尽くしがたく。。。。。。。



また清水順二さんの万能なコメディエンヌぶりは、ただ事ではない。

かっちりされた上に柔軟で、東京を生き抜いているという自信に満ち溢れているのだ。



それに憎まれ役を一身に受ける我善導さんが、本当に憎らしく!(笑)

隣に居た知り合いと「本気でうっとしいですね」と手放しの賞賛を与えてしまうほど強烈だった!

それもそのはず。テロップには from「WAHAHA本舗」 とされているではないか!

納得の強い強いウザさだった!!




しかし、

それを一手にさばく演出が本当に見事だった!

とにかく間の取り方が半端なく、

僕の大好きなフェイバリット・ムービー「スクール・オブ・ロック」を彷彿とさせるツクリなのだ。

心地良い。

作り物だと分かっていても、まんまと乗っかり楽しんでしまう懐を感じてしまうのだ。

これはただ事ではない。

終演後に少しだけお話しをさせて頂いたが、紳士的な方で関西出身だという。

だのに話の合間合間に見せる「何か」が、僕をドキドキさせる。





・・・・と、

大満足な一品に、うかつに出会ってしまうという一日でした!

『うしおととら』 第十九章

『うしおととら』 第十九章

シアターOM

シアターOM(大阪府)

2011/12/16 (金) ~ 2011/12/19 (月)公演終了

満足度★★★

公演乱舞!シアターOM!
多分、

ブルドーザーのような全てを呑み込む如き公演の手始めなので、



かなりの勢いを感じた。



僕が観劇させて頂いたのは稲森とらだが、出口さんは大盛況だったと聞く。

なるほど。

それなら次の公演から出口とら・・・・・ではなく、

他の方が、とらを演られては、どうだろう?


そしてその、とらを演じるには色んな縛りを入れたりすると・・・・

もっと色んなウエーブが巻き起こるに違いない。

なんて・・・・思ったりした。



それにしても・・・・

公演が重なっているとはいえ、出演者がかなり様変わりしている。

その若い力が面白い作用をしているのが分かる。

リトル・ウェンズデイ

リトル・ウェンズデイ

劇団赤鬼

ABCホール (大阪府)

2011/12/23 (金) ~ 2011/12/25 (日)公演終了

満足度★★★★

力任せのエンターテイメント!
力任せのエンターテイメントであった!
今、関西小劇場で出来る全てのエンタメ要素を凝縮させていたと感じた。

ある方のご好意で、最前列どセンターという絶好の舞台風景を楽しませて頂いた!
一体、なんという幸せ!
役者の息遣いや、震える姿を目の当たりに出来るのだ。
ストーリーも大切だが、役者自身が迎え撃とうとしている自分との戦いも楽しむ事が出来、2倍、3倍と楽しむことができた!!
ある方・・・・ニガワさん!有難う御座いました!




この作品は再演であるという。

つまり、

劇団赤鬼さんとしても、満を持してというか、とびっきりの作品である事だ。

ネタバレBOX

2重スパイ・・・・

しかも、

それが自分自身すらを騙しての潜入という、過酷極まりない任務。

そうした流れも印象的で、音楽と抜群の照明効果でそれらを表現されていた。

美しい。



初演を観ていなくとも今回の出演陣の豪華さで、それを払拭するほどの出来である事はよく分かる。



主演の行澤さんが好演されている。

何度もフラッシュバックを起こすシーンでは、こちらが気持ち悪くなるほどの熱演だ。

そして赤鬼のメンバーはどの方もしっかりされているので、誰であっても軸になれる。

層が厚いのだ。

なので誰が脇に回っても安心して見ていられるという強み。



素晴らしい。



片岡さんが滑稽に演じれば演じるほど、後半の悲しみが倍増される。

鉄板過ぎるが、そこに辿り着く為の時間は過分に費やされている。



大塚さんの憎めない男も、大塚さんならでは!

原さんと、かつろうさんの間の取り合いも、安心してみていられる。

岡本さんのウザさは天下一品だし、土性さんの偏屈ぶりも流石だ。

山口さんのはきはきした言葉遣いは巧だし、田川さんの太陽のようなボケっぷりは強烈なアクセント!

橋爪さんと西国原さんのコンビは心地よいし、特に言葉を話せない少年役の橋爪さんはかなり飛び抜けていた。




お客様を存分に楽しませようとする赤鬼の姿勢は商人のように感じた。

貪欲なのだ。



赤鬼さんの自信作であり、代表作であったと感じる作品であった!
渇いて候

渇いて候

シアターOM

シアターOM(大阪府)

2011/12/22 (木) ~ 2011/12/24 (土)公演終了

満足度★★★★

稲森版 座頭市!!
熱演。

色々と化学変化?



新しい血も入ったからか、

前倒しになった皆様の気合も感じられた!




だが、

シアターOMでよく感じてしまう事だが、

やはりシーンでの間延びの感じは否めない。

そこを詰めるとスピード感にも繋がるのだが、それを選択するかどうかでまた大きく変わるに違いないと勝手に考えている。



あえて言わせて頂くが、

シーンをもっとコンパクトにまとめた方がいいのではないかと思ってしまう。

これだけ濡れるような扇情的なシーンが多いし、燃える展開もラストにあるのに、

やはり自分的にそれを払拭できる何かがあれば、シアターOMは生まれ変わると感じている。



でもファンの方は、それがシアターOMだというのでしょうけど。



嗚呼、ジレンマ。

STAND UP ALONE Vol.12

STAND UP ALONE Vol.12

STAND UP ALONE

豆乳らーめん専門店 豆禅(京都府)

2011/12/24 (土) ~ 2011/12/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

メリークリスマス!
会場は 「豆禅」内 たけの間 という所だ。

会場というよりは、

旅館の間 という感じ。

畳敷きの部屋といった感じでキャパ20人ほどであろうか。






そういったパーソナルな会場で出来るコト。

それを十二分に発揮された舞台だった。

出はけだとか、音楽の使い方であるとか、声出しのボリューム調整であるとか、

そんな細かいディテールを構築しつつ、会場に合わせた芝居をされているのだ。




そんな事を考えながら観ていると色んな事に気がついてしまう。







ネタバレを含むので少し加減をするが、計算をされた舞台だった事を記しておく。







僕が足を運べなかったのが原因だが、12ヶ月分の12本を上手く踏蹴したものであった。。。らしい。

事をきちっと認識できないのが悔しい。(話を聞いて補填したので上の発言となっています・・・)

が、

安心して欲しい。

面白い。

何よりも愛らしい。




それで許せるというか、面白さがアップするのだ。










まぁ何にしろ、12ヶ月連続で一人芝居をやってきたというのが尋常ではない。

継続はチカラなりという言葉通り、チカラにされているんだと実感。

色々な事実を四方さんなりに咀嚼して前に進んでいるので嬉しい。

SHOW UP!!

SHOW UP!!

劇団ショウダウン

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2011/12/24 (土) ~ 2011/12/25 (日)公演終了

満足度★★★★

メリークリスマス!
 『ブルースキャンベルを探して(演出・ナツメクニオ)』 

まさに導入部!

お話的には、それからどうなる?

・・・ぐらいの勢いで終ってしまった作品。(もったいない)

しかしこれは、ゾンビ映画を愛する故の脚本であった。

後、村井さんの素っ気無いキャラは凄く良かった!




・・・ただ、

ラストのキャスティング(ブルース・キャンベル)は、

もっと違う大物を使ったりする方がお客さん的には納得すると思う。(ごめんなさい)




あれだけ伝説!と煽っているのに・・・・・・・・








『スペース家族(演出・永井悠造)』

バカバカしさと家族の物語。

何といってもキャスティングの妙がたまらない!

あの!

あの小永井コーキが母親役などありえないのに、納得してしまう存在感!

二度見、三度見をさせる圧倒的存在感は稀有!


林さんのお猿さん役が、たまらなく可愛い!

しかし、ネーミングは再考の余地ありだと僕は勝手に思っている。

バブルスでは、あまりにストレート過ぎる気が・・・




それから全体的にやはりリズムがいい。

小刻みではなく、セリフ感を詰めた結果だと思う。

やっぱり凄いな永井さんは。










『ビュッフェ(演出・立花裕介)』
スピード感があるシチュエーションコメディ。

オープニングなどの決め画が、決まっているのがいい。

それぞれの役柄が合っていたし、

悪党なのに優しいから、話が進むという優しさの連鎖。



メイド役の村井さんが、またいい感触を出している。

成瀬さんも声が響くので、バカバカしさに拍車がかかる。



全体の流れが上手く収まっていたので、演出にうなる。

演者に求めてもきっちり跳ね返るのが勝因だろう。

ジレンマジレンマ

ジレンマジレンマ

ワンツーワークス

ザ・ポケット(東京都)

2012/03/03 (土) ~ 2012/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★

囚人のジレンマとは違うジレンマ
マイムのようなダンスのようなオープニングが素晴らしい。どうしたらあんなに写真のようにピタリと止まれるのだろう。すごい。泥棒と産地偽装(放射性物質は検出されているのだろうか?)は被疑者が何を言ってもただの言い訳。保安員は…その危険性を知っているだけに怖かったと思う。逃げたからと言って私には責められない。それより正しい情報を正しい時期に開示しなかった政府の役人の方が問題だ!と、いうように色々考えさせられる作品。劇の構成がおもしろく、舞台美術もそれに合っている。

まあまあだったね。

まあまあだったね。

あひるなんちゃら

OFF OFFシアター(東京都)

2012/03/02 (金) ~ 2012/03/06 (火)公演終了

満足度★★★★

もはや哲学?(笑)
町工場(?)の元・喫煙室で交わされる(お馴染みの)やや間の抜けた会話だけなのに妙に奥が深いと言うかスケールが大きいと言うか、もはや哲学?(笑)
また、「同じ毎日を過ごすのが嫌と言っているが、自分でそれを選んでいるのでは?」という台詞にドキリ。

うれしい悲鳴

うれしい悲鳴

アマヤドリ

吉祥寺シアター(東京都)

2012/03/03 (土) ~ 2012/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★

今日の日本への警鐘
閉塞感のある社会が産んだちょっといびつな近未来日本の話、これまでのひょっとこと比べて随分分かり易かったと思います。

ネタバレBOX

閉塞感のある社会だと独裁者が出てきてしまうのか、その結果思いつきを法律化してしまう制度ができ、不都合なところは“泳ぐ魚”という実行部隊が強引に取り仕切っている近未来日本の話。

避難地区指定に伴い立ち退きを強行した際に“何でも敏感症”のミミを好きになった無痛症の“泳ぐ魚”メンバー牧野の悲恋物語はこの社会のあだ花として後世に語り継がれることになるのでしょうが、本質は思いつき法下の社会と制度の崩壊の話でした。

“泳ぐ魚”もやはり官の組織でした。植物人間から臓器を取り出して移植するという思いつき法に従うと、ミミのお母さんも対象になりますが、今上天皇も対象になるという若手の意見に対し、空気を読むという形で恣意的に解釈する上層部は、法律の文言に従って例外なく遂行するという目的よりも、組織の存続を優先させる官の本質を具現化する方向に進んで行きました。

お母さんを守るミミを殺した牧野が失踪した後すぐに政変が起き、思いつき法は廃止されました。閉塞感に包まれた社会では迅速な意志決定が望まれるのでしょうが、行き過ぎや矛盾が生まれる恐れがあることを我々に警告しています。

本人たちのいない結婚式は古い因習のようでした。

群舞は統制がとれていて素敵でした。
【公演終了!】グッドモーニング・マイ・ヴィーナス

【公演終了!】グッドモーニング・マイ・ヴィーナス

GAIA_crew

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2012/03/02 (金) ~ 2012/03/06 (火)公演終了

満足度★★★★

楽しめた
舞台美術は見事な白と黒のモノトーンで、左右対称にデザインされていた。奥の壁が4分割されており、状況に応じて引き戸のように可動する。なんともシンプルだが、スマートな遣い方のできるセットだ。

劇中、数ヵ所で映像を使った演出もあったが、これがなかなかウマイ使い方だった。全編を通じてスピーディでテンポのいい演出が続き、2時間が短く感じた

レシピエント

レシピエント

ドリームプラス株式会社

紀伊國屋ホール(東京都)

2012/02/29 (水) ~ 2012/03/11 (日)公演終了

満足度★★★

手塚治虫の医療系漫画読んだ感じ。
縁あって観劇。
冒頭、若手キャスト(女性客多かったが自分が無関心な故、誰がどんな活躍をしているのかわからない)の登場の仕方を見た瞬間、G2の演出とこのキャストについて行けるか不安でしたが、想像以上に見応えがありました。

感情を表に出さず、だからって陰になるわけでなく静の動作の多かった佐藤さん、生真面目っぽさが似合ってる。
ほぼ出ずっぱりだったが、作品の要になる艦長が安定していて良かった。

ネタバレBOX

生死を彷徨う大怪我をおい、運ばれた先は腕は優秀だけど訳あって違法スレスレの医療行為を行っている医師。
術後、移植した腎臓を介して、元の持ち主(ドナー)の性格や趣味思考が移植された側の優秀な取り立て屋・会田(レシピエント)の行動として、随所に出てくる。
疑問を生じた会田は担当医師と共に原因を探って行くが、術後の会田の変化をキッカケに手下達の下克上も絡まっていく。

終盤の会田の決断は、ドナーとレシピエントが一体感となった故の行動と思う。
前半笑わす場面もあったけどちょっと硬かったのが惜しい。
音楽の挿入の仕方は違和感、というか苦手だった。
ドグラ・マグラ

ドグラ・マグラ

劇団霞座

アートスタジオ(明治大学猿楽町第2校舎1F) (東京都)

2012/03/01 (木) ~ 2012/03/04 (日)公演終了

満足度★★★★

原作の本筋を抽出
本筋をあれやこれやで覆い隠した原作から隠蔽物を取り除きシンプルにして90分に収めたのは見事。
喩えて言えば、木の葉や小枝まで入っているどろみずを濾過に濾過を重ねて飲める水にしてお出ししました、というか、誘拐犯からの電話のバックの音からノイズを取り除いて場所特定に繋がる音を抽出したというか、みたいな。
そのために明治・大正期の古風な趣まで漉し取ってしまった気がしないでもないが、全体の出来から考えれば「誤差範囲内」的なものか?
同様に、以前原作を読んだ時のイメージと異なり主人公が冒頭から取り乱し気味だったりするのも「誤差範囲内」。
一方、選曲も良かったのであるが 「どーよ、これ」的に大き目の音量で主張し過ぎたのは残念。
音楽はあくまで引立て役であって、その引立て役があんなに自己主張するのはいかがなものか?
とはいえ、シンプルながら美しく機能的な装置や群読の使い方なども含めて満足度高し。
なお、ある部分から落語「粗忽長屋」を連想してニンマリ。

あと、事前に頂いた道案内メールのおかげで迷うことなくストレートに会場に着くことができた。
「不親切」などと書いた御仁はメールをご覧にならなかったのかしら?

モナコ公国 モンテカルロ・バレエ団 Aプロ

モナコ公国 モンテカルロ・バレエ団 Aプロ

公益財団法人日本舞台芸術振興会

東京文化会館 大ホール(東京都)

2012/03/06 (火) ~ 2012/03/07 (水)公演終了

満足度★★★

エロティシズム
バレエ・リュスの精神を受け継ぐバレエ団が芸術監督のジャン=クリストフ・マイヨーさんの作品を踊るトリプルビルで、いずれの作品も性的な要素を扱っていながらも下品さがなく、美しかったです。

『シェエラザード』
王が居ない間に快楽を貪る奴隷の男達とハーレムの女達が、帰ってきた王の逆鱗に触れ殺されてしまうという物語をリムスキー=コルサコフの管弦楽曲に乗せて踊る作品で、エロティックな動きが多用された群舞がダイナミックでした。
ミハイル・フォーキンが振付をしたバレエ・リュス版へのオマージュということで、比較的クラシックバレエの様式性を残しながら、新しいムーブメントを盛り込む作風で、身構えずに楽しんで観ることが出来ました。主役を踊った小池ミモザさんが西洋人とは異なる身体性を感じさせ、エキゾチックでしなやかな官能性を美しく表現していました。

『ダフニスとクロエ』
ラヴェル作曲のバレエ音楽に、うぶな少年少女が大人の導きによってセックスの快楽を知るという、元とは異なる物語を当て込んだ作品でした。4人だけで30分以上踊るので、ダンサーにとってはハードだと思いますが、それを感じさせない流麗さがありました。
前半で若者2人がユーモラスに戯れていたのが、次第に異性として意識しだす様子が、ダンスだけで明確に表されていました。
舞台上手に大きな白いオブジェがあり、そこにヌードや性行為を描いたデッサンが投影され、作品の内容が分かりやすくなっていました。

『アルトロ・カント1』
前2作とは異なり、具体的な物語がない抽象バレエでしたが、物語に囚われない分、ムーブメントやフォーメーションに多彩なバリエーションがあり、派手な盛り上がりはないもののダンスだからこそ表せる質感が強く感じられ、3本の中で一番見応えがありました。
ファッション界の大御所、カール・ラガーフェルドさんのデザインによるシャープな衣装を男性がスカートを穿いたり、女性がパンツを穿いたりと性別に関わらずに着用してモンティヴェルディの宗教曲に合わせて踊り、猥雑さから崇高さまで様々な雰囲気が感じられる作品でした。複数名のサポートによるアクロバティックなリフトで宙を舞うような動きが印象的でした。
天井から吊り下げられた蝋燭の灯りが星空のようで美しかったです。

群舞でのポーズの形や動くタイミングはいまいち揃っていませんでしたが、回転して倒れ込んだり、倒立したりとマイヨーさんならではの振付が楽しかったです。『シェエラザード』も『ダフニスとクロエ』も色彩感溢れる曲で、生演奏だと盛り上がるのですが、録音を使っていて、平板になっていたのが残念でした。

『夜のしじま』

『夜のしじま』

からふる

ギャラリーLE DECO(東京都)

2012/03/06 (火) ~ 2012/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★

不思議な世界に…

引き込まれた。照明、衣装&キャスト、カラフルでした。今後も期待したいと思いましたm(__)m


うれしい悲鳴

うれしい悲鳴

アマヤドリ

吉祥寺シアター(東京都)

2012/03/03 (土) ~ 2012/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

舞台が物語と肉体でうねるようだ
なんとなくひょっとこには「理系(的文学系)」を感じていたが、今回は「マネジメント系(的文学系)」とか「社会学系(的文学系)」の印象。

深いところを描いたと思うと、遠いところから、気がつくとすぐ間近まで来ている。

やっぱり、「日本」なんだよな。
「日本人」だよなと感じてしまう。

ネタバレBOX

まずドラマが面白い。
そして、今回も、というか特に今回の構成力はもの凄いと思った。
物語も登場人物と役者についても。
例えば、娘が母親と約束したということを、簡単に台詞のやり取りで見せるのではなく、娘と母親と、娘の唯一の友人との関係を含めて、じっくりと見せる。
こうしたシーンは、ともすると、脇に逸れすぎて、本筋を薄めてしまうことが多いのだが、そうとはならず、きちんとそのシーンの分だけ本筋に厚みを増している。
さらに、娘を基本2人で同時に演じるというのは、ひょっとこではよくある手法なのだが、それを違和感なく見せきってしまう凄さもある。
役者の使い方がとても贅沢。

役名を忘れてしまったけど、松下仁さんと、笠井里美さんが、それぞれ演じる長台詞が中心のシーン、どちらも凄くてシビれた。


「お上」には逆らわず、「空気」を読んでそれに従うだけ。
その「空気」というのは、「民意の、なんとなくの総意」だったり、そうではなかったりする。「なんとなくの総意」だったりしても、それが微妙にズレていくところが「政治」だったりするわけで、「政治」は「組織」の「力学」がポイントなのだ。
そうした力学の働きで、「民意」や「総意」は微妙に屈折していく。

政治家は、そういう力学を使って、矛先や焦点をズラしてくる。
郵政選挙なんてまさにそれの最たるモノだったではないか。
もっとも政治家だけでなく、組織を束ねる者の多くは、そうやって矛先をかわしていくのだ。

ドラッカーがかつて「日本は外国から見られるような一枚岩ではない」「日本人が感じているのは一体感ではなく、対立、緊張、圧力だ」というようなことを言っていたような気がするのだが、まさに、日本人のそれであり、それが舞台の上にあった。

「国」としてより早い決断を下すための国策で、思いつきによる政策と、それを遂行するために、何に対してでも優先的に発動できる権限を持つ「泳ぐ魚」という組織というものは、そういう「日本的」なモノの産物である。

為政者が、あるいは国民のだれかが「お国のため」「国の利益のため」という耳障りのいい言葉で飾った国の施策だから、反対できなくなっている。
本来の目的を見失ってしまっても、それを修正する能力も意欲も欠けている国民だし。

また、「場の空気」を読むことで生きているわれわれは、「和」を乱す者を許さないし、乱さないように自らも細心の注意を払う。
一度できてしまったシステムがたとえ変であっても、そこを乱すことはできない。

「和」というのは、数学的な「和」ではなくなってくる。本来はそうであったはずなのだが、自らが読んだ「空気」がズレてくることがあるのだ。
「和」は「輪」でもあり、「輪」には中心がない。つまり、中心となる者がいない中で、互いに微妙な距離感と力関係で「輪」になって、「和」を形成していく。
中心のない和の「責任」の所在は不明。なのに、上からの命令は絶対。かつて「上官の命令は…」とやってきたこととまったく同じ。
誰かが誰かの理由で勝手に権限を行使する。本来は責任と一体のはずなのに。

そして、「絶対的な命令」に従うことは、自分で考えることを放棄しているし、同時に責任もないから居心地がいい。

つまり、組織の統率はどこに帰属するかというガバナンス問題は、先の大戦での日本軍の失敗を例に挙げるまでもなく、連綿と続いているのだ。
会社にいなくても、組織に属したことがある日本人ならば、誰もがなんとなく感じていること。

それは、「国の象徴」という、センシティブな問題とも絡んでくる(そのあたりをかすめてくる、戯曲のうまさがある)。
「泳ぐ魚」のガバナンスは国民にありそうなものなのだが、実質そこにはない。見えない「上」というところから発せられる政策があるだけで、「上」だって空であり、単なる組織や個人の力学のなせるモノでしかないのだ。

そんなこんなで、誰かが「王様は裸だ」と言えば、瓦解するシステムなので、ラストはそういう形になっていくのだが、日本では外圧以外でそうしたことに陥ったことはなかったのではないだろうか。
戦国時代とか幕末だって、単なる力関係だったわけで、国民が政府を倒したわけではない。だから、このラストは未来の日本であってもあり得ない展開ではないかと思ったのだ。
学生運動があんな形で終わってしまったことを体験した国民だから。


今回の「ひょっとこフォーメーション」と個人的に勝手に名付けている、例の集団ダンスは、この舞台では、そうした「国民」たちが、リズムに乗って、踊って(踊らされて)、同じ振り付け、同じ方向を向く、という姿に見えてくる。
本来個人の持っているリズムは違うのに。


これでひょっとこ乱舞はお終い。
次は単なるラベルの貼り替えなのか、あるいは内容も変えての再出発なのか、これは期待せざるを得ない。

と、深夜の脳みそでだらだら書いていたら、朝になっていた。
まあまあだったね。

まあまあだったね。

あひるなんちゃら

OFF OFFシアター(東京都)

2012/03/02 (金) ~ 2012/03/06 (火)公演終了

満足度★★★★★

もう侘び茶の世界だよ
OFF OFFシアターのサイズ、シンプルなセット、シンプルな台詞、だけど深みがあったりなかったり。

ネタバレBOX

あつたり、なかったりのところは、観客の想像と思い入れの部分だから、なんちゃらーの私にとってはあったりする。

毎回いい感じにツボを刺激されてしまう。

あひるなんちゃららしい、常に何も起きない会話劇。
もう侘び茶の世界だよこれは。
コメディの侘び茶。

にじり口からOFF OFFシアターの客席に入りたいほど。

「まあまあだったね」の台詞のネタばれは、ここの説明文にもすでにあるというのに、笑ってしまう。

台詞のタイミング、というか呼吸のうまさなんだろうなあ。
全登場人物それぞれの持つリズムが良く、見事に1つの楽曲に仕上がっていようだ。

DM封筒持って行ったので、特製ライターをゲット。
したけど、タバコは吸わないし、BBQも花火もやる予定ないので、机の上にちょこんと置いてある。黄色いライター。

アンケートの感想として一番多かったのは「まあまあだったね」と予想。
日本の問題 Ver.311<公演終了しました。ありがとうございました!>

日本の問題 Ver.311<公演終了しました。ありがとうございました!>

日本の問題

ギャラリーLE DECO(東京都)

2012/03/06 (火) ~ 2012/03/11 (日)公演終了

満足度★★

じゃぁやるなよ
開幕冒頭で、荒川チョモランマ(たぶん)の役者さんが、被災地に行って感じたこととして、「演劇は意味がない」「(被災地の支援のためという)演劇は、被災地から見るとギャグでしかない」ということを語っていた。

なるほど、そういうモノを被災地で感じとってしまったのか、と思った。

ネタバレBOX

思ったのだが、じゃぁ、これから120分間見せられるのは「意味がなく」「ギャグでしかないようなものなのか」ということ。

彼の気持ちはなんとなくわかるが、公演を行う上で、そういう発言の影響力を考えたのだろうか。「演劇は意味がない」と彼個人の意見として繰り返し述べていたが、本気でそう感じたのだろう。
だったら、この公演は止めるへきだったのだはないだろうか。冒頭こういう形で観客に対して述べているということは、彼個人の発言としているが、公演全体の総意ではないだろうか。そうでないとすれば、誰かがこの発言を止めるか、「いや自分はこう思う」と述べるべきだろう。

この公演を行っている皆がそう思っている「意味のない」ことを金を払って見せられるほうはたまらないじゃないか。全額寄付だっていうエクスキューズは通用しない。
そう思ったのならば、「ごめなさい、できません」と謝るべきだし、個人的にそう思っているのならば、個人的にでも辞退することはできたのではないだろうか。

「意味のない」は「無力である」ということなのだろう。「ギャグでしかない」も同様だ。

あまりにも無責任な公演であると言わざるを得ない。
「意味がなく」(無力であり)「ギャグでしかない」と感じてしまったところをスタートとして、作品を作り上げ、せめて「そう感じたのですが、自分なりに考え、意味を見つけようとしました」、あるいは「ギャグにしか見えないのではと感じましたが、そう見えないモノを見せたいと思います」という意気込みにまで仕上げて観客の前に出すべきではなかったのか。

それを早々に白旗を上げて「意味がないと思います」といい、「どう感じたのか教えてくだい」とまで言った。自らが「意味がない」と言っているモノにそれ以上の感想などあるわけもなく、ただちょっとムカついただけだった。

観客への問い掛けにしては、自らの意気込みが感じられず、挑発にしては、内容が伴わないだけに寒々しい。

現実を前に「壁にぶち当たった」のかもしれないのだが、世界では紛争だの飢餓だのと、今もいろいろなことが起こっているし、個人だって、病気だったり災難だったりといろんなことは起きている。

今までそういう「世界」や「社会」と無関係にやってきて、初めてそれを意識したら身動きできなくなってしまったのかもしれない。
だったら、それを演劇で見せるのが、本当ではないのだろうか。
それができないのならば、少なくとも今回の公演は辞めるべきだった。

つまり、一番哀しいのは、演劇をやっているのに、それを信じていないことだ。

「意味がない」「ギャグでしかない」と感じたことを、演劇で見せたり、挑発するのではなく、薄っぺらい言葉で、しゃべっただけ。

この言葉の後の120分もの時間は、一体何のためにあったのか、演劇って何のためにあるのか、ということを、自ら放棄してしまったことだ。
その手段も場も用意してあるというのに。

そして、その言葉のとおり各内容は、そういうものだった。

1.まだわかんないの。
長台詞が入ってこない。気持ちが余所に行ってしまう。だから最後のふっ、と浮かび上がるような台詞が決まらない。

2.指
先にオリジナルを観ているので、それと比べると生活感、2人の密度が薄く感じられてしまう。女を演じた小澤さんはいいところもあった。

3.3.111446・・・
散々新聞やテレビや週刊誌で見聞きしたことに、メロスを入れてみてもそれ以上のものは感じない。観客も当然そういう情報は大量に見聞きしているのだから、それに「何か」がないとそれこそ「意味がない」。

4.アカシック・レコード
考え抜いた上での、この内容だと思うのだが、正直なぜこれだったのかわからなかった。内容的にも特に面白いとは思わなかった。

5.止まり木の城
過去から現在、未来に続く宿題。だけど、宿題は「大人」に答えてもらうのではなく、自分で解くのだろうと思う。そこが他人事のように感じられてしまった、のは私の意地が悪いからかもしれないのだが。


今回思ったのは、冒頭の言葉を脇に置いたとしても、彼らは、なぜ、自分の立ち位置から、生きている場所、生活している場所から311をとらえられなかったのか、ということだ。それがないから言葉だけが上滑りしている。
被災地に行ったという人たちがいたが、そこで「自分が感じたこと」を「自分のところから」見せてほしかったと思う。
「311を思い出してほしい」ということのようだが、誰も忘れてはいない。忘れているわけないだろう、と思う。この公演では、思い出し方のひとつとしての、「自分」を見せてほしいのだ。

期待感が大きかっただけに、その落胆はさらに大きい。

本当になんで演劇やってるの? と思う。
学生だからという言い訳は許さない。意味ないと思うのならば、辞めなよ。ホントに。


PPTで、どこかの団体の偉いさんらしき人が出てきて、今回の企画に賛同したので寄付を、と言い白封筒を代表者に渡してパチパチバチだって。なんだこれ? そんなこと観客の前でやる必要あるのかな。関係者だけで「ありがとうございます」でいいんじゃないの。
ドグラ・マグラ

ドグラ・マグラ

劇団霞座

アートスタジオ(明治大学猿楽町第2校舎1F) (東京都)

2012/03/01 (木) ~ 2012/03/04 (日)公演終了

満足度★★★★

流石、演劇専攻の学科を持つ大学の演劇部
 原作のテイストを汲みながら、推理を中心に据えて構築してあり、学生劇団としては、間違いなく全国でトップクラスだろう。また、描かれた内容の中心で問われていることが、研究者の倫理であることは、現在、生起している、原発問題の中核を成す問題であり、時代感覚も鋭い。舞台美術、照明などにも、様々な工夫がこらしてあり、この舞台から、プロとして巣立って行く人もいると感じた。演技でも、迫真の演技ができた役者が居た。このまま延びれば、プロの一流になれるだろう。ここではあえて、その役名を挙げないが、目の表情などは、特に素晴らしかった。今後を期待している。

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